(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、ある程度形や大きさの揃った草に対しては、上述のような草刈機100は非常に有効であるが、背丈の高い草や低い草が混在しているような状況においては、思うような効果を得ることは難しい。よって、汎用性は高くない。形状が異なる草に対しては、それに応じた形状の草寄せ部材102に付け替える必要がある。
【0009】
ところで、回収された草は、集めて堆肥にしたり、敷材として有効利用することも考えられている。しかし、加工に手間がかかり、専門業者に委託するとコストが増大する。また、野焼きは法律で禁じられているが、そのまま放置すると景観を損ねる上、病害虫が発生するという問題がある。
【0010】
そこで、本発明では、作業効率の低下や飛散を防止し、且つ、切断しながら草を破砕可能な刈払機及び刈払機用補助具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の刈払機用補助具は、原動機の動力がシャフトを介して回転式のカッターへ伝達される携帯式の刈払機で用いられる刈払機用補助具であって、前記カッターの上方で前記カッターの回転面に対して略平行に広がる仮想平面へ投影される前記カッターの投影領域に、少なくとも一部の重なり領域を有するとともに、前記重なり領域から拡径側へ広がり、且つ、雑草等の切断対象を上方から押下可能な押下部と、
前記押下部の右側端縁に沿って固定され、前記押下部を支持する断面矩形の中空構造の支持部と、一組のUボルト及び当該Uボルトを閉止する閉止板からなり、前記シャフトを内蔵した断面円形のシャフト部を前記支持部で前記Uボルトの奥側に押し込むように収容し、前記支持部を介して前記押下部を
前記シャフト部に取り付ける
固定金具とを備えたことを特徴とする。
【0015】
また、本発明の刈払機は、原動機の回転力で切断コードが旋回するコード式のカッターと、前記カッターから斜め上方に延び、前記回転力を伝達するシャフトを内蔵したシャフト部と、前記カッターの上方で前記カッターの回転面に対して略平行に広がる仮想平面へ投影される前記カッターの投影領域に、少なくとも一部の重なり領域を有するとともに、前記重なり領域から拡径側へ広がり、且つ、雑草等の切断対象を上方から押下可能な押下部と
、前記押下部の右側端縁に沿って固定され、前記押下部を支持する断面矩形の中空構造の支持部と、一組のUボルト及び当該Uボルトを閉止する閉止板からなり、前記シャフトを内蔵した断面円形のシャフト部を前記支持部で前記Uボルトの奥側に押し込むように収容し、前記支持部を介して前記押下部を前記シャフト部に取り付ける固定金具とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明の刈払機用補助具によれば、押下部は、カッターの上方において、カッターの投影領域に重なる領域から拡径側へ広がっているので、雑草は、カッターに触れる前の段階で押下部に押さえ付けられる。これにより、雑草の上方が支えられた状態でカッターによる切断が行われるので、安定して切断を行うことが可能である。
【0020】
また、背丈の高い雑草に対しては、押下部による側方への押し出しによって、雑草の上側部分をカッターから離間する向きへ押し退けるように作用させることができるので、切断後の雑草がカッターの上に落下することによる障害を回避しながら安全に作業を行うことができる。
【0021】
また、押下部がカッターの回転領域の上方への投影領域に対して少なくとも一部が重なるように設けられている。これにより、コードが摩耗により短くなった場合であっても、
押下部による押下作用を安定して生じさせることができる。
【0022】
押下部は、
固定金具を介してシャフト部に取り付けることができるので、カッターの形状に関わらず、様々な形式の刈払機に広く利用することが可能である。
【0023】
また、本発明の刈払機用補助具の一実施例によれば、上記効果に加えて、カッターによって回転方向に運ばれた雑草は、草止め部によって回転方向への移動を阻止される。これにより、カッターの回転領域内に留まる時間が長くなるので、同じ雑草に対する切断回数が増大し、細かく粉砕することが可能となる。
【0024】
また、本発明の刈払機用補助具の一実施例によれば、上記効果に加えて、回転領域の上方が遮蔽部に覆われるので、切断前後の雑草が回転軸などに巻き込まれるのを防止できる。
【0025】
また、本発明の刈払機用補助具の一実施例によれば、上記効果に加えて、回転領域の側方が、押下部から下方へ向けて延設された飛散防止部により覆われるので、小石や雑草の破片などが周囲に飛散することを防止できる。また、飛散防止部は可撓性を有しているので、押下部と地面との距離が近付いた場合であっても柔軟に変形して確実に飛散を防止できる。
【0026】
また、本発明の刈払機によれば、押下部は、カッターの上方において、カッターの投影領域に重なる領域から拡径側へ広がっているので、雑草は、カッターに触れる前の段階で、押下部に上から押さえ付けられる。これにより、雑草の上方が支えられた状態でカッターによる切断が行われるので、安定して切断を行うことが可能である。
【0027】
また、背丈の高い雑草に対しては、押下部による側方への押し出しによって、雑草の上側部分をカッターから離間する向きへ押し退けるように作用させることができるので、切断後の雑草がカッターの上に落下することによる障害を回避しながら安全に作業を行うことができる。
【0028】
また、押下部がカッターの回転領域の上方への投影領域に対して少なくとも一部が重なるように設けられている。これにより、コードが摩耗により短くなった場合であっても、押下部による押下作用を安定して生じさせることができる。
【0029】
また、本発明の刈払機の一実施例によれば、上記効果に加えて、カッターによって回転方向に運ばれた雑草は、草止め部によって回転方向への移動を阻止される。これにより、カッターの回転領域内に留まる時間が長くなるので、同じ雑草に対する切断回数が増大し、細かく粉砕することが可能となる。
【0030】
また、本発明の刈払機の一実施例によれば、上記効果に加えて、回転領域の上方が遮蔽部に覆われるので、切断前後の雑草が回転軸などに巻き込まれるのを防止できる。
【0031】
また、本発明の刈払機の一実施例によれば、上記効果に加えて、回転領域の側方が、押下部から下方へ向けて延設された飛散防止部により覆われるので、小石や雑草の破片などが周囲に飛散することを防止できる。また、飛散防止部は可撓性を有しているので、押下部と地面との距離が近付いた場合であっても柔軟に変形して確実に飛散を防止できる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態に係る刈払機用補助具(以下、単に補助具という。)及び刈払機について図を用いて説明する。
【0034】
図1は、本発明に係る携帯式の刈払機1の全体斜視図である。作業者の前方を刈払機1の正面側とし、
図1では正面側の斜視図を表している。
【0035】
刈払機1は、エンジンやバッテリーなどの原動機6を備えている。この原動機6は、動力を伝達するシャフトを内蔵したシャフト部4の一端に配置されている。そしてシャフト部4の他端には、カッター2が備えられている。また、シャフト部4の中間位置にはハンドル8が設けられている。作業者は一方の手で原動機6の近傍を掴み、他方の手でハンドル8を握って刈払操作を行う。
【0036】
本実施の形態に係る刈払機1のカッター2は、回転する基部2aに取り付けられたナイロンコード2bが旋回することによって切断対象である雑草等を切断するコード式の切断機構を備えている。シャフト部4は回転するナイロンコード2bの回転軌道面(後に
図3で説明する回転面P1)が略水平になるように、カッター2のギアケース2cに対して傾斜方向に取り付けられている。
【0037】
カッター2の上方には、回転面P1と略平行に広がる押下板12が設けられている。この押下板12は平面視において非対称の台形の外形を有している。この押下板12の形状の特徴については後に詳しく説明する。
【0038】
図2は、
図1の刈払機1を背面側から見た斜視図である。
【0039】
図2に見て取れるように、押下板12の右側面及び背面側の端縁に沿って、下方に向けて飛散防止幕9が設けられている。この飛散防止幕9は可撓性を有した材質で形成されている。ここで可撓性とは、地面に接触した場合であっても柔軟に変形し、離間すると元の形状を復元できる程度の柔軟性を有している性質をいう。
【0040】
図3は、カッター2及びカッター2の周辺の構造を示す左側面図である。
【0041】
図3には、カッター2の回転面P1の高さ位置を一点鎖線で表すとともに、カッター2の上方に、カッター2の回転面P1に対して略平行に広がる仮想平面P2の高さ位置を二点鎖線で表している。本実施の形態に係る構成では、この仮想平面P2に沿って押下板12が配置されているものとする。
【0042】
押下板12は回転面P1に平行に延びる支持部14によって支持され、この支持部14はシャフト部4に対して固定金具16によって固定されている。このように、押下板12
は支持部14を介してシャフト部4に固定されている。
【0043】
図4は、カッター2及びカッター2の周辺の構造を示す正面図である。
【0044】
カッター2の右側は、大きく張り出した押下板12によって上方が覆われている。この張り出した押下板12の右側の端縁12aは、カッター2の回転領域A1であるナイロンコード2bの先端を越えて回転半径の拡径側へ長さL1だけ張り出している。この長さL1は回転面P1から押下板12までの長さL2と同程度に設定されている。この押下板12とカッター2の位置関係については、後に平面図も用いて詳しく説明する。
【0045】
図4に表れている飛散防止幕9は、押下板12の端縁12a(背面側の端縁は図示せず)から垂れ下がり、ナイロンコード2bが配置されている回転面P1の近傍まで延びている。このように、回転面P1に届かない範囲で飛散防止幕9が設けられているので、ナイロンコード2bとの干渉を防止できる。また、飛散防止幕9は、可撓性を有していることを上述した。したがって、飛散防止幕9の鉛直方向への長さについては、地面や草との接触などにより飛散防止幕9が揺れた場合であっても回転するナイロンコード2bと接触しない範囲で設定されていることが望ましい。
【0046】
支持部14と押下板12との間は、ボルト締結により固定されていることが見て取れる。しかし、
図4に示した構成に限らず、押下板12を略水平に保持できる構造であれば、溶接など他の接合方式を用いても構わない。さらに、本実施の形態に係る構成では、押下板12と支持部14とを別部材で構成する例を示した。しかし、押下板12の左側端縁に曲げ加工を施し、支持部14に代わる構造を形成しても構わない。
【0047】
支持部14はシャフト部4に対してリング状の固定金具16を用いて取り付けられている。この固定金具16を取り外すことにより、押下板12及び支持部14を刈払機1から分離することができる。この分離可能な構成を刈払機1の補助具10と呼ぶこととする。
【0048】
図5は、補助具10の分解状態を示す図である。
【0049】
図4の説明でも触れたように、支持部14がカッター2の回転面P1(
図3参照)と略平行になるようにして、固定金具16によって刈払機1のシャフト部4に固定されている。押下板12は、支持部14に対して押下板12の左側の端縁を沿わせるようにしてボルトによって固定される。このように2つのパーツを組み合わせるだけで、容易に補助具10をシャフト部4に取り付けることが可能である。
【0050】
次に、旋回するナイロンコード2bにより形成される回転面P1と押下板12との平面視における位置関係について説明する。
【0051】
図6は、カッター2及びカッター2の周辺の構造を示す平面図である。紙面の下側が作業者の前方であり、上側が後方を表している。説明の便宜のため、旋回するナイロンコード2bが占める領域を回転領域A1として一点鎖線で囲み、内側に45度のハッチングを施して表している。そして、押下板12には−45度のハッチングを施して区別している。回転領域A1を
図2に示した上方の仮想平面P2に投影した投影領域A2は、平面視において回転領域A1と重なって見えている。投影領域A2と押下板12とが重なる重なり領域A3にはクロスハッチングが施されている。ここでは、回転領域A1を左右に2分割し、作業者から離れる向きに回転する領域を往路側とし、作業者側へ戻る向きに回転する領域を復路側と呼ぶことにする。一般に刈払機は反時計回りに切断刃が回転するので、往路側は作業者の右手側(
図6では左側)、復路側は作業者の左手側(
図6では右側)となる。
【0052】
押下板12は、往路側の辺が平面視においてシャフト部4と略平行になるようにして固定されている。よって、カッター2の一部が押下板12から露出している。
【0053】
一方、復路側では、回転領域A1の前方側の一部を除いて、殆どの領域が押下板12の下方に隠れている。そして、押下板12の復路側の端縁12aは、後方に向けてシャフト部4に対する距離が増大するように傾斜している。このように、本実施の形態に係る押下板12は非対称の台形の板材で形成されている。
【0054】
上記構成により、往路側の回転領域A1を使用すると、飛散物は前方に飛散する。逆に復路側の回転領域A1を使用すると、飛散物は作業者側に向かって後方に弾かれるが、作業車の左手側方及び後方側に設けられた飛散防止幕9に当たるので、飛散を防止でき、作業者を守ることができる。なお、押下板12は、側方よりも後方側に大きく張り出している。この理由については、次に述べる使用状態と合わせて説明する。
【0055】
図7は水平方向への動きによる使用状態を示す正面図である。
【0056】
カッター2の水平姿勢を維持し、復路側を押し込むようにして刈払機1を動かしたときの様子を表している。このように動かすと、
図6を用いて説明したように、カッター2(ナイロンコード2b)の回転半径よりも押下板12の方が拡径側へ張り出しているので、切断対象である雑草110に対しては、先に押下板12の端縁12aが当接する。
【0057】
よって、ナイロンコード2bの先端が雑草110に届くときには、雑草110の上方は側方へ仰け反るように曲げられている。これにより、雑草110の根元側にナイロンコード2bを正確に当てることが可能となる。
【0058】
このように構成されていると、不用意に草むらの中に向けて刈払機1のカッター2を押し込んだ場合であっても、先行する押下板12によってカッター2側への雑草110の進入が制限されるので、ナイロンコード2bの先端側だけが雑草110に当たる状態となる。また、切断されて積み重なった雑草を押し退けながら切断作業を行うことも可能である。
【0059】
上記のように、周速度の遅い中心側の部分に雑草が絡みつかないようにしてカッター2の回転数が低下することを防止し、常に速度の高いナイロンコード2bの先端側で安定した切断を行うことが可能となる。
【0060】
なお、ナイロンコード2bの先端から押下板12の端縁12aまでの長さL1が、ナイロンコード2bの回転面P1から押下板12までの長さL2と略同じ長さに設定されていることについては
図4を用いて説明した。
【0061】
ここで、この長さL2の具体的な設定値について考察する。まず、押下板12の下方において雑草110が適度に曲げられ、安定してナイロンコード2bの先端が雑草110の根元に当たるようにする必要がある。また、後述するように、ナイロンコード2bが地面に叩き付けられて複雑な軌道を描く場合であっても、ナイロンコード2bが引っ掛かることなく自由に回転を続けることができるための十分な空間が必要となる。これは、不要な負荷によって回転エネルギーが無駄に消費されることを防止するためと、広い範囲で雑草にナイロンコード2bを当てるためといった考えに基づくものである。これらの作用を考慮して、本実施の形態に係る構成では、カッター2の回転機構を内蔵したギアケース2cの高さを超える位置に押下板12の端縁12aが設定されている。これをナイロンコード2bとの関係で考えれば、少なくとも、ナイロンコード2bが水平状態から上方へ45度
の範囲に振れた場合であっても接触しない程度の高さに押下板12(端縁12a)を設置するのが好適である。
【0062】
ところで、本実施の形態に係る構成では、押下板12のうち、カッター2の回転中心付近の上方を覆う部分は、遮蔽部12bとしての機能も有している。これにより、薙ぎ倒された雑草の上方部分が大量にカッター2に覆いかぶさることによる絡みつきを防止することができる。
【0063】
図8は、上下方向への動きによる使用状態を示す正面図である。
【0064】
カッター2の回転面P1(
図3参照)を作業者の左手側に傾けて、回転領域A1の復路側(
図6参照)が地面に接するように刈払機1を上下方向へ動かしたときの状態を示している。このように動かすと、押下板12により雑草110の上方が折り曲げられる。そして、折り曲げられた雑草110は、押下板12と地面との間に閉じ込められた状態で旋回するナイロンコード2bによって繰り返し切断される。
【0065】
ここで、
図6も併せて参照して、支持部14の役割に注目する。
【0066】
支持部14が押下板12を支えるために設けられていることは上述した通りである。しかし、それだけではなく、支持部14は、シャフト部4の下方まで延設されている。すなわち、復路側の回転によって弾き飛ばされた切断後の雑草110aや、切断前の曲げられた雑草110が押下板12から飛び出すのを防ぐ草止め部としての役割も担っている。
【0067】
このように、カッター2の作業者側(シャフト部4の下方)の上方から後方にかけて雑草110、110aの移動を阻止する草止め部として支持部14が配置されていると、切断後も雑草110aが押下板12の下方に長く留まることになる。これにより、ナイロンコード2bが衝突する回数が格段に増大し、粉砕効率が高くなる。
【0068】
上述のように、押下板12、地面及び草止め部としての支持部14によって閉じ込められた空間内で雑草110、110aがカッター2(ナイロンコード2b)と接触する回数が増大する。
【0069】
ところで、コード式のカッターは、キックバックなどの現象が生じないので、地面にコードを叩きつけるようにして使用することが可能である。すると、叩きつけられたコードの先端では、地面から跳ね返りながら回転するという複雑な運動が生じる。よって、
図8中に実線で示したように、地面と接する軌道だけでなく、点線で示したような地面から浮き上がったナイロンコード2bの軌道も含まれる。
【0070】
すなわち、地面と接するように使用するときには、回転軌道は単純な平面ではなく、屈曲した厚みのある立体的な軌道を描くようになる。したがって、押下板12の下方で舞い上がっている切断後の雑草が再びナイロンコード2bに接触する確率が高くなる。このように本実施の形態に係る構成によれば、接触回数が増大するので、土と同化するレベルまで雑草を粉砕することが可能となる。
【0071】
上述のような作用が生じるので、上下に移動させるだけではなく、刈り終わった領域に対して
図8のように傾けたまま作業者の右手側(往路側)へ進めると、既に切断された雑草110aや、短くなった雑草110に再びナイロンコード2bが当てられて舞い上がる。しかし、舞い上がった細かな雑草は押下板12の下に閉じ込められるので、更に細かく切断されることになる。
【0072】
図9は、捻り動作と押下板12との関係を示す図である。
【0073】
実線はカッター2の回転面P1(
図3参照)を水平に維持した状態を示している。また、点線は回転の復路側を下方へ傾けるようにしてシャフト部4を中心に回転させた状態を示している。
【0074】
本実施の形態に係る構成では、
図6を用いて示したように、押下板12の復路側の端縁は平面視において後方側がシャフト部4から離れるように傾斜して形成されている。したがって、
図9に示したように、回転面P1に対して傾斜配置されているシャフト部4を中心として捻るように回転させると、押下板12の復路側の端縁12aを地面に対して平行になるようにして近づけることができる。
【0075】
すなわち、作業者はシャフト部4の角度などを無理な姿勢をとることにより変更することなく、
図7の水平姿勢と
図8の傾斜姿勢とを容易に切り替えることが可能である。このように本実施の形態に係る構成によれば、バランスを崩す原因となるような持ち替えをする必要がないので、法面などにおいても安全に作業を行うことが可能である。
【0076】
図10は刈払い作業の様子を示した俯瞰図である。
【0077】
図10では、作業の様子を作業者の頭上から眺めた俯瞰図で示している。
図9のように刈払機1を傾けた際、押下板12の復路側の端縁12aは、地面に対して略平行となる
図8のような角度に保つことができる。そして、この姿勢を維持したまま作業者の上体を左右に振ると、楽に刈払動作を行うことができる。
【0078】
作業者は両手の間隔をある程度離した状態でシャフト部4を握る必要があるので、自身の体の前方で左右対称に刈払機1を操作することは難しく、
図10に示すようにシャフト部4を体の前方で斜めに構えるのが自然である。
【0079】
本実施の形態に係る刈払機1によれば、このように斜めに保持した際に、押下板12の端縁12aと地面との間に均等な距離を空けた状態で安定して維持できるとともに、回転面P1(
図3参照)を水平に切り替えても腕の配置を大きく変える必要はなく、作業者に負担がかからない。
【0080】
回転面P1が傾斜した状態で押下板12の端縁12aを地面に対して平行な状態を維持できるので、地面との間の隙間をできるだけ小さくなるように維持できる。これにより、飛散物の発生を最小限に抑えることが可能となる。
次に、刈払機用の補助具10の変形例を示す。
【0081】
<変形例>
図11は、
図1の刈払機用補助具の変形例を示す平面図である。
【0082】
補助具20は、
図1の補助具10と異なり、押下板22の正面側が短い。具体的には、ナイロンコード2bとともに回転するカッター2の基部2aが正面側及び左側面側(往路側)で露出している。このような構成によれば、カッター2の基部2aの回転状態を確認し易いという利点がある。また、往路側及び正面側で切断された切断対象は、前方又は作業者の左手方向へ弾かれるので、作業者への飛散物の影響は殆ど生じない。しかも、正面側の押下板22を短縮した分だけ軽量化が図られるので、作業負担が軽減される。なお、押下板22の正面側を短縮しても、カッター2の回転軸中心付近は押下板22により覆われているので、切断した雑草が絡むことを防止できる。
【0083】
以上に述べてきたような構成は本発明の一例であり、以下のような変形例も含まれる。
【0084】
上記の実施の形態では、カッターに先行して雑草に当接し、雑草を上方から押し下げることができる押下機能と、落ちてきた雑草が回転軸に絡まることを防止できる遮蔽部の機能を一枚の押下板に備えた構成を例として示した。しかし、押下機能と遮蔽機能を別部材に分担させる構成でも構わない。
【0085】
また、上記の実施の形態では、押下板が回転の復路側だけでなく、作業者側(後方)へも張り出した構成を例として示した。しかし、作業者側の張出しは必須の構成ではない。少なくとも、後方側でナイロンコードの回転域を覆う程度に設けられていれば、押し下げ作用による閉じ込めの効果を十分に得ることが可能である。
【0086】
また、上記の実施の形態では、押下板の復路側及び後方の端縁から飛散防止幕が垂下設されている構成を例として示した。しかし、飛散防止幕は必須の構成ではなく、また、側方及び後方の一方に設けられる構成でも構わない。
【0087】
また、上記の実施の形態では、支持部が、押下板を支持する機能と、草止め部としての機能を兼ね備えた構成を例として示した。しかし、それぞれの機能を別部材で備える構成であっても構わない。また、草止め部としては、ナイロンコードの旋回軌道と干渉しない程度に下方へ延設する構成であっても構わない。
【0088】
また、上記の実施の形態では、コード式のカッターの例として、ナイロンコードを用いた構成を例として示した。しかし、ナイロン以外の金属成分を含むような素材の構成でも構わない。
【0089】
また、上記の実施の形態では、雑草を押し下げることができる押下部の構成として平板状に形成された押下板を例として示した。しかし、雑草を押し下げることができる形状であれば、平板以外でも構わない。例えば、上に凸となるような湾曲又は屈曲した形状でも構わない。このように上に凸で形成すると、切断後の雑草を閉じ込める十分な空間を確保できるので、粉砕効率が向上する。
【解決手段】刈払機1は原動機6を備え、動力を伝達するシャフトを内蔵したシャフト部4の先端には旋回するナイロンコード2bにより切断対象を切断するコード式のカッター2を備える。カッター2の上方には、作業者の左手側と後方側を保護する飛散防止幕9を備えた押下板12が配置されている。押下板12は、前後方向へ水平に延びる支持部14を介してシャフト部4に取り付けられる。押下板12及び支持部14は、一般の携帯式の刈払機に対して脱着可能に構成されている。