(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6830269
(24)【登録日】2021年1月28日
(45)【発行日】2021年2月17日
(54)【発明の名称】甘打ちロープおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
D07B 1/02 20060101AFI20210208BHJP
【FI】
D07B1/02
【請求項の数】3
【全頁数】4
(21)【出願番号】特願2019-103784(P2019-103784)
(22)【出願日】2019年6月3日
(62)【分割の表示】特願2015-196234(P2015-196234)の分割
【原出願日】2015年9月10日
(65)【公開番号】特開2019-137967(P2019-137967A)
(43)【公開日】2019年8月22日
【審査請求日】2019年6月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】501066532
【氏名又は名称】大竹 幸衛
(74)【代理人】
【識別番号】100103207
【弁理士】
【氏名又は名称】尾崎 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】大竹 幸衛
【審査官】
岩本 昌大
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−178888(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D07B 1/00−9/00
D02G 1/00−3/48
D02J 1/00−13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビニロン紡績糸またはエステルマルチ糸と、ポリエチレン糸とを混合して構成された、水溶性樹脂付着浸透ヤーンを中心芯としたストランを、並打ちロープに比べて長い撚りピッチで三つ撚りされた、甘打ちロープ。
【請求項2】
前記並打ちロープよりも20%撚りピッチが長い、請求項1の甘打ちロープ。
【請求項3】
ビニロン紡績糸またはエステルマルチ糸と、ポリエチレン糸とを混合して構成されるヤーンに水溶性樹脂を付着浸透し、
前記ヤーンをストランの中心芯に挿入し、
前記ストラン3本を並打ちロープに比べて長い撚りピッチで三つ撚りして製綱し、
前記水溶性樹脂を乾燥する、
甘打ちロープの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本案は繊維ロープの撚りピッチを長く甘打ちに製綱して、軽く細くても強化と安全作業性経済性を得る甘打ちロープに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、普通打ち(並打ち)ロープに比べ、撚りピッチを長く甘打に作る事でロープの長さは長く成り、重量は軽く成り、引っ張り強度は高くなるが、ダラダラ甘く太く膨らむことによる安全作業性と商品価値の下落が問題であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-254941号公報
【特許文献2】特開2015-059276号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
撚りピッチを長く甘く作る甘打ちロープにおいて、ダラダラ、甘く、膨らみ感を解消することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、ビニロン紡績糸またはエステルマルチ糸と、ポリエチレン糸とを混合して構成された、水溶性樹脂付着浸透ヤーンを中心芯としたストランを、並打ちロープに比べて長い撚りピッチで三つ撚りされた、甘打ちロープである。
【0006】
上記甘打ちロープは、前記並打ちロープよりも20%撚りピッチが長いことが好ましい。
【0007】
また、本発明は、ビニロン紡績糸またはエステルマルチ糸と、ポリエチレン糸とを混合して構成されるヤーンに水溶性樹脂を付着浸透し、前記ヤーンをストランの中心芯に挿入し、前記ストラン3本を並打ちロープに比べて長い撚りピッチで三つ撚りして製
綱し、前記水溶性樹脂を乾燥する、甘打ちロープの製造方法である。
【発明の効果】
【0008】
軽く細くても強度を高く、経済性、安全作業性を高くできる。例えば、直径10mmの普通打ち(並打ち)ロープ、100mを、ロープの撚りピッチを20パーセント、長くすれば約120mになり、重量も約6kgから約4、8kgになり、引っ張り強度も990kgから1000kg以上(約)になる。従来の方法では、ロープの撚りピッチを長く甘く作ると、ダラダラ、甘く、膨らみ感があるが、本発明によれば、水溶性樹脂等を付着浸透した混合強力ポリエチレン糸等を含むヤーンをストランの中心に挿入したストラン3本を撚りピッチを長く3つ撚りに製綱して付着樹脂の乾燥することによって、甘くダラダラ太く脹らみ感を解消できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は本実施形態における3つ撚りロープの斜視図である。ビニロン紡績糸またはエステルマルチ糸と、ポリエチレン糸とを混合して構成されるヤーン(5)に水溶性樹脂を付着浸透した中心芯を有するストランを、並打ちロープに比べて長い撚りピッチで三つ撚りされている。
【0011】
本案は従来の並打(普通打)ロープよりも20パ−セントピッチを長く甘く製鋼して、軽く強くロープの長さを得て、細く軽く強化を得て、安全作業性、経済性に貢献する。
【0012】
強力ポリエチレン糸には水溶性樹脂は殆ど付着浸透しないが、水溶性樹脂が付着浸透し易いビニロン紡績糸やエステルマルチ糸を混合して、その混合本数の変化で水溶性樹脂の付着量の加減が可能となる。
【0013】
水溶性樹脂を付着浸透した混合強力ポリエチレン糸等を含むヤーンをストラン3本の芯に挿入して3つ撚りロープに製綱して付着浸透樹脂を乾燥することによって、甘打ちロープのダラダラ、太く脹らみ感を解消できる。
【0014】
ビニロン紡績糸またはエステルマルチ糸と、強力ポリエチレン糸とを混合して構成されるヤーン(5)に水溶性樹脂を付着浸透したものをストランの中心芯に挿入し、前記ストラン3本を3つ撚りにピッチを長く製鋼し、樹脂を乾燥する。甘くダラダラ太く脹らみ感の解消で細く軽く撚りピッチを長くした分ロープは長く成る。更に引っ張り強化、耐光性、摩耗強化、経済性、安全作業性が向上できる。
【0015】
図1のように、ストランの中心には水溶性樹脂が付着浸透した中心芯がある。ストランの外側面には、ビニロンと強化ポリエチレン、エステル糸等を混合して成る混合集糸束(7)が多数束存在している。さらに、エステル集糸束(7の7)を引っ張り強化と耐光性、摩耗強化のために1束外側面に構成する。更に混合集糸束(7)の内側には、単糸集合体芯(6)をロープを軽く太く強化を得るために構成の中心にしている。
【符号の説明】
【0016】
5 水溶性樹脂浸透ヤーン
6 単糸集合体芯
7 混合集糸束
7の7 エステル集糸束