特許第6830379号(P6830379)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6830379
(24)【登録日】2021年1月28日
(45)【発行日】2021年2月17日
(54)【発明の名称】プラズマトーチ及びプラズマ発生方法
(51)【国際特許分類】
   B22D 11/10 20060101AFI20210208BHJP
   H05H 1/34 20060101ALI20210208BHJP
   F27D 11/08 20060101ALI20210208BHJP
   B22D 41/015 20060101ALI20210208BHJP
【FI】
   B22D11/10 310D
   H05H1/34
   F27D11/08 E
   B22D41/015
【請求項の数】9
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-42970(P2017-42970)
(22)【出願日】2017年3月7日
(65)【公開番号】特開2018-144081(P2018-144081A)
(43)【公開日】2018年9月20日
【審査請求日】2019年11月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】306022513
【氏名又は名称】日鉄エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100145012
【弁理士】
【氏名又は名称】石坂 泰紀
(74)【代理人】
【識別番号】100153969
【弁理士】
【氏名又は名称】松澤 寿昭
(72)【発明者】
【氏名】前川 浩規
【審査官】 米田 健志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−276910(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22D 11/00〜11/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
黒鉛製のトーチ本体と、
前記トーチ本体の先端よりも外方に突出するように前記トーチ本体の先端部に取り付けられた金属製の導電性部材とを備え
前記トーチ本体の先端部には開口部が設けられており、
前記導電性部材は前記開口部に挿嵌されている、プラズマトーチ。
【請求項2】
黒鉛製のトーチ本体と、
前記トーチ本体の先端よりも外方に突出するように前記トーチ本体の先端部に取り付けられた金属製の導電性部材とを備え、
前記トーチ本体の先端部には複数の開口部が設けられており、
前記導電性部材は前記複数の開口部の少なくともいずれか一つに挿嵌されている、プラズマトーチ。
【請求項3】
黒鉛製のトーチ本体と、
前記トーチ本体の先端よりも外方に突出するように前記トーチ本体の先端部に取り付けられた金属製の導電性部材と、
前記導電性部材を保持する保持具とを備え、
前記保持具は、前記トーチ本体の先端部に着脱可能に嵌着するように構成されている、プラズマトーチ。
【請求項4】
黒鉛製のトーチ本体と、
前記トーチ本体の先端よりも外方に突出するように前記トーチ本体の先端部に取り付けられた金属製の導電性部材と、
前記導電性部材は、前記トーチ本体の先端部の外周に嵌着可能な開口部を有する、プラズマトーチ。
【請求項5】
黒鉛製のトーチ本体と、前記トーチ本体の先端よりも外方に突出するように前記トーチ本体の先端部に取り付けられた金属製の導電性部材とを備えるプラズマトーチと溶湯との間にプラズマを発生する方法であって、
前記トーチ本体に所定の電圧を印加した状態で、前記導電性部材を溶湯に接触させる第1の工程と、
前記第1の工程の後に、前記導電性部材を溶湯の外に引き上げる第2の工程とを含む、プラズマ発生方法。
【請求項6】
前記トーチ本体の先端部には開口部が設けられており、
前記導電性部材は前記開口部に挿嵌されている、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記トーチ本体の先端部には複数の開口部が設けられており、
前記導電性部材は前記複数の開口部の少なくともいずれか一つに挿嵌されている、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記導電性部材を保持する保持具をさらに備え、
前記保持具は、前記トーチ本体の先端部に着脱可能に嵌着するように構成されている、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記導電性部材は、前記トーチ本体の先端部の外周に嵌着可能な開口部を有する、請求項5に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマトーチ及びプラズマ発生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば連続鋳造において、溶融した液状の金属(溶湯)の温度を制御するために、プラズマトーチを用いたプラズマ加熱方式が知られている。プラズマトーチを用いてプラズマを発生させる方法としては、プラズマトーチに所定の電圧を印加した状態で、(1)プラズマトーチを溶湯に近接させる方法(第1の方法)や、(2)プラズマトーチを溶湯に浸漬し、プラズマトーチを溶湯から引き上げる方法(第2の方法)が挙げられる。第1の方法によれば、プラズマトーチが溶湯と接触しないようにプラズマトーチの先端と溶湯の表面とのギャップを極めて精度よく制御する必要があるにも関わらず、プラズマが発生しない場合がある。そこで、プラズマを100%の確率で発生させることが可能な第2の方法の採用が検討されている。
【0003】
ところが、金属製のプラズマトーチを用いる場合、プラズマトーチが溶湯と接触することにより溶湯の熱を奪ってしまい、溶湯の温度制御が困難となる傾向にある。そこで、特許文献1は、プラズマトーチの少なくとも先端を黒鉛製とすることを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−033172号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、プラズマの発生のために黒鉛製のプラズマトーチを溶湯に浸漬すると、プラズマトーチを溶湯に浸漬しないでプラズマを発生させる第1の方法と比較して、プラズマトーチが極めて損耗しやすく、プラズマトーチの寿命が1/3〜1/2程度となってしまう。
【0006】
そこで、本発明は、長寿命化を図ることが可能なプラズマトーチ及びプラズマ発生方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一つの観点に係るプラズマトーチは、黒鉛製のトーチ本体と、トーチ本体の先端よりも外方に突出するようにトーチ本体の先端部に取り付けられた導電性部材とを備える。
【0008】
本発明の一つの観点に係るプラズマトーチでは、トーチ本体の先端よりも外方に突出するように導電性部材がトーチ本体の先端部に取り付けられている。そのため、プラズマトーチが溶湯に向けて降下していくと、導電性部材が溶湯に接触し、黒鉛製のトーチ本体は溶湯に接触しないか、ほとんど接触しない。従って、導電性部材が溶湯に接触することで確実にプラズマを発生させることができると共に、トーチ本体が溶湯に浸漬され難いのでプラズマトーチ(トーチ本体)の長寿命化を図ることが可能となる。
【0009】
導電性部材の電気伝導率は、トーチ本体の電気伝導率以上であってもよい。この場合、トーチ本体に所定の電圧を印加すると、導電性部材にも当該電圧が印加されやすくなるので、導電性部材を溶湯に浸漬することでより確実に導電性部材と溶湯との間にプラズマを発生させることができる。
【0010】
導電性部材は金属又は黒鉛によって構成されてもよい。
【0011】
トーチ本体の先端部には開口部が設けられており、導電性部材は開口部に挿嵌されていてもよい。この場合、導電性部材のトーチ本体への取り付けを極めて簡便に行える。
【0012】
トーチ本体の先端部には複数の開口部が設けられており、導電性部材は複数の開口部の少なくともいずれか一つに挿嵌されていてもよい。この場合、導電性部材のトーチ本体への取り付けを極めて簡便に行える。加えて、トーチ本体の先端部には複数の開口部が設けられているので、溶湯がトーチ本体の先端部に飛び跳ねたり、スラグがトーチ本体の先端部に付着して、開口部のいずれかが閉塞されても、閉塞されていない他の開口部に導電性部材を挿嵌させることができる。
【0013】
導電性部材を保持する保持具をさらに備え、保持具は、トーチ本体の先端部に着脱可能に嵌着するように構成されていてもよい。この場合、導電性部材のトーチ本体への取り付けを極めて簡便に行える。
【0014】
導電性部材は、トーチ本体の先端部の外周に嵌着可能な開口部を有してもよい。この場合、導電性部材のトーチ本体への取り付けを極めて簡便に行える。
【0015】
本発明の他の観点に係るプラズマ発生方法は、上記のプラズマトーチと溶湯との間にプラズマを発生する方法であって、トーチ本体に所定の電圧を印加した状態で、導電性部材を溶湯に接触させる第1の工程と、第1の工程の後に、導電性部材を溶湯の外に引き上げる第2の工程とを含む。
【0016】
本発明の他の観点に係るプラズマ発生方法では、第1の工程において導電性部材を溶湯に浸漬し、続く第2の工程において導電性部材を溶湯の外に引き上げている。そのため、黒鉛製のトーチ本体は溶湯に接触しないか、ほとんど接触しない。従って、導電性部材が溶湯に接触することで確実にプラズマを発生させることができると共に、トーチ本体が溶湯に浸漬されないのでトーチ本体の長寿命化を図ることが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係るプラズマトーチ及びプラズマ発生方法によれば、プラズマトーチの長寿命化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、連続鋳造装置の一つの例を示す図である。
図2図2はプラズマトーチの一つの例を示す図であり、図2の(a)はプラズマトーチの断面を示し、図2の(b)はトーチ本体の端面を示す。
図3図3はプラズマトーチの他の例を示す図であり、図3の(a)はプラズマトーチの側面を示し、図3の(b)は図3の(a)のB−B線断面を示す。
図4図4は、プラズマトーチの他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に説明される本発明に係る実施形態は本発明を説明するための例示であるので、本発明は以下の内容に限定されるべきではない。以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0020】
まず、図1を参照して、連続鋳造装置100の構成について説明する。連続鋳造装置100は、取鍋101と、タンディッシュ102と、鋳型103と、鋳片支持ロール104と、プラズマ発生装置1を備える。
【0021】
取鍋101は、溶湯(溶鋼)Mを貯留する容器である。タンディッシュ102は、取鍋101の下方に配置されている。タンディッシュ102は、取鍋101の底壁に設けられたノズル101aから流出した溶湯Mを貯留する容器である。鋳型103は、タンディッシュ102の下方に配置されている。鋳型103は、タンディッシュ102の底壁に設けられたノズル102aから流出した溶湯を冷却しながら所定形状に成形する。鋳片支持ロール104は、鋳型103から引き抜かれた鋳片Sを冷却しつつ搬送する。
【0022】
プラズマ発生装置1は、タンディッシュ102内の溶湯Mの温度を制御するための装置である。プラズマ発生装置1は、プラズマトーチ10と、トーチ保持具12と、昇降機14とを備える。
【0023】
プラズマトーチ10は、黒鉛によって構成されたトーチ本体16と、導電性部材18とを有する。
【0024】
トーチ本体16は、例えば直線状に延びる丸棒である。トーチ本体16の直径は、例えば100mm〜200mm程度であってもよい。トーチ本体16の長さは、例えば1000mm〜2500mm程度であってもよい。トーチ本体16の形状は、丸形以外の他の形状であってもよいし、必ずしも直線状に延びておらず屈曲していてもよい。トーチ本体16は、図示しない電源に接続されており、所定の電圧(例えば100V〜500V程度)が印加される。
【0025】
トーチ本体16には、図2の(a)及び(b)に示されるように、その長手方向に延びる複数の貫通孔16a,16bが形成されている。そのため、トーチ本体16の端面には、貫通孔16a,16bからなる開口部が生じている。各貫通孔16a,16bの直径は、例えば5mm〜10mm程度であってもよい。貫通孔16aは、トーチ本体16の中心部に配置されている。貫通孔16aは、プラズマを発生させるための動作ガス(例えば、アルゴン、窒素等の不活性ガス)の供給路として機能する。貫通孔16bは、トーチ本体16の周縁に沿うように貫通孔16a周りに配置されている。貫通孔16bは、トーチ本体16の先端部Tに導電性部材18を取り付けるための保持孔として機能する。
【0026】
導電性部材18は、図1及び図2に示されるように、トーチ本体16の先端よりも外方に突出するようにトーチ本体16の先端部Tに取り付けられている。導電性部材18の材料としては、例えば、金属又は黒鉛が挙げられる。導電性部材18を構成する金属材料としては、例えば、鉄、アルミニウム、銅などが挙げられる。導電性部材18の電気伝導率は、トーチ本体16の電気伝導率、すなわち黒鉛の電気伝導率(1.6×10−5S/cm程度)以上であってもよい。この場合、トーチ本体16に所定の電圧を印加すると、導電性部材18にも当該電圧が印加されやすくなるので、導電性部材18を溶湯Mに浸漬することでより確実に導電性部材18と溶湯Mとの間にプラズマを発生させることができる。
【0027】
導電性部材18は、図2の(a)に示されるように、トーチ本体16に取り付けられる側の端部である基端部18aと、溶湯Mに浸漬される側の端部である先端部18bとを有する。基端部18aは、截頭円錐形状を呈している。基端部18aの端面側の直径は貫通孔16bの直径よりも小さく、基端部18aの先端部18b側の直径は、貫通孔16bの直径よりも大きい。そのため、基端部18aを貫通孔16bに押し込むことにより、導電性部材18(基端部18a)を貫通孔16bに挿嵌することができる。先端部18bは、円柱形状を呈している。先端部18bの直径は、例えば10mm程度であってもよい。導電性部材18の全長は、例えば200mm程度であってもよい。
【0028】
成分を厳密に一定に保つことが求められている溶湯Mの場合には、導電性部材18の全てが溶融して溶湯Mに溶け込んだ際に溶湯Mに生じさせる成分変動が許容可能な程度の成分量を導電性部材18が含有していてもよい。例えば、導電性部材18が単一の成分からなる場合には、導電性部材18の大きさ(体積)を所定値以下としてもよい。
【0029】
図1に戻って、トーチ保持具12は、トーチ本体16の上端部を保持する。昇降機14は、トーチ保持具12を上下方向に昇降させる。そのため、トーチ保持具12によって保持されているトーチ本体16(プラズマトーチ10)も、昇降機14によって上下方向に昇降され、タンディッシュ102内の溶湯Mに対して近接及び離間する。
【0030】
プラズマ発生装置1によってプラズマを発生させる場合には、まず、プラズマトーチ10の先端部の周囲(溶湯Mの湯面近傍)を動作ガス雰囲気とする。動作ガス雰囲気とするためには、貫通孔16aから動作ガスを噴出させてもよいし、他のガス源から動作ガスを供給してもよい。
【0031】
次に、トーチ本体16に所定の電圧を印加させる。そして、この状態で、昇降機14によってプラズマトーチ10を溶湯Mに向けて降下させ、トーチ本体16が溶湯Mに接触しないように、導電性部材18を溶湯Mに接触(浸漬)させる。次に、昇降機14によってプラズマトーチ10(導電性部材18)が溶湯Mから離間するように、プラズマトーチ10を上昇させる。そうすると、導電性部材18と溶湯Mとの間に間隙(ギャップ)が生ずる瞬間に絶縁破壊が生じ、導電性部材18と溶湯Mとの間に電流が流れる。これにより、導電性部材18と溶湯Mとの間にプラズマが発生する。その後は、導電性部材18が熱により徐々に消耗していき、導電性部材18が消滅する直前近傍において、トーチ本体16と溶湯Mとの間でプラズマが維持される。その後、トーチ本体16は、熱によって徐々に消耗していく。
【0032】
以上のような本実施形態では、トーチ本体16の先端よりも外方に突出するように導電性部材18がトーチ本体16の先端部Tに取り付けられている。そのため、プラズマトーチ10が溶湯Mに向けて降下していくと、導電性部材18が溶湯Mに接触し、黒鉛製のトーチ本体16は溶湯Mに接触しないか、ほとんど接触しない。従って、導電性部材18が溶湯Mに接触することで確実にプラズマを発生させることができると共に、トーチ本体16が溶湯Mに浸漬され難いのでプラズマトーチ10(トーチ本体16)の長寿命化を図ることが可能となる。
【0033】
本実施形態では、トーチ本体16に設けられている貫通孔16bに導電性部材18が挿嵌されている。そのため、導電性部材18のトーチ本体16への取り付けを極めて簡便に行える。
【0034】
本実施形態では、トーチ本体16に複数の貫通孔16bが設けられており、導電性部材18が複数の貫通孔16bのいずれか一つに挿嵌されている。そのため、溶湯Mがトーチ本体16の先端部Tに飛び跳ねたり、スラグがトーチ本体16の先端部Tに付着して、貫通孔16bのいずれかが閉塞されても、閉塞されていない他の貫通孔16bに導電性部材18を挿嵌させることができる。
【0035】
以上、本発明に係る実施形態について詳細に説明したが、本発明の要旨の範囲内で種々の変形を上記の実施形態に加えてもよい。例えば、貫通孔16bに代えて、トーチ本体16を貫通しない凹部がトーチ本体16の端面に形成されていてもよい。いずれにしても、導電性部材18が挿嵌可能な開口部がトーチ本体16の端面に設けられていればよい。
【0036】
図3に示されるように、導電性部材18を保持する保持具20を介して、導電性部材18をトーチ本体16の先端部Tに取り付けてもよい。具体的には、トーチ本体16の周面には、図3の(a)に示されるように、トーチ本体16の長さ方向において所定の間隔を有するように複数の環状凹部16cが形成されている。保持具20は、環状凹部16cに着脱可能に構成されている。すなわち、保持具20は、図3の(b)に示されるように、導電性部材18を保持可能なベース部20aと、ベース部20aに対して旋回可能な一対の可動部20bとを有する。
【0037】
保持具20は、一対の可動部20bの各先端部が係合した状態において環状凹部16cに嵌着し、一対の可動部20bの各先端部が離間した状態において環状凹部16cから取り外される。このように、保持具20を用いて導電性部材18をトーチ本体16に取り付けるようにすると、導電性部材18のトーチ本体16への取り付けを極めて簡便に行える。トーチ本体16の消耗の程度に応じて、トーチ本体16の最も先端側に位置する環状凹部16cに保持具20を取り付けてもよい。
【0038】
図4に示されるように、導電性部材18がトーチ本体16の先端部Tの外周に嵌着可能に構成されていてもよい。具体的には、導電性部材18は半球殻状を呈しており、その開放端側の開口部18cがトーチ本体16の先端部Tの外周に嵌着可能に構成されている。すなわち、開口部18cの内径は、トーチ本体16の外径よりも若干大きく設定されている。この場合も、導電性部材18のトーチ本体16への取り付けを極めて簡便に行える。導電性部材18には、貫通孔16aからの動作ガスが通過可能な貫通孔18dが設けられている。図4において、貫通孔18dは導電性部材18の頂部に位置しているが、貫通孔16aからの動作ガスが通過可能であれば貫通孔18dの位置は特に限定されない。なお、開口部18cを有していれば導電性部材18は半球殻状以外の他の形状(例えば、筒状)を呈していてもよい。
【符号の説明】
【0039】
1…プラズマ発生装置、10…プラズマトーチ、12…トーチ保持具、14…昇降機、16…トーチ本体、16a,16b…貫通孔(開口部)、16c…環状凹部、18…導電性部材、18a…基端部、18b…先端部、18c…開口部、18d…貫通孔、20…保持具、20a…ベース部、20b…可動部、100…連続鋳造装置、101…取鍋、101a…ノズル、102…タンディッシュ、102a…ノズル、103…鋳型、104…鋳片支持ロール、M…溶湯(溶鋼)、S…鋳片、T…先端部。
図1
図2
図3
図4