(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ポートは、前記医療用具接続可能部の上面を被包する保護シートを備え、前記被包部材は、前記保護シートを介して、前記医療用具接続可能部の上面を覆うものとなっており、かつ、前記被包部材は、前記保護シートの上面に配置されており、かつ、前記針管である穿刺部材による刺通後、前記穿刺部材とともに前記ポートより離脱するものである請求項1に記載の医療用容器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
最近、複数の病院で発生した輸液剤への異物混入による被害が報道等で報告されている。これは、保護シート上から針で穿刺し、医療用容器内に異物を混入した犯行とされている。輸液剤の保護シートが剥離されていない状態では、未使用であると医療従事者は考える。このため、投与時に、保護シートへの針刺しの有無の確認、保護シート剥離後の栓体への針刺しの有無の確認は、行われていない。また、上記の保護シートへの針刺しの有無の確認自体も容易ではない。投与時に、医療従事者が、混注の事実に気付くことは困難である。
本願発明の目的は、医療用容器への穿刺部材による穿刺の確認が容易であり、混注された可能性があることを容易に認識することができる医療用容器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するものは、以下のものである。
(1) 容器本体と、前記容器本体内に収容された医療用液体と、前記容器本体に設けられ、医療用具が接続可能なポートとを有する医療用容器であって、
前記ポートは、前記容器本体の管状開口部に固着された封止部材により構成されており、前記封止部材は、前記管状開口部に固着された環状キャップと、前記環状キャップに装着され、かつ前記管状開口部を封止する医療用具接続可能部と、前記医療用具接続可能部の上面を覆うように設けられた板状の被包部材とを備え、前記被包部材は、
中心軸方向に圧縮した状態にて前記環状キャップの開口部に装着されており、かつ、前記被包部材は、前記ポートからの離脱後、
圧縮前形態への復元のため拡張することにより前記ポートへの再装着が不能もしくは困難であり、さらに、前記被包部材は、針管である穿刺部材による刺通が可能であり、刺通後、前記針管である穿刺部材と前記被包部材の間に生じる摩擦力により、前記針管である穿刺部材に保持されて前記ポートより離脱するものである医療用容器。
【0006】
(2) 前記ポートは、前記医療用具接続可能部の上面を被包する保護シートを備え、前記被包部材は、前記保護シートを介して、前記医療用具接続可能部の上面を覆うものとなっており、かつ、前記被包部材は、前記保護シートの上面に配置されており、かつ、前記針管である穿刺部材による刺通後、前記穿刺部材とともに前記ポートより離脱するものである上記(1)に記載の医療用容器。
また、上記目的を達成するものは、以下のものである。
(3) 容器本体と、前記容器本体内に収容された医療用液体と、前記容器本体に設けられ、医療用具が接続可能なポートとを有する医療用容器であって、
前記ポートは、医療用具接続可能部と、前記医療用具接続可能部の上面を覆うように設けられた板状の被包部材とを備え、
前記被包部材は、基板部と、前記基板部の下面より下方に伸びる円盤状突出部とを備え、
前記医療用具接続可能部は、上面に円盤状凹部を備え、
前記被包部材は、前記円盤状突出部が前記円盤状凹部に収納されることにより、前記医療用具接続可能部の上面に装着された状態で、前記被包部材は、針管である穿刺部材による刺通が可能であり、刺通後、前記針管である穿刺部材と前記被包部材の間に生じる摩擦力により、前記針管である穿刺部材に保持されて、前記医療用具接続可能部の上面部から離脱可能であり、
前記被包部材の前記円盤状突出部は、下端部外縁から外方に延出する被包部材側延出部を備え、前記医療用具接続可能部の前記円盤状凹部は、上端内縁から内側に延出した医療用具接続可能部側延出部を備え、
前記被包部材の前記被包部材側延出部における外径は、前記医療用具接続可能部の前記円盤状凹部の上端開口の内径よりも大きいものとなっており、前記被包部材の前記医療用具接続可能部の上面への装着状態において、前記被包部材側延出部と前記医療用具接続可能部側延出部とが弱い係合力にて、係合しており、前記被包部材は、前記医療用具接続可能部の上面部からの離脱後、再装着が不能もしくは困難である医療用容器。
(
4) 前記ポートは、医療用液体排出ポートである上記(1)ないし(
3)のいずれかに記載の医療用容器。
(
5) 前記ポートは、混注用ポートである上記(1)ないし(
3)のいずれかに記載の医療用容器。
【発明の効果】
【0007】
本発明の医療用容器は、容器本体と、容器本体内に収容された医療用液体と、容器本体に設けられ、医療用具が接続可能なポートとを有する。ポートは、医療用具接続可能部と、医療用具接続可能部の上面を覆うように設けられた被包部材とを備える。被包部材は、穿刺部材による穿刺後、穿刺部材とともにポートより離脱するものとなっている。
【0008】
この医療用容器では、医療用具接続可能部への穿刺部材による穿刺は、その上部を覆う被包部材を穿刺することになる。そして、穿刺部材を医療用具接続可能部より抜去すると、被包部材は、穿刺部材に保持され、ポートより離脱する。このため、ポートには、通常であれば、存在しているはずの被包部材がなく、医療用具接続可能部が露出する状態となる。このため、被包部材の欠落もしくは医療用具接続可能部が露出を確認することにより、医療用容器への混注の可能性を容易に認識することができ、そのような可能性のある医療用容器の使用を防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の医療用容器を図面に示す実施例を用いて説明する。
本発明の医療用容器1は、容器本体2と、容器本体2内に収容された医療用液体15と、容器本体2に設けられ、医療用具が接続可能なポート3とを有する。ポート3は、医療用具接続可能部8と、医療用具接続可能部8の上面を覆うように設けられた被包部材5とを備える。被包部材5は、穿刺部材10による穿刺後、穿刺部材10とともにポート3より離脱するものとなっている。
【0011】
図1ないし
図3に示す実施例の医療用容器1は、容器本体2と、容器本体2内と連通するもしくは連通可能であり、かつ医療用具である穿刺部材の穿刺が可能なポート3とを備える。そして、ポート3には、被包部材5が剥離可能に固着されている。
この実施例の医療用容器1では、
図6に示すように、ポート3は、容器本体に形成された管状開口部22と、管状開口部22に固着された封止部材7とを備える。管状開口部22は、側面より外方に突出するフランジ61を備える。管状開口部22は、ほぼ同一内径にて所定長延びる筒状部である。
【0012】
この実施例の医療用容器1は、容器本体2と管状開口部22を一体に有する容器本体2を備え、ポート3は、穿刺部材の穿刺が可能な排出ポート部3であり、さらに、医療用容器1は、容器本体2内に充填された医療用液体15である薬剤を備えている。
【0013】
容器本体2は、
図1ないし
図4、
図6に示すように、上端に開口を有するほぼ円筒状の管状開口部22と、管状開口部22と連続し、かつ下方に延びる扁平筒状上部23と、扁平筒状上部23と連続し、かつ下方に延びる扁平筒状胴部21と、筒状胴部21と連続し、かつ下方に延びる扁平筒状下部24とを備える。
【0014】
管状開口部22は、ほぼ同一内径にて所定長延びる筒状部である。この実施例では、管状開口部22は、上述の封止部材7と共同して、ポート部3を構成する。
管状開口部22は、側面部より外方に突出するフランジ61を備える。さらに、管状開口部22は、フランジ61より上方に突出する円筒部63を備える。さらに、円筒部63は、短い筒状の小径先端部を備えている。また、この実施例では、フランジ61より、下方(扁平筒状上部22側)に設けられた補強用環状リブ62を備えている。
【0015】
また、容器本体2は、閉塞した下面部25を有しており、この下面部25には、下方に突出する突出部26が形成されている。突出部26は、吊下用部材4の装着保持部として機能する。この実施例の吊下用部材4は、突出部26が貫通する貫通孔を有する板状のベース部41と、ベース部41から延びる2つの折り曲げ可能部43と、2つの折り曲げ可能部43の端部にそれぞれの端部が連結したU字状の懸架部42を備えている。吊下用部材4は、折り曲げ可能部43で屈曲させることにより、懸架部42を起立可能であり、かつ、起立した懸架部42内に容器本体を吊り下げるための吊下部44が形成されるものとなっている。
【0016】
容器本体2は、熱可塑性樹脂により形成されている。容器本体2の形成材料である熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレンコポリマー、ポリプロピレンとポリエチレンもしくはポリブテンの混合物)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート)、ポリアミド、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデンなど等が挙げられる。この中でも、耐熱性に優れたポリプロピレン系樹脂が最も好ましい。
【0017】
容器本体2の内容積としては、50〜1600mlが好ましく、突出部26の直径は2〜5mm程度が好ましい。また、容器本体2の厚さは、0.1〜0.5mmが好ましく、容器本体2の幅は、60〜150mm、容器本体2の長さは110〜250mmであることが好ましい。
【0018】
次に、ポート3について、説明する。
この実施例の医療用容器1では、ポート3は、排出ポートである。
ポート3は、上述した容器本体2の管状開口部22と、これに固着された封止部材7により構成されている。
封止部材7は、管状開口部22のフランジ61に固着されたキャップ(環状キャップ)9と、キャップ(環状キャップ)9に装着され、かつ医療用具である穿刺部材)の穿刺が可能な医療用具接続可能部(弾性シール部材)8とからなる。
【0019】
キャップ(環状キャップ)9は、弾性シール部材装着部を有する筒状本体部71と、筒状本体部71の下端側部より外方に突出する突出部(環状突出部)74とを備える。ポート3は、キャップ(環状キャップ)9の突出部(環状突出部)74の下面が、フランジ61と向かい、かつ、両者が固着されている。
キャップ(環状キャップ)9は、
図6に示すように、開口部を備え、弾性シール部材8の上面が、開口部にて、露出する状態にて弾性シール部材8を収納している。
【0020】
キャップ(環状キャップ)9は、筒状本体部71と同心的に配置され、かつ上部にて連結部72により連結された内筒部76を備える。連結部72の上面には、被包部材装着用の突起部75が形成されている。この実施例では、突起部75は、環状に形成されている。この実施例では、被包部材5は、環状の突起部75の内周面部に気密に装着されている。
【0021】
キャップ(環状キャップ)は、熱可塑性樹脂により形成されている。キャップ(環状キャップ)の形成材料である熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレンコポリマー、ポリプロピレンとポリエチレンもしくはポリブテンの混合物)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート)、ポリアミド、ポリ塩化ビニリデン、 ポリフッ化ビニリデン、エチレン−ビニルアルコール系共重合体などが挙げられる。
【0022】
特に、キャップ(環状キャップ)9は、酸素難透過性材料である、エチレン−ビニルアルコール系共重合体、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリアミドなどにより形成することが好ましい。
また、キャップ(環状キャップ)は、管状開口部22の形成材料(この実施例では、容器本体2)と相溶性の高いもの、特に好ましくは、同じもしくは同系統の樹脂を用いることが好ましい。さらには、キャップ(環状キャップ)の形成材料は、管状開口部22の形成材料(この実施例では、容器本体2の形成材料)より、融点の低いものが好ましい。
【0023】
弾性シール部材8は、
図6に示すように、略円柱状のシール部材本体81と、シール部材本体81の側面を被包するように設けられた側部(環状側部)82と、シール部材本体81および側部(環状側部)82の中央部を連結する連結部(環状連結部)とを備えている。このため、弾性シール部材8は、
図6に示すように、連結部(環状連結部)の上面、側部(環状側部)の上部とシール部材本体81の上部により形成された凹部(環状凹部)を備えている。また、弾性シール部材8は、連結部(環状連結部)の下面、側部(環状側部)の下部とシール部材本体81の下部により形成された凹部(環状凹部)を備えている。
【0024】
そして、この弾性シール部材8では、略円柱状のシール部材本体81の上部、外径は、キャップ(環状キャップ)9の開口部の口径(内筒部76の内径)とほぼ同じものとなっている。そして、シール部材本体81の上部は、
図6に示すように、キャップ9の開口部内に進入している。また、この実施例の弾性シール部材8では、
図6に示すように、側部(環状側部)82の上部(環状上部)は、キャップ9の凹部(環状凹部)内に収納されている。
【0025】
さらに、弾性シール部材8の側部(環状側部)の下部(環状下部)は、
図6に示すように、キャップ(環状キャップ)9の筒状本体部71と容器本体2の円筒部63の小径先端部間に収納されている。
図6に示すように、キャップ(環状キャップ)9の内筒部76の下端と容器本体2の円筒部63の小径先端部の上端は向かい合っており、弾性シール部材8の連結部(環状連結部)は、キャップ(環状キャップ)9の内筒部76と容器本体2の円筒部63の小径先端部により挟圧されている。これにより、管状開口部22と封止部材7間は、液密となっている。
【0026】
弾性シール部材8は、医療用具、例えば、穿刺部材10(具体的には、薬液排出用針管)の穿刺が可能なものが用いられており、特に、穿刺部材の抜去後に刺通部がシールされるものであることが好ましい。弾性シール部材8は、弾性材料により形成されている。弾性シール部材8の形成材料としては、シリコーンゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、天然ゴム等の各種ゴム類、ポリウレタン、ポリアミドエラストマー、ポリブタジエン、軟質塩化ビニル等の各種樹脂が用いられる。
【0027】
そして、本発明の医療用容器1では、
図1ないし
図4および
図6に示すように、ポート3は、医療用具接続可能部8の上面を覆うように設けられた被包部材5を備える。被包部材5は円柱体を薄い輪切りにしたような形状となっている。被包部材5は、穿刺部材10による穿刺後、穿刺部材10とともにポート3より離脱する。また、被包部材5は、ポート3からの離脱後、再装着が不能もしくは困難であることが好ましい。この実施例では、被包部材5は、円柱面が円柱体中心軸方向に若干圧縮した状態にて、ポート3に装着されており、ポート3からの離脱後、圧縮前形態への復元のため、若干拡張する。このため、ポート3への再装着は、不能もしくは困難となっている。
【0028】
この実施例では、被包部材5は、ポートに3装着された板状部材により構成されている。そして、被包部材5は、内部に医療用具接続可能部(弾性シール部材)8を収納したキャップ9に離脱可能に装着されている。特に、この実施例のものでは、板状の被包部材5は、キャップ9の上端開口に、上端開口を封鎖するように装着されている。このため、ポート3の外部からは、弾性シール部材8の上面が視認できないものとなっているとともに、被包部材5により、弾性シール部材8の上面(医療用具接続部の表面)は覆われ、弾性シール部材8の汚染が防止されている。
【0029】
そして、この実施例の医療用容器1では、
図9に示すように、被包部材5の上面から穿刺部材10
(図9に示すように針管)の刺入
が可能である。しかし、被包部材5を刺通した後、穿刺部材10
(針管)を医療用容器1より抜去すると、
図10および
図11に示すように、被包部材5と穿刺部材10間の摩擦力により、被包部材5は、穿刺部材10に保持され、ポート3より離脱する。なお、被包部材5がポート3に若干圧縮して装着されていれば、摩擦力が増すものとなる。そして、上記の被包部材5のポート3からの離脱により、通常であれば、存在しているはずの被包部材5がなくなり、弾性シール部材8の上面が露出する状態となる。被包部材5の欠落、弾性シール部材8の露出を確認することにより、医療用容器への混注の可能性を容易に認識することができ、そのような可能性のある医療用容器の使用を防止することができる。
【0030】
また、被包部材としては、
図7に示すようなものであってもよい。
図7に示すポート3aでは、上述したポート3と同様に、医療用具接続可能部(弾性シール部材)8の上面を覆うように設けられた被包部材5aを備える。被包部材5aは、穿刺部材10による穿刺後、穿刺部材10とともにポート3より離脱する。また、被包部材5aは、ポート3aからの離脱後、再装着が不能もしくは困難となっている。この実施例では、被包部材5aは、上述したものと同様に、若干圧縮した状態にて、ポート3aに装着されており、ポート3aからの離脱後、圧縮前形態への復元のため、若干拡張する。このため、ポート3aへの再装着は、不能もしくは困難となっている。
【0031】
この実施例では、被包部材5aは、ポートに3aに装着された板状部材により構成されている。特に、この実施例のものでは、板状の被包部材5aは、キャップ9の上端開口より若干下方、言い換えれば、弾性シール部材8方向に位置し、かつ、弾性シール部材8の上面に当接している。この実施例の被包部材5aも弾性シール部材8の上面全体を被覆しており、弾性シール部材8の上面が視認できないものとなっているとともに、被包部材5aにより、弾性シール部材8の上面(医療用具接続部の表面)は覆われ、弾性シール部材8の汚染が防止されている。
【0032】
また、ポートとしては、
図8に示すようなものであってもよい。
図8に示すポート3bでは、被包部材5bは、医療用具接続可能部(弾性シール部材)8aの上面に装着されている。この実施例の被包部材5bは、板状部材により形成されており、かつ、基板部51と基板部51の下面より下方に伸びる円盤状突出部52を備えている。そして、弾性シール部材8aは、上面に円盤状凹部83を備えている。被包部材5bは、円盤状突出部52が、弾性シール部材8aに収納されることにより、装着されている。また、被包部材5bも、穿刺部材10による穿刺後、穿刺部材10とともにポート3bより離脱するものとなっている。
【0033】
さらに、被包部材5bは、
図8に示すように、円盤状突出部52の下端部外縁は、外方
に延出する延出部53を備えるものであってもよい。そして、弾性シール部材8aの円盤状凹部83の上端内縁は、内側に延出した延出部58を備えるものであってもよい。装着状態において、円盤状突出部52の延出部53と円盤状凹部83の延出部85は、係合しているが、係合力は弱く、被包部材5bは、穿刺部材10による穿刺後、穿刺部材10とともにポート3bより離脱するものとなっている。また、被包部材5bは、ポート3bからの離脱後、上記延出部53を備えることにより、弾性シール部材8aへの再装着は、不能もしくは困難となっている。なお、被包部材5bの延出部53における外径は、弾性シール部材8aの円盤状凹部83の上端開口の内径より、若干大きいものとなっている。この実施例では、被包部材5bにより、弾性シール部材8aの上面(医療用具接続部の表面)は覆われ、弾性シール部材8aの汚染が防止されている。
【0034】
被包部材5,5a,5bとしては、圧縮可能性と高圧蒸気滅菌(オートクレーブ滅菌)のための水蒸気透過性(言い換えれば、滅菌用蒸気の透過性)を有するものが好ましい。具体的には、熱可塑性エラストマーである、SBSエラストマー、SEBSエラストマー等のスチレン系エラストマー、エチレン−αオレフィン共重合体エラストマー等のオレフィン系エラストマー、ゴムであるブチルゴム、イソプレンゴム、シリコーンゴムなどが使用できる。
【0035】
また、上述したすべての実施例において、被包部材は、
図12に示す実施例のポート3cの被包部材5cのように、離脱用把持部54を備えるものであってもよい。このような離脱用把持部54を設けることにより、使用時の被包部材の離脱操作が容易なものとなる。また、この実施例の被包部材5cでは、離脱用把持部54は、被包部材5cの外縁部より、上方に所定長突出するものとなっている。なお、離脱用把持部は、キャップ9の外縁方向に伸びかつキャップ9の外縁より突出するようなものであってもよい。
【0036】
また、被包部材としては、
図13に示すようなものであってもよい。
図13に示すポート3dでは、医療用具接続可能部(弾性シール部材)8の上面を被包する保護シート6を備え、被包部材5dは、保護シート6を介して、医療用具接続可能部(弾性シール部材)8の上面を覆うものとなっており、かつ、被包部材5dは、保護シート6の上面に配置されており、かつ、穿刺部材10による穿刺後、穿刺部材とともにポートより離脱するものとなっている。
【0037】
具体的には、ポート3dは、キャップ9の開口部上面に固着された保護シート6を備える。保護シート6は、ポート3の弾性シール部材8の上面(キャップ6の開口部より露出する部分)を被包している。さらに、保護シート6は、弾性シール部材8の上面を被包する部分が凹部65となっており、この凹部65の底面に、被包部材5dが配置されている。被包部材5dは、弾性シール部材8の上面上に位置するものとなっている。被包部材5dは、穿刺部材10による穿刺後、穿刺部材10とともにポート3dより離脱する。また、被包部材5dは、ポート3dからの離脱後、再装着が不能もしくは困難であることが好ましい。
【0038】
この実施例では、被包部材5dは、若干圧縮した状態にて、ポート3dに装着されており、ポート3dからの離脱後、圧縮前形態への復元のため、若干拡張する。このため、ポート3dへの再装着は、不能もしくは困難となっている。そして、この実施例の医療用容器では、保護シート6の有無により、使用済みかどうかを見分けることができる。保護シート6により、弾性シール部材8aの上面(医療用具接続部の表面)は覆われ、弾性シール部材8aの汚染が防止されている。
保護シート6の構成材料としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂が挙げられる。保護シート6は、下面に接着層を備えるものであってもよい。接着層の構成材料は、他の層の形成材料よりも融点の低い材料が用いられる。
【0039】
なお、上述した実施例では、ポートは、医療用液体排出ポートであるが、これに限定されるものではなく、ポートは、
図14に示す医療用容器が備えるような混注用ポート40であってもよい。さらに、本発明の医療用容器としては、
図14に示すような軟質バッグタイプの医療用容器1aであってもよい。医療用容器1aは、内部に医療用液体31を収納している。
【0040】
この実施例の医療用容器1aでは、排出ポート3は、軟質容器本体30に接続された管状部材37と封止部材35とにより構成され、封止部材35は、内部に弾性シール部材36を収納し、表面には、被包部材5が装着されている。被包部材5は、弾性シール部材36の上面を被包している。封止部材35としては、上述した封止部材7(キャップ9、弾性シール部材8)と同様のものが好適に使用できる。また、管状部材37としては、上述した管状開口部22と同様の形態のものが好適に使用される。被包部材5としては、上述したすべての実施例の被包部材が使用できる。
【0041】
また、医療用容器1aが備える混注ポート40は、容器本体30に接続された管状部材47と封止部材45とにより構成され、封止部材45は、内部に弾性シール部材46を収納し、表面には、被包部材5が装着されている。被包部材5は、弾性シール部材46の上面を被包している。封止部材45としては、上述した封止部材7(キャップ9、弾性シール部材8)と同様のものが好適に使用できる。また、管状部材47としては、上述した管状開口部22と同様の形態のものが好適に使用される。被包部材5としては、上述したすべての実施例の被包部材が使用できる。
【0042】
この実施例の医療用容器1aでは、軟質容器本体30が用いられている。管状部材37,47は、軟質容器本体30と別部材により形成され、固着部により、軟質容器本体30に固定されている。この実施例の軟質容器本体30は、シート状筒状体により形成されている。軟質容器本体30は、上部シール部32、下部シール部33を備える。
本発明の医療用容器1,1aに収納される医療用液体15,31としては、公知のものが使用される。医療用液体としては、生理食塩水、ブドウ糖水溶液、薬剤含有液体などの薬剤、注射用蒸留水などの薬剤溶解液が例示される。