(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
1以上のプロセッサを含み、車両(200、1400)の過渡動作モードと、車両(200、1400)の移動モードとを切り替えるように動作可能な制御装置(208)を備えたシステムであって、
前記制御装置(208)が、前記過渡動作モードでの前記車両の動作中に、第1の効率レベルで前記車両(200、1400)の移動を制御するように構成され、目標停止場所の第1の停止範囲で前記車両(200、1400)を停止することができ、
前記制御装置(208)が、前記移動モードでの前記車両(200、1400)の動作中に、第1の効率レベルで前記車両(200、1400)の移動を制御するように構成され、目標停止場所(1200)の第1の停止範囲で前記車両を停止することができ、第2の停止範囲は前記第1の停止範囲より大きく、その結果、前記車両(200、1400)の移動を停止することは、前記過渡動作モードにおいて停止することより正確でなく、第2の効率レベルが前記第1の効率レベルより、より低い燃料消費、より低い燃料排出物、又はより低いノイズ発生の1以上を有し、その結果、車両(200、1400)の移動が過渡動作モードにおけるより効率的である、ことを特徴とするシステム。
前記制御装置(208)が、前記車両(200、1400)の重量、前記車両(200、1400)に含まれる車両ユニットの数、または前記車両もしくは前記車両ユニットのうちの1以上が貨物を積んでいるか否かの指標のうちの1以上を含む、車両特性の一部に基づ過渡動作モードと移動モードとの間で切り替えるように構成されてなる、請求項1に記載のシステム。
前記制御装置(208)が、前記過渡動作モードおよび前記移動モードの両者において、前記車両(200、1400)の動作中に、前記車両(200、1400)のスロットルを自律制御するように構成された、請求項1に記載のシステム。
前記車両が経路に沿って移動すると、前記制御装置(208)が、前記移動モードから過渡動作モードへの切り替えに応答して、前記車両(200、1400)の移動を停止させる停止プロファイルを実装するように構成され、前記 停止プロファイルが、前記車両(200、1400)の移動を停止させるために前記車両(200、1400)の速度を低下させる変化率を制限した、請求項1に記載のシステム。
前記制御装置(208)が、前記車両(200、1400)の種類、前記車両(200、1400)が運搬している貨物、前記目標停止場所(1200)の種類、または前記車両(200、1400)の重量に少なくとも部分的に基づいて複数の異なる停止プロファイルから実装された前記停止プロファイルを選択するように構成された、請求項5に記載のシステム。
前記制御装置(208)が、前記停止プロファイルに従って前記車両(200、1400)の移動を減速させつつ、前記車両(200、1400)の移動の停止に用いられる制動システム(232)の異なる種類を適用させることによって、前記停止プロファイルを実装するように構成された、請求項5に記載のシステム。
前記車両(200、1400)の移動が、前記車両(200、1400)のスロットルの自律制御によって、前記過渡動作モード中および前記移動モード中に制御される、請求項9に記載の方法。
前記車両が経路に沿って移動するにつれて前記移動モードから前記過渡動作モードへの切り替えに応答して、前記車両(200、1400)の移動を停止させる停止プロファイルを実装するステップをさらに含み、前記停止プロファイルが、前記車両(200、1400)の移動を停止させるために前記車両(200、1400)の速度を低下させる変化率を制限した、請求項9に記載の方法。
前記車両(200、1400)の種類、前記車両(200、1400)が運搬している貨物、前記目標停止場所(1200)の種類、または前記車両(200、1400)の重量に少なくとも部分的に基づいて複数の異なる停止プロファイルから実装された前記停止プロファイルを選択するステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。
前記停止プロファイルを実装するステップが、前記停止プロファイルに従って前記車両(200、1400)の移動を減速させつつ、前記車両(200、1400)の移動の停止に用いられる制動システム(232)の異なる種類を適用させることを含む、請求項13に記載の方法。
車両(200、1400)の移動の開始に応答して、前記車両(200、1400)の過渡動作モードに従って前記車両(200、1400)の制御を実行するステップであって、前記車両(200、1400)が、目標停止場所の第1の停止範囲内に前記車両を停止させることができる第1の効率レベルで前記過渡動作モードにおいて制御される、ステップと、
前記目標停止場所から指定された距離を超える、前記車両と前記目標停止場所との間の距離の少なくとも一部に応答して、前記過渡動作モードから移動モードに前記車両(200、1400)を切り替えるステップであって、前記車両が、前記目標停止場所の第2の停止範囲内で車両を停止させることができる第2の効率レベルで移動モードにおいて制御され、前記第2の停止範囲は前記第1の停止範囲より大きく、その結果、前記車両の移動を停止することは、前記過渡動作モードにおいて停止することより正確でなく、第2の効率レベルが前記第1の効率レベルより、より低い燃料消費、より低い燃料排出物、又はより低いノイズ発生の1以上を有し、その結果、車両の移動が過渡動作モードにおけるより効率的である、ステップと、
を含んでなることを特徴とする方法。
前記車両(200、1400)が、少なくとも1つの推進力生成車両ユニット(1402)と、貨物を運搬するように構成された複数の推進力非生成車両ユニット(1404)とを具備しており、異なる時間において、前記複数の推進力非生成車両ユニット(1404)を貨物積載位置と合わせる複数の異なる位置間で前記車両(200、1400)を指標化することにより、前記過渡動作モードに従って、前記車両(200、1400)の制御を実行するステップをさらに含む、請求項17に記載の方法。
前記車両に設けられ、車両の速度を監視するように構成された速度センサを更に備え、当該速度センサは、速度センサからの車両の速度に関連付けられた速度パラメータを受信するように構成され、前記制御装置が、前記過渡動作モードと前記移動モードとを切り替えるか否かを決定するために、閾値速度に対する車両の速度を比較するように更に構成されてなる、請求項1に記載のシステム。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書に記載の発明的主題の1つまたは複数の実施形態は、車両の移動の開始および/または停止のタイミングを検出するシステムおよび方法を提供する。これらシステムおよび方法の使用によって、航行計画の実行開始タイミングの決定に使用可能な種々車両の移動の開始をより正確に識別するようにしてもよい。任意選択としては、これらのシステムおよび方法により、車両が移動を停止するタイミングをより正確に決定することによって、自動制御されている車両の乗員が安全に降車するのを補助することができる。
【0013】
図1は、車両の移動の検出および/または車両の動作モードの変更を行う方法100の一実施形態を示したフローチャートである。方法100は、本明細書に記載の車両、移動検出システム、および車両制御装置の1つまたは複数の実施形態によって実現するようにしてもよい。たとえば、方法100は、
図2に示すとともに本明細書に記載の通り、車両200の制御装置208、速度センサ212、レーダシステム220、慣性計測ユニット(IMU)222、カメラ214、場所決定装置218、メモリ226、および/または推進システム206のうちの1つまたは複数を具備した移動検出システム236(
図2に示す)を用いて実施するようにしてもよい。102においては、車両の1つまたは複数の移動特性をモニタリングする。移動特性には、車両の移動を示す車両の多くの異なる特徴または性質のうちのいずれかを含み得る。特性は、車両の静止状態から移動状態への変化および/または車両の移動状態から静止状態への変化に際して変化するものであってもよい。本明細書に記載の特性は、任意選択として、動作状態と称する場合がある。
【0014】
図1の方法100のフローチャートを引き続き参照して、
図2は、一実施形態に係る、車両200の模式図である。車両200は、単一の車両ユニット(単一の自動車、鉄道車両、オフハイウェイ車両、船舶、航空機等)として示しているが、任意選択としては、2つ以上の車両ユニット(鉄道車両編成、列車、複数の自動車の車列等)を含んでいてもよい。
【0015】
車両200は、車軸204と接続された2つ以上の車輪202を具備可能である。車軸204および車輪202は、推進システム206により回転されるようになっていてもよい。推進システム206は、車軸204および/または車輪202を回転させるトルクを生成する1つまたは複数のエンジン、動力源(たとえば、発電機、オルタネータ、バッテリ、キャパシタ、フライホイール等)、モータ等を表し得る。推進システム206は、当該推進システム206が行う仕事を接続して車軸204および/または車輪202の回転に変換するギア、ギアボックス、シャフト等を具備可能である。任意選択としては、推進システム206の外側に(たとえば、包含されないように)、推進システム206の1つまたは複数のモータに動力を与える動力源224が設けられていてもよい。動力源224は、1つまたは複数のバッテリ、発電機、オルタネータ、キャパシタ等を表し得る。一実施形態において、動力源224は、車両200の1つまたは複数の他のコンポーネントに動力を供給するようにしてもよい。
【0016】
一実施形態において、推進システム206は、異なる車軸204および/または車輪202に印加するトルクの量を独立して制御可能である。たとえば、制御装置208は、ある車軸204に対する別の車軸204よりも大きなトルクの同時生成および印加を推進システム206に行わせる信号を生成可能である。推進システム206は、異なる車軸204に異なるトルクを印加するため、これらの車軸204に接続されたモータを具備していてもよい。制御装置208は、1つもしくは複数のプロセッサ、マイクロコントローラ、もしくは他の電子論理型装置を含むハードウェア回路ならびに/または1つもしくは複数のプロセッサ、マイクロコントローラ、もしくは他の電子論理型装置と接続されたハードウェア回路を表し得る。
【0017】
方法100に関連して上述した通り、102においては、車両200の移動特性をモニタリングする。この移動特性には、車輪202および/または車軸204が回転した距離等、車両の1つまたは複数のコンポーネントの回転変位を含み得る。制御装置208は、1つまたは複数の車輪202の回転の有無および/または距離を判定することにより、車両200が移動しているか否かを判定することができる(後述の通り)。一実施形態において、速度センサ212は、車輪202および/または車軸204の回転距離を表す変位信号を出力可能である。また、速度センサ212は、車輪202または車軸204の回転距離を表す信号を生成する回転計を具備可能である。
【0018】
この追加または代替として、102においては、モニタリング可能な車両200の移動特性に画像および/または映像の光学特性を含み得る。車両200は、当該車両200に搭載されたカメラ214を具備可能である。カメラ214は、車両200の動作中に画像および/または映像を取得可能である。後述の通り、これらの画像および/または映像の変化をモニタリングすることにより、車両200が静止状態から移動を開始したか否かを判定することができる。
【0019】
一実施形態において、カメラ214は、当該カメラ214の視野(たとえば、カメラ214が生成する画像および/または映像に示される領域)が車両200の内側の一部を含むように、車両200の内側に配置されていてもよい。たとえば、カメラ214は、車両200の運転室216の少なくとも一部を含む視野への配置および/またはそのような視野の保有が可能である。運転室216は、運転者が車両200の動作を制御するために配置される車両200の内側の空間を表す。カメラ214の視野には、車両200の窓等の光透過部を含むことにより、車両200の外側の1つまたは複数の領域を含んでいてもよい。任意選択として、カメラ214は、車両200の外部表面に配置されていてもよい。
【0020】
この追加または代替として、102においては、モニタリングする車両200の移動特性に車両の変位を含み得る。車両の変位は、車両200の移動距離を表す。一態様において、車両の変位は、(たとえば、その他任意の方向ではない)単一の方向に車両200が移動した距離等、一方向の車両変位であってもよい。たとえば、経路210が延びる方向等、単一の方向に沿った変位のみをモニタリングするようにしてもよい。
【0021】
車両200は、車両200の場所、車両200の速度、車両200の方位等を表す場所データを生成する場所決定装置218を具備可能である。一態様において、場所決定装置218は、全地球測位システムの受信機を表し得る。あるいは、場所決定装置218は、移動通信用中継塔と連通するワイヤレス送受信機等の別の装置を具備可能である。場所決定装置218は、車両200の外側の発信源(たとえば、全地球測位システムの衛星、移動通信用中継塔等)から受信したワイヤレス信号に基づいて、車両200の場所を決定することができる。また、場所決定装置218は、この場所を表す場所データを生成するとともに、この場所データを制御装置208に伝達するようにしてもよい。この場所データには、場所決定装置218の地理的座標または車両200の場所を表す他の情報を含み得る。
【0022】
制御装置208は、異なる時間に場所決定装置218から異なる場所データを受信する可能性がある。場所データは、車両200の移動によって経時的に変化し得るが、潜在的には、場所決定装置218が受信および/または生成する信号の揺れ、場所決定装置218による座標決定の許容差、外部干渉等によっても経時的に変化し得る。一実施形態において、制御装置208は、単一の方向に沿った移動を表す場所データのみを調べるようにしてもよい。たとえば、制御装置208は、第1の方向(たとえば、地球の緯度に平行な方向、地球の経度に平行な方向、地球の緯度および/または経度に対して斜めの方向、経路210の一区分に沿って延びる方向等)に沿った場所データの変化を調べるようにしてもよい。この方向は、関心移動方向と称する場合がある。制御装置208は、その他任意の方向に沿った移動を表す場所データの変化を無視するようにしてもよい。任意選択として、場所決定装置218は、関心移動方向に沿った場所データまたは場所データの変化を制御装置208に伝達するが、他の方向に沿った場所データまたは場所データの変化は伝達しないようにしてもよい。
【0023】
この追加または代替として、102においては、モニタリングする車両200の移動特性に分離距離および/または飛行時間を含み得る。分離距離としては、車両200と当該車両200の外側に配置された1つまたは複数の物体との間の距離が可能である。飛行時間としては、車両200の外側に配置された1つまたは複数の物体に向かって1つまたは複数の電磁波が放出され、その反射または後方散乱エコーが車両200で再び受信されるまでの時間が可能である。一実施形態において、車両200は、(たとえば、地面、経路210、経路210に沿って配設された物体等に向かって)車両200の外側に電磁波を送信するレーダシステム220を具備可能である。
【0024】
レーダシステム220は、1つまたは複数の電磁波の放出とこれら1つまたは複数の電磁波のレーダシステム220での再受信との間の時間として飛行時間を計測可能である。レーダシステム220は、送受波用の1つまたは複数のアンテナおよび関連するハードウェア回路を具備可能である。レーダシステム220のハードウェア回路は、任意選択として、1つもしくは複数のプロセッサ、マイクロコントローラ、もしくは他の電子論理型装置の具備ならびに/または1つもしくは複数のプロセッサ、マイクロコントローラ、もしくは他の電子論理型装置との接続が可能である。レーダシステム220は、制御装置208への飛行時間情報の伝達および/またはレーダシステム220と電磁波の少なくとも一部を反射した物体との間の分離距離への飛行時間情報の変換が可能である。この分離距離は、制御装置208に伝達可能である。任意選択として、制御装置208は、レーダシステム220から制御装置208に報告された飛行時間に基づいて、分離距離を決定することができる。
【0025】
この追加または代替として、102においては、モニタリングする車両200の移動特性に車両200の慣性を含み得る。車両200は、車両200の慣性および/または車両200の慣性の変化を計測する1つまたは複数のIMU222等の装置を具備可能である。IMU222は、車両200の方位、車両200の速度、および/または重力のうちの1つまたは複数を表す慣性データを生成するようにしてもよい。この慣性データは、移動特性として制御装置208に伝達するようにしてもよい。任意選択として、
図2のIMU222は、IMUではない1つまたは複数の加速度計および/またはジャイロスコープを表していてもよい。
【0026】
図1の方法100のフローチャートの説明に戻って、104においては、モニタリングする1つまたは複数の移動特性の調査によって、車両200の移動が検出されたか否かを判定する。1つまたは複数の移動特性が車両200の移動開始を示している(たとえば、車両200が静止状態または位置から移動し始めた)場合は、車両200の移動が検出される。その結果、方法100のフローは、106に進むことができる。一方、1つまたは複数の移動特性が車両200の移動開始を示していない(たとえば、車両200が静止したままである)場合は、車両200の移動が検出されない。その結果、方法100のフローは、102に戻って、同一または異なる移動特性をモニタリングすることができる。
【0027】
一態様においては、車両200の1つまたは複数のコンポーネントの回転変位を調査することにより、車両200が静止状態から移動を開始したか否かを判定するようにしてもよい。制御装置208は、車両200の1つまたは複数の車輪202および/または車軸204に関して速度センサ212が計測した回転変位を調べることができる。
【0028】
ただし、車輪202および/または車軸204の回転変位を計測するだけでは、車両200が移動を開始したか否かを正確に判定できない。たとえば、車輪202と車両200が走行する経路210の表面との密着が弱い場合は、車輪202が経路210の表面に対してスリップする場合がある。このスリップにより、車両200が経路210に沿って実際に移動していなくても、車輪202が回転する可能性がある。
【0029】
車輪202のスリップが車両200の移動開始として誤って識別されることのないように、102においては、第1の車軸204または第1の車輪202に印加するトルクまたは牽引力を同じ車両200または車両ユニット(車両200が2つ以上の車両ユニットを具備する場合)のその他1つもしくは複数またはすべての車軸204および/または車輪202に対して減じることにより、車輪202および/または車軸204の回転変位の移動特性を調べることができる。この第1の車軸204または第1の車輪202は、ディレーティング車軸204またはディレーティング車輪202と称する場合がある。トルクまたは牽引力は、経路210上でスリップしていない車輪202と関連付けられた低い閾値を下回って減じるようにしてもよい。この低い閾値は、さまざまなトルクまたは牽引力での車輪202の調査による車輪202のスリップの原因トルクまたは牽引力の決定等、車両200の過去の観測によって決定するようにしてもよい。
【0030】
そして、制御装置208は、速度センサ212が出力した信号に基づいて、ディレーティング車輪202または車軸204の回転変位を決定することができる。制御装置208は、他の車輪202または車軸204に関して、同一または他の速度センサ212から信号を受信した場合、これらの信号を無視するか、または使用せずに、車両200の移動特性(たとえば、回転変位)をモニタリングすることができる。そして、車両200の移動の場合は、ディレーティング車軸204または車輪202に印加するトルクまたは牽引力が増大するようになっていてもよい。一実施形態において、制御装置208は、ディレーティング車輪202および/またはディレーティング車軸204の回転変位を繰り返し決定するようにしてもよい。制御装置208は、同じ車輪202または車軸204をディレーティング車輪202または車軸204としてモニタリングすることもできるし、異なる時間に異なる車輪202または車軸204をディレーティング車輪202または車軸204として使用するようにしてもよい。
【0031】
ディレーティング車輪202および/または車軸204が(たとえば、車両200の移動の開始によって)回転すると、速度センサ212から受信する回転変位(たとえば、距離計測結果)が変化することになる。ディレーティング車輪202および/または車軸204が(たとえば、車両200が静止したままであるために)回転していない場合は、速度センサ212から受信する回転変位が変化しないか、または(たとえば、システムまたは速度センサ212のノイズを表す指定閾値未満の)少しだけ変化することになる。
【0032】
一実施形態においては、同じ車両200(車両200が2つ以上の車両ユニットを具備する場合は、同じ車両ユニット)の2つ以上の異なる車軸204および/または車輪202の回転変位を比較することにより、車両200が静止位置から移動を開始したか否かを判定するようにしてもよい。たとえば、ディレーティング車軸204または車輪202の回転変位は、ディレーティングしていない1つまたは複数の車軸204および/または車輪202の回転変位と比較するようにしてもよい。ディレーティングしていない車軸204および/または車輪202の回転変位がディレーティング車軸204および/または車輪の回転変位よりも大きい場合は、ディレーティングしていない車軸204および/または車輪202が経路210上での車輪202のスリップに起因することを大きい方の回転変位が示す一方、車両200が移動を開始していないことをディレーティング車軸204および/または車輪202の小さい方の回転変位が示している可能性がある(たとえば、この回転変位が小さく、3センチメートル、6センチメートル、10センチメートル、50センチメートル等の閾値距離未満である場合)。一実施形態において、閾値距離は、非ゼロおよび非負の距離であってもよい。あるいは、閾値距離の値は、ゼロである。ただし、ディレーティング車軸204および/または車輪202の回転変位は、この閾値距離よりも大きい場合、車両200の移動が開始したことを示している可能性がある。
【0033】
図6は、一例に係る、車両200のディレーティング車軸204または車輪202の回転変位データ600を示している。
図7は、一例に係る、車両200のディレーティングしていない別の車軸204または車輪202の回転変位データ700を示している。回転変位データ600、700は、時間を表す水平軸602および回転変位を表す垂直軸604、704に併せて示している。垂直軸704は、垂直軸604よりも広い回転変位の範囲にわたって延びている。これは、回転変位データ700がディレーティングしていない車軸204のより大きな回転移動を示しているためである。
【0034】
回転変位データ600、700の比較によって示す通り、ディレーティングしていない車軸204または車輪202が約50インチ(たとえば、127センチメートル)だけ回転している一方、ディレーティング車軸204または車輪202は、約1インチ(たとえば、2.5センチメートル)だけ回転していた。制御装置208は、このデータ600、700を調べて、ディレーティング車軸204または車輪202が閾値距離未満しか回転していないことをデータ600が示しているのに対して、他方の車軸204または車輪202が閾値距離を大きく上回って回転していることをデータ700が示していることから、車両200が移動を開始していないものと判定することができる。
【0035】
図8は、別の例に係る、車両200のディレーティング車軸204または車輪202の回転変位データ800を示している。
図9は、一例に係る、車両200のディレーティングしていない別の車軸204または車輪202の回転変位データ900を示している。回転変位データ800、900は、時間を表す水平軸802および回転変位を表す垂直軸804、904に併せて示している。
【0036】
回転変位データ800、900の比較によって示す通り、ディレーティングしていない車軸204または車輪202は、ディレーティング車軸204または車輪202と同じ距離または略同じ距離だけ回転していた。制御装置208は、このデータ800、900を調べて、ディレーティング車軸204または車輪202が回転しており、ディレーティングしていない他方の車軸204または車輪202も回転していることをデータ800が示していることから、車両200が移動を開始しているものと判定することができる。
【0037】
任意選択により、車軸204および/または車輪202のディレーティングによる回転変位の計測の追加または代替として、車両200のスロットルを制限するようにしてもよい。スロットルは、
図2の入力装置228に含まれていてもよいし、入力装置228により表されていてもよい。スロットルの制限においては、指定低減スロットル限界を上回って運転者またはスロットルの自律制御がスロットルを増大させることを防止可能である。低減スロットル限界としては、スロットルの上側または最大範囲よりも小さなスロットルの上限が可能である。たとえば、車両200のスロットルは、その制限に先立って、(異なる牽引力、トルク、速度等を表す)1〜8のさまざまな位置の範囲または設定を有していてもよい。任意選択として、スロットルは、さまざまに移動するペダルを含んでいてもよい。スロットルは、4の設定等、低減位置を上回る移動を防止することによって制限可能である。任意選択として、スロットルは、完全または全体移動範囲に沿った移動を防止することによって制限可能である。回転変位は、スロットルの低減時に計測可能である。スロットルを低減することによって、経路210上での車輪202のスリップを防止可能であるため、車両200が移動を開始したか否かについて、より正確な指標を提供することができる。
【0038】
別の例においては、カメラ214が生成する1つまたは複数の画像および/または映像の光学特性を調べることにより、車両200の移動を検出するようにしてもよい。光学特性には、画像および/または映像の1つまたは複数の領域の強度、輝度、色等、異なる時間に得られた異なる画像間の変化、映像の異なるフレーム間の変化等を含み得る。たとえば、異なる時間に得られた画像間または異なる時間を表す映像のフレーム間において、画像または映像の共通(たとえば、同一)画素または他の部分を比較可能である。これらの共通画素または領域の1つまたは複数の光学特性(たとえば、強度、輝度、色等)を互いに比較することにより、1つまたは複数の光学特性が変化したか否かを判定することができる。任意選択として、1つの画像または映像フレームに示された物体のサイズ、場所等(たとえば、光学特性)は、別の画像または映像フレーム中の同じ物体のサイズ、場所等と比較するようにしてもよい(画像および/またはフレームが異なる時点を表す場合)。また、サイズ、場所等が変化したか否かに応じて移動が検出されるようになっていてもよいし、検出されなくてもよい。
【0039】
図3〜
図5は、カメラ214が生成する画像データ300、400、500の例を示している。画像データ300は、第1の時間を表す静止画像または映像の第1のフレームを表していてもよい。画像データ400は、これより後の第2の時間を表す静止画像または映像の第2のフレームを表していてもよい。画像データ500は、これより後の第3の時間を表す静止画像または映像の第3のフレームを表していてもよい。一態様において、制御装置208(
図2に示す)は、画像データ300、400、500中の画素302または画素群304の光学特性を調べることによって、車両200(
図2に示す)が静止位置から移動を開始したか否かを判定するようにしてもよい。画像データ300、400、500は、1秒以内、3秒以内等、互いに近い時間に取得するようにしてもよい。あるいは、画像データ300、400、500は、より長い時間にわたって取得するようにしてもよい。
【0040】
図示の例においては、画像データ300、400、500が木306の描写を含み、画像データ400、500が標識308の描写を含む。あるいは、画像データには、車両200の一部ではない1つまたは複数の他の物体または車両200とつながりのない1つまたは複数の他の物体が示されていてもよい。制御装置208は、異なる画像データ300、400、500における画素302および/または画素群304の1つまたは複数の光学特性の変化を調べることによって、1つまたは複数の光学特性が変化しているか否かを判定することができる。1つまたは複数の光学特性の変化により、画像データ300、400、500に示された物体(たとえば、木306および/または標識308)に対して、車両200が移動を開始したことを示すことができる。
【0041】
たとえば、画素302に関しては、画像データ300では木306の近くの地面を表していてもよいが、画像データ400、500では木306の葉を表していてもよい。画素302は、画像データ300から輝度、強度、色等が変化して、結果的に、画像データ400、500の別の色になっていてもよい。この変化は、制御装置208により検出可能であり、車両200が移動を開始したことを示していてもよい。別の例として、画素群304に関しては、その画素が画像データ300において地面の一部および標識308の一部を表し、画像データ400においては、標識308のより広い部分および地面のより狭い部分を表し、画像データ500においては、標識308のさらに広い部分および地面のさらに狭い部分を表していてもよい。画素群304の輝度、強度、色等(たとえば、輝度、強度、または色の平均、中央値等)は、地面および標識308の異なる部分を画素群304が表していることから、変化するようになっていてもよい。この変化は、制御装置208により検出可能であり、車両200が移動を開始したことを示していてもよい。
【0042】
一態様において、制御装置208は、画像データの調査に基づいて、車速を特性として決定することができる。制御装置208は、異なる画像、映像の異なるフレーム等の間の画像データの変化を識別するようにしてもよい。これらの変化によって、車両200が移動する速さを示すことができる。たとえば、異なる画像および/または映像フレームにおいて、画像データ中の木306、標識308等の物体が異なる量だけ移動することにより、車両200が移動する速さを示すことができる。異なる時間に得られた画像データにおいて物体が移動する距離および画像データの取得時間の離れ具合に基づいて、車両200が移動する速度を決定(たとえば、推定または計算)するようにしてもよい。たとえば、互いに5秒だけ時間的に離れた映像フレームにおいて100画素だけ離れた異なる場所に同じ物体がある場合、制御装置208は、車両200が約10キロメートル/時で移動しているものと推定することができる。互いに5秒だけ時間的に離れた映像フレームにおいて200画素だけ離れた異なる場所に同じ物体がある場合、制御装置208は、車両200が約20キロメートル/時で移動しているものと推定することができる。
【0043】
別の例においては、車両の変位を調べることにより、車両200の移動を検出するようにしてもよい。制御装置208は、場所決定装置218が提供するデータに基づいて、車両200が単一の方向に移動した距離を調べる一方、車両200が他の方向に移動した距離は除外あるいは無視するようにしてもよい。一態様において、制御装置208は、車両200が現時点で存在する経路210の区分が配向した方向を決定するとともに、この方向に沿ってのみ、車両200の変位を調べるようにしてもよい。制御装置208は、さまざまな経路区分の方向を経路区分の場所と併せて格納したマップ、データベース、または他のメモリ構造からこの方向を決定することができる。
図2に示すように、移動検出システム236のメモリ226は、経路区分の方向を経路区分の地理的場所等と併せて格納可能である。制御装置208は、場所決定装置218により(および/または、車両200の入力装置228等を介して車両200の運転者が提供する入力に基づいて)車両200の場所を決定するとともに、メモリ226を参照することにより、車両200の場所に基づいて、車両200が位置する経路区分の他、経路区分が延びる方向を決定することができる。
【0044】
そして、制御装置208は、この方向に沿って、場所データまたは場所データの変化を調べることができる。あるいは、制御装置208は、緯度方向、経度方向、または別の方向等の方向に沿って、場所データまたは場所データの変化を調べることができる。
【0045】
図10は、一例に係る、車両200の場所データ1000を示している。
図11は、一例に係る、車両200の場所データ1100を示している。場所データ1000、1100は、単一の方向における車両200の場所を表す場所データ等、一方向の場所データであってもよい。場所データ1000、1100は、時間を表す水平軸1002、1102および単一の方向に沿った距離を表す垂直軸1004、1104に併せて示している。
【0046】
一態様において、制御装置208は、場所データ1000を調べて、車両200が静止位置から移動を開始していないものと判定することができる。場所データ1000は、約30インチ(たとえば、76センチメートル)の距離にわたって延びており、これが表すこととして、場所決定装置218が約30インチ(たとえば、76センチメートル)だけ移動したことを場所データ1000が示している。制御装置208は、この距離を40インチ、50インチ、100インチ等(たとえば、102センチメートル、127センチメートル、254センチメートル等)、または別の距離等の閾値距離と比較して、車両200が移動を開始したことを場所データ1000が示しているか否かを判定することができる。閾値距離は、場所決定装置218による場所データ1000から、揺れ、ノイズ等を除去可能である。図示の例において、制御装置208は、場所データ1000が表す単一方向に沿った変位が車両200の移動開始を示していないものと判定することができる。
【0047】
これに対して、制御装置208は、場所データ1100を調べて、車両200が静止位置から移動を開始したものと判定することができる。場所データ1100は、約800インチ(たとえば、20メートル)の距離にわたって延びており、これが表すこととして、場所決定装置218が約800インチ(たとえば、20メートル)だけ移動したことを場所データ1100が示している。制御装置208は、この距離を閾値距離と比較して、場所データ1100が車両200の移動開始を示しているものと判定することができる。
【0048】
別の例においては、レーダシステム220からの電磁波の分離距離および/または飛行時間を調べることにより、車両200の移動を検出することができる。制御装置208は、分離距離、飛行時間、分離距離の変化、および/または飛行時間の変化を調べることにより、車両200が移動を開始したか否かを判定するようにしてもよい。たとえば、分離距離、飛行時間、分離距離の変化、および/または飛行時間の変化が略一定のままである場合(たとえば、1%、3%、5%、10%等の閾値以下しか変化していない場合)、制御装置208は、車両200の外側の1つまたは複数の物体に対して、車両200が移動を開始していないものと判定することができる。たとえば、分離距離、飛行時間、分離距離の変化、および/または飛行時間の変化が略一定のままでない場合(たとえば、閾値を超えて変化している場合)、制御装置208は、車両200の外側の1つまたは複数の物体に対して、車両200が移動を開始したものと判定することができる。
【0049】
別の例において、制御装置208は、車両200の慣性の変化を調べることにより、車両200が移動を開始したか否かを判定することができる。制御装置208は、車両200の運転者からの入力等に基づいて、(上述の通り)場所決定装置218からの場所データおよびメモリ226に格納された情報の使用等により、車両200の直下の経路210の区分が延びる方向を決定することができる。また、制御装置208は、この同じ方向に沿った車両200の移動を慣性データまたは慣性データの変化が示しているか否かを判定することができる。
【0050】
たとえば、制御装置208は、8°(たとえば、東方向の北に8°)の方向に沿って経路210が延びているものと判定するようにしてもよい。また、制御装置208は、この方向に沿った1キロメートル/時未満での車両200の移動を示すIMU222からの慣性データを受信可能である。このデータは、1つまたは複数の他の方向における車両200の他の移動を示していてもよいが、制御装置208は、この他のデータを無視するようにしてもよい。制御装置208は、(IMU222からの慣性データが示す)経路210の方向に沿った車両200の移動を比較するとともに、この移動を1つまたは複数の速度閾値(たとえば、2キロメートル/時、5キロメートル/時、10キロメートル/時等)と比較することができる。慣性データによる移動がこの閾値を超えていない場合、制御装置208は、車両200が移動していないものと判定するようにしてもよい。ただし、慣性データによる移動がこの閾値を超えている場合、制御装置208は、車両200が移動を開始したものと判定することができる。あるいは、制御装置208は、2つ以上の方向に沿った移動を表す慣性データを調べることにより、車両200が移動を開始したか否かを判定するようにしてもよい。
【0051】
車両200の多車両ユニット実施形態(たとえば、
図14に関連して図示および説明する複数の車両ユニット1402、1404を有する車両1400)に関しては、車両の移動の開始を識別する別の技術として、車両の選択した推進力生成車両ユニットの車輪202および/または車軸204のうちの1つもしくは複数またはすべてをディレーティングした後、ディレーティング車輪202および/または車軸204のうちの1つまたは複数の回転変位をモニタリングすることが可能である。残りの推進力生成車両は、ディレーティングを行わなくてもよいし、ディレーティングした車輪202または車軸204を具備していなくてもよい。選択した推進力生成車両ユニットのディレーティング車輪202および/または車軸204の回転変位は、上述と同様に調べることによって、車両の移動開始タイミングを決定するようにしてもよい。一態様において、車両は、1つの推進力生成車両ユニットがその他の推進力生成車両ユニットの動作を遠隔制御する分散動力(DP)構成で動作するようになっていてもよい。この車両ユニットは、車両の先導ユニットと称する場合がある。一実施形態において、ディレーティングした車輪202および/または車軸204を有する選択推進力生成車両は、先導車両ユニットである。あるいは、別の車両ユニットが選択車両ユニットであってもよい。
【0052】
このような多車両ユニット型の車両の移動開始を識別する別の技術においては、車両ユニットのうちの少なくとも2つの移動データをモニタリングすることができる。移動データには、移動の方向および/または速度を表す情報を含み得る。たとえば、移動データには、1つまたは複数の車輪202および/または車軸204の回転変位、加速度、減速度、画像データの光学特性の変化、速度等を含み得る。また、複数の車両ユニットの移動データをモニタリングすることにより、車両が静止位置から移動を開始したか否かを判定することができる。たとえば、2つ(以上)の車両ユニットの移動データをモニタリングして、車両ユニットのうちの1つ(全部ではない)の移動データが移動を示している場合、制御装置208は、車両が移動を開始していないものと判定することができる。少なくとも閾値数の車両ユニット(たとえば、モニタリングする車両ユニットのうちの少なくとも2つ、モニタリングする車両ユニットのすべて等)の移動データが移動を示している場合、制御装置208は、車両が移動を開始したものと判定する。
【0053】
図1の方法100のフローチャートの説明に戻って、車両200が移動を開始していないという判定の場合、方法100のフローは、102に戻ることができる。一方、車両200が移動を開始したという判定の場合、方法100のフローは、106に進むことができる。
【0054】
106においては、車両200の移動を制御して、車両200の現在の動作モードの目的を実現する。車両200は、さまざまな動作モードで動作可能であり、異なるモードは異なる目的と関連付けられている。各モードは、車両200の推進システム206および/または制動システム232の異なる動作によって、それぞれのモードと関連付けられた目的を実現する(または、実現を目指す)点において異なり得る。たとえば、第1の動作モードにおいて、車両200の制御装置208は、少なくとも1つの第1の目的の実現に向けて車両200の動作を制御するように構成されていてもよい。一方、第2の動作モードにおいて、制御装置208は、異なる動作設定を指定することにより、少なくとも1つの異なる第2の目的の実現に向けて車両200を駆動するように構成されている。制御装置208は、車両200の動作状態が変化した場合(たとえば、指定の閾値と交差した場合)、第1の動作モードと第2の動作モードとを切り替え可能である。動作設定は、移動中に実装する車両200の速度、スロットル設定、制動設定、または加速度のうちの1つまたは複数であってもよい。
【0055】
一実施形態において、車両200は、静止位置から移動を開始すると、過渡動作モードに従って動作するようになっていてもよい。このモードにおいては、制御装置208が車両200の移動を制御することにより、空間的な目的を実現可能である。空間的な目的には、経路210に沿った車両200の場所を1つまたは複数の指定許容限度内に制御するという目標を含み得る。たとえば、空間的な目的には、目標停止場所に対する第2の指定許容範囲内に車両200の場所を維持すること等を含み得る。あるいは、制御装置208は、過渡動作モードにおける別の目的に従って、車両200を制御することができる。制御装置208は、別のモードでの動作に対して、生成ならびに/または車軸204および/もしくは車輪202を回転させるモータへの供給が可能な動力を制限することにより、過渡動作モードにおいて車両200の場所をより厳密に制御することができる。たとえば、制御装置208は、(より広い範囲を使用可能な)他のモードに対して、過渡動作モードでの動作中に、より狭い範囲の速度、モータへの供給電圧および/または電流等で動作するように推進システム206を制限することができる。
【0056】
図12は、一例に係る、経路210に沿って走行する車両200を示している。車両200は、目標停止場所1200に向かって、経路210に沿って移動しつつ、過渡動作モードで動作していてもよい。目標停止場所1200は、貨物および/または乗員の積載または除荷、1つまたは複数の他の車両ユニットとの結合、別の物体または車両との衝突の防止、車両200の駐車等、車両200が停止する経路210に沿った場所を表すことができる。過渡動作モードを用いることにより、(運転者が車両200内に存在するか否かに関わらず)運転者が車両200を制御しなくても、車両200を停止場所へと安全に制御することができる。制御装置208は、過渡動作モードで動作している場合、制御装置208がその他1つもしくは複数またはすべての動作モードで動作している場合と比べて、車両200の先端1206が停止場所1200の周りの狭い停止範囲または許容差1202内となるように、車両200を減速させて停止させることができる。
【0057】
たとえば、制御装置208は、別のモード(本明細書に記載の移動モード等)で動作している場合、当該制御装置208のみが車両200の先端1206をより広い停止範囲または許容差1204内に停止できるように、より広範な推進システム206の動作設定を使用するようにしてもよい。先端1206は、より狭い停止範囲1202内に配置される場合もあるが、移動モードで動作している車両200の停止の大多数または圧倒的多数では、先端1206が狭い範囲1202の外側ではあるものの、より広い範囲1204内となる。
【0058】
過渡動作モードにおいては、任意選択として、制御装置208が車両200の移動を制御することにより、速度目的を実現可能である。速度目的には、経路210に沿った車両200の速度を1つまたは複数の指定速度制限または範囲内に制御するという目標を含み得る。速度制限または範囲は、経路210の制限速度より低くてもよい。たとえば、経路210は、車両が経路210を走行可能な最大合法速度を示す制限速度と関連付けられていてもよい。速度目的の制限速度は、経路210の制限速度より低くてもよい。任意選択として、速度目的には、車両200の運転者が選択した速度および/または車両200の航行計画が指定した速度よりも車両200がどれだけ高速または低速に走行可能であるかを制限する速度許容差を含み得る。たとえば、速度許容差は、運転者が選択した速度または航行計画が指定した速度の2キロメートル/時以内で車両200が走行するように制限してもよいが、別のモードでの動作においては、選択または指定速度の上下2キロメートル/時を超えて車両200が走行可能であってもよい。
【0059】
車両200が別の動作モードに従って動作している場合は、車両200の移動を制御することにより、別の目的を実現することができる。たとえば、車両200は、移動モードで動作しつつ、効率目的を実現するように動作可能である。効率目的には、1つまたは複数の制約(たとえば、指定の非ゼロ制限速度以上であること、指定の時間以下で目的地等の場所に到達すること等)の範囲内で動作しつつ、車両200の動作パラメータを指定限度未満に保つように車両200の推進システム206(たとえば、エンジン)を制御することを含み得る。動作パラメータは、燃料消費、排ガスの生成、可聴ノイズの生成等であってもよい。
【0060】
移動モードに従った走行中、制御装置208は、車両200の動作を制限することによって、効率目的を実現可能である。たとえば、制御装置208は、車両200のスロットル制御による大き過ぎる加速または減速(たとえば、加速または減速に関する指定限度よりも高速または低速)を防止可能である。別の例として、制御装置208は、車両200のスロットル制御による車両200の加速または必要以上の高速度の維持(たとえば、経路210の下り坂区分に近づいている場合)を防止可能である。別の例として、制御装置208は、車両200が経路210の上り坂区分に近づいている場合の車両200の制動システムの起動による車両200の減速を防止可能である。別の例において、制御装置208は、車両200のスロットルの早過ぎる設定または位置変化を防止可能である。制御装置208は、別のモードでの動作に対して、移動モードでの動作中におけるこれら設定の変化量またはより狭い設定範囲および/もしくは短い移動距離でのスロットルの移動可能量を制限することができる。
【0061】
一実施形態において、制御装置208は、移動モードの車両200の動作を制御して、航行計画に従って走行することにより、効率目的を実現可能である。航行計画は、時間および/または経路210に沿った距離の関数として、車両200の動作設定を指定することができる。これらの動作設定には、スロットル設定、車両200の制動システム232の制動設定(たとえば、空気制動システム、動的制動、ディスク制動等)、車両200の速度等を含んでいてもよい。航行計画の動作設定を使用することにより、(
図2に示す)出力装置230上の命令の表示または可聴提示等によって車両200を制御する方法を運転者に指示するようにしてもよい。出力装置230には、表示装置、スピーカ等を含み得る。あるいは、車両200は、航行計画が指定する動作設定を用いて直接(たとえば、自律的に)制御するようにしてもよい。たとえば、制御装置208、推進システム206、制動システム232等は、航行計画が指定する動作設定に従って、自律的に制御するようにしてもよい。制御装置208は、移動モードのみ、過渡動作モードのみ、または移動モードおよび過渡動作モードの両者における車両200の動作中の運転者の介在なく、推進システム206のスロットルおよび/または制動システム232を直接制御するようにしてもよい。
【0062】
航行計画を生成することによって、指定の制約、制限、および限定を満足または持続しつつ、車両200の航行中の特定の目標または目的を実現または増大することができる。考え得る目的としては、車両200の手動制御および/または航行計画以外による車両200の制御に対して、エネルギー(たとえば、燃料)効率の向上、排ガス生成の抑制、航行時間の短縮、モータ微調整の向上、車輪および経路の摩耗の低減等が挙げられる。制約または限定には、制限速度、スケジュール(さまざまな指定場所における到着時間等)、環境規制、基準等を含み得る。航行計画の動作設定は、それと異なる動作設定(たとえば、車両200の運転者が航行の牽引力および制動設定を決定する場合等)に従った航行の経路210に沿って走行する車両200に対して、指定目的の実現レベルを向上させるように構成されている。航行計画の効率目的の一例は、(たとえば、燃料消費の低減による)航行中の燃料効率の向上である。航行計画が指定した動作設定を実行することにより、航行計画に従わない経路の同じ区分に沿った同じ時間の同じ車両システムの走行に対して、燃料消費を低減可能である。航行計画は、経路210に沿った車両200の挙動のモデルに基づくアルゴリズムを用いて確立するようにしてもよい。このアルゴリズムには、単純化を前提とした適用可能な物理学方程式により導出された一連の非線形微分方程式を含んでいてもよい。
【0063】
異なる航行計画は、目的が異なっていてもよい。燃料効率を目的とする航行計画は、車両が経路に沿った指定の停止場所に近づきながら減速して停止する場合に関連しない可能性があるため、低速で停止場所に近づいて航行する車両システムの運転者には有益とならない場合がある。航行計画は、(たとえば、過渡動作モードの目的として可能な)モータ微調整を目的として生成してもよいため、車両システムが停止場所に近づいて離れる際の航行計画の後続命令によって、たとえば車両システムの突然の停止および発進、所望の停止場所に対する車両システムの不要または不正確な場所での停止(たとえば、
図12の範囲1202ではなく範囲1204での停止)、ならびに/または車輪のスリップによる車輪および/もしくは軌道の摩耗が考えられる。
【0064】
図1の方法100のフローチャートの説明に戻って、108においては、1つまたは複数の特性を決定する。特性は、現在の動作モードに従った車両200の制御を維持するか否かまたは車両200の動作モードが切り替え対象であるか否かの決定に利用可能である。決定する特性としては、車両特性、経路特性、環境条件、車両200の速度、車両200と停止場所1200との間の距離、および/または別の特性が可能である。
【0065】
車両特性には、車両200の重量(または、重さ)、車両200に含まれる車両ユニットの数、車両200の種類(たとえば、車両200の製造および/または型式番号)、推進システム206の種類、車両200または車両200の車両ユニットのうちの1つまたは複数が貨物を積んでいるか否かの指標等のうちの1つまたは複数を含む。この特性は、運転者、車外の設備、航行管理票、または別の供給源から入力装置228を介して制御装置208に入力可能である。車両ユニットの数に関して、車両200は、経路210に沿ってともに走行する2つ以上の車両ユニットで構成された編成を表すことができる。車両ユニットは、互いに接続(たとえば、列車として走行する鉄道車両)または互いに分離(たとえば、トラック、自動車等の車列)可能である。この特性は、運転者、車外の設備、航行管理票、または別の供給源から入力装置228を介して制御装置208に入力可能である。
【0066】
車両200または車両ユニットが貨物を積んでいるか否かの指標に関して、この指標は、車両200もしくは車両ユニットが貨物もしくは乗員を運搬しているか否かまたは車両200もしくは車両ユニットに貨物も乗員も存在しないか否かを表すことができる。この特性は、運転者、車外の設備、航行管理票、または別の供給源から入力装置228を介して制御装置208に入力可能である。
【0067】
経路特性には、経路210の占有状態、経路210の等級等を含み得る。占有状態は、車両200が現時点で走行している同じ経路210または経路210の区分における1つまたは複数の他の車両の有無、車両200と同じ経路210または経路区分における車両の数、経路210に沿ったその他の車両と車両200との間の距離等を表すことができる。経路特性は、車両200およびその他の車両のスケジュール、スケジューリングもしくは発送設備、車両200の運転者等から制御装置208が受信した情報に基づいて決定することができる。
【0068】
環境条件は、車両200が走行している気象の種類を表すことができる。たとえば、異なる環境条件によって、車両200が雪、氷、雨、風、または晴天の中を移動中であるか否かを表すことができる。この特性は、運転者、車外の設備、航行管理票、または別の供給源から入力装置228を介して制御装置208に入力可能である。
【0069】
110においては、車両200の動作モードを変更するか否かを決定する。動作モードは、108において決定した特性のうちの1つまたは複数に基づいて変更するようにしてもよい。たとえば、車両200が目標停止場所1200からの指定距離よりも遠い場合(たとえば、車両200の安全制動距離等、車両200がこの場所から遠い場合)、車両200の動作モードは、過渡動作モードから移動モードに切り替えるようにしてもよい。このようにしてモードを変更することにより、目標停止場所1200に近づくまで、車両200がより効率的に動作可能であってもよい。その結果、方法100のフローは、112に進むことができる。一方、車両200が目標停止場所1200からの指定距離よりも遠くない場合、車両200の動作モードは、過渡動作モードから移動モードに切り替えないようにしてもよい。このように、モードを変更しないことにより、移動モードに切り替えた場合の車両200よりも目標停止場所1200の近くで車両200が停止可能であってもよい。その結果、方法100のフローは、106に戻ることができる。
【0070】
別の例として、車両200の車両ユニット数が指定ユニット数よりも小さい場合(たとえば、車両200が単一の車両ユニットである場合またはユニット数が100未満等である場合)、車両200の動作モードは、過渡動作モードから移動モードに切り替えるようにしてもよい。その結果、方法100のフローは、112に進むことができる。一方、車両200のユニット数が指定数よりも大きい場合(たとえば、車両200が長い列車または車列である場合)、車両200の動作モードは、過渡動作モードから移動モードに切り替えないようにしてもよい。その結果、方法100のフローは、106に戻ることができる。
【0071】
別の例として、車両200が1つまたは複数の指定車両種と同じ種類の車両である場合(たとえば、車両200がハイブリッド車、完全な電気自動車、ハイブリッド機関車である場合、またはハイブリッド機関車を含む場合等)、車両200の動作モードは、過渡動作モードから移動モードに切り替えるようにしてもよい。その結果、方法100のフローは、112に進むことができる。一方、車両200がこの種の車両でない場合、車両200の動作モードは、過渡動作モードから移動モードに切り替えないようにしてもよい。その結果、方法100のフローは、106に戻ることができる。
【0072】
別の例として、車両200が貨物を運搬していない旨の指標を有する場合またはそのような指標と関連付けられている場合、車両200の動作モードは、過渡動作モードから移動モードに切り替えるようにしてもよい。その結果、方法100のフローは、112に進むことができる。一方、車両200が貨物を運搬している場合、車両200の動作モードは、過渡動作モードから移動モードに切り替えないようにしてもよい。その結果、方法100のフローは、106に戻ることができる。
【0073】
別の例として、車両200が走行する経路210が他の車両で渋滞していることを経路特性が示している場合、制御装置208は、車両200が経路210を安全に走行できるように、過渡動作モードから移動モードへの切り替えを行わないようにしてもよい。たとえば、同じ経路210および/または車両200が走行する予定の経路210上のその他車両の数、密度等が指定交通閾値数、密度等よりも大きい場合、制御装置208は、車両200のモードを(たとえば、移動モードに)切り替えないようにしてもよい。その結果、方法100のフローは、106に進むことができる。一方、経路210が他の車両で渋滞していることを経路特性が示していない場合、制御装置208は、モードを移動モードに切り替えるようにしてもよい。方法100のフローは、112に進むことができる。
【0074】
別の例として、車両200が走行する同じ経路210上の1つまたは複数の他の車両が閾値距離しか離れていないことを経路特性が示している場合、制御装置208は、過渡動作モードから移動モードへの切り替えを行わないようにしてもよい。制御装置208は、車両200の走行が速過ぎてその他車両のうちの1つまたは複数と衝突する危険を及ぼすことのないように、モードを切り替えないようにしてもよい。一態様において、閾値距離は、車両200の制動システム232が制動の適用から車両200の停止までに要する距離を表していてもよいし、そのような距離に基づいていてもよい。この距離は、車両200の速度が高い場合、車両200の制動能力が低い場合、経路210が下り勾配である場合等に長くなる可能性がある。また、この距離は、低速、高い制動能力、上り勾配等の場合に短くなる可能性がある。制御装置208がモードを切り替えない場合、方法100のフローは、106に進むことができる。
【0075】
ただし、経路210上の車両200から閾値距離の範囲内に1つまたは複数の他の車両が存在することを経路特性が示していない場合、制御装置208は、過渡動作モードから移動モードへの切り替えを行うようにしてもよい。その結果、方法100のフローは、112に進むことができる。
【0076】
別の例として、車両200が走行する経路210が下り勾配であることを経路特性が示している場合、制御装置208は、車両200が経路210を安全に走行できるように、過渡動作モードから移動モードへの切り替えを行わないようにしてもよい。その結果、方法100のフローは、106に進むことができる。一方、経路210が上り勾配または平坦であることを経路特性が示している場合、制御装置208は、モードを移動モードに切り替えるようにしてもよい。方法100のフローは、112に進むことができる。
【0077】
別の例として、車両200の視界、制動能力、車輪202と経路210との間の密着等を低下させ得る種類の気象であることを環境条件が示している場合、制御装置208は、110において、車両200の動作モードを過渡動作モードから移動モードに切り替えるべきではないと判定するようにしてもよい。たとえば、車両200が雨、氷、雪、霧等の中を走行している場合、制御装置208は、車両200を過渡動作モードに保って、車両200が危険な速度で走行することおよび/または車両200が経路210上の配置場所で微調整を喪失することを防止するようにしてもよい。その結果、方法100のフローは、106に戻ることができる。一方、視界、制動能力、密着等を低下させ得る種類の気象であることを環境条件が示していない場合、制御装置208は、過渡動作モードから移動モードへの切り替えを行うようにしてもよい。その結果、方法100のフローは、112に進むことができる。
【0078】
110における判定は、本明細書に記載の特性のうちの2つ以上に焦点を当てることができる。単一の特性に基づいて動作モードを切り替えるか否かを判定する代わりに、方法100では、2つ以上の特性に基づいてモードを切り替えるか否かを判定するようにしてもよい。たとえば、2つ以上の特性の集合の少なくとも1つの指定数、百分率、割合等によって、車両200のモードを切り替えるべきことが示されている場合、方法100のフローは、110から112に進むことができる。一方、モードを切り替えるべきことを示しているのが、特性の指定数、百分率、割合等に満たない場合、方法100のフローは、110から106に進むことができる。
【0079】
110での判定に関する上記説明は、過渡動作モードから移動モードへの切り替えに焦点を当てている。この判定は、車両200が移動モードで動作している場合にも行うことができる。方法100は、110において、車両200が移動モードから過渡動作モードに切り替わるべきか否かを判定可能である。たとえば、車両200が移動モードで動作しており、目標停止場所1200からの指定距離よりも遠くない場合、車両200の動作モードは、移動モードから過渡動作モードに切り替えるようにしてもよい。一方、車両200が目標停止場所1200からの指定距離よりも遠い場合、車両200の動作モードは、移動モードから過渡動作モードに切り替えないようにしてもよい。
【0080】
別の例として、車両200が走行する経路210が他の車両で渋滞していないことを経路特性が示している場合、方法100では、移動モードから過渡動作モードへの切り替えを行わないようにしてもよい。一方、経路210が他の車両で渋滞していることを経路特性が示している場合、方法100では、モードを過渡動作モードに切り替えるようにしてもよい。別の例として、車両200が走行する同じ経路210上の1つまたは複数の他の車両が車両200から少なくとも閾値距離だけ離れていることを経路特性が示している場合、方法100では、移動モードから過渡動作モードへの切り替えを行わないようにしてもよい。ただし、経路210上の車両200から閾値距離の範囲内に1つまたは複数の他の車両が存在することを経路特性が示している場合、制御装置208は、移動モードから過渡動作モードへの切り替えを行うようにしてもよい。別の例として、車両200の視界、制動能力、車輪202と経路210との間の密着等を低下させ得る種類の気象でないことを環境条件が示している場合、方法100では、110において、移動モードから過渡動作モードへの切り替えを行わないようにしてもよい。一方、視界、制動能力、密着等を低下させ得る種類の気象であることを環境条件が示している場合、方法100では、移動モードから過渡動作モードへの切り替えを行うようにしてもよい。
【0081】
方法100の説明は、過渡動作モードと移動モードとの間の切り替えに焦点を当てているが、方法100は、任意選択として、1つまたは複数の他の動作モード間の切り替えに使用するようにしてもよい。
【0082】
112においては、車両200の動作モードを切り替える。制御装置208は、過渡動作モードから移動モードへの切り替え、移動モードから過渡動作モードへの切り替え、過渡動作モードもしくは移動モードから別のモードへの切り替え、またはその他2つの動作モード間の切り替えを行うようにしてもよい。そして、車両200は、現在の動作モードが課す制約の範囲内で動作するようにしてもよい。一実施形態においては、特性のモニタリングを継続できるとともに、モードを切り替えるか否かの1つまたは複数の別の判定を行えるように、方法100のフローが106に戻ることができる。
【0083】
たとえば、貨物を運搬する鉄道車両の運用においては、鉄道車両の移動開始タイミングの検出によって方法100が動作するようになっていてもよい。そして、方法100は、鉄道車両の動作モードが移動モードに切り替わり得ることを特性のうちの1つまたは複数が示すまで、過渡動作モードに従って鉄道車両を動作させるようになっていてもよい。方法100では、特性のうちの1つまたは複数のモニタリングを継続可能であり、モードを切り替えるべきことを特性が示している場合は、移動モードから過渡動作モード等の1つまたは複数の他の動作モードへの切り替えを行うことができる。たとえば、鉄道車両が別の車両の閾値距離、停止場所の範囲内等となったことに応答して、方法100では、鉄道車両の動作モードを移動モードから過渡動作モードに切り替えるようにしてもよい。そして、鉄道車両は、停止するまで、過渡動作モードに従って動作するようになっていてもよい。
【0084】
図13は、一実施形態に係る、航行中に
図2の経路210を走行する
図2の車両200の速度プロファイル1300を示している。速度プロファイル1300は、速度を表す垂直軸1302および時間または経路210に沿った距離を表す水平軸1304に併せて示した車両200の速度を表している。一態様において、速度プロファイル1300は、時間および/または経路210に沿った距離の関数として車両200の速度を指定することにより1つまたは複数の目的を実現する航行計画によって決定されるようになっていてもよい。あるいは、速度プロファイル1300は、航行計画による指定としてではなく(たとえば、手動制御の準拠、制限速度が指定する速度での走行等によって)、車両が経路210に沿って走行する速度を表すことができる。
【0085】
上述の通り、制御装置208は、車両200の1つまたは複数の特性が指定の閾値と交差した場合、第1の動作モードと第2の動作モードとを切り替えるようにしてもよい。図示の実施形態において、制御装置208の動作モードの決定に用いられる動作状態は、経路210に沿った車両200の速度である。指定の閾値は、閾値速度V
THである。一実施形態において、制御装置208は、車両200の速度が少なくとも閾値速度V
THであることに基づくか、または応答して、第1の動作モード(たとえば、移動モード)で動作するようになっていてもよく、車両200の速度が閾値速度V
THを下回ることに基づくか、または応答して、第2の動作モード(たとえば、過渡動作モード)で動作するようになっていてもよい。
【0086】
航行中は、速度プロファイル1300に示すように、車両200の速度が閾値速度V
THと複数回交差してもよい。たとえば、車両200は、航行の大部分におおいて、閾値速度V
THよりも高速で走行する。このため、制御装置208は、航行時間の大部分において、第1の動作モードで動作する。ただし、車両200が航行を開始した場合、停止位置から加速した場合、および/または減速した場合は、車両200の速度が少なくとも一時的に閾値速度V
THを下回る。このため、少なくとも車両200が減速して停止する際または停止から加速する際には、制御装置208が第2の動作モードで動作する。
【0087】
一実施形態において、車両200の移動の目的は、制御装置208の動作モードの変化に応答して変化する。第1の動作モード(たとえば、過渡動作モード)において、車両200が閾値速度V
THよりも高速で走行している場合、制御装置208は、車両200を駆動する動作設定の指定によって、第1の目的を実現する。第1の目的は、車両200による燃料消費の低減、車両200による排ガス生成の抑制、車両200が生成する可聴ノイズの抑制、車両200の取扱性向上(たとえば、2つ以上の車両ユニットを有する車両200の連結器に加わる力の抑制)、航行中の走行時間の短縮等のうちの1つまたは複数であってもよい。第1の目的には、上掲の目的のうちの2つ以上等、複数の目的を含んでいてもよい。航行計画の指定動作設定の実行により実現される燃料消費の低減、排ガス生成の抑制、走行時間の短縮、取扱性の向上等は、車両200の運転者が手動で選択した動作設定、経路210の制限速度で車両200を走行させる動作設定、スケジュールの決定よりも早くまたは遅く予定場所に車両200を到着させる動作設定等、他の異なる動作設定に従う車両200の航行経路に沿った走行と相対的なものである。
【0088】
一態様において、エネルギー管理システム234(
図2に示す)は、航行計画の動作設定を指定可能である。
図2において、エネルギー管理システム234は、車両200に搭載されたものとして示しているが、代替として、車両200の外部に配設されていてもよい。エネルギー管理システム234は、1つもしくは複数のプロセッサ、マイクロコントローラ、もしくは他の電子論理型装置を含むハードウェア回路ならびに/または1つもしくは複数のプロセッサ、マイクロコントローラ、もしくは他の電子論理型装置と接続されたハードウェア回路を表し得る。また、エネルギー管理システム234は、航行計画の動作設定を指定することにより、1つまたは複数の制約を満たしつつ第1の目的の実現に向けて車両200を駆動することができる。たとえば、これらの制約には、経路210に沿った制限速度、車両の能力上の制約、航行スケジュール時間、放出制限等を含み得る。このため、車両200は、指定の動作設定を実行することにより、経路210の関連区分に指定された制約を超えることがない。制限速度は、鉄道または道路の当局が設定した恒久的または一時的な制限速度であってもよい。一時的な制限速度は、経路210の建設、保守、または渋滞に起因していてもよい。車両の能力上の制約には、推進システム206(
図2に示す)のモータの出力能力、入力装置228(
図2に示す)のノッチ設定、および/または車両200で利用可能な燃料供給を含み得る。エネルギー管理システム234は、供給可能な水準を超えて推進システム206に動力を供給させる動作設定を指定しないように構成されている。航行スケジュール時間には、目的場所での計画到着時間、予定集合時間、ならびに路傍装置および/もしくは停止場所等の指定経路マーカに車両200が到達すべき時間等、航行の指定時間を含む。放出制限には、環境保護庁(EPA:Environmental Protection Agency)、鉄道会社、地方自治体、または他の規制当局が指定するような燃料排出物、ノイズ放出等に関する制限を含み得る。制約の一部は、入力装置228からの情報を用いて決定されるようになっていてもよい。
【0089】
第1の目的は、放出制限および速度制限等の上記制約が課された経路210の長さに沿った車両200による燃料消費の低減であってもよい。任意選択として、第1の目的は、燃料使用および/または予定到着時間等の制約が課された車両200が生成する排ガスの抑制であってもよい。さらに別の例において、第1の目的は、航行に関して制約の緩和が許可または必要とされる総排ガス生成および/または燃料消費に関する制約がない場合の走行時間の短縮であってもよい。走行時間の短縮は、出発場所と目的場所との間の航行中の総走行時間の短縮および/または航行の区分に沿った走行時間を指していてもよい。任意選択として、第1の目的には、2つ以上の目的を含んでいてもよく、制限速度、車両の能力上の制約、および航行スケジュール時間等の制約が課された経路210に沿った車両200の燃料消費および排ガス生成の低減の両者を含んでいてもよい。
【0090】
車両200の取扱性には、車両200の個々の車両ユニット間の連結器内に加わる力の制御を伴っていてもよい。たとえば、車両200の連結器での印加および/または受容として予想または計算される見込みの力は、車両200の許容速度を制限することにより抑えられるようになっていてもよい。許容速度は、車両200の航行計画が決定した速度よりも低い速度、経路の制限速度等に制限されていてもよい。車両200の取扱性は、車両の許容速度を制限せずに同じ経路に沿って走行する車両に対して、車両ユニット間の連結器の力が抑えられる点において向上可能である。車両200の許容速度は、より大きな見込みの力が連結器に生じることが予想される経路の場所または区分に限定される一方、他の場所には限定されていなくてもよい。その結果、車両200は、航行の大部分において、航行計画の指定速度、経路の制限速度等、またはその近傍で走行可能であることにより、スケジュールの維持または航行計画および/もしくは経路の制限速度の意図に近い時間での航行の完了が可能である。また、車両の取扱性には、車両システムの個々の車両間の間隔の制御を含んでいてもよい。たとえば、車両200は、連結器の張力および圧縮を管理するように制御することによって、車両間の間隔にも影響する許容指定限度の範囲内に力を保つようにしてもよい。
【0091】
エネルギー管理システム234は、経路210に沿った車両200の挙動のモデルに基づくアルゴリズムを用いて航行計画を生成するようにしてもよい。このアルゴリズムには、単純化を前提とした適用可能な物理学方程式により導出された一連の非線形微分方程式を含んでいてもよい。たとえば、燃料消費を低減する第1の目的の場合、エネルギー管理システム234は、さまざまな速度での経路210上のさまざまな車両の過去の航行によるデータを用いて作成された走行時間曲線にプロットされた燃料使用を参考にしてもよい。生成された航行計画は、時間および/または経路210に沿った距離の関数として、車両200の動作設定を指定する。これらの動作設定は、第1の目的の実現に向けて車両200を駆動するように指定可能である。閾値速度以上で走行する車両200に応答して、制御装置208は、第1の動作モードである。第1の動作モードにおいて、エネルギー管理システム234は、燃料消費の低減、排ガス生成の抑制、車両の取扱性向上、および/または総走行時間の短縮を含む第1の目的の実現に向けて車両200を駆動するため、航行計画に従って動作設定を指定する。
【0092】
一実施形態において、閾値速度は、車両200の航行に先立って選択された速度である。たとえば、閾値速度は、5キロメートル/時(km/h)〜32km/h、より具体的には8km/h〜24km/hの速度であってもよい。種々実施形態において、閾値速度としては、8km/h、16km/h、24km/h等の値も可能である。閾値速度は、車両200の種類によって決まるものであってもよい。たとえば、車両200が鉄道車両である場合の閾値速度は、車両200が自動車またはオフハイウェイ車両である場合の閾値速度より低くてもよく、車両200が船舶である場合の閾値速度より高くてもよい。
【0093】
指定の閾値を下回る車両200の動作状態に基づくか、または応答して、制御装置208の動作モードおよび/または車両200の移動の目的は変化する可能性がある。たとえば、車両200の速度が閾値速度を下回る場合、制御装置208は、第2の動作モードで動作可能である。第2の動作モードにおいて、エネルギー管理システム234は、車両200を駆動する動作設定の指定によって、第1の目的と異なる第2の目的を実現することができる。一実施形態において、エネルギー管理システム234の動作モードおよび車両200の移動の目的は、車両200の動作状態の閾値との交差に際して、自動的に変化する。たとえば、車両200の速度が偶然または非意図的に指定の速度閾値を下回った場合であっても、制御装置208および/もしくはエネルギー管理システム234の動作モードならびに車両200の移動の目的の切り替えが起動される。あるいは、動作モードおよび移動目的の切り替えは、自動的にではないが、動作状態の閾値との交差に基づいて生じる場合がある。たとえば、動作状態が指定の閾値と交差したことを検出すると、制御装置208は、出力装置230を介して、エネルギー管理システム234および/もしくは制御装置208の動作状態の変化ならびに車両200の移動目的の変化を要求または提案する通知を車上の運転者に提供するようにしてもよい。このように、運転者は、変更を進めるか否かに関する選択肢および最終的な権限を有していてもよい。
【0094】
制御装置208および/またはエネルギー管理システム234の動作モードは、車両200の動作状態に基づいて変化し得る。これは、経路210に沿った車両200の状況または状態の変化に伴って目的の関連性または優先度が変化し得るためである。たとえば、車両200が閾値速度を超える速度で走行している場合、関連する目的は、燃料消費の低減、排ガス生成の抑制、および/または航行の総走行時間の短縮であってもよい。これらの目的は、閾値速度を超える速度で関連性がある。このような速度では、経路210の距離の大部分を車両200が通過し得るためである。一方、車両200は、たとえば減速して停止する場合または停止から加速する場合、閾値速度を下回る速度で移動し得る。これらの状態または状況において、車両200の燃料効率は、モータの微調整または場所の微調整等の他の目的ほど優先度が高くない可能性がある。このため、閾値速度を下回る車両200の速度では、車両200のモータ微調整が燃料効率よりも関連する可能性がある。このため、車両200の速度が閾値速度を下回る場合は、当該速度にて第1の目的よりも車両200と関連する別の第2の目的の実現に向けて車両200を駆動する異なる動作設定がエネルギー管理システム234によって指定されるように、制御装置208が第1の動作モードから第2の動作モードへと動作モードを変更可能である。
【0095】
一実施形態において、第2の目的は、車両200の微調整に関し、低速での車両200の制御に有用である。モータの微調整は、指定の停止場所への車両200の接近、到達、および指定の停止場所からの出発の場合に有益となる場合がある。たとえば、第2の目的には、航行の1つまたは複数の指定場所の指定の閾値距離内の1つまたは複数の場所への車両200の移動を含んでいてもよい。
【0096】
指定場所には、航行スケジュールに指定された停止場所(目的場所または休憩場所等)を含んでいてもよい。たとえば、人員および/または乗員の変更のために車両200が駅に近づいている場合、車両200が停止することになる位置を示す指定マーカを駅が有していてもよい。この駅は、適当な乗員および/または人員の乗車または降車のため、一部の車両システムが他の車両システムと異なる場所での停止が指定されるように、比較的長くてもよい。マーカは、車両200の推進車両108が停止する位置を示していてもよい。車両システムが停止場所の指定マーカで正確に停止できない可能性が分かっているため、駅および/または公共交通機関管理所では、車両200がマーカ前後の指定の閾値距離内で停止することを要求するようにしてもよい。一実施形態において、第2の目的には、航行の指定停止場所の指定の閾値距離内の場所での車両200の停止であってもよい。第2の目的を達成するため、エネルギー管理システム234は、実行する車両200の動作設定を指定して、車両200のモータ微調整を実施するようにしてもよい。たとえば、これらの動作設定には、推進サブシステムのトラクションモータの牽引力のわずかな調整および制動サブシステムの制動力のわずかな調整を含むことにより、指定停止場所からの指定の閾値距離内への車両200の停止を達成するようにしてもよい。
【0097】
エネルギー管理システム234が(たとえば、航行計画に従って)指定する動作設定により、車両200は、運転者のみが車両200を制御する場合よりも指定停止場所に近接して停止可能であってもよい。また、第2の目的の実現に向けて車両200を駆動するために制御装置208が指定する動作設定により、車両200は、第1の目的の実現に向けて車両200を駆動するように動作設定が指定される場合よりも指定停止場所に近接して停止可能であってもよい。たとえば、このように指定停止場所に近接して車両200を停止させるのに必要なモータの微調整は、燃料経済性等の別の目的を実現するように車両200が駆動される場合、達成可能でなくてもよい。第2の目的の実現に向けて車両200を駆動するためのモータ微調整は、第1の目的の実現に向けて車両200が駆動される場合よりも多くの燃料の消費、多くの排ガスの生成、および/または長い車両200の停止時間の経過を伴っていてもよい。ただし、車両200が駅等の停止場所に近づいている場合、燃料消費、排ガス生成、および/または走行時間は、指定停止場所の閾値距離内で車両200が正確に停止することの保証ほど優先度が高くない可能性がある。
【0098】
制御装置208は、航行中の経路210に沿った車両200の進行をモニタリング可能である。たとえば、制御装置208は、航行計画において計画された車両200の移動に対して車両200の実際の移動を比較することにより、航行計画の修正または更新を行うか否かを判定するようにしてもよい。任意選択として、制御装置208は、1つまたは複数の指定閾値に対して、車両200、経路210、環境等の特性をモニタリングすることにより、第1の動作モードと第2の動作モードとの切り替えタイミングを決定するようにしてもよい(たとえば、第1の目的または第2の目的のいずれが適当であるかを決定するようにしてもよい)。制御装置208は、特性のモニタリングによって、車両200が航行計画に従って走行している場合または車両200が航行計画に従って走行していない場合に、モードを切り替えるか否かを判定するようにしてもよい。
【0099】
制御装置208は、車両200の現在の速度と関連付けられた速度パラメータを速度センサ212(
図2に示す)から受信するようにしてもよい。また、制御装置208は、車両200の現在の速度を閾値速度と比較することにより、第1または第2の動作モードのいずれで動作するかを決定するようにしてもよい。また、制御装置208は、場所決定装置218(
図2に示す)からのデータに基づいて車両200の場所をモニタリングすることにより、指定場所(停止場所等)に対する車両200の近接性を決定するようにしてもよい。
【0100】
速度プロファイル1300を参照して、車両200は、時間T1において、出発場所から航行の移動を開始する。時間T1から時間T2まで、車両200の速度は増加するものの、閾値速度V
THを下回っている。このため、第2の動作モードでの制御装置208の動作および/または第2の目的の実現に向けて車両200を駆動する(たとえば、航行計画に従った)動作設定のエネルギー管理システム234による指定が行われる。たとえば、車両200が時間T1からT2まで加速した場合、第2の目的は、車両のスリップの抑制であってもよい。
【0101】
車両200の速度は、時間T2において閾値速度V
THを上回り、時間T3まで閾値速度V
THよりも高速に走行する。速度センサ212を用いることにより、車両200が閾値速度V
THと交差するタイミングを決定することができる。したがって、制御装置208は、第1の目的(たとえば、燃料消費の低減、排ガス生成の抑制、および/または総走行時間の短縮)の実現に向けて車両200が駆動されるように、時間T2からT3まで第1の動作モードで動作する。経路210には制限速度V
Lが指定されているが、車両200は、この制限速度V
Lで走行する場合に比べて燃料効率の向上または排ガスの抑制が得られるように、制限速度よりも低速で走行するようにしてもよい。
【0102】
車両200は、航行時間のおおよそ中ほどで、減速して指定の停止場所に停止するようになっていてもよい。車両200が減速すると、時間T3において、車両200の速度が閾値速度V
THを下回る。したがって、車両200が減速して時間T3以降に停止すると、制御装置208は、車両200のスロットルおよび/または制動の変化を制御または制限して、第2の目的を実現するように車両200を駆動する(および/または、第2の目的に向けて車両200を駆動する動作設定をエネルギー管理システム234が指定可能である)。第2の目的は、指定場所からの閾値距離内の車両200の停止、車両200の停止による集束、車両200の減速による車輪スリップの抑制等であってもよい。
【0103】
車両200が航行の移動を再開するも、速度はT4まで閾値速度V
THを上回らない。任意選択として、T4からT5まで、車両200は、減速指令(たとえば、一時的に低い制限速度)を受け、この一時的に低い制限速度よりも高速で走行しないようになっていてもよい。その後、車両200は、別の減速指令により再び減速するようになっていてもよい。この第2の減速指令によって、時間T6と時間T7との間で、車両200が閾値速度V
THよりも低速での走行を強いられるようになっていてもよい。このように、第2の目的を実現するために車両200を制御する動作設定をエネルギー管理システム234が指定することおよび/または車両200がT6からT7までに停止に至らないとしても、この時間に第2の目的を実現するために車両200の動作を制御装置208が制約することが可能である。車両200は、時間T7と時間T8との間で、閾値速度V
THよりも高速に走行する。そして、車両200は、時間T9において、目的場所に到着する。時間T8から時間T9まで、制御装置208は、第2の動作モードで動作して、第2の目的を実現するように車両200の移動を制御する。
【0104】
任意選択として、エネルギー管理システム234は、車両の航行に先立って、単一の航行計画を生成するようにしてもよい。航行計画には、第1の目的の実現に向けた動作設定および第2の目的の実現に向けた動作設定の両者を含む。このため、制御装置208は、車両200の速度が指定の閾値速度V
THと交差したものと判定した場合、速度と関連付けられた目的に対応する航行計画の動作設定を実行する。別の実施形態において、エネルギー管理システム234は、単一の航行計画を指定するが、この航行計画には、第1の目的および第2の目的の両者ではなく、一方の実現に向けて車両200を駆動する動作設定のみを含む。このため、航行計画の目的に対応する速度で車両200が走行する場合、制御装置208は、航行計画の動作設定を実行する。ただし、車両200の速度が閾値速度V
THと交差した場合、エネルギー管理システム234は、航行計画を修正して、他方の目的の実現に向けて車両200を駆動する動作設定を指定するようにしてもよい。また、エネルギー管理システム234は、航行中(たとえば、車両200の移動中)に、修正した航行計画を実時間で生成するようにしてもよい。
【0105】
別の実施形態においては、単一の航行計画の代わりに、エネルギー管理システム234が航行に関して複数の異なる航行計画を指定するようにしてもよい。異なる航行計画は、異なる動作モードと関連付けられていてもよい。これらの異なる航行計画では、それぞれ異なる動作モードと関連付けられた異なる目的の実現に向けて車両を駆動する動作設定を指定する。たとえば、第1の航行計画には、第1の目的の実現に向けて車両200を駆動する動作設定を含むことができ、これと異なる第2の航行計画には、第2の目的の実現に向けて車両200を駆動する動作設定を含むことができる。制御装置208は、閾値速度V
THに対して、航行中に車両200の速度をモニタリングすることにより、第1の航行計画または第2の航行計画の動作設定を実行すべきか否かを判定することができる。
【0106】
別の実施形態において、エネルギー管理システム234は、航行に関する上記1つまたは複数の航行計画を生成しない。その代りに、(1つまたは複数の)航行計画は、車両200の過去の航行に関してエネルギー管理システム234が事前に演算するか、または異なるシステムが事前に演算するようになっていてもよい。車両200の航行中、エネルギー管理システム234および/または制御装置208は、(たとえば、
図2のメモリ226から)1つまたは複数の航行計画にアクセスするとともに、これら1つまたは複数の航行計画に従って車両200を駆動する動作設定を指定する。エネルギー管理システム234および/または制御装置208は、閾値速度V
THに対する車両200のモニタリング速度に基づいて車両200が走行する場合に指定する航行計画および/または動作設定を選択可能である。このように、エネルギー管理システム234は、次の航行に固有の航行計画を生成することはしないが、車両200の動作状態に基づいて目的が変化する動作設定の指定は行うようにしてもよい。
【0107】
図15は、一例に係る、航行中に経路210の一区分を走行する車両1506、1400の経路プロファイル1500を示した模式図である。車両1506は、
図2の車両200を表し得る。経路210の区分は、開始場所1502から終了場所1504まで延びている。開始場所1502が航行の出発場所であることおよび/または終了場所1504が航行の目的場所であることが可能である。経路プロファイル1500は、開始場所1502と終了場所1504との間の距離を示している。車両1506は、開始場所1502から終了場所1504に向かって走行方向1508に走行する。また、この航行では、車両1506がしばらくの間停止することを予定した休憩場所1510を指定している。休憩場所1510は、図示の経路プロファイル1500において、経路210の区分全体の半分にも満たない場所である。
【0108】
一実施形態において、車両1506の制御装置208の動作モードの決定に用いられる動作状態は、車両1506の場所である。たとえば、経路210に沿った指定場所に対する車両1506の近接性または空間的分離を用いることにより、車両1506の動作モードを決定することができる。指定の閾値は、閾値距離である(
図15にP
THとして示す)。車両1506の速度の代替または追加として、指定場所に対する車両1506の近接性を動作状態として用いることにより、有効にすべき動作モードを決定するようにしてもよい。一実施形態において、車両1506の場所が経路210に沿った指定場所からの少なくとも閾値近接またはその外側である場合、制御装置208は、第1の動作モード(たとえば、移動モード)で動作するようになっていてもよい。これとは逆に、車両1506の場所が指定場所のうちの1つの閾値距離内である場合、制御装置208は、第2の動作モード(たとえば、過渡動作モード)で動作可能である。このように、車両1506が閾値距離内である場合は、モータの微調整による正確な停止、車両の集束、および/または車輪スリップの抑制等、第2の目的の実現に向けて車両1506を駆動するように、制御装置208が動作設定を制約する。
【0109】
一方、車両1506が閾値距離の外側である場合、制御装置208は、車両1506の動作設定の異なる様式での制約または動作設定に関する制約の除去により、燃料消費の低減、排ガス生成の抑制、および/または総走行時間の短縮等の第1の目的の実現に向けて、車両1506を駆動する。本実施形態においては、速度の代わりに距離または近接性を動作状態として使用しているが、任意選択として、制御装置208の第1および第2の動作モード(ならびに、航行の第1および第2の目的)は、上述と同じであってもよい。
【0110】
閾値距離には、航行に先立って選択する距離を含み得る。また、閾値距離は、キロメートルまたはマイルのオーダであってもよい。たとえば、閾値近接は、1〜5キロメートル、より具体的には2〜4キロメートルの距離(または、他の距離)であってもよい。種々実施形態において、閾値距離としては、2、3、または4キロメートル(または、別の距離)も可能である。閾値距離は、車両1506、経路210等の種類に基づいていてもよい(たとえば、車両特性、経路特性、気象条件等に基づいていてもよい)。たとえば、閾値距離は、経路210の勾配が下りである場合(より大きな制動力を要する)および/または経路210を走行する他の車両1506と比較して、車両1506の制動能力が相対的に劣っている場合により長くてもよい。他の考慮事項として、重さを含む車両のサイズおよび車両システムの慣性に影響を及ぼし得る閾値距離の外側の車両の走行速度が挙げられる。
【0111】
動作時、制御装置208は、航行中の経路210に沿った車両1506の進行をモニタリングする。制御装置208は、場所決定装置218から伝達された車両1506の現在の場所と関連付けられた場所データを受信するようにしてもよい。また、制御装置208は、車両1506の現在の場所を指定場所と比較することにより、当該制御装置208の動作モードを決定するようにしてもよい。たとえば、制御装置208は、(1つまたは複数の)指定場所からの車両1506の距離を計測し、計測した距離を閾値距離と比較することによって、車両1506が指定場所の閾値距離内であるか否かを判定するようにしてもよい。別の例において、制御装置208は、指定場所に対する閾値距離の加減算によって、閾値境界線1512を決定する。そして、制御装置208は、車両1506が閾値境界線のうちの1つと交差するタイミングを決定することにより、車両1506が指定場所の閾値距離内であるか否かを把握することができる。
【0112】
図示の例において、車両1506は現在、開始場所1502と休憩場所1510との間にあり、休憩場所1510に向かって移動している。
図15においては、指定場所1502、1504、1510の周りの破線として、閾値境界線1512を示している。閾値境界線1512は、閾値距離P
THを半径とする円曲線である。あるいは、閾値境界線1512は、指定場所の1つまたは複数の側方の場所であってもよい。車両1506は、境界線1512内(たとえば、境界線1512と指定場所との間)に存在する場合、指定場所から閾値距離未満である。これに応答して、制御装置208は、第1の動作モード(たとえば、移動モード)から第2の動作モード(たとえば、過渡動作モード)に動作を切り替える。
【0113】
図15においては、車両1506が閾値境界線1512内にないため、制御装置208は第1の動作モードで動作する。エネルギー管理システム234および/または制御装置208は、第1の動作モードにおける第1の目的の実現に向けて車両1506を駆動する動作設定を指定および/または使用することができる。このように、図示の位置においては、動作設定によって車両1506を駆動することにより、燃料効率の向上、排ガスの抑制、総走行時間の短縮等を図るようにしてもよい。
【0114】
車両1506が進入場所1514と交差して休憩場所1510を囲む閾値境界線1512に進入する場合は、制御装置208が第2の動作モードに切り替わる。第2の動作モードにおいては、休憩場所1510での車両1506の正確な停止、車両1506の車両ユニットの集束、減速して休憩場所1510に停止する場合の車輪スリップの抑制等、第2の目的の実現に向けて車両1506を駆動する動作設定のエネルギー管理システム234による指定および/または許容動作設定の制御装置208による制限が行われる。
【0115】
制御装置208は、休憩場所1510を囲む閾値境界線1512の後端の退出場所1516と車両1506が交差するまで、休憩場所1510からの車両1506の最初の加速中に第2の動作モードを維持可能である。そして、制御装置208は、車両1506が進入場所1518と交差して経路210の終了場所1504を囲む閾値境界線1512に進入するまで、第1の動作モードで動作する。場所1518から終了場所1504まで、制御装置208は第2の動作モードで動作する。
【0116】
車両1506が停止場所に近づいている場合または停止場所から加速している場合、制御装置208は、第2の動作モードで動作することにより、車両1506のモータを微調整する。ただし、車両1506が停止場所の近くにない場合、制御装置208は、第1の動作モードで動作することにより、燃料効率の向上、排ガスの抑制、走行時間の短縮等を図るように示す。
【0117】
図13および
図15に関連して記載した実施形態において、制御装置208は、動作状態が閾値を上回っているか下回っているかに応じた2つの動作モードを有するものとして説明している。別の実施形態において、制御装置208は、車両1506の動作状態に応じて3つの異なる目的を有する動作設定を指定または制限するため、3つ以上の動作モードを有していてもよい。たとえば、制御装置208は、車両1506の実際の動作状態を複数の異なる指定閾値と比較するようにしてもよい。制御装置208の動作モードは、異なる動作モードと関連付けられた閾値を動作状態が上回っていることおよび/または下回っていることに基づいて決まる。
【0118】
図14は、別の実施形態に係る車両1400を示している。車両1400は、
図2の車両200を表していてもよいが、連結器1406によって互いに機械的に接続された複数の車両ユニット1402(たとえば、ユニット1402A〜1402C)、1404(たとえば、ユニット1404A〜1404C)を具備する。車両ユニット1402は、機関車、自動車、オフハイウェイ車両(たとえば、公道を走行するように許可または設計されていない鉱業用車両等の車両)、船舶等の推進力生成車両ユニットを表し得る。車両ユニット1404は、軌道車、トレーラ等の推進力非生成車両を表し得る。車両1400におけるユニット1402、1404の構成数は、一例として示しているに過ぎず、本明細書に記載の主題のすべての実施形態において限定的なものではない。
【0119】
あるいは、車両ユニット1402、1404のうちの2つ以上が互いに機械的に結合していなくてもよい。たとえば、車両ユニット1402、1404のうちの2つ以上または車両ユニット1402、1404のすべては、互いに分離していてもよいが、経路210に沿って一群(または、車列、一隊等)として一体で走行するようになっていてもよい。
図2の車両200に搭載した図示のコンポーネントは、単一の車両ユニット1402に搭載されていてもよいし、車両ユニット1402および/または1404間で分割されていてもよい。
【0120】
車両1400の異なる動作モードと関連付けられた異なる目的の別の例として、(第2の動作モードまたは過渡動作モードと関連付けられた)第2の目的には、車両1400の複数の車両ユニット1402、1404間の1つまたは複数の連結器1406が車両200の停止によって緩んだ状態でこれらの車両1402、1404が集束するように車両1400を停止させることを含み得る。この緩んだ状態には、連結器1406が引っ張られていない場合に生じるような連結器1406の緩みを含み得る。
【0121】
連結器1406は、車両200(車両108、110等)の車両ユニット1402、1404間の長手方向の力を吸収するように構成されている。車両200が移動すると、長手方向の圧縮力および張力によって、2つの車両間の距離が短くなったり長くなったりする。連結器1406は、第1の車両ユニットに結合された第2の車両ユニットに力が加わる前に、第1の車両ユニットの何らかの自由な移動または緩みを許容するように構成されていてもよい。2つの車両ユニット間の連結器1406が引っ張られていない場合(または、連結器の張力の大きさが指定の閾値を下回る場合)、連結器1406は、緩んだ状態または緩んだ状況にあると称する場合がある。この緩んだ状態は、連結器1406の張力の大きさが指定の閾値を上回っている場合の連結器1406の伸びた状態と対照的である。いくつかの状況においては、車両1400が停止している場合、車両1400の連結器1406は緩んだ状態にあるのが望ましい場合がある。車両1400が再び移動し始めた場合に、車両1400の荷重全体を推進力生成車両1402が同時に静止位置から引っ張る必要がなくなるためである。その代わりに、車両ユニット間の緩みの蓄積(集束とも称する)によって、推進力生成車両は、車両ユニット1402、1404間の緩みが少なくなるまで、少数の推進力非生成車両ユニット1404を引くことおよび/または押すことから始めるようにしてもよく、この際、推進力生成車両ユニット1402は、別の車両ユニットを押すことおよび/または引くことになる。集束によって、推進力生成車両ユニット1402は、車両1400の荷重全体を停止位置から一度に引っ張ることなく、経時的に勢いを付けることが可能であってもよい。
【0122】
第2の目的は、車両1400が停止した場合に車両1400の複数の車両ユニット1402、1404が集束するように車両1400を停止させることであってもよい。そして、連結器1406が緩んだ状態となるように車両1400が減速して停止する場合の車両1400の牽引力および制動力に対する微調整を可能とする(たとえば、航行計画に従った)動作設定のエネルギー管理システム234による指定および/またはスロットル設定の変化の制御装置208による制限または制約が可能であってもよい。たとえば、各車両ユニット1402、1404が直ぐに停止するか、または車両1400の先行車両ユニット1402、1404にごく接近して(たとえば、1〜3メートル等の距離内)、対応する連結器1406を緩んだ状態とすることができるように、動作設定によって、制動システム232を制御することにより、車両ユニット1402、1404を連続的に減速させるようにしてもよい。制御装置208および/またはエネルギー管理システム234は、車両ユニット1402、1404間に配置されたストリングポットから受信した緩み情報に基づいて、動作設定を指定するようにしてもよい。このように車両1400を停止させて集束を実現するには、第1の目的を実現するように指定された動作設定を用いて車両1400を停止させる場合よりも多くの燃料消費、排ガス生成、および/または時間を要する可能性がある。ただし、第1の目的の実現のために車両1400を駆動するように指定された動作設定は、このような集束の実現に使用できない可能性が高い。さらに、車両1400が移動を再開する場合に集束が車両1400にもたらす利益のため、車両1400を停止させて集束を実現することは、たとえば車両1400を停止させて燃料効率の向上または時間の節約を実現することよりも関連性または優先度が高い場合がある。
【0123】
別の態様において、第2の動作モード(たとえば、過渡動作モード)と関連付けられた第2の目的には、車両の1つまたは複数の車輪202が経路210との密着を維持して車輪スリップを抑制するように経路210上で車両を移動させることを含み得る。車輪のスリップは、車両の制動中または加速中に起こり得る。車輪202は、(たとえば、加速時の)前進方向または(たとえば、制動時の)逆方向の回転力が車輪202と経路210との間の摩擦力を越えて、車輪202が経路210に対して回転する場合に、経路210上で「スリップ」する場合がある。車輪がスリップすると、車輪202が経路210に沿って横滑りすることにより、車輪および経路が摩耗するとともに、適時に修理しなければ、より大きな被害(たとえば、脱線等)を引き起こす可能性もある。車輪のスリップによって、スリップがない場合よりも頻繁に車輪202および経路210の該当区分を交換する必要が生じ得る程度まで車輪202および経路210が摩耗するため、経済性および安全性の両観点から、車輪のスリップを回避することが望ましい。
【0124】
上述の通り、第2の目的は、車両の1つまたは複数の車輪202が経路210との密着を維持して車輪スリップを抑制するように経路210上で車両を移動させることであってもよい。そして、制御装置208および/またはエネルギー管理システム234は、車両を閾値速度よりも低い速度で制動および/または加速させることで車輪スリップの危険性を抑える場合の車両の牽引力および/または制動力に対する微調整を可能とする(たとえば、航行計画に従った)動作設定を制限および/または指定するようにしてもよい。たとえば、各車輪202に加わる回転力を抑えるため、動作設定によって制動システム232を制御することにより、車両をある時間にわたって徐々に減速させるようにしてもよい。第2の目的を実現する動作設定に従って制動を適用する時間は、第1の目的(燃料効率の向上または走行時間の短縮等)を実現するために指定された動作設定に従って制動を適用する時間より長くてもよい。この制動の付加的な時間および/または距離によって、車輪202に加わる回転力を抑えることができるため、第1の目的を実現する動作設定に従って車両を停止させる場合よりも車輪のスリップは起こり難くなる。
【0125】
たとえば、第1の目的が走行時間の短縮である場合は、動作設定によって、制動をもっと後の時間および/もしくは場所ならびに大きな設定で適用するように車両を制御することにより、車両の減速に費やされる時間を短縮するようにしてもよい。ただし、制動の適用が大きくなると、車輪がスリップして、車両および/または経路210の修理に費用が掛かる可能性がある。上記の例では、制動システム232による制動の適用が関係しているが、各車輪202に加わる前進回転力を抑えるため、動作設定によって推進サブシステムを制御することにより、車両をある時間にわたって徐々に加速させるようにしてもよい。指定の閾値速度を下回る速度では、車両の制御による燃料消費の改善、排ガスの抑制、または走行時間の短縮の利益よりも、車輪スリップの潜在的なコスト(たとえば、経路210の区分および/もしくは車輪202ならびに車両の他の機器の交換)の懸念が大きくなる可能性がある。
【0126】
任意選択として、第2の目的には、上掲の目的のうちの2つ以上を含んでいてもよい。たとえば、車両が停止した際に車両の複数の車両ユニットが集束するように制御しつつ、指定停止場所の指定の閾値距離内に車両を停止させるように動作設定を指定するようにしてもよい。
【0127】
一実施形態において、制御装置208は、車両の移動の停止に用いられるモードへの制御装置208の切り替えに応答して、車両の移動を停止させる停止プロファイルを実装することができる。たとえば、移動モードから過渡動作モードへの切り替えに応答して、制御装置208は、停止プロファイルを開始することができる。停止プロファイルは、時間および/または距離の関数として、速度、減速度、速度低減または減速の比率等を指定することにより、車両を減速および停止させる。また、停止プロファイルは、完全または大きな設定に対する制動システム232の適用とは対照的に、車両の移動をゆっくりと制御可能に減速および停止させるのに使用可能である。たとえば、緊急制動(たとえば、空気制動)の適用の代替として、合理的に可能な限りのブレーキペダルの踏み込み等によって、制御装置208は、停止プロファイルを実装することにより、車両の移動を徐々に少なくして停止させることができる。
【0128】
図16は、一実施形態に係る、停止プロファイル1600、1602、1604のさまざまな例を示している。停止プロファイル1600、1602、1604は、車両の速度を表しており、時間または距離を表す水平軸1606および車両の速度を表す垂直軸1608に併せて示している。
【0129】
停止プロファイル1600、1602、1604から選択した停止プロファイルを実装することにより、制御装置208は、推進システムおよび/または制動システムを(たとえば、運転者の介在なく自動的に)直接制御して、選択した停止プロファイルが指定する通り、車両の速度を低下させることができる。
図16に示すように、異なる停止プロファイル1600、1602、1604には、異なる時間に異なる減速比率を含む。
【0130】
停止プロファイル1600、1602、1604は、移動検出システム236のメモリ226に格納されていてもよい。制御装置208は、1つまたは複数の車両特性、経路特性、環境条件、モード変更時の車両の速度、車両と停止場所との間の距離、および/または別の特性に基づいて、実装する停止プロファイルを選択することができる。
【0131】
車両特性に関して、制御装置208は、車両の異なる重量、車両に含まれる車両ユニットの異なる数、車両の異なる種類、制動システムの異なる種類、車両が貨物を積んでいるか否かの異なる指標等に基づいて、異なる停止プロファイルを選択することができる。たとえば、より重い車両、(たとえば、他の車両よりも多くの車両ユニットを有する)より大型の車両、(貨物列車と対照的な)客車、貨物を積んだ車両等の場合は、速度をさらにゆっくりと低下させる停止プロファイル(たとえば、停止プロファイル1600)を選択するようにしてもよい。これとは逆に、より軽い車両、(たとえば、他の車両よりも少ない車両ユニットを有する)より小型の車両、(客車と対照的な)貨物列車、貨物を積んでいない車両等の場合は、速度をより早く低下させる停止プロファイル(たとえば、停止プロファイル1604)を選択するようにしてもよい。
【0132】
経路特性に関して、制御装置208は、経路210の異なる占有状態および/または経路210の異なる勾配に基づいて、異なる停止プロファイルを選択することができる。渋滞している経路の場合、制御装置208は、速度の低下が遅い停止プロファイル(たとえば、停止プロファイル1600または1602)の代わりに、速度の低下が速い停止プロファイル(たとえば、プロファイル1604)を選択するようにしてもよい。渋滞していない経路の場合、制御装置208は、速度の低下が速い停止プロファイルの代わりに、速度の低下が遅い停止プロファイルを選択するようにしてもよい。上り勾配の経路の場合、制御装置208は、重力によって車両がさらに減速されることから、他の停止プロファイルではなく、速度の低下が遅い停止プロファイルを選択するようにしてもよい。下り勾配の経路の場合、制御装置208は、重力によって車両がさらに加速されることから、他の停止プロファイルではなく、速度の低下が速い停止プロファイルを選択するようにしてもよい。
【0133】
環境条件に関して、制御装置208は、異なる気象条件に基づいて、異なる停止プロファイルを選択することができる。たとえば、車両の車輪と経路との間の密着および/または視界を低下させる条件の場合、制御装置208は、より緩やかな停止プロファイルを選択して、経路上での車輪のスリップを回避するようにしてもよい。密着および/または視界を低下させない条件の場合は、速度の低下が速い停止プロファイルを選択するようにしてもよい。
【0134】
制御装置208は、車両が向かっている停止場所に基づいて、停止プロファイルを選択することができる。たとえば、停止場所が車両基地(たとえば、鉄道車両基地、駐車場等)である場合、制御装置208は、より早い時点またはその他1つもしくは複数(または、すべて)の停止プロファイルよりも車両基地から遠くで車両の移動の減速を開始する停止プロファイルを選択することができる。乗員搭乗ドック、貨物積載場所等、停止場所が車両の正確な停止を要する場所である場合、制御装置208は、その他1つまたは複数の停止プロファイルよりも車両を当該場所に近づけて停止可能な停止プロファイルを選択することができる。停止場所からの移動を開始すると(たとえば、停止したゼロ速度から非ゼロ速度に車両が変化すると)、制御装置208は、停止場所の種類に基づいて、異なる加速を行うようにしてもよい。たとえば、車両基地からの出発に際して、制御装置208は、車両が経路210上で車輪202のスリップなく可能な速さで、推進システムが加速するようにてもよい。ただし、乗員搭乗駅または貨物積載駅からの出発に際して、制御装置208は、推進システムがゆっくりと加速して、貨物の損傷を防止するとともに乗員の安全な走行を確保できるようにしてもよい。
【0135】
この追加または任意選択として、停止プロファイルは、制動システムの異なる種類と関連付けられていてもよい。
図2の制動システム232は、異なるコンポーネントおよび/または技術を用いて車両200の移動を減速または停止させる2つ以上の制動を表していてもよい。たとえば、制動システム232に含まれる制動の1つの種類として、空気制動が挙げられる。制動システム232に含まれる制動の別の種類として、動的制動が挙げられる。動的制動に関して、これらの制動は、車両200を推進する牽引力を生成するモータとして推進システム206に含まれていてもよい。また、他の種類の制動が含まれていてもよいし、使用されるようになっていてもよい。
【0136】
異なる停止プロファイルによって、制動の異なる種類の使用が指定されるようになっていてもよい。ある停止プロファイルが空気制動の適用を制御装置208に指示する一方、別の停止プロファイルが動的または回生制動の適用を制御装置208に指示するようにしてもよい。一態様において、停止プロファイルは、異なる時間に制動の異なる種類の適用を制御装置208に指示することができる。たとえば、停止プロファイルは、指定の速度、場所、および/または時間に達するまで、動的または回生制動(回生エネルギーは動力源224の1つまたは複数のバッテリの充電に使用)、抵抗グリッド、または推進システム206のモータを適用して車両を減速させた後、車両の空気制動、ブレーキドラム、またはブレーキキャリパを適用して車両の移動を完全に停止させることを制御装置208に指示することができる。
【0137】
停止プロファイルは、任意選択として、推進システム206の動作の変更を制御装置208に指示するようにしてもよい。停止プロファイルは、その実装に応答して、推進システム206のエンジンをアイドリングに切り替えることを制御装置208に指示することができる。たとえば、停止プロファイルの起動または開始によって、制御装置208は、停止プロファイルの実行中に牽引力がそれ以上生成されないように、エンジンをアイドリングにするようにしてもよい。この代替または追加として、制御装置208は、自動エンジンスタートストップ(AESS)手順等に従って、エンジンのオフ、遮断を行うようにしてもよい。
【0138】
図14の多車両ユニット車両1400の説明に戻って、制御装置208は、経路210に沿った異なる位置間で車両1400を指標化する車両1400の動作モードの使用または車両1400の動作モードへの切り替えによって、異なる時間に異なる車両ユニット1402および/または1404を経路210に沿った指定場所1406に合わせるようにしてもよい。
【0139】
一態様において、指定場所1406は、経路210に沿った貨物積載位置を表す。貨物積載位置には、その位置の車両ユニット1404に乗員が乗り込む乗員ホーム、その位置で車両ユニット1404に他の貨物を載せる場所、運転者または乗員が車両1400に乗り込み可能な通りに沿った駐車スペース等を含み得る。車両1400は、過渡動作モードで動作することにより、異なる時間に異なる車両ユニットが貨物積載位置に正確に位置決めされるようにすることができる。
【0140】
たとえば、指定場所1406(
図14に示す)への車両1400の接近中、制御装置208は、過渡動作モードへの切り替えを行うようにしてもよい。そして、制御装置208は、過渡動作モードに従って車両1400の移動を制御することにより、指定場所1406で異なる車両ユニット1404を指標化するようにしてもよい。この指標化には、第1の車両ユニット1404Aが停止して指定場所1406に位置決めされるまで車両1400を移動させること、第1の車両ユニット1404Aに対する貨物の積載および/または除荷を待つこと、第2の車両ユニット1404Bが停止して指定場所1406に位置決めされるまで過渡動作モードで車両1400を移動させること、第2の車両ユニット1404Bに対する貨物の積載および/または除荷を待つこと等を伴い得る。
【0141】
図17〜
図19は、一実施形態に係る、さまざまな場所での車両1400の指標化を示している。上述の通り、制御装置208は、車両1400を過渡動作モードで動作させることにより、経路210に沿った車両1404の場所を正確に制御することができる。制御装置208は、第1の車両ユニット1404Aが停止して指定場所1406に位置決めされるまで、車両1400を移動させることができる。そして、(
図17に示すように)第1の車両ユニット1404Aに対する貨物の積載および/または除荷を行うことができる。その後、制御装置208は、(
図18に示すように)第2の車両ユニット1404Bが停止して指定場所1406に位置決めされるまで、車両1400を過渡動作モードで移動させた後、第2の車両ユニット1404Bに対する貨物の積載および/または除荷を待つようにしてもよい。そして、制御装置208は、(
図19に示すように)第3の車両ユニット1404Cが停止して指定場所1406に位置決めされるまで、車両1400を過渡動作モードで移動させた後、第3の車両ユニット1404Cに対する貨物の積載および/または除荷を待つようにしてもよい。
【0142】
一実施形態において、システム(たとえば、移動検出システム)は、第1の車速における車両の過渡動作モードと第2の車速における車両の移動モードとを切り替えるように動作可能な制御装置を備える。制御装置は、過渡動作モードでの車両の動作中に、第1の指定許容範囲内における車両の速度の維持または目標停止場所に対する第2の指定許容範囲内における車両の場所の維持のうちの1つまたは複数を行うように車両の移動を制御するように構成されている。また、制御装置は、移動モードでの車両の動作中に、車両のエンジンを制御して車両の動作パラメータを指定限度未満に保つように車両の移動を制御するように構成されている。制御装置は、速度閾値に対する車両の速度、目標停止場所からの車両の距離、環境条件、車両特性、および/または経路占有状態のうちの1つまたは複数に少なくとも部分的に基づいて、過渡動作モードと移動モードとの間で車両を切り替えるように構成されている。
【0143】
一態様において、動作パラメータには、車両が消費する燃料、車両が生成する排ガス、および/または車両が生成するノイズのうちの1つまたは複数を含み得る。
【0144】
一態様において、環境条件には、車両が移動している気象条件の種類を含み得る。
【0145】
一態様において、車両特性には、車両の重量、車両に含まれる車両ユニットの数、ならびに/または車両および/もしくは車両ユニットのうちの1つもしくは複数が貨物を積んでいるか否かの指標のうちの1つまたは複数を含み得る。
【0146】
一態様において、制御装置は、過渡動作モードおよび移動モードの両者において、車両の動作中に、車両のスロットルを自律制御するように構成可能である。
【0147】
一態様において、制御装置は、過渡動作モードへの切り替えに応答して、車両の移動を停止させる停止プロファイルを実装するように構成可能である。停止プロファイルは、車両の移動を停止させるために車両の速度を低下させる変化率を制限可能である。
【0148】
一態様において、制御装置は、車両の種類、車両が運搬している貨物、目標停止場所の種類、および/または車両の重量に少なくとも部分的に基づいて複数の異なる停止プロファイルから実装された停止プロファイルを選択するように構成可能である。
【0149】
一態様において、制御装置は、停止プロファイルに従って車両の移動を減速させつつ、車両の移動の停止に用いられる制動システムの種類を異なる時間に変化させることによって、停止プロファイルを実装するように構成可能である。
【0150】
一態様において、制御装置は、停止プロファイルの実装に応答して、車両のエンジンをアイドリングするように構成可能である。
【0151】
別の実施形態において、(たとえば、車両の移動の検出および/または車両の動作モードの変更を行う)方法は、第1の車速における車両の過渡動作モードと第2の車速における車両の移動モードとを切り替えるステップと、過渡動作モードでの車両の動作中に、第1の指定許容範囲内における車両の速度の維持および/または目標停止場所に対する第2の指定許容範囲内における車両の場所の維持のうちの1つまたは複数を行うように車両の移動を制御するステップと、移動モードでの車両の動作中に、車両のエンジンを制御して車両の動作パラメータを指定限度未満に保つように車両の移動を制御するステップと、を含む。過渡動作モードと移動モードとの間の車両の切り替えは、速度閾値に対する車両の速度、目標停止場所からの車両の距離、環境条件、車両特性、および/または経路占有状態のうちの1つまたは複数に少なくとも部分的に基づいて起こる。
【0152】
一態様において、動作パラメータには、車両が消費する燃料、車両が生成する排ガス、および/または車両が生成するノイズのうちの1つまたは複数を含み得る。
【0153】
一態様において、環境条件には、車両が移動している気象条件の種類を含み得る。
【0154】
一態様において、車両特性には、車両の重量、車両に含まれる車両ユニットの数、ならびに/または車両もしくは車両ユニットのうちの1つもしくは複数が貨物を積んでいるか否かの指標のうちの1つまたは複数を含み得る。
【0155】
一態様において、車両の移動は、車両のスロットルの自律制御によって、過渡動作モード中および移動モード中に制御可能である。
【0156】
一態様において、この方法は、移動モードから過渡動作モードへの切り替えに応答して、車両の移動を停止させる停止プロファイルを実装するステップをさらに含み得る。停止プロファイルは、車両の移動を停止させるために車両の速度を低下させる変化率を制限可能である。
【0157】
一態様において、この方法は、車両の種類、車両が運搬している貨物、目標停止場所の種類、および/または車両の重量に少なくとも部分的に基づいて複数の異なる停止プロファイルから実装された停止プロファイルを選択するステップをさらに含み得る。
【0158】
一態様において、停止プロファイルを実装するステップは、停止プロファイルに従って車両の移動を減速させつつ、車両の移動の停止に用いられる制動システムの種類を異なる時間に変化させることを含み得る。
【0159】
一態様において、この方法は、停止プロファイルの実装に応答して、車両のエンジンをアイドリングするステップを含み得る。
【0160】
別の実施形態において、(たとえば、車両の移動の検出および/または車両の動作モードの変更を行う)方法は、車両の移動の開始に応答して、車両の過渡動作モードに従って車両の制御を実行するステップを含む。車両は、過渡動作モードでの車両の動作中に、第1の指定許容範囲内における車両の速度の維持および/または目標停止場所に対する第2の指定許容範囲内における車両の場所の維持のうちの1つまたは複数を行うように制御される。また、この方法は、指定閾値速度を上回って増加する車両の速度に応答して、過渡動作モードから移動モードに車両を切り替えるステップを含む。車両は、移動モードでの車両の動作中に、車両のエンジンを制御して車両の動作パラメータを指定限度未満に保つように制御される。過渡動作モードと移動モードとの間の車両の切り替えは、速度閾値に対する車両の速度、目標停止場所からの車両の距離、環境条件、車両特性、および/または経路占有状態のうちの1つまたは複数に少なくとも部分的に基づいて起こる。
【0161】
一態様において、車両は、少なくとも1つの推進力生成車両ユニットと、貨物を運搬するように構成された複数の推進力非生成車両ユニットとを具備可能である。この方法は、互いに異なる時間において、2つ以上の推進力非生成車両ユニットを貨物積載位置と合わせる複数の異なる位置間で車両を指標化することにより、過渡動作モードに従って、車両の制御を実行するステップを含み得る。
【0162】
一実施形態において、システムは、車両の1つまたは複数のシステムと動作可能に結合するように構成された制御装置を備える。制御装置は、第1の車速における車両の過渡動作モードと第2の車速における車両の移動モードとを切り替えるように動作可能である(たとえば、第2の車速は、第1の車速と異なり、第1の車速より大きくてもよい)。制御装置は、過渡動作モードでの車両の動作中に、第1の指定許容範囲内における車両の速度の維持および/または目標停止場所に対する第2の指定許容範囲内における車両の場所の維持を行うように車両の移動を制御するように構成されている。制御装置は、移動モードでの車両の動作中に、車両のエンジンを制御して車両の動作パラメータを指定限度未満に保つように車両の移動を制御するように構成されている。制御装置は、速度閾値に対する車両の速度、目標停止場所からの車両の距離、環境条件、車両特性、または経路占有状態のうちの1つまたは複数に少なくとも部分的に基づいて、過渡動作モードと移動モードとの間で車両を切り替えるように構成されている。
【0163】
別の実施形態において、方法(たとえば、自動的あるいは制御装置により実装)は、第1の車速における車両の過渡動作モードと第2の車速における車両の移動モードとを切り替えるステップを含む。この方法は、過渡動作モードにおいて、第1の指定許容範囲内における車両の速度の維持および/または目標停止場所に対する第2の指定許容範囲内における車両の場所の維持を行うように車両の移動を制御するステップをさらに含む。この方法は、移動モードにおいて、車両の移動を制御して(たとえば、車両のエンジンを制御して)車両の動作パラメータを指定限度未満に保つステップをさらに含む。過渡動作モードと移動モードとの間の車両の切り替えは、速度閾値に対する車両の速度、目標停止場所からの車両の距離、環境条件、車両特性、または経路占有状態のうちの1つまたは複数に少なくとも部分的に基づいて起こる。
【0164】
別の実施形態において、方法(たとえば、自動的あるいは制御装置により実装)は、車両の移動の開始に応答して、車両の過渡動作モードに従って車両の制御を実行するステップであり、過渡動作モードにおいて、車両が、第1の指定許容範囲内における車両の速度の維持および/または目標停止場所に対する第2の指定許容範囲内における車両の場所の維持を行うように制御される、ステップを含む。この方法は、指定閾値速度を上回って増加する車両の速度に応答して、過渡動作モードから移動モードに車両を切り替えるステップであり、移動モードでの車両の動作中に、車両の動作パラメータを指定限度未満に保つように車両が制御される(たとえば、車両のエンジンが制御される)、ステップをさらに含む。過渡動作モードと移動モードとの間の車両の切り替えは、速度閾値に対する車両の速度、目標停止場所からの車両の距離、環境条件、車両特性、または経路占有状態のうちの1つまたは複数に少なくとも部分的に基づいて起こる。
【0165】
上記説明は、例示を意図したものであり、何ら限定的なものではないことが了解されるものとする。たとえば、上述の実施形態(および/またはそれぞれの態様)は、互いに組み合わせて使用するようにしてもよい。また、発明的主題の範囲から逸脱することなく、多くの改良によって、特定の状況または材料を発明的主題の教示内容に適応させるようにしてもよい。本明細書に記載の材料の寸法および種類は、発明的主題のパラメータの規定を意図しているが、何ら限定的なものではなく、例示的な実施形態である。上記説明を鑑みれば、当業者にはその他多くの実施形態が明らかとなろう。したがって、発明的主題の範囲は、すべての均等物の範囲に対して権利が付与された添付の請求項を参照することによって決定されるべきである。添付の請求項において、用語「including(具備する)」および「in which」はそれぞれ、用語「comprising(備える)」および「wherein」と同義の平易な英語表現として使用している。さらに、以下の請求項において、用語「first(第1の)」、「second(第2の)」、および「third(第3の)」等は、単に標識として使用しており、それぞれの対象に数的な要件を課すものではない。さらに、以下の請求項の限定は、ミーンズプラスファンクション形式で記載しておらず、さらなる構造が欠如した機能の記述が後続する表現「means for(〜する手段)」を請求項の限定において明確に使用せず、その使用に至るまでは、米国特許法第112条(f)に基づいて解釈されないものとする。
【0166】
この文書としての明細書では、例を用いて、発明的主題のいくつかの実施形態を開示するとともに、任意の装置もしくはシステムの作製および使用ならびに組み込まれた任意の方法の実行を含めて、発明的主題の実施形態を当業者が実現できるようにしている。発明的主題の特許可能な範囲は、請求項によって規定され、当業者が想到し得る他の例を含んでいてもよい。このような他の例は、請求項の逐語的表現と異ならない構造的要素を有する場合または請求項の逐語的表現と実質的に異ならない同等の構造的要素を具備する場合、請求項の範囲内であるものとする。
【0167】
本発明的主題の特定の実施形態に関する上記説明は、添付の図面と併せて読むことにより、深く理解されよう。種々実施形態の機能ブロック図を図面が示す限りにおいて、機能ブロックは、ハードウェア回路間の区分を必ずしも示していない。このため、たとえば、機能ブロックのうちの1つまたは複数(たとえば、プロセッサまたはメモリ)が単一のハードウェア(たとえば、汎用信号処理装置、マイクロコントローラ、ランダムアクセスメモリ、ハードディスク等)に実装されていてもよい。同様に、プログラムは、たとえばスタンドアロンプログラムであってもよいし、サブルーチンとしてオペレーティングシステムに組み込まれていてもよいし、インストールされたソフトウェアパッケージの機能であってもよい。種々実施形態は、図面に示す構成および手段に限定されない。
【0168】
本明細書において、単数形で列挙され、単語「a」または「an」から始まる要素またはステップは、明示のない限り、前記要素またはステップの複数形を除外しないことが了解されるものとする。さらに、本発明的主題の「一実施形態」の言及は、列挙した特徴を同様に包含する別の実施形態の存在を除外するとの解釈を意図したものではない。さらに、反対の明示がない限り、特定の性質を有する1つまたは複数の要素を「備える」、「具備する」、または「有する」実施形態は、当該性質を有さない別のそのような要素を含んでいてもよい。
【0169】
最後に、代表的な実施態様を以下に示す。
[実施態様1]
第1の車両(200、1400)速度における車両(200、1400)の過渡動作モードと第2の車両(200、1400)速度における前記車両(200、1400)の移動モードとを切り替えるように動作可能な制御装置(208)を備えたシステム(236)であって、
前記制御装置(208)が、前記過渡動作モードでの前記車両(200、1400)の動作中に、第1の指定許容範囲(1204)内における前記車両(200、1400)の速度の維持または目標停止場所(1200)に対する第2の指定許容範囲(1204)内における前記車両(200、1400)の場所の維持のうちの1つまたは複数を行うように前記車両(200、1400)の移動を制御するように構成されており、前記制御装置(208)が、前記移動モードでの前記車両(200、1400)の動作中に、前記車両(200、1400)のエンジンを制御して前記車両(200、1400)の動作パラメータを指定限度未満に保つように前記車両(200、1400)の移動を制御するように構成されており、
前記制御装置(208)が、速度閾値に対する前記車両(200、1400)の速度、前記目標停止場所(1200)からの前記車両(200、1400)の距離、環境条件、車両(200、1400)特性、または経路占有状態のうちの1つまたは複数に少なくとも部分的に基づいて、前記過渡動作モードと前記移動モードとの間で前記車両(200、1400)を切り替えるように構成された、システム(236)。
[実施態様2]
前記動作パラメータが、前記車両(200、1400)が消費する燃料、前記車両(200、1400)が生成する排ガス、または前記車両(200、1400)が生成するノイズのうちの1つまたは複数を含む、実施態様1記載のシステム(236)。
[実施態様3]
前記環境条件が、前記車両(200、1400)が移動している気象条件の種類を含む、実施態様1記載のシステム(236)。
[実施態様4]
前記車両(200、1400)特性が、前記車両(200、1400)の重量、前記車両(200、1400)に含まれる車両ユニット(200、1402、1404)の数、または前記車両(200、1400)もしくは前記車両ユニット(200、1402、1404)のうちの1つもしくは複数が貨物を積んでいるか否かの指標のうちの1つまたは複数を含む、実施態様1記載のシステム(236)。
[実施態様5]
前記制御装置(208)が、前記過渡動作モードおよび前記移動モードの両者において、前記車両(200、1400)の動作中に、前記車両(200、1400)のスロットルを自律制御するように構成された、実施態様1記載のシステム(236)。
[実施態様6]
前記制御装置(208)が、前記過渡動作モードへの切り替えに応答して、前記車両(200、1400)の移動を停止させる停止プロファイルを実装するように構成され、前記停止プロファイルが、前記車両(200、1400)の移動を停止させるために前記車両(200、1400)の速度を低下させる変化率を制限した、実施態様1記載のシステム(236)。
[実施態様7]
前記制御装置(208)が、前記車両(200、1400)の種類、前記車両(200、1400)が運搬している貨物、前記目標停止場所(1200)の種類、または前記車両(200、1400)の重量に少なくとも部分的に基づいて複数の異なる停止プロファイルから実装された前記停止プロファイルを選択するように構成された、実施態様6記載のシステム(236)。
[実施態様8]
前記制御装置(208)が、前記停止プロファイルに従って前記車両(200、1400)の移動を減速させつつ、前記車両(200、1400)の移動の停止に用いられる制動システム(232)の種類を異なる時間に変化させることによって、前記停止プロファイルを実装するように構成された、実施態様6記載のシステム(236)。
[実施態様9]
前記制御装置(208)が、前記停止プロファイルの実装に応答して、前記車両(200、1400)の前記エンジンをアイドリングするように構成された、実施態様6記載のシステム(236)。
[実施態様10]
第1の車両(200、1400)速度における車両(200、1400)の過渡動作モードと第2の車両(200、1400)速度における前記車両(200、1400)の移動モードとを切り替えるステップと、
前記過渡動作モードでの前記車両(200、1400)の動作中に、第1の指定許容範囲(1204)内における前記車両(200、1400)の速度の維持または目標停止場所(1200)に対する第2の指定許容範囲(1204)内における前記車両(200、1400)の場所の維持のうちの1つまたは複数を行うように前記車両(200、1400)の移動を制御するステップと、
前記移動モードでの前記車両(200、1400)の動作中に、前記車両(200、1400)のエンジンを制御して前記車両(200、1400)の動作パラメータを指定限度未満に保つように前記車両(200、1400)の移動を制御するステップと、
を含み、
前記過渡動作モードと前記移動モードとの間の前記車両(200、1400)の切り替えが、速度閾値に対する前記車両(200、1400)の速度、前記目標停止場所(1200)からの前記車両(200、1400)の距離、環境条件、車両(200、1400)特性、または経路占有状態のうちの1つまたは複数に少なくとも部分的に基づいて起こる、方法。
[実施態様11]
前記動作パラメータが、前記車両(200、1400)が消費する燃料、前記車両(200、1400)が生成する排ガス、または前記車両(200、1400)が生成するノイズのうちの1つまたは複数を含む、実施態様10記載の方法。
[実施態様12]
前記環境条件が、前記車両(200、1400)が移動している気象条件の種類を含む、実施態様10記載の方法。
[実施態様13]
前記車両(200、1400)特性が、前記車両(200、1400)の重量、前記車両(200、1400)に含まれる車両ユニット(200、1402、1404)の数、または前記車両(200、1400)もしくは前記車両ユニット(200、1402、1404)のうちの1つもしくは複数が貨物を積んでいるか否かの指標のうちの1つまたは複数を含む、実施態様10記載の方法。
[実施態様14]
前記車両(200、1400)の移動が、前記車両(200、1400)のスロットルの自律制御によって、前記過渡動作モード中および前記移動モード中に制御される、実施態様10記載の方法。
[実施態様15]
前記移動モードから前記過渡動作モードへの切り替えに応答して、前記車両(200、1400)の移動を停止させる停止プロファイルを実装するステップをさらに含み、前記停止プロファイルが、前記車両(200、1400)の移動を停止させるために前記車両(200、1400)の速度を低下させる変化率を制限した、実施態様10記載の方法。