特許第6830445号(P6830445)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6830445
(24)【登録日】2021年1月28日
(45)【発行日】2021年2月17日
(54)【発明の名称】光反射発光膜、その製造方法及び利用
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/128 20060101AFI20210208BHJP
   B32B 5/14 20060101ALI20210208BHJP
   B32B 7/023 20190101ALI20210208BHJP
   G02B 5/08 20060101ALI20210208BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20210208BHJP
   G09F 3/02 20060101ALI20210208BHJP
   G09F 19/12 20060101ALI20210208BHJP
【FI】
   G02B5/128
   B32B5/14
   B32B7/023
   G02B5/08 A
   G02B5/20
   G09F3/02 W
   G09F19/12 Z
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-557126(P2017-557126)
(86)(22)【出願日】2015年8月17日
(65)【公表番号】特表2018-517930(P2018-517930A)
(43)【公表日】2018年7月5日
(86)【国際出願番号】CN2015087231
(87)【国際公開番号】WO2016192206
(87)【国際公開日】20161208
【審査請求日】2018年1月18日
【審判番号】不服2019-6422(P2019-6422/J1)
【審判請求日】2019年5月16日
(31)【優先権主張番号】201510288832.2
(32)【優先日】2015年5月29日
(33)【優先権主張国】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517376078
【氏名又は名称】施盈吉
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】施盈吉
(72)【発明者】
【氏名】施信安
【合議体】
【審判長】 樋口 信宏
【審判官】 井口 猶二
【審判官】 福村 拓
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−318215(JP,A)
【文献】 特開平11−183715(JP,A)
【文献】 特開2004−62123(JP,A)
【文献】 特開平2−110401(JP,A)
【文献】 特開2014−111360(JP,A)
【文献】 特開2009−133970(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/00-5/136
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光学デバイスが接着剤により接着されてなる光反射層と、電気めっき層と、基材表面に付着する付着層と、発色彩層とが順に設けられる層状構造を備えた光反射発光膜において、
前記光反射層には前記光学デバイスが複数の彩光を反射できるよう前記電気めっき層が形成され、前記付着層に発光粉及び色又は第1の図柄が塗布或いは印刷されることで前記発光色彩層が形成され、
光照射時の光反射と吸光が可能であり、吸光後の発光も可能であることを特徴とする光反射発光膜。
【請求項2】
前記光学デバイスは、ガラス、セラミックス又は合成樹脂からなる光反射ビーズとし、前記電気めっき用の材料としては、アルミニウム、銀、すず、クロム、亜鉛又はこれらの組み合わせが含まれることを特徴とする請求項1記載の光反射発光膜。
【請求項3】
前記光反射層の表面には剥離可能な離型キャリア及び離型層が設けられ、前記離型層は前記離型キャリアと前記光反射層の間に位置することを特徴とする請求項1記載の光反射発光膜。
【請求項4】
前記離型キャリアをPET膜とし、前記離型層は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル又はこれらの組み合わせからなることを特徴とする請求項3記載の光反射発光膜。
【請求項5】
前記付着層は、PUゴム、TPUゴム、二成分系のアクリル酸、カルバミン酸メチル、エステル、エーテル、エポキシド、尿素、炭酸エステル、アクリル酸エステル、アクリル酸、アルケン、クロロエチレン、アシルアミド、アルキド又はこれらを組み合わせて形成される重合体からなり、前記接着剤は、カルバミン酸メチル、エステル、エーテル、エポキシド、尿素、炭酸エステル、アクリル酸エステル、アクリル酸、アルケン、クロロエチレン、アシルアミド、アルキド又はこれらを組み合わせて形成される重合体からなることを特徴とする請求項1記載の光反射発光膜。
【請求項6】
前記光反射層の表面には、第2の図柄又は色が塗布或いは印刷されることで少なくとも1の外部色彩層が形成されることを特徴とする請求項1記載の光反射発光膜。
【請求項7】
光照射時の光反射と吸光が可能であり、吸光後の発光も可能である光反射発光膜の製造方法であって、
(1)離型層が設けられた離型キャリアを準備するステップと、
(2)接着剤で光学デバイスを前記離型層の表面に接着することで光反射層を形成し、前記光学デバイスが複数の彩光を反射できるよう、電気めっき層を前記光反射層の底面に形成するステップと、
(3)前記電気めっき層の底面に、基材表面に付着可能とするための付着層を形成するステップと、
(4)前記付着層に発光粉及び色又は第1の図柄を塗布或いは印刷することで発光色彩層を形成するステップ、を含むことを特徴とする光反射発光膜の製造方法。
【請求項8】
光照射時の光反射と吸光が可能であり、吸光後の発光も可能である光反射発光膜の製造方法であって、
(1)離型層が設けられた離型キャリアを準備するステップと、
(2)接着剤で光学デバイスを前記離型層の表面に接着することで平坦な表面および平坦な底面を有する光反射層を形成し、前記光学デバイスが複数の彩光を反射できるように、電気めっき層を前記光反射層の底面に電気めっきするステップと、
(3)前記電気めっき層の底面に、基材表面に付着可能とするための付着層を形成するステップと、
(4)前記付着層に発光粉及び色又は第1の図柄を塗布或いは印刷することで発光色彩層を形成するステップと、
(5)前記付着層を基材表面に付着させる際に、前記離型キャリア及び離型層を剥離するステップと、
(6)前記光反射層の表面に第2の図柄又は色を塗布或いは印刷することで少なくとも1の外部色彩層を形成するステップ、を含むことを特徴とする光反射発光膜の製造方法。
【請求項9】
物体本体と、請求項1〜6のいずれか1項に記載の光反射発光膜を含み、前記光反射発光膜が前記物体本体の基材に接続されることを特徴とする光反射発光物。
【請求項10】
前記物体本体には、衣類、トランク、バッグ、帽子、靴、靴下、傘、ボックス、標識、ラベル、シール、テープ、レインコート、広告看板、ポスター、コンピュータパネル、テレビスクリーン、液晶パネル、コンピュータ又はテレビのディスプレイ用発光シートが含まれることを特徴とする請求項9記載の光反射発光物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光反射発光物の技術分野に関し、より具体的には、光反射発光膜、その製造方法及び利用に関する。
【背景技術】
【0002】
時代の進歩に伴い、光反射物は耐洗浄性の材質へと成長するとともに、色や図柄についても様々な変化がみられるようになっている。通常、光反射物は、歩行者や運転者に交通安全を促すため、或いは、大型広告看板、ポスター又は道路標識等として、衣類、ベスト、帽子、靴或いは車両の装飾に適用されて、警告や注意喚起の役割を果たしている。
【0003】
例えば、発明の名称を「光反射物とその製造方法」とする特許文献1では、前記光反射物が、光学デバイスが嵌入された光反射層、着色層及び反射層を層状構造として順に含むことを開示している。このうち、光学デバイスは光反射層に嵌入されており、光反射層が平坦な表面を形成していることから、少量の接着剤やインクであっても平坦な層状構造を得ることが可能となっている。このように、当該光反射物では着色層を薄くすることが可能なため、結果として内側の反射層の透光及び光反射効果が向上する。しかし、当該光反射物には、1.光反射作用は光照射時にのみ得られ、光照射がない場合には得られないことから警告効果に劣る、2.着色層が反射層からの反射光線を遮る場合があり、光反射効果の更なる向上が求められる、といった瑕疵が存在する。
【0004】
また、発明の名称を「光反射と蓄光を一体化させたプリント生地及びその製造技術」とする特許文献2では、生地本体のいずれかの面に、光反射層、蛍光層、シルクスクリーン/インク層及びボンディングパターン層を上から下へ順に設けることを開示している。これによれば、自然光下においては通常の生地(織物又は布等)と得られる効果に違いはないが、十分に光を吸収させてから暗所に持ち込むと、織物(布)に焼き付けられた図柄から可視光が発せられる。また、暗所で光が照射された場合には光を反射し、焼き付けられた図柄を鮮明に浮き上がらせることが可能であり、蓄光と光反射双方の効果を有する。しかし、当該プリント生地の光反射膜は透明な光反射ガラスビーズと基材層からなり、反射できるのは白色光源のみである。そのため、光照射角度や距離、輝度の違いに応じて図柄が変化するというような視覚効果を得ることはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】中国特許出願第200910225456.7号
【特許文献2】中国特許出願第201410261141.9号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来技術における上記瑕疵を解消すべく、光反射発光膜とその製造方法及び光反射発光物を提供することを目的とする。当該光反射発光膜は、警告効果と安全性を更に高めるべく、光照射時に光反射及び吸光が可能なだけでなく、吸光後に発光することも可能である。また、光反射発光膜は複数の彩光を反射可能であり、膜上の色又は図柄をベースに、光照射距離、輝度及び観測角度の違いに応じて図柄変化効果を奏することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を実現すべく、本発明は第1の局面において、複数の光学デバイスが接着剤により接着されてなる光反射層と、基材表面に付着する付着層が順に設けられる層状構造を備えた光反射発光膜であって、前記付着層に発光粉及び色又は第1の図柄が塗布或いは印刷されることで発光色彩層が形成されるか、或いは、前記光反射層の表面に発光粉及び色又は第1の図柄が塗布或いは印刷されることで発光色彩層が形成される光反射発光膜を提供する。
【0008】
前記光学デバイスは、光反射層によって複数の彩光を反射可能なように、それ自体が事前の電気めっき処理によって複数の彩光を反射可能とされた光学デバイスとしてもよい。また、その他の置き換えとして、前記光学デバイスが複数の彩光を反射するよう、前記光反射層に電気めっき層を電気めっきすることで光反射層により複数の彩光を反射させてもよい。
【0009】
好ましくは、前記光学デバイスは、ガラス、セラミックス又は合成樹脂からなる光反射ビーズとし、前記電気めっき用の材料としては、アルミニウム、銀、すず、クロム、亜鉛又はこれらの組み合わせが含まれる。
【0010】
好ましくは、前記光反射層の表面には剥離可能な離型キャリア及び離型層が設けられ、前記離型層は前記離型キャリアと前記光反射層の間に位置する。前記離型キャリアをPET膜とし、前記離型層は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル又はこれらの組み合わせからなる。
【0011】
好ましくは、前記付着層は、PUゴム、TPUゴム、二成分系のアクリル酸、カルバミン酸メチル、エステル、エーテル、エポキシド、尿素、炭酸エステル、アクリル酸エステル、アクリル酸、アルケン、クロロエチレン、アシルアミド、アルキド又はこれらを組み合わせて形成される重合体からなり、前記接着剤は、カルバミン酸メチル、エステル、エーテル、エポキシド、尿素、炭酸エステル、アクリル酸エステル、アクリル酸、アルケン、クロロエチレン、アシルアミド、アルキド又はこれらを組み合わせて形成される重合体からなる。
【0012】
好ましくは、前記光反射層の表面には、第2の図柄又は色が塗布或いは印刷されることで少なくとも1の外部色彩層が形成される。
【0013】
本発明は第2の局面において、(1)離型層が設けられた離型キャリアを準備するステップと、(2)予め電気めっき処理を施すことで複数の彩光を反射可能とした光学デバイスを接着剤により前記離型層の表面に接着し、光反射層を形成するか、或いは、接着剤で光学デバイスを前記離型層の表面に接着することで光反射層を形成し、前記光学デバイスが複数の彩光を反射するよう、電気めっき層を前記光反射層の底面に電気めっきするステップと、(3)前記光反射層の底面又は前記電気めっき層の底面に、基材表面に付着可能とするための付着層を形成するステップと、(4)前記付着層に発光粉及び色又は第1の図柄を塗布或いは印刷することで発光色彩層を形成するか、或いは、離型キャリア及び離型層を剥離した前記光反射層の表面に発光粉及び色又は第1の図柄を塗布或いは印刷することで、発光色彩層を形成するステップ、を含む光反射発光膜の製造方法を提供する。
【0014】
好ましくは、更にステップ(4)の後に、(5)前記付着層を基材表面に付着させる際に、前記離型キャリア及び離型層を剥離するステップと、(6)前記光反射層の表面に第2の図柄又は色を塗布或いは印刷することで少なくとも1の外部色彩層を形成するステップ、を含む。
【0015】
本発明は第3の局面において、物体本体と、上記技術方案で述べた光反射発光膜を含む光反射発光物を提供する。前記光反射発光膜は、紡織、塗布、印刷、射出成形、ドーミング等により作製された物体本体と接続することで光反射発光物を構成可能である。前記物体本体には、衣類、トランク、バッグ、帽子、靴、靴下、傘、ボックス、標識、ラベル、シール、テープ、レインコート、広告看板、ポスター、コンピュータパネル、テレビスクリーン、液晶パネル、及びこれら製品の素材、補助材料、部材・部品等が含まれ、例えば、コンピュータ又はテレビのディスプレイ(パネル)用発光シート等があげられる。なお、これら各種製品以外にも、その他の完成品(商品)や部品を作製可能なことはいうまでもない。
【発明の効果】
【0016】
従来技術と比較して、本発明は以下の有益な効果を有する。
【0017】
1.本発明の光反射発光膜は、光反射層に光反射作用を有する光学デバイスが嵌入されており、発光色彩層に発光粉及び色又は第1の図柄が塗布或いは印刷されている。そのため、光反射発光膜は、暗所で光照射があった場合の光反射及び吸光が可能なだけでなく、吸光後の発光も可能となる。よって、光照射の有無を問わずに発光でき、警告効果と安全性が向上する。
【0018】
2.本発明の光学デバイスは電気めっき処理により複数の彩光を反射可能となっている。よって、光反射発光膜は、光反射前に発光色彩層の図柄や色を確認可能であるとともに、光照射時には複数の彩光を反射可能なほか、光照射距離、輝度及び観察角度の違いに応じて図柄変化効果を奏することも可能である。なお、ある光照射角度では複数の彩光のみとなる複数彩光反射効果が奏されることはいうまでもない。これにより、光反射効果が良好となり、偽物防止性や美観が向上する。
【0019】
3.光反射層の外表面に図柄又は色が塗布或いは印刷される場合、従来であれば光が反射されて複数の彩光のみとなる状況であっても、光反射発光膜は塗布又は印刷された図柄或いは色を表示可能なため、複数の彩光のみという単調さが回避されて美観が向上する。
【0020】
本発明の実施例又は従来技術の技術方案をより明確に説明すべく、以下では実施例又は従来技術の記載に要する図面について簡単に述べる。なお、以下で記載する図面は本発明の一部実施例のものであって、当業者であれば、創造的労働を要することなくこれら図面から更に他の図面を取得可能なことはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明の実施例1で提供する光反射発光膜の断面図である。
図2図2は、本発明の実施例2で提供する光反射発光膜の断面図である。
図3図3は、本発明の実施例3で提供する光反射発光膜の断面図である。
図4図4は、本発明の実施例4で提供する光反射発光膜の断面図である。
図5図5は、本発明の実施例5で提供する光反射発光膜の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施例の目的、技術方案及び利点をより明らかとすべく、以下では本発明の実施例にかかる図面を組み合わせて、本発明の実施例における技術方案について明瞭簡潔に述べる。なお、記載する実施例は本発明の一部実施例であって、全てでないことはいうまでもない。また、本発明の実施例に基づいて当業者が創造的労働を要することなく取得するその他全ての実施例は、いずれも本発明の保護の範囲に属する。
【0023】
図1を参照して、本発明の実施例1は、複数の光学デバイス1が接着剤により接着されてなる光反射層2、基材表面に付着する付着層3、発光色彩層4が順に設けられる層状構造を備えた光反射発光膜を提供する。以下に、各層の構造について詳細に説明する。
【0024】
具体的に、前記光学デバイスとしては、ガラス、セラミックス又は合成樹脂からなる光反射ビーズが可能である。本実施において、前記光学デバイス1は光反射ガラスビーズとすることが好ましい。また、前記光反射ガラスビーズの粒径は20〜400メッシュ、屈折率は1.5以上とすることが好ましい。
【0025】
また、前記光反射ガラスビーズは、予め電気めっき処理を施してから接着剤で接着する必要がある。電気めっき用の金属材料としては、アルミニウム、銀、すず、クロム、亜鉛又はこれらの組み合せ(化合物を含む)が可能である。前記光反射ガラスビーズは、複数の彩光に対する反射効果を達成するよう電気めっき処理を施す必要がある。これは、光反射発光膜が光照射角度、距離及び輝度の違いに応じて図柄変化効果を得られるようにするためである。
【0026】
光反射層2において、前記接着剤により前記光学デバイス1を被覆する方式には、塗布、貼り合わせ、圧印等が含まれる。複数の光学デバイス1は接着によって平坦な表面を形成する。前記接着剤は、カルバミン酸メチル、エステル、エーテル、エポキシド、尿素、炭酸エステル、アクリル酸エステル、アクリル酸、アルケン、クロロエチレン、アシルアミド、アルキド又はこれらを組み合わせて形成される重合体からなる。
【0027】
付着層3において、前記付着層3は、PUゴム、TPUゴム、二成分系のアクリル酸、カルバミン酸メチル、エステル、エーテル、エポキシド、尿素、炭酸エステル、アクリル酸エステル、アクリル酸、アルケン、クロロエチレン、アシルアミド、アルキド又はこれらを組み合わせて形成される重合体からなる。なお、本実施の形態に限らず、その他のコロイドにより形成してもよいことはいうまでもない。
【0028】
前記付着層3には、発光色彩層4が形成されるよう発光粉及び色又は第1の図柄が塗布或いは印刷される。色又は図柄を前記付着層3に形成する方式としては、コンピュータ印刷、シルクスクリーン印刷、インクジェット、凹版・凸版又はその他各種印刷方式が含まれる。本発明の光反射発光膜では、付着層3によって発光粉及び色又は図柄を何らかの材質表面に転写可能である。
【0029】
本発明の実施例1における光反射発光膜の製造方法には、以下のステップが含まれる。
【0030】
(1)離型層8が設けられた離型キャリア5を準備する。
(2)予め電気めっき処理を施すことで複数の彩光を反射可能とした光学デバイス1を接着剤により前記離型層8の表面に接着し、光反射層2を形成する。
(3)前記光反射層2の底面に、基材表面に付着可能とするための付着層3を形成する。
(4)前記付着層3に発光粉及び色又は第1の図柄を塗布或いは印刷することで発光色彩層4を形成する。
(5)前記付着層3を基材表面に付着させる際に、前記離型キャリア5及び離型層8を剥離する。
【0031】
図2を参照して、本発明の実施例2は、発光色彩層4、複数の光学デバイス1が接着剤により接着されてなる光反射層2、基材表面に付着する付着層3が順に設けられる層状構造を備えた他の光反射発光膜を提供する。本発明の実施例2で記載する光反射発光膜は、前記光反射層の表面に発光粉及び色又は第1の図柄を塗布或いは印刷することで前記発光色彩層4が形成され、当該発光色彩層4が光反射発光膜の最外層に位置するとの点において前記実施例1で記載した光反射発光膜とは異なる。
【0032】
光反射層2の表面に色又は第1の図柄を塗布或いは印刷すると、従来であれば光が反射されて複数の彩光のみとなる状況であっても、光反射発光膜が塗布又は印刷された色或いは第1の図柄を表示可能となる。よって、複数の彩光のみという単調さが回避されて、美観が向上する。
【0033】
本発明の実施例2における光反射発光膜の製造方法には、以下のステップが含まれる。
【0034】
(1)離型層8が設けられた離型キャリア5を準備する。
(2)予め電気めっき処理を施すことで複数の彩光を反射可能とした光学デバイス1を接着剤により前記離型層8の表面に接着し、光反射層2を形成する。
(3)前記光反射層2の底面に、基材表面に付着可能とするための付着層3を形成する。
(4)前記付着層3を基材表面に付着させる際に、前記離型キャリア5及び離型層8を剥離する。
(5)離型キャリア5及び離型層8を剥離した前記光反射層2の表面に発光粉及び色又は第1の図柄を塗布或いは印刷することで、発光色彩層4を形成する。
【0035】
図3を参照して、本発明の実施例3は、剥離可能な離型キャリア5、離型層8、複数の光学デバイス1が接着剤により接着されてなる光反射層2、基材表面に付着する付着層3、発光色彩層4が順に設けられる層状構造を備えた他の光反射発光膜を提供する。本発明の実施例3で記載する前記光反射発光膜は、前記光反射層2の表面に剥離可能な離型キャリア5及び離型層8が設けられ、前記離型層8が前記離型キャリア5と前記光反射層2の間に位置するとの点において前記実施例1で記載した光反射発光膜とは異なる。好ましくは、前記離型キャリア5はPET膜又はその他使用可能なキャリアとする。また、前記離型層8は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル又はこれらの組み合わせからなる。
【0036】
前記離型キャリア5は、製造過程において光学デバイス1を配置するための基材に相当する。光学デバイス1は離型キャリア5の離型層8に付着可能であり、更に接着剤を塗布することで平坦な光反射層2の表面が形成されるとともに、これにより光学デバイス1が固定される。
【0037】
本発明の実施例3における光反射発光膜の製造方法には、以下のステップが含まれる。
【0038】
(1)離型層8が設けられた離型キャリア5を準備する。
(2)予め電気めっき処理を施すことで複数の彩光を反射可能とした光学デバイス1を接着剤により前記離型層8の表面に接着し、光反射層2を形成する。
(3)前記光反射層2の底面に、基材表面に付着可能とするための付着層3を形成する。
(4)前記付着層3に発光粉及び色又は第1の図柄を塗布或いは印刷することで発光色彩層4を形成する。
【0039】
図4を参照して、本発明の実施例4は、外部色彩層6と、複数の光学デバイス1が接着剤により接着されてなる光反射層2、基材表面に付着する付着層3、発光色彩層4が順に設けられる層状構造を備えた他の光反射発光膜を提供する。本発明の実施例4で記載する光反射発光膜は、前記光反射層2の表面に第2の図柄又は色を塗布或いは印刷することで外部色彩層6が形成され、当該外部色彩層6が光反射発光膜の最外層に位置するとの点において前記実施例1で記載した光反射発光膜とは異なる。
【0040】
光反射層2の表面に更に色又は図柄を塗布或いは印刷すると、従来であれば光が反射されて複数の彩光のみとなる状況であっても、光反射発光膜は塗布又は印刷された色或いは第2の図柄を表示可能となる。よって、複数の彩光のみという単調さが回避されて、美観が向上する。なお、外部色彩層6は複数層設けてもよい。外部色彩層6の層数が多くなるほど、次の層或いはより下の層の色又は図柄を保護可能となり、摩耗軽減効果が更に良好となる。
【0041】
本発明の実施例4における光反射発光膜の製造方法には、以下のステップが含まれる。
【0042】
(1)離型層8が設けられた離型キャリア5を準備する。
(2)予め電気めっき処理を施すことで複数の彩光を反射可能とした光学デバイス1を接着剤により前記離型層8の表面に接着し、光反射層2を形成する。
(3)前記光反射層2の底面に、基材表面に付着可能とするための付着層3を形成する。
(4)前記付着層3に発光粉及び色又は第1の図柄を塗布或いは印刷することで発光色彩層4を形成する。
(5)前記付着層3を基材表面に付着させる際に、前記離型キャリア5及び離型層8を剥離する。
(6)離型キャリア5及び離型層8を剥離した前記光反射層2の表面に色又は第2の図柄を塗布或いは印刷することで、少なくとも1の外部色彩層6を形成する。
【0043】
図5を参照して、本発明の実施例5は、複数の光学デバイス1が接着剤により接着されてなる光反射層2、光反射層2の底面に位置する電気めっき層7、基材表面に付着する付着層3、発光色彩層4が順に設けられる層状構造を備えた他の光反射発光膜を提供する。本発明の実施例5で記載する光反射発光膜は、前記光学デバイス1を予め電気めっき処理することなく接着剤で接着することで光反射層2とし、続いて、前記光学デバイスが複数の彩光を反射するよう、電気めっき層7を光反射層2の底面に電気めっきするとの点において前記実施例1で記載した光反射発光膜とは異なる。
【0044】
本発明の実施例5における光反射発光膜の製造方法には、以下のステップが含まれる。
【0045】
(1)離型層8が設けられた離型キャリア5を準備する。
(2)接着剤で光学デバイス1を前記離型層8の表面に接着することで光反射層2を形成し、前記光学デバイス1が複数の彩光を反射するよう、電気めっき層7を前記光反射層2の底面に電気めっきする。
(3)前記電気めっき層7の底面に、基材表面に付着可能とするための付着層3を形成する。
(4)前記付着層3に発光粉及び色又は第1の図柄を塗布或いは印刷することで発光色彩層4を形成する。
(5)前記付着層3を基材表面に付着させる際に、前記離型キャリア5及び離型層8を剥離する。
【0046】
なお、本発明の実施例5で記載する光反射発光膜を元に、前記発光色彩層4を前記光反射層2の表面に配置するよう変更してもよい。また、前記光反射層2の表面に第2の図柄又は色を塗布或いは印刷することで少なくとも1の外部色彩層を形成してもよい。なお、使用する電気めっき方法によって電気めっき層7の位置は異なる。前記電気めっき層7は光反射層2の上面に位置してもよいし、光反射層2の上下両面に位置してもよく、本実施例に限らない。
【0047】
従来技術において、光反射発光膜の光学デバイスは、一般的に透明な光反射ガラスビーズから構成されるか、ビーズフィルムにアルミニウムめっきが施されたものとされ、この場合には暗所で光照射がある場合にのみ白色光の反射が可能となる。また、光反射発光膜は光反射前には膜上の図柄を確認可能であるが、光照射時には図柄が消失してしまい、どの角度から見ても白色光しか確認することができなくなる。
【0048】
これに対し、本発明の実施例では、光学デバイスが電気めっき処理を経ることで複数の彩光を反射可能となる。光反射発光膜は光反射前に発光色彩層の図柄を確認可能であるほか、光照射時には、複数の彩光の反射や光照射距離、輝度及び観察角度の違いに応じて、人が図柄を観察する際の視覚効果に影響を与え、図柄変化効果を奏する。このとき、ある観察角度(例えば正面)からは複数の彩光のみとなる複数彩光反射効果が得られる。
【0049】
実際の利用にあたっては、本発明で記載した光反射発光膜を、紡織、塗布、印刷、射出成形、ドーミング等により作製された物体本体と接続することで光反射発光物を構成し、複数の彩光に対する光反射効果、発光効果及び図柄変化効果を持たせればよい。具体的には、前記物体本体には、衣類、トランク、バッグ、帽子、靴、靴下、傘、ボックス、標識、ラベル、シール、テープ、レインコート、広告看板、ポスター、コンピュータパネル、テレビスクリーン、液晶パネル、及びこれら製品の素材、補助材料、部材・部品等が含まれ、例えば、コンピュータ又はテレビのディスプレイ(パネル)用発光シート等があげられる。なお、これら各種製品以外にも、その他の完成品(商品)や部品を作製可能なことはいうまでもない。
【0050】
以上述べたように、本発明の光反射発光膜は、光照射時の光反射と吸光が可能であるとともに、吸光後の発光も可能である。よって、光反射発光膜は光照射の有無を問わずに発光でき、警告効果と安全性が更に向上する。また、光照射時に複数の彩光の反射や光照射距離、輝度及び観察角度の違いに応じて図柄変化効果が奏されるため、光反射効果が良好となり、偽造防止性や美観が向上する。
【0051】
上記実施例は本発明の好ましい実施形態であるが、本発明の実施形態は上記実施例に制限されない。本発明の主旨、本質及び原理を逸脱することなく実施されるその他あらゆる変形、補足、置換、組み合わせ、簡略化はいずれも等価の置き換えとみなされ、本発明の保護の範囲に含まれる。また、上述した各種製造方法のステップ以外にも、貼り合わせ(接着)順や各層の順序に関する変更、及び各層の着色材料や順序の変更は輝度の変化や図柄の鮮明度の変化を招来し得るが、これらもまた本発明の請求の範囲内である。
図1
図2
図3
図4
図5