(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6830268
(24)【登録日】2021年1月28日
(45)【発行日】2021年2月17日
(54)【発明の名称】広告表示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 11/26 20060101AFI20210208BHJP
【FI】
G09F11/26 Z
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2019-67392(P2019-67392)
(22)【出願日】2019年3月29日
(65)【公開番号】特開2020-166147(P2020-166147A)
(43)【公開日】2020年10月8日
【審査請求日】2019年9月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000137339
【氏名又は名称】株式会社マグエックス
(74)【代理人】
【識別番号】100071320
【弁理士】
【氏名又は名称】田辺 敏郎
(74)【代理人】
【識別番号】100126756
【弁理士】
【氏名又は名称】田辺 恵
(72)【発明者】
【氏名】飯田 裕之
【審査官】
金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】
特開2015−230473(JP,A)
【文献】
実開昭55−022750(JP,U)
【文献】
特開2006−145820(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0025389(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 11/00−11/34
B43L 1/00−12/02
15/00−27/04
G03B 21/132
21/56−21/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の上下に配置された支持筒部材と、上下の前記支持筒部材間にわたる長さでスライド回動可能に上下支持筒部材に掛け渡された一対の広告掲示シートと、上下の前記支持筒部材にそれぞれ巻掛け可能とされた一対の接続シートと、各々の前記広告掲示シートの各端部と前記接続シートの各端部とを連結する4体の接合部材とを有し、前記接続シートが前記支持筒部材に巻き掛けされた状態で一対の前記接合部材の各々の裏面が前記支持筒部材の両側部に接当して前記広告掲示シートの掲出位置決めがなされることを特徴とする広告表示装置。
【請求項2】
前記接合部材は少なくとも前記支持筒部材の周面に接触する裏面が全長にわたって横断面でみて中高のわん曲面形状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載した広告表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は広告表示装置に関する。本発明は特に、2枚の掲示シートをループ状に連結して上下の支持部材に掛け渡し、前側と後側の広告掲示シートをスライドさせて入れ替えることができるようにしたスライド式の広告表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
前側、後側2枚の広告掲示シートを連結した広告表示装置としては、
図4に例示するように、一対の広告掲示シート1,2の各端部をそれぞれ1個の接合部材3,4で連結したものが知られている。これは前側の広告掲示シート1と後側の広告掲示シート2の上端どうし、および下端どうしをそれぞれ接合部材3,4で直接連結して上下の支持部材5,6にループ状に掛け渡した構造としたものである。例えば1日の時間帯により、広告掲示シートを手動でスライド回動させることで前側の広告掲示シート1と後側の広告掲示シート2を入れ替えるようにしている。なお、
図4で前側の広告掲示シート1が正面側に全面表示された状態で接合部材3,4がそれぞれ上下支持部材5,6の周側部に接当するように構成されている。
【0003】
特許文献1の広告表示装置は、3枚のシートを脱着可能な接合部材でループ状に連結して表示シート構造体を構成し、上段、中段の可変位ローラパイプの吊り下げを外して下降させ、さらに表示シートを外側へ引き出して長尺の接合部材を外し、前記表示シートの一部分を別の表示シートと入れ替えるようにしている。
【0004】
また、特許文献2に記載のディスプレイ装置は、構造が比較的簡単で低コストで実現できるが、表示シートをループ式に支持部材に掛け渡して回動させる形式のものに比べてディスプレイシートの取り替えに若干手数を要する。特許文献3には、多量の表示情報を保持できるように出力シートを長尺に形成しても比較的薄形の構造に構成できるようしたスクロール看板装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015−230473号公報
【特許文献2】特開2009−53649号公報
【特許文献3】特開2010−204202公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図4に示すような2枚の広告掲示シート1,2の上下の端部どうしをそれぞれ1個の接合部材3,4で連結した掲示装置では、例えば広告掲示シート1,2を同図の矢印A方向に回動させる場合は、上部後側に位置する接合部材3および下部前側に位置する接合部材4がそれぞれ上部支持部材5および下部支持部材6に接当して前側、後側の広告掲示シート1,2の位置決めがなされるが、これと逆方向、つまり図示B方向にスライドさせるような作用が働いたとき、この方向における前記広告掲示シートに対するストッパ機能がないため、掲示シートの位置ずれが生じ、前側掲示シート11の広告面が一部欠けてしまい、正確な全面表示とならないという問題があった。
【0007】
また、特許文献1の広告表示装置は、取付けが簡単で、かつ短時間で容易に広告、案内等の表示を変更できる点で優れているが、構造が若干複雑でコスト高になるという問題があった。
【0008】
本発明は、前側と後側の2枚の広告掲示シートを連結して上下の支持部材に掛け渡した2連式の広告掲示装置において、前記広告掲示シートをスライドさせて前記広告掲示シートを前側と後側で入れ替える場合に、広告面の位置ずれが起こらず、前面側での広告面の全面表示が容易に得られる2連スライド式広告掲示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る広告表示装置は、一対の上下に配置された支持筒部材と、上下の前記支持筒部材間にわたる長さでスライド回動可能に上下支持筒部材に掛け渡された一対の掲示シートと、上下の前記支持筒部材にそれぞれ巻掛け可能とされた一対の接続シートと、各々の前記掲示シートの各端部と前記接続シートの各端部とを連結する4体の接合部材とを有し、前記接続シートが前記支持筒部材に巻き掛けされた状態で一対の前記接合部材
の各々の裏面が前記支持筒部材の両側
部に接当して前記掲示シートの掲出位置決めがなされることを特徴とする。
【0010】
本発明の1つの形態によれば、前記接合部材は少なくとも前記支持筒部材の周面に接触する裏面が全長にわたって横断面でみて中高のわん曲面形状に形成されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、前側、後側の一対の広告掲示シートの両端の連結部の間にそれぞれ接続シートを介在させ、かつ上下の各接続シートの両端にそれぞれ接合部材を設け、広告掲示シートをいずれの方向にスライドさせた場合にも、接続シートが支持部材を乗り越える際に前記接合部材が前記支持部材に接当するようにしたので、前側の広告面に位置ずれを起こさずに全面表示がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施例に係る広告表示装置の概略的な側面図である。
【
図2】本発明の実施例に係る広告表示装置の一部分裁断した正面図である。
【
図3】本発明の実施例に係る広告表示装置の部分的な拡大側面図である。
【
図4】従来の2連スライド式広告掲示装置の概略的な側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明を実施例について図面を参照して説明する。
この実施例の広告表示装置は、飲食店の店頭や売店入口の隣接場所等に設置される見出し広告等の広告表示装置10として構成した例である。
図1,
図2に示すように、この実施例の広告表示装置10は、上下に離間して配置された横長の支持部材11,12を有している。支持部材11,12は、後述する広告掲示シートの横巾の長さにわたって延びる筒部13と、筒部13を貫通する支持軸14,16で構成され、上側支持軸の両端部が店頭の軒先等に支持ワイヤ15を介して吊持され、下側の支持軸16の両端部は店先の外壁下部あるいは床面に設けられた係止部17に留めワイヤ18を介して保持されている。なお、上下の支持部材11,12の上下間隔は前記広告掲示シートの縦長さに概ね相当している。
【0014】
(広告掲示シート)
広告掲示シート20,21は前側と後側の2枚の可撓性シートで構成され、両シートの端部どうしが軟質の接続シート22,23を介して連結されている。前記広告掲示シート20,21と前記接続シート22,23との連結は後述する接合部材によって連結される。より具体的に説明すれば、
図1に明示されるように、前側広告掲示シート20の上端および下端は、それぞれ上側接続シート22および下側接続シート23の各一端(図示状態では前側の各端部)に接合部材25によって連結され、同様に後側広告掲示シート21の上端および下端は、それぞれ上側接続シート22および下側接続シート23の他端(後側の端部)に接合部材25によって連結されている。このように上下の接続シート22,23と前側、後側の広告掲示シート20,21との連結手段は全体として4体の接合部材25によって構成されている。
【0015】
前側および後側の2枚の広告掲示シート20,21が一対の接続シート22,23を介して連結されることにより、広告掲示シート構造体は全体としてループ状に構成され、上下に配置された一対の横長の支持部材25に巻き掛けられ、手動操作で広告掲示シート20,21が上下の筒部13間をスライド回動し、これによって前側広告掲示シート20と後側広告掲示シート21を掲示装置の前面と後面で入れ替えることができる。2枚の広告掲示シート20,21にはそれぞれ異なる広告表示がなされており、例えば時間帯により所望の広告表示を前面(正面)の目視位置に掲出することができる。
【0016】
(接続シート)
前側と後側の広告掲示シート20,21をつなぐ接続シート22,23は、前記広告掲示シート20,21の略横巾長さに相当する長手方向長さを有し、かつ前記長手方向と直角方向の短手方向の長さは支持部材の筒部13の全周にほぼ近い長さ、あるいは前記筒部の全周よりも若干短い長さとなっている。このような長さに設定することにより、接続シート22,23が筒部13に巻き掛けられた状態(
図1および
図3)でみて、接続シート22,23の両縁部に連結された前側および後側の接合部材25は、上側の支持部材11の筒部13の下側部に近接した位置に配置されるようになっている。
【0017】
下側の支持部材25に巻き掛けられる下側接続シート23および接合部材25も上述した上側の支持部材25の場合と同様であり、
図1に示されるように、下側接続シート23の両縁部に連結される前側および後側の下側接合部材25は下側筒部13の上側部に近接した箇所に位置するようになっている。
【0018】
(接合部材)
次に、前記接続シートと前記広告掲示シートを連結する接合部材について
図3を参照して説明する。
接合部材25は広告掲示シート20,21のほぼ横巾に対応する長さを有する長尺部材の形態となっており、
図3に示すように、各接合部材25の前面および裏面が全長にわたって中高にわん曲した外形形状を有している。なお、ここで広告提示シート板20,21のスライド回動により接合部材25が支持部材11の筒部13周面に接触する面25aを接合部材25の裏面と称することとする。この長尺の接合部材25の上縁および下縁は全長にわたってわん曲状の凹溝26が形成されている。凹溝26の溝口は凹わん曲状の溝内部よりも狭くなっている。
図3の接続シート22が上側筒部13に巻き掛けられた状態でみた場合、接合部材25の上縁側の凹溝26には接続シート22の端部が挿入、固定され、下縁側の凹溝27の部分には広告掲示シート20,21の端部が脱着可能に挿着されている。
【0019】
具体的には、上側の支持部材11に隣接した状態の接合部材25を例にとれば、広告掲示シート20,21の端部が或る長さで内側へ折り返されて接合部材25の下縁側凹溝27に挿入されるとともに、前記凹溝内27で掲示シート20,21の折返し部に1〜2本の細棒28が挿入され、これによって掲示シート20,21が接合部材25に固定される。細棒28は接合部材25の全長に対応した長さを有し、細棒28を凹溝27から抜き取ることにより、掲示シート20,21は接合部材25から取り外せるようになっている。接合部材25の上縁側凹溝26に対する接続シート22の挿着、固定も上述の構成とほぼ同じでよく、凹溝に挿入された接続シートの折返し部に細棒28を挿入することで接続シート22は接合部材25に挿着、固定される。
【0020】
なお、接合部材25と接続シート22との連結、固着、接合部材25と広告提示シート板20,21との脱着可能な連結、固定は上述の形態に限定されるものではなく、他の手段で実現することも可能であることは勿論である。また、図示の実施例では、接合部材25は前面および裏面の両面の形状が中高わん曲面に形成された例を示したが、裏面のみ、つまり掲示シートの回動時に筒部13の周面に接当する側の面25aのみを中高わん曲状の面形状に形成してもよい。
【0021】
次に、上下の支持部材間にループ状に掛け渡された広告提示シート構造体を手動操作でスライド回動させて前面と後面の広告提示シート板を入れ替える場合の形態について説明する。
図1に示すように、上側支持部材11の筒部13に上側の一対の接合部材25が接当し、かつ、下側支持部材12の筒部13に下側の一対の接合部材25が接当している状態で、掲示装置の前面および後面にはそれぞれ前側、後側の広告掲示シート20,21の全面が掲出している。この状態で広告掲示シート20,21は矢印A方向のスライド回動に対して、前面側の上側接合部材25および後面側の下側接合部材25がそれぞれ上側支持部材11の筒部および下側支持部材13の筒部を乗り越えようとするときの張力が広告掲示シート20,21に作用してスライド動作の抵抗が生じ、逆に広告掲示シート20,21の矢印B方向のスライド回動に対しては、後面側の上側接合部材25 および前面側の下側接合部材25がそれぞれ上下の支持部材の筒部13を乗り越えようとする際の張力が広告掲示シート20,21に作用してスライド動作の抵抗として働き、結局、前側の広告掲示シート20の広告表示部の全面が正面側に掲出した状態で正確に停止する。後側の広告掲示シート21を前面側へ手動で回動させて後側シート板の広告表示を前面側に掲出する場合も同様に正確になされる。
【0022】
以上のように本発明によれば、上下に各々1個の接合部材が設けられた形態の従来の広告掲示装置のように広告掲示シートの停止位置が不正確になるという問題が発生せず、前側あるいは後側の広告表示部の全面を正確に正面に掲出させることができる。
【符号の説明】
【0023】
10 広告表示装置
11,12 支持部材
13 筒部
14 上側支持軸
16 下側支持軸
20 前側広告掲示シート
21 後側広告掲示シート
22 上側接続シート
23 下側接続シート
25 接合部材
26,27 凹溝
28 細棒