【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の特徴を備えた解決手段は、特に、セラミック基板と、少なくとも1つの信号処理要素と、少なくとも1つのセンサ素子と、を備えた積層を有する圧力センサ装置を、圧力センサアセンブリに設けることにある。圧力センサ装置は、膜を備えることのできるセンサハウジングに導入され、膜を備え、これによって閉じられたセンサハウジングの残留容積を、非圧縮性流体で充填する。
【0008】
したがって、本発明は、攻撃性媒体に対する圧力センサ装置の保護を、適切な方法で、特に簡単な手段かつ低コストで提供する。適切なセンサ素子を使用する場合、圧力センサ装置は、圧力センサハウジングに配置する前に、個別に、またはバッチ全体で同時に調整することができる。セラミック基板によって、信号処理要素および/またはセンサ素子は、センサハウジングから熱的に分離することができる。
【0009】
センサハウジングは特に金属から構成でき、信号処理要素および/またはセンサ素子は特にシリコンから構成するか、シリコンを有することができるため、セラミック基板は、これらの材料の膨張係数の差を補償または弱めることもできる。したがって、セラミック基板は補償素子とも呼ぶ。
【0010】
信号処理要素(特にASIC)は、電子回路に既に組み込まれている様々な基本機能を提供するため、例として、センサ素子の電圧供給を担当し、したがって、その電圧と、場合によって温度信号を評価し、さらに、圧力測定の特性曲線補正を実行し、さらにこれには、フィルタ、信号処理電子回路、並びに診断およびエラー検知機能を設けることができる。入力側でのデジタル化により、ASICは全体にわたってデジタル信号処理(例えば、抵抗のブリッジ信号に関するもの)を可能にし、内部クロックによってデータ送信をトリガすることもできる。ASICは、例えば、それを制御装置に直接接続することもできる。
【0011】
その他の有利な特徴は、従属請求項の主題に含まれる。
【0012】
本発明にかかる圧力センサアセンブリのいくつかの有利な実施形態では、少なくとも1つの信号処理要素が、セラミック基板と少なくとも1つのセンサ素子との間に挟まれているため、信号経路が短く、かつ製造が簡単であり、特にコンパクトなアセンブリが得られる。
【0013】
いくつかの有利な実施形態では、センサ素子は、APSM(Advanced Porous Silicon(先進多孔質シリコン)MEMS)センサ素子として設け適合させることができる。ここでセンサ素子は、有利には、後の膜用に単結晶開始層を生成するAPSMプロセス(APSM:Advanced Porous Silicon Membrane(先進多孔質シリコン膜))で製造する。これは、続いてエッチング法を使用してアンダーエッチングし、多孔質シリコン層を生成し、その後、空洞となる。次に、単結晶シリコン層をエピタキシャルに被着し、これは後にセンサ素子膜を形成する。温度を加えることで(原子再配列)、後に絶対圧力測定を可能にする空洞を真空下で生成する。次に、膜に被着させたピエゾ抵抗が、その膜のたわみを測定する。例えば、DE102004036035A1(独国特許出願公開第102004036035号)およびEP1810947B1(欧州特許第1810947号)に記載されているこのAPSMプロセスを用いて、頑強な膜を生成することができ、また、このプロセスは、純粋に表面の機械加工で済む点で有利である。これにより生成する単結晶層は、完全に高密度で安定している。しかしながら、このセンサ素子は、例えば、いわゆる応力分離センサ素子として、それとは異なるように構成することもできる。
【0014】
さらなる有利な実施形態では、本発明にかかる圧力センサアセンブリにおいて、その基板に導入したさらなる受動的な電気構造またはコンポーネントを設けることができる。既に上述したように、センサ素子膜は、抵抗を配置できる単結晶シリコン層からなり、例えばセンサ素子膜の変形に応じて通電時に抵抗が変化するように、これらを例えばその層内に拡散でき、ここで抵抗は、ホイートストンブリッジの形式で接続する。ここでは電圧は発生せず、圧力変化によって電気抵抗のみが変化するため、これらは受動素子または受動構造であり、その温度依存性も同様にブリッジ回路によって除去できる。このようなセンサは比較的高い感度を有し、低コストで製造できる。
【0015】
センサハウジングに配置した、加えられた圧力を吸収および仲介する圧力センサ装置の膜を、有利には被測定容積流量における圧力ピークなどの望ましくない機械的影響から保護するために、いくつかの有利な改善形態によれば、圧力センサアセンブリにおいて、膜のセンサハウジングとの反対側に、略間接的に膜を覆う機械的保護部材を配置することができる。これは、例えば、膜に略平行に延びかつハウジングに接続された断続プレート、または一種のグリッドとすることができる。この開口部により、被測定媒体が膜にアクセスでき、その加圧をセンサ素子膜にさらに伝えることができる。ただし、他の構成も考えられる。
【0016】
攻撃性および/または腐食性媒体からセンサ素子を適切な方法で保護する非圧縮性流体は、油、例えば合成油として構成することができる。圧力センサハウジング内に圧力センサ装置を配置した後、センサ素子または圧力センサ装置の全面的な保護が保証されるように、ハウジングを膜または別のクロージャで閉じる前に、残っている残留容積を、有利には当該非圧縮性流体で充填する。他の適切な油など、他の非圧縮性媒体の使用も考えられる。
【0017】
圧力センサアセンブリの有利な改善形態では、オイルバッファの設計も重要であり、これは、センサ素子がオイルバッファに全面的に埋め込むことにより持続的に静水圧に曝されるように、圧力センサハウジング内において圧力センサ装置を有利に位置決めし、これによっても、圧力センサ装置の物理的損傷を確実に回避することができる。
【0018】
請求項7によれば、本発明は、少なくとも以下の方法ステップを備えた圧力センサアセンブリの製造方法も提供する。
− セラミック基板と、信号処理要素と、センサ素子との積層を含む、圧力センサ装置の製造ステップ、
− 圧力センサ装置を、膜を備えることができる圧力センサハウジングに導入するステップ、
− 圧力センサ装置の導入後、圧力センサハウジング内に残っている残留容積を非圧縮性流体で充填するステップ、および
− 圧力センサハウジングを膜で閉じるステップ。
【0019】
上記の方法を用いて、適切な方法で、特に簡単な手段で、かつ安価に、圧力センサ装置の攻撃性媒体に対する保護を保証する。適切なセンサ素子を使用する場合、圧力センサ装置は、圧力センサハウジングに配置する前に、個別に、またはバッチ全体で同時に調整することができる。
【0020】
本発明にかかる方法の有利な変形形態は、圧力センサハウジングに埋め込む前に、センサ素子を備えた圧力センサ装置の温度補償を行い、これにより、既に調整された圧力センサ装置を、圧力センサアセンブリにおいてすぐに、または常に使用可能とし、さらに、この調整は、多くの圧力センサ装置に対する圧力センサ装置の公知のパラメータにおいて短時間で実行できるため、圧力センサ装置を安価に提供することができる。これは、これらの圧力センサ装置が、半導体、特にMEMSモジュールの製造、およびこれらの測定モジュールへの組み立ての際に一般的な標準機械によって製造および処理できるという事情にも関連している。
【0021】
有利には、圧力センサ装置の電気ポートは、圧力ポートが配置されている他方のハウジング側とは反対側である、圧力センサハウジングのハウジング側に配置することができる。換言すれば、圧力センサ装置は、その圧力を感知するべき媒体に第1の側で接続することができる一方で、圧力センサ装置の信号は、圧力センサハウジングのその媒体とは反対側で取り出すことができる。さらに、電気ポートは簡単に接続できる。
【0022】
非圧縮性流体での充填後、当該充填開口部を、圧力センサハウジングにおいて、密閉ボール(英語「ball-press sealing(ボールプレスシーリング)」)によって閉じ、密閉することができる。
【0023】
圧力センサハウジングの内部の非圧縮性液体の流体容積を最小化するために、本発明にかかる有利な改善形態では、少なくとも1つの充填要素、好ましくは複数の充填要素を、圧力センサハウジングの1つまたは複数のハウジング領域とセンサ素子との間に配置することができる。これらは、スペーサとも呼ばれるプラスチックのような、セラミックまたは金属の部品とすることができる。好ましくは、さらなる変形形態では、圧力センサハウジング内の1つまたは複数の充填要素が、場合によってセンサ素子とともに、閉鎖構造を形成する。
【0024】
本発明にかかる測定装置は、請求項10に定める。
【0025】
好ましくは、封止手段、例えばOリングを、縁部領域とフランジとの間に配置することができる。
【0026】
さらなる特徴および利点に関して、本発明にかかる圧力センサアセンブリおよびその製造方法に関する上記実施形態を参照することができる。
【0027】
上記実施形態および開発形態は、有意義である限り、任意に相互に組み合わせることができる。本発明のさらなる可能な実施形態、開発形態、および実装形態は、上記または下記で実施例に関して説明する本発明の特徴の、明示的に言及していない組み合わせも含む。特に、当業者は、本発明のそれぞれの基本形態に対する改善または追加として、個々の態様も追加するであろう。
【0028】
本発明は、図面の実施例を使用して以下に詳述される。部分的な概略図で、以下のものが示される。