(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6830525
(24)【登録日】2021年1月28日
(45)【発行日】2021年2月17日
(54)【発明の名称】電池パック
(51)【国際特許分類】
H01M 10/6556 20140101AFI20210208BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20210208BHJP
H01M 10/647 20140101ALI20210208BHJP
H01M 10/6563 20140101ALI20210208BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20210208BHJP
H01M 10/6554 20140101ALI20210208BHJP
H01M 50/20 20210101ALI20210208BHJP
【FI】
H01M10/6556
H01M10/613
H01M10/647
H01M10/6563
H01M10/625
H01M10/6554
H01M2/10 S
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-515096(P2019-515096)
(86)(22)【出願日】2018年1月29日
(86)【国際出願番号】JP2018002732
(87)【国際公開番号】WO2018198458
(87)【国際公開日】20181101
【審査請求日】2019年10月18日
(31)【優先権主張番号】特願2017-89824(P2017-89824)
(32)【優先日】2017年4月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】505083999
【氏名又は名称】ビークルエナジージャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】特許業務法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福家 正剛
(72)【発明者】
【氏名】太田 雄一
(72)【発明者】
【氏名】千田 浩二
(72)【発明者】
【氏名】山地 那由他
【審査官】
辻丸 詔
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−250984(JP,A)
【文献】
特開2010−186681(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/52−10/667
H01M 2/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池モジュールが上部ケース及び下部ケースによって収納された電池パックであって、
前記電池モジュールは、
電池セルがセルホルダによって保持された複数の電池ユニットが積層された電池ユニット群と、
前記電池ユニットの積層方向に延びた板面状の部材によって前記電池ユニット群を側面から拘束するサイドプレートと、
を備え、
前記サイドプレートは、前記板面状の部材の一体成型によって、前記電池ユニットの積層方向に、前記電池セルを冷却する冷媒を誘導する中空のダクト部を有し、
前記上部ケースと前記下部ケースとが接合されたときに、前記サイドプレートの上部が前記上部ケースに固定され、前記サイドプレートの下部が前記下部ケースに固定され、
前記ダクト部は、前記サイドプレートの前記上部ケースとの固定部分と、前記サイドプレートの前記下部ケースとの固定部分との間に形成され、
前記複数の電池モジュールは、2つの前記電池モジュールを組としてそれぞれの前記サイドプレートが有する前記ダクト部が前記電池パックの中央側で少なくとも一部が平面合せの態様で対向するように並列に配置されている
ことを特徴とする電池パック。
【請求項2】
前記サイドプレートの前記ダクト部は、少なくとも一方の端部に、冷媒が出入りする穴部を中空部分から連続して有し、
前記上部ケースと前記下部ケースとが接合されたときに、該上部ケース及び該下部ケースの少なくとも一方によって、外部に開口した開口部が形成され、
前記上部ケース又は前記下部ケースは、前記組として並列に配置された前記複数の電池モジュールにおける前記サイドプレートの前記穴部と前記開口部とを連通する連結部材を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の電池パック。
【請求項3】
前記ダクト部は、中空部分の断面が略矩形に形成される
ことを特徴とする請求項1に記載の電池パック。
【請求項4】
前記穴部と前記開口部とが略同じ高さになるように配置される
ことを特徴とする請求項2に記載の電池パック。
【請求項5】
前記穴部と前記開口部とが異なる高さになるように配置される
ことを特徴とする請求項2に記載の電池パック。
【請求項6】
前記ダクト部における中空部分の断面積は前記穴部から離れるほど小さくなる
ことを特徴とする請求項2に記載の電池パック。
【請求項7】
前記セルホルダは、内部に通風可能な経路を有し、該経路の少なくとも一端は前記サイドプレートのダクト部に接続される
ことを特徴とする請求項1に記載の電池パック。
【請求項8】
前記電池モジュールは、前記電池ユニットの積層方向から前記電池ユニット群を拘束するエンドプレートをさらに備え、
前記サイドプレートが前記エンドプレートに固定される
ことを特徴とする請求項1に記載の電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池パックに関し、複数の電池セルが収納された電池パックに適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等においては、複数の電池セルが配列された電池モジュールが搭載されている。実用的には、電池モジュールを単体で用いることもあれば、複数の電池モジュールが収納された電池パックを用いることもある。
【0003】
そしてこのような電池パック(または電池モジュール)には、複数の電池セルを確実に拘束することの他に、電池セルを冷却するための機構が求められ、このような機構として例えば、冷媒を誘導する冷媒通路(ダクト)が設けられる。例えば特許文献1には、より不都合の少ない構成の電池モジュールとして、ダクトを構成する開口部が設けられた壁部と開口部を覆う覆部とを有する筐体、を備えた電池モジュールが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−181504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に開示された電池モジュールの場合、ダクトを構成するための部品と複数の電池セルを拘束するための部品とが別々の部品で構成されることから、部品代や組立費用が嵩んでしまう。また、これらの部品を単に一体化しようとしても、複雑な筐体設計が必要になるため製造コストが嵩んでしまう。そしてこれらの課題は、電池モジュールや電池パックの価格が下がらない一因となっていた。
【0006】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、ダクトの構成及び電池セルの拘束という機能を併せ持ちながら製造コストを低減可能な電池パックを提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するため本発明においては、複数の電池モジュールが上部ケース及び下部ケースによって収納された、以下のような電池パックが提供される。すなわち、当該電池パックにおいて、電池モジュールは、電池セルがセルホルダによって保持された複数の電池ユニットが積層されたユニット群と、電池ユニットの積層方向に中空に形成され、ユニット群を側面から拘束するサイドプレートと、を備え、さらに、サイドプレートの中空部分は、電池セルを冷却する冷媒を誘導するダクト部であることを特徴とする。
【0008】
このような電池パックによれば、簡易な構造の上記サイドプレートによって、ダクトを構成するための部品と電池セルを拘束するための部品とが一体化されることから、ダクトの構成と電池セルの拘束という二つの機能を備えながらも、製造コストを低減することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ダクトの構成及び電池セルの拘束という機能を併せ持ちながら製造コストを低減可能な電池パックを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る電池パックの内部構造の一例を示す図である。
【
図2】
図1に例示した電池パックの外観の一例を示す図である。
【
図7】電池パックの断面を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。本発明に係る電池パックは、例えば電気自動車の電動機駆動システムにおける車搭電源装置に適用されて好適なものである。なお、上記電気自動車の概念には、内燃機関であるエンジンと電動機とを車両の駆動源として備えたハイブリッド電気自動車、及び電動機を車両の唯一の駆動源とする純正電気自動車等が含まれる。
【0012】
図1は、本発明の一実施の形態に係る電池パックの内部構造の一例を示す図であり、
図2は、
図1に例示した電池パックの外観を示す図である。
【0013】
まず、
図2を参照して電池パック1を外観から説明する。
図2によれば、電池パック1は、上部ケース3と下部ケース4とが蓋合わせで閉じられ(固定され)、その内部に複数の電池モジュール2(個別には電池モジュール2A,2B)が収納された構造とされる。そして電池モジュール2A,2Bは、ナット等の固定部品5によって上部ケース3及び下部ケース4に固定される(詳細は
図7を参照しながら後述する)。
【0014】
また、
図2に示したように、電池パック1には、上部ケース3と下部ケース4とが接合されたときにケース内部から外部に開口した開口部3Aが設けられている。開口部3Aは、上部ケース3及び下部ケース4の少なくとも一方によって形成されればよい。具体的には例えば、上部ケース3の側面に略矩形の穴が設けられて開口部3Aが形成されてもよいし、上部ケース3及び下部ケース4の側面に切り欠きを付ける等して、両ケースを閉じた場合に開口部3Aが形成されるようにしてもよい。
【0015】
次に、
図1を参照して、電池パック1の内部構造を説明する。
図1には、上部ケース3を外した電池パック1が示されている。
図1によれば、電池パック1のケース内部には、2つの電池モジュール2(2A,2B)が、それぞれのサイドプレート23が電池パック1の中央側で対向するように並列に配置されている。そして、各サイドプレート23の一端には、連結部材41が配置されている。連結部材41は、上部ケース3又は下部ケース4に備えられる部材であって、各サイドプレート23におけるダクト部231Bの穴部231C(
図4参照)と開口部3Aとを連通し、冷媒経路として機能する。
【0016】
ここで、電池モジュール2の構造について詳しく説明する。
【0017】
図3は、電池モジュールの構造例を示す図である。
図1及び
図3に示したように、電池モジュール2(2A,2B)は、電池セル211がセルホルダ212によって保持された複数の電池ユニットが積層された電池ユニット群21と、電池ユニット群21を電池ユニットの積層方向から拘束するエンドプレート22と、電池ユニットの積層方向に延びた板面状の部材によって電池ユニット群21を側面から拘束するサイドプレート23と、を備えて構成される。サイドプレート23は、固定部品24(例えばボルト)によってエンドプレート22に固定されることで、電池ユニット群21を拘束する。なお、本発明に係る電池パック1は、エンドプレート22への固定によってサイドプレート23が間接的に電池ユニット群21を拘束する構造に限定されるものではなく、他にも例えば、サイドプレート23が側面から直接的に電池ユニット群21を拘束する構造であってもよい。
【0018】
このような電池モジュール2のうち、まず、サイドプレート23について詳述する。
図4は、サイドプレートの構造例を示す図である。サイドプレート23は、鉄等の熱伝導率の高い材料を用いて一体成型された板金部品であるプレート部材231と、プレート部材231に溶接された固定部材232とを備えている。このうちプレート部材231は、
図4に示したように、電池ユニット群21の電池ユニットの積層方向に延びた板面状のサイドプレート部231Aと、電池ユニットの積層方向に絞り加工等によって中空部分が形成されたダクト部231Bとを有している。ダクト部231Bの少なくとも一端には、冷媒が出入りする穴部231Cが中空部分から連続して形成される。なお、サイドプレート23のプレート部材231について、上記のようなサイドプレート部231A及びダクト部231Bを有するように成型(例えば絞り加工)することは、技術的に大きな困難を伴うものではなく、構造設計も比較的容易といえる。
【0019】
なお、サイドプレート部231Aは、電池ユニット群21に積層された複数の電池ユニットを拘束できる程度に長いことが好ましい。このようなサイドプレート部231Aがプレート部材231に設けられることによって、サイドプレート23は、電池ユニット群21に積層された複数の電池ユニット(電池セル211及びセルホルダ212)を拘束する機能を発揮することができる。また、サイドプレート23によって電池ユニットが拘束されることにより、電池モジュール2全体の強度を高めることに期待できる。
【0020】
また、
図4に例示したように、ダクト部231Bは、中空に形成され(例えばその断面は矩形形状とする)、かつ、少なくとも一方の端部に、冷媒が出入りする穴部231Cを中空部分から連続して有するように形成されることで、電池セル211を冷却するための冷媒を誘導する冷媒経路(冷媒を出し入れ可能な冷媒通路(ダクト))を確保している。なお、本例において、ダクト部231Bにおける中空部分の断面形状は、完全な直角を有する厳密な矩形形状でなくてもよく、略矩形形状でもよい。このようなダクト部231Bがプレート部材231に設けられることによって、サイドプレート23は、ダクト部231Bに冷媒を誘導したときに、サイドプレート23が拘束する電池ユニット群21の電池セル211を冷却する機能を発揮することができる。
【0021】
なお、
図4には図示していないが、サイドプレート23は、ダクト部231Bからセルホルダ212の側面に設けられた開口部212A(
図6参照)に向けて、冷媒による冷却風を供給できるように、サイドプレート部231Aに開口部を設けることができる。このようにすることで、ダクト部231Bに誘導した冷媒による冷却風をセルホルダ212に供給することができるため、電池セル211に対する冷却機能をさらに効率的にする効果が期待できる。また更に、サイドプレート23は、セルホルダ212の底面に設けられた開口部212B(
図6参照)から排出された冷却風をダクト部231Bに回収できるような経路を設けるようにしてもよい。このようにすることで、セルホルダ212の内部を通過することによって電池セル211を冷却した冷却風をダクト部231Bに回収することができるため、冷媒の循環を容易にすることができる。
【0022】
また、固定部材232は、サイドプレート23を上部ケース3に固定するための部材であって、具体的には例えば、ピンや溶接ボルト等が用いられる。例えば後述する
図7では、固定部材232によってサイドプレート23が上部ケース3に固定されている様子が示される。
【0023】
次に、電池ユニット群21について詳述する。
図5は、電池ユニット群の構造例を示す図である。
図5に示したように、電池ユニット群21では、電池セル211とセルホルダ212とが交互に配置されており、隣り合う電池セル211とセルホルダ212とを1組の電池ユニットとしてみれば、複数の電池ユニットが積層された構造となっている。なお本例では、電池セル211とセルホルダ212は固着されず、エンドプレート22やサイドプレート23によって複数の電池ユニットが拘束される。このような電池ユニット群21によれば、故障等が発生した際に、個々の電池セル211やセルホルダ212の取り換えを容易に行うことができる。
【0024】
図6は、セルホルダの構造例を示す図である。
図6に示したように、セルホルダ212は、サイドプレート23で拘束される側の側面に開口部212Aが設けられ、下部ケース4の側の底面に開口部212Bが設けられ、内部に開口部212Aと開口部212Bとを繋ぐ通風部212Cが設けられている。
【0025】
このような構成を備えることによってセルホルダ212は、サイドプレート23のダクト部231Bから供給される冷却風を開口部212Aから取り入れ、通風部212Cを経由して開口部212Bから排出することができる。そしてセルホルダ212の内部を冷却風が通過すると隣接する電池セル211で発生した熱が冷却されることから、電池セル211を冷却することができる。なお、セルホルダ212における冷却風の吸排気の方向は逆であってもよい。また、
図6に示した各部の構造は一例であって、例えば、セルホルダ212において、より多くの開口部や通風路が設けられてもよい。
【0026】
ここまで、本実施の形態に係る電池パック1の各構成について説明してきた。以下では、このような各構成による電池パック1の全体的な特徴について説明する。
【0027】
まず、
図1を参照して説明したように、電池パック1のケース内部には、2つの電池モジュール2(2A,2B)が、それぞれのサイドプレート23が電池パック1の中央側で対向するように並列に配置され、連結部材41が各サイドプレート23のダクト部231B(より詳しくは穴部231C)と開口部3Aとを連通するように配置されている。
【0028】
電池パック1は、このような配置とすることで、各サイドプレート23のダクト部231Bが連結部材41を介して開口部3Aから電池パック1の外部に繋がるため、冷媒の供給や冷却風の吸排気をまとめて行うことができる。すなわち、外部への開口部をそれぞれの電池モジュール2のダクト部231Bごとに用意することなく、1か所にまとめることができるため、設計を容易にし、製造コストを低減することができる。
【0029】
ここで一例として、本実施の形態に係る電池パック1は、ダクト部231Bの開口部分(穴部231C)と開口部3Aとを略同じ高さになるよう配置することができる(
図2も参照)。このような配置にした場合、連結部材41は比較的単純な形状(例えば高低差のない筒状)でよくなるため、設計面での負担をさらに抑制することができ、製造コストをより低減する効果が得られる。さらに、ダクト部231Bから連結部材41を経由して開口部3Aに至るまでの冷媒経路について高低差をなくすことができるため、冷媒を吸排気させるための構造を単純化することができる。
【0030】
また、別の一例として、本実施の形態に係る電池パック1は、ダクト部231Bの開口部分(穴部231C)と開口部3Aとを異なる高さになるよう配置してもよい。このような配置にした場合、連結部材41は両者の高低差を解消する形状としなければならず、略同じ高さとして前例と比べて製造コストは嵩むものの、顧客からの要望や設計上の要望等に柔軟に対応可能な電池パック1を実現することができる。言い換えれば、連結部材41の形状を変更することによって、ダクト部231Bの開口部分(穴部231C)とは異なる高さに開口部3Aが設けられた筐体(上部ケース3,下部ケース4)であっても、筐体の内部に電池モジュール2を収納した電池パック1を実現することができ、電池パック1の形状の多様性を広げることができる。
【0031】
次に、電池パック1の断面に注目してその特徴を説明する。
図7は、電池パックの断面を説明するための図である。
図7は、
図2に例示した電池パック1について、電池モジュール2A,2Bそれぞれの電池セル211を横断する方向による断面の概略図である。
図7に示したように、電池パック1において、電池モジュール2A,2Bは、上部ケース3及び下部ケース4によって形成される筐体内部に配置されている。
【0032】
図7によれば、電池パック1は、並列された電池モジュール2A,2Bにおいて各サイドプレート23のダクト部231Bを平面合わせの態様で隣り合うようにしている。このような構成とすることによって、2つのダクト部231Bを1つの太い冷媒通路とみなすことができ、電池パック1における電池セル211の冷却効率を高めることができる。
【0033】
なお、本実施の形態に係る電池パック1において、ダクト部231Bは図示した形状に限定されず、他の派生的な形状であってもよい。具体的には例えば、ダクト部231Bの断面を台形形状としてもよい。また例えば、開口部3Aから離れた側(奥側)ほど、ダクト部231Bの断面を絞る(小さくする)ようにしてもよい。断面の絞り方は、上下の少なくとも一方を絞るものでもよく、左右の少なくとも一方を絞るものでもよく、またはその組み合わせであってもよい。何れにしても、ダクト部231Bの断面形状が奥側にいくほど絞られた場合には、冷媒の流速を得やすくなることが知られており、その結果、冷媒の循環を容易にしたり、冷却効率を向上させたりする効果が得られる。ただし、ダクト部231Bにこれらの派生的な形状を採用する場合でも、前段落で述べた冷却効果の向上を図るために、並列される電池モジュール2A,2Bのダクト部231Bが対向して配置され、かつその少なくとも一部が平面合わせとされることが好ましい。
【0034】
また、
図7を詳しく参照すると、電池パック1は、天面側においては、上部ケース3を挟んでサイドプレート23の固定部材232(例えば溶接ボルト)が固定部品5(例えばナット)で締められることによって、各電池モジュール2A,2Bが上部ケース3に固定されている。また、底面側においては、下部ケース4の固定部材42が固定部品5で締められることによって、各電池モジュール2A,2Bが下部ケース4に固定されている。
【0035】
このような構造を採用することで、本実施の形態に係る電池パック1では、電池パック1の外周において両ケース(上部ケース3,下部ケース4)が接合されるだけでなく、電池パック1内の中央付近に配置されるサイドプレート23の上下において、固定部品5によって電池モジュール2を両ケース(上部ケース3,下部ケース4)に固定することができ、サイドプレート23(及びその周辺部品)が柱の役割を果たすことができる。かくして、このような電池パック1は、両ケースの接合部分でしか固定できない場合に比べて、ねじり剛性を格段に高めることができ、電池パック1全体の剛性を高めることができる。
【0036】
以上に説明してきたように、本実施の形態に係る電池パック1によれば、電池モジュール2が備えるサイドプレート23において、電池セル211を拘束するためのサイドプレート部231Aと電池セル211を冷却するためのダクト部231Bとが一体化した部品として形成され、かつ、当該部品(プレート部材231、サイドプレート23)を比較的単純な構造で設計可能することができる。その結果、本実施の形態に係る電池パック1は、電池セル211の冷却と冷却用ダクトの構成という二つの機能を実現可能にするとともに、サイドプレート23の組み立て費用が抑制されることで電池モジュール2の製造コストを低減し、ひいては電池パック1の製造コストを低減することができる。
【0037】
なお、本実施の形態に係る電池パック1は、
図1に例示したように、2つの電池モジュール2A,2Bだけが収納されるものに限定されず、より多くの電池モジュール2が収納されてもよい。具体的には例えば、上部ケース3及び下部ケース4による収納空間において、サイドプレート23が対向するように対に配置される電池モジュール2A,2Bを組として、複数組の電池モジュール2を水平方向または垂直方向に並べてもよい。このとき、連結部材41は各組の電池モジュール2のサイドプレート23に連通するように構成されることが好ましい。
【0038】
また、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、前述したダクト部231Bの断面形状の変形例(台形形状、奥側にいくほど絞った形状)のように、様々な変形例が含まれる。上記の実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。すなわち、電池モジュール2が備えるサイドプレート23において、電池セル211を拘束するためのサイドプレート部231Aと電池セル211を冷却するためのダクト部231Bとが一体化した部品として形成される点を維持しながら、上記実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0039】
1 電池パック
2(2A,2B) 電池モジュール
21 電池ユニット群
211 電池セル
212 セルホルダ
212A,212B 開口部
212C 通風部
22 エンドプレート
23 サイドプレート
231 プレート部材
231A サイドプレート部
231B ダクト部
231C 穴部
232 固定部材
24 固定部品
3 上部ケース
3A 開口部
4 下部ケース
41 連結部材
42 固定部材
5 固定部品