(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記運転制御部は、前記冷却装置の運転開始とともに前記結露防止ヒータへの通電を許容し、前記冷却装置の運転停止後、前記庫内温度センサにより検知された前記庫内温度が結露防止ヒータ通電遮断温度を上回ると、前記結露防止ヒータへの通電を遮断する制御を行う請求項1に記載の組立式プレハブ冷却貯蔵庫。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述のように、組立式プレハブ冷却貯蔵庫は現場で組立て設置されるため、これに具備される冷却装置および付加機能ユニットは、通常、それぞれ別個にユニット構成され、所望の仕様に応じて組み合わされて、現場で取り付けられていた。よって、冷却装置および付加機能ユニットを備える組立式プレハブ冷却貯蔵庫では、冷却装置の制御と付加機能ユニットの制御が独立して行われており、これに係るシステム全体を必ずしも効率的に制御できていなかった。
例えば、前述のような気圧弁ヒータを有する気圧調整装置を備える組立式プレハブ冷却貯蔵庫では、冷却装置の運転時には、冷却装置の電源とは別に、手動で気圧弁ヒータの電源を入れ、長期間冷却装置を使用しない場合には、冷却装置の電源とは別に、手動で気圧弁ヒータの電源を切る必要があった。気圧弁ヒータの電源を入れ忘れた場合、庫内の冷却に伴って庫内気圧が低下するとともに気圧弁が凍結して庫内気圧が適切に調整できず、開扉が適時に行えない事態が生じる虞があった。また、気圧弁ヒータの電源を切り忘れた場合には、無駄な電力消費を招いていた。
【0007】
本明細書に開示する技術は、上記事情に基づいて完成されたものであり、冷却装置と、冷却以外の付加的機能を有する付加機能ユニットと、を備える組立式プレハブ冷却貯蔵庫において、これに係るシステム全体を効率的に制御可能とすること、を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書によって開示される組立式プレハブ冷却貯蔵庫は、下記(1)の構成を有する。
(1)貯蔵物を収容する貯蔵庫と、前記貯蔵庫内を冷却する冷却装置と、冷却以外の付加的機能を有し、電動制御される一つまたは複数の付加機能ユニットと、前記冷却装置と前記付加機能ユニットとを関連付けて制御する運転制御部と、を備える構成。
【0009】
上記(1)の構成によれば、冷却装置の動作に合わせて付加機能ユニットを制御すること、または、付加機能ユニットの動作に合わせて冷却装置を制御することができる。これにより、冷却装置および付加機能ユニットの制御のために必要な操作を簡素化しつつ、相互の運転状況等に合わせて、適時にまたは効率的に、これらを動作させることができる。この結果、組立式プレハブ冷却貯蔵庫に係るシステム全体を効率的に制御して、信頼性向上や省エネルギー化を図ることができる。
【0010】
本明細書によって開示される組立式プレハブ冷却貯蔵庫は、下記(2)から(5)のいずれかに記載の構成を有していてもよい。
(2)前記貯蔵庫には、当該貯蔵庫内の気圧を調整する気圧弁が備えられ、前記気圧弁には、当該気圧弁を加温する気圧弁ヒータが配されており、前記付加機能ユニットの少なくとも一つは、前記気圧弁ヒータである構成。
(3)前記運転制御部は、前記冷却装置の運転開始とともに前記気圧弁ヒータへの通電を許容し、前記冷却装置の運転が所定時間継続して停止されると、前記気圧弁ヒータへの通電を遮断する制御を行う構成。
(4)前記貯蔵庫の庫内温度を検知する庫内温度センサをさらに備え、前記運転制御部は、前記庫内温度センサにより検知された前記庫内温度が第一気圧弁ヒータ制御温度を下回ると、前記気圧弁ヒータへの通電を行い、前記庫内温度センサにより検知された前記庫内温度が前記第一気圧弁ヒータ制御温度よりも高い第二気圧弁ヒータ制御温度を上回ると、前記気圧弁ヒータへの通電を停止する制御を行う構成。
(5)前記気圧弁には、当該気圧弁の温度を検知する気圧弁温度センサが配されており、前記運転制御部は、前記気圧弁温度センサにより検知された前記気圧弁の温度が第一気圧弁設定温度を下回ると、前記気圧弁ヒータへの通電を行い、前記気圧弁の温度が前記第一気圧弁設定温度よりも高い第二気圧弁設定温度を上回ると、前記気圧弁ヒータへの通電を停止する制御を行う構成。
【0011】
上記(2)の構成によれば、結露や気圧弁の凍結を抑制する気圧弁ヒータを、冷却装置の運転と関連付けて制御することができる。
上記(3)の構成によれば、気圧弁ヒータの電源の入れ忘れがなくなることで、適時に気圧弁ヒータへの通電が行われて結露や気圧弁の凍結が抑制される。また、切り忘れがなくなることで、気圧弁ヒータの異常過熱が防止されて組立式プレハブ冷却貯蔵庫の安全性が向上し、かつ不要な加熱が抑制されて運転時の省エネルギー化を図ることができる。
上記(4)の構成によれば、庫内温度に応じて気圧弁ヒータへの通電を制御することにより、効率的に気圧弁の凍結を抑制できる。気圧弁ヒータの制御にあたっては、冷却装置の運転制御に用いられる庫内温度が目安とされるため、別途、専用のセンサや入力回路を設ける必要もない。
上記(5)の構成によれば、気圧弁ヒータの制御にあたり、気圧弁近傍の温度(気圧弁の温度)が目安とされるため、結露や気圧弁の凍結を抑制するために気圧弁ヒータによる加温が必要かどうかの判断を、より精確に行うことができる。
【0012】
また、本明細書によって開示される組立式プレハブ冷却貯蔵庫は、下記(6)から(9)のいずれかに記載の構成を有していてもよい。
(6) 前記貯蔵庫には、開口が設けられるとともに前記開口を開閉する断熱扉が備えられ、前記開口および前記断熱扉の少なくとも一方の周縁には、閉扉状態において前記断熱扉の周縁を加温して結露を防止する結露防止ヒータが配されており、前記付加機能ユニットの少なくとも一つは、前記結露防止ヒータである構成。
(7)前記貯蔵庫の庫内温度を検知する庫内温度センサをさらに備え、前記運転制御部は、前記冷却装置の運転開始とともに前記結露防止ヒータへの通電を許容し、前記冷却装置の運転停止後、前記庫内温度センサにより検知された前記庫内温度が結露防止ヒータ通電遮断温度を上回ると、前記結露防止ヒータへの通電を遮断する制御を行う構成。
(8)前記貯蔵庫の庫内温度を検知する庫内温度センサをさらに備え、前記運転制御部は、前記庫内温度センサにより検知された前記庫内温度が第一結露防止ヒータ制御温度を下回ると、前記結露防止ヒータへの通電を行い、前記庫内温度センサにより検知された前記庫内温度が前記第一結露防止ヒータ制御温度よりも高い第二結露防止ヒータ制御温度を上回ると、前記結露防止ヒータへの通電を停止する制御を行う構成。
(9)前記貯蔵庫の庫内温度を検知する庫内温度センサと、前記貯蔵庫の庫外温度を検知する庫外温度センサと、前記貯蔵庫の庫外湿度を検知する湿度センサと、をさらに備え、前記運転制御部は、前記庫内温度センサにより検知された前記庫内温度および前記結露防止ヒータの通電率から推定される扉枠表面温度が、前記庫外温度センサにより検知された前記庫外温度および前記湿度センサにより検知された前記庫外湿度から算出される露点温度を下回ると、前記結露防止ヒータへの通電を行い、前記扉枠表面温度が、前記露点温度を上回ると、前記結露防止ヒータへの通電を停止する制御を行う構成。
【0013】
上記(6)の構成によれば、開口および断熱扉の周縁部への結露を抑制する結露防止ヒータを、冷却装置の運転と関連付けて制御することができる。なお、結露防止ヒータは、貯蔵庫本体の開口周縁に配される扉枠ヒータおよび断熱扉の周縁に配される扉ヒータのうちの少なくとも一つとすることができる。
上記(7)の構成によれば、結露防止ヒータの電源の入れ忘れがなくなることで、適時に結露防止ヒータへの通電が行われて開口および断熱扉の周縁部への結露が抑制される。また、切り忘れがなくなることで、結露防止ヒータの異常過熱が防止されて組立式プレハブ冷却貯蔵庫の安全性が向上し、貯蔵物に悪影響が及ぶ事態を回避できる。さらに、不要な加熱が抑制されて、運転時の省エネルギー化を図ることができる。
上記(8)の構成によれば、庫内温度に応じて、結露防止ヒータへの通電を制御することにより、効率的に、開口および断熱扉の周縁部への結露を抑制できる。結露防止ヒータの制御にあたっては、冷却装置の運転制御に用いられる庫内温度が目安とされるため、別途、専用のセンサや入力回路を設ける必要もない。
上記(9)の構成によれば、予め実験等を行って得た庫内温度および扉枠ヒータ通電率と、扉枠表面温度との関係に基づいて扉枠表面温度を推定し、この扉枠表面温度と、庫外温度および庫外湿度から算出された露点温度とを比較して、結露防止ヒータの制御が行われる。これにより、結露を抑制するために結露防止ヒータによる加温が必要かどうかの判断を、より精確に行うことができる。
【0014】
また、本明細書によって開示される組立式プレハブ冷却貯蔵庫は、下記(10)から(12)のいずれかに記載の構成を有していてもよい。
(10)前記貯蔵庫には、当該貯蔵庫の下方においてこれを支持するベース枠が備えられ、前記ベース枠には、換気を行うためのベースファンが配されており、前記付加機能ユニットの少なくとも一つは、前記ベースファンである構成。
(11)前記貯蔵庫の庫内温度を検知する庫内温度センサをさらに備え、前記運転制御部は、前記庫内温度センサにより検知された前記庫内温度が第一ベースファン制御温度を下回ると、前記ベースファンへの通電を行い、前記庫内温度センサにより検知された前記庫内温度が前記第一ベースファン制御温度よりも高い第二ベースファン制御温度を上回ると、前記ベースファンへの通電を停止する制御を行う構成。
(12)前記貯蔵庫の庫内温度を検知する庫内温度センサと、前記貯蔵庫の庫外温度を検知する庫外温度センサと、をさらに備え、前記運転制御部は、前記庫内温度センサにより検知された前記庫内温度および前記庫外温度センサにより検知された前記庫外温度の温度差の値が、第一ベースファン制御値よりも大きくなると、前記ベースファンへの通電を行い、前記温度差の値が前記第一ベースファン制御値よりもよりも小さい第二ベースファン制御値よりも小さくなると、前記ベースファンへの通電を停止する制御を行う構成。
【0015】
上記(10)の構成によれば、貯蔵庫下方のベース枠内部における結露を抑制するベースファンを、冷却装置の運転と関連付けて制御することができる。
上記(11)の構成によれば、庫内温度に応じて、ベースファンへの通電を制御することにより、効率的に、ベース枠内部における結露を抑制できる。従来のように、手動によりベースファンの電源が入操作された後は、切操作されるまで常時運転される構成と比較すると、格段にエネルギー消費を減少させることができる。ベースファンの制御にあたっては、冷却装置の運転制御に用いられる庫内温度が目安とされるため、別途、専用のセンサや入力回路を設ける必要もない。
上記(12)の構成によれば、結露防止ヒータの制御にあたり、庫外温度と庫内温度との温度差が目安とされるため、結露を抑制するためにベースファンによる換気が必要かどうかの判断を、より精確に行うことができる。
【0016】
また、本明細書によって開示される組立式プレハブ冷却貯蔵庫は、下記(13)から(15)のいずれかに記載の構成を有していてもよい。
(13)前記貯蔵庫には、開口が設けられるとともに前記開口を開閉する断熱扉が備えられ、前記開口の下方には、フロアヒータが配されており、前記付加機能ユニットの少なくとも一つは、前記フロアヒータである構成。
(14)前記運転制御部は、前記冷却装置の運転開始とともに前記フロアヒータへの通電を許容し、前記冷却装置の運転が所定時間継続して停止されると、前記フロアヒータへの通電を遮断する制御を行う構成。
(15)前記貯蔵庫の庫内温度を検知する庫内温度センサをさらに備え、前記運転制御部は、前記庫内温度センサにより検知された前記庫内温度が第一フロアヒータ制御温度を下回ると、前記フロアヒータへの通電を行い、前記庫内温度センサにより検知された前記庫内温度が前記第一フロアヒータ制御温度よりも高い第二フロアヒータ制御温度を上回ると、前記フロアヒータへの通電を停止する制御を行う構成。
【0017】
上記(13)の構成によれば、開口付近の床面の凍結を抑制するフロアヒータを、冷却装置の運転と関連付けて行うことができる。
上記(14)の構成によれば、フロアヒータの電源の入れ忘れがなくなることで、適時にフロアヒータへの通電が行われて開口付近床面の凍結が抑制される。また、切り忘れがなくなることで、フロアヒータの異常過熱が防止されて組立式プレハブ冷却貯蔵庫の安全性が向上し、かつ不要な加熱が抑制されて運転時の省エネルギー化を図ることができる。
上記(15)の構成によれば、庫内温度に応じて、フロアヒータへの通電を制御することにより、効率的に、開口付近の床面の凍結を抑制できる。フロアヒータの制御にあたっては、冷却装置の運転制御に用いられる庫内温度が目安とされるため、別途、専用のセンサや入力回路を設ける必要もない。従来のサーモスタット付きフロアヒータでは、温度上昇により保護機能が働いて頻繁にON/OFFが繰り返されてサーモスタットの寿命が短命化することがあるが、庫内温度に応じてフロアヒータへの通電制御を行うことで、このような事態を抑制することができる。
【0018】
また、本明細書によって開示される組立式プレハブ冷却貯蔵庫は、下記(16)または(17)に記載の構成を有していてもよい。
(16)前記貯蔵庫には、開口が設けられるとともに前記開口を電動で開閉する電動断熱扉が備えられており、前記付加機能ユニットの少なくとも一つは、前記電動断熱扉であって、前記貯蔵庫の庫内温度を検知する庫内温度センサをさらに備え、前記運転制御部は、前記庫内温度センサによって検知された 前記庫内温度が開扉温度になると、前記電動断熱扉を開扉する制御を行う構成。
(17)前記貯蔵庫には、当該貯蔵庫内の気圧を調整する気圧弁が備えられており、前記運転制御部は、前記電動断熱扉を開扉する前に、前記気圧弁を開放する制御を行う構成。
【0019】
上記(16)の構成によれば、開扉温度を、想定される庫内温度域の下限値よりも一定値以上低く、或いは上限値よりも一定値以上高く設定しておくことで、冷却装置に異常が発生して貯蔵庫内が過冷却されたり、庫内火災等により貯蔵庫内が高温となったりした場合に、貯蔵庫内作業者が閉じ込められる事態が回避され、作業者の安全性を向上させることができる。
(16)の構成において、貯蔵庫内が異常温度(開扉温度)になった際に負圧であった場合、電動断熱扉の開扉がスムーズに行えない可能性がある。上記(17)の構成によれば、予め気圧弁を開放して貯蔵庫内外の圧力差を解消することにより、このような不具合を回避し、電動断熱扉を容易に開扉することができる。例えば、開扉温度になった場合に、運転制御部や別設置した警報装置を使ってソレノイド等を用いて気圧弁の弁部を押圧もしくは引張することで、気圧弁を開放することができる。
【0020】
また、本明細書によって開示される組立式プレハブ冷却貯蔵庫は、下記(18)から(21)のいずれかに記載の構成を有していてもよい。
(18)前記付加機能ユニットの少なくとも一つは、前記貯蔵庫内に備えられた庫内灯である構成。
(19)前記貯蔵庫の庫内温度を検知する庫内温度センサをさらに備え、前記運転制御部は、前記庫内温度センサによって検知された前記庫内温度が庫内灯制御温度になると、前記庫内灯の点灯方法を変更する制御を行う構成。
(20)前記貯蔵庫には、開口が設けられるとともに、前記開口を開閉する断熱扉と、前記断熱扉の開閉を検知する扉開閉センサと、前記扉開閉センサによって開扉が検知されてから次の開扉が検知されるまでの在室時間を計測する開扉タイマと、が備えられており、前記運転制御部は、前記開扉タイマによって計測された前記在室時間が一定時間に達すると、前記庫内灯の点灯方法を変更する制御を行う構成。
(21)前記貯蔵庫には、冷気を当該貯蔵庫内に循環させる庫内ファンが備えられており、前記運転制御部は、前記庫内灯の点灯方法を変更するのと同時に、前記庫内ファンの回転数を抑制する制御を行う構成。
【0021】
上記(18)の構成によれば、庫内灯と冷却装置とを関連付けて制御することができる。
上記(19)の構成によれば、庫内灯制御温度を、想定される庫内温度域の下限値よりも一定値以上低く、或いは上限値よりも一定値以上高く設定しておくことで、冷却装置に異常が発生して貯蔵庫内が過冷却されたり、庫内火災等により貯蔵庫内が高温となったりした場合に、貯蔵庫内で作業を行っている者に異常を知らせ、いち早く対策を講じさせることができる。これにより、作業者の安全性を向上させることができる。
貯蔵庫内は、通常、常温よりもかなり低い温度に保たれるため、貯蔵庫内で作業を長時間継続して行うと、作業効率が低下し、また作業者の健康に好ましくない影響を与える場合がある。上記(20)の構成によれば、庫内作業者に在室時間が所定時間に達したことを知らせ、一旦作業を中止して貯蔵庫外に出る等の対策をとるよう促すことができる。これにより、庫内作業者の健康に悪影響が及ぶ事態を回避するとともに、庫内作業の作業効率の低下を抑制することができる。
上記(21)の構成によれば、(19)または(20)の構成によって貯蔵庫内作業者への注意喚起を要する事態が生じた場合に、同時に貯蔵庫内の冷却を抑制し、作業者の体温低下を抑えて保護を図ることができる。
【0022】
また、本明細書によって開示される組立式プレハブ冷却貯蔵庫は、下記(22)から(25)のいずれかに記載の構成を有していてもよい。
(22)前記付加機能ユニットの少なくとも一つは、前記貯蔵庫の内部に設けられて手動操作される操作部と、前記貯蔵庫の外部に警報を発する報知部と、を有する警報装置である構成。
(23)前記運転制御部は、前記操作部が手動操作されると、前記報知部により警報を発するとともに、前記冷却装置の運転を停止する制御を行う構成。
(24)前記運転制御部は、前記操作部が手動操作されると、前記報知部により警報を発するとともに、前記冷却装置による前記貯蔵庫内の冷却を抑制する制御を行う構成。
(25)前記冷却装置は、熱交換により前記貯蔵庫を冷却する冷却器を有して、前記貯蔵庫を冷却する冷却運転モードと、前記冷却器の除霜を行う除霜運転モードとを切り替えて運転可能とされており、前記運転制御部は、前記操作部が手動操作されると、前記報知部により警報を発するとともに、前記冷却装置を前記除霜運転モードで運転する制御を行う構成。
【0023】
上記(22)の構成によれば、警報装置と冷却装置とを関連付けて制御することができる。
上記(23)の構成によれば、貯蔵庫内作業者が異常を察知して操作部を操作すると、貯蔵庫内の冷却も停止される。これにより、作業者の体温低下等を抑制して保護を図ることができる。
上記(24)の構成によれば、貯蔵庫内作業者が異常を察知して操作部を操作すると、貯蔵庫内の冷却も抑制される。冷却の抑制は、例えば、冷却装置を構成する庫内ファンの回転数や運転率を低下させたり、庫内設定温度を上昇させたりして行うことができる。これにより、圧縮機等の緊急停止を回避して装置の保護を図りつつ、作業者の体温低下等を抑制して保護を図ることができる。
上記(25)の構成によれば、貯蔵庫内作業者が異常を察知して操作部を操作すると、それ以降は冷却装置の運転が除霜運転モードで行われ、貯蔵庫内の冷却が抑制される。これにより、冷却器の除霜を行いつつ作業者の体温低下等を抑制して保護を図ることができる。
【発明の効果】
【0024】
本明細書によって開示される技術によれば、冷却装置と、冷却以外の付加的機能を有する付加機能ユニットと、を備えた組立式プレハブ冷却貯蔵庫において、当該組立式プレハブ冷却貯蔵庫の運転に係るシステム全体を効率的に制御することができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
<第1実施形態>
第1実施形態を、
図1から
図11によって説明する。
本実施形態では、本明細書が開示する技術を、プレハブ冷蔵庫(組立式プレハブ冷却貯蔵庫)1に適用した場合について例示する。なお、本明細書が開示する技術は、例えば、スーパーマーケット、食品加工工場、物流センター等において、物品を冷却しつつ貯蔵、加工、仕分け等を行う組立式のプレハブ冷蔵/冷凍庫に適用することができる。以下、
図1の紙面右手前側を前、左奥側を後、左手前側を左、右奥側を右として説明する。
【0027】
まず、
図1および
図2を用いて全体構造の概要を説明する。プレハブ冷蔵庫1は、複数枚の断熱性のパネルを組み立てることで方形の箱形に形成された貯蔵庫本体2を備えており、その内部は貯蔵物を収容可能な貯蔵庫3とされている。貯蔵庫本体2の前面には、貯蔵物の搬入等を行う作業者が出入り可能な開口4が形成され、開口4を覆うように、片開き式の断熱扉5が装着されている。本実施形態に係るプレハブ冷蔵庫1は、いわゆるロールインタイプの貯蔵庫であって、貯蔵庫3内外への貯蔵物の出し入れを台車等で容易に行うことができるように、開口4の下端が、貯蔵庫本体2の設置面6に至るように設計されたものである。
【0028】
プレハブ冷蔵庫1に装備された冷却装置10について、説明する。
図1等に示すように、冷却装置10は、貯蔵庫3の庫内に配される室内機11と、貯蔵庫3の庫外に配される室外機12と、を有して構成されている。室内機11は、貯蔵庫3の天井3Aに設置されており、庫内ファン14(
図5参照)が取り付けられるとともに、内部には冷却器(図示しない)等が収容されている。一方、室外機12には、圧縮機15(
図5参照)と空冷式の凝縮器(図示しない)等が収容されている。室内機11と室外機12との間には、冷却器や圧縮機15等の冷凍装置を循環接続する冷媒配管16が配設されて、いわゆる冷凍サイクルが構成されている。この冷凍サイクルは、室外機12に収容された圧縮機15、凝縮器、図示しないドライヤ、受液器と、室内機11に収容された膨張弁、冷却器とを順に連ねたものであり、冷媒配管16内の冷媒を圧縮機15で圧縮し、凝縮器で放熱させ、冷却器で蒸発させることによって冷却作用を生じさせる周知の構成である。
【0029】
貯蔵庫3内の庫内空気は、庫内ファン14によって室内機11内へと吸い込まれ、吸い込まれた庫内空気が冷却器において熱交換によって冷却された後に貯蔵庫3内に吹き出されることで、冷却された庫内空気が貯蔵庫3内に循環供給されるようになっている。なお、貯蔵庫3内には、庫内温度T
Rを検知する庫内サーミスタ(庫内温度センサ)19が設置されている。
【0030】
続いて、プレハブ冷蔵庫1に備えられ、冷却以外の機能を発揮する付加機能ユニットについて、順次説明する。
図1および
図2に示すように、貯蔵庫本体2には、庫外の外気圧との圧力差を解消すべく庫内の気圧を調整する気圧調整装置20が備えられ、気圧調整装置20には、気圧弁ヒータ(付加機能ユニットの一例)21が配されている。
図3は、気圧調整装置20の取付部分の拡大分解斜視図である。気圧調整装置20は、貯蔵庫3の壁面を構成するパネルを貫通して設けられ、内部には、気体が流通可能な気流路22が庫内側と庫外側とをつなぐように形成されている。気流路22には、これを開閉可能な気圧弁23が設けられており、この弁口すなわち気流路22の周縁部には、
図3に示すように、気圧弁ヒータ21(付加機能ユニットの一例)が巻装されている。気圧弁23は、通常の状態では、図示しないバネ等の付勢手段によって庫外側に付勢されて、気流路22を閉止するように取り付けられている。貯蔵庫3内が冷却に伴って負圧となり、貯蔵庫3内外に圧力差が生じると、気圧弁23が付勢力に抗して庫内側に移動して気流路22を開放することで、庫内側と庫外側が連通し、空気が流通して圧力差が解消されるようになっている。ここで、気圧弁22の周縁部に巻装された気圧弁ヒータ21は、通電されると発熱し、気流路22および気圧弁23を加温して、気圧調整装置20への結露の発生および気圧弁23の凍結を抑制するという機能を発揮する。
【0031】
図1および
図2に示すように、貯蔵庫本体2には、開口4を開閉する断熱扉5が備えられ、閉扉状態において断熱扉5の周縁を加温して結露を防止する結露防止ヒータ(付加機能ユニットの一例)が配されている。
断熱扉5は、その右側縁を軸として左開き式に揺動開閉可能に装着されている。
図4は、断熱扉5の左側縁部分の拡大水平断面図である。
図4に示すように、断熱扉5の周縁には、軟質樹脂等のゴム材(弾性材)で形成された厚みのある中空の帯状をなすドアパッキン33が、上および左右の縁部に亘って取り付けられている。このドアパッキン33の内部に形成された複数の空気室33aにより、弾力性の確保と、貯蔵庫3内外の断熱性の確保とが図られている。他方、貯蔵庫本体2における開口4の周縁には扉枠39が設けられ、扉枠39のうちドアパッキン33が当接する部分の裏面側に、受部材38が埋設されている。閉扉状態では、断熱扉5の上および左右の縁部において、ドアパッキン33が受部材38に押し当てられて、貯蔵庫3内からの冷気漏れが防止される。そして、この受部材38に、コードヒータからなる扉枠ヒータ(結露防止ヒータの一例)31が配されている。扉枠ヒータ31は、通電されると発熱し、扉枠39表面および断熱扉5の周縁部を加温して、結露の発生を抑制するという機能を発揮する。
【0032】
図1および
図2に示すように、貯蔵庫本体2に設けられた開口4の下方の設置面6には、フロアヒータ(付加機能ユニットの一例)41が埋設されている。
前述のように、本実施形態において、開口4は、下端が貯蔵庫本体2の設置面6に至るように設けられており、断熱扉5下縁部には、摺りゴムからなる下パッキン(図示しない)が、設置面6に摺接するように設けられることで、貯蔵庫3内からの冷気漏れが防止される。そして、この開口4周辺の設置面6に、フロアヒータ41が埋設されている。貯蔵庫3内が冷却されると、断熱扉5の下パッキンに結露が発生し、結露水が設置面6に滴下してこれを濡らし、さらには貯蔵庫3内の冷気により凍結する虞があるところ、フロアヒータ41は、通電されると発熱し、開口4周辺の設置面6を加温して、当該部分の濡れや凍結を抑制するという機能を発揮する。
【0033】
図1に示すように、貯蔵庫本体2において、貯蔵庫3内の天井3Aには、庫内灯(付加機能ユニットの一例)51が設置されている。
庫内灯51は、貯蔵庫3内の開口4付近に設けられたスイッチ(図示しない)を手動で操作することによって入切される。本実施形態に係る貯蔵庫本体2には、断熱性等を考慮して灯り取りの窓等は設けられておらず、貯蔵庫3内に作業者が在室して、貯蔵物の整理や確認等の作業が行われる際には、庫内灯51は常時点灯状態に維持される。庫内灯51が点滅したり光色が変化したりすると、通常であれば、作業者は直ちにこれに気付くため、庫内灯51は、その点灯状態が変更等されることで、作業者の注意を喚起するという機能を発揮する。
【0034】
図1に示すように、貯蔵庫本体2には、警報装置(付加機能ユニットの一例)61が設置されている。
警報装置61は、貯蔵庫3内に設けられて手動操作される非常スイッチ(操作部の一例)62と、貯蔵庫本体2の外部に異常を知らせるための警告灯(報知部の一例)63と、を有して構成されている。貯蔵庫3内において作業者が何らかの異常を察知すると、非常スイッチ62が押される。すると、警告灯63が点灯し、プレハブ冷蔵庫1の外部に異常を知らせて救援を要請できるという機能を発揮する。なお、警告灯63の点灯と同時に、貯蔵庫本体2の外壁面等に設けたスピーカ等により、警報音が発せられる構成としてもよい。
【0035】
続いて、冷却装置10および各種付加機能ユニットの制御等について説明する。
図1および
図2に示すように、貯蔵庫本体2の天面には、マイクロコンピュータを搭載した制御基板等を内蔵するコントロールボックス9が載置され、開口4近傍の前壁面には、制御基板への各種入力信号を手動入力するためのオペレーションボード8が付設されている。なお、オペレーションボード8は、貯蔵庫3内に設置する構成としてもよい。
【0036】
図5は、制御基板に設けられた運転制御部90による制御機構を示すブロック図である。
運転制御部90の入力側には、オペレーションボード8、庫内サーミスタ19、庫内灯スイッチ52、および警報装置61の非常スイッチ62が接続されている。オペレーションボード8には電源スイッチが設けられており、これを手動で操作することによって冷却装置10の電源が入切される。さらに、オペレーションボード8を操作することにより、冷却装置10および各種付加機能ユニットの制御において基準とされる値が入力設定される。具体的には、冷却装置10の圧縮機15や庫内ファン14の運転/停止の目安となる冷却ON温度T
F(ON)/冷却OFF温度T
F(OFF)、気圧弁ヒータON温度(第一気圧弁ヒータ制御温度)T
VH(ON)/気圧弁ヒータOFF温度(第二気圧弁ヒータ制御温度)T
VH(OFF)、扉枠ヒータ遮断温度T
DH(SHUT)、扉枠ヒータON温度(第一結露防止ヒータ制御温度)T
DH(ON)/扉枠ヒータOFF温度(第二結露防止ヒータ制御温度T
DH(OFF)、フロアヒータON温度(第一フロアヒータ制御温度)T
FH(ON)/フロアヒータOFF温度(第二フロアヒータ制御温度)T
FH(OFF)、高温注意温度(庫内灯制御温度)T
N(HIGH)/低温注意温度(庫内灯制御温度)T
N(LOW)等が入力され、運転制御部90に設けられた記憶部91において記憶される。庫内サーミスタ19および非常スイッチ62から入力された庫内温度T
Rおよび非常事態発生の有無についての情報は、運転制御部90に設けられた比較部92において、記憶部91の情報等と比較される。また、運転制御部90には、タイマ99が具備されており、タイマ99からも必要に応じて時間信号が入力されるようになっている。
【0037】
運転制御部90の出力側には、圧縮機15、庫内ファン14、気圧弁ヒータ電源基板、結露防止ヒータ電源基板、フロアヒータ電源基板、庫内灯51、および警告灯63が接続されている。気圧弁ヒータ電源基板、結露防止ヒータ電源基板およびフロアヒータ電源基板には、さらに気圧弁ヒータ21、扉枠ヒータ31およびフロアヒータ41が、それぞれ接続されている。
【0038】
運転制御部90には、オペレーションボード8を通じて入力された各種設定値が記憶される前述の記憶部91、および庫内温度T
R等の検知値と各種設定値とが比較される前述の比較部92のほか、比較部92における各種入力値の比較結果等に基づいて、各付加機能ユニットの運転制御に関する指令信号を発する指令部93が、少なくとも設けられている。
【0039】
冷却装置10の運転制御について、
図5および
図6を参照しつつ説明する。
運転制御部90の記憶部91には、前述のように、予め設定された冷却ON温度T
F(ON)と冷却OFF温度T
F(OFF)が記憶されている。なお、これらは、冷却ON温度T
F(ON)>冷却OFF温度T
F(OFF)となるように設定される。
【0040】
本実施形態では、オペレーションボード8において冷却装置10の電源が入操作されると、運転制御部90は、指令部93から気圧調整装置電源基板、結露防止ヒータ電源基板およびフロアヒータ電源基板に電源入信号を出力し、これらの電源を入れる制御を行う。その後、運転制御部90は、記憶部91に記憶された設定値と、庫内サーミスタ19から入力される庫内温度T
Rとを比較部92において逐次比較し、この比較結果に基づいて指令部93から指令信号を出力して、冷却装置10の運転を制御する。具体的には、圧縮機15および庫内ファン14が停止されている状態において、庫内温度T
Rが冷却ON温度T
F(ON)を上回った場合には、指令部93から圧縮機15および庫内ファン14に運転指令信号を出力して、圧縮機15および庫内ファン14を起動する。圧縮機15および庫内ファン14が運転されている状態において、庫内温度T
Rが冷却OFF温度T
F(OFF)を下回った場合には、指令部93から圧縮機15および庫内ファン14に停止指令信号を出力して、圧縮機15および庫内ファン14の運転を停止する制御を行う。このように、圧縮機15および庫内ファン14の運転と停止が繰り返されることで、貯蔵庫3内の庫内温度T
Rが所望の設定温度付近に維持される。なお、庫内ファン14の運転および停止は、必ずしも圧縮機15と同期して行われる必要はなく、圧縮機15の停止から所定時間遅れて庫内ファン14を停止するように制御してもよいし、冷却OFF温度T
F(OFF)とは異なる庫内ファンOFF温度を設定して制御してもよく、さらには庫内ファン14が、適時、間欠運転されるように制御してもよい。
【0041】
次に、気圧弁ヒータ21への通電制御とその作用効果について、
図5および
図7を参照しつつ説明する。
運転制御部90の記憶部91には、予め設定された気圧弁ヒータON温度T
VH(ON)と気圧弁ヒータOFF温度T
VH(OFF)が記憶されている。なお、これらは、気圧弁ヒータON温度T
VH(ON)<気圧弁ヒータOFF温度T
VH(OFF)となるように設定される。
【0042】
オペレーションボード8において冷却装置10の電源が入操作されると、運転制御部90は、出力側に接続された気圧弁ヒータ電源基板の電源を前述のように入れる制御を行い、気圧弁ヒータ21への通電を許容する。また、オペレーションボード8において冷却装置10の電源が切操作されると、指令部93からタイマ99に開始信号が出力されてタイマ99のカウントがスタートする。所定時間経過するまで冷却装置10の電源が切のままであった場合には、指令部93から指令信号を出力して気圧弁ヒータ電源基板の電源を切り、気圧弁ヒータ21への通電を遮断する。
【0043】
気圧弁ヒータ電源基板の電源が入った後、運転制御部90は、記憶部91に記憶された設定値と、庫内サーミスタ19から入力される庫内温度T
Rとを比較部92において逐次比較し、この比較結果に基づいて指令部93から指令信号を出力して、気圧弁ヒータ21への通電を制御する。具体的には、冷却装置10の運転によって庫内温度T
Rが低下して気圧弁ヒータON温度T
VH(ON)を下回ると、運転制御部90は、指令部93から気圧弁ヒータ21に通電指令信号を出力して、気圧弁ヒータ21の加熱を開始する。また、冷却装置10の停止等によって庫内温度T
Rが上昇して気圧弁ヒータOFF温度T
VH(OFF)を上回ると、運転制御部90は、指令部93から気圧弁ヒータ21に通電停止指令信号を出力して、気圧弁ヒータ21の加熱を停止する。このように、庫内温度T
Rに応じて気圧弁ヒータ21への通電と通電停止が繰り返されることで、気圧調整装置20の気流路22および気圧弁23が必要時に加温され、気圧弁23の凍結が抑制されることで、気圧弁23が適時に作動して庫内外の気圧差が小さく維持される。
【0044】
上記本実施形態の構成によれば、結露や気圧弁23の凍結を抑制する気圧弁ヒータ21が、冷却装置10の運転と関連付けて制御される。気圧調整装置20の電源の入れ忘れがなくなることで、適時に気圧弁ヒータ21への通電が行われて、結露や気圧弁23の凍結が抑制される。また、気圧調整装置20の電源の切り忘れがなくなることで、気圧弁ヒータ21の異常過熱が防止されてプレハブ冷蔵庫1の安全性が向上し、不要な加熱が抑制されてプレハブ冷蔵庫1に係るシステム全体について省エネルギー化を図ることができる。
また、本実施形態の構成によれば、庫内温度T
Rに応じて気圧弁ヒータ21への通電を制御することにより、効率的に気圧弁23の凍結を抑制できる。気圧弁ヒータ21の制御にあたっては、冷却装置10の運転制御に用いられる庫内温度T
Rが目安とされるため、別途、専用のセンサや入力回路を設ける必要もない。
【0045】
次に、扉枠ヒータ31への通電制御とその作用効果について、
図5および
図8を参照しつつ説明する。
運転制御部90の記憶部91には、予め設定された扉枠ヒータ遮断温度T
DH(SHUT)、扉枠ヒータON温度T
DH(ON)、扉枠ヒータOFF温度T
DH(OFF)が記憶されている。なお、これらは、扉枠ヒータON温度T
DH(ON)<扉枠ヒータOFF温度T
DH(OFF)<扉枠ヒータ遮断温度T
DH(SHUT)となるように設定されている。
【0046】
オペレーションボード8において冷却装置10の電源が入操作されると、運転制御部90は、出力側に接続された結露防止ヒータ電源基板の電源を前述のように入れる制御を行い、扉枠ヒータ31への通電を許容する。
【0047】
結露防止ヒータの電源が入った後、運転制御部90は、記憶部91に記憶された設定値と、庫内サーミスタ19から入力される庫内温度T
Rとを比較部92において逐次比較し、この比較結果に基づいて指令部93から指令信号を出力して、扉枠ヒータ31への通電を制御する。具体的には、冷却装置10の運転によって庫内温度T
Rが低下して扉枠ヒータON温度T
DH(ON)を下回ると、運転制御部90は、指令部93から扉枠ヒータ31に通電指令信号を出力して、扉枠ヒータ31の加熱を開始する。また、冷却装置10の停止等によって庫内温度T
Rが上昇して扉枠ヒータOFF温度T
DH(OFF)を上回ると、指令部93から扉枠ヒータ31に通電停止指令信号を出力して、扉枠ヒータ31の加熱を停止される。さらに、庫内温度T
Rが扉枠ヒータ遮断温度T
DH(SHUT)を上回ると、指令部93から扉枠ヒータ電源基板への出力信号により結露防止ヒータ電源基板の電源を切って、扉枠ヒータ31への通電を遮断する。このように、庫内温度T
Rに応じて扉枠ヒータ31への通電と通電停止が繰り返されることで、断熱扉5の周縁部が必要時に加温されるようになっている。
【0048】
上記本実施形態の構成によれば、開口4および断熱扉5の周縁部への結露を抑制する結露防止ヒータが、冷却装置10と関連付けて制御される。結露防止ヒータの電源の入れ忘れがなくなることで、適時に扉枠ヒータ31への通電が行われて開口4および断熱扉5の周縁部への結露が抑制される。また、結露防止ヒータの電源の切り忘れがなくなることで、扉枠ヒータ31の異常過熱が防止されてプレハブ冷蔵庫1の安全性が向上し、貯蔵物に悪影響が及ぶ事態を回避できる。また、不要な加熱が抑制されることで、省エネルギー化を図ることができる。
また、本実施形態の構成によれば、庫内温度T
Rに応じて扉枠ヒータ31への通電を制御することにより、効率的に、開口4および断熱扉5の周縁部への結露を抑制できる。扉枠ヒータ31の制御にあたっては、冷却装置10の運転制御に用いられる庫内温度T
Rが目安とされるため、別途、専用のセンサや入力回路を設ける必要もない。
【0049】
次に、フロアヒータ41への通電制御とその作用効果について、
図5および
図9を参照しつつ説明する。
運転制御部90の記憶部91には、予め設定されたフロアヒータON温度T
FH(ON)とフロアヒータOFF温度T
FH(OFF)が記憶されている。これらの値は、フロアヒータON温度T
FH(ON)<フロアヒータOFF温度T
FH(OFF)となるように設定されている。
【0050】
オペレーションボード8において冷却装置10の電源が入操作されると、運転制御部90は、出力側に接続されたフロアヒータ電源基板の電源を入れる制御を前述のように行い、フロアヒータ41への通電を許容する。また、オペレーションボード8において冷却装置10の電源が切操作されると、指令部93からタイマ99に開始信号が出力されてタイマ99のカウントがスタートする。所定時間経過するまで冷却装置10の電源が切のままであった場合には、指令部93から指令信号を出力してフロアヒータ電源基板の電源を切り、フロアヒータ41への通電を遮断する。
【0051】
フロアヒータ41の電源が入った後、運転制御部90は、記憶部91に記憶された設定値と、庫内サーミスタ19から入力される庫内温度T
Rとを比較部92において逐次比較し、この比較結果に基づいて指令部93から指令信号を出力して、フロアヒータ41への通電を制御する。具体的には、冷却装置10の運転によって庫内温度T
Rが低下してフロアヒータON温度T
FH(ON)を下回ると、運転制御部90は、指令部93からフロアヒータ41に通電指令信号を出力して、フロアヒータ41の加熱を開始する。また、冷却装置10の停止等によって庫内温度T
Rが上昇してフロアヒータOFF温度T
FH(OFF)を上回ると、運転制御部90は、指令部93からフロアヒータ41に通電停止指令信号を出力して、フロアヒータ41の加熱を停止する。このように、庫内温度T
Rに応じてフロアヒータ41への通電と通電停止が繰り返されることで、開口4下方の設置面6が加温され、当該部分の濡れや凍結が抑制される。
【0052】
上記本実施形態の構成によれば、開口4付近の床面(設置面6)の凍結を抑制するフロアヒータ41が、冷却装置10と関連付けて制御される。フロアヒータ41の電源の入れ忘れがなくなることで、適時にフロアヒータ41への通電が行われて開口4付近の設置面6の凍結が抑制される。また、フロアヒータ41の電源の切り忘れがなくなることで、フロアヒータ41の異常過熱が防止されてプレハブ冷蔵庫1の安全性が向上し、貯蔵物に悪影響が及ぶ事態を回避できる。また、不要な加熱が抑制されることで、省エネルギー化を図ることができる。
また、本実施形態の構成によれば、庫内温度T
Rに応じて、フロアヒータ41への通電を制御することにより、効率的に、設置面6の凍結を抑制できる。フロアヒータ41の制御にあたっては、冷却装置10の運転制御に用いられる庫内温度T
Rが目安とされるため、別途、専用のセンサや入力回路を設ける必要もない。従来のサーモスタット付きフロアヒータでは、温度上昇により保護機能が働いて頻繁にON/OFFが繰り返されてサーモスタットの寿命が短命化することがあるが、庫内温度T
Rに応じてフロアヒータ41への通電制御を行うことで、このような事態を抑制することができる。
【0053】
次に、庫内灯51の制御とその作用効果について、
図5および
図10を参照しつつ説明する。
運転制御部90の記憶部91には、予め設定された高温注意温度T
N(HIGH)と低温注意温度T
N(LOW)が記憶されている。これらの値は、高温注意温度T
N(HIGH)>冷却ON温度T
F(ON)>冷却OFF温度T
F(OFF)>低温注意温度T
N(LOW)となるように設定されている。高温注意温度T
N(HIGH)および低温注意温度T
N(LOW)は、冷却ON温度T
F(ON)もしくは冷却OFF温度T
F(OFF)と比較して、十分に高くもしくは低く設定するとよい。
【0054】
庫内灯51の庫内灯スイッチ52が入操作されると、運転制御部90は、指令部93から庫内灯51に点灯指令信号を出力して、庫内灯51を点灯させる(連続通電)。その後、運転制御部90は、記憶部91に記憶された設定値と、庫内サーミスタ19から入力される庫内温度T
Rとを比較部92において逐次比較する。冷却装置10の異常等によって、庫内温度T
Rが上昇して高温注意温度T
N(HIGH)に達するか、庫内温度T
Rが低下して低温注意温度T
N(LOW)になると、運転制御部90は、指令部93から庫内灯51へ点滅指令信号を出力し、常時点灯していた庫内灯51を点滅させるように制御する(間欠通電)。このとき、高温注意温度T
N(HIGH)に達したときと、低温注意温度T
N(LOW)になったときとで、点滅パターンを変えてもよい。または、灯色を変えるように制御してもよい。冷却装置10が正常に復帰するなどして庫内温度T
Rが高温注意温度T
N(HIGH)よりも低く低温注意温度T
N(LOW)よりも高い温度域に戻ると、運転制御部90は、指令部93から庫内灯51に点灯指令信号を出力して、庫内灯51を点灯させる(連続通電)。なお、上記点滅制御は、庫内灯スイッチ52が切操作されることでもリセットされる。
【0055】
上記本実施形態の構成によれば、庫内灯51と冷却装置10とが関連付けられて制御される。高温注意温度T
N(HIGH)および低温注意温度T
N(LOW)を、想定される庫内温度域の下限値よりも一定値以上低く、或いは上限値よりも高く設定し、これらの設定値と庫内温度T
Rとの比較に基づいて、庫内灯51の点灯状態を変えることで、冷却装置10に異常が発生して貯蔵庫3内が過冷却されたり、庫内火災等により貯蔵庫3内が高温となったりした場合に、貯蔵庫3内で作業を行っている者に異常を知らせ、いち早く対策を講じさせることができる。これにより、作業者の安全性を向上させることができる。
【0056】
次に、警報装置61の制御とその効果について、
図5を参照しつつ説明する。
運転制御部90の入力側には、警報装置61の非常スイッチ62が接続されている。庫内作業者が何らかの非常事態を察知し、庫内に設置された非常スイッチ62を手動で入操作すると、運転制御部90は、指令部93から直ちに警告灯63に点灯指令信号を出力して、警告灯63を点灯させる。同時に、指令部93から圧縮機15に向けて停止信号を出力し、圧縮機15の運転を停止する。このように、非常スイッチ62が入操作されると、直ちに警告灯63が点灯してプレハブ冷蔵庫1外部に非常事態が報知されると同時に、庫内の冷却が停止されるようになっている。
【0057】
上記本実施形態の構成によれば、警報装置61と冷却装置10とが関連付けられて制御される。非常事態が生じた場合に、直ちに貯蔵庫3内の冷却が停止されるため、作業者の体温低下を抑えて保護を図ることができる。
【0058】
以上のように、本実施形態の構成によれば、冷却装置10の動作に合わせて付加機能ユニットを制御すること、または、付加機能ユニットの動作に合わせて冷却装置10を制御することができる。これにより、冷却装置10および付加機能ユニットの制御のために必要な操作を簡素化しつつ、相互の運転状況等に合わせて、適時にまたは効率的に、これらを動作させることができる。この結果、プレハブ冷蔵庫1に係るシステム全体の信頼性向上や省エネルギー化を図ることができる。
【0059】
[第1実施形態の変形例1]
第1実施形態の変形例1について、
図11および
図12を参照しつつ説明する。
本変形例に係るプレハブ冷蔵庫101は、気圧調整装置の気圧弁に、気圧弁の温度T
Vを検知する気圧弁サーミスタ(気圧弁温度センサ)124を備えており、気圧弁ヒータ121への通電が気圧弁の温度T
Vに基づいて制御される点において、第1実施形態に係るプレハブ冷蔵庫1と相違している。以下の説明では、第1実施形態と同じ構成については、同じ符号を付して説明を省略する(第1実施形態の変形例2以下、および第2実施形態においても同様とする)。
【0060】
本変形例では、気圧調整装置の気圧弁に、気圧弁の温度T
Vを検知する気圧弁サーミスタ124が付設されており、運転制御部190の入力側には、この気圧弁サーミスタ124が接続されている。また、運転制御部190の記憶部191には、気圧弁上限温度(第一気圧弁設定温度)T
VH(HIGH)と、気圧弁下限温度(第二気圧弁設定温度)T
VH(LOW)が入力設定されている。これらの値は、気圧弁上限温度T
VH(HIGH)>気圧弁下限温度T
VH(LOW)となるように設定される。
【0061】
第1実施形態と同様に気圧弁ヒータ電源基板の電源が入った後、運転制御部190は、記憶部191に記憶された設定値と、気圧弁サーミスタ124から入力される気圧弁の温度T
Vとを比較部192において逐次比較し、この比較結果に基づいて指令部193から指令信号を出力して、気圧弁ヒータ121への通電を制御する。具体的には、冷却装置10の運転によって庫内温度T
Rとともに気圧弁の温度T
Vが低下して気圧弁下限温度T
VH(LOW)を下回ると、運転制御部190は、指令部193から気圧弁ヒータ121に通電指令信号を出力して、気圧弁ヒータ121の加熱を開始する。また、冷却装置10の停止等によって庫内温度T
Rとともに気圧弁の温度T
Vが上昇して気圧弁上限温度T
VH(HIGH)を上回ると、運転制御部190は、指令部193から気圧弁ヒータ121に通電停止指令信号を出力して、気圧弁ヒータ121の加熱を停止する。
【0062】
本変形例の構成によれば、気圧弁ヒータ121の制御にあたり、気圧弁近傍の温度(気圧弁の温度)T
Vが目安とされるため、結露や気圧弁の凍結を抑制するために気圧弁ヒータ121による加温が必要かどうかの判断をより精確に行って、さらなる省エネルギー化を図ることができる。
【0063】
[第1実施形態の変形例2]
第1実施形態の変形例2について、
図13および
図14を参照しつつ説明する。
本実変形例に係るプレハブ冷蔵庫201は、扉枠ヒータ231が、露点温度T
Dと扉枠表面推定温度T
DSGの比較結果に基づいて制御される点において、第1実施形態に係るプレハブ冷蔵庫1と相違している。
【0064】
本変形例に係るプレハブ冷蔵庫201では、貯蔵庫本体2の外壁面に、庫外温度T
Oを検知する庫外サーミスタ(庫外温度センサ)218および庫外湿度H
Oを検知する庫外湿度計(湿度センサ)217が設置されており、運転制御部290の入力側に、これらの庫外サーミスタ218および庫外湿度計217が接続されている。また、運転制御部290には、記憶部291、比較部292、指令部293に加え、演算部294が設けられている。演算部294では、庫外温度T
Oおよび庫外湿度H
Oの入力値から、露点温度T
Dが算出される。さらに、記憶部291には、予め実験を行うことによって得た、庫内温度T
Rおよび扉枠ヒータ通電率DF
DHと、扉枠表面温度T
DSとの関係を表す扉枠表面温度参照テーブルが入力され、記憶されている。
【0065】
第1実施形態と同様に結露防止ヒータ電源基板の電源が入った後、運転制御部290は、庫内サーミスタ19から入力される庫内温度T
Rおよび扉枠ヒータ通電率DF
DHに基づいて記憶部291に記憶された扉枠表面温度参照テーブルから推定される扉枠表面推定温度T
DSGと、演算部294で算出された露点温度T
Dと、を比較部292において逐次比較し、この比較結果に基づいて、指令部293から指令信号を出力して、扉枠ヒータ231への通電を制御する。具体的には、扉枠表面推定温度T
DSGが露点温度T
Dを下回ると、運転制御部290は、指令部293から扉枠ヒータ231に通電指令信号を出力して、扉枠ヒータ231の加熱を開始する。また、扉枠表面推定温度T
DSGが露点温度T
Dを上回ると、運転制御部290は、指令部293から扉枠ヒータ231に通電停止指令信号を出力して、扉枠ヒータ231の加熱を停止する。このように、扉枠ヒータ231への通電の許容/遮断が、露点温度T
Dおよび扉枠表面推定温度T
DSGを考慮して行われ、断熱扉5の周縁部が必要時に加温されるようになっている。
【0066】
本変形例の構成によれば、予め実験等を行って得た庫内温度T
Rおよび扉枠ヒータ通電率DF
DHと、扉枠表面温度T
DSとの関係に基づいて扉枠表面推定温度T
DSGを推定し、この扉枠表面推定温度T
DSGと、庫外温度T
Oおよび庫外湿度H
Oから算出された露点温度T
Dとを比較して、扉枠ヒータ31の制御が行われる。これにより、結露を抑制するために扉枠ヒータ31による加温が必要かどうかの判断をより精確に行って、さらなる省エネルギー化を図ることができる。
【0067】
[第1実施形態の変形例3]
第1実施形態の変形例3について、
図15および
図16を参照しつつ説明する。
本実変形例に係るプレハブ冷蔵庫301は、庫内灯351の点灯状態が、作業者の貯蔵庫3内での在室時間tに基づいて制御される点において、第1実施形態に係るプレハブ冷蔵庫1と相違している。
【0068】
本変形例に係るプレハブ冷蔵庫301では、開口4の周縁部に、断熱扉5の開閉を検知する扉開閉センサ337が配されている。この扉開閉センサ337からの信号を受けて、タイマ(開扉タイマ)399がスタート/ストップするようになっている。また、記憶部391には、貯蔵庫3内の設定温度域(低温環境)に居続けると人体に好ましくない影響を与えることが懸念される在室時間よりも短く設定された在室注意時間t
Nが入力され、記憶されている。
【0069】
本変形例では、貯蔵庫3内で作業するために作業者が断熱扉5を開扉して庫内灯スイッチ352を入操作すると、扉開閉センサ337から運転制御部390に信号が送られ、これにより運転制御部390はタイマ399をスタートさせる(在室時間t計測開始)。同時に、運転制御部390は、指令部393から庫内灯351に点灯指令信号を出力して、庫内灯351を常時点灯させる(連続通電)。その後、運転制御部390は、記憶部391に記憶された在室注意時間t
Nと、タイマ399によって計測される在室時間tと比較部392において逐次比較する。在室時間tが在室注意時間t
Nに達すると、運転制御部90は、指令部393から庫内灯351に点滅指令信号を出力して、庫内灯351を点滅させるように制御する(間欠通電)。これと同時に、運転制御部90は、指令部393から冷却装置310の庫内ファン314に向けて抑制指令信号を出力し、庫内ファン314の回転数を低下させる。これにより、貯蔵庫3内の冷却が抑制される。このように、庫内灯351の点灯状態が作業者の在室時間tに応じて変更されると同時に、庫内ファン314の回転数が変更され貯蔵庫3内の冷却が抑制されるようになっている。なお、タイマ399のカウントと、上記点滅制御および冷却抑制制御は、断熱扉5が再び開扉されることでリセットされる。
【0070】
本変形例の構成によれば、庫内作業者に在室時間tが所定時間(在室注意時間t
N)に達したことを知らせ、一旦作業を中止して貯蔵庫3の庫外に出る等の対策をとるよう促すことができる。これにより、庫内作業者の健康に悪影響が及ぶ事態を回避するとともに、庫内作業の作業効率の低下を抑制することができる。また、作業者への注意喚起を要する事態が生じた場合に、同時に貯蔵庫3内の冷却を抑制して、作業者の体温低下を抑えて保護を図ることができる。
【0071】
[第1実施形態の変形例4]
第1実施形態の変形例4について、
図17を参照しつつ以下に説明する。
本実変形例に係るプレハブ冷蔵庫401は、警報装置の非常スイッチ462が押されると、冷却装置410の制御に係る温度が変更される点において、第1実施形態に係るプレハブ冷蔵庫1と相違している。
【0072】
本変形例に係る運転制御部490の記憶部491には、冷却ON温度T
F(ON)および冷却OFF温度T
F(OFF)に加え、緩和冷却ON温度T
Fup(ON)および緩和冷却OFF温度T
Fup(OFF)が入力設定され、記憶されている。なお、これらの値は、緩和冷却ON温度T
Fup(ON)>冷却ON温度T
F(ON)、緩和冷却OFF温度T
Fup(OFF)>冷却OFF温度T
F(OFF)となるように設定される。
【0073】
通常の運転状態では、運転制御部490は、第1実施形態と同様、記憶部491に記憶された冷却ON温度T
F(ON)および冷却OFF温度T
F(OFF)と、庫内サーミスタ19から入力される庫内温度T
Rとを比較部492において逐次比較し、この比較結果に基づいて指令部493から指令信号を出力して、冷却装置410の圧縮機415および庫内ファン414の運転を制御する。庫内作業者が何らかの非常事態を察知し、庫内に設置された非常スイッチ462を手動で入操作すると、運転制御部490は、指令部493から直ちに警告灯463に点灯指令信号を出力して、警告灯463を点灯させる。同時に、運転制御部490は、圧縮機415および庫内ファン414を、緩和冷却ON温度T
Fup(ON)および緩和冷却OFF温度T
Fup(OFF)を基準として制御するように切り替える。このように、非常スイッチ462が入操作されると、直ちに警告灯463が点灯してプレハブ冷蔵庫1外部に非常事態が報知され、同時に庫内の冷却が抑制されるようになっている。
【0074】
本変形例の構成によれば、警報装置と冷却装置410とが関連付けられて制御される。これにより、非常事態が生じた場合に、圧縮機415等の緊急停止を回避して冷却装置410の保護を図りつつ貯蔵庫3内の冷却を抑制して、作業者の保護を図ることができる。
【0075】
[第1実施形態の変形例5]
第1実施形態の変形例5について、
図18を参照しつつ以下に説明する。
本実変形例に係るプレハブ冷蔵庫501は、冷却器に付設された除霜ヒータ517を有しており、本変形例に係る運転制御部590の入力側には、除霜ヒータ517がさらに接続されている。また、本変形例に係る冷却装置510は、冷却運転モードと除霜運転モードとを切り替え運転可能に構成されている。そして、警報装置の非常スイッチ562が押された後には、冷却装置510が非常時除霜運転モードで運転される点において、第1実施形態に係るプレハブ冷蔵庫1と相違している。
【0076】
通常の運転状態では、運転制御部590は、冷却運転モードでは、記憶部591に記憶された冷却ON温度T
F(ON)および冷却OFF温度T
F(OFF)と、庫内サーミスタ19から入力される庫内温度T
Rとを比較部592において逐次比較し、この比較結果に基づいて指令部593から指令信号を出力して、冷却装置510の圧縮機515および庫内ファン514の運転を制御し、貯蔵庫3内を冷却する。そして、タイマ599によりカウントされた冷却装置510の運転時間が所定時間に達すると、運転制御部590は、冷却装置510を除霜運転モードに切り替えて一定時間運転するように制御する。除霜運転モードでは、例えば、圧縮機515および庫内ファン514の運転を停止し、除霜ヒータ517に通電して加熱することで、冷却運転によって着霜した冷却器の除霜が行われる。冷却装置510の通常運転中に庫内作業者が非常スイッチ562を入操作すると、第1実施形態と同様、指令部593から直ちに警告灯563に点灯指令信号が出力され、警告灯563が点灯される。非常スイッチ562が入操作された時点において冷却装置510が冷却運転モードで運転されていた場合、これを契機として、運転制御部590は、圧縮機515を停止する一方、庫内ファン514の運転は継続し、除霜ヒータ517への通電を開始して、冷却運転モードから非常時除霜運転モードに切り替えて冷却装置510を運転する。非常スイッチ562が入操作された時点において冷却装置510が除霜運転モードで運転されていた場合は、運転制御部590は、圧縮機515の停止および除霜ヒータ517への通電を継続したまま庫内ファン514の運転を開始し、冷却装置510を非常時除霜運転モードで運転する。
【0077】
本変形例の構成によれば、非常スイッチ562が入操作されると、冷却装置510が非常時除霜運転モードで運転されることにより、貯蔵庫3内の冷却が抑制される。これにより、冷却器の除霜を行いつつ作業者の体温低下等を抑制して保護を図ることができる。なお、除霜運転は、除霜ヒータ517を備えてこれを加熱して行う上記の除霜ヒータ方式に限らず、オフサイクル方式、ホットガス方式等で行われるものであってもよい。通常運転時の運転モードの切り替えは、上記のタイマ式に限らず、デマンド式で行われるものであってもよい。
【0078】
<第2実施形態>
第2実施形態を、
図19から
図21によって説明する。
図19は、本実施形態に係るプレハブ冷蔵庫701の概要を表す斜視図である。プレハブ冷蔵庫701は、貯蔵庫703の下方においてこれを支持するベース枠770を備えており、ベース枠770には枠内の換気を行うためのベースファン771(付加機能ユニットの一例)が複数個配されている点、並びに、搖動開閉式の断熱扉5の代わりに電動開閉される引戸式の電動断熱扉705(付加機能ユニットの一例)を備えている点において、第1実施形態に係るプレハブ冷蔵庫1と大きく異なっている。また、気圧調整装置720の気圧弁723(
図20参照)には、これをソレノイド等によって押圧もしくは引張して強制的に開放する機構が備えられている。
【0079】
図20は、本実施形態に係る運転制御部790による制御機構を示すブロック図である。
第1実施形態に係る運転制御部90と異なり、運転制御部790の出力側には、電動断熱扉705、ベースファン電源基板およびベースファン771、気圧弁723がさらに接続されている。また、運転制御部790の記憶部791には、ベースファンON温度(第一ベースファン制御温度)T
BF(ON)/ベースファンOFF温度(第二ベースファン制御温度)T
BF(OFF)、並びに、高温開扉温度T
D(HIGH)/低温開扉温度T
D(LOW)が設定入力され、記憶されている。なお、これらの値は、高温開扉温度T
D(HIGH)>>冷却ON温度T
F(ON)、冷却OFF温度T
F(OFF)>>低温開扉温度T
D(LOW)となるように設定される。
【0080】
ベースファン771の制御とその作用効果について、
図20および
図21を参照しつつ説明する。
【0081】
冷却装置10の電源が入操作されると、運転制御部790は、出力側に接続されたベースファン電源基板の電源を入れる制御を行い、ベースファン771への通電を許容する。また、冷却装置10の電源が切操作されると、指令部793からタイマ799に開始信号が出力されてタイマ799のカウントがスタートする。所定時間経過するまで冷却装置10の電源が切のままであった場合には、運転制御部790は、指令部793から指令信号を出力してベースファン電源基板の電源を切り、ベースファン771への通電を遮断する。
【0082】
ベースファン電源基板の電源が入った後、運転制御部790は、記憶部791に記憶されたベースファンON温度T
BF(ON)およびベースファンOFF温度T
BF(OFF)と、庫内サーミスタ19から入力される庫内温度T
Rとを比較部792において逐次比較し、この比較結果に基づいて指令部793から指令信号を出力して、ベースファン771を制御する。具体的には、冷却装置10の運転によって庫内温度T
Rが低下してベースファンON温度T
BF(ON)を下回ると、運転制御部790は、指令部793からベースファン771に運転指令信号を出力して、ベースファン771を回転させ、ベース枠770内の換気を行う。また、冷却装置10の停止等によって庫内温度T
Rが上昇してベースファンOFF温度T
BF(OFF)を上回ると、運転制御部790は、指令部793からベースファン771に停止指令信号を出力して、ベースファン771を停止する。このように、庫内温度T
Rに応じてベースファン771への通電と通電停止が繰り返されることで、ベース枠770内が必要時に換気されるようになっている。
【0083】
上記本実施形態の構成によれば、ベースファン771の制御を、冷却装置10の運転と関連付けて行うことができる。庫内温度T
Rに応じてベースファン771への通電を制御することにより、効率的に、ベース枠770内の結露を抑制できる。ベースファン771の制御にあたっては、冷却装置10の運転制御に用いられる庫内温度T
Rが目安とされるため、別途、専用のセンサや入力回路を設ける必要もない。
【0084】
次に、電動断熱扉705への通電制御とその作用効果について、
図20を参照しつつ説明する。
冷却装置10の電源が入操作されると、運転制御部790は、記憶部791に記憶された冷却ON温度T
F(ON)および冷却OFF温度T
F(OFF)と、庫内サーミスタ19を通じて入力される庫内温度T
Rとを比較部792において逐次比較し、この比較結果に基づいて冷却装置10を制御する。これにより、第1実施形態と同様に、貯蔵庫3内の庫内温度T
Rが所定の温度域に維持されるようになっている。しかしながら、冷却装置10の異常等によって庫内温度T
Rが上昇して高温開扉温度T
D(HIGH)に達するか、庫内温度T
Rが低下して低温開扉温度T
D(LOW)になると、運転制御部790は、指令部793から電動断熱扉705へ開扉指令信号を出力し、電動断熱扉705を開扉させる。さらに、本実施形態では、運転制御部790は、電動断熱扉705へ開扉指令信号の出力に先立って、指令部793から気圧弁723に開放指令信号を出力し、気圧弁723を強制的に開放させるようになっている。
【0085】
上記本実施形態の構成によれば、高温開扉温度T
D(HIGH)を冷却ON温度T
F(ON)よりも十分に高く、或いは低温開扉温度T
D(LOW)を冷却OFF温度T
F(OFF)よりも一定値以上低く設定しておくことで、冷却装置10に異常が発生して貯蔵庫3内が過冷却されたり、庫内火災等により貯蔵庫内が高温となったりした場合に、作業者が貯蔵庫3内に閉じ込められる事態を回避し、作業者の安全性を向上させることができる。
上記において、貯蔵庫3内が高温開扉温度T
D(HIGH)または低温開扉温度T
D(LOW)になった際に貯蔵庫3内が負圧であった場合、電動断熱扉705の開扉がスムーズに行えない可能性がある。本実施形態の構成によれば、電動断熱扉705の開扉に先立って気圧弁723を開放して貯蔵庫3内外の圧力差を解消することにより、このような不具合を回避し、電動断熱扉705を容易に開扉することができる。
【0086】
[第2実施形態の変形例1]
第2実施形態の変形例1について、
図22および
図23を参照しつつ説明する。
本実変形例に係るプレハブ冷蔵庫801は、ベースファン871が、庫内温度T
Rと庫外温度T
Oとの温度差に基づいて制御される点において、第2実施形態に係るプレハブ冷蔵庫701と相違している。
【0087】
本変形例に係るプレハブ冷蔵庫801では、貯蔵庫本体2の外壁面に、庫外温度T
Oを検知する庫外サーミスタ(庫外温度センサ)818が設置されており、運転制御部890の入力側に、この庫外サーミスタ818が接続されている。また、運転制御部890には、記憶部891、比較部892、指令部893に加え、演算部894が設けられている。記憶部891には、ベースファン871の制御を行うためのベースファンON値(第一ベースファン制御値)V
BF(ON)およびベースファンOFF値(第二ベースファン制御値)V
BF(OFF)が設定入力され、記憶されている。演算部894では、庫外温度T
Oおよび庫内温度T
Rの入力値から、温度差の値V
Tが算出される。
【0088】
冷却装置10の電源が入操作されると、運転制御部890は、記憶部891に記憶されたベースファンON値V
BF(ON)およびベースファンOFF値V
BF(OFF)と、演算部894で算出される温度差の値V
Tとを、比較部892において逐次比較し、この比較結果に基づいて指令部893から指令信号を出力して、ベースファン871を制御する。具体的には、冷却装置10の運転によって庫内温度T
Rが低下するのに伴い、温度差の値V
TがベースファンON値V
BF(ON)よりも大きくなると、運転制御部890は、指令部893からベースファン871に運転指令信号を出力してベースファン871が回転させ、ベース枠内の換気を行う。また、冷却装置10の停止等によって庫内温度T
Rが上昇して温度差の値V
TがベースファンOFF値V
BF(OFF)よりも小さくなると、運転制御部890は、指令部893からベースファン871に停止指令信号を出力してベースファン871の回転を停止する。このように、温度差の値V
Tに応じてベースファン871への通電と通電停止が繰り返されることで、ベース枠内が必要時に換気される。
【0089】
本変形例の構成によれば、ベースファン871の制御にあたり、庫外温度T
Oと庫内温度T
Rとの温度差の値V
Tが目安とされるため、結露を抑制するためにベースファン871による換気が必要かどうかの判断を、より精確に行うことができる。
【0090】
<他の実施形態>
本明細書が開示する技術は上記記述および図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も技術的範囲に含まれる。
【0091】
(1)第1実施形態では、気圧弁ヒータ電源基板およびフロアヒータ電源基板の電源は、冷却装置10の電源が切られた状態が所定時間継続したときに切られ、結露防止ヒータ電源基板の電源は、庫内温度T
Rが扉枠ヒータ遮断温度T
DH(SHUT)を上回ったときに切られて、各ヒータへの通電が遮断される構成としたが、これに限定されるものではない。各付加機能ユニットについて遮断温度を設定して、庫内温度T
R等がこの遮断温度に達したときに当該付加機能ユニットへの通電を遮断するように制御してもよいし、冷却装置10の電源が切られた状態が所定時間継続したときに、付加機能ユニットへの通電を遮断することとしてもよい。
【0092】
(2)各付加機能ユニットへの通電の遮断は、当該付加機能ユニットに対応する電源基板において電源が強制的に切られるように制御することで行ってもよいし、通電回路の一部に適当な耐熱温度のヒューズを設けることで行ってもよい。例えば、冷却装置10の制御基板内に、冷却装置10の電源が入操作された場合に電源供給され、切操作された場合に電源供給が断たれる接点を設け、各付加機能ユニットを接続する構成としてもよい。このようにすれば、各付加機能ユニット専用の電源が不要となる。或いは、冷却装置10の制御基板内に、冷却装置10の電源が入操作された場合に接続され、切操作された場合に離隔する無電圧接点を設け、専用電源を介して各付加機能ユニットを接続する構成としてもよい。
【0093】
(3)各付加機能ユニットへの通電の遮断は、冷却装置10が運転停止状態にあるときに限って行われるようにしてもよいし、冷却装置10の運転状態に関わらず、その他の所定の条件が満たされれば通電が遮断される構成としてもよい。
【0094】
(4)各ヒータへの通電の制御において、各ヒータのON温度よりも高くOFF温度よりも低い第三の制御温度をさらに設定し、第三の制御温度を上回りOFF温度を下回る温度では、各ヒータに断続的に通電する間欠通電を行うこととしてもよい。このような構成によれば、各ヒータへの通電をさらに精確に制御でき、一層の省エネルギー化を図ることができる。
【0095】
(5)第1実施形態の変形例1において、第二気圧弁設定温度よりも高い気圧弁警戒温度をさらに設定して、気圧弁の温度が気圧弁警戒温度に達したら貯蔵庫3の庫内もしくは庫外に設けた表示装置にエラー表示をすることとしてもよい。所定時間内に気圧弁温度が気圧弁警戒温度を下回ればエラー表示が解除され、下回らなければ気圧弁ヒータへの通電が強制的に遮断されるように設定することができる。また、このような表示装置は、例えばオペレーションボード8に設けることができる。
【0096】
(6)第1実施形態の変形例3において、作業者の在室時間tは、庫内灯51の点灯時間に基づいて推定してもよい。或いは、貯蔵庫内に人感センサを配して作業者の在室時間tを計測してもよい。
【0097】
(7)上記実施形態では、冷却装置の制御が庫内温度T
Rに基づいて行われる例について示したが、これに限定されるものではない。例えば、冷却装置の運転が運転時間等によって制御される構成のものであってもよい。
【0098】
(8)本明細書が開示する技術は、様々な組立式プレハブ冷却貯蔵庫に適用可能である。組立式プレハブ冷却貯蔵庫は、例えば開口等の形態によって、開口の下端が冷却貯蔵庫の設置面に至るように設計したロールインタイプ(第1実施形態に係る
図1参照)や、貯蔵庫本体の下方にベース枠を配したウォークインタイプ(第2実施形態に係る
図19参照)に分類できる。また、例えば扉の様式によって、片開き式、両開き式(観音開き式)、搖動開閉式、スライド開閉式、手動開閉式、自動開閉式等に分類できる。本技術は、上記各タイプを含む、多様な組立式プレハブ冷却貯蔵庫に広く用いることができる。