(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の乳液状皮膚化粧料は、植物性油脂を含む油剤、高級アルコール、モノステアリン酸ソルビタン、エチレンオキシドの平均付加モル数が20〜30であるモノステアリン酸ポリエチレングリコール、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、及び水を少なくとも含む。なお、本明細書において、植物性油脂を含む油剤を「成分(A)」、高級アルコールを「成分(B)」、モノステアリン酸ソルビタンを「成分(C)」、エチレンオキシドの平均付加モル数が20〜30であるモノステアリン酸ポリエチレングリコールを「成分(D)」、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体を「成分(E)」、水を「成分(F)」とそれぞれ称する場合がある。
【0015】
すなわち、本発明の乳液状皮膚化粧料は、成分(A)、成分(B)、成分(C)、成分(D)、成分(E)、及び成分(F)を少なくとも含む。本発明の乳液状皮膚化粧料は、上記成分(A)〜(F)以外の成分を含んでいてもよい。また、本発明の乳液状皮膚化粧料に含まれる各成分、例えば、成分(A)、成分(B)、成分(C)、成分(D)、成分(E)、成分(F)、及び他の成分等の各成分は、それぞれ、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0016】
また、本明細書において、本発明の乳液状皮膚化粧料に含まれる各成分(例えば、成分(A)、成分(B)、成分(C)、成分(D)、成分(E)、成分(F)、及び他の成分)の含有量は、それぞれ、乳液状皮膚化粧料中の合計の含有量が100質量%以下となるように、記載の範囲内から適宜選択することができる。また、成分(A)中の各油剤の含有量についても同様である。
【0017】
[成分(A):植物性油脂を含む油剤]
成分(A)は、植物性油脂を含む油剤である。本発明の乳液状皮膚化粧料は、油剤として植物性油脂を配合することにより、塗布時の肌へのなじみやすさに優れる。植物性油脂としては、例えば、マカデミアナッツ油、ユーカリ油、ヤシ油、アボカド油、サフラワー油、オリーブ油、パーム油、パーム核油、ククイナッツ油、シア脂(シアバター)、カカオバター、アーモンド油、ヒマワリ油、ローズヒップ油、オリーブスクワラン、カメリアオイル、キウイフルーツシード油、ツバキ油、杏仁油、ゴマ油、大豆油、ホホバ油、ヒマシ油、ヘーゼルナッツ油、メドホーム油、ハッカ油、カロットオイル、ラベンダー油、シュガースクワラン、ダマスクバラ花ロウ、センチフォリアバラ花ロウ、ソケイ花ワックス、これらの水素添加物(例えば、水素添加ヒマシ油、水素添加ホホバ油、水素添加パーム油、水素添加アボカド油、水素添加大豆油等)等が挙げられる。
【0018】
上記植物性油脂としては、中でも、塗布時の肌へのなじみ性を高め、保湿効果を向上させる観点から、25℃で固体又はペースト状の植物性油脂であることが好ましい。即ち、成分(A)は、25℃で固体又はペースト状の植物性油脂を含むことが好ましい。上記25℃で固体又はペースト状の植物性油脂としては、例えば、シア脂、ダマスクバラ花ロウ、センチフォリアバラ花ロウ、ソケイ花ワックス等が挙げられる。
【0019】
植物性油脂の市販品としては、例えば、商品名「クロピュア マカダミア」(マカデミアナッツ油、クローダジャパン(株)製)、商品名「スーパーMCオイル」(マカデミアナッツ油、日興リカ(株)製)、商品名「NIKKOL マカデミアンナッツ油」(マカデミアナッツ油、日光ケミカルズ(株)製)、商品名「精製マカデミア油」(マカデミアナッツ油、日油(株)製)、商品名「クロピュア SB」、商品名「クロピュア リキッド ベジラン」(以上、シア脂、クローダジャパン(株)製)、商品名「シアバター RF」(シア脂、高級アルコール工業(株)製)、商品名「エコオイル RS」(ホホバ油、高級アルコール工業(株)製)、商品名「クロピュア ホホバ」(ホホバ油、クローダジャパン(株)製)、商品名「NIKKOL ホホバワックス」(水素添加ホホバ油、日光ケミカルズ(株)製)、商品名「NIKKOL Trifat P−52」(水素添加パーム油、日光ケミカルズ(株)製)、商品名「ノムコート PHS」(水素添加パーム油、日清オイリオグループ(株)製)等が挙げられる。
【0020】
本発明の乳液状皮膚化粧料中の植物性油脂の含有量は、特に限定されないが、成分(A)100質量%に対して、20.0〜50.0質量%が好ましく、より好ましくは25.0〜40.0質量%である。上記含有量が20.0質量%以上であると、塗布時の肌へのなじみやすさにより優れる。上記含有量が50.0質量%以下であると、乳化安定性がより向上する。上記植物性油脂の含有量は、本発明の乳液状皮膚化粧料中の全ての植物性油脂の含有量の合計である。
【0021】
また、本発明の乳液状皮膚化粧料中の上記25℃で固体又はペースト状の植物性油脂の含有量は、特に限定されないが、本発明の乳液状皮膚化粧料100質量%に対して、0.05〜5.0質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜4.0質量%である。上記含有量が0.05質量%以上であると、水のような使用感とは異なり乳液としての使用感により優れ、また保湿感により優れる。上記含有量が5.0質量%以下であると、べたつきにくい。上記25℃で固体又はペースト状の植物性油脂の含有量は、本発明の乳液状皮膚化粧料中の全ての25℃で固体又はペースト状の植物性油脂の含有量の合計である。
【0022】
成分(A)は、植物性油脂以外の油剤(その他の油剤)を含んでいてもよい。上記その他の油剤としては、例えば、エステル油、シリコーン油、炭化水素油、ロウ、高級脂肪酸等が挙げられる。
【0023】
上記エステル油としては、例えば、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸セチル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸プロピレングリコール、2−エチルヘキサン酸セチル、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、イソノナン酸イソノニル、アジピン酸ジイソプロピル、テトラオクタン酸ペンタエリスリチル、テトライソステアリン酸ペンタエリトリット、リンゴ酸ジイソステアリル、トリエチルヘキサン酸エリスリチル、ヒドロキシステアリン酸2−エチルヘキシル、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、テトラ(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチル、ヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、(エチルヘキサン酸/ステアリン酸/アジピン酸)グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸)グリセリル、ヘキサ(ベヘン酸/安息香酸/エチルヘキサン酸)ジペンタエリスリチル等が挙げられる。
【0024】
上記シリコーン油としては、特に限定されないが、例えば、メチルポリシロキサン、高重合メチルポリシロキサン等のジメチルシリコーン油;メチルフェニルポリシロキサン等のメチルフェニルシリコーン油;メチルシクロポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状シリコーン油;アミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体等のアミノ変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、脂肪酸変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、脂肪族アルコール変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、アルキル変性シリコーン等の変性シリコーン;メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチコノール等が挙げられる。
【0025】
上記炭化水素油としては、例えば、α−オレフィンオリゴマー、ワセリン、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、スクワラン、合成スクワラン、植物性スクワラン、流動イソパラフィン、流動パラフィン等が挙げられる。
【0026】
上記ロウとしては、例えば、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、ミツロウ、コメヌカロウ、セラックロウ、鯨ロウ、ラノリン、ヒマワリ種子ロウ等が挙げられる。
【0027】
上記高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸等が挙げられる。
【0028】
成分(A)は、上記その他の油剤として、炭化水素油を含むことが好ましい。即ち、成分(A)は、植物性油脂及び炭化水素油を含むことが好ましい。成分(A)が炭化水素油を含むと、炭化水素油は親油性が高いため水となじみやすい植物性油脂を乳化粒子中に引き込むことによるものと推測され、乳液の安定性がより向上し、乳化粒子の粒径が細かく且つより均一となりやすい。
【0029】
本発明の乳液状皮膚化粧料中の炭化水素油の含有量は、特に限定されないが、本発明の乳液状皮膚化粧料100質量%に対して、3.0〜10.0質量%が好ましく、より好ましくは4.0〜8.0質量%である。上記含有量が3.0質量%以上であると、乳液の安定性がより一層向上し、乳化粒子の粒径が細かく且つより一層均一となりやすい。上記含有量が10.0質量%以下であると、べたつきにくい。上記炭化水素油の含有量は、本発明の乳液状皮膚化粧料中の全ての炭化水素油の含有量の合計である。
【0030】
本発明の乳液状皮膚化粧料中の成分(A)の含有量は、特に限定されないが、本発明の乳液状皮膚化粧料100質量%に対して、5.0〜20.0質量%が好ましく、より好ましくは5.5〜10.0質量%である。上記含有量が5.0質量%以上であると、保湿感により優れる。上記含有量が20.0質量%以下であると、べたつきにくい。また、上記含有量が上記範囲内であると、乳液の安定性がより一層向上し、乳化粒子の粒径が細かく且つより一層均一となりやすい。上記成分(A)の含有量は、本発明の乳液状皮膚化粧料中の全ての成分(A)の含有量の合計である。
【0031】
[成分(B):高級アルコール]
本発明の乳液状皮膚化粧料は成分(B)である高級アルコールを含む。本発明の乳液状皮膚化粧料は、成分(C)及び成分(D)とともに配合することにより、乳化粒子をより安定化させ、乳化粒子の粒径が均一且つ細かい状態とすることができる。成分(B)としては、例えば、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ミリスチルアルコール、2−オクチルドデカノール、オレイルアルコール等が挙げられる。成分(B)としては、中でも、炭素数が12〜22(好ましくは14〜22)のアルコールが好ましい。
【0032】
本発明の乳液状皮膚化粧料中の成分(B)の含有量は、特に限定されないが、本発明の乳液状皮膚化粧料100質量%に対して、0.3〜1.0質量%が好ましく、より好ましくは0.4〜0.9質量%である。上記含有量が0.3質量%以上であると、乳液の、乳化粒子の粒径が細かく且つ均一である状態の安定性がより一層向上する。上記含有量が1.0質量%以下であると、塗布時の滑らかさが向上する。
【0033】
[成分(C):モノステアリン酸ソルビタン]
本発明の乳液状皮膚化粧料は成分(C)であるモノステアリン酸ソルビタンを含む。本発明の乳液状皮膚化粧料中の成分(C)の含有量は、特に限定されないが、本発明の乳液状皮膚化粧料100質量%に対して、0.2〜1.5質量%が好ましく、より好ましくは0.3〜1.2質量%である。上記含有量が0.2質量%以上であると、乳化安定性がより向上する。上記含有量が1.5質量%以下であると、乳化粒子が細かくなりすぎるのを抑制し、塗布時のコク感の低下を防ぐことができる。
【0034】
[成分(D):エチレンオキシドの平均付加モル数が20〜30であるモノステアリン酸ポリエチレングリコール]
本発明の乳液状皮膚化粧料は成分(D)であるエチレンオキシドの平均付加モル数が20〜30であるモノステアリン酸ポリエチレングリコールを含む。本発明の乳液状皮膚化粧料中の成分(D)の含有量は、特に限定されないが、本発明の乳液状皮膚化粧料100質量%に対して、0.5〜2.5質量%が好ましく、より好ましくは0.6〜2.2質量%である。上記含有量が0.5質量%以上であると、乳化安定性がより向上する。上記含有量が2.5質量%以下であると、乳化粒子が細かくなりすぎるのを抑制し、塗布時のコク感の低下を防ぐことができる。
【0035】
成分(D)の市販品としては、例えば、商品名「NIKKOL MYS−25V」(日本サーファクタント工業(株)製)等が挙げられる。
【0036】
本発明の乳液状皮膚化粧料において、成分(C)の含有量に対する成分(D)の含有量の質量割合[成分(D)/成分(C)]は、1.8〜2.8である。本発明の乳液状皮膚化粧料は、界面活性剤として成分(C)及び成分(D)を用い、且つこれらの質量割合を上記の極めて狭い特定の範囲内とすることで、植物性油脂を含有しながら、乳化粒子の粒径が均一且つ細かい乳液状皮膚化粧料とすることを可能としている。後述の実施例に示すように、上記質量割合が上記範囲外であると、乳化粒子の粒径が不均一であるか、あるいは均一であっても粒径が大きいものとなる。これは、成分(C)及び成分(D)の質量割合がわずかに変動すると成分(C)と成分(D)の混合物のHLB値が大きく変動することにより、植物性油脂の分散状態に大きく影響するためであると推測される。
【0037】
[成分(E):アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体]
本発明の乳液状皮膚化粧料は成分(E)であるアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体を含む。本発明の乳液状皮膚化粧料は、成分(E)を配合することにより、乳液中の水相を増粘させつつ、成分(E)におけるアルキル部位が乳化粒子に入り込み、粒径が均一且つ細かい状態で乳化粒子を安定させる。
【0038】
成分(E)の市販品としては、例えば、商品名「PEMULEN TR−1」、商品名「PEMULEN TR−2」、商品名「カーボポール1342」、商品名「カーボポール1382」、商品名「ETD2020」(以上、LUBRIZOL社製)等が挙げられる。
【0039】
本発明の乳液状皮膚化粧料中の成分(E)の含有量は、特に限定されないが、本発明の乳液状皮膚化粧料100質量%に対して、0.08〜0.2質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜0.18質量%である。上記含有量が0.08質量%以上であると、乳液の、乳化粒子の粒径が細かく且つ均一である状態の安定性がより一層向上する。また、乳液状皮膚化粧料を適度な粘度とすることができ、塗布時に手から垂れ落ちにくくなる。上記含有量が0.2質量%以下であると、粘度が高くなりすぎず、ポンプディスペンサー容器を用いた場合に容易に吐出することができる。
【0040】
[成分(F):水]
本発明の乳液状皮膚化粧料は成分(F)である水を含む。上記水は、特に限定されないが、精製水が好ましい。本発明の乳液状皮膚化粧料中の、水の含有量は、特に限定されないが、本発明の乳液状皮膚化粧料100質量%に対して、60.0〜95.0質量%が好ましく、より好ましくは70.0〜90.0質量%、さらに好ましくは75.0〜85.0質量%である。
【0041】
[その他の成分]
本発明の乳液状皮膚化粧料は、上記成分(A)〜(F)以外の成分(その他の成分)を含んでいてもよい。上記その他の成分しては、特に限定されず、例えば、化粧品や医薬部外品に通常用いられる成分等が挙げられる。具体的には、例えば、エタノール等の低級アルコール;多価アルコール;カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の増粘剤;グリチルリチン酸及びその塩等の抗炎症剤;メントール等の清涼剤;リン酸及びその塩類、クエン酸及びその塩類、乳酸及びその塩類、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン等のpH調整剤;香料;紫外線吸収剤;酸化防止剤;金属イオン封鎖剤;被膜形成性高分子化合物;粉体;色素;顔料;ビタミン類;アミノ酸類;収斂剤;美白剤;動植物抽出物;酸;アルカリ等が挙げられる。なお、上記その他の成分からは、上記成分(A)〜(F)に含まれるものは除かれるものとする。
【0042】
上記多価アルコールとしては、特に限定されないが、例えば、グリコール、グリセリン類、糖アルコール等が挙げられる。上記グリコールとしては、特に限定されないが、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−デカンジオール、ポリエチレングリコール等が挙げられる。上記グリセリン類としては、特に限定されないが、例えば、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等が挙げられる。上記糖アルコールとしては、特に限定されないが、例えば、ソルビトール、マルチトール、トレハロース等が挙げられる。
【0043】
本発明の乳液状皮膚化粧料は、乳液状である観点から、23℃における粘度が100〜50000mPa・sであることが好ましい。なお、上記粘度(mPa・s)は、B型粘度計により、温度23℃、測定条件:ローターNo.4、3〜60rpmの条件下にて測定される。上記粘度(mPa・s)は、例えば、商品名「VISCOMETER」(東機産業(株)製)を用いて測定することができる。
【0044】
本発明の乳液状皮膚化粧料における乳化粒子の粒径は、0.1〜10.0μmが好ましく、より好ましくは0.1〜5.0μmである。本発明の乳液状皮膚化粧料によれば、植物性油脂を含有しながら、乳化粒子の粒径が均一且つ細かい状態とすることができるため、乳化粒子の粒径を上記範囲内とすることが可能である。なお、上記乳化粒子の粒径は、光学顕微鏡観察により、均一な乳化粒子のうちの1以上の粒子の粒径を測定して得られる。
【0045】
乳化粒子の粒径を均一且つ細かい状態でより安定化させる観点から、本発明の乳液状皮膚化粧料中の全界面活性剤100質量%に対する、成分(C)の含有量と成分(D)の含有量の合計は、90.0質量%以上(例えば90.0〜100質量%)であることが好ましく、より好ましくは95.0質量%以上、さらに好ましくは98.0質量%以上、特に好ましくは99.9質量%以上、最も好ましくは100質量%である。即ち、本発明の乳液状皮膚化粧料は、成分(C)及び成分(D)以外の界面活性剤(「その他の界面活性剤」と称する場合がある)を実質的に含有しないことが好ましい。
【0046】
上記その他の界面活性剤としては、成分(C)及び成分(D)を除く公知乃至慣用のアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられる。上記アニオン界面活性剤としては、高級脂肪酸石鹸、アルキル硫酸エステル塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルキルエーテルリン酸エステル、アルキルエーテルカルボン酸塩、アシルメチルタウリン塩、N−アシル−N−メチル−β−アラニン塩、N−アシルグリシン塩、N−アシルグルタミン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルカルボン酸塩、アルキルフェニルエーテルスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸及びその塩、N−アシルサルコシン及びその塩、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド硫酸塩等が挙げられる。上記カチオン界面活性剤としては、アルキルアミン塩、脂肪酸アミドアミン塩、エステル含有3級アミン塩等のアミン塩;モノアルキル型4級アンモニウム塩、ジアルキル型4級アンモニウム塩、トリアルキル型4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム型4級アンモニウム塩等のアルキル4級アンモニウム塩;アルキルピリジニウム塩等の環式4級アンモニウム塩;塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。上記ノニオン界面活性剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、及びこれらのアルキレンオキシド付加物、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルフェノール、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルホルムアルデヒド縮合物、ポリオキシエチレンステロール及びその誘導体、ポリオキシエチレンラノリン及びその誘導体、ポリオキシエチレンミツロウ誘導体、シュガーエステル類、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンヒマシ油等が挙げられる。上記両性界面活性剤としては、アルキルグリシン塩、カルボキシメチルグリシン塩、N−アシルアミノエチル−N−2−ヒドロキシエチルグリシン塩等のグリシン型両性界面活性剤;アルキルアミノプロピオン酸塩、アルキルイミノジプロピオン酸塩等のアミノプロピオン酸型両性界面活性剤、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤;アルキルヒドロキシスルホベタイン等のスルホベタイン型両性界面活性剤等が挙げられる。
【0047】
本発明の乳液状皮膚化粧料は、特に限定されず、公知乃至慣用の方法により製造することができる。例えば、上記各成分を混合し、ホモミキサーで攪拌し、各成分を均一化する方法等が挙げられる。
【0048】
本発明の乳液状皮膚化粧料は、例えば、化粧品、医薬部外品、医薬品、雑貨等として用いられる。具体的には、フェイスケアミルク(保湿用フェイスケアミルク等)、ボディミルク等(保湿用ボディミルク等)に好ましく用いられる。
【0049】
本発明の乳液状皮膚化粧料を適用する部位としては、特に限定されず、例えば、顔(額、目元、目じり、頬、口元等)、身体(腕、肘、手の甲、指先、足、膝、かかと、首、脇、背中等)等が挙げられる。中でも、特に好ましくは身体である。本発明の乳液状皮膚化粧料は、身体用の乳液状皮膚化粧料(特に、ボディミルク)であることが好ましい。
【0050】
本発明の乳液状皮膚化粧料は、水[成分(F)]を含み、保湿感を付与するための油剤として植物性油脂を含む油剤[成分(A)]を用いることにより、保湿感に加えて肌へのなじみやすさに優れる。しかし、植物性油脂を配合した乳液状皮膚化粧料を調製しようとした場合、他の油剤を用いた場合に比べて乳化粒子の安定性が極端に低く、乳化しなかったり、乳化しても乳化粒子の粒径が不均一になったり、また均一であっても乳化粒子の粒径が大きかったりするという問題があった。これに対し、本発明の乳液状皮膚化粧料は、乳化粒子の膜を形成するための界面活性剤として、数ある界面活性剤の中でも、モノステアリン酸ソルビタン[成分(C)]及びエチレンオキシドの平均モル付加数が20〜30であるモノステアリン酸ポリエチレングリコール[成分(D)]の特定の二種を用い、さらにこれらの質量割合[成分(D)/成分(C)]を1.8〜2.8という極めて狭い範囲内とすることによって、安定的に乳化粒子の粒径が均一且つ細かい状態とすることができる。さらに、高級アルコール[成分(B)]及びアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体[成分(E)]により、乳液の、乳化粒子の粒径が細かく且つ均一である状態をさらに安定化させている。
【0051】
本発明の乳液状皮膚化粧料は、乳化粒子の粒径が均一且つ細かく、またこの状態を維持しつつ適度に粘度の調整が容易である観点から、ポンプディスペンサー容器に充填して用いた場合に容易に吐出することができる。このため、本発明の乳液状皮膚化粧料をポンプディスペンサー容器に充填することで、ポンプディスペンサー容器と、該容器に充填された本発明の乳液状皮膚化粧料とから構成される乳液状皮膚化粧料製品とすることができる。
【実施例】
【0052】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。なお、表に記載の配合量は、各成分の配合量(すなわち、各原料中の有効成分の配合量)であり、特記しない限り「質量%」で表す。また、表中の配合量における「−」は、その成分を配合していないことを示す。
【0053】
実施例1〜3、比較例1〜8
表に記した各成分(成分(A)〜(F)及びその他の成分)を用い、実施例及び比較例の各乳液状皮膚化粧料を常法により調製した。
【0054】
表に記載の各成分の詳細は、以下の通りである。
【0055】
<成分(A)>
ワセリン:商品名「WHITE PROTOPET 1S」、(Sonneborn Inc社製)
流動パラフィン:商品名「Carnation」(Sonneborn Inc社製)
マカデミアナッツ油:商品名「マカデミアナッツ油」(サミット製油(株)製)
シア脂:商品名「Star Shea Butter refined」(IMCD Group B.V.社製)
<成分(B)>
ステアリルアルコール:商品名「カルコール8688」、(花王(株)製)
<成分(C)>
モノステアリン酸ソルビタン:商品名「NIKKOL SS−10V」、(日本サーファクタント工業(株)製)
<成分(D)>
モノステアリン酸ポリエチレングリコール(25E.O.):商品名「NIKKOL MYS−25V」、(エチレンオキシドの平均付加モル数:25、日本サーファクタント工業(株)製)
<成分(E)>
アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体:商品名「カーボポール1382」、(LUBRIZOL社製)
<その他の成分>
親油型モノステアリン酸グリセリル:商品名「CUTINA GMS−V」、(BASF社製)
モノステアリン酸ポリエチレングリコール(40E.O.):商品名「NIKKOL MYS−40V」、(エチレンオキシドの平均付加モル数:40、日本サーファクタント工業(株)製)
モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン:商品名「レオドールTW−S120V」、(花王(株)製)
濃グリセリン:商品名「化粧用濃グリセリン」(阪本薬品工業(株)製)
1,3−ブチレングリコール:商品名「1,3−ブチレングリコール」、((株)ダイセル製)
トリメチルグリシン:商品名「アミノコート」、(旭化成ケミカルズ(株)製)
パラオキシ安息香酸エステル:商品名「メッキンス−M」、(上野製薬(株)製)
エデト酸二ナトリウム:商品名「ディゾルビンNA2−S」、(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製)
【0056】
(評価)
実施例及び比較例で得られた各乳液状皮膚化粧料について以下の通り評価した。評価結果を表に記載した。
【0057】
(1)乳化状態
実施例及び比較例で得られた各乳液状皮膚化粧料について、目視でその状態を確認し、乳化状態を下記の判定基準で判定した。
[乳化状態の判定基準]
○(良好):外観が滑らかであり、且つ乳化状態に優れる
×(不良):乳化状態が不安定
【0058】
(2)乳化粒子
実施例及び比較例で得られた各乳液状皮膚化粧料について、光学顕微鏡(400倍)を用いて、乳化粒子の均一性及び形状を確認し、均一である場合はそのうちの1つについて粒径を測定した。そして、乳化粒子について下記の判定基準で判定した。
[乳化粒子の判定基準]
◎(優れる):均一であり、且つ粒径が5μmの球形
○(良好):均一であり、且つ粒径が5μmを超え10μm以下の球形
×(不良):不均一である、又は、均一であるが粒径が10μmを超える
【0059】
【表1】
【0060】
本発明の乳液状皮膚化粧料(実施例)は、植物性油脂を含有していながら、乳化粒子の粒径が均一且つ細かいと評価された。このような乳液状皮膚化粧料は、乳液の審美性に優れ、塗布する際の滑らかさ、のび、皮膚へのなじみやすさ等の塗布時の使用感に優れる傾向がある。これに対し、質量割合[成分(D)/成分(C)]が1.8〜2.8の範囲外である場合(比較例1〜4)や、界面活性剤として成分(C)及び成分(D)を用いない場合(比較例5〜8)は、乳化状態が悪く、乳化粒子が不均一であるか、又は均一であってもその粒径が大きいと評価された。