特許第6829932号(P6829932)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6829932遅延およびパス強度に基づく移動通信ネットワークにおけるユーザ機器の位置特定
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6829932
(24)【登録日】2021年1月27日
(45)【発行日】2021年2月17日
(54)【発明の名称】遅延およびパス強度に基づく移動通信ネットワークにおけるユーザ機器の位置特定
(51)【国際特許分類】
   G01S 5/10 20060101AFI20210208BHJP
   H04W 64/00 20090101ALI20210208BHJP
【FI】
   G01S5/10 Z
   H04W64/00 140
   H04W64/00 110
【請求項の数】19
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2019-524399(P2019-524399)
(86)(22)【出願日】2017年11月10日
(65)【公表番号】特表2019-536024(P2019-536024A)
(43)【公表日】2019年12月12日
(86)【国際出願番号】EP2017078870
(87)【国際公開番号】WO2018087280
(87)【国際公開日】20180517
【審査請求日】2019年7月2日
(31)【優先権主張番号】16198389.5
(32)【優先日】2016年11月11日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】500341779
【氏名又は名称】フラウンホーファー−ゲゼルシャフト・ツール・フェルデルング・デル・アンゲヴァンテン・フォルシュング・アインゲトラーゲネル・フェライン
(74)【代理人】
【識別番号】100134119
【弁理士】
【氏名又は名称】奥町 哲行
(72)【発明者】
【氏名】クルラス・マーティン
(72)【発明者】
【氏名】ランドマン・マルクス
(72)【発明者】
【氏名】グロースマン・マーカス
(72)【発明者】
【氏名】バラタラアジャン・サタシュン
(72)【発明者】
【氏名】ハダシク・ニールス
(72)【発明者】
【氏名】ティーレ・ラース
【審査官】 梶田 真也
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/145217(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0011238(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0072579(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0108579(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 5/00 − 5/14
G01S 19/00 − 19/55
H04W 64/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信機であって、
各々のアンテナ、メインローブと複数のサイドローブとを含むアンテナパターンであって前記アンテナで受信された信号に対する前記アンテナの応答を記述するアンテナパターンを有する複数のアンテナ(120)を備え、
前記受信機(UE)は、ワイヤレス通信ネットワークの異なるセルの複数の送信機から複数の無線信号を前記複数のアンテナで受信するように構成され、各無線信号は、測位基準信号(PRS)シーケンスを含み、各無線信号は、複数のパス成分を含む無線チャネルを介して前記受信機(UE)に送信され、
前記受信機(UE)は、該受信機(UE)の位置の推定を可能にするために、前記複数の無線信号の少なくとも一つを処理して前記複数のパス成分について前記PRSシーケンスの到来時間(ToA)を推定し、パス成分について前記PRSシーケンスのパス強度(PS)値を決定するように構成され、
前記PRSシーケンスの前記ToAおよび前記PS値は、
前記複数のアンテナで受信された前記複数の無線信号と、前記PRSシーケンスを使用して前記受信機で生成された信号との相関に基づいて、複数の遅延(τ)に依存する相関値のベクトル(r)を決定すること、
相関値の前記ベクトル(r)および前記複数のアンテナの応答を表すアンテナステアリングベクトル(b)に基づいて相関関数(h)の値を決定すること、
前記相関関数(h)に基づいて、前記複数の無線信号のP個(Pは正の整数である)の最強ピークを決定すること、
前記P個の最強ピークに基づいて、前記PRSシーケンスの前記ToAを決定すること、および
前記P個の最強ピークに基づいて、前記受信機のアンテナの特性の影響を減少するために前記アンテナパターンによって引き起こされるPS値の増幅または抑制を減少または排除するPS値としての補正PS値を決定すること、
によって決定される、受信機。
【請求項2】
前記受信機(UE)が、前記無線チャネルの特定の数(P)のパス成分または前記無線チャネルのすべてのパス成分の前記PS値を決定するように構成される、請求項1に記載の受信機。
【請求項3】
前記受信機(UE)が、前記ToAおよび前記PS値をロケーションサーバに送信するように構成され、前記ロケーションサーバが、前記受信機(UE)の前記位置を推定する、請求項1または2に記載の受信機。
【請求項4】
前記受信機(UE)が、前記P個の最強ピークに基づいて、前記複数の無線信号の到来角(AoA)を決定するように構成される、請求項に記載の受信機。
【請求項5】
前記受信機(UE)が、前記アンテナ(120)の前記応答を表す前記受信された複数の信号および前記アンテナステアリングベクトル(b)を使用した高分解能パラメータ推定手法に基づいて前記複数のパス成分の到来角(AoA)、到来時間ToAおよび前記補正PS値を決定するように構成される、請求項に記載の受信機。
【請求項6】
前記アンテナステアリングベクトル(b)が、ステアリングベクトルの辞書に記憶され、ステアリングベクトルの前記辞書が、到来角方向に依存する前記複数のアンテナ(120)の前記応答を表すアンテナステアリングベクトル(b)のセット、または到来角方向に依存しない前記複数のアンテナ(120)の前記応答を表す固定の一意のアンテナステアリングベクトル(b)のセットを含む、請求項のいずれか一項に記載の受信機。
【請求項7】
前記ステアリングベクトルが、前記受信機の配向に基づいて前記辞書から選択される、請求項6に記載の受信機。
【請求項8】
ステアリングベクトルの前記辞書が、データベースに記憶され、前記受信機(UE)が、前記データベースにアクセスするかまたは前記データベースをダウンロードするように構成される、請求項またはに記載の受信機。
【請求項9】
前記送信機のうちの1つのToAを基準ToAとして使用して相対信号タイミング差(RSTD)を取得するように構成され、前記RSTDが、前記受信機の前記位置の前記推定を可能にするために送信される、請求項1〜のいずれか一項に記載の受信機。
【請求項10】
前記受信機(UE)が、前記送信機のうちの1つのパス強度値を基準として使用して相対パス強度差(RPSD)を取得するように構成され、前記RPSDが、前記受信機の前記位置の前記推定を可能にするために送信される、請求項1〜のいずれか一項に記載の受信機。
【請求項11】
各PRSシーケンスが、セル識別子と関連付けられており、前記受信機(UE)が、前記受信機(UE)の前記位置の前記推定を可能にするために、各PRSシーケンスについて前記関連するセル識別子をさらに取得するように構成される、請求項1〜10のいずれか一項に記載の受信機。
【請求項12】
1つまたは複数のセンサを備え、前記受信機(UE)が、前記1つまたは複数のセンサからのデータを使用して前記受信機(UE)の配向を計算し、前記配向をロケーションサーバ(110)に送信するように構成される、請求項1〜11のいずれか一項に記載の受信機。
【請求項13】
前記パス強度(PS)値が、セルの送信無線信号と干渉する信号の干渉レベルに対応する、請求項1〜12のいずれか一項に記載の受信機。
【請求項14】
前記無線チャネルの前記複数のパス成分が、見通し内(LOS)パス成分および/または見通し外(NLOS)パス成分を含む、請求項1〜13のいずれか一項に記載の受信機。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の受信機(UE)と、
複数の送信機(BS)とを備える、ワイヤレス通信ネットワーク。
【請求項16】
前記受信機(UE)の位置を推定するように構成されたロケーションサーバ(110)を備える、請求項15に記載のワイヤレス通信ネットワーク。
【請求項17】
前記受信機(UE)が、移動端末であり、前記送信機(BS)が、基地局であり、前記ワイヤレス通信ネットワークが、IFFT(逆高速フーリエ変換)ベースの信号を使用する、請求項15または16に記載のワイヤレス通信ネットワーク。
【請求項18】
複数のアンテナ(120)を有する受信機(UE)によって、ワイヤレス通信ネットワークの異なるセルの複数の送信機から複数の無線信号を前記複数のアンテナで受信することであって、各アンテナは、メインローブと複数のサイドローブとを含むアンテナパターンであって前記アンテナで受信された信号に対する前記アンテナの応答を記述するアンテナパターンを有し、各無線信号は、測位基準信号(PRS)シーケンスを含み、各無線信号は、複数のパス成分を含む無線チャネルを介して前記受信機(UE)に送信されることと、
前記受信機(UE)の位置の推定を可能にするために、前記複数の無線信号の少なくとも一つを処理して前記複数のパス成分について前記PRSシーケンスの到来時間(ToA)を推定し、パス成分について前記PRSシーケンスのパス強度(PS)値を決定することと、を含み、
前記PRSシーケンスの前記ToAおよび前記PS値は、
前記複数のアンテナで受信された前記複数の無線信号と、前記PRSシーケンスを使用して前記受信機で生成された信号との相関に基づいて、複数の遅延(τ)に依存する相関値のベクトル(r)を決定すること、
相関値の前記ベクトル(r)および前記複数のアンテナの応答を表すアンテナステアリングベクトル(b)に基づいて相関関数(h)の値を決定すること、
前記相関関数(h)に基づいて、前記複数の無線信号のP個(Pは正の整数である)の最強ピークを決定すること、
前記P個の最強ピークに基づいて、前記PRSシーケンスの前記ToAを決定すること、および
前記P個の最強ピークに基づいて、前記受信機のアンテナの特性の影響を減少するために前記アンテナパターンによって引き起こされるPS値の増幅または抑制を減少または排除するPS値としての補正PS値を決定すること、
によって決定される、方法。
【請求項19】
コンピュータで実施されたときに請求項18に記載の方法を実行する命令を記憶するコンピュータ可読媒体を備える、非一時的コンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤレス通信ネットワークまたはシステムの分野に関し、より具体的には、そのようなネットワークにおける移動端末のようなユーザ機器の位置特定に関する。例は、ワイヤレス通信ネットワークにおけるユーザ機器の位置決定または位置特定における複数の時間差測定のための信号強度推定を説明する。
【背景技術】
【0002】
図1は、それぞれのセル100〜100によって概略的に表される基地局を囲む特定のエリアを各々が担当する、複数の基地局eNB〜eNBを含む、ワイヤレス通信ネットワークまたはワイヤレス通信システムなどのネットワークインフラストラクチャの一例の概略図である。基地局は、セル内のユーザを担当するために設けられる。ユーザは、固定デバイスまたは移動デバイスであってもよい。さらに、ワイヤレス通信システムは、基地局またはユーザに接続するIoTデバイスによってアクセスされ得る。IoTデバイスは、電子装置、ソフトウェア、センサ、アクチュエータなどを内蔵した物理デバイス、車両、建物および他のアイテム、ならびにこれらのデバイスが既存のネットワークインフラストラクチャにわたってデータを収集および交換することを可能にするネットワーク接続性を含み得る。図1は、5つのセルのみの例示的な図を示すが、ワイヤレス通信システムは、そのようなセルをさらに含んでもよい。図1は、セル100にあり、基地局eNBによって担当されるユーザ機器(UE)とも呼ばれる2人のユーザUE1およびUE2を示す。基地局eNBによって担当される別のユーザUEは、セル100に示されている。矢印102、102および102は、データをユーザUE、UEおよびUEから基地局eNB、eNBに送信するための、またはデータを基地局eNB、eNBからユーザUE、UE、UEに送信するためのアップリンク/ダウンリンク接続を概略的に表す。さらに、図1は、セル100の2つのIoTデバイス104および104を示し、これらは固定または移動デバイスであり得る。IoTデバイス104は、矢印106によって概略的に表されるようにデータを受信および送信するために基地局eNBを介してワイヤレス通信システムにアクセスする。IoTデバイス104は、矢印106によって概略的に表されるようにユーザUEを介してワイヤレス通信システムにアクセスする。
【0003】
ワイヤレス通信システムは、直交周波数分割多重(OFDM)システム、LTE規格によって定義された直交周波数分割多元接続(OFDMA)システム、またはCPを有するまたは有さない任意の他のIFFTベースの信号、例えばDFT−s−OFDMのような周波数分割多重に基づく任意のシングルトーンまたはマルチキャリアシステムとすることができる。多重アクセスのための非直交波形のような他の波形、例えばフィルタバンクマルチキャリア(FBMC)を使用してもよい。
【0004】
図1に示されたもののようなワイヤレス通信ネットワークでは、セルに一定の精度でUEを配置することが望ましい場合がある。セル内にUEを配置するための1つの手法は、LTEなどのセルラ通信ネットワークで使用され得る観測到着時間差(OTDOA)推定に基づいており、例えば、参考文献[2]および[3]に記載のように、1つまたは複数の周辺基地局(eNB)からユーザ機器UEで受信する測位基準信号(PRS)を使用した到来時間(ToA)推定値の計算に依存するダウンリンク測位方法である。PRSシーケンスは、測位目的のために設計され、セル内のすべての無線端末にブロードキャストされるダウンリンク信号である。PRSシーケンスは、基地局のアンテナまたは遠隔無線ヘッド(RRH)から同じ送信電力で全方向に放射され、セルの任意のロケーションにいる全ユーザをカバーする、すなわち、セル全体をカバーする。PRSシーケンスを異なるセルと区別するために、各PRSシーケンスは、物理セル識別子(PCI)とも呼ばれるセル固有の識別子と関連付けられている。PCIは、特定のエリアにおいて固有のものであり、セル、したがってPRSシーケンスを識別するために使用される。平面において固有の位置を取得するためには、UEの内部タイムベースに対して、幾何学的に分散した基地局から少なくとも3つのタイミング測定値が必要である。参考文献[4]に記載のように、4つの基地局が三次元空間の固有の位置を取得するために必要とされる。
【0005】
図2は、3つの基地局を使用したOTDOA測定の概略図であり、図は、参考文献[4]から得られた画像に基づいている。基地局eNB〜eNBは、PCIと関連付けられたそれぞれのPRSシーケンスを送出する。基地局eNBは、PRSシーケンスPRSを送出し、基地局eNBは、PRSシーケンスPRSを送出し、基地局eNBは、PRSシーケンスPRSを送出する。基地局eNB〜eNBは、ワイヤレス通信ネットワークの異なるセルを担当する。図2は、上で説明したように、各基地局から一方向にのみそれぞれのPRSシーケンスを送信することを示しているが、各基地局は、それぞれのセル内の任意のロケーションにいる全ユーザをカバーするためにシーケンスを全方向に送信する。図2の例では、ユーザ機器は、ロケーション108にあると仮定される。ロケーション108のUEは、それぞれの基地局からPRSシーケンスPRS1〜PRS3を受信する。ロケーション108のUEは、UEの内部タイムベースに対して3つのToAτ、τ、τを測定する。基地局eNBが基準基地局として選択され、2つのOTDOAが他の基地局のToA測定値から基準基地局eNBのToAを減算することによって取得され、観測到来時間差として、相対信号タイミング差(RSTD)とも呼ばれる値t2,1=τ−τおよびt3,1=τ−τが得られる。相対信号タイミング差は、ロケーション108でユーザ機器を担当する基地局ならびにロケーションサーバにフィードバックされる。ロケーションサーバは、基地局の一部であり得るか、または図1の110で示されるように、基地局とは別の素子であり得る。ロケーションサーバ110は、ネットワーク構造全体の一部とすることができ、図1に示す基地局の各々に接続することができるが、図1には1つの接続のみが点線で示されている。RSTD値は、UEと基地局との間の幾何学的距離に関連し、図2の線τ−τおよび線τ−τによって示されるように、基地局のそれぞれのロケーションの周りの双曲線を定義する。基地局座標およびUEと基準基地局eNBとの間の時間オフセットの知識に基づいて、ロケーションサーバは、UEの位置を決定することができる。図2では、各ToA測定値τが不確かな精度を有するので、双曲線は、測定の不確実性を示す幅で示されている。推定されたUEロケーションは、2つの双曲線の交差エリアである。
【0006】
UEによるToA測定値およびRSTD報告のために、各基地局から最初に到着する信号パスは、正確に推定されるべきである。純粋な見通し内(LoS)チャネル条件では、ToA推定値は、UEで知られているPRSシーケンスとの受信信号の相互相関における最初に検出されたLoSピークを反映するので、ToAはUEと基地局との間の距離に直接対応する。これにより、UEの正確な位置推定値が可能になる。しかしながら、マルチパスチャネル環境では、ToA推定値、ひいてはRSTD測定値は、LoSパスの妨害によって、またはチャネルの見通し外(NLoS)信号パス成分によってバイアスされる可能性があり、そのような状況では、UEは、最初に到着する信号パスを正確に検出しない場合があり、誤った距離情報につながる可能性がある。
【0007】
セル内でUEを位置特定するための上述の手法は、複数の基地局によって送信されるPRSシーケンスを使用する。各基地局は、全ユーザをカバーするために同じPRSシーケンスを全方向に送出する。位置特定を可能にするために、少なくとも3つの基地局が必要とされる。さらに、無線伝搬チャネルは、マルチパス伝搬および遮蔽またはフェージング状態の影響を受ける可能性があり、その結果、RSTD測定値が正確ではないかもしれない。マルチパスとは、反射、回折および散乱のために、送信された信号が異なるパスを介して受信機に到達したときに移動システムのチャネルで発生する現象であり、フェージングを生じさせる。これは、関連するセル識別子を有する同じPRSシーケンスを全方向に送信する基地局BSによって担当されるセルi内のUE、すなわちシーケンスPRSを表す図3に概略的に表されている。PRSシーケンスPRSは、障害物112が信号を散乱または遮蔽して障害物112の後ろにパス損失があるために、UEで直接受信されない可能性がある。UEは、障害物112における信号の反射および/または障害物112における回折に起因してシーケンスPRSを受信することがある。言い換えれば、送信された信号PRSは1つだけであるが、信号パスにおける建物、丘および木のような障害物112〜112は、信号を様々な方向から異なる遅延でUEに到達させる。マルチパスは、例えば、受信機UEが最初に到着するパスを検出したとしても、見通し外パスが存在する場合にToA推定における誤差の原因となり得る。
【0008】
マルチパスチャネルシナリオにおける位置精度を改善するために、時間ベースのロケーション推定のための多数のNLoS誤差軽減技法が記載されている(例えば、参考文献[6]、[7]、[8]、[9]、[10]および[11]参照)。1つのNLoS誤差軽減技法は、NLoS破損ToA測定値(NLoS corrupted ToA measurements)が測定値の総数のごく一部である、すなわち、UEと基地局との間のリンクの一部がLoSチャネルパスを含むと仮定することができる。別の手法は、LoSシナリオについて予想される測定値とのそれらの不一致のためにNLoS破損ToA測定値を検出することができ、その結果、例えば、参考文献[8]および[12]に記載のように、UEと基地局との間のNLoSリンクが識別され、UE位置の位置特定のために無視することができる。さらに他の手法は、UEと基地局との間のすべてのリンクを使用し、参考文献[13]に記載のように、NLoS寄与を最小にするためのToA測定値の重み付けまたはスケーリングを導入するか、または参考文献[14]に記載のように、NLoS誤差を検出して情報を使用し、すべての可能なUEロケーションを計算することができる。
【0009】
図1に示すように、ワイヤレス通信ネットワークの基地局は、例えば複数のアンテナ素子を含むアンテナアレイによって形成された複数のアンテナANTを含み、UEはまた、2つ以上のアンテナを含むことができる。UEと基地局の両方が複数のアンテナを装備しているシナリオでは、LoSまたはNLoSパス成分のOTDOA測定値に加えて、ロケーションに依存しないパラメータが利用されてもよく、例えばUEにおける到来角(AoA)および基地局における出発角(AoD)が使用されてもよい。NLoS誤差のみを検出してこれらの誤差の影響を除去する代わりに、位置特定技法の例は、NLoSパス成分によって暗示される可能なUEロケーションの幾何学的関係を利用することによってNLoSチャネル伝搬から利益を得ることができる。そのような技法は、例えば、参考文献[15]および[16]に記載されており、パス依存パラメータAoD、AoAおよびパス距離dの知識を仮定して、マルチパスチャネル伝搬環境のパラメータ記述に依存している。
【0010】
マルチパスチャネルシナリオにおける位置精度を改善するために、UEによって送られたToA測定報告を複数のRSTD測定値によって担当する基地局に拡張することが、参考文献[17]において提案されている。相互相関関数においてUEがLOSピークと見なすものに対応する、UE−セルリンクごとの単一のRSTD測定報告のみを送る代わりに、2つ以上のRSTD値が基地局にフィードバックされる。複数のRSTD値は、例えば、マルチパス成分のToA推定値を表すPRS相関関数の複数のピークに対応する。ロケーションサーバは、改善された測位性能をもたらす可能性がある複数のRSTD仮説に基づいてUE位置特定を実行することができる。この手法はまた、例えば周辺基地局から送られたPRSシーケンスの強い相関のために干渉が発生する状況における干渉シナリオにおいても適用され得る。そのようなシナリオにおける複数のRSTD測定値は、干渉する信号に関連するピークに対応し得る。これはまた、ロケーションサーバで複数のRSTD仮説によって処理され得る。複数のRSTD測定手法を示す一例が図4に示されており、eNB1およびeNB3については、チャネルのLOSパス成分に対応する2つのToA推定値が存在し、eNB2については、弱いLOS成分または干渉する信号によって引き起こされる2つのToA推定値が存在する、この例では、ロケーションサーバに報告されるRSTD値は、(τ−τ;τ−τ;τ−τ2,1;τ−τ2,2)によって与えられる(参考文献[17]参照)。eNB2に対する複数のRSTD値は、ロケーションサーバにおけるUE位置の複数の仮説を計算するために使用される(図4のハッチングエリア参照)。可能なUEロケーションの尤度関数を考慮すると、より正確なUE位置を推定する確率は、単一のRSTD UEフィードバックと比較して複数のRSTD UEフィードバックで著しく増加することが観察され得る(参考文献[17]参照)。
【0011】
上述のように、UEは、無線信号を送信または受信するための複数のアンテナ、例えば、アンテナアレイを装備することができる。各アンテナは、特定の方向または角度からアンテナで受信された信号に対するアンテナの応答を記述するアンテナパターンを有する。例えば、アンテナパターンは、第1の方向からアンテナで受信された信号が増幅され、第2の方向から受信された信号が減衰または抑制されることを示す。UEのそれぞれのアンテナは、同じまたは異なるアンテナパターンを有することができる。図5は、UEの異なるアンテナのアンテナパターン、およびマルチパスチャネル環境におけるLoSおよびNLoSパス成分がそのようなアンテナでどのように受信され得るかの例を示す。図5(a)は、UEの第1のアンテナANTのアンテナパターンを示す。アンテナANTは、メインローブ114と、それぞれのサイドローブおよびヌル118a、118bおよび118cとを含むアンテナパターンを有する。メインローブ114が向けられた方向に受信された信号は、増大した感度で受信され、それぞれのサイドローブおよびヌル118a、118b、118cが向けられた方向から受信された信号は、低減された感度で受信される。例えば、メインローブの方向に受信された信号は、増幅され得るが、サイドローブの方向から受信されたそれらの信号は、減衰または抑制され得る。図5(b)は、UEの第2のアンテナANTのアンテナパターンを示す。第2のアンテナANTは、メインローブ114と、それぞれのサイドローブおよびヌル118a、118bおよび118cとを含むアンテナパターンまたは指向性を有する。図5(b)の例では、第2のアンテナANTのアンテナパターンは、図5(a)に示す第1のアンテナANTのアンテナパターンと同じである。図5(a)および図5(b)の例では、メインローブは、x/y平面のx軸に沿って0°の角度で配向されている。サイドローブは、0°〜360°の方向に向けられる。他の例によれば、第2のアンテナANTのアンテナパターンは、第1のアンテナANTのアンテナパターンとは異なっていてもよい。図5(c)は、そのような異なるアンテナパターンの一例を示し、これは第2のアンテナANTのアンテナパターンであり得るか、またはこの例に示すように、UEの第3のアンテナANTのアンテナパターンである。第3のアンテナANTのアンテナパターンまたは指向性もまた、メインローブ114と、それぞれのサイドローブおよびヌル118a、118bおよび118cとを有する。図5(c)の例では、メインローブは、x/y平面のx軸に対してある角度で配向され、サイドローブは、異なる方向を向いている。第1および第2のアンテナパターンと比較すると、第3のアンテナパターンのそれぞれのローブは異なる方向に向けられ、それにより第1および第2のアンテナのメインローブ114および114が向けられた第1の方向から受信された信号は、第3のアンテナよりも第1および第2のアンテナによって高く増幅され、または、言い換えれば、第3のアンテナによって減衰される。
【0012】
図5(d)は、図5(a)に示すアンテナのように、マルチパスチャネル環境におけるLoSおよびNLoSパス成分がUEのアンテナでどのように受信され得るかを示す。基地局BSは、PRSシーケンスPRSを搬送する信号を送信し、基地局BSとUEとの間に直接パス、LOSパス、ならびに間接パス、NLOSパスが存在し、それに沿って信号PRSが物体、例えば112に反映される。LOSパスを介して受信された信号は、アンテナANTの上側サイドローブの1つまたはヌル118aが向けられた方向から受信され、間接またはNLOSパス成分は、メインローブ114で受信される。LOSパスの信号は、アンテナANTによる減衰または無効化さえも受けるので、UEは、LOSの信号強度を抑制し得るアンテナANTのアンテナパターンの影響により、LOSパスとなるアンテナANTに最初に到着する信号パスを正確に検出できない可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、移動通信ネットワークにおける受信機の位置特定をより高い精度で可能にする手法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的は、独立請求項に定義されている主題によって達成される。
【0015】
実施形態は、従属請求項に定義されている。
【0016】
次に、添付の図面を参照しながら本発明の実施形態をさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】ワイヤレス通信システムの一例の概略図である。
図2】3つの基地局を使用したOTDOA測定の概略図である。
図3】基地局BSによって担当されるセルi内のUEが関連するセル識別子と共に同じPRSシーケンスを全方向に送信することを表す図である。
図4】複数のRSTD測定手法を示す一例である。
図5(a)】UEの異なるアンテナのアンテナパターンの例を示す図である。
図5(b)】UEの異なるアンテナのアンテナパターンの例を示す図である。
図5(c)】UEの異なるアンテナのアンテナパターンの例を示す図である。
図5(d)】マルチパスチャネル環境におけるLoSおよびNLoSパス成分がそのようなアンテナでどのように受信され得るかの例を示す図である。
図6】本明細書に記載の本発明の手法による、UEを位置特定するための動作しているワイヤレス通信ネットワークの一例を示す図である。
図7】情報を送信機から受信機に送信するためのワイヤレス通信システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下において、本発明の好ましい実施形態は、同じまたは同様の機能を有する要素が同じ参照符号によって参照される添付の図面を参照してさらに詳細に説明される。
【0019】
図6は、本明細書に記載の本発明の手法による、UEを位置特定するための動作しているワイヤレス通信ネットワークの一例を示す。より具体的には、図6は、障害物112が存在しないために基地局BSからユーザ機器UEへのLOSパス成分が存在し、セルjおよびkの追加の基地局が示されることを除いて図3のものと同様の状況を示し、これは、UEで受信されるそれぞれのPRSシーケンスPRSjおよびPRSkを送る。セル境界は、破線で示されている。さらに、図6は、複数のアンテナ120を含むUEの拡大図を示す(アンテナ1...N参照)。アンテナは、図5を参照して上述したようにそれぞれのアンテナパターンを有することができ、それによりそれぞれのN個のアンテナで受信される信号PRS、PRSおよびPRSに関連するLOSおよびNLOSパス成分は、パス成分がアンテナのメインローブが向けられた方向から受信されるのでUEのアンテナのいくつかによって増幅され得、パス成分は、それらがアンテナのサイドローブおよびヌルが向けられた方向から受信されるときにUEの他のアンテナによって減衰または抑制される。本明細書に記載の本発明の手法に従って、UEは、図6の拡大図に示すように、それぞれの基地局BS〜BSから送られたPRSシーケンスに関連する検出されたパス成分の到来時間を推定する。複数の個々のパス成分のパス強度PSは、UEで評価または推定される。PS情報は、無線チャネルのパス成分のパス強度に対応してもよく、または干渉する信号のレベルに対応してもよい。UEは、パス成分のToAおよびPS値を図1に示すロケーションサーバ110に接続され得る担当する基地局BSに送信することができる。ロケーションサーバは、受信されたToAおよび受信されたPS値に基づいて、ToAに基づいてのみ動作する状況と比較して、UEの位置をより正確にまたは厳密に推定することができる。
【0020】
本発明の手法は図5に示すようなメインおよびサイドローブを含む特定のアンテナパターンを有するアンテナを参照して説明されているが、本発明は、そのようなアンテナパターンに限定されないことに留意されたい。本発明の手法は、指向性を有さない、すなわち、メインローブを含むアンテナパターンを含む、任意のアンテナパターンに使用することができる。
【0021】
例によれば、ToAの代わりに、UEは、複数のパス成分のTDoAに対応するRSTD値を返してもよい。さらに、PS値の代わりに、UEは、基準として送信機のうちの1つのパス強度値を使用して相対パス強度差(RPSD)を返すことができる。
【0022】
パス強度または干渉レベルについての追加の情報は、UEの位置推定値を改善するためにロケーションサーバで利用され得る。例えば、ロケーションサーバが複数の対のRSTD/ToAおよびRPSD/PSの組合せを使用する追跡方式を含むとき、無線チャネルのLOSパス成分は、遅延およびパス強度の変化に関してかなり決定的に挙動するので、純粋なRSTD測定値と比較してより厳密に識別され得る。結果として、増加した分散を示す位置推定値は、マルチパス観測として分類され得、安定したロケーション推定値を取得するためにドロップまたは重み付けすることができる。
【0023】
他の例によれば、基地局またはロケーションサーバは、強いRSTDおよびRPSD値のセットのみ、例えばUEによって推定された上位m値、または遅延およびパス強度の各々を含む特定のRSTDおよびRPSD対のセットを要求することができる。また、複数のアンテナ120を有するUEを考慮するとき、アンテナポートの特定のセットからのRSTD/ToAおよびRPSD/PSのフィードバックが要求され得る。例えば、フィードバックは、1つまたは複数のポートが信頼できるまたは正しい信号を提供しないと決定されたときに、例えば、信号レベルが閾値を下回ったとき(ポートの欠陥が原因である可能性がある)にアンテナポートの特定のセットから要求され得る。他の例では、低減された処理電力のみがToAおよびPS値を決定するためにUEで使用されるかまたは利用可能になるときに、フィードバックがアンテナポートの特定のセットから要求され得る。さらに、それぞれのパス成分のAoAを推定する能力を有するUEを考慮するとき、遅延、AoAおよびパス強度を含む特定のRSTDおよびRPSD対のセットが要求され得る。
【0024】
さらなる例によれば、パス強度または干渉する信号レベルは、UEセルリンクのUE受信信号電力から取得することができる。UEのアンテナのうちの1つからUEで受信された信号は、このアンテナで受信されたマルチパスチャネルについての情報を含むが、図5を参照して上述したように、アンテナによってUEに提供される信号もまたアンテナのアンテナパターンに依存し、すなわち、受信アンテナパターンに依存する項とも呼ばれる、アンテナパターンに依存する信号部分を含む。上述のように、UE受信アンテナ120の各々は、個々のチャネルパス成分からの測定された受信電力がアンテナのパス成分の受信方向に依存するようにアンテナパターンを有することができる。例えば、これは実際に強いパスが減衰され、弱いパスがより高い利得を得ることを意味し得る。これに対処するために、本発明の手法の例によれば、UEは、アンテナディエンベディングを実行することによって検出されたチャネルパス成分のパス強度または干渉レベルを推定する。言い換えれば、UEは、UEのそれぞれのアンテナによって特定のパス成分について取得されたパス強度情報から方向依存項を減少または除去するように構成される。例によれば、UEは、チャネルの最も強い、好ましくはLoS成分の到来方向に関して振幅および位相におけるそのアンテナポート出力の依存性についての情報、例えば辞書を取得する。例えば、UEは、受信アンテナ素子のサブセットを選択するために使用されるアンテナステアリングベクトルまたはアンテナ切り替え&結合メトリックに依存し得る。アンテナパターンに基づいて、UEは、取得されたパス強度から特定のアンテナパターンによる方向依存項を除去または排除し、それによってUEアンテナの特性による項を実質的に含まないパス強度値をロケーションサーバに提供する。
【0025】
例によれば、UEの配向は、辞書から使用されるアンテナパターンを選択するために使用され得る。受信信号を処理するためのUEの配向に依存するアンテナパターンは、辞書から選択されてもよい。例えば、UEの配向が、UEがユーザによって手および/または頭に保持されていることを示す場合、そのようなアンテナパターンを使用して取得されたデータは信頼性が低いと考えられるため、いくつかのアンテナパターンは処理のために無視され得る。他の例によれば、アンテナディエンベディングは、特定のUEの配向と関連付けられたそれらのアンテナパターンに基づいてのみ実行される。UEは、1つまたは複数のセンサSを含むことができ、その出力または情報信号は、UEの配向を決定するための基礎を形成する。単一の情報信号または情報信号の組合せが提供されてもよい。例えば、ジャイロスコープセンサによって提供される情報は、空間のUEの絶対配向を検出するために使用され得、カメラまたは光センサによって提供される情報は、UEの保持位置を検出するために使用され得る。UEのカメラによって生成された暗い画像は、アンテナが物体によってカバーされていることを示し、肌の色は、UEが手または耳に保持されていることを示すことができる。明るい色は、物体による妨害がないことを示すことができる。配向決定は、UEで実行されてもよく、またはセンサからのそれぞれの情報は、基地局またはロケーションサーバでUEの配向を追跡するために基地局にシグナリングされてもよい。
【0026】
UEアンテナパターンは、偏波にも依存する例に従って、複雑な三次元アンテナパターンによって記述されてもよく、自由空間の異なる角度でアンテナにおいて受信される電磁波の大きさおよび位相の観点から相対的な電界強度を記述する。しかしながら、UEアンテナの近くに位置した金属製の取り付け構造または他の物体は、近接場歪みをもたらし、それによりUEアンテナの有効なアンテナパターンは、自由空間で測定されたアンテナパターンとは異なる可能性がある。例によれば、例えば、それらのそれぞれのアンテナステアリングベクトルによって記述される複数のアンテナパターンの辞書またはマップを保持するためにデータベースが提供されてもよい。アレイステアリングベクトルは、すべてのアンテナでの衝突波の方向に応じてUEのアンテナパターンを記述する。アンテナパターンは、UEの使用に依存し得、例えば、アンテナパターンは、UEを手に保持しているとき、または物体がアンテナを遮るときに異なる可能性がある。辞書は、UEに、またはUEから離れたデータベース、例えば、ロケーションサーバに記憶することができる。例によれば、UEは、例えば、ロケーションサーバからデータベースをダウンロードすることができる。UEで受信された信号は、辞書に保持されたアンテナパターンに関連することができ、特定のUEアンテナアレイの放射パターンを含まない異なるパス成分のパス強度情報の抽出を可能にする。UEアンテナパターンのこの「ディエンベディング」は、UEアンテナパターンを含まないチャネルまたはパス記述をもたらす。
【0027】
以下に説明する例によれば、P個の対
またはP個のトリプレット
は、UEからロケーションサーバに送られ、p=1...P、
=遅延、
=パス強度、および
=到来角(AoA)である。対/トリプレットは、一例として、相関ベースの手法に基づいて、または最尤ベースの手法に基づいて生成される。例えばロケーションサーバで受信された情報に基づいて、複数の仮説検定がこの情報、例えば、パス強度情報を使用して実行されてUEロケーションを決定することができる。
【0028】
相関ベースの手法
方位角次元のみに沿って放射および受信するアンテナアレイ120(図6参照)を考慮すると、特定の方向に対するアレイステアリングベクトルθは、ベクトル
として定義される。このセットΩは、すべての可能なアレイステアリングベクトル、すなわち、
を記述する。最初に、その存在を決定するために特定のPRSシーケンスを埋め込んだ受信信号は、それぞれの相関ピークからToAを取得するように同じPRSシーケンスを使用して受信機で生成された信号と相関される。
が遅延/ToAにおいてN個のアンテナポートで取得された相関値のセットτであると考えると、この例によれば、到来角(AoA)、到来時間(ToA)およびパス強度を含むP個のトリプレットは、以下のように決定または取得することができる:
1.修正相関関数
を計算する。この項λは、特定の角度において限りなく小さいアンテナ利得が原因で
の値が大きく増加するのを防ぐための小さな定数である。
【0029】
2.

のP個の主ピークに対応する角度および遅延を決定する。
【0030】
3.対応するパス強度は、
として計算され、シンボル
は、擬似逆行列を表す。
【0031】
4.P個の対
またはP個のトリプレット
をUEからロケーションサーバに返す。
【0032】
5.ロケーションサーバは、遅延情報に加えて、パス強度情報
も使用してUEロケーションを決定するために複数の仮説検定を実施することができる。
【0033】
例によれば、上述のように、UEの配向はまた、例えばジャイロスコープからのまたはUEの光センサからのそれぞれの信号に基づいてロケーションサーバに返すことができる。さらに、例によれば、ロケーションサーバに送られるP個の遅延
は、基準値に対して、ToA値を直接表してもよく、またはRSTD値であってもよく、基準値は、第1の値としてロケーションサーバに送られるか、または要求に応じてロケーションサーバに供給される。さらに、例によれば、ロケーションサーバに送られるP個のパス強度
は、基準値に対して、パス強度値を直接表してもよく、またはRPSD値であってもよく、基準値は、第1の値としてロケーションサーバに送られるか、または要求に応じてロケーションサーバに供給される。
【0034】
相関ベースの手法の別の例によれば、アレイステアリングベクトルのセットは、到来角、すなわち、
とはほとんどまたは全く関係のない、「アレイ応答辞書」とも呼ばれるアレイ応答の固定セットを有することができる。そのような状況では、この例によれば、到来時間(ToA)およびパス強度を含むP個の対は、以下のように決定または取得することができる:
1.修正相関関数を以下
のように決定する。
【0035】
2.

のP個の主ピークに対応するアレイ応答ベクトルインデックスおよび遅延を決定し、パス強度を以下
のように決定する。
【0036】
最尤ベースの手法
他の例によれば、パス強度は、最尤推定を使用して決定され得る。最尤推定を使用するときには明示的な相関関数が計算されず、むしろ、受信信号のモデルがToAおよびAoAを決定するために使用される。一例として、MIMO−OFDMシステムは、UEにおいてM個のサブキャリアとN個のアンテナとを有すると仮定され、受信ベクトルの1つのスナップショット、例えば遅延/ToAτの特定のインスタンスにおける受信ベクトルは、以下のように表現され得る:
この式のパラメータは、以下の通りである:
は、パス強度である。
は、
の加法性ホワイトガウスノイズベクトルである。
は、以下の構造を有する受信ベクトルである:
は、m番目のサブキャリアおよびn番目のアンテナからの受信シンボルである。
は、以下の構造を有するチャネル行列である:

であり、
は、アレイステアリング行列である。
【0037】
他の例によれば、チャネル行列Hは、以下のように表すことができる:

シンボル
は、クロネッカー積を表す。パス重みとも呼ばれるパス強度、ならびに対応するAoAおよびToAに対する最尤解は、以下のように決定される:
は、ノイズ部分空間への射影であり、
は、受信ベクトルの相関行列である。
【0038】
上述のように、上記の解決策は、受信ベクトルの1つのスナップショットを考慮しているが、性能を改善するために複数のスナップショットに容易に拡張することができる。
【0039】
相関ベースの手法と同様に、最尤ベースの手法においても、アレイ応答辞書、すなわち到来角とほとんどまたは全く関係のないアレイ応答の固定セットを使用することができる。この場合、ステアリングベクトルと到来角との間にほとんどまたは全く関係がないとき、推定は、以下のように実行することができる:
【0040】
上述の例は、遅延情報に加えて、UEの位置を推定することに関して有利であり、チャネルパス成分のパス強度情報もまた、UE側で決定される。ロケーションサーバは、UE位置の複数の仮説検定のために、例えば、RSTD/ToA値に関して参考文献[17]に記載されているように、RSTD/ToAをRPSD/PS値と共に使用してUE位置推定値を改善するだけである。さらに、パス強度情報は、位置推定値を改善することを可能にするLOSパス成分とNLOSパス成分とを区別するために使用され得る。
【0041】
本発明の実施形態は、移動端末またはIoTデバイスのような基地局、ユーザを含む、図1に示すようなワイヤレス通信システムにおいて実装されてもよい。図7は、送信機TXと受信機RXとの間で情報を通信するためのワイヤレス通信システム250の概略図である。送信機TXと受信機RXの両方は、複数のアンテナANTTX、ANTRXまたは複数のアンテナ素子を有するアンテナアレイを含む。矢印252によって示すように、信号は、無線リンクのようなワイヤレス通信リンクを介して送信機TXと受信機RXとの間で通信される。送信は、図1を参照して上述した技法のうちの1つに従うことができる。
【0042】
送信機TXとRXとの間のシグナリングは、本発明の上述の実施形態に従う。例えば、受信機RXは、アンテナANTRXを介してワイヤレス通信ネットワークの異なるセルの複数の送信機から複数の無線信号を受信し、信号を信号プロセッサ254に適用する。各無線信号は、測位基準信号(PRS)シーケンスを含む。受信機RXは、無線信号を処理して各PRSシーケンスの到来時間(ToA)を推定し、異なるToAに関して各受信無線信号のパス強度を決定する。受信機の位置は、到来時間および決定されたパス強度を使用して推定される。位置は、ワイヤレス通信ネットワークの受信機RX、送信機またはロケーションサーバで推定することができる。後者の場合、ToAおよびPS値は、無線リンク252を介して送信機/ロケーションサーバに通信されてもよい。送信機TXは、受信機RXに送信される信号を生成するために信号プロセッサ256を備える。送信機TXは、1つまたは複数のアンテナANTTXを介して測位基準信号(PRS)シーケンスを有する無線信号を送信することができる。
【0043】
説明された概念のいくつかの態様は装置の文脈で説明されているが、これらの態様はまた、対応する方法の説明を表し、ブロックまたはデバイスが方法ステップまたは方法ステップの特徴に対応することは明らかである。同様に、方法ステップの文脈で説明された態様はまた、対応する装置の対応するブロックまたは項目または特徴の説明を表す。
【0044】
特定の実装要件に応じて、本発明の実施形態は、ハードウェアまたはソフトウェアで実装することができる。実装は、電子的に読み取り可能な制御信号が記憶され、それぞれの方法が実行されるようにプログラマブルコンピュータシステムと協働する(または協働することができる)デジタル記憶媒体、例えばクラウドストレージ、フロッピーディスク、DVD、Blue−Ray、CD、ROM、PROM、EPROM、EEPROMまたはFLASHメモリを使用して実行されてもよい。したがって、デジタル記憶媒体は、コンピュータ可読であり得る。
【0045】
本発明によるいくつかの実施形態は、本明細書に記載の方法の1つが実行されるように、プログラマブルコンピュータシステムと協働することができる電子的に読み取り可能な制御信号を有するデータキャリアを備える。
【0046】
一般に、本発明の実施形態は、プログラムコードを有するコンピュータプログラム製品として実装することができ、プログラムコードは、コンピュータプログラム製品がコンピュータで実行されるときに方法の1つを実行するように動作可能である。プログラムコードは、例えば機械可読キャリアに記憶することができる。
【0047】
他の実施形態は、機械可読キャリアに記憶された、本明細書に記載の方法の1つを実行するためのコンピュータプログラムを備える。言い換えれば、本発明の方法の一実施形態は、したがって、コンピュータプログラムがコンピュータで実行されるときに、本明細書に記載の方法の1つを実行するためのプログラムコードを有するコンピュータプログラムである。
【0048】
したがって、本発明の方法のさらなる実施形態は、本明細書に記載の方法の1つを実行するためのコンピュータプログラムを記録したデータキャリア(またはデジタル記憶媒体、またはコンピュータ可読媒体)である。したがって、本発明の方法のさらなる実施形態は、本明細書に記載の方法の1つを実行するためのコンピュータプログラムを表すデータストリームまたは一連の信号である。データストリームまたは一連の信号は、例えばデータ通信接続を介して、例えばインターネットを介して転送されるように構成されてもよい。さらなる実施形態は、本明細書に記載の方法の1つを実行するように構成または適合された処理手段、例えばコンピュータ、またはプログラマブルロジックデバイスを備える。さらなる実施形態は、本明細書に記載の方法の1つを実行するためのコンピュータプログラムをインストールしたコンピュータを備える。
【0049】
いくつかの実施形態では、プログラマブルロジックデバイス(例えばフィールドプログラマブルゲートアレイ)を使用して、本明細書に記載の方法の機能の一部またはすべてを実行することができる。いくつかの実施形態では、フィールドプログラマブルゲートアレイは、本明細書に記載の方法の1つを実行するためにマイクロプロセッサと協働することができる。一般に、方法は、好ましくは、任意のハードウェア装置によって実行される。
【0050】
上述の実施形態は、本発明の原理を説明するための例示にすぎない。本明細書に記載の構成および詳細の修正および変形は、当業者にとって明らかであるものと理解される。したがって、差し迫った特許請求の範囲だけによって制限され、本明細書の実施形態の記載および説明によって示される具体的な詳細によって制限されないことが意図される。
【0051】
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図1
図2
図3
図4
図5(a)】
図5(b)】
図5(c)】
図5(d)】
図6
図7