特許第6830275号(P6830275)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6830275-ローラコンベア支持台車 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6830275
(24)【登録日】2021年1月28日
(45)【発行日】2021年2月17日
(54)【発明の名称】ローラコンベア支持台車
(51)【国際特許分類】
   B65G 41/00 20060101AFI20210208BHJP
【FI】
   B65G41/00 B
【請求項の数】1
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-182376(P2019-182376)
(22)【出願日】2019年10月2日
(62)【分割の表示】特願2015-9123(P2015-9123)の分割
【原出願日】2015年1月21日
(65)【公開番号】特開2020-73405(P2020-73405A)
(43)【公開日】2020年5月14日
【審査請求日】2019年11月1日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596116189
【氏名又は名称】株式会社カムサー
(74)【代理人】
【識別番号】100120329
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 一規
(72)【発明者】
【氏名】植野 弘志
【審査官】 中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−158439(JP,A)
【文献】 特開2014−227241(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 41/00−41/02
B65G 21/00−21/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場内で利用されるローラコンベアを支持する支持台車であって、
ローラコンベアが載置される平面視略長方形の支持部と、この支持部との平面視相対的な角度が固定された状態で支持部の下部に連結される脚部とを備え、
上記支持部が、載置されたローラコンベアをローラコンベアの短手方向から挟持する少なくとも一対の突設部を有し、ローラコンベアをローラコンベアの長手方向にスライド可能に載置できるように設けられ、
上記脚部が、
上記ローラコンベアの短手方向に走行する車輪を両端に有する車輪フレームと、
この車輪フレームから上方に向けて立設される一対の支柱と、
上記一対の支柱に支持されると共に、長手方向が上記ローラコンベアの短手方向に沿うように配設され、上記支持部を支持する横フレームと
を備え、
上記支持部が、
上記横フレームの上に連結される底壁と、この底壁から上方に向けて屈曲され上記突設部を構成する側壁とを有するL字型アングルから構成される二本の縦梁と、
この二本の縦梁に略直交するように配設され、上記二本の縦梁の両端部に連結される二本の横梁と
を備えるローラコンベア支持台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ローラコンベア支持台車に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の日本における大規模な圃場では、野菜等の収穫物は圃場内で箱詰めされ、この収穫物が詰め込まれた箱(以下、荷物という)が、作業道に乗り入れた運送車両に向けて運ばれる。荷物は人力や運搬台車を利用して運ぶこともあるが、作業効率化のためローラコンベアを導入する場合がある。この場合、作業道は一般的には30mピッチであるため最寄りの作業道まで15m程度の距離に渡ってローラコンベアを設置する必要がある。実用的なローラコンベアの長さは3メートル程度であることから、5台程度のローラコンベアが圃場内に並べられる。
【0003】
例えばこのローラコンベアの設置に畝上面を利用すると、作業者は、中腰で作業することになり、作業者の腰への負担が大きい。このため、ローラコンベアにはその高さを一定に支持する脚部が必要である。この脚部は、未収穫の野菜を傷つけることを避けるため畝溝部に配置することが一般的である。畝溝部には凹凸があり、また畝溝部と作業道との距離も一定であるとは限らない。従って、脚部に対するローラコンベアの位置は、圃場の畝溝の状況に応じて主にローラコンベアの長手方向に沿って調整する必要がある。
【0004】
このような要求を解決するため、ローラコンベアを支持する脚部の数が少なく圃場の畝部で利用し易く、かつ作業効率の良い圃場内利用ローラコンベア搬送装置が提案されている(特開2014−227241号公報参照)。
【0005】
この従来のローラコンベア搬送装置は、ローラコンベアのフレームを下方から支持する支持部とこの支持部の下部に連結される脚部とを備える。また、上記従来のローラコンベア搬送装置は、脚部に対してローラコンベアの位置調整を行う位置調整手段を有している。具体的には、上記従来のローラコンベア搬送装置は、ローラコンベアのフレームと脚部を備える支持部とをC型クランプやボルト及びナットの固定部材を用いて締め付け固定している。そして、位置調整を行う際、作業者はこの固定部材の締め付けを緩めて位置調整を行い、調整後はローラコンベアを支持部に再度締め付け固定することができる。
【0006】
上記従来のローラコンベア搬送装置では、作業者は固定部材の締め付けを調整するためのスパナ等の工具や、固定部材そのものを持ち歩く必要があり、これらを圃場内で紛失するおそれがある。また、これらの固定部材を有するため、従来のローラコンベア搬送装置は、全体重量が増し、取扱いが容易とは言えない。
【0007】
さらに、同日に異なる圃場の収穫を行う場合は固定部材を取り外しローラコンベアと支持部とを別々に移動させ、組み立てた後に再度固定部材による位置調整を行う必要がある。このように従来のローラコンベア搬送装置ではローラコンベアと支持部との解体、組立及び位置調整の作業量が比較的多いため、上記解体、組立及び位置調整をさらに容易かつ迅速に行う構造が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2014−227241号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上述のような事情に基づいてなされたものであり、圃場内で工具や固定部材を持ち歩く必要がなく、かつ軽量で、さらに容易かつ迅速にローラコンベアと支持部との解体、組立及び位置調整が行えるローラコンベア支持台車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明者が鋭意検討したところ、従来、収穫作業によるローラコンベアの位置ずれを防ぐためには、ローラコンベアと支持台とが強固に固定されている必要があると考えられていたが、荷物の搬送方向であるローラコンベアの長手方向については固定しなくとも、位置ずれがほとんど発生しないことを見出した。つまり、ローラコンベアの短手方向の移動を抑止することでローラコンベアの位置ずれを防止できることが判明し、本発明を完成させた。
【0011】
すなわち、上記課題を解決するためになされた本発明は、圃場内で利用されるローラコンベアを支持する支持台車であって、ローラコンベアを支持する平面視略長方形の支持部と、この支持部の下部に連結される脚部とを備え、上記支持部が、ローラコンベアを短手方向に挟持する少なくとも一対の突設部を有することを特徴とする。
【0012】
当該ローラコンベア支持台車は、支持部がローラコンベアを短手方向に挟持する少なくとも一対の突設部を有するので、ローラコンベアを支持部に載せることで上記突設部によりローラコンベアの短手方向の位置ずれを効果的に防止できる。また、当該ローラコンベア支持台車はローラコンベアの長手方向の移動を抑止する必要がないので、ローラコンベアの長手方向の位置調整を容易かつ迅速に行うことができる。また、当該ローラコンベア支持台車はローラコンベアを固定する固定部材等を必要としない。このため、当該ローラコンベア支持台車は、固定部材等の紛失のおそれがなく、かつ固定部材等による重量増加がない。また、当該ローラコンベア支持台車は、ローラコンベアと支持部との解体及び組立を容易かつ迅速に行うことができる。ここで「長方形」は、正方形を含む概念である。
【0013】
上記脚部が一対の車輪を有しているとよい。このように上記脚部が一対の車輪を有していることで、圃場内の移動が容易に行える。
【0014】
上記一対の突設部の対向方向のみに移動可能となるように上記一対の車輪が配設されているとよい。作業道と畝の方向との関係にもよるが、圃場内で荷物が搬送される方向であるローラコンベアの長手方向が畝に対して直交する方向となるようにローラコンベアが設置される場合が多い。従って、上記一対の突設部の対向方向のみに移動可能となるように上記一対の車輪を配設することで、畝溝に沿って野菜等を順次収穫する際の移動が容易に行える。また、移動方向がローラコンベアの短手方向となるため、ローラコンベアを短手方向に挟持する少なくとも一対の突設部により、ローラコンベアの位置ずれがさらに発生し難くなる。
【0015】
上記突設部が、ローラコンベアの側面に当接する側壁と、この側壁の下端から上記一対の突設部の対向方向に延びる底壁とを有することで、ローラコンベアが側壁に加えて底壁に当接して支持されるので、ローラコンベアの位置ずれをさらに抑止できる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明のローラコンベア支持台車は、圃場内で工具や固定部材を持ち歩く必要がなく、かつ軽量で、さらに容易かつ迅速にローラコンベアと支持部との解体、組立及び位置調整が行える。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係るローラコンベア支持台車を示す概略的正面図である。
図2図1のローラコンベア支持台車を示す概略的平面図である。
図3図1のローラコンベア支持台車を示す概略的側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、適宜図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を説明する。
【0019】
図1図3に示すローラコンベア支持台車は、圃場内で利用されるローラコンベアXを支持する支持台車である。当該ローラコンベア支持台車は、ローラコンベアXを支持する平面視略長方形の支持部1と、この支持部1の下部に連結される脚部2とを備え、上記支持部1がローラコンベアXを短手方向に挟持する一対の突設部3を有する。
【0020】
<ローラコンベア>
当該ローラコンベア支持台車が支持するローラコンベアXについて説明する。ローラコンベアXは、略平行に配設される一対のフレーム(以下、コンベアフレームという)と、コンベアフレーム間に架け渡される複数のローラとを有する。
【0021】
(コンベアフレーム)
コンベアフレームは、ローラを架け渡すためのフレームであり、公知の物を用いることができる。コンベアフレームは、上壁、側壁、及び下壁の三面を有し、正面(ローラコンベアの搬送方向)から見て、ローラが架け渡される側とは逆方向に開いた略U字状である。コンベアフレームの材質としては、スチール、ステンレス、アルミニウム、樹脂等があるが、アルミニウムが好ましい。アルミニウム製のコンベアフレームは、軽量で持ち運びが容易であり、耐腐食性に優れることから、屋外で使用し移動を伴うローラコンベアに好適である。
【0022】
コンベアフレームの幅としては、特に限定されないが、荷物の幅よりやや広いものが好ましく、例えば360mmのものを用いることができる。コンベアフレームの長さとしては、利用する圃場の広さや形、作業道の間隔等に応じて選定する必要があるが、例えば3000mmのものが用いられる。コンベアフレームの高さとしては、フレーム強度と取扱いの容易性から選定されるが、例えば長さ3000mm、幅360mmのフレームであれば、65mmの高さのものが使える。
【0023】
(ローラ)
複数のローラは、コンベアフレームに架け渡され、荷物を搬送する役割を担う。ローラの材質としては、コンベアフレームと同様のものが使われる。ローラの幅としては、コンベアフレームに合わせて決定される。また、ローラの径及び間隔としては、4本程度で荷物を支えることができ、ローラ1本の受ける荷重が許容荷重以下となるような径及び間隔がよいとされており、例えば径45mm、ピッチ100mm、ローラ長300mmとすることができる。
【0024】
また、ローラコンベアXは、他のローラコンベアXと連結することができる。このローラコンベアXの連結構成としては、特に限定されないが、例えばローラコンベアXの長手方向(荷物の搬送方向)の一端側においてこの一対のフレームそれぞれに配設される一対の被係止バーY及び搬送方向の他端側にそれぞれに配設される一対のフックZを有する構成を挙げることができる。この構成では、上記ローラコンベアXは、図3に示すように一のローラコンベアXのフックZと他のローラコンベアXの被係止バーYとを係止することで、複数のローラコンベアXを連結することができる。以下、この連結構成について説明する。
【0025】
(被係止バー)
一対の被係止バーYは、略円柱状で、一対のコンベアフレームのそれぞれについて、ローラとは反対側の面に各々固定されている。被係止バーYの固定位置は、フックZの係止部と係合った時に、隣り合う2基のコンベアフレームにおいて互いの近接位置にくるそれぞれのローラの接地面を基準とした高さが略同一となるよう決められている。被係止バーYのコンベアフレームへの固定方法は、特に限定されないが、例えば溶接を用いることができる。被係止バーYの材質としては、特に限定されないが、ステンレスやメッキされた鉄が使える。
【0026】
被係止バーYの円柱の径の下限としては、4mmが好ましく、6mmがより好ましい。一方、被係止バーYの円柱の径の上限としては、15mmが好ましく、10mmがより好ましい。被係止バーYの円柱の径が上記下限未満である場合、被係止バーYの強度が不足し、被係止バーYが変形してしまうおそれがある。逆に、被係止バーYの円柱の径が上記上限を超える場合、フックZの係止部の溝幅が大きくなり、フックZの強度が不足するおそれがある。
【0027】
被係止バーYの円柱の高さの下限としては、10mmが好ましく、20mmがより好ましい。一方、被係止バーYの円柱の高さの上限としては、40mmが好ましく、30mmがより好ましい。被係止バーYの円柱の高さが上記下限未満である場合、フックZとの係止が不十分となり、フックZと被係止バーYの係止が移動時の振動等で外れてしまうおそれがある。逆に、被係止バーYの円柱の高さが上記上限を超える場合、コンベアフレームからの突出が大きくなり過ぎ、移設等の作業時に障害物となるおそれがある。
【0028】
(フック)
フックZは、平面視略長方形の板状で、その一部がコンベアフレームから突出して固定されている。フックZの固定位置としては、特に限定されないが、例えばフックZの下側が、コンベアフレームの側壁の下側と略一致する位置とすることができる。また、フックZの固定方法は、特に限定されないが、例えばボルトで留める方法とできる。フックZは、2カ所以上をボルトで留めることで、堅牢に固定されてもよい。フックZの材質としては、特に限定されないが、被係止バーYと同様のものが使える。
【0029】
フックZは、上記突出部分に溝状の係止部を有している。上記係止部は、コンベアフレームの被係止バーYと係止できる。
【0030】
フックZの長さ(搬送方向の長さ)の下限としては、50mmが好ましく、70mmがより好ましい。一方、フックZの長さの上限としては、130mmが好ましく、90mmがより好ましい。フックZの長さが上記下限未満である場合、コンベアフレームに固定する部分の長さが短くなり、十分に固定できないおそれがある。逆に、フックZの長さ上記上限を超える場合、ローラコンベアXの移設等の作業時に障害物となるおそれがある。
【0031】
フックZの突出部分(コンベアフレームの搬送方向の前縁から突出している部分の長さ)の下限としては、20mmが好ましく、30mmがより好ましい。一方、フックZの突出部分の長さの上限としては、60mmが好ましく、40mmがより好ましい。フックZの突出部分の長さが上記下限未満である場合、コンベアフレームに係止する部分の長さが短くなり、係止が難しくなるおそれがある。逆に、フックZの突出部分の長さが上記上限を超える場合、ローラコンベアXの移設等の作業時に障害物となるおそれがある。
【0032】
フックZの高さ(コンベアフレームの高さ方向の長さ)の下限としては、20mmが好ましく、30mmがより好ましい。一方、フックZの高さの上限としては、60mmが好ましく、40mmがより好ましい。フックZの高さが上記下限未満である場合、後述する係止部の長さが十分にとれず、移動時の振動等で係止が外れてしまうおそれがある。逆に、フックZの高さが上記上限を超える場合、フックZの上端がコンベアフレームの上端を超え、荷物の搬送時に衝突する等の障害物となるおそれがある。
【0033】
フックZの厚さ(コンベアフレームの幅方向の長さ)の下限としては、3mmが好ましく、5mmがより好ましい。一方、フックZの厚さの上限としては、10mmが好ましく、7mmがより好ましい。フックZの厚さが上記下限未満である場合、強度が不足し、フックZが変形してしまうおそれがある。逆に、フックZの厚さが上記上限を超える場合、重量の増加等によりローラコンベアXの取扱いが困難となるおそれがある。
【0034】
フックZの係止部は、溝状で、フックZがコンベアフレームから突出している部分の下側略中央位置から上方に向かってフックZの途中まで逆U字状に設けられている。上記係止部の溝幅は、上記被係止バーYの径と略等しい。また上記係止部は、被係止バーYと係合った状態で、連結したローラコンベアX同士の隣接するローラの間隔がローラコンベアXのローラピッチと略等しくなる位置にあることが好ましい。
【0035】
上記係止部の長さ(フックZの下側を始点とした溝状部の長さ)とフックZの高さとの差分の下限としては、5mmが好ましく、10mmがより好ましい。一方、上記係止部の長さとフックZの高さとの差分の上限としては、30mmが好ましく、20mmがより好ましい。上記差分が上記下限未満である場合、フックZの強度が不足し、フックZが変形してしまうおそれがある。逆に、上記差分が上記上限を超える場合、上記係止部の長さが十分にとれず、移動時の振動等で係止が外れてしまうおそれがある。
【0036】
なお、上記フックZと被係止バーYとを用いた一のローラコンベアX及び他のローラコンベアXの連結は、一のローラコンベア搬送装置のフックZを有する側の端部を持ち上げ、フックZの係止部の溝部が他のローラコンベアXの被係止バーYと係合うように上方から下ろすことで行える。
【0037】
<支持部>
支持部1は、平行に配設される2本の縦梁1aと、縦梁1aの一端側及び他端側において縦梁1aに略直交するように架け渡される2本の横梁1bとから構成される。つまり支持部1は平面視略長方形状である。ローラコンベアXは、その搬送方向が縦梁1aと平行な方向(以下、支持部の縦方向ともいう)と略一致するように支持部1に載せられる。
【0038】
縦梁1aは、例えばL字型アングルを用いて構成することができ、後述する突設部3は縦梁1aで構成される。支持部1の材質としては、ローラコンベアXのコンベアフレームと同様のものを用いることができる。また、縦梁1aと横梁1bとの固定方法としては、特に限定されないが、例えば溶接を用いることができる。
【0039】
支持部1は、ローラコンベアXを短手方向に挟持する一対の突設部3を有する。また、突設部3は、ローラコンベアXの側面に当接する側壁と、この側壁の下端から上記一対の突設部3の対向方向に延びる底壁とを有する。以下、突設部3をL字型アングルで構成した場合を例にとり説明するが、突設部3の構成はL字型アングルに限定されるものではなく、例えば2枚の板材を用いて上記側壁と底壁とを構成してもよい。
【0040】
(突設部)
一対の突設部3は、L字型アングルで構成され、その長手方向が支持部1の縦方向と略一致する。また、上記L字型アングルのA面(一方の面)が接地面に対して略垂直であり、ローラコンベアXの側面に当接する側壁を構成する。
【0041】
突設部3の平均高さ(L字型アングルのA面の平均幅)の下限としては、使用するローラコンベアXの高さの30%が好ましく、50%がより好ましい。例えば長さ3000mm、幅360mmのフレームであれば、ローラコンベアXの高さは65mm程度であるので、具体的には、突設部3の平均高さの下限としては、20mmが好ましく、25mmがより好ましい。一方、突設部3の平均高さの上限としては、使用するローラコンベアXの高さから2mm以上小さい高さが好ましい。具体的には、突設部3の平均高さの上限としては、63mmが好ましく、60mmがより好ましい。突設部3の平均高さが上記下限未満である場合、突設部3がローラコンベアXを短手方向に十分に挟持することができず、ローラコンベアXの位置ずれの抑止効果が不足するおそれがある。逆に、突設部3の平均高さが上記上限を超える場合、ローラコンベアXにより運搬される荷物が突設部3に接触し、作業効率が低下するおそれがある。
【0042】
突設部3の平均長さ(L字型アングルの平均長さ)の下限としては、300mmが好ましく、350mmがより好ましい。一方、突設部3の平均長さの上限として、500mmが好ましく、450mmがより好ましい。突設部3の平均長さが上記下限未満である場合、突設部3がローラコンベアXを短手方向に十分に挟持することができず、ローラコンベアXの位置ずれの抑止効果が不足するおそれや後述する底壁の長さが短くなり過ぎるため使用時に当該ローラコンベア支持台車が転倒するおそれがある。逆に、突設部3の平均長さが上記上限を超える場合、突設部3が不要に大きくなり、当該ローラコンベア支持台車の全体重量が増すため、取扱いが困難となるおそれがある。
【0043】
突設部3の平均厚さ(L字型アングルの平均厚さ)の下限としては、2mmが好ましく、2.5mmがより好ましい。一方、突設部3の平均厚さの上限としては、4mmが好ましく、3.5mmがより好ましい。突設部3の平均厚さが上記下限未満である場合、突設部3の強度が不足するため、ローラコンベアXの位置ずれの抑止効果が不足するおそれがある。逆に、突設部3の平均厚さが上記上限を超える場合、突設部3が不要に重くなり、当該ローラコンベア支持台車の全体重量が増すため、取扱いが困難となるおそれがある。
【0044】
一対の突設部3を構成するL字型アングルのB面(他方の面)は、L字型アングルのA面(側壁)の下端から一対の突設部3の対向方向に延びる底壁を構成する。突設部3はこの底壁によりローラコンベアXを下方から支持することができ、ローラコンベアXの位置ずれがさらに抑止される。
【0045】
突設部3がローラコンベアXを支持する部分(L字型アングルのB面)の平均幅としては、特に限定されないが、突設部3の平均高さと同様とできる。
【0046】
(横梁)
支持部1の横梁1bの断面形状としては、特に限定されないが、L字状や方形状とできる。また、横梁1bの断面の大きさとしては、一対の縦梁1aを平行に支持できる強度を有するとよく、L字状であれば、肉厚2.5mm以上3.5mm以下、A面及びB面の幅が25mm以上35mm以下、方形状であれば、1辺の長さが25mm以上35mm以下とできる。
【0047】
横梁1bの長さとしては、使用するローラコンベアXの幅が収まる長さとする必要があり、例えば幅360mmのコンベアフレームを使用している場合、390mmの長さとできる。
【0048】
<脚部>
脚部2は、支持部1を支持する横フレーム5と、横フレーム5の両端の下部に連結される一対の支柱6と、一対の支柱6の下部を連結する共に、その両端に車輪8を有する車輪用フレーム7とを有する。
【0049】
(横フレーム)
横フレーム5は支持部1の一対の縦梁1aと直交する。また、横フレーム5の中心は一対の横梁1bの中心を結ぶ直線上にあり、横フレーム5の長さは横梁1bの長さより大きい。横フレーム5が支持部1の縦梁1aを支持する位置としては、縦梁1aの長手方向の略中央がよい。このように横フレーム5が縦梁1aの長手方向の略中央を支持することで、横フレーム5を挟んだ支持部1の縦方向の重量バランスがよくなるため、当該ローラコンベア支持台車の使用時の安定性が向上する。
【0050】
横フレーム5の材質としては、ローラコンベアXのコンベアフレームと同様のものを用いることができる。また、横フレーム5と縦梁1aとの固定方法としては、特に限定されないが、例えば溶接を用いることができる。
【0051】
横フレーム5の形状は、特に限定されないが、角棒状とできる。横フレーム5の断面の一辺の長さの下限としては、20mmが好ましく、25mmがより好ましい。一方、横フレーム5の断面の一辺の長さの上限としては、40mmが好ましく、35mmがより好ましい。横フレーム5の断面の一辺の長さが上記下限未満である場合、横フレーム5の強度が不足するおそれがある。逆に、横フレーム5の断面の一辺の長さが上記上限を超える場合、脚部2が不要に重くなり、当該ローラコンベア支持台車の全体重量が増し、取扱いが困難となるおそれがある。
【0052】
横フレーム5の長さは、支持部1の一対の縦梁1a間の長さと一対の支柱6を取り付けるために必要な長さとを加算した長さよりも大きい。具体的には、横フレーム5の長さの下限としては、450mmが好ましく、500mmがより好ましい。一方、横フレーム5の長さの上限としては、600mmが好ましく、550mmがより好ましい。横フレーム5の長さが上記下限未満である場合、ローラコンベアXにより運搬される荷物が支柱6に接触し、作業効率が低下するおそれがある。逆に、横フレーム5の長さが上記上限超える場合、当該ローラコンベア支持台車の横幅が大きくなり過ぎ、取扱いが困難となるおそれがある。
【0053】
(支柱)
それぞれの支柱6は、横フレーム5の両端の下部に横フレーム5と直交するように連結される。支柱6の形状は特に限定されないが、例えば一対のL字型アングルで構成できる。具体的には、それぞれの支柱6は、一対のL字型アングルの一方の面が横フレーム5を支持部1の縦方向に挟持するように横フレーム5に固定されている。また、この2本のL字型アングルの他方の面は、支持部1の側に位置している。このL字型アングルの肉厚としては、4.5mm以上5.5mm以下、A面及びB面の幅としては、25mm以上35mm以下とできる。支柱6の材質としては、ローラコンベアXのコンベアフレームと同様のものを用いることができる。また、支柱6と横フレーム5との固定方法としては、特に限定されないが、例えばボルトによる締め付けを用いることができる。
【0054】
上記支柱6の長さの下限としては、300mmが好ましく、400mmがより好ましい。一方、上記支柱6の長さの上限としては、900mmが好ましく、800mmがより好ましい。上記支柱6の長さが上記下限未満である場合、ローラコンベアXの上面が低くなり過ぎ、畝面に接触するおそれがある。逆に、上記支柱6の長さが上記上限を超える場合、ローラコンベアXの上面が高くなり過ぎ、荷物をローラに載せる作業の負担が大きくなるおそれがある。
【0055】
(車輪用フレーム)
車輪用フレーム7は、一対の支柱6の下部を連結すると共に、両端に車輪8を有する。車輪用フレーム7の形状は、特に限定されないが、例えば中央部が角棒状で、両端が車輪8を挟持するために二股に分岐し、それぞれの分岐の先端部に車輪8の回転軸を有する形状とできる。車輪用フレーム7の支柱6に平行な断面は例えば方形状とでき、その一辺の長さは横フレーム5と同様とできる。
【0056】
一対の車輪8の中心間距離は、車輪の直径や使用するローラコンベアXの幅にも依存するが、例えば使用する車輪の直径20インチ(約500mm)、ローラコンベアXの幅が360mmである場合、900mm以上1200mm以下とできる。一対の車輪8の中心間距離が上記下限未満である場合、当該ローラコンベア支持台車が不安定となり、当該ローラコンベア支持台車の移動時等に横転するおそれがある。逆に、一対の車輪8の中心間距離が上記上限を超える場合、当該ローラコンベア支持台車の横幅が大きくなり過ぎ、取扱いが困難となるおそれがある。
【0057】
(車輪)
一対の車輪8の回転軸は、上記支持部1の縦方向と略平行である。すなわち、上記一対の突設部3の対向方向のみに当該ローラコンベア支持台車が移動可能となるように上記一対の車輪8が配設されている。このように一対の車輪8を配設することで、畝溝に沿った移動が容易に行える。また、移動方向がローラコンベアXの短手方向となるため、ローラコンベアXを短手方向に挟持する一対の突設部3により、ローラコンベアXの位置ずれがさらに発生し難くなる。
【0058】
使用する車輪8としては、特に限定されないが、公知の車輪、例えば自転車等に用いられるスポークスホイールで外周をゴム等の軟質材で作られたタイヤとチューブとで覆ったものを用いることができる。車輪8の径としては、特に限定されないが、例えば自転車で一般的に用いられている20インチ(約500mm)のものが利用可能である。
【0059】
<ローラコンベア支持台車の使用方法>
当該ローラコンベア支持台車は、図3に示すように複数の連結されたローラコンベアXの下部を複数の当該ローラコンベア支持台車で支持する方法で使用する。当該ローラコンベア支持台車が1のローラコンベアXを支持する場所や数は特に限定されないが、例えばそれぞれのローラコンベアXの長手方向の一端側に1基ずつ当該ローラコンベア支持台車を配置し、それぞれのローラコンベアXの下部を突設部3により支持するとよい。側壁及び底壁を有する突設部3は、ローラコンベアXを下方から支持すると共に、短手方向に挟持する。このように当該ローラコンベア支持台車は、ローラコンベアXを固定しないので、圃場の畝溝の位置に応じて主にローラコンベアXの長手方向に沿って当該ローラコンベア支持台車の位置の調整が容易に行える。また、当該ローラコンベア支持台車は、ローラコンベアXと支持部1との解体及び組立を容易かつ迅速に行うことができる。
【0060】
また、当該ローラコンベア支持台車は、野菜等の収穫場所の移動に伴い車輪8により畝溝方向に走行する。この移動の際に畝溝の凹凸等により隣接するローラコンベアX間の上下方向の角度等が変化する場合がある。このように隣接するローラコンベアX間の角度等が変化した場合であっても、ローラコンベアXが当該ローラコンベア支持台車に固定されていないので、隣接するローラコンベアX間の角度調整を容易に行うことができる。
【0061】
<利点>
当該ローラコンベア支持台車は、支持部1がローラコンベアXを短手方向に挟持する少なくとも一対の突設部3を有するので、ローラコンベアXを支持部1に載せることで上記突設部3によりローラコンベアXの短手方向の位置ずれを効果的に防止できる。また、当該ローラコンベア支持台車はローラコンベアXの長手方向の移動を抑止する必要がないので、ローラコンベアXの長手方向の位置調整を容易かつ迅速に行うことができる。また、当該ローラコンベア支持台車はローラコンベアXを固定する固定部材等を必要としない。このため、当該ローラコンベア支持台車は、固定部材等の紛失のおそれがなく、かつ固定部材等による重量増加がない。また、当該ローラコンベア支持台車は、ローラコンベアXと支持部1との解体及び組立を容易かつ迅速に行うことができる。
【0062】
[その他の実施形態]
本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0063】
上記実施形態では、車輪の回転軸が支持部の縦方向と略平行とし、ローラコンベアの短手方向に移動する場合を説明したが、車輪の回転軸を支持部の横梁と平行な方向(以下、支持部の横方向ともいう)と略平行としてもよい。車輪が支持部の横方向を回転軸とする構成は、ローラコンベアを畝溝に平行に配設する場合に好適である。この場合、当該ローラコンベア支持台車は、その縦方向が圃場の畝溝と略平行となるように圃場に配設され、ローラコンベアの長手方向に移動する。
【0064】
また、車輪の回転軸の方向を可変としてもよい。このように車輪の回転軸の方向を可変にすることで、圃場の畝溝に対して任意の方向に当該ローラコンベア支持台車を配設することができる。
【0065】
上記実施形態では、当該ローラコンベア支持台車が車輪を有する場合を説明したが、当該ローラコンベア支持台車は車輪を有さなくともよい。車輪を有さない場合、当該ローラコンベア支持台車は脚部の支柱が直接地面と接することでローラコンベアを支持する。
【0066】
また、上記実施形態では、突設部がローラコンベアを支持する底壁を有する場合を説明したが、突設部がこのような底壁を有さなくともよく、例えばローラコンベアを支持する板状の部材を一対の横梁に架け渡すように設けてもよい。
【0067】
上記実施形態では、突設部が縦梁と一体構成されている場合を説明したが、突設部は縦梁と別々に構成してもよく、例えば縦梁の上面に突設部を固定する構成であってもよい。
【0068】
また、突設部を縦梁と別構成とする場合、突設部は縦梁上面に固定せず、支持部の横方向に移動できるように構成することもできる。例えば、突設部をL字型アングルのA面及びB面で構成し、このL字型アングルを支持部の横方向に設けた横梁のスリットにボルトで固定する構成としてもよい。このように構成することで、ボルトの締め付け位置をスリットの範囲内で移動できるので、突出部がローラコンベアを挟持する幅を変えることができる。従って1の当該ローラコンベア支持台車で、突出部の挟持幅の可変範囲内の幅の種々のローラコンベアに対応できる。なお、可動する突設部は、一対の突設部の両方であってもよく、また一方のみであってもよい。
【0069】
上記実施形態では、一対の突設部がL字型アングルのA面すなわち1枚の板状の面によりローラコンベアを挟持する場合を説明したが、突設部がローラコンベアを挟持する部分(挟持部分)の形状はこれに限定されない。例えば、上記挟持部分は複数の板状の部材や複数の円柱状の部材を用い、その側面がローラコンベアを挟持するように縦梁の長手方向に一列に配設することで構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0070】
以上のように、本発明のローラコンベア支持台車は、圃場内で工具や固定部材を持ち歩く必要がなく、かつ軽量で、さらに容易かつ迅速にローラコンベアと支持部との解体、組立及び位置調整が行える。
【符号の説明】
【0071】
1 支持部
1a 縦梁
1b 横梁
2 脚部
3 突設部
5 横フレーム
6 支柱
7 車輪用フレーム
8 車輪
X ローラコンベア
Y 被係止バー
Z フック
図1
図2
図3