(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明のコーヒー抽出液の製造方法は、工程Aと、工程Bとを含むものである。以下、各工程について詳細に説明する。
【0010】
<工程A>
工程Aは、原料コーヒー抽出液を多孔質吸着剤と接触処理する工程である。
(原料コーヒー抽出液)
原料コーヒー抽出液は、コーヒー豆から抽出するか、あるいはインスタントコーヒーの水溶液等から調製することができる。コーヒー豆としては、生コーヒー豆でも、焙煎コーヒー豆でも、それらの混合物でも構わないが、風味の観点から、焙煎コーヒー豆が好ましい。本発明で使用する原料コーヒー抽出液は、当該原料コーヒー抽出液100g当たり、コーヒー豆を生豆換算で通常1g以上、好ましくは2.5g以上、更に好ましくは5g以上使用しているものである。
【0011】
コーヒー豆の豆種及び産地は特に限定されず、嗜好性に応じて適宜選択することができる。コーヒー豆の豆種としては、例えば、アラビカ種、ロブスタ種、リベリカ種及びアラブスタ種等が挙げられ、またコーヒー豆の産地としては、ブラジル、コロンビア、タンザニア、モカ、キリマンジャロ、マンデリン、ブルーマウンテン、グァテマラ、ベトナム、インドネシア等を挙げることができる。また、カフェインを取り除いたコーヒー豆を適宜用いることもできる。そのカフェイン除去の方法は特に限定されないが、例えば、水抽出、有機溶媒抽出、超臨界二酸化炭素抽出等が挙げられる。本工程においては、豆種及び/又は産地、カフェイン除去の有無等において異種のコーヒー豆を2種以上使用しても構わない。
【0012】
コーヒー豆の焙煎方法としては、例えば、直火式、熱風式、半熱風式等の公知の方法を適宜選択することが可能であり、これらの焙煎方式に回転ドラムを有するものが好ましい。焙煎温度は特に限定されないが、通常100〜300℃、好ましくは150〜250℃である。焙煎後においては、風味の観点から、焙煎後1時間以内に0〜100℃まで冷却することが好ましく、更に好ましくは10〜60℃である。
焙煎コーヒー豆の焙煎度としては、例えば、ライト、シナモン、ミディアム、ハイ、シティ、フルシティ、フレンチ、イタリアンが例示される。中でも、ライト、シナモン、ミディアム、ハイ、シティが好ましい。
焙煎度を色差計で測定したL値としては、風味の観点から、10以上が好ましく、15以上がより好ましく、20以上が更に好ましく、そして55以下が好ましく、45以下がより好ましく、35以下が更に好ましい。かかるL値の範囲としては、好ましくは10〜55、より好ましくは15〜45、更に好ましくは20〜35である。なお、本発明においては、焙煎度の異なるコーヒー豆を混合してもよく、例えば、L値が15〜20のコーヒー豆と、L値が30〜35のコーヒー豆を混合し、L値の平均値が上記範囲内となるように組み合わせて使用することもできる。なお、L値の平均値は、使用する焙煎コーヒー豆のL値に、当該焙煎コーヒー豆の含有質量比を乗じた値の総和として求められる。
【0013】
また、コーヒー豆は、未粉砕のものでも、粉砕されたものでもよいが、抽出効率の観点から、粉砕されたものが好ましい。粉砕方法は特に限定されず、公知の方法及び装置を用いることができるが、例えば、カッターミル、ハンマーミル、ジェットミル、インパクトミル、ウィレー粉砕機等の粉砕装置を挙げることができる。
粉砕コーヒー豆は、粗挽き、中挽き及び細挽きのいずれでもよいが、抽出効率の観点から、細挽きが好ましい。粉砕コーヒー豆の平均粒径は、抽出効率の観点から、10mm以下が好ましく、7mm以下がより好ましく、5mm以下が更に好ましく、また雑味低減の観点から、0.5mm以上が好ましく、1.0mm以上がより好ましく、2.0mm以上が更に好ましい。かかる平均粒径の範囲としては、好ましくは0.5〜10mm、より好ましくは1.0〜7.0mm、更に好ましくは2.0〜5.0mmである。ここで、本明細書において「コーヒー豆の平均粒径」とは、レーザ回折・散乱法粒度分布測定装置により測定される体積基準の累積粒度分布曲線において50%(d
50)に相当する粒子径である。このように平均粒径が制御されたコーヒー豆は、コーヒー豆を粉砕し篩分けして所望の平均粒径を有するコーヒー豆を採取すればよい。なお、篩として、例えば、Tyler標準篩、ASTM標準篩、JIS標準篩等を用いることができる。
【0014】
抽出方法は特に限定されず、ボイリング式、エスプレッソ式、サイホン式、ドリップ式(ペーパー、ネル等)、カラム式等の公知の方法を適宜選択することができる。カラム式の場合には、例えば、カラム型抽出機内にコーヒー豆を収容し、抽出機内に熱水を供給すればよい。この場合、多段階抽出することもできる。ここで、本明細書において「多段階抽出」とは、複数の独立した抽出塔を配管で直列につないだ装置を用いる抽出方法をいう。より具体的には、複数の独立した抽出塔にコーヒー豆をそれぞれ投入し、1段階目の抽出塔に抽出溶媒を供給して該抽出塔からコーヒー抽出液を排出させ、該コーヒー抽出液を次段階目の抽出塔に供給するという操作を繰り返し行い、最終段階の抽出塔から排出されたコーヒー抽出液を回収する抽出方法をいう。ここで、「独立した抽出塔」とは、抽出塔が完全に遮断されていることを意味するのではなく、コーヒー豆の移動は制限されるが、抽出溶媒又は製造途中のコーヒー抽出液を次段階の抽出塔に送液可能な連結手段を有する1つの抽出塔をいう。なお、カラム式の場合、抽出溶媒は、下方から上方への上昇流、あるいは上方から下方への下降流で供給することができる。また、抽出は常圧下でも、加圧下でも構わない。なお、抽出条件は抽出方法により適宜選択することができる。
【0015】
抽出溶媒としては、水、アルコール水溶液、ミルク、炭酸水等の水系溶媒が挙げられ、必要に応じてこれらを2種以上混合して用いることもできるが、風味の観点から、水が好ましい。水としては、例えば、水道水、蒸留水、イオン交換水、天然水等を適宜選択して使用することができる。中でも、イオン交換水が好ましい。
抽出溶媒のpH(20℃)は、通常4〜10であり、風味の観点から、5〜7が好ましい。
抽出溶媒の温度は、圧力条件等により適宜選択可能であるが、例えば、水系溶媒の場合、クロロゲン酸類の回収率及びコク感向上の観点から、80℃以上が好ましく、90℃以上がより好ましく、110℃以上が更に好ましく、また温度制御の容易さ及び雑味低減の観点から、200℃以下が好ましく、180℃以下がより好ましく、170℃以下が更に好ましい。かかる抽出溶媒の温度範囲としては、好ましくは80〜200℃、より好ましくは90〜180℃、更に好ましくは110〜170℃である。なお、100℃以上で処理する場合は、抽出系内を所望温度における溶媒の飽和蒸気圧以上に加圧すればよい。
抽出倍率(原料コーヒー抽出液の体積/焙煎コーヒー豆の体積)は、1以上が好ましく、2以上がより好ましく、3以上が更に好ましく、そして20以下が好ましく、15以下がより好ましく、10以下が更に好ましい。かかる抽出倍率の範囲としては、好ましくは1〜20、より好ましくは2〜15、更に好ましくは3〜10である。
【0016】
(多孔質吸着剤)
多孔質吸着剤としては、吸着技術便覧―プロセス・材料・設計−(平成11年1月11日、エヌ・ティー・エス発行、監修者:竹内 雍)に記載の多孔質吸着剤を使用することができる。例えば、炭素質吸着材、シリカ・アルミナ系吸着材、高分子吸着材、キトサン樹脂等が挙げられる。中でも、雑味除去の観点から、炭素質吸着材が好ましく、炭素質吸着材としては、活性炭が好ましい。
活性炭の由来原料としては、例えば、オガコ、石炭、ヤシ殻等が挙げられ、中でも、ヤシ殻活性炭が好ましい。また、水蒸気等のガスや薬品により賦活した活性炭を用いてもよく、中でも、水蒸気賦活活性炭が好ましい。また、活性炭の形状は、粉末状、粒状及び繊維状のいずれでもよいが、吸着効率の観点から、粉末状、粒状が好ましい。
本発明で使用する活性炭は、平均細孔半径が3nm以下であるものが好ましく、0.6〜3nmが更に好ましい。本明細書において「平均細孔直径」は、MP法により測定して得た細孔分布曲線のピークトップを示す細孔直径の値とする。また、「MP法」とは、文献(Colloid and Interface Science, 26, 46(1968))に記載の細孔測定法である。
活性炭の平均粒径は、0.20〜0.60mmが好ましく、0.25〜0.55mmがより好ましく、0.32〜0.50mmが更に好ましい。ここでいう「平均粒径」は、JIS K1474に基づいて算出された質量平均粒径である。
このような活性炭の市販品として、白鷺A、C、M、WH2C、LH2C、LGK−100(大阪ガスケミカル社製)、太閤CW350AR、CW350SZ、CW480SZ(フタムラ化学工業社製)、クラレコールGW、GW−H(クラレケミカル社製)等を挙げることができる。
【0017】
多孔質吸着剤の使用量は、雑味低減の観点から、原料コーヒー抽出液に対して、5体積%以上が好ましく、10体積%以上がより好ましく、15体積%以上が更に好ましく、またコク感維持の観点から、50体積%以下が好ましく、30体積%以下がより好ましく、25体積%以下が更に好ましい。かかる多孔質吸着剤の使用量の範囲としては、原料コーヒー抽出液に対して、好ましくは5〜50体積%、より好ましくは10〜30体積%、更に好ましくは15〜25体積%である。
【0018】
(接触処理)
多孔質吸着剤による接触処理の方法としては、例えば、バッチ式又はカラム式が挙げられ、中でも、生産効率の観点から、カラム式が好ましい。
バッチ式は、例えば、原料コーヒー抽出液に多孔質吸着剤を加え、−10〜100℃で0.5分〜5時間撹拌した後、多孔質吸着剤を除去すればよい。処理時の雰囲気としては、空気下、不活性ガス下(窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス、二酸化炭素)が挙げられる。中でも、風味の観点から、不活性ガス下が好ましい。
カラム式は、例えば、カラム内に多孔質吸着剤を充填し、原料コーヒー抽出液をカラム下部又は上部から通液させ、他方から排出させる方法が挙げられる。原料コーヒー抽出液の通液条件はスケールにより一様ではなく、適宜設定可能であるが、例えば、コーヒー豆の全容量に対する空間速度(SV)は、好ましくは0.01〜30[h
-1]、より好ましくは0.1〜20[h
-1]、更に好ましくは1〜10[h
-1]である。なお、カラムは、その上段又は下段の少なくとも1つにメッシュ(網)又はパンチングメタル等の実質的に多孔質吸着剤が漏れ出さない分離構造体を有していることが好ましい。分離構造体の開口径は、多孔質吸着剤の平均粒径より小さければ特に限定されないが、分離構造体の目開きは、多孔質吸着剤の平均粒径の1/2以下が好ましく、1/3以下が更に好ましい。
また、カラム内に、コーヒー豆と多孔質吸着剤を充填し、原料コーヒー抽出液の抽出と、多孔質吸着剤との接触処理を同時に行っても構わない。
【0019】
接触温度は、コク感維持の観点から、5℃以上が好ましく、10℃以上がより好ましく、15℃以上が更に好ましく、そして雑味低減の観点から98℃以下が好ましく、95℃以下がより好ましく、90℃以下が更に好ましい。かかる接触温度の範囲としては、好ましくは5〜98℃、より好ましくは10〜95℃、更に好ましくは15〜90℃である。
【0020】
<工程B>
工程Bは、接触処理後の原料コーヒー抽出液を、35〜85℃の温度にてデプス型フィルタを用いて濾過処理する工程である。このように、特定温度にて、デプス型フィルタを用いることで、目詰りし難く膜差圧の上昇が抑制されるため、フィルタ寿命が長期化し、フィルタの交換頻度を大幅に低減することができる。その結果、コーヒー抽出液を効率よく、低コストで製造することができる。
【0021】
本明細書において「デプス型フィルタ」とは、濾材とそれを構成する部材から成るフィルタであって、被濾過流体中の異物を濾材間の空隙で捕捉する深層濾過型フィルタである。デプス型フィルタは、濾過材の孔構造が入口側で粗く、出口側で細かく、且つ入口側から出口側へ向かうにつれて連続的に又は段階的に細かくなる特徴を有しており、異物粒子の中でも大きな粒子は入口側付近で捕集され、小さな粒子は出口側付近で捕集される。
【0022】
デプス型フィルタには、糸を円筒コアに巻いた「糸巻きフィルタ」、不織布を円筒コアに巻き付けた「不織布積層タイプ」、スポンジのような形態の樹脂成形品で「樹脂成形タイプ」の3種があり、これらのうちの1種又は2種以上を適宜選択することができる。
デプス型フィルタの孔径は、雑味除去の観点から、好ましくは10μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましく、0.5μm以下が更に好ましい。なお、かかる孔径の下限値は、コク感維持の観点から、0.2μm以上が好ましく、0.45μm以上が更に好ましい。ここでいう「孔径」とは、下記の手順に基づいて測定される値である。
1)各種粒子径のJIS規格粉体を重量基準で10ppm又は20ppmとなるように水に分散させ、フィルタに1〜2.5L/minの速度で通液する。
2)フィルタ透過液を回収し、乾燥後の残差量を測定する。
3)フィルタ透過前液に対して、透過後の乾燥残差が99%以上除去できている粒子径の最小値を「孔径」とする。
【0023】
このようなデプス型フィルタとして市販品を用いることが可能であり、例えば、ネクシス(日本ポール社製)、ポリプロクリーン(3M社製)、SKY(ロキテクノ社製)等を挙げることができる。
【0024】
デプス型フィルタは、1段で用いても、多段で組み合わせて(例えば直列配置で)用いてもよく、また接触処理後の原料コーヒー抽出液を循環させても構わない。
【0025】
濾過温度は35〜85℃であるが、コク感維持及び膜差圧上昇抑制の観点から、40℃以上が好ましく、50℃以上がより好ましく、55℃以上が更に好ましく、また雑味低減の観点から、80℃以下が好ましく、75℃以下が更に好ましい。かかる濾過温度の範囲としては、好ましくは40〜80℃、より好ましくは50〜80℃、更に好ましくは55〜80℃、より更に好ましくは55〜75℃である。
【0026】
接触処理後の原料コーヒー抽出液のデプス型フィルタへの通液量及び通液圧力は、特に限定されず、フィルタの耐圧限度を超えない範囲で調整すればよい。
【0027】
このようして本発明のコーヒー抽出液を製造することができるが、得られたコーヒー抽出液は、濃縮液とすることができる。濃縮法としては、常圧濃縮法、減圧濃縮法、膜濃縮法等を挙げられる。更に、コーヒー抽出液の製品形態として固体が好ましい場合は、噴霧乾燥や凍結乾燥等の公知の方法により乾燥することができる。このように、本発明のコーヒー抽出液は、液体、スラリー、半固体、固体等の種々の形態とすることができる。
【実施例】
【0028】
1.L値の測定
試料を、色差計((株)日本電色社製 スペクトロフォトメーター SE2000)を用いて測定した。
【0029】
2.Brixの測定
20℃における試料のBrixを、糖度計(Atago RX-5000、Atago社製)を用いて測定した。
【0030】
3.官能評価
実施例、比較例で得られたコーヒー抽出液を25℃まで冷却した。これに25℃のイオン交換水を加え、Brixが1.5%となるよう希釈した。このコーヒー飲料のコク感、雑味の強さについて、パネラー5名が官能評価し、5名の協議により最終評点を決定した。
【0031】
(1)コク感
比較例5のコーヒー飲料のコク感の評点を「5」とし、比較例1のコーヒー飲料のコク感の評点を「1」として5段階で評価した。具体的な評価基準は以下のとおりである。
1:コクを感じない
2:僅かにコクを感じる
3:コクを感じる
4:やや強くコクを感じる
5:強くコクを感じる
【0032】
(2)雑味
実施例1のコーヒー飲料の雑味の評点を「5」とし、比較例5のコーヒー飲料の雑味の評点を「1」として5段階で評価した。具体的な評価基準は以下のとおりである。
1:強く雑味を感じる
2:やや強く雑味を感じる
3:雑味を感じる
4:僅かに雑味を感じる
5:雑味を感じない
【0033】
実施例1
(工程A)
L26の粉砕した焙煎コーヒー豆(平均粒径3.5mm)を、円筒状抽出搭(内径160mm×高さ660mm)6本に、1搭当たりの充填量が4.2kgとなるように充填した。次いで150℃の熱水を1段目の抽出搭の上部から下部へ送液した。次いで1段目の抽出搭上部から排出されたコーヒー抽出液を、2段目の抽出搭下部から上部へ送液した。この操作を3段目以降の抽出塔についても繰り返し行い、6段目の抽出搭の上部から排出されたコーヒー抽出液を、速やかに冷却するとともに回収することで原料コーヒー抽出液を得た。多段抽出の通液条件は、焙煎コーヒー豆の全容量に対する空間速度(SV)が6[h
-1 ]であり、1塔当たりの焙煎コーヒー豆の容量に対する通液倍数(BV)が12[v/v]、Brixは10%であった。
次に、円筒状のカラム(内径200mm×高さ1000mm)に活性炭(白鷺WH2C LSS、日本エンバイロケミカルズ製、平均細孔半径10.5Å)10.5kg加え、80℃、10分間殺菌した後に、上記Brix10%の原料コーヒー抽出液628kgを、25℃、SV=3[hr
-1 ]、BV=22[v/v]の条件にて通液し、カラム出口より接触処理後の原料コーヒー抽出液を得た。
(工程B)
接触処理後の原料コーヒー抽出液を、電気加熱機を用いて70℃に加熱し、ギアポンプ(MICRO PUMP 184−415A、中央理化社製)にて一定流量0.67L/minでデプス型フィルタ(NXA0.5、日本ポール社製)に通液し、フィルタ出口から20kgのコーヒー抽出液を回収した。濾過処理後の膜差圧をデプス型フィルタの入り口に設置した圧力計にて測定し、得られたコーヒー抽出液について官能評価を行った。その結果を表1に示す。
【0034】
比較例1
実施例1の工程Bにおいて、接触処理後のコーヒー抽出液の温度を25℃としたこと以外は、実施例1と同様の操作によりコーヒー抽出液を得た。濾過処理後の膜差圧を測定し、得られたコーヒー抽出液について官能評価を行った。その結果を表1に示す。
【0035】
比較例2
実施例1の工程Bにおいて、デプス型フィルタに代えて、ペーパーフィルタ(エコフィルターペーパー1×2(2〜4人用)、メリタ社製)を2枚積層させたものを使用したこと以外は、実施例1と同様の操作によりコーヒー抽出液を得た。そして、得られたコーヒー抽出液について官能評価を行った。その結果を表1に示す。
【0036】
比較例3
比較例2の工程Bにおいて、接触処理後の原料コーヒー抽出液の温度を25℃としたこと以外は、比較例2と同様の操作によりコーヒー抽出液を得た。そして、得られたコーヒー抽出液について官能評価を行った。その結果を表1に示す。
【0037】
比較例4
実施例1において、工程Bを行わなかったこと以外は、実施例1と同様の操作によりコーヒー抽出液を得た。そして、得られたコーヒー抽出液について官能評価を行った。その結果を表1に示す。
【0038】
比較例5
実施例1において、多孔質吸着剤接触処理を行わず、かつ、工程Bを行わなかったこと以外は、実施例1と同様の操作によりコーヒー抽出液を得た。そして、得られたコーヒー抽出液について官能評価を行った。その結果を表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
実施例2
実施例1の工程Bにおいて、接触処理後の原料コーヒー抽出液の通液量を、フィルタ1インチ当たり38kgとしたこと以外は、実施例1と同様の操作によりコーヒー抽出液を得た。そして、濾過処理後の膜差圧を測定し、得られたコーヒー抽出液について官能評価を行った。その結果を、実施例1及び比較例1の結果とともに表2に示す。
【0041】
比較例6
比較例1の工程Bにおいて、接触処理後の原料コーヒー抽出液の通液量を、フィルタ1インチ当たり38kgとしたこと以外は、比較例1と同様の操作によりコーヒー抽出液を得た。そして、濾過処理後の膜差圧を測定し、得られたコーヒー抽出液について官能評価を行った。その結果を、実施例1及び比較例1の結果とともに表2に示す。
【0042】
【表2】
【0043】
実施例3
(工程A)
ドリップ抽出器(内径350m、容積100L)に、活性炭(クラレコールGW、クラレケミカル社製)3.4kgを投入した。次いで、85℃の温水を活性炭の上部からシャワーより10分間供給し、活性炭を殺菌した。温水の供給量は、活性炭に対し、25質量倍であった。その後、L26の粉砕した焙煎コーヒー豆(平均粒径1.4mm)15.0kgを活性炭上に投入した。次いで、ドリップ抽出器下部から15.0kgの85℃の温水を供給し、底湯をはった。次いで、焙煎コーヒー豆の上部からシャワーより85℃の温水を3L/minの速度で供給した後、温水の供給を停止し、その状態を10分間保持した。温水の供給量は、焙煎コーヒー豆に対し、2.55質量倍であった。保持後、85℃の温水をシャワーより3L/minの速度で供給するとともに、同速度でコーヒー抽出液を排出した。採液量が100kgに達したときにコーヒー抽出液の排出を停止し、接触処理後の原料コーヒー抽出液を得た。
(工程B)
接触処理後の原料コーヒー抽出液を、実施例1の工程Bと同様の操作により処理した。得られたコーヒー抽出液について官能評価を行った。その結果を表3に示す。
【0044】
実施例4
実施例3の工程Bにおいて、接触処理後のコーヒー抽出液の温度を45℃としたこと以外は、実施例3と同様の操作によりコーヒー抽出液を得た。濾過処理後の膜差圧を測定し、得られたコーヒー抽出液について官能評価を行った。その結果を表3に示す。
【0045】
実施例5
実施例3の工程Bにおいて、接触処理後のコーヒー抽出液の温度を80℃としたこと以外は、実施例3と同様の操作によりコーヒー抽出液を得た。濾過処理後の膜差圧を測定し、得られたコーヒー抽出液について官能評価を行った。その結果を表3に示す。
【0046】
比較例7
実施例3において、工程Bを行わなかったこと以外は、実施例1と同様の操作によりコーヒー抽出液を得た。そして、得られたコーヒー抽出液について官能評価を行った。その結果を表3に示す。
【0047】
比較例8
実施例3において、多孔質吸着剤接触処理を行わず、かつ、工程Bを行わなかったこと以外は、実施例3と同様の操作によりコーヒー抽出液を得た。そして、得られたコーヒー抽出液について官能評価を行った。その結果を表3に示す。
【0048】
【表3】
【0049】
表1〜3から、原料コーヒー抽出液を多孔質吸着剤と接触処理し、接触処理後の原料コーヒー抽出液を35〜85℃の温度にてデプス型フィルタを用いて濾過処理することで、雑味が抑制され、かつコクの豊かなコーヒー飲料の原料として有用なコーヒー抽出液が得られることが分かる。