特許第6830295号(P6830295)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6830295
(24)【登録日】2021年1月28日
(45)【発行日】2021年2月17日
(54)【発明の名称】記憶媒体の評価試験装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 17/00 20060101AFI20210208BHJP
【FI】
   G01N17/00
【請求項の数】7
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2019-516781(P2019-516781)
(86)(22)【出願日】2017年5月9日
(86)【国際出願番号】JP2017017607
(87)【国際公開番号】WO2018207270
(87)【国際公開日】20181115
【審査請求日】2020年5月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】393022229
【氏名又は名称】株式会社ダイチューテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】草野 政幸
(72)【発明者】
【氏名】秋山 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】小泉 光洋
(72)【発明者】
【氏名】馬場 郁夫
【審査官】 川瀬 正巳
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−343096(JP,A)
【文献】 特開平9−276715(JP,A)
【文献】 特開平10−311865(JP,A)
【文献】 特開昭61−144580(JP,A)
【文献】 特開2002−040081(JP,A)
【文献】 特開平3−137707(JP,A)
【文献】 特開平4−088650(JP,A)
【文献】 特表2003−506687(JP,A)
【文献】 特開2001−50888(JP,A)
【文献】 特開2001−318046(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶媒体を挿抜自在に接続して前記記憶媒体との間で互いに信号の伝送を行う接続部を有すると共に、前記記憶媒体の挿抜方向に前記接続部を見た場合における前記接続部の長手方向が上下方向となる向きで配設され、且つ、前記記憶媒体の挿抜方向に前記接続部を見た場合における前記接続部の短手方向に複数が並んで設けられる接続基板と、
内部で空気が循環すると共に、前記接続部の長手方向に空気が流れる向きで前記接続基板が配設される循環路と、
前記循環路に配設され、前記循環路を流れる空気の温度を上昇させるヒータと、
前記循環路における、前記循環路を流れる空気の流れ方向の前記接続基板の下流側に配設される吸気ファンと、
前記循環路における、前記循環路を流れる空気の流れ方向の前記接続基板の上流側で、且つ、前記吸気ファンの下流側に配設される排気ファンと、
前記接続基板が配設され、且つ、前記記憶媒体が前記接続基板の前記接続部に接続されることにより前記記憶媒体が配置される試験室と、
前記試験室を開閉可能なメイン開閉扉と、
前記試験室に配設され、前記接続基板に対応して複数が設けられると共に、前記試験室に配置される前記記憶媒体に接続可能な補助ケーブルと、
操作パネルが評価試験装置の表面に位置する向きで配設される操作部と、
前記操作パネルに設けられると共に、前記補助ケーブルにおける前記記憶媒体に接続される側の端部の他端側が接続され、前記メイン開閉扉を閉じた状態で前記記憶媒体との間で通信を行うことができる補助ケーブル接続端子と、
を備えることを特徴とする記憶媒体の評価試験装置。
【請求項2】
前記接続基板は、前記接続部に挿抜される前記記憶媒体の挿抜方向が水平方向から上向きに10°以上30°以下の範囲内となる向きで配設される請求項1に記載の記憶媒体の評価試験装置。
【請求項3】
前記吸気ファンと前記排気ファンとの動作速度を調節することにより、前記循環路を流れる空気の風速を調節することができる請求項1または2に記載の記憶媒体の評価試験装置。
【請求項4】
前記循環路には、前記循環路を流れる空気の流れ方向の前記接続基板の上流側に、複数の前記接続基板に対応する複数の吹付け口が設けられ、
複数の前記吹付け口は、前記循環路を循環する空気を、対応する前記接続基板に対してそれぞれ吹き付ける請求項1〜3のいずれか1項に記載の記憶媒体の評価試験装置。
【請求項5】
前記循環路は環状に形成されると共に、前記循環路の環状の内側部分は前記循環路の内部から隔離された非恒温部になっており、
前記接続基板は、前記循環路を形成する壁部のうち、前記循環路の内部と前記非恒温部とを隔てる前記壁部に取り付けられる請求項1〜4のいずれか1項に記載の記憶媒体の評価試験装置。
【請求項6】
前記循環路には、
前記循環路内の空気を前記循環路の外部に放出する排気口と、
前記循環路の外部の空気を前記循環路内に取り入れる吸気口と、
が設けられており、
前記排気口は、前記循環路を流れる空気の流れ方向における前記吸気口の上流側に配設され、
前記吸気口は、前記循環路を流れる空気の流れ方向における前記ヒータの上流側に配設される請求項1〜5のいずれか1項に記載の記憶媒体の評価試験装置。
【請求項7】
前記接続基板には、前記記憶媒体に対して供給する電力を制御する電力制御基板が接続され、
前記電力制御基板には、前記記憶媒体に放電を行わせる放電回路が設けられる請求項1〜6のいずれか1項に記載の記憶媒体の評価試験装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SSD等の記憶媒体の評価試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器で用いる情報を記憶する記憶媒体は、磁気ディスクを用いたハードディスクドライブ(HDD)や、半導体素子メモリを用いたソリッドステートドライブ(SSD)等、様々な種類があるが、これらの記憶媒体は、組み立てを行った後、試験装置によって動作試験等を行う。
【0003】
例えば、特許文献1に記載された環境試験チャンバでは、HDDを装着したハードドライブキャリアをキャリアパレットに装着し、試験チャンバに多数設けられるスロットにキャリアパレットを挿入することにより、1つの試験チャンバで複数のHDDの試験を行っている。また、特許文献1に記載された環境試験チャンバでは、任意の温度に調節された空気を、複数のHDDに対して供給することにより、所望の温度環境で試験を行うことを可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2003−506687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、近年では記憶媒体として、SSDのような半導体素子メモリを用いるものが増えているが、半導体素子メモリを用いる記憶媒体は、HDDのような磁性体を用いる記憶媒体と比較して消費電力が大きくなっている。このため、SSDのような半導体素子メモリを用いる記憶媒体は、動作時の発熱量が大きく、温度が高くなり易くなっているが、記憶媒体の周囲の温度は、記憶媒体の動作に重要な影響を与える要素になっている。従って、記憶媒体の評価試験を行う際には、温度を含めた使用環境を、記憶媒体の実際の使用環境に即した状態にして試験を行った方が高い精度で評価を行うことができ、評価試験として好ましいものになる。
【0006】
しかしながら、複数の記憶媒体を同時に行う試験装置では、1つ1つの記憶媒体を実際の使用環境に即した状態にして試験を行うのは困難なものとなっている。例えば、特許文献1に記載された環境試験チャンバでは、任意の温度に調節された空気を複数のHDDに供給する際に、複数のHDDが並ぶ方向に沿って供給するため、空気の温度を任意の温度に調節したとしても、個々のHDDの位置では温度が変化する可能性がある。このため、複数の記憶媒体の試験を同時に行う試験装置によって評価試験を行う際に、個々の記憶媒体のそれぞれで、実際の温度環境に沿った状態での試験を行うのは、非常に困難なものとなっていた。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、複数の記憶媒体のそれぞれで、実際の温度環境に沿った状態で試験を行うことのできる記憶媒体の評価試験装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る記憶媒体の評価試験装置は、記憶媒体を挿抜自在に接続して前記記憶媒体との間で互いに信号の伝送を行う接続部を有すると共に、前記記憶媒体の挿抜方向に前記接続部を見た場合における前記接続部の長手方向が上下方向となる向きで配設され、且つ、前記記憶媒体の挿抜方向に前記接続部を見た場合における前記接続部の短手方向に複数が並んで設けられる接続基板と、内部で空気が循環すると共に、前記接続部の長手方向に空気が流れる向きで前記接続基板が配設される循環路と、前記循環路に配設され、前記循環路を流れる空気の温度を上昇させるヒータと、前記循環路における、前記循環路を流れる空気の流れ方向の前記接続基板の下流側に配設される吸気ファンと、前記循環路における、前記循環路を流れる空気の流れ方向の前記接続基板の上流側で、且つ、前記吸気ファンの下流側に配設される排気ファンと、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、上記記憶媒体の評価試験装置において、前記接続基板は、前記接続部に挿抜される前記記憶媒体の挿抜方向が水平方向から上向きに10°以上30°以下の範囲内となる向きで配設されることが好ましい。
【0010】
また、上記記憶媒体の評価試験装置において、前記吸気ファンと前記排気ファンとの動作速度を調節することにより、前記循環路を流れる空気の風速を調節することができることが好ましい。
【0011】
また、上記記憶媒体の評価試験装置において、前記循環路には、前記循環路を流れる空気の流れ方向の前記接続基板の上流側に、複数の前記接続基板に対応する複数の吹付け口が設けられ、複数の前記吹付け口は、前記循環路を循環する空気を、対応する前記接続基板に対してそれぞれ吹き付けることが好ましい。
【0012】
また、上記記憶媒体の評価試験装置において、前記循環路は環状に形成されると共に、前記循環路の環状の内側部分は前記循環路の内部から隔離された非恒温部になっており、前記接続基板は、前記循環路を形成する壁部のうち、前記循環路の内部と前記非恒温部とを隔てる前記壁部に取り付けられることが好ましい。
【0013】
また、上記記憶媒体の評価試験装置において、前記循環路には、前記循環路内の空気を前記循環路の外部に放出する排気口と、前記循環路の外部の空気を前記循環路内に取り入れる吸気口と、が設けられており、前記排気口は、前記循環路を流れる空気の流れ方向における前記吸気口の上流側に配設され、前記吸気口は、前記循環路を流れる空気の流れ方向における前記ヒータの上流側に配設されることが好ましい。
【0014】
また、上記記憶媒体の評価試験装置において、前記接続基板には、前記記憶媒体に対して供給する電力を制御する電力制御基板が接続され、前記電力制御基板には、前記記憶媒体に放電を行わせる放電回路が設けられることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る記憶媒体の評価試験装置は、複数の記憶媒体のそれぞれで、実際の温度環境に沿った状態で試験を行うことができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、実施形態に係る評価試験装置の正面図である。
図2図2は、図1のA−A矢視図である。
図3図3は、図2のC−C矢視図である。
図4図4は、図1に示す評価試験装置の斜視図である。
図5図5は、図1のB−B断面図である。
図6図6は、図5のE部詳細図である。
図7図7は、図5のF部詳細図である。
図8図8は、図4に示すメイン開閉扉を開いた状態を示す説明図である。
図9図9は、図6に示す恒温槽の断面斜視図である。
図10図10は、図6のG−G断面図である。
図11図11は、図9に示す試験室の斜視図である。
図12図12は、図1に示す操作パネルの詳細図である。
図13図13は、図7に示す試験制御基板の平面模式図である。
図14図14は、図1に示す評価試験装置の全体構成を示すブロック図である。
図15図15は、記憶媒体の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本開示に係る記憶媒体の評価試験装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能、且つ、容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
【0018】
〔実施形態〕
図1は、実施形態に係る評価試験装置1の正面図である。図2は、図1のA−A矢視図である。図3は、図2のC−C矢視図である。図4は、図1に示す評価試験装置1の斜視図である。以下の説明では、評価試験装置1を任意の設置場所に設置して通常の使用形態で使用する際における上下方向を評価試験装置1の上下方向として説明し、通常の使用形態で使用する際における水平方向を評価試験装置1の水平方向として説明する。また、評価試験装置1の使用者が評価試験装置1に対して操作をする際に対向する側を評価試験装置1の正面とし、その反対側を評価試験装置1の背面として説明する。また、評価試験装置1を正面側、または背面側から見た場合における左右方向を、評価試験装置1の幅方向として説明する。また、水平方向における評価試験装置1の幅方向に直交する方向を、評価試験装置1の前後方向として説明する。つまり、評価試験装置1の前後方向は、正面側から背面側に向かう方向、或いは背面側から正面側に向かう方向になっている。
【0019】
実施形態に係る評価試験装置1は、長手方向が上下方向となる略直方体の形状で形成されており、正面にはメイン開閉扉3と、操作部20と、メンテナンス扉5とが設けられている。このうち、メイン開閉扉3は、評価試験装置1の正面における、上下方向の上半側に位置しており、評価試験装置1によって記憶媒体200(図16参照)の試験を行う際に、評価試験装置1内に対して記憶媒体200を出し入れする際に開閉する開閉部になっている。メイン開閉扉3には、メイン開閉扉3を開けることなく評価試験装置1内を視認するための確認窓4が設けられている。評価試験装置1は、評価試験装置1の表面の大部分を構成する筐体2が、金属材料等の不透明の材料からなるのに対し、確認窓4は、透明のガラスや透明の樹脂材料等の透明の材料によって構成されている。
【0020】
また、メンテナンス扉5は、評価試験装置1の正面における、上下方向の下半側に位置しており、評価試験装置1内の機器類の調整やメンテナンス等の作業を行う際に開閉する開閉部になっている。また、操作部20は、評価試験装置1の正面における、上下方向の中央付近に位置しており、上下方向におけるメイン開閉扉3とメンテナンス扉5との間に配設されている。操作部20は、評価試験装置1での試験時に評価試験装置1に対して入力操作をしたり、試験の状態を確認したりすることのできる操作パネル21を有しており、操作パネル21が評価試験装置1の表面に位置する向きで配設されている。
【0021】
また、メンテナンス扉5は、評価試験装置1の背面側にも配設されている。背面側のメンテナンス扉5は、正面側のメンテナンス扉5とは異なり、評価試験装置1の背面におけるほぼ全面に設けられている。
【0022】
また、評価試験装置1の側面や背面には、装置内と装置外との通気を行う通気口8が設けられており、評価試験装置1の背面には、装置内の空気を装置外に排出することにより排熱を行う排熱ファン9が設けられている。さらに、評価試験装置1の下部には、評価試験装置1を移動させる際における容易性を確保するキャスター6が取り付けられている。
【0023】
図5は、図1のB−B断面図である。図6は、図5のE部詳細図である。図7は、図5のF部詳細図である。評価試験装置1の内部は、記憶媒体200の試験を行う際に記憶媒体200を配置する試験ユニット室11と、評価試験装置1の各部の制御を行う機器が配設される制御ユニット室12と、評価試験装置1を作動させるための電力に関わる機器が配設される電源ユニット室13と、に区分けされている。試験ユニット室11は、評価試験装置1の上下方向における上半側に位置しており、内部に恒温槽30が配設されている。メイン開閉扉3は、上下方向における配設範囲が、試験ユニット室11の上下方向における少なくとも一部の範囲と重なっている。
【0024】
制御ユニット室12は、試験ユニット室11の下方に位置し、評価試験を行う際に記憶媒体200との間で信号のやり取りを行う試験制御基板70や、評価試験時に記憶媒体200に供給する電力の制御を行う電力制御基板80等が配設されている。電源ユニット室13は、商用電源から供給される電力を評価試験装置1で使用する電力に変換するスイッチング電源91や、異常な過電流が流れたときに電力の供給を遮断するブレーカーボックス93等を備える電源ユニット90が配設されている。電源ユニット室13は、制御ユニット室12の下方に位置している。正面側のメンテナンス扉5は、上下方向における配設範囲が、制御ユニット室12及び電源ユニット室13の上下方向における少なくとも一部の範囲と重なっている。
【0025】
また、操作部20は、操作部20の上端付近に位置して評価試験装置1の幅方向に延びる回動軸を中心として回動自在に設けられている。操作部20に設けられる操作パネル21は、操作部20が回動することにより、水平方向を向く状態と、水平方向より斜め上方を向く状態との間で向きが変化する。
【0026】
図8は、図4に示すメイン開閉扉3を開いた状態を示す説明図である。メイン開閉扉3は、メイン開閉扉3を閉じた状態における上端側に位置して試験ユニット室11の幅方向に延びる回動軸を中心として、回動自在に設けられている。メイン開閉扉3は、上下方向における位置が試験ユニット室11と重なっているため、メイン開閉扉3を開閉することにより、試験ユニット室11を開閉することが可能になっている。具体的には、メイン開閉扉3は、試験ユニット室11に配設される恒温槽30が有する試験室31を開閉することが可能になっており、上方に向けて開いた際には、試験室31を開放し、下方に向けて閉じた際には、試験室31を閉じることが可能になっている。試験室31は、恒温槽30の一部を構成し、記憶媒体200の評価試験時に記憶媒体200を配置する部位になっている。このように試験室31を開閉可能に設けられるメイン開閉扉3には、上方に向けて開いた際に、メイン開閉扉3が自重で閉じないように開いたメイン開閉扉3を下方側から支持する支持ダンパ7が接続されている。
【0027】
また、評価試験装置1には、メイン開閉扉3のロック機構15が備えられている。ロック機構15は、閉じた状態におけるメイン開閉扉3の下端部に位置する凹部16と、メイン開閉扉3を閉じた状態において凹部16に対向する位置に配設される突出部17とを有している。突出部17は、上下方向に移動可能なピン状の形状で形成されており、ロック機構15は、メイン開閉扉3が閉じている状態において突出部17が上昇して凹部16内に入り込むことにより、メイン開閉扉3の回動を規制し、メイン開閉扉3を閉じた状態に維持することが可能になっている。また、ロック機構15は、突出部17が下降した際には、突出部17は凹部16内に入り込まないため、メイン開閉扉3を自在に開閉させることが可能になる。
【0028】
図9は、図6に示す恒温槽30の断面斜視図である。なお、図9は、試験室31に記憶媒体200が配設された状態を示している。恒温槽30は、内部で空気が循環する循環路33を有している。循環路33は、評価試験装置1の幅方向に恒温槽30を見たときに略環状の形状で形成されている。具体的には、循環路33は、評価試験装置1の幅方向に見た場合において、外周側が縦長の略八角形の形状で形成され、内周側が縦長の略長方形の形状で形成されている。恒温槽30は、循環路33の長手方向、即ち、循環路33の外周側の八角形や内周の長方形の長手方向が、評価試験装置1の上下方向に対して傾斜する向きで配設されている。具体的には、恒温槽30は、循環路33の上端側が下端側よりも評価試験装置1の背面側に位置する方向に、循環路33の長手方向が、上下方向に対して約15°の角度で傾斜して配設されている。
【0029】
試験室31は、環状形成される循環路33における、評価試験装置1の正面側に位置する領域が、試験室31として設けられている。試験室31における正面側は開口部32になっており、メイン開閉扉3は、開閉することにより開口部32を開閉することが可能になっている。また、環状形成される循環路33の環状の内側部分は、循環路33の内部から隔離された非恒温部37になっている。即ち、非恒温部37は、恒温槽30を評価試験装置1の幅方向に見た場合に、循環路33の内側で略長方形の形状で形成される領域になっている。
【0030】
なお、以下の説明では、便宜上、循環路33における、略長方形の形状で形成される非恒温部37の上端側の短辺に面する領域は上端部34として説明し、非恒温部37の下端側の短辺に面する領域は下端部35として説明し、試験室31が位置する側の反対側の長辺に面する領域は背面部36として説明する。
【0031】
循環路33の一部を構成する試験室31には、評価試験装置1によって評価試験を行う記憶媒体200が接続される接続基板60が配設されている。接続基板60は、評価試験装置1の前後方向において、試験室31における開口部32が位置する側の反対側に配設されている。つまり、接続基板60は、循環路33を形成する壁部38のうち、循環路33の内部と非恒温部37とを隔てる壁部38に取り付けられている。
【0032】
循環路33には、吸気ファン41と、排気ファン42と、ヒータ50と、温度センサ51とが配設されており、循環路33内の空気は、吸気ファン41と排気ファン42とにより、循環路33内で循環することが可能になっている。循環の方向は、循環路33における試験室31から上端部34に向かい、上端部34から背面部36に向かい、背面部36から下端部35に向かい、下端部35から試験室31に向かう方向になっている。換言すると、循環路33内を流れる空気の循環の方向は、循環路33における試験室31では下方から上方に流れ、上端部34では正面側から背面側に流れ、背面部36では上方から下方に流れ、下端部35では背面側から正面側に流れる方向になっている。
【0033】
循環路33内に配設される部材のうち、ヒータ50は、循環路33の背面部36に配設されており、循環路33を流れる空気の温度を上昇させることが可能になっている。また、温度センサ51は、循環路33の下端部35に配設されており、循環路33を流れる空気の温度を検知することが可能になっている。即ち、温度センサ51は、循環路33を循環する空気の流れ方向における、試験室31の直前の上流側で空気の温度を検知することが可能になっている。
【0034】
また、吸気ファン41は、循環路33における、循環路33を流れる空気の流れ方向の接続基板60の下流側に配設されており、具体的には、循環路33の上端部34に配設されている。これにより、吸気ファン41は、循環路33における試験室31側の空気を吸引し、吸引した空気を背面部36側に排出することができる。また、排気ファン42は、循環路33における、循環路33を流れる空気の流れ方向の接続基板60の上流側で、且つ、吸気ファン41の下流側に配設されている。具体的には、排気ファン42は、循環路33の下端部35における温度センサ51の上流側に配設されている。これにより、排気ファン42は、循環路33における背面部36側の空気を吸引し、吸引した空気を試験室31側に排出することができる。
【0035】
また、循環路33には、循環路33内の空気を循環路33の外部に放出する排気口43と、循環路33の外部の空気を循環路33内に取り入れる吸気口44と、が設けられている。このうち、排気口43は、循環路33の上端部34と背面部36との間の領域における、循環路33の外周を形成する壁部38に形成されており、上端部34を流れる空気の延長線上に形成されている。このため、排気口43は、上端部34を流れた空気を循環路33の外に排出し易くなっている。また、吸気口44は、循環路33の背面部36における、循環路33の外周を形成する壁部38に形成されている。つまり、排気口43は、循環路33を流れる空気の流れ方向における、吸気口44の上流側に配設されている。また、吸気口44は、循環路33を流れる空気の流れ方向における、ヒータ50の上流側に配設されている。
【0036】
また、排気口43と吸気口44とには、これらを開閉する排気口開閉扉45と吸気口開閉扉46が設けられている。つまり、排気口43には、排気口43を開閉する排気口開閉扉45が設けられ、吸気口44には、吸気口44を開閉する吸気口開閉扉46が設けられている。このうち、吸気口開閉扉46は、吸気口44を開いた際に、循環路33を流れる空気の流れ方向における上流側から下流側に向かうに従って、循環路33から離れた位置から循環路33に近付く方向に傾斜した状態になる。このため、吸気口開閉扉46を開いた際には、循環路33を流れる空気に引きずられて、循環路33の外の空気が吸気口44から循環路33内に入り込み易くなっている。
【0037】
図10は、図6のG−G断面図である。図11は、図9に示す試験室31の斜視図である。試験室31に配設される接続基板60は、評価試験装置1の幅方向に複数が並んで配設されており、本実施形態では、接続基板60は、10枚が幅方向に並んで配設されている。各接続基板60は、記憶媒体200を挿抜自在に接続して記憶媒体200との間で互いに信号の伝送を行うスロット状の接続部61を有している。つまり、接続部61は、記憶媒体200の挿抜方向に見た場合に、一方向の長さが長く、この方向と直交する方向の幅が狭い矩形の孔状の形状で形成されている。
【0038】
ここで、本実施形態に係る評価試験装置1によって評価試験を行う記憶媒体200は、I/O(input/output)シリアルインターフェースの一種である、PCI Expressによって入出力が行われる記憶媒体200になっている。このため、接続基板60の接続部61も、PCI Expressに準じたスロット状の接続部になっている。
【0039】
試験室31に配置される記憶媒体200は、接続基板60の接続部61に挿し込まれて接続部61に接続されることにより、配置することが可能になっている。接続部61に対して挿抜される記憶媒体200の挿抜方向は、概ね評価試験装置1の前後方向になっている。即ち、接続部61に対して記憶媒体200を差し込む方向は、概ね試験室31の開口部32側から、接続部61に対して記憶媒体200を近付ける方向、即ち、評価試験装置1の正面方向から背面方向に記憶媒体200を移動させる方向になっている。また、接続部61にから記憶媒体200を抜く方向は、概ね記憶媒体200を接続部61から試験室31の開口部32側に移動させる方向、即ち、評価試験装置1の背面方向から正面方向に記憶媒体200を移動させる方向になっている。
【0040】
接続部61に対する記憶媒体200の挿抜方向が、これらの向きになる接続基板60は、記憶媒体200の挿抜方向に接続部61を見た場合における接続部61の長手方向が上下方向となる向きで配設されている。試験室31を形成する壁部38には、接続基板60を保持する接続基板保持部39が設けられており、接続基板60は、接続基板60の配設状態における上端側と下端側とが、それぞれ接続基板保持部39に取り付けられることにより、試験室31に配設されている。また、試験室31に配設される複数の接続基板60は、記憶媒体200の挿抜方向に接続部61を見た場合における接続部61の短手方向に並んで配設されている。
【0041】
各接続基板60は、接続部61の長手方向が上下方向となる向きで、少なくとも接続部61が試験室31に配設されるが、循環路33の一部である試験室31は、循環路33を流れる空気の流れ方向が上下方向になっている。このため、接続基板60は、接続部61の長手方向に空気が流れる向きで、循環路33に配設されている。
【0042】
また、接続基板60は、記憶媒体200の挿抜方向が水平方向から傾斜する向きで配設されている。具体的には、接続基板60は、接続部61に挿抜される記憶媒体200の挿抜方向が、水平方向から上向きに10°以上30°以下の範囲内となる向きで配設されている。即ち、接続基板60は、接続部61に記憶媒体200を差し込む際には、記憶媒体200を評価試験装置1の正面方向から背面方向に移動させつつ上方から下方に移動させ、接続部61から記憶媒体200を抜く際には、記憶媒体200を評価試験装置1の背面方向から正面方向に移動させつつ下方から上方に移動させる方向に、水平方向に対して10°以上30°以下の範囲内で傾斜して配設されている。本実施形態では、接続基板60は、接続部61に挿抜される記憶媒体200の挿抜方向が、水平方向から上向きに15°の角度になるように配設されている。
【0043】
また、循環路33には、循環路33を流れる空気の流れ方向の接続基板60の上流側に、循環路33を循環する空気を接続基板60に対して吹き付ける吹付け口55が設けられている。吹付け口55は、複数の接続基板60に対応して複数が設けられており、複数の吹付け口55は、循環路33を循環する空気を、対応する接続基板60に対してそれぞれ吹き付けることが可能になっている。
【0044】
具体的には、循環路33における接続基板60の上流側の位置、即ち、試験室31における接続基板60が配設される位置よりも下端部35寄りの位置には、複数の吹付け口板部材56が配設されている。吹付け口板部材56は、試験室31における接続基板60が配設される位置よりも下端部35寄りの位置で、非恒温部37側から試験室31側に向けて配設される板状の部材になっており、板の厚さ方向が、複数の接続基板60が並ぶ方向になる向きで配設されている。
【0045】
これらのように形成される吹付け口板部材56は、複数の接続基板60が並ぶ方向における位置、即ち、評価試験装置1の幅方向における位置は、隣り合う接続基板60同士の位置になっている。また、複数の接続基板60のうち、最も外側に位置する両端の接続基板60の外側にも、吹付け口板部材56はそれぞれ配設されている。評価試験装置1の幅方向に並んで配設される複数の吹付け口板部材56の、隣り合う吹付け口板部材56同士の間の部分が、吹付け口55として形成されている。
【0046】
つまり、各吹付け口板部材56は、評価試験装置1の幅方向における位置が、接続基板60の両側に位置するため、互いに隣り同士となる吹付け口板部材56同士の間の部分の、評価試験装置1の幅方向における位置は、接続基板60の位置と同じ位置になる。このため、互いに隣り同士となる吹付け口板部材56同士の間の部分である吹付け口55は、評価試験装置1の幅方向における位置が、接続基板60の位置と同じ位置になっている。これにより、複数の吹付け口55は、複数の接続基板60に対応して配設されている。循環路33を流れる空気が下端部35側から接続基板60に向けて流れる際には、吹付け口55を通って試験室31内に位置する接続基板60に向かって流れるため、換言すると、各吹付け口55は、循環路33を循環する空気を、対応する接続基板60に対してそれぞれ吹き付けることが可能になっている。
【0047】
また、試験室31の下端付近で吹付け口板部材56よりも開口部31寄りの位置には、接続基板60に挿し込まれた記憶媒体200を保持する記憶媒体保持ステー120が配設されている。記憶媒体保持ステー120は、評価試験装置1の幅方向に延びて配設されると共に、評価試験装置1の幅方向に延びる回動軸を中心として回動自在に設けられている。記憶媒体保持ステー120の両端には、記憶媒体保持ステー120の回動を規制するステーロック部材121が配設されており、記憶媒体保持ステー120が記憶媒体200を保持する状態でステーロック部材121によって記憶媒体保持ステー120の回動を規制することにより、記憶媒体200を保持することが可能になっている。
【0048】
また、試験室31には、複数の補助ケーブル110が配設されている。補助ケーブル110は、複数の接続基板60に対応して設けられており、即ち、本実施形態では、補助ケーブル110は10本が設けられている。補助ケーブル110は、試験室31を形成する壁部38を貫通して試験室31側と非恒温部37側とに亘って延びて配設されている。補助ケーブル110における試験室31側に配設される部分は、評価試験装置1の幅方向における位置が、それぞれ対応する接続基板60の位置と同じ位置に配設されており、接続基板60の上方における接続基板60の近傍から、上方に向かって配設されている。試験室31の壁部38には、接続基板保持部39の上方に補助ケーブル110を保持する補助ケーブル保持部112が設けられており、補助ケーブル110は、補助ケーブル110の端部に設けられる補助ケーブル端子111の近傍が、補助ケーブル保持部112に着脱自在に保持されている。
【0049】
また、吸気ファン41と排気ファン42とは、図10に示すように、本実施形態では、それぞれ3つずつが評価試験装置1の幅方向に並んで配設されている。これにより、吸気ファン41と排気ファン42は、評価試験装置1の幅方向における循環路33の幅方向における全ての領域に亘って、吸気したり排気したりすることが可能になっている。
【0050】
図12は、図1に示す操作パネル21の詳細図である。操作部20が有する操作パネル21には、タッチパネル22と、インジケータ23と、外部機器接続部24と、スイッチ25と、補助ケーブル接続端子26とが設けられている。タッチパネル22は、評価試験装置1で評価試験を行う際における各種情報を表示する表示部として設けられると共に、評価試験装置1の使用者が、タッチパネル22に表示される情報に基づいてタッチパネル22に触れることにより入力操作を行う入力部としても設けられている。また、インジケータ23は、LED(light emitting diode)等の光源からなり、点灯したり消灯したりすることにより、評価試験装置1での評価試験時に所定の情報を表示する。
【0051】
また、外部機器接続部24は、パーソナルコンピュータ(図示省略)等の、評価試験装置1との間で情報をやり取りすることのできる外部機器との接続部になっている。また、スイッチ25は、評価試験装置1に対して所定の動作を行わせる際に押下をする入力手段になっている。また、補助ケーブル接続端子26は、試験室31に配設される補助ケーブル110における、試験室31内に位置する補助ケーブル端子111の反対側の端子に接続されており、評価試験装置1の外部から任意の機器を補助ケーブル110に接続するための接続端子になっている。
【0052】
図13は、図7に示す試験制御基板70の平面模式図である。試験制御基板70は、各種処理を実行するコントローラとして機能するCPU(Central Processing Unit)と、各種情報を記憶するメモリとして機能するRAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)などを有する基板になっている。試験制御基板70の各機能の全部または一部は、ROMに保持されるアプリケーションプログラムをRAMにロードしてCPUで実行することによって、RAMやROMにおけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。
【0053】
この試験制御基板70は、記憶媒体200が接続される接続基板60を介して記憶媒体200との間で信号のやり取りを行うことにより、記憶媒体200の評価試験を行うことが可能になっている。つまり、試験制御基板70は、RAMやROMに、記憶媒体200の評価試験を行うためのプログラムと、評価試験を行う際に使用する各種データが保存されており、プログラムに沿って記憶媒体200との間で信号のやり取りを行いつつ各種データの読み書きを行うことにより、記憶媒体200の評価試験を行うことが可能になっている。
【0054】
試験制御基板70は、このように記憶媒体200の評価試験時に記憶媒体200との間で信号のやり取りを行うための基板接続部71を有している。本実施形態に係る評価試験装置1は、記憶媒体200が接続される接続基板60を10枚有しているため、基板接続部71も10個が設けられている。試験制御基板70の基板接続部71は、接続基板60の接続部61と同様に、PCI Expressに準じたスロット状の接続部になっており、試験制御基板70が有する10個の基板接続部71は、スロットの短手方向に並んで配設されている。
【0055】
図14は、図1に示す評価試験装置1の全体構成を示すブロック図である。評価試験装置1は、評価試験が行われる記憶媒体200が配置される恒温槽30の他に、操作部20と、試験制御基板70と、電力制御基板80と、スイッチング電源91と、ATX電源92と、起動ドライブ95と、恒温槽制御基板100と、ファン制御基板101とを有している。
【0056】
試験制御基板70は、恒温槽30とは異なる位置に配設されることにより、循環路33の外部に配設され、循環路33内の接続基板60に対して、試験基板側接続基板65とケーブル66とを介して接続されている。接続基板60と試験制御基板70との接続に用いるケーブル66は、一端が接続基板60に接続され、他端が試験基板側接続基板65に接続されている。試験基板側接続基板65は、試験制御基板70の基板接続部71に接続することができる基板になっている。試験制御基板70は、基板接続部71に試験基板側接続基板65を接続することにより、試験基板側接続基板65とケーブル66とを介して、接続基板60との間で信号を伝送することが可能になっている。
【0057】
接続基板60は10枚が設けられているため、試験制御基板70に接続される試験基板側接続基板65も10枚が設けられ、両端が接続基板60と試験基板側接続基板65とに接続されるケーブル66も10本が設けられている。この10本のケーブル66は、全て同じ長さで形成されている。接続基板60が恒温槽30に配設される際には、ケーブル66は、恒温槽30の非恒温部37から引き出される。
【0058】
スイッチング電源91は、商用電源から供給される電力を、評価試験装置1で使用する直流の電力に変換することが可能になっている。ATX電源92は、スイッチング電源91で変換した電力を、さらに試験制御基板70で使用することのできる電力に変換して試験制御基板70に供給することが可能になっている。起動ドライブ95は、試験制御基板70の起動用のドライブになっている。
【0059】
電力制御基板80は、接続基板60に接続されており、記憶媒体200の評価試験時に、記憶媒体200に対して供給する電力を制御することが可能になっている。この電力制御基板80には、記憶媒体200に放電を行わせる放電回路81が設けられている。放電回路81は、定電流放電回路からなり、記憶媒体200が有するキャパシタに蓄電された電荷を一定の電流で抜くことにより、短時間で放電することが可能になっている。この電力制御基板80は、1枚の電力制御基板80が2枚の接続基板60に接続されている。接続基板60は10枚が設けられているため、電力制御基板80は5枚が設けられている。
【0060】
恒温槽制御基板100は、恒温槽30の温度を制御する基板になっている。具体的には、恒温槽制御基板100には、ヒータ50と、温度センサ51と、排気口開閉扉45を開閉する排気口モータ47と、吸気口開閉扉46を開閉する吸気口モータ48とが接続されており、温度センサ51で検知した温度に基づいて、ヒータ50や排気口モータ47、吸気口モータ48を制御することにより、恒温槽30の温度を制御することが可能になっている。また、恒温槽制御基板100には、ロック機構15が有する突出部17のソレノイド18が接続されており、温度センサ51で検知した温度に基づいてソレノイド18を作動させることにより、ロック機構15を作動させることが可能になっている。
【0061】
また、恒温槽制御基板100には、操作部20とファン制御基板101とが接続されており、操作部20によって入力された風速に基づき、ファン制御基板101を介して吸気ファン41と排気ファン42とを制御することが可能になっている。ファン制御基板101には、吸気ファン41と排気ファン42とが接続されており、吸気ファン41と排気ファン42との動作速度を調節することにより、循環路33を流れる空気の風速を調節することが可能になっている。
【0062】
図15は、記憶媒体200の一例を示す斜視図である。本実施形態に係る評価試験装置1によって評価試験を行う記憶媒体200は、いわゆるSSD(solid state drive)であり、半導体素子メモリを用いた記憶装置になっている。記憶媒体200としては、例えば、図16に示すようなカード型のSSDが用いられる。記憶媒体200は、評価試験装置1の接続基板60が有する接続部61に挿し込まれる板状の接続部201を有している。記憶媒体200は、PCI Expressによって接続基板60との間で入出力を行うことが可能になっている。
【0063】
記憶媒体200は、挿抜方向における幅よりも、挿抜方向と接続部201の厚さ方向との双方に直交する方向の長さが長くなって形成されている。即ち、記憶媒体200は、挿抜方向の幅よりも、接続基板60の接続部61の長手方向における記憶媒体200の長さの方が長くなって形成されている。このため、記憶媒体200が接続基板60の接続部61に接続されて循環路33内に配置された際には、循環路33内で記憶媒体200を流れる空気は、記憶媒体200の長手方向に流れる。また、記憶媒体200の長手方向における一端側には、パーソナルコンピュータ等の機器類に装着する際に、機器類に固定するためのブラケット202が設けられている。
【0064】
本実施形態に係る評価試験装置1は、以上のような構成からなり、以下、その作用について説明する。評価試験装置1を用いて記憶媒体200の評価試験を行う際には、メイン開閉扉3を開けて、試験室31に配設される接続基板60の接続部61に、記憶媒体200の接続部201を差し込んで接続する。その際に、記憶媒体保持ステー120とステーロック部材121とによって記憶媒体200のブラケット202を保持することにより、記憶媒体200を安定した状態で保持すると共に記憶媒体200が不用意に抜けることを防ぐ。詳しくは、接続基板60の接続部61に記憶媒体200の接続部201を挿し込む際には、記憶媒体200は、ブラケット202が下側に位置する向きで挿し込む。接続部61に記憶媒体200を挿し込んだら、接続部61から抜ける方向の記憶媒体200の移動を規制することができる状態に記憶媒体保持ステー120を回動させ、その状態でステーロック部材121によって記憶媒体保持ステー120の回動を規制する。これにより、記憶媒体200の抜けを防ぐ。なお、記憶媒体200を接続部61から抜く際には、ステーロック部材121を操作し、記憶媒体保持ステー120の回動の規制を解除してから引き抜く。接続基板60は、10枚が設けられているため、記憶媒体200は、1枚から10枚の範囲内で、必要な枚数を適宜接続基板60の接続部61に挿し込み、試験室31内に配置することができる。
【0065】
試験室31に記憶媒体200を配置したら、メイン開閉扉3を閉じ、評価試験を開始する。評価試験を行う際には、評価試験装置1の使用者が、操作パネル21のタッチパネル22を視認しつつ操作パネル21に対して入力操作を行うことにより、適宜試験を行う。評価試験では、試験用の信号を試験制御基板70から記憶媒体200に対して伝送することにより行う。
【0066】
試験制御基板70から記憶媒体200に信号を伝送する際には、試験制御基板70の基板接続部71に挿し込まれた試験基板側接続基板65からケーブル66に伝送され、ケーブル66から接続基板60に伝送される。接続基板60は、ケーブル66から伝送された信号を、接続部61から記憶媒体200に伝送する。これにより、試験制御基板70から出力された信号は、記憶媒体200に伝送される。
【0067】
また、記憶媒体200の評価試験時は、記憶媒体200を稼働させるための電力が、接続基板60に接続される電力制御基板80から供給される。電力制御基板80は、記憶媒体200を稼働させるための電力を、接続基板60を介して記憶媒体200に供給すると共に、試験制御基板70からの信号に基づいて、記憶媒体200に供給する電力を変化させる。これにより、記憶媒体200の稼働時における電力に関わる試験も行う。
【0068】
評価試験の一例を説明すると、評価試験では、記憶媒体200の稼働時における電圧を変化に対する許容量についての試験である電圧マージン試験や、所定の読み書きを行って一定の負荷が記憶媒体200にかかり続ける状況で、一定時間記憶媒体200を連続稼働させても安定して稼働し続けることができるかの試験であるロングラン試験、記憶媒体200の出荷前に、実際の使用環境や使用方法と同じように稼働させて性能や機能が仕様通りに発揮されるか等を確認するための試験であるエージング試験、記憶媒体200に対して意図的にエラー通信を行った際に、適切にリカバリを行うことができるかの試験であるエラーインジェクションテスト、記憶媒体200が1秒間にどれくらいのデータの送受信を行うことができるかの試験であるパフォーマンス測定等が行われる。
【0069】
これらの評価試験は、LAN(Local Area Network)ケーブルによって試験制御基板70にパーソナルコンピュータを接続することにより、任意の試験を行うことができる。また、操作パネル21のタッチパネル22及び試験制御基板70に接続されたパーソナルコンピュータは、試験中の評価試験装置1や記憶媒体200の状態の情報を、適宜切り替えて表示することができる。このため、評価試験中は、評価試験装置1や記憶媒体200の必要な情報を確認しながら試験を行うことができる。例えば、タッチパネル22には、評価試験装置1の温度や記憶媒体200への電圧出力のON/OFFの状態を表示することができる。また、パーソナルコンピュータには、記憶媒体200の稼働中における電圧や消費電流、個々の記憶媒体200の温度を表示することができる。また、評価試験時の各種データは、パーソナルコンピュータに記憶することができ、後から取り出すことができる。
【0070】
また、記憶媒体200の稼働時には熱を発するため、評価試験時には、吸気ファン41と排気ファン42とによって循環路33内の空気を循環させつつ、ヒータ50によって循環路33内の空気を加熱したり、排気口開閉扉45や吸気口開閉扉46を開閉させたりしながら行う。ヒータ50での加熱や、排気口開閉扉45及び吸気口開閉扉46の開閉制御は、恒温槽制御基板100によって行う。
【0071】
詳しくは、恒温槽制御基板100は、循環路33内に配設される温度センサ51での検出結果を取得することによって循環路33内の温度を取得し、取得した温度と、目標とする温度を比較することにより、ヒータ50を加熱させたり、排気口モータ47や吸気口モータ48を作動させたりする。
【0072】
例えば、温度センサ51で検知した循環路33内の温度が、目標とする温度よりも低い場合には、排気口モータ47及び吸気口モータ48によって排気口開閉扉45及び吸気口開閉扉46を閉じつつ、ヒータ50を加熱させる。これにより、循環路33を密閉した状態で、循環路33内の空気を加熱する。循環路33内の空気は、吸気ファン41と排気ファン42とによって循環しているため、ヒータ50を加熱させてヒータ50の周囲の空気を加熱することにより、循環路33内を流れる空気全体が加熱され、循環路33内全体の空気の温度が上昇する。
【0073】
反対に、温度センサ51で検知した循環路33内の温度が、目標とする温度よりも高い場合には、ヒータ50の加熱の度合いを低減させたり、ヒータ50の加熱を停止したりする。これにより、循環路33内の温度を低くする。ヒータ50の加熱を停止しても、循環路33内の温度が目標とする温度よりも高い場合には、排気口モータ47を作動させて排気口開閉扉45を開くことにより、温度が高くなった循環路33内の空気を排気口43から排出したり、吸気口モータ48を作動させて吸気口開閉扉46を開くことにより、循環路33内よりも温度が低い、循環路33の外の空気を吸気口44から循環路33内に取り入れたりする。これにより、循環路33内の空気の温度は低下し、目標とする温度に近付けることができる。
【0074】
なお、温度センサ51で検知した循環路33内の温度が、目標とする温度よりも高い場合に、吸気口開閉扉46を開いた際には、循環路33の外の空気が吸気口44から循環路33内に入り込むことにより、循環路33内の空気の温度が低下するが、吸気口44は、循環路33を流れる空気の流れ方向におけるヒータ50の上流側に配設されている。このため、温度センサ51には、吸気口44から入り込んだ空気が直接流れずに、吸気口44から入り込んだ空気と循環路33内の空気とが混ざり込んだ状態になってから流れるため、温度センサ51は、吸気口開閉扉46を開いた場合でも、循環路33内の空気を適切に検知することができる。
【0075】
また、温度センサ51で検知した温度が、所定の閾値よりも高くなると、恒温槽制御基板100は、ロック機構15のソレノイド18を作動させ、突出部17を凹部16に入り込ませる。これにより、メイン開閉扉3はロックされ、試験室31が高温の状態ではメイン開閉扉3を開けることができないようになる。メイン開閉扉3をロックしたロック機構15は、温度センサ51で検知する温度が低くなったら、手動にてロックを解除することができる。
【0076】
また、循環路33を流れる空気の流れ方向の接続基板60の上流側には、複数の接続基板60に対応する複数の吹付け口55が設けられ、循環路33を流れる空気は、各接続基板60に対応する吹付け口55から接続基板60に対して空気が吹き付けられる。このため、各接続基板60の接続部61に接続された記憶媒体200に対しても、それぞれ対応する吹付け口55から空気が吹き付けられるため、循環路33の試験室31を流れる空気は、流れが偏ることなく、試験室31に配置される複数の記憶媒体200に対して均等に流れる。これにより、循環路33内の温度を任意の温度に変化させる場合には、試験室31に配置される複数の記憶媒体200の周囲の温度を、均等に変化させることができる。
【0077】
さらに、接続基板60は、接続部61の長手方向に空気が流れる向きで配設されているため、試験室31を流れる空気の流れ方向は、接続部61に接続された記憶媒体200に対しても、記憶媒体200の長手方向に沿って流れる。ここで、記憶媒体200が使用されるパーソナルコンピュータ等の機器では、冷却用のファンが備えられているが、これらの機器のファンによる空気の流れ方向は、記憶媒体200に対しては、通常は記憶媒体200の長手方向に流れることが多くなっている。このため、試験室31内を流れる空気の流れ方向が、記憶媒体200の長手方向に沿った方向に流れることにより、記憶媒体200が実際に使用される状態に近い状態で流れることになる。換言すると、評価試験装置1での記憶媒体200の評価試験は、記憶媒体200の実際の使用時の環境に近い環境が再現されて行われる。
【0078】
循環路33内の温度は、これらのように温度センサ51によって循環路33内の温度を検知しながら、目標とする温度に近付くように、ヒータ50や排気口モータ47、吸気口モータ48に対して、フィードバック制御を行う。評価試験装置1は、このようにフィードバック制御を行うことにより、循環路33内の温度を、任意の目標とする温度にすることができるため、記憶媒体200の評価試験では、高温試験も行うことができる。即ち、記憶媒体200に対して高温試験を行うための任意の温度を、評価試験時の目標温度として設定し、循環路33内の温度を目標温度にした状態で記憶媒体200を稼働させる。これにより、高温での稼働時における記憶媒体200の評価を行うことができる。
【0079】
さらに、記憶媒体200に対して高速で読み書きを行った状態で、温度を高くしたり、電圧を変化させたりすることにより、高負荷アクセス状態での温度のマージン試験や、高負荷アクセス状態での電圧マージン試験を行う。
【0080】
ここで、記憶媒体200の評価試験時に記憶媒体200に対して評価試験用の信号を伝送する試験制御基板70は、恒温槽30とは異なる位置に配設されており、即ち、試験制御基板70は、循環路33の外に配設されている。試験制御基板70は、温度が高くなり過ぎると熱暴走が発生して、演算処理等の動作を適切に行うことが出来なくなり、評価試験を行うことが出来なくなる虞があるが、試験制御基板70は、循環路33の外に配設されているため、循環路33の温度を高くする場合でも、試験制御基板70は循環路33の熱の影響を受けないようになっている。このため、高温試験を行う場合でも、試験制御基板70は安定して作動することができ、適切な評価試験を行うことが可能になっている。
【0081】
また、評価試験装置1での評価試験は、循環路33を循環する空気が吹付け口55によって複数の記憶媒体200に対して均等に流れ、また、記憶媒体200の長手方向に沿った方向に空気が流れるため、記憶媒体200の実際の使用時の環境に近い環境が再現されて行われるが、本実施形態に係る評価試験装置1は、さらに、循環路33を流れる空気の風速を、記憶媒体200の実際の使用時の風速に近付けることができる。
【0082】
具体的には、操作パネル21に対して入力操作を行うことにより、吸気ファン41と排気ファン42との動作速度を調節する。吸気ファン41と排気ファン42とは、操作パネル21に入力された値が、恒温槽制御基板100を介してファン制御基板101に伝達され、ファン制御基板101によって制御される。ファン制御基板101は、例えばデューティ制御によって、吸気ファン41と排気ファン42との動作速度を変化させ、記憶媒体200の位置での風速を、記憶媒体200が実際に使用される機器における風速とほぼ同じ風速にする。これにより、記憶媒体200の評価試験時の環境を、記憶媒体200の実際の使用時の環境により近づけることができる。また、吸気ファン41と排気ファン42との動作速度を調節することにより、記憶媒体200の近傍を流れる風のバラつきを抑えつつ、風速を均一にすることができ、安定した環境で評価試験を行うことができる。
【0083】
また、評価試験としては、記憶媒体200に供給される電力が突然遮断された際における評価試験も行うことができる。電力が遮断された際における評価試験では、電力制御基板80から接続基板60を介して記憶媒体200に供給する電力を遮断することにより行う。その際に、電力制御基板80は、放電回路81を有しているため、記憶媒体200の供給する電力を遮断すると共に、記憶媒体200が蓄電する電力を放電回路81によって放電させることができる。記憶媒体200に供給する電力を単に遮断するのみだと、記憶媒体200が蓄電する電力が緩やかに放電されるため、電力の遮断時における記憶媒体200の評価試験は時間がかかるが、本実施形態では、放電回路81によって短時間で放電するので、電力の遮断時における記憶媒体200の評価試験を短時間で行うことができる。
【0084】
また、本実施形態に係る評価試験装置1は、LANケーブルによって試験制御基板70にパーソナルコンピュータを接続することにより、記憶媒体200に対する書き込みや読み出しのパターンを任意で生成して評価試験を行うことができる。
【0085】
また、試験室31に配設される補助ケーブル110の補助ケーブル端子111は、試験室31に配置される記憶媒体200に対して必要に応じて接続することができる。補助ケーブル110の他端側は、操作パネル21の補助ケーブル接続端子26に接続されているため、補助ケーブル端子111を記憶媒体200に接続した場合は、メイン開閉扉3を閉じた状態で、補助ケーブル接続端子26を介して外部から記憶媒体200との間で直接通信を行うことができる。
【0086】
以上の実施形態に係る記憶媒体200の評価試験装置1は、記憶媒体200が接続される接続部61を有する接続基板60が、接続部61の長手方向に空気が流れる向きで循環路33に配設されている。これにより、循環路33内の空気を、吸気ファン41と排気ファン42とによって循環させた場合には、循環路33を流れる空気は、記憶媒体200が並ぶ方向に流れるのではなく、接続部61に接続される記憶媒体200の長手方向に沿って、個々の記憶媒体200の周囲を流れることができる。このため、例えばヒータ50によって循環路33を流れる空気の温度を上昇させた場合に、それぞれの記憶媒体200の周囲の温度を均一に任意の温度にすることができる。この結果、複数の記憶媒体200のそれぞれで、実際の温度環境に沿った状態で試験を行うことができる。
【0087】
また、吸気ファン41は試験室31の上方に配置し、排気ファン42は試験室31の下方に配置することにより、水平方向に対する恒温槽30の小型化を図ることができ、評価試験装置1全体のスリム化を図ることができる。この結果、評価試験装置1を設置する際における設置面積を小さくすることができる。
【0088】
また、接続基板60は、接続部61に挿抜される記憶媒体200の挿抜方向が水平方向から上向きに10°以上30°以下の範囲内となる向きで配設されているため、接続部61に対して記憶媒体200を挿抜する際に、より確実に行うことができる。つまり、記憶媒体200を垂直方向に挿抜する際には、視認性が悪いため、挿抜が失敗する虞があるが、水平方向に近い角度で挿抜することにより、視認性を確保することができ、挿抜時のエラーを回避することができる。この結果、評価試験時の作業性を向上させることができ、記憶媒体200の評価試験をより確実に、且つ、高速に行うことができる。
【0089】
また、吸気ファン41と排気ファン42との動作速度を調節して、循環路33を流れる空気の風速を調節するため、記憶媒体200の評価試験時の環境を、記憶媒体200の実際の使用時の環境により近づけることができる。この結果、記憶媒体200の実際の使用時の環境と評価試験時の環境との誤算に起因する評価結果の誤差を低減することができ、より精度の高い評価試験を行うことができる。
【0090】
また、複数の接続基板60に接続される複数の記憶媒体200には、それぞれ接続基板60に対応する吹付け口55から空気が吹き付けられるため、空気の流れが偏ることを抑制することができ、記憶媒体200ごとの温度環境のバラつきを抑制することができる。この結果、試験室31内における記憶媒体200の位置ごとの温度のバラつきに起因する評価結果の誤差を低減することができ、より精度の高い評価試験を行うことができる。
【0091】
また、接続基板60は、循環路33の内部と非恒温部37とを隔てる壁部38に取り付けられ、接続基板60に接続されるケーブル66は、非恒温部37から引き出されるため、循環路33内の温度を上昇させた場合でも、ケーブル66に熱が伝達されることを抑制することができる。これにより、ケーブル66が高温になることを抑制することができ、ケーブル66の熱が試験制御基板70に伝わって試験制御基板70の温度が高くなり過ぎることを抑制することができる。この結果、試験制御基板70の熱暴走を抑制することができる。
【0092】
また、循環路33には、排気口開閉扉45を有する排気口43と、吸気口開閉扉46を有する吸気口44とが設けられるため、排気口開閉扉45や吸気口開閉扉46を開閉することにより、循環路33内の温度を、より確実に所望の温度にすることができる。この結果、記憶媒体200の評価試験時の温度の精度を高めることができ、より精度の高い評価試験を行うことができる。
【0093】
また、吸気口44は、循環路33を流れる空気の流れ方向におけるヒータ50の上流側に配設されるため、吸気口開閉扉46を開いた際には、吸気口44から入り込んだ空気と循環路33内の空気とが混ざり込んだ状態の空気を、温度センサ51に流すことができる。これにより、吸気口開閉扉46を開いた際に、吸気口44から入り込んだ空気の温度を温度センサ51で直接検知してしまい、循環路33の温度の制御を適切に行うことができなくなることを防ぐことができる。この結果、記憶媒体200の評価試験時の温度の精度を高めることができ、より精度の高い評価試験を行うことができる。
【0094】
また、記憶媒体200に対して供給する電力を制御する電力制御基板80には、記憶媒体200に放電を行わせる放電回路81が設けられているため、記憶媒体200に対して供給する電力を遮断する際に、記憶媒体200に負担をかけることなく、安定して短時間で遮断することができる。これにより、電源のオンオフ試験を、より確実に高速で行うことができる。この結果、精度の高い評価試験を、より高速で行うことができる。
【0095】
また、試験制御基板70は、循環路33の外部に配設されると共に、試験基板側接続基板65とケーブル66を介して接続基板60に接続されるため、循環路33の熱が試験制御基板70に伝わることを抑制しつつ、試験制御基板70から記憶媒体200に対して、適切な大きさの波形で信号を伝送することができる。これにより、評価試験時の試験制御基板70の熱暴走を抑制しつつ、記憶媒体200に対して適切に信号を伝送し、評価試験を行うことができる。この結果、より確実に、精度の高い評価試験を行うことができる。
【0096】
また、接続基板60は複数が設けられているが、複数の接続基板60と試験制御基板70とを接続する複数のケーブル66は、長さが全て同じ長さであるため、試験制御基板70から伝送される信号の品質が、接続基板60同士で異なることを抑制することができる。この結果、複数の記憶媒体200の評価試験を行う際における信号のバラつきを抑制することができ、より確実に高い精度で評価試験を行うことができる。
【0097】
また、温度センサ51で検知した温度が所定の閾値よりも高くなると、ロック機構15はメイン開閉扉3の開閉をロックするため、試験室31が高温の状態でメイン開閉扉3が開けられることを抑制することができる。この結果、評価試験時に安全性を向上させることができる。
【0098】
〔変形例〕
なお、上述した実施形態に係る評価試験装置1では、接続基板60は10枚が設けられ、一度に10個の記憶媒体200の評価試験を行うことができるが、接続基板60は10枚以外でもよい。試験制御基板70が循環路33の外に配設され、試験制御基板70と接続基板60とが試験基板側接続基板65を介して接続されていれば、接続基板60の数、即ち、一度に評価試験を行うことのできる記憶媒体200の数は問わない。
【0099】
また、上述した実施形態に係る評価試験装置1では、評価試験を行う記憶媒体200として、カード型のSSDが挙げられているが、記憶媒体200は、カード型のSSD以外であってもよい。評価試験を行う記憶媒体200は、例えば、M.2タイプやU.2タイプ、SFFタイプ、HHHLタイプ、FHFLタイプ等のSSDであってもよく、また、SSD以外の記憶媒体200であってもよい。また、上述した実施形態では、記憶媒体200を接続基板60の接続部61に接続する際には、記憶媒体200を直接接続部61に接続しているが、記憶媒体200に適合するアダプタを用いて接続部61に接続してもよい。
【符号の説明】
【0100】
1 評価試験装置
3 メイン開閉扉
11 試験ユニット室
12 制御ユニット室
13 電源ユニット室
15 ロック機構
20 操作部
21 操作パネル
30 恒温槽
31 試験室
32 開口部
33 循環路
37 非恒温部
38 壁部
39 接続基板保持部
41 吸気ファン
42 排気ファン
43 排気口
44 吸気口
45 排気口開閉扉
46 吸気口開閉扉
50 ヒータ
51 温度センサ
55 吹付け口
56 吹付け口板部材
60 接続基板
61 接続部
65 試験基板側接続基板
66 ケーブル
70 試験制御基板
71 基板接続部
80 電力制御基板
81 放電回路
90 電源ユニット
91 スイッチング電源
100 恒温槽制御基板
101 ファン制御基板
110 補助ケーブル
200 記憶媒体
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