(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6830533
(24)【登録日】2021年1月28日
(45)【発行日】2021年2月17日
(54)【発明の名称】抗IL−33抗体およびその使用
(51)【国際特許分類】
C07K 16/24 20060101AFI20210208BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20210208BHJP
C12P 21/08 20060101ALI20210208BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20210208BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20210208BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20210208BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20210208BHJP
A61P 11/06 20060101ALI20210208BHJP
A61P 11/02 20060101ALI20210208BHJP
【FI】
C07K16/24
C12N15/13ZNA
C12P21/08
C12N5/10
A61K39/395 N
A61P37/08
A61P17/00
A61P11/06
A61P11/02
【請求項の数】19
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2019-522272(P2019-522272)
(86)(22)【出願日】2017年10月24日
(65)【公表番号】特表2019-534282(P2019-534282A)
(43)【公表日】2019年11月28日
(86)【国際出願番号】US2017058020
(87)【国際公開番号】WO2018081075
(87)【国際公開日】20180503
【審査請求日】2019年6月21日
(31)【優先権主張番号】62/414,258
(32)【優先日】2016年10月28日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】594197872
【氏名又は名称】イーライ リリー アンド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100135943
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 規樹
(74)【代理人】
【識別番号】100209037
【弁理士】
【氏名又は名称】猪狩 俊博
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ベンスホップ,ロバート ジャン
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィス,ジュリアン
(72)【発明者】
【氏名】オクラグリー,アンジェラ ジャニーヌ
(72)【発明者】
【氏名】パテル,チェタンクマー ナトヴァーラル
(72)【発明者】
【氏名】トゥルーラー,ステファニー マリー
【審査官】
市島 洋介
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2015/099175(WO,A1)
【文献】
国際公開第2015/106080(WO,A1)
【文献】
国際公開第2016/077381(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00−15/90
C07K 1/00−19/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトIL−33に結合する抗体であって、
軽鎖可変領域(LCVR)および重鎖可変領域(HCVR)を含み、
前記LCVRが、相補性決定領域(CDR)LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含み、
前記HCVRが、CDR HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含み、
前記LCDR1のアミノ酸配列が配列番号16であり、前記LCDR2のアミノ酸配列が配列番号17であり、前記LCDR3のアミノ酸配列が配列番号18であり、
前記HCDR1のアミノ酸配列が配列番号13であり、前記HCDR2のアミノ酸配列が配列番号14であり、HCDR3のアミノ酸配列が配列番号15であり、
a.配列番号13の6位のXaaがPheであり、
b.配列番号15の2位のXaaがIleであり、
c.配列番号17の6位のXaaがLeuであり、
d.配列番号18の6位のXaaがProである、抗体。
【請求項2】
前記LCVRのアミノ酸配列が配列番号12であり、前記HCVRのアミノ酸配列が配列番号11である、請求項1に記載の抗体。
【請求項3】
軽鎖(LC)および重鎖(HC)を含み、前記LCのアミノ酸配列が配列番号10であり、前記HCのアミノ酸配列が配列番号9である、請求項1に記載の抗体。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の抗体を含む、医薬組成物。
【請求項5】
療法における使用のための、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
1つ以上のアレルギー性疾患の治療における使用のための、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記アレルギー性疾患が、アトピー性皮膚炎、喘息、アレルギー性鼻炎、または食物アレルギーである、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記アレルギー性疾患が、アトピー性皮膚炎である、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
好酸球性食道炎、強皮症/全身性硬化症、潰瘍性大腸炎、または慢性閉塞性肺疾患の治療に使用するための、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項10】
クローン病の治療における使用のための、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項11】
1つ以上のアレルギー性疾患の治療のための薬剤の製造における、請求項1〜3のいずれか一項に記載の抗体の使用。
【請求項12】
前記アレルギー性疾患が、アトピー性皮膚炎、喘息、アレルギー性鼻炎、または食物アレルギーである、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
前記アレルギー性疾患が、アトピー性皮膚炎である、請求項12に記載の使用。
【請求項14】
好酸球性食道炎、強皮症/全身性硬化症、潰瘍性大腸炎、または慢性閉塞性肺疾患の治療のための薬剤の製造における、請求項1〜3のいずれか一項に記載の抗体の使用。
【請求項15】
クローン病の治療のための薬剤の製造における、請求項1〜3のいずれか一項に記載の抗体の使用。
【請求項16】
配列番号9のアミノ酸配列を有するHCをコードするポリヌクレオチド配列を含み、かつ配列番号10のアミノ酸配列を有するLCをコードするポリヌクレオチド配列を含む、DNA分子。
【請求項17】
請求項16に記載のDNA分子で形質転換された哺乳動物細胞であって、前記細胞が、配列番号9のアミノ酸配列によって示されるHCおよび配列番号10のアミノ酸配列によって示されるLCを含む抗体を発現することができる、哺乳動物細胞。
【請求項18】
抗体を産生するためのプロセスであって、前記抗体が、2つのHCおよび2つのLCを含み、前記2つのHCのそれぞれのアミノ酸配列が、配列番号9のアミノ酸配列によって示され、前記2つのLCのそれぞれのアミノ酸配列が、配列番号10のアミノ酸配列によって示され、前記プロセスが、
a.前記抗体が発現されるような条件下で、請求項17に記載の哺乳動物細胞を培養することと、
b.前記発現した抗体を回収することと、を含む、プロセス。
【請求項19】
請求項18のプロセスによって得ることができる、抗体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医学の分野にある。より具体的には、本発明は、インターロイキン−33(IL−33)に対する抗体およびその医薬組成物に関する。本発明の抗体は、アトピー性皮膚炎の治療に有用であると期待される。
【0002】
アトピー性皮膚炎(アトピー性湿疹としても知られている)は、再発性の赤くかゆみのある病変を特徴とする慢性炎症性アレルギー性皮膚疾患である。アトピー性皮膚炎患者には、皮膚の不適切な免疫反応ならびに表皮の構造および機能の変化による皮膚の炎症の2つの主要な病態生理学的異常が認められる。炎症性浸潤物は、細胞の混合物、特にIL−4、IL−5、およびIL−13を発現する免疫細胞からなる。これらのサイトカインは、喘息およびアレルギー性鼻炎を含む他のアレルギー性疾患で上昇することが多い。
【0003】
アトピー性皮膚炎は、皮膚疾患に起因する主な致命的でない健康上の負担として説明される。それはほとんどの場合乳児期に始まり、10人の子供のうち2人に影響を与えるが、成人にも多発している。慢性アトピー性皮膚炎に罹患している大半の成人は、ほぼ生涯にわたる疾患を有する。目に見える病変によるかゆみ、睡眠不足、および社会的困惑は、患者およびその親戚の心理社会的幸福に大きな影響を及ぼす。小児では、健康関連の生活の質に対するアトピー性皮膚炎の影響は、喘息および糖尿病などの他の主要な小児期障害のそれと同じである。アトピー性皮膚炎を有する大半の人は、アレルギーの個人歴または家族歴がある。
【0004】
現在、アトピー性皮膚炎は治癒することができず、疾患管理の目的は、症状を制御または改善し、多段階のアプローチで長期の疾患制御を達成することである。主な原則は、皮膚軟化薬による継続的な表皮バリア修復、個々の誘発因子の回避、および局所用コルチコステロイドまたはカルシニューリン阻害薬による抗炎症療法である。重度の罹患例では、光線療法または全身性免疫抑制薬が用いられる。したがって、アトピー性皮膚炎を有する患者のための追加の有効な治療法が必要とされている。
【0005】
IL−33は、IL−1サイトカインスーパーファミリーのメンバーであり、主にケラチノサイト、上皮細胞、および内皮細胞によって発現される。IL−33は、数種類の先天性および後天性免疫細胞を活性化して他の炎症誘発性メディエーターの産生を引き起こし、最も頻繁には2型またはTヘルパー2(Th2)免疫応答を促進する上皮サイトカインとして特徴付けられる。当技術分野において公知のIL−33に結合し、それを中和する抗体がいくつかある。例えば、米国公開第2016/0168242A1号および国際公開第WO2015/106080A2号は、ヒトIL−33に結合するある特定の抗体を開示している。しかしながら、高い親和性でヒトIL−33に結合し、アトピー性皮膚炎などのアレルギー性疾患を治療するのに治療上有効である代替の抗体が必要とされている。改善された親和性および優れたIC
50は投薬上の利益を可能にし得る。
【発明の開示】
【0006】
本発明は、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、アレルギー性鼻炎、および喘息などのアレルギー性疾患を有する患者のための代替の抗体療法の必要性に対処する。いくつかの実施形態では、アレルギー性疾患はアトピー性皮膚炎である。本発明はまた、好酸球性食道炎、強皮症/全身性硬化症、潰瘍性大腸炎、および慢性閉塞性肺疾患を含む持続性炎症性疾患を有する患者のための代替の抗体療法の必要性にも対処する。本発明はまた、クローン病を有する患者のための代替の抗体療法の必要性にも対処する。
【0007】
本発明は、ヒトIL−33に結合する抗体を提供する。いくつかの実施形態では、本抗体は、軽鎖可変領域(LCVR)および重鎖可変領域(HCVR)を含み、LCVRは、相補性決定領域(CDR)LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含み、HCVRは、CDR HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含み、LCDR1のアミノ酸配列は配列番号16であり、LCDR2のアミノ酸配列は配列番号17であり、LCDR3のアミノ酸配列は配列番号18であり、HCDR1のアミノ酸配列は配列番号13であり、HCDR2のアミノ酸配列は配列番号14であり、HCDR3のアミノ酸配列は配列番号15である。いくつかのそのような実施形態では、配列番号13の6位のXaaはSerであり、配列番号15の2位のXaaはLeuであり、配列番号17の6位のXaaはalaであり、配列番号18の6位のXaaはSerである。他のそのような実施形態では、配列番号13の6位のXaaはPheであり、配列番号15の2位のXaaはLeuであり、配列番号17の6位のXaaはLeuであり、配列番号18の6位のXaaはProである。他のそのような実施形態では、配列番号13の6位のXaaはPheであり、配列番号15の2位のXaaはIleであり、配列番号17の6位のXaaはLeuであり、配列番号18の6位のXaaはProである。
【0008】
本発明はまた、ヒトIL−33に結合する抗体も提供し、本抗体は、LCVRおよびHCVRを含み、LCVRのアミノ酸配列は、配列番号4、配列番号8、または配列番号12であり、HCVRのアミノ酸配列は、配列番号3、配列番号7、または配列番号11である。特定の実施形態では、LCVRのアミノ酸配列は配列番号4であり、HCVRのアミノ酸配列は配列番号3である。別の特定の実施形態では、LCVRのアミノ酸配列は配列番号8であり、HCVRのアミノ酸配列は配列番号7である。別の特定の実施形態では、LCVRのアミノ酸配列は配列番号12であり、HCVRのアミノ酸配列は配列番号11である。
【0009】
本発明はまた、ヒトIL−33に結合する抗体も提供し、本抗体は、軽鎖(LC)および重鎖(HC)を含み、LCのアミノ酸配列は、配列番号2、配列番号6、または配列番号10であり、HCのアミノ酸配列は、配列番号1、配列番号5、または配列番号9である。特定の実施形態では、LCのアミノ酸配列は配列番号2であり、HCのアミノ酸配列は配列番号1である。別の特定の実施形態では、LCのアミノ酸配列は配列番号6であり、HCのアミノ酸配列は配列番号5である。別の特定の実施形態では、LCのアミノ酸配列は配列番号10であり、HCのアミノ酸配列は配列番号9である。
【0010】
本発明はまた、ヒトIL−33に結合する抗体も提供し、本抗体は、2つのLCおよび2つのHCを含み、各LCのアミノ酸配列は、配列番号2、配列番号6、または配列番号10であり、各HCのアミノ酸配列は、配列番号1、配列番号5、または配列番号9である。特定の実施形態では、各LCのアミノ酸配列は配列番号2であり、各HCのアミノ酸配列は配列番号1である。特定の実施形態では、各LCのアミノ酸配列は配列番号6であり、各HCのアミノ酸配列は配列番号5である。別の特定の実施形態では、各LCのアミノ酸配列は配列番号10であり、各HCのアミノ酸配列は配列番号9である。
【0011】
本発明はまた、本発明の抗体、および1つ以上の薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤を含む医薬組成物も提供する。いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物は、アレルギー性疾患の治療に使用することができ、そのような治療は、治療を必要とする患者に有効量の本発明の医薬組成物を投与することを含む。いくつかの特定の実施形態では、アレルギー性疾患は、アトピー性皮膚炎、喘息、アレルギー性鼻炎、または食物アレルギーである。いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物は、好酸球性食道炎、強皮症/全身性硬化症、潰瘍性大腸炎、または慢性閉塞性肺疾患の治療に使用することができる。いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物は、クローン病の治療に使用することができる。
【0012】
本発明は、アレルギー性疾患の治療方法も提供し、これには、治療を必要とする患者に有効量の本発明の抗体を投与することを含む。いくつかのそのような実施形態では、アレルギー性疾患はアトピー性皮膚炎である。他のそのような実施形態では、アレルギー性疾患は喘息である。他のそのような実施形態では、アレルギー性疾患は食物アレルギーである。他のそのような実施形態では、アレルギー性疾患はアレルギー性鼻炎である。本発明は、アトピー性皮膚炎の治療方法も提供し、これには、治療を必要とする患者に有効量の本発明の抗体を投与することを含む。いくつかの実施形態では、本発明は、好酸球性食道炎、強皮症/全身性硬化症、潰瘍性大腸炎、および慢性閉塞性肺疾患のうちの少なくとも1つの治療方法も提供し、これには、治療を必要とする患者に有効量の本発明の抗体を投与することを含む。いくつかの実施形態では、本発明はまた、クローン病の治療方法も提供する。
【0013】
本発明はまた、療法で使用するための、本発明の抗体またはその医薬組成物も提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、アレルギー性疾患の治療に使用するための、本発明の抗体またはその医薬組成物を提供し、アレルギー性疾患は、アトピー性皮膚炎、喘息、アレルギー性鼻炎、または食物アレルギーである。特定の実施形態では、本発明は、アトピー性皮膚炎の治療に使用するための、本発明の抗体またはその医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、好酸球性食道炎、強皮症/全身性硬化症、潰瘍性大腸炎、または慢性閉塞性肺疾患の治療に使用するための、本発明の抗体またはその医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、クローン病の治療に使用するための、本発明の抗体またはその医薬組成物を提供する。
【0014】
ある実施形態では、本発明は、アレルギー性疾患の治療のための薬剤の製造における、本発明の抗体またはその医薬組成物の使用も提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、アレルギー性疾患の治療のための薬剤の製造における、本発明の抗体またはその医薬組成物の使用を提供し、アレルギー性疾患は、アトピー性皮膚炎、喘息、アレルギー性鼻炎、または食物アレルギーである。特定の実施形態では、本発明は、アトピー性皮膚炎の治療のための薬剤の製造における、本発明の抗体の使用を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、好酸球性食道炎、強皮症/全身性硬化症、潰瘍性大腸炎、または慢性閉塞性肺疾患の治療のための薬剤の製造における、本発明の抗体またはその医薬組成物の使用を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、クローン病の治療のための薬剤の製造における、本発明の抗体またはその医薬組成物の使用を提供する。
【0015】
本発明はまた、本発明の抗体をコードする核酸分子にも関する。ある実施形態では、本発明は、HCをコードするポリヌクレオチド配列を含むDNA分子を提供し、HCのアミノ酸配列は、配列番号9である。いくつかのそのような実施形態によると、DNA分子は、配列番号20によって示されるポリヌクレオチド配列を有する。
【0016】
ある実施形態では、本発明は、LCをコードするポリヌクレオチド配列を含むDNA分子を提供し、LCのアミノ酸配列は、配列番号10である。いくつかのそのような実施形態によると、DNA分子は、配列番号21によって示されるポリヌクレオチド配列を有する。
【0017】
さらなる実施形態では、本発明は、配列番号9のアミノ酸配列を有するHCをコードするポリヌクレオチド配列を含み、かつ配列番号10のアミノ酸配列を有するLCをコードするポリヌクレオチド配列を含むDNA分子を提供する。特定の実施形態では、配列番号9のアミノ酸配列を有するHCをコードするポリヌクレオチド配列は配列番号20によって示され、配列番号10のアミノ酸配列を有するLCをコードするポリヌクレオチド配列は配列番号21によって示される。
【0018】
本発明はまた、DNA分子(複数可)で形質転換された哺乳動物細胞も提供し、その細胞は、本発明のHCおよびLCを含む化合物を発現することができ、HCは配列番号9によって示され、LCは配列番号10によって示される。また、本発明は、HCおよびLCを含む化合物を産生するためのプロセスを提供し、これには、本発明の抗体が発現されるような条件下で哺乳動物細胞を培養することが含まれる。本発明はまた、該プロセスによって産生される抗体も提供する。
【0019】
別の実施形態では、本発明は、新規エピトープにおいてヒトIL−33と接触する抗体を提供し、エピトープは、配列番号19の以下の残基:23位にSer、24位にPro、25位にIle、26位にThr、27位にGlu、28位にTyr、29位にLeu、69位にTyr、71位にGlu、83位にVal、84位にAsp、86位にLys、88位にLeu、126位にLeu、128位にAsn、129位にMet、132位にAsn、133位にCys、134位にVal、175位にGlu、および176位にThrを有する。そのような実施形態では、エピトープはX線結晶学によって決定され、結合Fab上の別の残基の4.5Å以内のIL−33上の任意の残基が接触部位と見なされる。したがって、本明細書で使用される場合、「エピトープ」という用語は、抗体の可変領域と接触している抗原の部位を指す。
【0020】
本明細書で使用される場合、「抗体」は、ジスルフィド結合によって相互接続された2つのHCおよび2つのLCを含む免疫グロブリン分子である。各LCおよびHCのアミノ末端部分は、その中に含有されるCDRを介した抗原認識を主に担う約100〜120個のアミノ酸の可変領域を含む。CDRは、フレーム領域(「FR」)と呼ばれる、より保存された領域とともに点散している。各LCVRおよびHCVRは、以下のFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4の順で、アミノ末端からカルボキシ末端に配置された3つのCDRおよび4つのFRからなる。LCの3つのCDRは、「LCDR1、LCDR2、およびLCDR3」と呼ばれ、HCの3つのCDRは、「HCDR1、HCDR2、およびHCDR3」と呼ばれる。CDRは、抗原と特異的相互作用を形成する残基の大部分を含有する。すなわち、CDRは、抗原の残基と(4.5Å以内で)接触している残基の大部分を含有する。したがって、抗体が特定の抗原に結合する機能的能力は、6つのCDR内のアミノ酸残基によって大きく影響される。本発明の抗体のLCVRおよびHCVR領域内のCDRドメインへのアミノ酸の割り当ては、周知のKabat番号付け規則(Kabat, et al., Ann.NY Acad.Sci.190:382−93(1971)、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Publication No.91−3242(1991))、North番号付け規則(North et al.,A New Clustering of Antibody CDR Loop Conformations,Journal of Molecular Biology,406:228−256(2011))、およびChothia(Chothia C,Lesk AM.Canonical structures for the hypervariable regions of immunoglobulins.J.Mol.Biol.1987;196:901−17.Chothia C,Lesk AM,Tramontano A,Levitt M,Smith−Gill SJ,Air G,Sheriff S,Padlan EA,Davies D,Tulip WR,et al.Conformations of immunoglobulin hypervariable regions.Nature.1989;342:877−83)に基づく。本発明の抗体のCDRは、表1に従って定義される。
【表1】
【0021】
本発明の抗体は、既知の方法を用いて調製および精製することができる。例えば、HC(例えば、配列番号9によって示されるアミノ酸配列)およびLC(例えば、配列番号10によって示されるアミノ酸配列)をコードするcDNA配列がクローニングされ、GS(グルタミンシンセターゼ)発現ベクター内に遺伝子操作され得る。次いで、遺伝子操作を受けた免疫グロブリン発現ベクターを、CHO細胞中に安定してトランスフェクトすることができる。当業者であれば理解されるように、抗体の哺乳類動物発現は、典型的には、Fc領域の高度に保存されたN−グリコシル化部位においてグリコシル化をもたらす。安定なクローンは、IL−33に特異的に結合する抗体の発現について確認することができる。陽性クローンは、バイオリアクターにおける抗体産生のために無血清培地中で増殖させることができる。抗体が分泌された培地は、従来の技術によって精製することができる。例えば、培地は、リン酸緩衝生理食塩水のような適合する緩衝液で平衡化したProtein AまたはG Sepharose FFカラムに便利に適用され得る。カラムを洗浄して、非特異的結合構成成分を除去する。結合した抗体は、例えばpH勾配により溶出され、抗体分画は、SDS−PAGEなどによって検出され、その後プールされる。抗体は、一般的な技法を用いて濃縮および/または滅菌濾過され得る。可溶性凝集体および多量体は、サイズ排除、疎水性相互作用、イオン交換、またはヒドロキシアパタイトクロマトグラフィーを含む、一般的な技法によって効率的に除去することができる。産物は、例えば−70℃で直ちに凍結させてもよく、または凍結乾燥させてもよい。
【0022】
本発明の抗体は、当技術分野において周知の方法によって調製することができ、本発明の抗体、および1つ以上の薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤を含む医薬組成物に組み込むことができる。
【0023】
有効量の本発明の抗体を含む医薬組成物は、本明細書に記載される疾患もしくは障害の危険性がある、またはそれを呈する患者に、非経口経路(例えば、皮下、静脈内、腹腔内、筋肉内、または経皮)によって投与することができる。「有効量」とは、所望の治療結果を達成するのに(投薬量で、ならびに投与の期間および手段に)必要な量を指す。有効量の抗体は、個人の病状、年齢、性別、及び体重、ならびに個人における所望の応答を誘発する抗体の能力などの要因に応じて変動し得る。有効量はまた、本発明の抗体の任意の毒作用または有害作用よりも治療的に有益な効果が上回る量でもある。
【0024】
本発明の抗体は、患者の治療に使用することができる。より詳細には、本発明の抗体は、アトピー性皮膚炎、喘息、アレルギー性鼻炎、および食物アレルギーなどのアレルギー性疾患を治療することが期待される。アレルギー疾患は、通常大半の人に無害である物質に対する異常な免疫応答を伴う一連の慢性状態である。本発明の抗体はまた、好酸球性食道炎、強皮症/全身性硬化症、潰瘍性大腸炎、および慢性閉塞性肺疾患を治療することも期待される。本発明の抗体はまた、クローン病を治療することも期待される。
【0025】
本明細書で互換的に使用される場合、「治療」および/または「治療すること」および/または「治療する」は、本明細書に記載される障害の進行の緩徐化、妨害、抑止、制御、停止、または反転が存在し得る全てのプロセスを指すことが意図されるが、全ての障害症状の完全な消失を必ずしも示さない。治療は、IL−33活性の低下から利益を得るであろうヒトにおける疾患または状態の治療のための本発明の抗体の投与を含み、(a)疾患のさらなる進行を阻害すること、および(b)疾患を軽減すること、すなわち、疾患もしくは障害の退行を引き起こすか、またはその症状もしくは合併症を緩和することを含む。
【0026】
抗体遺伝子操作
親のヒト抗IL−33抗体をヒトIL−33への結合について最適化した。これを達成するために、単離されたVHおよびVLのCDRを突然変異誘発によって無作為化し、得られた抗体を、ELISAを用いてヒトIL−33への結合についてスクリーニングした。次いで、親和性増強変異を組み合わせて抗体23を得、次いでこれを、フレームワークライブラリーアプローチを用いて最適化した。フレームワークライブラリーについては、抗体23CDRを含有する12のヒトVHフレームワーク生殖系列遺伝子(1−24、1−46、1−69、2−5、3−15、3−23、3−53、3−72、4−04、4−39、5−51、および6−01)ならびに8つのヒトVLフレームワーク遺伝子(A−19、A−26、A−27、B−2、B−3、L−2、L−12、およびO−2)を合成し、重鎖および軽鎖のヒトIgG4発現ベクターにクローニングした。96の重鎖および軽鎖の組み合わせ全ての293HEK一過性トランスフェクションの後、上清を、プレート上に直接コーティングしたヒトIL−33への結合、および抗ヒトカッパ抗体を有する上清からヒトIgGを捕捉した後の溶液中のビオチン化IL−33への結合についてELISAによりアッセイした。3−53重鎖ヒトフレームワークおよびA27ヒト軽鎖フレームワークを利用する、抗体抗体23由来のCDRを有するヒト抗体をさらなる開発のために選択した(抗体75)。一過性CHOにおける抗体75の発現は、抗体23と比較して高い発現力価をもたらした。さらに、抗体75の精製は、抗体23よりも高い精製収率をもたらした。抗体23と比較して、抗体75でもヘパリンへの非特異的結合の減少が観察された。全体として、抗体75は抗体23と比較して好ましい特性を有していた。抗体75は14.5pMの親和性でヒトIL−33に結合し、12,400pMの親和性でカニクイザルIL−33に結合し、これは種交差反応性において約850倍の差を表す。
【0027】
次いで、抗体75をカニクイザルIL−33への結合について最適化した。これを達成するために、抗体75の単離されたVHおよびVLのCDRを突然変異誘発によって無作為化し、得られた抗体をELISAによってヒトIL−33およびカニクイザルIL−33への結合についてスクリーニングした。次いで、ヒトIL−33に対する親和性に有意な影響を与えなかったカニクイザルに対する親和性増強変異を組み合わせて抗体54を得た。抗体54は46pMの親和性でヒトIL−33に結合し、217pMの親和性でカニクイザルIL−33に結合し、これは種交差反応性において5倍の差を表す。次いで、抗体54をさらに遺伝子操作して潜在的な免疫原性を低下させ、それにより抗体43が得られた。アミノ酸配列識別番号は、抗体43、54、および75について以下に提供される。
【表2】
【実施例】
【0028】
実施例1:例示の抗体の発現および精製
本発明の抗体は、周知の方法により生合成、精製、および投与用に製剤化することができる。HEK293またはCHOなどの適切な宿主細胞は、2つのベクターが使用される場合、所定のHC:LCベクター比を用いて抗体を分泌するための発現系、または重鎖および軽鎖の両方をコードする単一ベクター系を、一過性または安定のいずれかでトランスフェクトされる。これらの一般的に使用される宿主細胞からの抗体の発現および分泌に適したベクターは周知である。
【0029】
抗体の発現および分泌後、培地を清澄化して細胞を除去し、多くの一般的に使用される技法のうちのいずれかを用いて清澄化した培地を精製する。例えば、培地は、リン酸緩衝生理食塩水のような緩衝液(pH7.4)で平衡化したProtein AまたはGカラムに適用され得る。カラムを洗浄して、非特異的結合構成成分を除去する。結合された抗体は、例えばpH勾配(0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液pH6.8〜0.1Mクエン酸ナトリウム緩衝液pH2.5など)によって溶出される。抗体断片をSDS−PAGE等により検出し、次いでプールする。意図する使用に応じて、さらなる精製は任意選択的である。抗体は、一般的な技法を用いて濃縮および/または滅菌濾過され得る。宿主細胞および成長培地構成成分、ならびに抗体の可溶性凝集体および多量体などの抗体以外の他の材料は、サイズ排除、疎水性相互作用、陽イオン交換、陰イオン交換、親和性、またはヒドロキシアパタイトクロマトグラフィーを含む一般的な技術によって効果的に減少または除去され得る。これらのクロマトグラフィーステップ後の抗体の純度は、典型的には、95%を超える。産物は、−70°Cで凍結させてもよく、または凍結乾燥させてもよい。
【0030】
例示の抗体43は、それぞれ配列番号20および配列番号21のDNA配列を組み込んだ別個の重鎖および軽鎖発現DNAベクターの同時トランスフェクション後にCHO細胞において一過性に発現されたか、またはそれぞれ重鎖および軽鎖をコードする、配列番号20および配列番号21の両方のDNA配列を組み込んだ単一のDNAベクターのトランスフェクション後にCHO細胞において安定に発現されたかのいずれかであった。7日間の一過性CHO培養または14日間のCHOバルク培養のいずれかから採取した培地を清澄化し、得られた粗上清をProtein Aクロマトグラフィーによって精製した。抗体43は、Protein A樹脂に結合し、低pH緩衝液を用いて溶出された。一過性CHOから産生された物質については分取サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を使用するか、または安定なCHOから産生された物質についての研磨ステップとして陽イオン交換クロマトグラフィーを使用するいずれかで溶出した抗体をさらに精製した。抗体43の最終純度をSDS−PAGE、分析用SEC−HPLC、およびLC/MS分析によって評価した。Endosafe−PTS分析を使用して、エンドトキシンレベルは、<1EU/mgであることが示された。精製した抗体43をPBS(リン酸緩衝生理食塩水)、pH7.2中に4℃で保存した。
【0031】
インビトロ結合親和性および速度論
【0032】
ヒト、カニクイザル、マウス、ラット、およびウサギのIL−33に対する抗体43の結合速度論および親和性は、HBS−EP+(GE Healthcare、10mM Hepes pH7.4、150mM NaCl、3mM EDTA、0.05%界面活性剤P20)泳動緩衝液でプライミングされ、分析温度を37
oCに設定したBiacore T100またはT200機器のいずれかで表面プラズモン共鳴アッセイを用いて決定される。4つ全てのフローセル(Fc)上の固定化Protein Aを含有するCM4チップ(標準NHS−EDCアミンカップリングを使用して生成された)を使用して、捕捉方法を用いる。抗体試料を泳動緩衝液中10μg/mLで調製する。マウス、ラット、およびウサギのIL−33試料を、泳動緩衝液中1000、500、250、125、63、31、16、および0nMの最終濃度で調製する。ヒトおよびカニクイザルIL−33試料を、泳動緩衝液中250、125、63、31、16、8、4、2、1、および0nMの最終濃度で調製する。各分析サイクルは、(1)抗体試料を別個のフローセル(Fc2、Fc3、またはFc4)上に捕捉するステップ、(2)全てのフローセルに200μLのIL−33を100μL/分で注入するステップ、(3)複合体の解離を監視するために100μL/分で最低10分間緩衝液フローに戻るステップ、(4)7.5マイクロリットルのグリシン、pH1.5を2回連続して注入してチップ表面を再生するステップ、および(5)サイクルを繰り返す前に5分間チップ表面を平衡化するステップを伴う。各IL−33濃度を二つ組で注入する。データを、標準的な二重参照を用いて処理し、Biacore T100Evaluationソフトウェア、バージョン2.0.1を用いて1:1結合モデルに適合させて、会合速度(on速度、k
on、M
−1s
−1単位)および解離速度(off速度、k
off、s
−1単位)を決定する。K
D=k
off/k
onの関係から平衡解離定数(K
D)を計算し、これはモル単位によるものである。ヒトおよびカニクイザルIL−33への抗体43の結合について、3回の実験的反復(n)を実施する。
【0033】
本質的に上述のような手順に従って、抗体43は、ヒトIL−33およびカニクイザルIL−33に対して濃度依存的な結合応答を有した。注射されたマウス、ラット、およびウサギのIL−33の最高濃度(1000nM)で、結合応答シグナルは理論上の最大値の半分の応答シグナルに達しなかった。その結果、マウス、ラットおよびウサギのIL−33に対する抗体43のK
Dは、>1000nMであると推定された。上述と同様の方法を使用して、抗体75および抗体54の結合速度論および親和性を決定した。同様の方法を使用して、APE4909のHCVRおよびLCVR配列を有する抗IL−33IgG4抗体(本発明ではない)(WO15106080に開示されており、本明細書では「抗体6」と呼ぶ)の結合速度論および親和性も決定した。これらの結果を、表2に示す。
【表3】
【0034】
ヒトIL−33および他のIL−1ファミリーメンバーへの結合のインビトロでの特徴付け。
【0035】
BIAcoreバイオセンサー2000を使用して、抗体43のヒトIL−33に対する結合特異性を示し、例示の抗体がヒトIL−1タンパク質ファミリーの他のメンバーに結合しないことを示す。
【0036】
Protein A(Calbiochem)を、N−エチル−N−(ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド(EDC)およびN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)の混合物を使用して、遊離アミン基を介してCM5バイオセンサーチップ(GE Healthcare)のフローセル1および2上のカルボキシル基にカップリングさせる。陽性対照抗体を捕捉するために、ウサギ抗ヤギIgG(Fc特異的)をフローセル3にカップリングさせ、ウサギ抗ラットIgG(Fc特異的)をフローセル4にカップリングさせる(両方ともJackson ImmunoResearchから)。フローセルを、0.01MのHEPES、pH7.4、150mM NaCl、0.005%の界面活性剤P20を含有する緩衝液を使用して30μL/分の流速で監視する。抗体43をフローセル2上に捕捉して、合計300〜800応答単位を得る(RU;結果はフローセル2からフローセル1を引いたものを反映する)。結合試験の後に、各サイクルの間にグリシン−HCl(pH1.5)を使用した再生ステップが続く。フローセル1は、試験した分析物の非特異的結合を監視するための対照として使用される。例示の抗体は、500nMの濃度で、列挙されているヒトIL−1タンパク質ファミリーの全ての分析物で試験される。
【0037】
本質的に上述のような手順に従って、表3の結果は、抗体43がヒトIL−33にのみ結合し、IL−1ファミリーの他のメンバーには結合しないことを示す。
【表4】
【0038】
インビトロでのGEC NFκB−ルシフェラーゼレポーターアッセイにおけるIL−33の中和。
【0039】
NFκB−ルシフェラーゼ構築物で安定的にトランスフェクトされたヒト糸球体内皮細胞(GEC)を使用して、抗体43がIL−33誘導NFκB活性を阻害する能力を決定する。GEC株は、ST2受容体およびその共受容体IL1RAPを天然に発現する。ヒトIL−33に応答して、NFκB経路はGECにおいて活性化される。
【0040】
GEC−NFκB−luc細胞をアッセイ培地(EGM BulletKit培地(LONZA)およびピューロマイシン)中で培養する。アッセイの前日に、GEC−NFκB−luc細胞を、白壁コラーゲンI処理プレート(BD Biocoat)の50μl/ウェルに5,000細胞で平板培養し、プレートを一晩インキュベートする。
【0041】
翌日、細胞をIL−33の存在下、抗体43で処理した。各試験について、1ウェルあたり0〜133.3nMの用量範囲で、1ウェルあたり25μlの例示の抗体を添加する。次いで、25μlのヒトIL−33を各ウェルに126pMの最終濃度(MW=20kDaに基づく)で添加する。ヒト単量体ST2(IL1RL1)をアッセイにおける陽性対照として0〜142.9nM(MWに基づく最終濃度=35kDa)の用量範囲で使用し、アイソタイプ対照抗体をアッセイにおける陰性対照として0〜133.3nM(MWに基づく最終濃度=75kDa)の用量範囲で使用する。すべての試料は三つ組で実行される。96ウェルプレートを37℃、95%相対湿度、5%CO
2で4時間インキュベートし、その後100μl/ウェルのOne−Gloルシフェラーゼ溶液を添加してルシフェラーゼ活性を測定し、プレートをルミノメーター(Perkin Elmer Victor3)で読み取る。結果を、以下の表4に示す。
【表5】
【0042】
本質的に上述のような手順に従って、抗体43は、ヒトIL−33およびcyno IL−33を阻害するが、マウス、ラット、またはウサギのIL−33誘導NFκB活性を用量依存様式で阻害しない。ヒトおよびcyno中和についての3つの独立した実験からの平均IC
50を表4に要約する。陰性対照抗体は、試験したいずれの濃度でもGEC−NFκB−luc細胞におけるNFκB活性を阻害しなかった。
【0043】
インビトロでのヒト肥満細胞からのIL−33誘導GM−CSF分泌の中和
【0044】
抗体43での処理によるヒト肥満細胞におけるIL−33誘導GM−CSF放出の阻害を測定する。ST2(IL1RL1)受容体およびその共受容体IL1RAPを天然に発現するヒト肥満細胞は、StemSpan Medium(StemCell)およびSCF/IL−6を使用して培養においてヒト臍帯血幹細胞から分化される。アッセイの日に、肥満細胞を、培養培地中の96ウェル組織培養プレートに50μl/ウェルの50,000細胞で平板培養する。細胞を、抗体の存在下または不在下で、IL−33で処理する。各試験について、0〜30nMの用量範囲で、1ウェルあたり25μlの4×の例示の抗体を添加する。25μlの4×ヒトIL−33を各ウェルに0.5nMの最終濃度まで添加する。アッセイ培地単独を無処置対照として使用し、ヒト単量体ST2を0〜30nMの用量範囲で陽性対照として使用する。30nMで試験したアイソタイプ対照抗体を陰性対照として使用する。テストは三つ組で行われる。96ウェルプレートを組織培養インキュベーター(37℃、95%相対湿度、5%CO2)内に16時間置く。100μl/ウェルの上清を回収して、市販のELISA(R&D Systems)によりGM−CSFレベルを測定する。
【0045】
本質的に上述のような手順に従って、抗体43は、用量依存様式でヒト肥満細胞からのヒトIL33誘導GM−CSF分泌を完全に阻害し、IC
50は、0.3nMであり、これは陽性対照の可溶性受容体の7.6nMのIC
50よりも大きかった。別の同様の実験では、抗体54は、0.265nMのIC
50でヒト肥満細胞からのヒトIL33誘導GM−CSF分泌を阻害し、抗体6は、0.811nMのIC
50でヒト肥満細胞からのヒトIL33誘導GM−CSF分泌を阻害した。アイソタイプ対照抗体は、IL−33誘導GM−CSF分泌を阻害しなかった。結果は、2つの独立した実験を代表するものである。
【0046】
インビボでのIL−33誘導IL−5産生の阻害。
【0047】
インビボでのIL−33の中和を確認するために、抗体43がヒトIL−33機能を中和し、インビボでマウスIL−5の産生を阻害することができるかどうかを決定するために、C57BL/6マウス(n=5)に0.94mg/kg、0.282mg/kg、もしくは0.094mg/kgの抗体、または0.94mg/kgのアイソタイプ対照抗体を腹腔内注射する。注射の1日後、マウスに0.025mg/kgのヒトIL−33を腹腔内注射により投与する。ヒトIL−33投与の6時間後、マウスを屠殺し、血清を収集する。製造元の指示に従い市販のELISA(R&D Systems)を使用してマウスIL−5産生について血清を分析する。
【0048】
結果は、抗体43が用量依存様式でマウスIL−5の産生を完全に阻害することができることを示した。0.94mg/kg、0.282mg/kg、または0.094mg/kgの例示の抗体を注射したマウスの血清中のIL−5のレベルは、それぞれ0.03±0.004ng/mL、0.166±0.036ng/mL、および0.430±0.095ng/mLであった。陰性対照抗体は、マウスIL−5のヒトIL−33誘導産生を阻害しない。これらのデータは、抗体43がインビボでヒトIL−33の中和を介してマウスIL−5の産生を阻害することを示す。
【0049】
気道炎症モデルにおける代理マウスIL−33抗体のインビボ有効性
前臨床疾患モデルで使用するための、マウスIL−33(mIL−33)を中和するための代理抗体が開発されている。代用物は、インビトロアッセイにおいてmIL−33を中和するマウスIgG1モノクローナル抗体である。Alternaria投与に対する気道炎症反応に影響を与える抗mIL−33抗体の全身投与の能力は、インビボで決定される。雌のBALB/cマウス(1群あたりn=5)に、0日目に25mg/kgの抗mIL−33またはアイソタイプ対照抗体を皮下注射する。Alternaria投与30分前に、インビトロアッセイにおいてmIL−33を中和することができるIL−33の共受容体のうちの1つの可溶性形態であるマウスST2−Fc(陽性対照)を、1および2日目に、12.5mg/kgで腹腔内注射する。Alternaria抽出物(20μLのPBS中50μg)を、1および2日目に各マウスに鼻腔内投与する。マウスをCO
2吸入により3日目に屠殺し、血清の調製のために血液を心臓穿刺により直ちに収集する。
【0050】
気管支肺胞洗浄液(BAL)を、PBS注射の10回の洗浄(各500μLの洗浄)で肺を洗浄し、各マウスの露出した気管のカニューレを通して引き出すことによって調製する。BAL液を200gで10分間遠心分離し、上清を除去し凍結する。細胞を1mLのACK緩衝液(Sigma)に再懸濁して赤血球を溶解し、洗浄し、計数のために0.5mLのPBSに再懸濁する。好酸球は、好酸球希釈液および染色剤(ENG Scientific、カタログES−3101)を使用して計数し、全細胞はトリパンブルーを用いて計数する。市販のマウスIL−5およびキチナーゼ3様3/YM1(Chi3L3/YM1)ELISA(R&D Systems)を使用して、および抗体曝露についてBAL液をアッセイする。結果を、以下の表5に示す。
【表6】
【0051】
本質的に上述のような手順に従って、Alternaria投与は、BAL液中に存在する細胞、主に好酸球の数を増加させた。それはまた、IL−5およびChi3L3/YM1などのサイトカインの産生も誘導した。抗mIL−33抗体の全身投与は、BAL細胞計数によって測定されるように、好酸球および全細胞浸潤を有意に減少させ、BAL液中のIL−5およびChi3L3/YM1レベルを減少させた。これらの結果は、この気道炎症モデルにおいて、mIL−33の阻害が複数の炎症マーカーを減少させることを示す。
【0052】
X線結晶学によるエピトープマッピング
X線結晶学
hIL33:FAB複合体の10.6mg/ml溶液を、特注および市販のスクリーンを用いて結晶についてスクリーニングする。MRC2(SWISSCI)シッティングドロッププレート中の50μLのウェル溶液(0.2Mの硫酸アンモニウムおよび30%w/vのポリエチレングリコール8,000)とともに400nL+400nL(タンパク質+ウェル溶液)の結晶化滴として、22℃で蒸気拡散実験を設定する。結晶化を助けるために20mM酢酸マグネシウムをタンパク質に添加する。得られた結晶を、低温剤として添加された20%エチレングリコールを含有するウェル溶液に素早く浸した後に液体窒素中で急速冷凍する。X線回折データは、LRL−CAT31−ID(Advanced Photon Source,Argonne,IL)でシンクロトロン放射を用いて収集される。180フレームを0.97931Åの波長で1°振動で収集し、CCP41パッケージで処理する。
【0053】
結晶は、単位格子定数a=70.1Åb=194.9Åc=46.5Åα=β=γ=90°を有するP21212空間群のものである。hIL33:FAB複合体の分子置換溶液は、PDB構造4KC3からの入力モデルおよびMOE3(v2014.9)抗体モデリングツールを用いて生成されたFABモデルを使用して、Phaser2を用いて得られる。分子置換溶液は、非対称単位中に1つの複合体を含有する。続いてこの溶液は、Buster4およびCoot5を用いた複数回の精密化およびモデル構築を経て、1.40ÅでのRworkが17.8%、Rfreeが20.3%の最終構造をもたらす。
【0054】
hIL33エピトープは、MOE3(v2015.10)のProtein Contactsツールを用いて、hIL33:FAB複合体の高解像度結晶構造についてマッピングされる。このツールは、「距離」、「共有結合」、「アレーン」、「イオン」、および「h結合」相互作用を評価するために使用される。鎖間相互作用についての出力をマイクロソフトエクセルで残基レベルまで蒸留してhIL33エピトープ残基を特定する。最終リストは、任意のFAB残基の4.5Å以内にあるhIL33残基を含有する。
【0055】
本質的に上述のような手順に従って、抗体75と同じCDRを有する抗体は、配列番号19の以下の残基:23位のSer、24位のPro、25位のIle、26位のThr、27位のGlu、28位のTyr、29位のLeu、69位のTyr、71位のGlu、83位のVal、84位のAsp、86位のLys、88位のLeu、126位のLeu、128位のAsn、129位のMet、132位のAsn、133位のCys、134位のVal、175位のGlu、および176位のThrによって示されるエピトープでヒトIL−33と接触する。抗体54および抗体43も、ヒトIL−33上の実質的に同様のエピトープと接触する。
【0056】
配列
抗体75のHC(配列番号1)
EVQLVETGGGLIQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSAISGSGGSTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARTLHGIRAAYDAFIIWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLG
【0057】
抗体75のLC(配列番号2)
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQSVGINLSWYQQKPGQAPRLLIYGASHRATGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCHQYSQSPPFTFGGGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
【0058】
抗体75のHCVR(配列番号3)
EVQLVETGGGLIQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSAISGSGGSTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARTLHGIRAAYDAFIIWGQGTLVTVSS
【0059】
抗体75のLCVR(配列番号4)
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQSVGINLSWYQQKPGQAPRLLIYGASHRATGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCHQYSQSPPFTFGGGTKVEIK
【0060】
抗体54のHC(配列番号5)
EVQLVETGGGLIQPGGSLRLSCAASGFTFSFYAMSWVRQAPGKGLEWVSAISGSGGSTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARTLHGIRAAYDAFIIWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRW
QEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLG
【0061】
抗体54のLC(配列番号6)
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQSVGINLSWYQQKPGQAPRLLIYGASHRLTGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCHQYSQPPPFTFGGGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
【0062】
抗体54のHCVR(配列番号7)
EVQLVETGGGLIQPGGSLRLSCAASGFTFSFYAMSWVRQAPGKGLEWVSAISGSGGSTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARTLHGIRAAYDAFIIWGQGTLVTVSS
【0063】
抗体54のLCVR(配列番号8)
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQSVGINLSWYQQKPGQAPRLLIYGASHRLTGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCHQYSQPPPFTFGGGTKVEIK
【0064】
抗体43のHC(配列番号9)
EVQLVETGGGLIQPGGSLRLSCAASGFTFSFYAMSWVRQAPGKGLEWVSAISGSGGSTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARTIHGIRAAYDAFIIWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLG
【0065】
抗体43のLC(配列番号10)
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQSVGINLSWYQQKPGQAPRLLIYGASHRLTGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCHQYSQPPPFTFGGGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
【0066】
抗体43のHCVR(配列番号11)
EVQLVETGGGLIQPGGSLRLSCAASGFTFSFYAMSWVRQAPGKGLEWVSAISGSGGSTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARTIHGIRAAYDAFIIWGQGTLVTVSS
【0067】
抗体43のLCVR(配列番号12)
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQSVGINLSWYQQKPGQAPRLLIYGASHRLTGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCHQYSQPPPFTFGGGTKVEIK
【0068】
HCDR1(配列番号13)
GFTFSXYAMS
配列中、6位のXは、SまたはFである。
【0069】
HCDR2(配列番号14)
AISGSGGSTYYADSVKG
【0070】
HCDR3(配列番号15)
TXHGIRAAYDAFII
配列中、2位のXは、LまたはIである。
【0071】
LCDR1(配列番号16)
RASQSVGINLS
【0072】
LCDR2(配列番号17)
GASHRXT
配列中、6位のXは、AまたはLである。
【0073】
LCDR3(配列番号18)
HQYSQXPPFT
配列中、6位のXは、SまたはPである。
【0074】
ヒトIL−33アミノ酸95〜270(配列番号19)
AFGISGVQKYTRALHDSSITGISPITEYLASLSTYNDQSITFALEDESYEIYVEDLKKDEKKDKVLLSYYESQHPSNESGDGVDGKMLMVTLSPTKDFWLHANNKEHSVELHKCEKPLPDQAFFVLHNMHSNCVSFECKTDPGVFIGVKDNHLALIKVDSSENLCTENILFKLSET
【0075】
配列番号9のHCをコードするDNA(配列番号20)
GAGGTGCAGCTGGTGGAGACTGGAGGAGGCTTGATCCAGCCTGGGGGGTCCCTGAGACTCTCCTGTGCAGCCTCTGGATTCACCTTTAGCTTTTATGCTATGAGCTGGGTCCGCCAGGCTCCAGGGAAGGGGCTGGAGTGGGTCTCAGCTATTAGTGGTAGTGGTGGTAGCACATACTACGCAGATTCCGTGAAGGGCCGATTCACCATCTCCAGAGACAATTCCAAGAACACGCTGTATCTTCAAATGAACAGCCTGAGAGCCGAGGACACGGCCGTGTATTACTGTGCGAGAACGATCCACGGTATACGCGCAGCCTATGATGCTTTTATTATCTGGGGCCAGGGCACCCTGGTCACCGTCTCCTCAGCTTCTACCAAGGGCCCATCGGTCTTCCCGCTAGCGCCCTGCTCCAGGAGCACCTCCGAGAGCACAGCCGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCGGTGACGGTGTCGTGGAACTCAGGCGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCGGCTGTCCTACAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCTCCAGCAGCTTGGGCACGAAGACCTACACCTGCAACGTAGATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTGGACAAGAGAGTTGAGTCCAAATATGGTCCCCCATGCCCACCCTGCCCAGCACCTGAGGCCGCCGGGGGACCATCAGTCTTCCTGTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACTCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACGTGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCAGGAAGACCCCGAGGTCCAGTTCAACTGGTACGTGGATGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTTCAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAACGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGGCCTCCCGTCCTCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAGCCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCAGGAGGAGATGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTACCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAAAGCAATGGGCAGCCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAGGCTAACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGGAGGGGAATGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACACAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCTGGGT
【0076】
配列番号10のLCをコードするDNA(配列番号21)
GAAATTGTGTTGACGCAGTCTCCAGGCACCCTGTCTTTGTCTCCAGGGGAAAGAGCCACCCTCTCCTGCAGGGCCAGTCAGAGTGTTGGCATCAACTTGTCCTGGTACCAGCAGAAACCTGGCCAGGCTCCCAGGCTCCTCATCTATGGTGCATCCCATAGGCTAACTGGCATCCCAGACAGGTTCAGTGGCAGTGGGTCTGGGACAGACTTCACTCTCACCATCAGCAGACTGGAGCCTGAAGATTTTGCAGTGTATTACTGTCATCAATATAGTCAACCACCTCCCTTCACTTTCGGCGGAGGGACCAAGGTGGAGATCAAACGGACCGTGGCTGCACCATCTGTCTTCATCTTCCCGCCATCTGATGAGCAGTTGAAATCTGGAACTGCCTCTGTTGTGTGCCTGCTGAATAACTTCTATCCCAGAGAGGCCAAAGTACAGTGGAAGGTGGATAACGCCCTCCAATCGGGTAACTCCCAGGAGAGTGTCACAGAGCAGGACAGCAAGGACAGCACCTACAGCCTCAGCAGCACCCTGACGCTGAGCAAAGCAGACTACGAGAAACACAAAGTCTACGCCTGCGAAGTCACCCATCAGGGCCTGAGCTCGCCCGTCACAAAGAGCTTCAACAGGGGAGAGTGC
また、本発明は以下を提供する。
[1]
ヒトIL−33に結合する抗体であって、それぞれ配列番号16の2つのLCDR1、それぞれ配列番号17の2つのLCDR2、それぞれ配列番号18の2つのLCDR3、それぞれ配列番号13の2つのHCDR1、それぞれ配列番号14の2つのHCDR2、およびそれぞれ配列番号15の2つのHCDR3を含む、抗体。
[2]
a.配列番号13の6位のXaaがSerであり、
b.配列番号15の2位のXaaがLeuであり、
c.配列番号17の6位のXaaがAlaであり、
d.配列番号18の6位のXaaがSerである、[1]に記載の抗体。
[3]
a.配列番号13の6位のXaaがPheであり、
b.配列番号15の2位のXaaがLeuであり、
c.配列番号17の6位のXaaがLeuであり、
d.配列番号18の6位のXaaがProである、[1]に記載の抗体。
[4]
a.配列番号13の6位のXaaがPheであり、
b.配列番号15の2位のXaaがIleであり、
c.配列番号17の6位のXaaがLeuであり、
d.配列番号18の6位のXaaがProである、[1]に記載の抗体。
[5]
各LCVRが、配列番号4、配列番号8、または配列番号12であり、各HCVRが、配列番号3、配列番号7、または配列番号11である、[1]に記載の抗体。
[6]
各LCVRが配列番号4であり、各HCVRが配列番号3である、[5]に記載の抗体。
[7]
各LCVRが配列番号8であり、各HCVRが配列番号7である、[5]に記載の抗体。
[8]
各LCVRが配列番号12であり、各HCVRが配列番号11である、[5]に記載の抗体。
[9]
各LCが、配列番号2、配列番号6、または配列番号10であり、各HCが、配列番号1、配列番号5、または配列番号9である、[1]または[5]に記載の抗体。
[10]
各LCが配列番号2であり、各HCが配列番号1である、[9]に記載の抗体。
[11]
各LCが配列番号6であり、各HCが配列番号5である、[9]に記載の抗体。
[12]
各LCが配列番号10であり、各HCが配列番号9である、[9]に記載の抗体。
[13]
[1]〜[12]のいずれか一項に記載の抗体と、1つ以上の薬学的に許容され得る担体、希釈剤、または賦形剤と、を含む、医薬組成物。
[14]
1つ以上のアレルギー性疾患の治療方法であって、治療を必要とする患者に、有効量の、[1]〜[12]のいずれか一項に記載の抗体を投与することを含む、方法。
[15]
前記アレルギー性疾患が、アトピー性皮膚炎、喘息、アレルギー性鼻炎、または食物アレルギーである、[14]に記載の方法。
[16]
前記アレルギー性疾患が、アトピー性皮膚炎である、[15]に記載の方法。
[17]
アトピー性皮膚炎の治療方法であって、治療を必要とする患者に、有効量の、[1]〜[12]のいずれか一項に記載の抗体を投与することを含む、方法。
[18]
好酸球性食道炎、強皮症/全身性硬化症、潰瘍性大腸炎、および慢性閉塞性肺疾患のうちの少なくとも1つの治療方法であって、治療を必要とする患者に、有効量の、[1]〜[12]のいずれか一項に記載の抗体を投与することを含む、方法。
[19]
クローン病の治療方法であって、治療を必要とする患者に、有効量の、[1]〜[12]のいずれか一項に記載の抗体を投与することを含む、方法。
[20]
療法における使用のための、[1]〜[12]のいずれか一項に記載の抗体。
[21]
1つ以上のアレルギー性疾患の治療における使用のための、[1]〜[12]のいずれか一項に記載の抗体。
[22]
前記アレルギー性疾患が、アトピー性皮膚炎、喘息、アレルギー性鼻炎、または食物アレルギーである、[21]に記載の抗体。
[23]
前記アレルギー性疾患が、アトピー性皮膚炎である、[22]に記載の抗体。
[24]
アトピー性皮膚炎の治療における使用のための、[1]〜[12]のいずれか一項に記載の抗体。
[25]
好酸球性食道炎、強皮症/全身性硬化症、潰瘍性大腸炎、または慢性閉塞性肺疾患の治療に使用するための、[1]〜[12]のいずれか一項に記載の抗体。
[26]
クローン病の治療における使用のための、[1]〜[12]のいずれか一項に記載の抗体。
[27]
1つ以上のアレルギー性疾患の治療のための薬剤の製造における、[1]〜[12]のいずれか一項に記載の抗体の使用。
[28]
前記アレルギー性疾患が、アトピー性皮膚炎、喘息、アレルギー性鼻炎、または食物アレルギーである、[27]に記載の使用。
[29]
前記アレルギー性疾患が、アトピー性皮膚炎である、[28]に記載の使用。
[30]
アトピー性皮膚炎の治療のための薬剤の製造における、[1]〜[12]のいずれか一項に記載の抗体の使用。
[31]
好酸球性食道炎、強皮症/全身性硬化症、潰瘍性大腸炎、または慢性閉塞性肺疾患の治療のための薬剤の製造における、[1]〜[12]のいずれか一項に記載の抗体の使用。
[32]
クローン病の治療のための薬剤の製造における、[1]〜[12]のいずれか一項に記載の抗体の使用。
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]