特許第6830004号(P6830004)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6830004
(24)【登録日】2021年1月27日
(45)【発行日】2021年2月17日
(54)【発明の名称】保護具
(51)【国際特許分類】
   B65D 59/00 20060101AFI20210208BHJP
   F16L 57/00 20060101ALI20210208BHJP
【FI】
   B65D59/00 Z
   F16L57/00 A
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-28198(P2017-28198)
(22)【出願日】2017年2月17日
(65)【公開番号】特開2018-131254(P2018-131254A)
(43)【公開日】2018年8月23日
【審査請求日】2019年11月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000231110
【氏名又は名称】JFE建材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】青木 広之
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 曜
【審査官】 佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−151076(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0300034(US,A1)
【文献】 特開平09−240740(JP,A)
【文献】 特開2015−048241(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第102128312(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 59/00
F16L 57/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方から他方に向かって外径が小さくなるテーパ管状体の外周面に着脱自在に巻き付けてテーパ管状体を保護する保護具であって、
前記テーパ管状体の外周面を少なくとも部分的に覆う帯状の長尺部材と、
前記長尺部材の長手方向における一端部に連結される連結端部と、前記長尺部材に着脱自在に係止される係止端部とを備える伸縮自在の1つの伸縮部材と、
を備え
前記長尺部材は、前記テーパ管状体の前記外周面に取り付けられている部材の厚さよりも大きい寸法を有し、
前記部材の近傍に巻き付けられることを特徴とする保護具。
【請求項2】
前記テーパ管状体に接する面とは反対側の前記長尺部材の面に、前記伸縮部材の前記係止端部が係止される第1係止部材を備え、
前記伸縮部材の前記係止端部に、前記第1係止部材と係合する第2係止部材を備えることを特徴とする請求項1に記載の保護具。
【請求項3】
前記長尺部材は、外部からの荷重を緩和する緩衝部材により形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の保護具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テーパ管状体の外周面に巻き付けられてテーパ管状体を保護する保護具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数の金属管を運搬及び保管する際に、金属管同士が直接接触して管の表面に傷が付くことを防止するための保護具が知られている。この保護具は、金属管の長手方向に亘って所定の間隔を置いて外周面に装着されて金属管同士のスペーサとして用いられている。
このようなスペーサとして、例えば、合成樹脂で形成された外装材に、合紙又はフェルトからなるシート状の緩衝材が挿入された保護具がある。この保護具は、金属管の外周面に巻かれて外装材の両端に設けられた接着布を接着することにより、当該金属管の外周面に装着される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭62−082961号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の保護具は、当該保護具の長さが金属管の周長さに対応していない場合、接着布同士が接着できないことがある。そのため、保護具を装着する金属管の外径に合った保護具を用意する必要がある。
また、例えば長手方向に沿って外径が変化するテーパ管状体に保護具を装着する場合、種々異なる大きさの外径に対応して1本のテーパ管に対して異なる長さの保護具を複数用意する必要があった。
さらに、異なる大きさの外径に対しては、テーパ管状体の外周面にロープを巻き付けて結ぶことで対応することもできるが、ロープの長さの調節やロープを結ぶ手間がかかり作業効率が低かった。
【0005】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、種々異なる大きさの外径を有する管状体のそれぞれ異なる外径を有する箇所の外周面に簡単に装着することができる保護具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る保護具は、一方から他方に向かって外径が小さくなるテーパ管状体の外周面に着脱自在に巻き付けるテーパ管状体を保護する保護具であって、前記テーパ管状体の外周面を少なくとも部分的に覆う長尺部材と、前記長尺部材の長手方向における一端部に連結される連結端部と、前記長尺部材に着脱自在に係止される係止端部とを備える伸縮自在の伸縮部材と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、前記テーパ管状体に接する面とは反対側の前記長尺部材の面に、前記伸縮部材の前記係止端部が係止される第1係止部材を備え、前記伸縮部材の前記係止端部に、前記第1係止部材と係合する第2係止部材を備えることが好ましい。
【0008】
また、前記長尺部材は、外部からの荷重を緩和する緩衝部材により形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明のテーパ管状体の保護具によれば、種々異なる大きさの外径を有する管状体のそれぞれの外周面に簡単に装着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】テーパ管状体に本発明の実施の形態に係る保護具が装着された状態を示す斜視図である。
図2】保護具の構成を説明するための図である。
図3】保護具が巻きつけられたテーパ管状体が積み重ねられた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に示す実施の形態は一例であり、本発明の範囲において、種々の実施の形態をとりうる。
【0012】
[保護具の全体構成]
図1は、テーパ管状体に本発明の実施の形態に係る保護具が装着された状態を示す斜視図である。図2は、保護具の構成を説明するための図であり、図2(a)は、保護具の平面図であり、図2(b)は、保護具の側面図であり、図2(c)は、保護具の第1係止部材と第2係止部材とを係合した状態を示す斜視図である。
図1に示すように、保護具1は、一方から他方に向かって外径が連続して小さくなるテーパ管状体Tの外周面Taに着脱自在に巻き付けられる。
なお、説明の便宜上、テーパ管状体の長手方向を「Tx」、保護具の長手方向を「X」とする。
【0013】
図1及び図2に示すように、保護具1は、矢印Tx方向に向かって外径が小さくなるテーパ管状体Tの外周面Taを少なくとも部分的に覆う長尺部材12と、長尺部材12に連結されて伸縮自在の伸縮部材13とを備えている。
【0014】
[長尺部材]
長尺部材12は、外部からの荷重を緩和する、例えば不織布やフェルト等の緩衝部材により所定の厚さを持って帯形状に形成されている。なお、緩衝部材は、外部からの荷重を緩和する部材であれば特に限定されるものではない。
図2(a)から図2(c)に示すように、長尺部材12は、長手方向Txに沿って外径が変化するテーパ管状体Tの外周面Taをその周長さにおいて、例えば、60%以上を覆う長さAを有し、約80〜150%、特に90〜120%を覆う長さAを有することが好ましい。
長尺部材12の厚さBは、テーパ管状体Tの孔Teの外周縁に取り付けられる、例えばナットTd等の頭部の高さより大きい寸法を持って形成されていることが好ましい。
長尺部材12は、テーパ管状体Tに接する当接面12aと、当該当接面12aとは反対側に非当接面12bとを備える。非当接面12bには、伸縮部材13が着脱自在に係止される第1係止部材22が備え付けられている。
【0015】
第1係止部材22は、伸縮部材13が係脱可能な、例えば雌面ファスナーである。第1係止部材22は、長尺部材12の長さAに対して約40〜95%、特に約87%の長さCを有することが好ましい。
第1係止部材22は、伸縮部材13側の一端22aが伸縮部材13側の長尺部材12の一端12cから所定の間隔Dを空けて端部領域12dが設けられている。間隔Dは、伸縮部材13が連結される端部領域12dが確保できる寸法である。
【0016】
[伸縮部材]
伸縮部材13は、長尺部材12の長手方向Xに弾性変形可能な、例えば織ゴム等の弾性部材により長尺状に形成されている。伸縮部材13は、引張力を加えると長手方向Xに引き伸ばすことができ、引張力を除くと直ちに元の長さ(自然長)に戻る。
伸縮部材13は、長尺部材12の端部領域12dに連結される連結端部32と、長尺部材12の第1係止部材22に着脱自在に係止される係止端部33とを備える。連結端部32は、長尺部材12の非当接面12bにおける端部領域12dに縫い合わせ、接着等により連結されている。
【0017】
係止端部33は、テーパ管状体Tを臨む面13aに設けられており、当該面13aに長尺部材12の第1係止部材22と係合する第2係止部材34を備える。係止端部33の第2係止部材34は、保護具1において長尺部材12の第1係止部材22とは異なる側を臨む。
第2係止部材34は、長尺部材12が備える第1係止部材22に着脱可能に係止する。具体的には、第2係止部材34は、第1係止部材22と係脱可能な雄面ファスナーである。
【0018】
[保護具の装着方法]
次に、図1及び図2を参照して、上述した保護具1をテーパ管状体Tに装着する方法について説明する。保護具1を巻き付けるテーパ管状体Tは、例えば、基端(一端)側Tbから先端(他端)側Tc(矢印Tx方向)に向かって徐々に外径が小さくなる中空管である。図1においては、保護具1は、基端側Tbから先端側Tcまでの間において、例えば3ヶ所に巻き付けられる。
テーパ管状体Tの外周面Taには複数の孔Teが形成されている。複数の孔Teのうち一部の孔Teの外周縁には、例えばテーパ管状体Tを設置した場合に足場となる足場用のボルトを取り付けるためのナットTdが取り付けられている。
保護具1は、テーパ管状体Tの外周面Taの特にナットTdが取り付けられている位置に巻き付けて装着する。
【0019】
まず、長尺部材12の第1係止部材22と、伸縮部材13の第2係止部材34とが互いに係止されていない状態において、長尺部材12の当接面12aをテーパ管状体Tの外周面Taに当接させて巻き付けて、伸縮部材13の第2係止部材34を長尺部材12の第1係止部材22に係止させる(図2(c)参照)。
即ち、伸縮部材13の第2係止部材34を長尺部材12の第1係止部材22に係止する際に、長尺部材12と伸縮部材13とによりテーパ管状体Tの外周面Taを1周させて、伸縮部材13の第2係止部材34を長尺部材12の第1係止部材22に係止し、保護具1をテーパ管状体Tの外周面Taに巻き付けて装着する(図1参照)。
保護具1は、長尺部材12と、当該長尺部材12に連結された伸縮部材13とを備えているため、伸縮部材13を引き伸ばす長さによって長尺部材12と伸縮部材13がなす円環状の大きさを変更(調節)することができる。
【0020】
伸縮部材13は、長手方向Xに伸縮(弾性変形)自在であるので、仮に、巻き付けた管状体の外径の大きさにより長尺部材12の長手方向Xにおける端部同士が正対しない、つまり当該端部同士の間にテーパ管状体Tの周方向に間隔が開いている場合であっても、伸縮部材13を引き伸ばして当該伸縮部材13の長さを調整することで、長尺部材12の第1係止部材22に、伸縮部材13の第2係止部材34を係止させることができる。かくして、テーパ管状体Tの外周面Taに簡単に保護具1を装着することができる。
伸縮部材13の引張り量を調整することにより、1種類の保護具1のみでテーパ管状体Tの異なる外径を有する任意の複数箇所に保護具1を巻き付けて装着することができる。
【0021】
また、長尺部材12の第1係止部材22及び伸縮部材13の第2係止部材34の存在により、長尺部材12及び伸縮部材13をテーパ管状体Tの外周面Taに一周させて伸縮部材13の第2係止部材34を、長尺部材12の第1係止部材22に係止させるだけで簡単に保護具1をテーパ管状体Tに装着することができる。
【0022】
[テーパ管状体の保管]
次に、図3(a)及び図3(b)を参照して、上述した保護具1が巻き付けられたテーパ管状体Tの保管について説明する。図3は、保護具が巻き付けられたテーパ管状体が積み重ねられた状態を示す図であり、図3(a)は、保護具が巻き付けられた複数本のテーパ管状体が積み重ねた状態を示す斜視図であり、図3(b)は、積み重ねられたテーパ管状体を一端面側から見た端面図である。
図3(a)、(b)に示すように、保護具1が巻き付けられた複数本のテーパ管状体Tを積み重ねると、複数本のテーパ管状体Tに巻き付けられた保護具1が隣接するテーパ管状体Tの外周面Taに接触する。かくして、保護具1がテーパ管状体T同士の間隔を空けるスペーサとして機能し、複数本のテーパ管状体T同士が直接接触することを防止する。
【0023】
長尺部材12は、外部からの荷重を緩和する緩衝部材により形成されているので、例えば複数のテーパ管状体Tを積み重ねた際に他のテーパ管状体Tからかかる荷重を緩和することができる。かくして、保護具1に接触したテーパ管状体Tの外周面Taが傷付くことや外周面Taのコーティングが剥離することを防止することができる。
さらに、長尺部材12の厚さBを、テーパ管状体Tの、例えばナットTdの頭部の厚さより大きい寸法とすることにより、ナットTdが他のテーパ管状体Tに当接することを防止することができる。かくして、ナットTdが接触して他のテーパ管状体Tを傷付けたり、外周面Taのコーティングが剥離したりすることを抑制することができる。
【0024】
また、伸縮部材13は、弾性材料により形成されているので、テーパ管状体T同士の接触により長尺部材12に衝撃が加わり、長尺部材12が周方向に伸びた場合であっても、伸縮部材13も同時に引っ張られるので当該衝撃を吸収することができる。
【0025】
[その他]
なお、本発明の実施の形態に係る保護具は、上述のテーパ管状体Tを保護する保護具1に限定されるものではなく、本発明の概念及び特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含む。また、上述した効果の少なくとも一部を奏するように、保護具の各構成を適宜選択的に組み合わせてもよい。
例えば、上述した保護具1では、長尺部材12はフェルトで形成されている場合について説明したが、外部からの荷重を緩和する緩衝部材が用いられていれば特に限定されるものではない。また、長尺部材12がスポンジ等の緩衝部材で形成して、当該長尺部材12をフェルト等の緩衝部材により覆ってもよい。
また、伸縮部材13は、シリコンゴムなどの他の弾性部材により形成してもよい。
さらに、保護具1では、第1係止部材22と第2係止部材34とは面ファスナーである場合について説明したが、係脱可能であれば他の係止部材であってもよい。
以上のように、同様の機能を有する任意の構成のものに置き換えても、本発明の実施形態に係るテーパ管状体の保護具1と同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0026】
1 保護具
12 長尺部材
12a 当接面
12b 非当接面
12c 一端
12d 端部領域(一端部)
13 伸縮部材
13a 面
22 第1係止部材
22a 一端
32 連結端部
33 係止端部
34 第2係止部材
T テーパ管状体
Ta 外周面
Tb 基端側
Tc 先端側
Td ナット
Te 孔
図1
図2
図3