特許第6829699号(P6829699)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6829699耐気孔性及び電着塗装性に優れた極低シリコン溶接用ワイヤ及びこれによって得られる溶着金属
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6829699
(24)【登録日】2021年1月26日
(45)【発行日】2021年2月10日
(54)【発明の名称】耐気孔性及び電着塗装性に優れた極低シリコン溶接用ワイヤ及びこれによって得られる溶着金属
(51)【国際特許分類】
   B23K 35/30 20060101AFI20210128BHJP
   B23K 35/368 20060101ALI20210128BHJP
【FI】
   B23K35/30 320A
   B23K35/368 B
【請求項の数】10
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-28765(P2018-28765)
(22)【出願日】2018年2月21日
(65)【公開番号】特開2019-81195(P2019-81195A)
(43)【公開日】2019年5月30日
【審査請求日】2018年2月21日
【審判番号】不服2019-14586(P2019-14586/J1)
【審判請求日】2019年11月1日
(31)【優先権主張番号】10-2017-0141240
(32)【優先日】2017年10月27日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】504404571
【氏名又は名称】ヒュンダイ ウェルディング カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102532
【弁理士】
【氏名又は名称】好宮 幹夫
(74)【代理人】
【識別番号】100194881
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 俊弘
(72)【発明者】
【氏名】セオ ジ ソク
(72)【発明者】
【氏名】キム ジェイ ジョン
(72)【発明者】
【氏名】パク サン ミン
(72)【発明者】
【氏名】キム ヨン トク
(72)【発明者】
【氏名】キム ソク ファン
【合議体】
【審判長】 池渕 立
【審判官】 井上 猛
【審判官】 平塚 政宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開平8−103884(JP,A)
【文献】 特開平7−232294(JP,A)
【文献】 特開2005−169414(JP,A)
【文献】 特開2017−164760(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 35/00-35/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量%で、C:0.001〜0.30%、Si:0.001〜0.1%、Mn:0.50〜3.00%、P:0.030%以下、S:0.030%以下を含み、Ni:0.001〜0.900%、Cr:0.001〜0.100%、Mo:0.001〜0.500%、及びCu:0.50%以下のうち選択された1種以上をさらに含み、残部Fe及び不可避不純物からなる、耐気孔性及び電着塗装性に優れた極低シリコン溶接用ワイヤ。
【請求項2】
前記溶接用ワイヤは、Si/Mnの含有量比が0.015以下を満たす、請求項1に記載の耐気孔性及び電着塗装性に優れた極低シリコン溶接用ワイヤ。
【請求項3】
前記溶接用ワイヤは、Ti:0.50%以下、Al:0.50%以下、Nb:0.50%以下、V:0.10%以下、及びZr:0.10%以下のうち選択された1種以上をさらに含む、請求項1に記載の耐気孔性及び電着塗装性に優れた極低シリコン溶接用ワイヤ。
【請求項4】
前記溶接用ワイヤは、B:0.01%以下またはREM:0.50%以下をさらに含む、請求項1に記載の耐気孔性及び電着塗装性に優れた極低シリコン溶接用ワイヤ。
【請求項5】
前記溶接用ワイヤは、ソリッドワイヤまたはフラックス入りワイヤである、請求項1に記載の耐気孔性及び電着塗装性に優れた極低シリコン溶接用ワイヤ。
【請求項6】
溶接母材を、重量%で、C:0.001〜0.30%、Si:0.001〜0.1%、Mn:0.50〜3.00%、P:0.030%以下、S:0.030%以下を含み、Ni:0.001〜0.900%、Cr:0.001〜0.100%、Mo:0.001〜0.500%、及びCu:0.50%以下のうち選択された1種以上をさらに含み、残部Fe及び不可避不純物からなる溶接用ワイヤを用いて溶接することにより得られる溶着金属であって、
前記溶着金属は、その表面にスラグが付着されており、
前記溶着金属の全体表面積に対して、前記スラグのうちシリコン系酸化物スラグが占める面積分率が5%以下である、電着塗装性に優れた溶着金属。
【請求項7】
前記溶接用ワイヤは、Si/Mnの含有量比が0.015以下を満たす、請求項に記載の電着塗装性に優れた溶着金属。
【請求項8】
前記溶接用ワイヤは、Ti:0.50%以下、Al:0.50%以下、Nb:0.50%以下、V:0.10%以下、及びZr:0.10%以下のうち選択された1種以上をさらに含む、請求項に記載の電着塗装性に優れた溶着金属。
【請求項9】
前記溶接用ワイヤは、B:0.01%以下またはREM:0.50%以下をさらに含む、請求項に記載の電着塗装性に優れた溶着金属。
【請求項10】
前記溶接用ワイヤは、ソリッドワイヤまたはフラックス入りワイヤである、請求項に記載の電着塗装性に優れた溶着金属。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保護ガスを用いるガスメタルアーク溶接、フラックス入りアーク溶接に用いる溶接用ワイヤに関するものであって、より詳細には、溶接後の溶接部の耐気孔性及びビード表面の電着塗装性を向上させることができる極低シリコン溶接用ワイヤ及びこれによって得られる溶着金属に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、塗装は、大きくスプレー塗装や静電(粉体)塗装及び電着塗装などに分類される。
【0003】
上記電着塗装は、他の塗装方法に比べて品質に優れ、塗料流出率が低い。また、スプレー塗装とは異なり、電気量が一定の時間に達した場合、それ以上の厚さが形成されないため、均一な厚さ及び平滑性を得ることができる。なお、消耗量が少なく、コストを削減することができる。
【0004】
しかし最近、溶接後の溶接部の表面に発生するスラグが原因で溶接部の電着塗装性が低下して電着塗装が必要な各種の部品を必要とする全世界のエレクトロニクス企業や自動車企業で腐食問題が浮上している。
【0005】
また、耐久性の向上のために、最近の自動車部品における亜鉛めっき鋼板の適用が増えるにつれて、溶接部の耐気孔性を確保することが重要な課題となっている。これは、亜鉛めっき層の気化温度が低く、溶接時の溶接部内に気孔が発生しやすいためである。
【0006】
そのため、耐気孔性及び電着塗装性に優れたビードの外観を有する溶接材の開発が台頭しているのが実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、溶接部の耐気孔性及び電着塗装性を向上させることができる極低シリコン溶接材を提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明は、上記極低シリコン溶接材を用いて得られる溶着金属を提供することを目的とする。
【0009】
なお、本発明で解決しようとする技術的課題は、以上で言及した技術的課題に限定されず、言及していないもう一つの技術的課題は、下記の記載により、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者により明確に理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明は、重量%で、C:0.001〜0.30%、Si:0.15%以下、Mn:0.50〜3.00%、P:0.030%以下、S:0.030%以下、残部Fe及び不可避不純物を含む、耐気孔性及び電着塗装性に優れた溶接用ワイヤに関するものである。
【0011】
本発明において、Si/Mnの含有量比が0.015以下の範囲を満たすことが好ましい。
【0012】
上記溶接用ワイヤは、Siを0.001〜0.1%の範囲で含有することが好ましい。
【0013】
上記溶接用ワイヤは、Ni:0.001〜0.900%、Cr:0.001〜0.100%、Mo:0.001〜0.500%、及びCu:0.50%以下のうち選択された1種以上をさらに含むことができる。
【0014】
上記溶接用ワイヤは、Ti:0.50%以下、Al:0.50%以下、Nb:0.50%以下、V:0.10%以下、及びZr:0.10%以下のうち選択された1種以上をさらに含むことができる。
【0015】
上記溶接用ワイヤは、B:0.01%以下またはREM:0.50%以下をさらに含むことができる。
【0016】
上記溶接用ワイヤは、ソリッドワイヤまたはフラックス入りワイヤであることができる。
【0017】
また、本発明は、溶接用ワイヤを用いて溶接母材を溶接することにより得られる溶着金属であって、上記溶着金属は、その表面にスラグが付着されており、上記溶着金属の全体表面積に対して、前記スラグのうちシリコン系酸化物スラグが占める面積分率が5%以下であることを特徴とする電着塗装性に優れた溶着金属に関するものである。
【0018】
上記溶接用ワイヤは、重量%で、C:0.001〜0.30%、Si:0.15%以下、Mn:0.50〜3.00%、P:0.030%以下、S:0.030%以下、残部Fe及び不可避不純物を含むことができる。
【0019】
上記溶接用ワイヤは、Si/Mnの含有量比が0.015以下の範囲を満たすことができる。
【0020】
上記溶接用ワイヤは、Siを0.001〜0.1%の範囲で含有することができる。
【0021】
上記溶接用ワイヤは、Ni:0.001〜0.900%、Cr:0.001〜0.100%、Mo:0.001〜0.500%、及びCu:0.50%以下のうち選択された1種以上をさらに含むことができる。
【0022】
上記溶接用ワイヤは、Ti:0.50%以下、Al:0.50%以下、Nb:0.50%以下、V:0.10%以下、及びZr:0.10%以下のうち選択された1種以上をさらに含むことができる。
【0023】
上記溶接用ワイヤは、B:0.01%以下またはREM:0.50%以下をさらに含むことができる。
【0024】
上記溶接用ワイヤは、ソリッドワイヤまたはフラックス入りワイヤであることができる。
【発明の効果】
【0025】
上述の構成を有する本発明には、極低シリコン溶接材を用いて溶接ビードの表面に通電が可能なマンガン系スラグを形成することにより、電着塗装時の塗装性を向上させるという効果がある。
【0026】
また、シリコン系スラグに比べて接合強度が比較的高いマンガン系スラグを形成して電着塗装後の塗装付着性が向上するという利点がある。
【0027】
なお、特定の保護ガスにのみ適用されるものではなく、Ar+5%COから100%COまでの様々な保護ガス条件で用いることができるという長所がある。
【0028】
さらに、亜鉛めっき鋼板の溶接時において溶接部に優れた耐気孔性を有するという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】各種酸化物の熱膨張係数を示す図である。
図2】各種酸化物の電気伝導度を示す図である。
図3】各材料の電気伝導度の範囲を示す図である。
図4】本発明の一実施例によるソリッドワイヤの溶接時に形成されるビードの外観写真などを示す図である。
図5】本発明の一実施例によるフラックス入りワイヤ(メタルコアードワイヤ)の溶接時に形成されるビードの外観などを示す図である。
図6】従来の溶接材と本発明の一実施例による極低シリコン溶接材の溶接時に形成される溶着金属の電着塗装結果を示す図である。
図7図6の従来の一般溶接材と本発明の一実施例による極低シリコン溶接材を用いた溶接時に形成される溶着金属のスラグ成分を分析した結果を示す図である。
図8図7におけるEDS分析結果(I)を示す図である。
図9図7におけるEDS分析結果(II)を示す図である。
図10図7におけるEDS分析結果(III)を示す図である。
図11図7におけるEDS分析結果(IV)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明を説明する。
本発明者らは、極低シリコン溶接材を用いて溶接する場合、溶着金属に従来のガラス質のシリコン系スラグが発生することを減らすとともに、スラグ剥離が比較的難しく電着塗装時の通電が容易なマンガン系スラグをビード表面に形成することにより、耐気孔性及び電着塗装性を向上させることができる点を確認して本発明を提示する。
【0031】
具体的には、下記表1は、各種酸化物のピリングベッドワース比(PB ratio、Pilling−Bedworth ratio:酸化物の体積と酸化前の金属体積の比)を示しているが、PB ratio値が大きいほど、酸化後の酸化物に応力が多くかかり酸化物の付着性が減少することが一般的である。ところが、下記表1をみると、SiOの酸化物がMnO、FeOの酸化物に比べてPB ratioが比較的高いことが分かり、これによって、MnO、FeOの付着性がSiOに比べて比較的高いことが確認できる。
【0032】
【表1】
【0033】
一方、図1は各種酸化物の熱膨張係数を示す図である。図1に示すように、SiO酸化物の場合、FeO、MnOの酸化物とは異なり、熱膨張係数が非常に小さく、急激な温度変化が起こる溶接ビードの表面から剥離するおそれが大きいことが分かる。これに対し、MnOの場合、熱膨張係数がFeOと類似して、SiOに比べて剥離するおそれが比較的小さいことが分かる。
【0034】
また、図2は各種酸化物の温度による電気伝導度の変化を示すグラフであって、マンガン系スラグ(MnO)の場合は電気伝導度が10Ω−1−1の水準であることが分かる。これは、図3の電気伝導度の範囲を示すグラフから見ると伝導体の範囲に属する。
【0035】
上記のことを考えると、溶接時の溶着金属に付着されるスラグがシリコン系スラグであれば、溶着金属の付着性が悪くなるだけでなく、通電性が悪いため溶着金属の電着塗装性が悪くなることが分かる。
【0036】
これにより、溶接用ワイヤを用いて溶接を行う際に、溶着金属のスラグのうち、シリコン系酸化物の分率を積極的に減らす一方で、マンガン系スラグを積極的に形成することにより、溶着金属の電着塗装性が効果的に改善されることを確認した。
【0037】
このため、本発明は、溶接用ワイヤの成分元素のうちSiの含有量を0.15%以下に積極的に減少させることを特徴とする。Siの含有量が減少するほど亜鉛めっき鋼板の溶接時の耐気孔性も改善されることができる。このような発明の思想は、Siを0.4%以上含有している下記表2のような標準溶接材料とは明確に区別される。
【0038】
【表2】
【0039】
したがって、本発明の溶接用ワイヤは、重量%で、C:0.001〜0.30%、Si:0.15%以下、Mn:0.50〜3.00%、P:0.030%以下、S:0.030%以下、残部Fe及び不可避不純物を含んで組成される。
【0040】
以下、本発明の溶接用ワイヤの組成成分及びその含有量を制限する理由について説明する。以下に記載する%とは重量%を意味する。
【0041】
・炭素(C):0.001〜0.30%
炭素(C)は、鋼の硬度を増加させ、靭性及び延性を減少させる。一定の含有量までは強度を増加させるが、含有量が多くなるほど脆性が強くなる。大入熱溶接時に求められる強度を確保するために、炭素の含有量の下限値を0.001%とし、脆性を減少させるために、炭素(C)の上限値を0.30%に設定する必要がある。
【0042】
・シリコン(Si):0.15%以下
シリコン(Si、ケイ素)は、通常、炭素鋼溶接材のケイ素の含有量が0.4〜1.15%の範囲にあり、脱酸剤として用いられ、SiOまたはケイ酸介在物を形成する。また、鋼の硬度、弾性限界、引張強さを増加させる一方で、伸び率及び衝撃値は減少させる。なお、結晶粒の大きさを増大させることで可鍛性、展性を減少させる。
しかし、シリコン含有量が0.15%を超えると、シリコン系スラグの発生量が増加して、形成される優れた電着塗装性を有する溶着金属を製造することができなくなる。
そこで、電着塗装性及び耐気孔性を確保するために、より好ましくは、シリコン(Si)の含有量を0.10%以下に制御する。
さらに、溶接部の引張強さを確保することも考えると、シリコン(Si)の含有量は、0.001〜0.10%の範囲にあることがより好ましい。
【0043】
・マンガン(Mn):0.50〜3.00%
通常、炭素鋼のうちマンガン(Mn)は、AISI 1005鋼の0.35% max及びAISI 1085鋼の1.0% maxの範囲を有する。
Mnは、鋼中のSと結合してMnSを形成し、低融点化合物であるFeSの生成を防止することで高温割れの発生を阻止する。また、パーライトを微細化させ、フェライトの固溶強化を起こして降伏強度を増加させる。そのため、最小降伏強度を維持するために、マンガン(Mn)の含有量の下限値を0.50%に設定する必要がある。また、本発明においては、主な脱酸元素であるシリコン(Si)の含有量をワイヤ内で非常に低く維持するため、溶着金属内で脱酸剤の役割をするマンガン(Mn)の含有量が減少する傾向がある。これにより、本発明では、マンガン(Mn)の上限を3.00%に設定することが好ましい。
一方、本発明では、Si/Mnの含有量比が0.015以下の範囲を満たすように、上記MnとSiの含有量を制御することが好ましい。なぜなら、上記含有量比が0.015の範囲を超えると、ワイヤの場合、ビードの外観が低下し、且つシリコン系スラグが発生し始めて塗装後の耐食性が低下する可能性があるためである。
【0044】
・リン(P):0.030%以下
リン(P)は、FePの化合物を形成するが、鋼のうちでも非常に脆弱であり、偏析を起こすため、リン(P)の上限値を0.030%に制限する必要がある。
【0045】
・硫黄(S):0.030%以下
硫黄(S)は、通常、炭素鋼に最大0.05%まで存在する。赤熱状態では脆性が大きくなり、引張強さ、伸び率、衝撃値を減少させる。また、亜鉛めっき鋼板の溶接時に、溶接部の耐気孔性を低下させるため、硫黄(S)の上限値を0.030%に制限することが好ましい。
【0046】
本発明の溶接用ワイヤは、Ni:0.001〜0.900%、Cr:0.001〜0.100%、Mo:0.001〜0.500%、及びCu:0.50%以下のうち選択された1種以上をさらに含むことができる。
【0047】
・ニッケル(Ni):0.001〜0.900%
ニッケル(Ni)は、鋼の組織を微細化させ、オーステナイト及びフェライトによく固溶されるため、基地強化に使用される。また、オーステナイト安定化元素であるため、クロムと組み合わされてオーステナイト系ステンレス鋼、耐熱鋼などに用いられる。なお、鋼の低温靭性を強化させ、溶接性及び可鍛性を損なわない有用な成分元素である。
本発明では、溶着金属の強度を確保するために、ニッケル(Ni)の含有量の下限値を0.001%に制御することが好ましい。一方、ニッケル(Ni)は、オーステナイト安定化元素であることから、多量添加時にオーステナイトを生成して、高温割れが発生しやすい可能性があるため、ニッケル(Ni)の上限値を0.900%に制限することが好ましい。
【0048】
・クロム(Cr):0.001〜0.100%
クロム(Cr)は、溶着金属の強度及び硬度を増加させ、炭化物の形成を容易にする。また、耐食性、耐熱性、及び耐摩耗性を増加させる。
本発明では、適正強度を維持するために、クロム(Cr)の含有量の下限値を0.001%、上限値を0.100%に制限することが好ましい。
【0049】
・モリブデン(Mo):0.001〜0.500%
モリブデン(Mo)は、強度及び耐食性を増加させ、焼戻し脆性を防止する。溶着金属の強度を確保するために、モリブデン(Mo)の含有量の下限値を0.001%に設定することが好ましい。一方、モリブデン(Mo)の含有量が0.500%を超えると、溶着金属の強度及び硬化能がそれ以上増加しないため、モリブデン(Mo)の上限値は0.500%に制限することが好ましい。
【0050】
・銅(Cu):0.50%以下
銅(Cu)は、溶着金属の引張強さ及び弾性限度を増加させ、耐食性を増加させる。しかし、圧延時における亀裂の原因となるため、銅(Cu)の含有量の上限値を0.50%に制限することが好ましい。
【0051】
また、本発明の溶接用ワイヤは、Ti:0.50%以下、Al:0.50%以下、Nb:0.50%以下、V:0.10%以下、及びZr:0.10%以下のうち選択された1種以上をさらに含むことができる。
【0052】
・チタン(Ti):0.50%以下
チタン(Ti)は、腐食に対する抵抗が非常に大きく、溶接時の高電流でアーク安定剤の役割をする。これは、スラグ生成元素であるため、本発明では、Tiの含有量の上限値を0.50%以下に制限することが好ましい。
【0053】
・バナジウム(V):0.10%以下
バナジウム(V)は、炭化物形成能が大きく微粒炭化物を形成して、鋼の組織を微細化させ、焼戻し軟化抵抗性もモリブデン以上によい。バナジウム(V)も、高温強度を向上させることができるが、バナジウム(V)の含有量が0.10%を超えると、その添加による効果を期待することができないため、0.10%以下に制御することが好ましい。
【0054】
・ニオブ(Nb):0.50%以下
ニオブ(Nb)は、強力な結晶粒微細化元素として結晶粒粗大化温度を上昇させる。また、硬化能を低下させ、焼き戻し脆性を減少させる。本発明では、ニオブ(Nb)の含有量を0.5%以下に制限することが好ましい。
【0055】
・ジルコニウム(Zr):0.10%以下
ジルコニウム(Zr)は、窒素、硫黄、炭素、水素との親和力が高く、これら元素の固定によく用いられている。また、白色点の発生を防止することができると言われている。本発明では、ジルコニウム(Zr)の含有量を0.1%以下に制限することが好ましい。
【0056】
・アルミ(Al):0.50%以下
アルミ(Al)は、シリコン(Si)とともに鋼脱酸剤として有用であるが、溶着金属内の添加量が多いと鋼を脆弱にするため、本発明では、0.5%以下に制限する。
【0057】
また、本発明の溶接用ワイヤは、B:0.01%以下またはREM:0.50%以下をさらに含むことができる。
【0058】
・ボロン(B):0.01%以下
ボロン(B)は、微量添加(0.0005〜0.003%)で硬化能を著しく増加させる。ところが、過剰添加すると、FeBを形成して赤熱脆性を起こすため、ボロン(B)の最大値を0.01%に制限することが好ましい。
【0059】
・REM:0.50%以下
希土類金属の場合、Sc(スカンジウム)、Y(イットリウム)、La(ランタン)、Ce(セリウム)、Pr(プラセオジム)、Nd(ネオジム)、Pm(プロメチウム)、Sm(サマリウム)、Eu(ユウロピウム)、Gd(ガドリニウム)、Tb(テルビウム)、Dy(ジスプロシウム)、Ho(ホルミウム)、Er(エルビウム)、Tm(ツリウム)、Yb(イッテルビウム)、Lu(ルテチウム)がマグネシウム合金またはアルミ合金に添加されて引張強さを改善するか、または有害な不純物を除去するために用いる。鉱物の形で珍しいものであるため、特殊な目的で微量添加する場合は素材価格の上昇を避けることができない。
本発明では、希土類金属の場合、本発明の主目的であるシリコン系スラグ分率及び亜鉛めっき鋼板の耐気孔性に影響を与えないため、0.50%以下に制限する。
【0060】
その他の残りの成分は、Fe及び不可避不純物である。
【0061】
一方、上述した本発明のワイヤ組成成分は、ソリッドワイヤまたはフラックス入りワイヤ(メタルコアードワイヤ)に適用されることができる。また、本発明のワイヤは、SAWに使用されるワイヤとしても用いることが可能である。
【0062】
また、本発明では、上述した組成成分を有する溶接用ワイヤを用いて溶接母材を溶接する場合、溶着金属の全体表面積に対して、シリコン系酸化物スラグが占める面積分率が5%以下であることができる。すなわち、従来のシリコン系+マンガン系スラグではなく、マンガン系スラグを溶着金属に形成することにより、溶着金属の電着塗装性などを向上させることができる。
【実施例】
【0063】
以下、実施例を通じて本発明を詳細に説明する。
(実施例1)
下記表3のような組成成分を有するソリッドワイヤをそれぞれ用意した。次に、上記各ソリッドワイヤを用いて、150mmの440MPa級亜鉛めっき鋼板Lap−joint母材に、溶接速度80cpm、セッティング電流210A、セッティング電圧25Vの条件で溶接を行うことにより、それぞれ異なるワイヤを用いても同一の溶着量が得られるようにした。
【0064】
その後、溶着金属のシリコン系スラグ量、耐気孔性、引張強さ、溶接性(スパッタ)を評価して、これらを下記表4に示した。
上記シリコン系スラグ量は、Lap joint溶接試験片に対して同一の溶接条件で150mm溶接を行い、溶接部の全体面積に対してシリコン系スラグが占める面積分率を測定した値であって、上記面積分率が0%以上〜3%以下の場合をA、3%超過〜5%以下の場合をB、5%超過〜8%以下の場合をC、そして8%超過の場合をDとした。
耐気孔性の場合は、同一の溶接条件で150mm溶接を行い、溶接部にRT実施して、全体溶接部のうち気孔の分率を測定した値であって、0%以上〜0.5%未満の場合をA、0.5%以上〜1.0%未満の場合をB、1.0%以上〜2.0%未満の場合をC、そして2.0%以上の場合をDとした。
引張強さの場合は、AWS 5.18に規定されているとおり溶接試験片を製作して引張試験を行った値を用いており、540MPa以上の場合をA、510MPa以上〜540MPa未満の場合をB、480MPa以上〜510MPa未満の場合をC、そして480MPa未満の場合をDとした。
溶接性の場合は、溶接監視装置を用いて出力される溶接電流波形の出力電流偏差を用いており、セッティング電流200A、セッティング電圧20V、ガス80%Ar+20%COと同一にセッティングして出力値を測定した。この際、出力電流偏差が80未満の場合をA、80以上〜90未満の場合をB、90以上〜100未満の場合をC、そして100以上の場合をDとした。
【0065】
【表3】
−表3において、D*は、Ni、Cr、Mo、及びCuのうち1種以上、E*は、Ti、Al、Nb、V、及びZrのうち1種以上、そして残りの成分はFe+不可避不純物である。
【0066】
【表4】
【0067】
上記表3及び表4に示すように、ワイヤ組成成分が、本発明の範囲を満たす発明例1〜13は、すべて優れた耐気孔性、引張強さ、溶接性を有するとともに、溶着金属のシリコン系スラグ量が少なくても溶着金属の電着塗装性に優れていることが分かる。特に、ワイヤ内のSiの含有量が0.1%以下である本発明例1〜3及び発明例6〜13が、そうでない発明例4及び5に比べて、より優れた特性を有することが確認できる。
また、発明例8は、Niが含有されて、溶接部の衝撃靭性及び引張強さが向上し、送給性及びアーク安定性に優れるという特徴を示しており、発明例9は、Crが含有されて、ワイヤ及び溶接部の引張強さが少量増加することが分かる。
発明例10は、Moが添加されて、Crが添加された場合と比べて、ワイヤ及び溶接部の引張強さが少量増加しており、発明例11は、Tiが添加されて、溶接時のアーク安定性が向上するという特徴が現れた。併せて、発明例12は、Bが添加されて、溶接部の引張強さが向上することが分かる。
また、発明例13の場合、発明例8のNi及び発明例11のTiがともに添加されて、溶接時のアーク安定性及び送給性に優れ、溶着金属の衝撃靭性及び引張強さに優れている。
【0068】
これに対し、比較例1〜12は、Siの含有量がすべて0.15%を超えているため、Siの含有量が増加するほど、シリコン系スラグ量が増加する傾向が現れるとともに、亜鉛めっき鋼板の溶接時の耐気孔性も減少することが分かる。
具体的には、比較例5は、Niが含有されて、溶接部の衝撃靭性及び引張強さが向上し、送給性及びアーク安定性が向上したが、Siの含有量が0.83%であるため、溶接ビードの表面に多量のシリコン系スラグが発生しており、亜鉛めっき鋼板の溶接時のビードの表面に気孔が発生した。
比較例6は、Crが含有されて、ワイヤ及び溶接部の引張強さが少量増加したが、Siの含有量が0.65%であるため、溶接ビードの表面にシリコン系スラグが発生し、耐気孔性が低下した。
比較例7は、Vが添加されて、ワイヤ及び溶接部の引張強さが少量増加したが、Siの含有量が0.82%であるため、溶接ビードの表面にシリコン系スラグが多量発生し、耐気孔性が低下した。
比較例8は、Tiが添加されて、溶接時のアーク安定性が向上したが、Siの含有量が0.81%であるため、溶接ビードの表面にシリコン系スラグが多量発生し、耐気孔性が低下した。
比較例9は、Bが添加されて、溶接部の引張強さが向上したが、Siの含有量が0.81%であるため、溶接ビードの表面にシリコン系スラグが多量発生し、耐気孔性が低下した。
比較例10は、Siの含有量が0.16%であるため、Siの含有量が増加するにつれて、溶接ビードの表面にシリコン系スラグ量が少量増加した。
比較例11は、Siの含有量が0.20%であるため、図4に示すように、溶接ビードの表面に発生するシリコン系スラグの含有量が5.1%と増加し、耐気孔性が低下した。
比較例12も、Siの含有量が0.30%であるため、Siの含有量が増加するにつれて、溶接ビードの表面にシリコン系スラグ量が増加し、耐気孔性も減少した。
【0069】
一方、図4は本実施例のうち発明例1、発明例4、発明例6、及び比較例1〜3、比較例11の溶接ビードの外観を示す写真であって、かかる写真の右側にはシリコン系スラグ分率を測定して示した。
シリコン系スラグ分率の場合、長さ150mmの亜鉛めっき鋼板Lap−joint母材を用意し、溶接速度80cpm、セッティング電流210A、セッティング電圧25Vに設定して、異なるワイヤを適用しても同一の溶着量が得られるようにして実験を行った。そして、溶接後の溶接ビードを撮影して、溶着金属のみを抽出した後、画像解析プログラムを用いて全体の溶着金属のうちシリコン系スラグ分率を測定した。
図4に示すように、比較例からは、Siの含有量及びSi/Mnが増加するにつれて、これに比例してシリコン系スラグ分率も増加することが分かるが、発明例1、4、6の場合はシリコン系スラグがほとんど生成されていないことが確認できる。特に、発明例1の場合は、ビードの外観が非常に流麗であることが確認できる。
【0070】
(実施例2)
下記表5に示されたような組成成分を有するフラックス入りワイヤ(メタルコアードワイヤ)をそれぞれ用意した。次に、上記各フラックス入りワイヤを用いて、150mmの440MPa級亜鉛めっき鋼板Lap−joint母材に、溶接速度80cpm、セッティング電流210A、セッティング電圧25Vの条件で溶接を行うことにより、それぞれ異なるワイヤを用いても同一の溶着金属量が得られるようにした。
【0071】
その後、溶着金属のシリコン系スラグ量、耐気孔性、引張強さ、溶接性(スパッタ)を評価して、これらを下記表6に示した。その具体的な評価基準は実施例1と同一である。
【0072】
【表5】

−表5において、D*は、Ni、Cr、Mo、及びCuのうち1種以上、E*は、Ti、Al、Nb、V、及びZrのうち1種以上、そして残りの成分はFe+不可避不純物である。
【0073】
【表6】
【0074】
上記表5及び表6に示すように、本発明の組成成分範囲を満たすフラックス入りワイヤを用いた本発明例1〜9の場合は、シリコン系スラグ量がすべて減少し、Siの減少に応じて亜鉛めっき鋼板の溶接時の耐気孔性が改善されたことが分かる。
発明例4は、Niが含有されて、溶接部の衝撃靭性及び引張強さが向上し、送給性及びアーク安定性にも優れている。
発明例5は、Tiが添加されて、アーク安定性が向上しており、発明例6はBが添加されて、溶接部の引張強さが向上した。
【0075】
これに対し、比較例1〜3は、Siの含有量が0.30%以上であるため、Siの含有量が増加するほど、シリコン系スラグ量が増加する傾向が現れた。また、Siの含有量が増加するほど、亜鉛めっき鋼板の溶接時の耐気孔性が減少した。
比較例4の場合は、Niが含有されて、溶接部の衝撃靭性及び引張強さが向上したが、Siの含有量が0.55%であるため、溶接ビードの表面にシリコン系スラグが多量発生した。
比較例5の場合は、Tiが含有されて、溶接性が向上したが、Siの含有量が0.65%であるため、溶接ビードの表面にシリコン系スラグが多量発生した。
比較例6の場合は、Bが添加されて、溶接部の引張強さが向上したが、Siの含有量が0.70%であるため、溶接ビードの表面にシリコン系スラグが多量発生し、亜鉛めっき鋼板において耐気孔性が減少した。
比較例7〜9の場合は、Siの含有量が0.15%以上の場合であって、Siの含有量が増加するにつれて、ビード表面のシリコン系スラグ量が増加し、次第に耐気孔性も減少した。
【0076】
一方、図5は本実施例のうち発明例1及び2、比較例1及び2の溶接ビードの外観を示す写真であって、かかる写真の右側には、シリコン系スラグ分率を測定して示した。この際、シリコン系スラグ分率の測定方法は、上述した実施例1での方法と同一である。
図5に示すように、発明例1から比較例2に行くほどSiの含有量及びSi/Mnは増加し、これに比例してシリコン系スラグ分率も増加することが分かる。特に、発明例1の場合は、シリコン系スラグがほとんど形成されないため、ビードの外観が非常に流麗であることが確認できる。
【0077】
(実施例3)
上述した実施例1の発明例13のソリッドワイヤ、及び従来の亜鉛めっき鋼板と一般鋼板の溶接に主に用いられる一般溶接材ER70S−3のソリッドワイヤをそれぞれ用意した。次に、これらソリッドワイヤをそれぞれ用いて、150mmの440MPa級亜鉛めっき鋼板Lap−joint母材に、溶接速度80cpm、セッティング電流210A、セッティング電圧25Vの条件で溶接を行うことにより、溶着金属が形成された試験片を製造した。この際、それぞれ異なるワイヤを用いても同一の溶着金属量が得られるようにした。
【0078】
図6は上記一般溶接材と本発明の極低シリコン溶接材(発明例13)の溶接時に形成される溶着金属の電着塗装結果を示す図である。図6に示すように、黄色のガラス質のシリコン系スラグが形成された一般溶接材の場合、電着塗装がきちんとなっておらず剥離したことが確認できる。これに対し、極低シリコン溶接材(発明例13)の場合には、シリコンの含有量が非常に少なく濃い灰色のマンガン系スラグが生成されて、電着塗装が非常に均一且つきれいに形成されたことが確認できる。
【0079】
一方、図7は上記2つの試験片に形成された溶着金属のスラグをEDS分析した結果を示す図である。また、図8図11図7におけるEDS分析結果(I、II、III、及びIV)をそれぞれ示す図である。
図7図11に示すように、一般溶接材のスラグではSi、Mn、Oが検出され、シリコン+マンガン系スラグであることを確認した。これは、ワイヤー内部のシリコン及びマンガンが移行して酸素と結合し、溶接ビードの表面に浮かんだものと推定される。
これに対し、本発明の極低シリコン溶接材(発明例13)のスラグを分析した結果、主にMn、C、Oが検出されて、マンガン系スラグであることを確認した。これにより、ワイヤー内部のシリコン含有量が非常に低く、主にマンガン系スラグが生成されたことが確認できる。
【0080】
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、本発明の範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。
図1
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