特許第6830175号(P6830175)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6830175圧力センサアセンブリ、測定装置、およびそれらの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6830175
(24)【登録日】2021年1月27日
(45)【発行日】2021年2月17日
(54)【発明の名称】圧力センサアセンブリ、測定装置、およびそれらの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01L 19/06 20060101AFI20210208BHJP
【FI】
   G01L19/06 A
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2020-503927(P2020-503927)
(86)(22)【出願日】2018年7月20日
(65)【公表番号】特表2020-528150(P2020-528150A)
(43)【公表日】2020年9月17日
(86)【国際出願番号】EP2018069810
(87)【国際公開番号】WO2019020529
(87)【国際公開日】20190131
【審査請求日】2020年3月24日
(31)【優先権主張番号】102017212866.6
(32)【優先日】2017年7月26日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(72)【発明者】
【氏名】ハオイサーマン,コンラート
(72)【発明者】
【氏名】グファート,フロリアン
(72)【発明者】
【氏名】ゾダン,ラルス
(72)【発明者】
【氏名】アモール・ブルゴス,ビンセンテ
(72)【発明者】
【氏名】ラジャラマン,ビジャイ
【審査官】 森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】 特許第4548066(JP,B2)
【文献】 特表2005−505764(JP,A)
【文献】 特許第6614747(JP,B2)
【文献】 米国特許第6938490(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの圧力センサ装置(12)を備えた圧力センサアセンブリ(10)であって、前記圧力センサ装置(12)は、セラミック基板(14)と、少なくとも1つの信号処理要素(24)と、少なくとも1つのセンサ素子(20)とを備えた積層を有し、前記圧力センサ装置(12)は、膜(32)を備えたセンサハウジング(30)に導入され、前記膜(32)を備える前記センサハウジング(30)の残留容積が、非圧縮性流体(38)で充填され、前記センサ素子(20)は、前記膜(32)に面しかつこから離間した、前記セラミック基板(14)とは反対側の表面を含み、前記非圧縮性流体(38)は、前記センサ素子(20)の前記表面と前記膜(32)との間に存在し、前記積層を少なくとも横方向にも取り囲み、前記少なくとも1つの信号処理要素(24)が、前記セラミック基板(14)と前記少なくとも1つのセンサ要素(20)との間に配置され、
前記セラミック基板(14)は縁部に切り欠き部を有し、前記少なくとも1つの信号処理要素(24)と前記少なくとも1つのセンサ要素(20)とが前記切り欠き部から離間した位置における前記セラミック基板(14)上に配置され、
前記切り欠き部は、前記センサハウジング(30)に形成された開口部(46)と連通する
圧力センサアセンブリ。
【請求項2】
前記センサ素子(20)は、先進多孔質シリコンMEMSセンサ素子(20)として設けられ適合された、請求項1に記載の圧力センサアセンブリ。
【請求項3】
前記少なくとも1つの信号処理要素はASICである、請求項1から2のいずれか一項に記載の圧力センサアセンブリ。
【請求項4】
前記膜(32)の前記センサハウジング(30)との反対側に、略間接的に前記膜(32)を覆う機械的保護部材(48)が配置された、請求項1から3のいずれか一項に記載の圧力センサアセンブリ。
【請求項5】
前記非圧縮性流体は油、特に合成油として構成された、請求項1から4のいずれか一項に記載の圧力センサアセンブリ。
【請求項6】
圧力センサアセンブリ(10)、特に請求項1から5のいずれか一項に記載の、少なくとも1つの圧力センサ装置(12)を有する圧力センサアセンブリ(10)の製造方法であって、少なくとも、
− セラミック基板(14)と、信号処理要素(24)と、センサ素子(20)との積層を含む前記圧力センサ装置(12)の製造ステップであって、前記信号処理要素(24)は、前記セラミック基板(14)と、前記センサ素子(20)との間に配置される、ステップと、
− 前記圧力センサ装置(12)を、膜(32)を備えることのできる圧力センサハウジング(30)に導入するステップと、
− 前記圧力センサ装置(12)の導入後、前記圧力センサハウジング(30)内に残っている残留容積を非圧縮性流体(38)で充填するステップと、
− 前記圧力センサハウジング(30)を膜(32)および/または密閉ボール(48)で閉じるステップと、
を備える方法。
【請求項7】
前記非圧縮性流体で充填するべき残留容積を減らすために、少なくとも1つの充填要素(36)、好ましくは複数の充填要素(36)を、前記圧力センサハウジング(30)の1つまたは複数のハウジング領域と、前記圧力センサ装置(12)との間に配置する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
測定装置(100)に前記圧力センサアセンブリ(10)の数に対応する数の収容部を設け、前記収容部では、膜(32)が作動流体に面する場合、前記測定装置(100)の接続片(104)の一種のフランジ(105)で、ハウジングリング(42)が形成する縁部で支持されるように、前記少なくとも1つの圧力センサアセンブリ(10)が使用位置で収容された、請求項1から5の圧力センサアセンブリ(10)を備えた測定装置(100)。
【請求項9】
前記圧力センサアセンブリ(10)の前記ハウジングリング(42)と、前記接続片(104)の前記フランジ(105)との間には、封止手段(106)、特にOリングが配置可能であるかまたは配置された、請求項8に記載の測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの圧力センサ装置を備えた圧力センサアセンブリと、少なくとも1つの圧力センサ装置を有する圧力センサアセンブリの製造方法とに関する。また、本発明は、少なくとも1つのそのような圧力センサアセンブリを組み込んだ測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロメカニカルに加工された電子圧力センサ(MEMS圧力センサ)を備えた圧力センサアセンブリは公知であり、これは、圧力を連続的に測定および監視するために、通常、対象の媒体環境に曝される少なくとも1つの変形可能な感圧膜を有する。ここで、例えば家庭用電化製品を用いて大気圧を測定するには、単に(携帯電話などの)保護ハウジング内にある安定したセンサモジュールしか必要としないが、産業用途、または自動車用途では、この同じ電子圧力センサが、ほこり、粒子、湿気または排気ガス、およびその他の腐食性または攻撃性媒体に対するさらなる保護として、分離媒体(ゲルや油など)を使用する必要がある。
【0003】
頑強なモジュールを形成することによる媒体分離のこのような課題に対しては、例えば、米国特許第6,311,561号、米国特許第6,577,244号、米国特許第6,938,490号の解決方法が知られている。
【0004】
ゲル充填センサの場合、これが腐食性または攻撃性媒体、たとえば排気ガス、に曝されると、保護されているにもかかわらず、当該ガスが依然としてゲルに当たり、MEMS圧力センサの金属接続部、ASICおよび基板を腐食するように攻撃し得ることが欠点として判明している。これにより、長期的には信頼性および機能が損なわれる可能性がある。このため、MEMSセンサのアクティブ領域(すなわちピエゾ抵抗など)も、ASIC(Application Specific Integrated Circuit−特定用途向け集積回路;信号処理電子機器)も、そのような攻撃性媒体に曝すべきではない。そのような信頼性の問題に加えて、言及しこのゲルは、5バールを超える圧力で気泡および/または泡を形成する傾向がある、という懸念も引き起こす可能性がある。これに関連して、センサシステムの構成要素の必要な媒体分離を伴う用途で、ゲルの代わりに油によって形成した緩衝液の使用が、適切な代替手段となる。
【0005】
油充填圧力センサの公知の使用においては、プラスチックまたは金属のハウジングを閉じるスチール膜が通常使用され、そのハウジング内には、圧力測定用のセンサ素子を配置し、圧力を伝達するための非圧縮性油で囲んでいる。そのような圧力センサは、攻撃性媒体に対して非常に耐性を有するが、製造時に費用がかかる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明は、頑強であるかまたは少なくとも攻撃性媒体に対して保護されて構成される一方で、油充填の温度への影響を補償するための簡単な温度調整も可能であり、さらに安価に製造可能である少なくとも1つの圧力センサ装置を備えた圧力センサアセンブリを提供することを意図している。さらに、圧力センサアセンブリのハウジングの温度変化が、圧力センサアセンブリのセンサ要素に甚大な損害あるいは影響を与えないものとなる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の特徴を備えた解決手段は、特に、セラミック基板と、少なくとも1つの信号処理要素と、少なくとも1つのセンサ素子と、を備えた積層を有する圧力センサ装置を、圧力センサアセンブリに設けることにある。圧力センサ装置は、膜を備えることのできるセンサハウジングに導入され、膜を備え、これによって閉じられたセンサハウジングの残留容積を、非圧縮性流体で充填する。
【0008】
したがって、本発明は、攻撃性媒体に対する圧力センサ装置の保護を、適切な方法で、特に簡単な手段かつ低コストで提供する。適切なセンサ素子を使用する場合、圧力センサ装置は、圧力センサハウジングに配置する前に、個別に、またはバッチ全体で同時に調整することができる。セラミック基板によって、信号処理要素および/またはセンサ素子は、センサハウジングから熱的に分離することができる。
【0009】
センサハウジングは特に金属から構成でき、信号処理要素および/またはセンサ素子は特にシリコンから構成するか、シリコンを有することができるため、セラミック基板は、これらの材料の膨張係数の差を補償または弱めることもできる。したがって、セラミック基板は補償素子とも呼ぶ。
【0010】
信号処理要素(特にASIC)は、電子回路に既に組み込まれている様々な基本機能を提供するため、例として、センサ素子の電圧供給を担当し、したがって、その電圧と、場合によって温度信号を評価し、さらに、圧力測定の特性曲線補正を実行し、さらにこれには、フィルタ、信号処理電子回路、並びに診断およびエラー検知機能を設けることができる。入力側でのデジタル化により、ASICは全体にわたってデジタル信号処理(例えば、抵抗のブリッジ信号に関するもの)を可能にし、内部クロックによってデータ送信をトリガすることもできる。ASICは、例えば、それを制御装置に直接接続することもできる。
【0011】
その他の有利な特徴は、従属請求項の主題に含まれる。
【0012】
本発明にかかる圧力センサアセンブリのいくつかの有利な実施形態では、少なくとも1つの信号処理要素が、セラミック基板と少なくとも1つのセンサ素子との間に挟まれているため、信号経路が短く、かつ製造が簡単であり、特にコンパクトなアセンブリが得られる。
【0013】
いくつかの有利な実施形態では、センサ素子は、APSM(Advanced Porous Silicon(先進多孔質シリコン)MEMS)センサ素子として設け適合させることができる。ここでセンサ素子は、有利には、後の膜用に単結晶開始層を生成するAPSMプロセス(APSM:Advanced Porous Silicon Membrane(先進多孔質シリコン膜))で製造する。これは、続いてエッチング法を使用してアンダーエッチングし、多孔質シリコン層を生成し、その後、空洞となる。次に、単結晶シリコン層をエピタキシャルに被着し、これは後にセンサ素子膜を形成する。温度を加えることで(原子再配列)、後に絶対圧力測定を可能にする空洞を真空下で生成する。次に、膜に被着させたピエゾ抵抗が、その膜のたわみを測定する。例えば、DE102004036035A1(独国特許出願公開第102004036035号)およびEP1810947B1(欧州特許第1810947号)に記載されているこのAPSMプロセスを用いて、頑強な膜を生成することができ、また、このプロセスは、純粋に表面の機械加工で済む点で有利である。これにより生成する単結晶層は、完全に高密度で安定している。しかしながら、このセンサ素子は、例えば、いわゆる応力分離センサ素子として、それとは異なるように構成することもできる。
【0014】
さらなる有利な実施形態では、本発明にかかる圧力センサアセンブリにおいて、その基板に導入したさらなる受動的な電気構造またはコンポーネントを設けることができる。既に上述したように、センサ素子膜は、抵抗を配置できる単結晶シリコン層からなり、例えばセンサ素子膜の変形に応じて通電時に抵抗が変化するように、これらを例えばその層内に拡散でき、ここで抵抗は、ホイートストンブリッジの形式で接続する。ここでは電圧は発生せず、圧力変化によって電気抵抗のみが変化するため、これらは受動素子または受動構造であり、その温度依存性も同様にブリッジ回路によって除去できる。このようなセンサは比較的高い感度を有し、低コストで製造できる。
【0015】
センサハウジングに配置した、加えられた圧力を吸収および仲介する圧力センサ装置の膜を、有利には被測定容積流量における圧力ピークなどの望ましくない機械的影響から保護するために、いくつかの有利な改善形態によれば、圧力センサアセンブリにおいて、膜のセンサハウジングとの反対側に、略間接的に膜を覆う機械的保護部材を配置することができる。これは、例えば、膜に略平行に延びかつハウジングに接続された断続プレート、または一種のグリッドとすることができる。この開口部により、被測定媒体が膜にアクセスでき、その加圧をセンサ素子膜にさらに伝えることができる。ただし、他の構成も考えられる。
【0016】
攻撃性および/または腐食性媒体からセンサ素子を適切な方法で保護する非圧縮性流体は、油、例えば合成油として構成することができる。圧力センサハウジング内に圧力センサ装置を配置した後、センサ素子または圧力センサ装置の全面的な保護が保証されるように、ハウジングを膜または別のクロージャで閉じる前に、残っている残留容積を、有利には当該非圧縮性流体で充填する。他の適切な油など、他の非圧縮性媒体の使用も考えられる。
【0017】
圧力センサアセンブリの有利な改善形態では、オイルバッファの設計も重要であり、これは、センサ素子がオイルバッファに全面的に埋め込むことにより持続的に静水圧に曝されるように、圧力センサハウジング内において圧力センサ装置を有利に位置決めし、これによっても、圧力センサ装置の物理的損傷を確実に回避することができる。
【0018】
請求項7によれば、本発明は、少なくとも以下の方法ステップを備えた圧力センサアセンブリの製造方法も提供する。
− セラミック基板と、信号処理要素と、センサ素子との積層を含む、圧力センサ装置の製造ステップ、
− 圧力センサ装置を、膜を備えることができる圧力センサハウジングに導入するステップ、
− 圧力センサ装置の導入後、圧力センサハウジング内に残っている残留容積を非圧縮性流体で充填するステップ、および
− 圧力センサハウジングを膜で閉じるステップ。
【0019】
上記の方法を用いて、適切な方法で、特に簡単な手段で、かつ安価に、圧力センサ装置の攻撃性媒体に対する保護を保証する。適切なセンサ素子を使用する場合、圧力センサ装置は、圧力センサハウジングに配置する前に、個別に、またはバッチ全体で同時に調整することができる。
【0020】
本発明にかかる方法の有利な変形形態は、圧力センサハウジングに埋め込む前に、センサ素子を備えた圧力センサ装置の温度補償を行い、これにより、既に調整された圧力センサ装置を、圧力センサアセンブリにおいてすぐに、または常に使用可能とし、さらに、この調整は、多くの圧力センサ装置に対する圧力センサ装置の公知のパラメータにおいて短時間で実行できるため、圧力センサ装置を安価に提供することができる。これは、これらの圧力センサ装置が、半導体、特にMEMSモジュールの製造、およびこれらの測定モジュールへの組み立ての際に一般的な標準機械によって製造および処理できるという事情にも関連している。
【0021】
有利には、圧力センサ装置の電気ポートは、圧力ポートが配置されている他方のハウジング側とは反対側である、圧力センサハウジングのハウジング側に配置することができる。換言すれば、圧力センサ装置は、その圧力を感知するべき媒体に第1の側で接続することができる一方で、圧力センサ装置の信号は、圧力センサハウジングのその媒体とは反対側で取り出すことができる。さらに、電気ポートは簡単に接続できる。
【0022】
非圧縮性流体での充填後、当該充填開口部を、圧力センサハウジングにおいて、密閉ボール(英語「ball-press sealing(ボールプレスシーリング)」)によって閉じ、密閉することができる。
【0023】
圧力センサハウジングの内部の非圧縮性液体の流体容積を最小化するために、本発明にかかる有利な改善形態では、少なくとも1つの充填要素、好ましくは複数の充填要素を、圧力センサハウジングの1つまたは複数のハウジング領域とセンサ素子との間に配置することができる。これらは、スペーサとも呼ばれるプラスチックのような、セラミックまたは金属の部品とすることができる。好ましくは、さらなる変形形態では、圧力センサハウジング内の1つまたは複数の充填要素が、場合によってセンサ素子とともに、閉鎖構造を形成する。
【0024】
本発明にかかる測定装置は、請求項10に定める。
【0025】
好ましくは、封止手段、例えばOリングを、縁部領域とフランジとの間に配置することができる。
【0026】
さらなる特徴および利点に関して、本発明にかかる圧力センサアセンブリおよびその製造方法に関する上記実施形態を参照することができる。
【0027】
上記実施形態および開発形態は、有意義である限り、任意に相互に組み合わせることができる。本発明のさらなる可能な実施形態、開発形態、および実装形態は、上記または下記で実施例に関して説明する本発明の特徴の、明示的に言及していない組み合わせも含む。特に、当業者は、本発明のそれぞれの基本形態に対する改善または追加として、個々の態様も追加するであろう。
【0028】
本発明は、図面の実施例を使用して以下に詳述される。部分的な概略図で、以下のものが示される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の一実施形態による圧力センサアセンブリの圧力センサ装置の概略図を示す。
図2図2a〜2dは、圧力センサアセンブリの実施形態の様々な斜視図を示す。
図3図2a〜図2dの実施形態の断面側面図を示す。
図4】本発明による測定装置の実施形態の分解斜視側面図を示し、本発明による圧力センサアセンブリは、自動車分野での応用のために、いわゆる第2レベルのハウジングに媒体耐性形式で組み込んでいる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
全ての図において、同一または機能的に同一の要素および装置には、特に断らない限り、同じ参照番号を付与している。
【0031】
図1は、本発明による、作成中の圧力センサアセンブリ10の圧力センサ装置12の概略図を示す。ここで、特に特定用途向け集積回路(英語「application-specific integrated circuit」)、ASIC、として構成できる信号処理要素24を備えて積層された(英語「stacked」)、セラミック基板14が見られる。センサ素子20、特にAPSMセンサ素子20、すなわち先進性多孔質シリコンMEMSセンサ素子が、信号処理要素24と接続またはそれに積層されているため、結果として生じる積層において、信号処理要素24はセンサ素子20とセラミック基板14との間に挟まれて、圧力センサ装置12を生成する。
【0032】
図2a〜図2dは、完成した圧力センサアセンブリ10の様々な概略図および斜視図を示す。圧力センサアセンブリ10は、圧力センサ装置12をセンサハウジング30に配置することにより、図1の圧力センサ装置12に攻撃性媒体からの保護を提供し、センサハウジング30は、圧力センサ装置12の配置後、膜32を配置することにより閉鎖または密閉する。
【0033】
ここで、図2aは、開口部上方に膜32が位置付けたセンサハウジング30を示し、図2bは、膜32を取り除いた同じセンサハウジング30を示し、そのため、その背後に配置した圧力センサ装置12が見える。図2bに示すように、平坦なセラミック基板14は、その縁部に、半円形状の少なくとも1つの切欠き部を有することができ、その中に金属接触ピン44を挿入し、これは、圧力センサ装置12のセンサハウジング30内での配置時に、同様に金属のセンサハウジングに対して、それぞれ1つの環状ガラス分離部45によって分離され、これによりセラミック基板14を変位に対して特に良好に固定することができる。
【0034】
金属接触ピン44は、例えばワイヤボンディングによって、信号処理要素24および/または圧力センサ装置12の端子に電気的に接続することができる。したがって、圧力センサ装置12からのセンサ信号、および/または信号処理要素24からの処理信号は、センサハウジング30の外側で、接触ピン44のセンサハウジング30から突出する部分を介して(図2aに示すように)取り出すことができる。
【0035】
図2bは、セラミック基板14を長方形、特に正方形に構成することができ、その4つの縁部の各々、好ましくはその中央部に、扇形、特に半円形の切欠き部を有することを示す。図2bの圧力センサアセンブリ10は、3つの接触ピン44を備え、これらはそれぞれ3つの切欠き部の1つに係合する。圧力センサアセンブリ10が、3つよりも多いまたはそれよりも少ない接触ピン44を有することもでき、セラミック基板が、少なくとも接触ピン44と同じ数の切欠き部を備えて構成できることは言うまでもない。このようにして、一方では、圧力センサ装置12と接触ピン44との間の電気接続経路を減らすことができ、他方では、接触ピン44がセラミック基板14の支持体として機能することにより、セラミック基板14のセンサハウジング30への非常に良好な固定を達成することができる。
【0036】
また、図2bは、セラミック基板14の第4の切欠き部が接触ピン44を含まず、ハウジングの開口部46に隣接して構成されていることも示している(以下の図3も参照)。圧力センサ装置12の導入後、開口部46を通って、センサハウジング30の残留容積に、例えば油などの非圧縮性流体の充填を行う。セラミック基板14のその切欠き部により、開口部46の特にスペースを節約した配置が可能となり、すなわち、センサハウジング30において、開口部46のみのためにセラミック基板14の隣に特に大きな自由空間を残す必要がなく、その結果、残留容積が増加する。
【0037】
オプションとして、第1の略リング形状の充填要素36をセンサハウジング30に挿入している。さらに、図2cに示されるように、膜32は示していないが、中央通路38を有する第2の略円形ディスク形状の充填要素37を第1の充填要素36に挿入することができる。膜32と充填要素36、37との間に平坦な残留容積が残り、これは、圧力センサ装置12の周りの充填要素36、37下方の残留容積とともに、非圧縮性流体で充填する。これにより、非圧縮性流体で充填する容積は総じてさらに減少する。
【0038】
圧力変動または圧力信号は、外部から膜32に、そこから膜32と充填要素36、37との間の非圧縮性流体に、その後に非圧縮性流体内の通路38を通って充填要素36、37下方の空間に、そしてそこから少なくとも1つのセンサ素子20に伝わることができる。
【0039】
センサハウジング30内の残留容積の充填後、充填に使用した開口部46を、膜32の反対側からセンサハウジング30を示す図2dに示すように、例えば密閉ボール48(英語「ball-press sealingボールプレスシーリング」)によって閉じることができる。
【0040】
図3は、図2a〜dの圧力センサアセンブリ10の断面図を示す。ここで、図3では、オイル充填物38に囲まれ、センサハウジング30に配置された圧力センサ装置12が再び見られる。圧力を外部からオイル充填物38を介してセンサ素子20に伝える膜32は、ハウジングリング42によってセンサハウジング30に保持している。圧力センサ装置12の電気接触は、金属接触ピン44によって外部に案内している。
【0041】
最後に、図4は、媒体耐性センサパッケージとしての圧力センサアセンブリ10の実施例を示し、これは、いわゆる第2レベルのパッケージを形成する、自動車用途の測定装置100内に配置されている。ここで、圧力センサアセンブリ10は、コネクタハウジング102の収容部107に収容され、その電気接点103は、使用位置においてはセンサハウジング30の接触ピン44と接触する。その膜32を機械的に保護するために、圧力センサアセンブリ10は、センサハウジング30に接続された、端面が開口した板49の形状の保護部材48を有する。圧力センサアセンブリ10のセンサハウジング30の保護部材48は、パッケージの接続片104に面し、接続片の圧力センサアセンブリ10に面する表面は、圧力センサアセンブリ10を支持するフランジ105を形成する。また、これら2つの間には、Oリングのような封止手段106を配置する。
【0042】
したがって、上述の本発明は、少なくとも1つの圧力センサ装置12を備えた圧力センサアセンブリ10に関し、圧力センサ装置12は、セラミック基板14と、少なくとも1つの信号処理要素24と、少なくとも1つのセンサ素子20とを備えた積層を有する。圧力センサ装置12は、膜32を備えたセンサハウジング30内に導入される。膜32を備えたセンサハウジング30の残留容積は、非圧縮性流体で充填する。
【0043】
説明した圧力センサアセンブリ10により、そのセンサ素子20(特にAPSMセンサ素子)と信号処理要素24(特にASIC)とを備える圧力センサ装置12を、センサハウジング30のオイル充填物内に置くことで、攻撃性媒体から保護することができる。少なくとも1つの圧力センサ装置12を備えた圧力センサアセンブリ10は、一方で頑強に、または攻撃性媒体に対して保護されて構成され、他方では、温度に関するオイル充填物の影響を補償するための簡単な温度調整が可能であり、さらに、安価に製造可能である。ここで、当該圧力センサアセンブリ10は、5バールおよび約70バールの間の中間圧力範囲で、損傷の危険性なく特に有利に使用することができる。
【0044】
圧力センサアセンブリ10のオイル充填物内に圧力センサ装置12を埋め込むことにより、個々の圧力センサ装置12自体が場合によって10バール未満、特に5バール未満の低圧用にのみ構成することも可能である。
【0045】
セラミック基板14は、信号処理要素24およびセンサ素子20の、センサハウジング30からの有利な熱的および機械的分離をもたらす。
【0046】
以上、本発明を好ましい実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、様々な方法で変更することができる。
図1
図2a
図2b
図2c
図2d
図3
図4