【実施例】
【0038】
以下、本発明を、実施例及びバシディオマイセテスX乾燥粉末又はバシディオマイセテスX抽出組成物の製造例を参照しながら更に具体的に説明する。なお、製造例1〜4でバシディオマイセテスXの培養例を、製造例5でバシディオマイセテスXの乾燥例、製造例6でバシディオマイセテスX抽出組成物乾燥粉末の製造例を示す。
【0039】
(製造例1)
<菌糸塊からの分離>
(1)培地の調製
下記表1に示す配合で、PSA培地及びPDA培地を調製し、試験管又は三角フラスコに分注した後、シリコセン(又は綿栓)を施しオートクレーブにより121℃20分高圧蒸気滅菌した。その後、試験管の場合は、滅菌後熱いうちに傾斜させてスラント(斜面)培地とし、三角フラスコの場合は、そのまま静置してプレート(平面)培地とした。
【0040】
【表1】
【0041】
(2)菌糸塊からの分離
大きめのバシディオマイセテスX菌糸塊を手で割り、火炎滅菌したメスを冷却させてからバシディオマイセテスX断面より切片を切断し、火炎滅菌冷却後のピンセットで、(1)のPSA培地及びPDA培地スラントにバシディオマイセテスX切片を植菌した。なお操作は、無菌箱又はクリーンベンチ内の、無菌処理済み条件下で行った。
【0042】
(3)菌糸塊生産のためのAgar培地による培養
1cm角としたジャガイモ200gを、精製水を用いて煮沸後20分継続、冷却後、固液分離したジャガイモ浸出液、スクロース20g及びAgar1g(0.1%)に蒸留水を全量1Lとなるように加えて、Agar培地を調整した。なお、通常Agar培地は1.5〜2.0(培地1Lに対し、15g〜20g)のAgar添加するが、培養後の菌糸塊と、Agar培地の分離を容易にするため、また液体培地ではバシディオマイセテスXの切片が沈降しやすいため物理的強度を維持する目的で、0.1%添加することとした。この0.1%Agar培地を試験管に各5mLに分注し、シリコセンを施した後オートクレーブにより121℃20分間高圧蒸気滅菌した。その後、無菌処理済みの無菌箱内において、製造例1のスラントにおいて培養中のバシディオマイセテスX菌糸塊から切片を切除し、0.1%Agar培地に無菌操作により植菌した。24℃条件下でインキュベーターにおいて培養させたところ、24時間〜48時間後には発菌した。発菌後、24℃条件下で培養を継続すると、14日間でAgar培地上に菌糸が生育した。
【0043】
(製造例2)
<菌糸塊生産のためのおがくず培地による培養>
(1)種菌の培養
おがくず1L、脱脂ぬか15g、ふすま15g及びサンパール(菌糸活性剤・日本製紙製)5gに、水を加えて十分に攪拌し、培地を強く握って水がにじむ程度(湿式含水率70%程度)として、おがくず培地を調製した。この培地を三角フラスコに入れ、シリコセンを施した後、オートクレーブにより121℃40分高圧蒸気滅菌した。滅菌後24時間後に、製造例1のスラントにて培養中のバシディオマイセテスX菌糸を無菌箱内にて無菌操作によっておがくず培地に植菌した。なお、植菌は滅菌三角刀でスラントの一部を切除するようにし、菌糸にダメージを与えないよう行った。また、植菌の密度は、おがくず培地表面積の20%〜30%とした。24℃条件下で培養したところ3日後(遅くとも5日後)に発菌し、30日後には三角フラスコおがくず培地に菌糸が充満した。
【0044】
(2)菌糸塊の発生
(1)と同様にしたおがくず培地を調製し、この培地をポリプロピレン製ビンに入れ、フタをして、オートクレーブにより121℃40分高圧蒸気滅菌した。滅菌後24時間後、無菌処理済みの無菌箱内において無菌操作により、(1)で培養した種菌をポリプロピレン製ビンのおがくず培地に植菌した。なお、植菌の密度は、おがくず培地表面積がほぼ覆われる程度とした。24℃条件下で培養したところ、48時間後に発菌し、60日後にはポリプロピレン製ビン内のおがくず培地全体に菌糸が充満した。更に40日〜50日経過すると、ポリプロピレン製ビン内壁に菌糸が展開し、菌糸束を形成、更に培養を継続すると菌糸塊を形成した。
【0045】
(製造例3)
<バシディオマイセテスX乾燥粉末の製造>
菌糸の細胞壁に損傷を与え、細胞内容物が浸出することを容易にするため、製造例2で得られた生鮮バシディオマイセテスX菌糸塊を冷凍・凍結させ、凍結しているバシディオマイセテスX菌糸塊を常温解凍し、ミキサーを用いて破砕したものを乾燥して粉末に加工した(以下、「バシディオマイセテスX乾燥粉末」という)。
【0046】
(製造例4)
<バシディオマイセテスX抽出組成物乾燥粉末の製造>
製造例3で得られたバシディオマイセテスX乾燥粉末(乾燥重量4kg)を計りとり、水20Lを加えた後、適宜撹拌しながら4〜6時間静置培養した。その後、吸引濾過により固形物(以下、「バシディオマイセテスX抽出残渣」という)を除き、バシディオマイセテスX抽出組成物17.6kg(固形分:8.0%)を得た。最後に−40℃で予備凍結の後、凍結乾燥に供した(以下、バシディオマイセテスX抽出組成物乾燥粉末という)。
【0047】
(実施例1)
製造例4で得られたバシディオマイセテスX抽出組成物乾燥粉末を水に溶かし、1日の投与量が500mg/kg体重となるように調製したものを被験物とした。
【0048】
(1)使用動物と投与NASH治療方法
生後間もないC57BL/6系雌性マウス各個体を、非アルコール性脂肪性肝炎(以下、「NASH」という)を発症させていない健常(正常)群(n=5)(以下、「Normal群」という)、軽度のNASHを発症させた無治療群(n=5)(以下、「HFD−8W群」という)、重度のNASHを発症させた無治療群(n=8)(以下、「NASH群」という)、及び重度のNASHを発症させ5%バシディオマイセテスX抽出組成物乾燥粉末を投与したNASH改善群(n=6)(以下、「NASH+Mushroom群」という)群の4群に分けた。
【0049】
(2)NASHの誘導
健常群のマウスを除いて、生後およそ1週目にマウスあたり200μgのストレプトゾトシン(streptozotocin:STZ)を皮下注射した。何れの群も通常飼料による生後4週間の予備飼育後、健常食又は高脂肪食(日本クレア社製、日本)を各群、次のように摂餌させた。
【0050】
Normal群は、生後4週目から通常飼料を引き続き、12週に亘って自由摂取させて飼育を行った。HFD−8W群は、生後4週目に、通常飼料から高脂肪食に変更し、8週に亘って自由摂取させて飼育を行った。NASH群は、生後4週目に、通常飼料から高脂肪食に変更し、12週に亘って自由摂取させて飼育を行った。NASH+Mushroom群は、生後4週目に通常飼料から高脂肪食に変更し、12週に亘って自由摂取させて飼育を行った。NASH+Mushroom群は、バシディオマイセテスX抽出組成物乾燥粉末を水に溶解したものを被験物として、生後12週目から16週目までの5週間、1日の投与量が500mg/kg体重となるようゾンデにより一日一回、経口投与した。
【0051】
(3)血液検査
12週間又は16週間が経過した後に各試験群に対して一晩絶食をかけて空腹時採血を行い血液検査に供した。これらの結果を
図1に示した。
図1において、(a)〜(e)は各試験群の血液検査結果を示すグラフであり、(a)はALT濃度、(b)はAST濃度、(c)はAPL濃度、(d)はTC濃度、(e)はTG濃度をそれぞれ示す。
【0052】
ここで、計測項目であるアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(Aspartate transaminase:AST)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)及びアルカリホスファターゼ(Alkaline Phosphatase:ALP)は、いずれも肝臓組織中に存在し、細胞が傷害されると細胞外へ漏出するため(逸脱酵素)、これらの成分濃度は肝機能の状態を示す重要な指標となる。他に、総コレステロール(Total Cholesterol:TC)、中性脂肪(Triglyceride:TG)の計測を行った。
【0053】
また、
図1における各数値は、平均値±標準誤差で表し、統計学的検討には一元配置分散分析法(one−way ANOVA, followed by Dunnett’s法)を用い、P値が0.05未満を有意とした。なお、後述する各試験(
図2及び
図4〜
図6参照)においても、同様の分析法を用いて統計処理を行った。
【0054】
図1に示すように、NASH+Mushroom群の肝機能パラメータは、NASH群と比較してALT濃度、AST濃度、ALP濃度すべてにおいて有意に減少していた。また、NASH+Mushroom群ではTG濃度及びTC濃度がNASH群よりも低い傾向がみられた。
【0055】
(4)各臓器量及び血糖値の測定
上記(1)の各試験後に犠死させた後に解剖して各試験群の体重(Body weight:BW)に対する肝重量(Liver weight:LW)及び脾臓重量(Spleen weight:Sp)と血糖値を測定し、その測定結果を
図2に示した。
図2において、(a)〜(c)は各試験群の各臓器量及び血糖値の測定結果を示すグラフであり、(a)は肝重量/体重、(b)は脾臓重量/体重、(c)は血糖値をそれぞれ示す。
【0056】
図2(a)に示した通り、NASH+Mushroom群の肝重量/体重(以下、「LW/BW」という)は、NASH群と比較して減少傾向にあることが明らかになった。一方、
図2(b)及び(c)に示した通り、NASH+Mushroom群の脾臓重量/体重(以下、「Sp/BW」という)及び血糖値は、NASH群と比較して有意に減少した。これらのことから、バシディオマイセテスX抽出組成物乾燥粉末の摂取によりSp/BW及び血糖値の増大が抑制されることが明らかになり、肝臓重量の減少傾向は肝腫大の改善を示唆し、脾臓重量の正常化は免疫系昂進の改善を示唆する。
【0057】
(5)組織観察
上記(4)の解剖時に肝臓を採取し、ヘマトキシリン・エオシン染色(以下、「H&E染色」という)及びマッソントリクローム(Masson trichrome)染色(以下、「MT染色」という)を行って肝臓組織を観察し、その結果を
図3に示した。
【0058】
図3において、(a)〜(l)は各試験群の組織観察結果を示す写真であり、(a)〜(d)は肝臓像、(e)〜(h)はH&E染色した肝臓組織像、(i)〜(l)はMT染色した線維化領域像をそれぞれ示す。
【0059】
各試験群の肝臓像の結果において、
図3(d)に示したNASH+Mushroom群の肝臓は、
図3(a)に示したNormal群の肝臓形態と比較的近く、脂肪の沈着や炎症症状、肝細胞が風船のようにふくらむ風船様肝細胞及び肝細胞癌の形成等、NASH特有の病理所見が抑制された。一方、
図3(b)に示したHFD−8W群の肝臓では脂肪肝を呈した。また、
図3(c)に示したNASH群の肝臓では、特に図中の丸で囲った領域において、風船様肝細胞及び肝細胞癌の形成等、NASHに特有の諸症状を明らかに呈した。
【0060】
また、
図3(e)〜(h)に示した通り、H&E染色像の結果から、NASH+Mushroom群の肝臓は、Normal群の肝臓形態と比較的近く、脂肪滴の沈着や炎症細胞の浸潤、風船様肝細胞及び肝細胞癌の形成等、NASH特有の病理所見が抑制された一方で、HFD−8W群の肝臓は脂肪肝を呈し、また、NASH群の肝臓は上記のNASH特有の諸症状が顕著に現れた肝臓組織像であった。特に、
図3(g)に示したNASH群では脂肪滴がなくなっている箇所が垣間見られ、肝硬変まで至った症例(Burn out NASH)を彷彿とさせるまで症状が悪化した肝織像となった。なお、H&E染色においては、脂肪は染色されないため、細胞内の白く抜けている部分が脂肪である。
【0061】
更に、
図3(i)〜(l)に示した通り、MT染色の結果から、NASH+Mushroom群の肝臓は、肝臓の線維化が顕著に抑制され、Normal群の肝臓形態に比較的近い状態にまで改善したが、HFD−8W群及びNASH群の肝臓切片上においては不可逆性の線維化を生じていることが観察された。特に、
図3(k)に示したNASH群では肝臓の線維化が顕著であった。
【0062】
これらのことは、
図3(a)〜(l)に示すように、バシディオマイセテスXがNASH特有の病理所見である脂肪滴の沈着や炎症細胞浸潤、肝臓の線維化、風船様肝細胞及び肝細胞癌の形成を抑制・改善すること、即ち、NASHから肝硬変及び肝細胞癌への移行を予防する機能を有することを強く示唆する。
【0063】
(6)ウエスタンブロッティング
上記(2)の解剖時に採取し肝臓組織をポリトロンで処理し、BCA(bicinchoninicacid)法によりタンパク質の定量を行った。その後、2×sample bufferを加えてウエスタンブロッティングの試料とした。各試料中の総タンパクを10%SDS−polyaclylamidegel electrophoresis (SDS−PAGE)ゲルを用いて150V、50分で電気泳動し、10V、60分でニトロセルロース膜に転写した。転写後、この膜のバンドをPoncean Sで染色し確認した後、PBSで洗浄し、5%BSAを用いて1時間blockingを行った。
【0064】
一次抗体として、ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体(Peroxisome Proliferator−Activated Receptor:PPAR)α(1:1000)、 PPARγ(1:1000)、シトクロムC(Cytochrome C:cyt c)(1:1000)、サーチュイン(Sirtuin:SIRT)1(1:1000)、グルコーストランスポーター4(Glucose transporter type 4:Glut4)(1:1000)、核内因子κB(nuclear factor‐kappa B:NF−κB)(1:1000)、活性化NF−κB(Phospho‐NFκB:p−NF−κB)(1:1000)、インターロイキン−1β(Interleukin‐1β:IL−1β)(1:1000)、(Interleukin‐1β:IL−10:IL−10)(1:1000)、及び内部標準であるグリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(glyceraldehyde−3−phosphate−dehydrogenase:GAPDH)(1:8000)を4℃の冷蔵室で一晩反応させた。
【0065】
翌日、1×TBS・Tween20で洗浄した後、適宜、二次抗体としてanti−rabbit(1:10000)、anti−mouse(1:10000)、又は、anti−goat(1:10000)を室温で1時間反応させた。イムノスターLDを用いてC−DiGitブロットスキャナー(エムエステクノシステムズ社)で、それぞれのタンパク質の発現量を測定した。p−NF−κBの発現量は、対応するNF−κBで除することにより、また、PPARα、PPARγ、Cytochrome C、SIRT1、Glut4、IL−1β、IL−10の発現量は、対応するGAPDHの発現量で除することにより、それぞれ群間比較し、これらの結果を
図4〜
図6に示した。
【0066】
図4において、(a)〜(c)は各試験群におけるウエスタンブロッティングによる各タンパク質の発現量の測定結果を示すグラフであり、(a)はPPARα/GAPDH、(b)はPPARγ/GAPDH、(c)はCytochrome C/GAPDHをそれぞれ示す。
図5において、(a)及び(b)は各試験群におけるウエスタンブロッティングによる各タンパク質の発現量の測定結果を示すグラフであり、(a)はSIRT1/GAPDH、(b)はGlut4/GAPDHをそれぞれ示す。
図6において、(a)〜(c)は各試験群におけるウエスタンブロッティングによる各タンパク質の発現量の測定結果を示すグラフであり、(a)はp−NF−κB/NF−κB、(b)はIL−1β/GAPDH、(c)はIL−10/GAPDHをそれぞれ示す。
【0067】
PPARは、ステロイドホルモン受容体スーパーファミリーに属する核内受容体のひとつであり、α、β、γの3型が存在する。PPARαは特に肝臓や心臓、消化管等、脂肪酸酸化の盛んな臓器に多く存在する。肝臓については、PPARの活性化を通じたペルオキシソームの増殖により、極長鎖脂肪酸のβ酸化や胆汁酸合成を始め、肝臓の様々な遺伝子の発現や酵素活性、代謝状態が急速且つ劇的に変化することが知られている。
【0068】
図4(a)に示すように、NASH+Mushroom群におけるPPARαの発現量が、HFD−8W群、NASH群それぞれのものと比較していずれも有意に増大した。このことは、バシディオマイセテスXの投与により脂肪酸のβ酸化や胆汁酸合成等脂質代謝が昂進していることを示唆する。このことは一方で、
図1(d)及び(e)に示した血中脂質(TC及びTG)の改善傾向に寄与している可能性が示唆される。
【0069】
また、脂肪細胞の分化に関与する蛋白質の一つであるPPARγは、肥満時の肝臓(脂肪肝)においても発現が上昇することが知られている(『田中直樹、外1名、「信州医誌」、2008年、第56巻、第6号、p.347−358』参照。
図4(a)に示すように、バシディオマイセテスXの投与により、NASH+Mushroom群におけるPPARγの発現量が、HFD−8W群、NASH群それぞれのものと比較していずれも改善する傾向が見られた。
【0070】
図5に示すように、HFD−8W群、NASH群と比較して、NASH+Mushroom群では、SIRT1及びGlut4の発現量が改善傾向にあることが示された。SIRT1及びGlut4の活性化はインスリン抵抗性を改善することが知られていることから、
図2(c)に示したNASH+Mushroom群における血糖値の改善が、SIRT1及びGlut4の活性化を介したインスリン抵抗性の改善によるものであることが示唆される。
【0071】
更にまた、未だ議論の余地はあるものの、遺伝子修復系の活性化を介して腫瘍抑制因子として作用する可能性が示唆されている(『大田秀隆、「日本老年医学会雑誌」、2010年、第47巻、第1号、p.11−16』参照)。このことは、本発明が、NASHを改善すること、特にNASHから肝硬変及び肝細胞癌への移行を予防する機能を有することとの関連を示唆する。
【0072】
図6(a)に示すように、NASH+Mushroom群におけるp−NF−κB/NF−κBの発現量がHFD−8W群と比較して有意に減少した。NF−κBが炎症のマスターレギュレーターとして炎症惹起に深く関与することから、その活性化の抑制は、肝臓における炎症状態の改善を示唆する。他方、先に述べたPPARαの増大がNF−κBの活性を競合阻害することにより抗炎症作用を示すことは、本発明によるNASH改善効果がPPARαの増大に起因するNF−κBの活性化抑制を介した抗炎症作用に基づくものとして説明し得る。また、
図6(b)及び(c)に示すように、NASH+Mushroom群におけるIL−1β/GAPDHやIL−10/GAPDHの発現量がNormal群と比較して減少傾向にあることから、肝臓における炎症状態の改善の可能性を示唆する。
【0073】
以上より、実施例1で得られたバシディオマイセテスX抽出組成物乾燥粉末を経口摂取することにより、主としてPPARα、NF−κB、及びSIRT1発現量制御を介した(1)肝臓組織修復効果、(2)肝臓組織における脂肪代謝の改善効果、(3)高血糖症状の改善効果、(4)脂肪滴の沈着、炎症細胞の浸潤、風船様肝細胞、及び肝細胞癌抑制作用が明らかとなった。