(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1に記載の電子システムにおいて、前記第1の構成部品が電子回路基板であって、前記第2の構成部品が、前記回路基板上の指定場所に取り付けた電子部品であることを特徴とする電子システム。
【技術分野】
【0001】
[発明の背景および概説]
本発明は、蛍光X線(XRF)の分野に関するものであり、特に、電子システムのXRFマーキングに関する。
【0002】
本発明は、電子システムなどの複合システムの相補型(互換性のある)部品を、一元化したマーキング/コーディングシステム/スキーム(One Board One Code(OBOC)コーディングシステム/スキームともいう)によってマーキングする新規な技術を提供する。
【0003】
特に、本発明は、基本的方法で(電子システムの部品の物理的マーキング)埋め込まれた元素IDの利用/使用を提供して、カスタマイズした電子部品のブランド保護及び/又は認証を提供し、及び/又は医療装置(及び、特に着用可能な医療デバイス)における電子機器の信頼性を提供し、及び/又はバーチャルサービスまたは製品と物理的操作システム間を結びつける(例えば、個人データとスマート衣料との間の結びつき)ブリッジリアビリティを提供する。
【0004】
本発明の様々な実施例では、複合電子システムは、回路基板(例えば、印刷回路基板(PCB)及び/又はフレキシブル回路)などの複数の部品、並びにプロセッサ及び/又はコントローラ及び/又はその他のチップ、及びその回路のトランジスタなど、回路基板上に電気的に接続/装着するべき電子部品、データ入力/出力/通信エレメント(例えば、RF及び/又はアンテナモジュール)、センサモジュール(慣性センサ、カメラ、マイクロホン、並びに温度及び/又は圧力及び/又は磁界センサ)、ユーザインタフェースモジュール(例えば、スクリーン、キーバッド)、及び/又は複合電子システムをその他の部品に電気的に接続(例えば、回路基板を介して)すべきそのシステムのその他の電子部品、を伴う集積回路を含むシステムであってもよい。代替的にあるいは追加で、このコンポジットシステムは、チップの集積回路ダイであるシステムの一の部品と、二次部品がダイが封入されているシステム(チップの)のパッケージである、電子チップであってもよい。更に代替的に又は追加で、コンポジット電子システム例えば、一又はそれ以上の個別部品(本件の場合、個別装置である)を含む分散型システムであってもよく、これらは、コンポジットシステムの動作を実行するように構成されており、共に動作可能である。例えば、コンポジット電子システムは、ヘルスモニタリング/治療コントローラデバイスや、このヘルスモニタリング/治療コントローラに接続可能な相補型スマートウエラブル製品装置(スマートガーメント)などの電子システム(例えば、電子制御システム)であってもよく、これによってヘルスコントローラ装置は、ユーザの状態を(例えば、この装置に関連する/接続された適切なセンサを使用することによって)モニタするように構成することができ、スマートウエアラブル製品は、ヘルスコントローラ装置からの信号に応答するように構成して、ユーザの皮膚に所定の物質を放出すること、及び/又は、ユーザの一またはそれ以上の身体部分に圧力をかけることによって、ユーザに治療を提供する。代替的に又は追加で、スマートウエアラブルデバイスは、ユーザが測定可能な健康パラメータを(例えば、ユーザの体温及び/又は血圧及び/又は発汗率及び/又はその他の測定可能な健康パラメータ)を測定するセンサとして働き、ヘルスコントローラ装置は、スマートウエアラブルデバイスからの信号に応答して、例えば、適切な警告を発すること(ユーザとの、及び/又はその他の存在物への通信を介して)、及び/又はその他の治療プロバイダーモジュール(例えば、心臓ペースメーカー、インスリン注射及び/又はその他の治療プロバイダーモジュール))を操作することによって、ユーザの治療の提供を開始するように構成され操作可能である。
【0005】
一般的に、複合電子システムは、いくつもの相補的(互換性のある)部品を具えており、これらの部品のすべてあるいはいくつかは、本発明のOBOCコーディングスキームでマークすることができる。しかしながら、明確化のため及び本発明の範囲を限定することなく、以下の説明では、本発明のOBOCスキームによってマークされたシステムの第1と第2の二つのみの相補的(互換性のある)部品について述べられており、例示されている。
【0006】
本発明のOBOCマーキング技術によれば、複合電子システムの少なくとも二つの相補的/互換性部品が、それぞれのXRFで認識可能なマーキング組成物でマークされている。これらは、それぞれ、XRF技術で読み取り可能な、同様の、及び/又はマッチングした、及び/又は対応するXRFシグネチュアであるキャリー/エンコード相補的XRFシグネチュアにコード化される。相補的(同様/マッチング/対応する)シグネチュアのXRFマーキングによってマークされた第1及び第2の相補的/互換性部品には、例えば:(i)複合システムの電子回路基板と、その上に/それに装着した/接続した少なくとも一の電子部品;及び/又は(ii)複合電子システムのパッケージ(例えば、チップのパッケージ)と、その集積回路(例えば、ダイ);及び/又は(iii)複合システムの第1及び第2の個別モジュール/デバイス(例えば、コントロールデバイスとスマートウエアラブルガーメント)であり、これらは互いに有線又は無線で接続可能である。
【0007】
この点に関して、フレーズが同様のシグネチュアを使用して、複合システムの二つの構成部品のXRFマーキングのXRFスペクトル応答が、その少なくとも所定の部分(例えば、その少なくとも一のスペクトル部分)において同様であるケースを特に指定すること、及び/又はこれらは同様のマーキング組成物を表していることに留意すべきである。この結果、同様のXRFシグネチュアは、そのシグネチュアを搬送しているそれぞれのXRF信号が発せられた各基板中の濃度が同じである活性、XRF応答、マーカーエレメントに関連はしているが、XRFマーキングが形成される基板の効果によって、及び/又は、基板にマーキングを形成する技術によって、実際のXRFスペクトルは異なるであろう。フレーズが合致しているシグネチュアを使用して、シグネチュア間の合致が所定のあらかじめ決められた数式/制約に基づいてXRFシグネチュアを処理して決定することができ、これらが相補的であるかどうか(例えば、関連する外部データを利用する必要なく、シグネチュア間にマッチングが存在するかどうか)を決定するケースを特に指定する。この観点では、同様のシグネチュアは、合致の制約がその間で等しいマッチングシグネチュアという特別な場合である。シグネチュア間のマッチングを(シグネチュアを数値に変換した後に)決定するもう一つの方法は、例えば、その加算和が所定のチェック和の値に至るかどうかをチェックすることである。ここでは、XRFシグネチュアに対応するフレーズを用いて、シグネチュア間の対応性が適切な技術(例えば、シグネチュア間の対応性を規定するルックアップテーブル(LUT)などの基準データを利用して)で認証できるケースを指定する。この結果、マッチングシグネチュアは、通常、特定のケースの対応するシグネチュアであり、ここでは、そのマッチングがシグネチュア間の所定の関係で決まり、したがって、外部基準データを使用する必要がない。
【0008】
本発明のマーキング技術とコーディングシステムは、カスタマイズした電子部品(カストノミクス)とパーソナライズした電子部品の製造に利用することができる。例えば、スマートガーメント(例えば、医療用)に埋め込んだ回路中のコードや、ガーメント自体は、個人に関連するコードでマークすることができる。このようなスマートガーメントは、例えば、病状(例えば、処方箋として)を携えた者用のカスタムメイドであってもよく、XRFマーキングは、カスタマイズしたガーメントが本人に供給されることを認証するのに用いることができる。
【0009】
XRFマーキングは、以下の目的に使用することができる。
・回路基板や様々な構成部品をマーキングする偽造防止手段。特に、XRFマーキングは、組み立て中に、回路基板上に組み立てるべき部品が「真正」であり、オリジナルの製造者によって製造されたことの認証に使用することができる。本発明のこの態様は、供給者並びにエンドユーザに信憑性と安全性の手段を提供できる。例えば、回路基板を受け取ると、ユーザはマーキングを用いて、様々な部品の源又はタイプが本物であることを確認することができる。さらに、このマーキングによって、ユーザは回路の所有権を受け渡すことができ(例えば、修理又はアップグレード用)、回路が改ざんされていないことを証明する能力を有することができる。例えば、ユーザはいずれの部品も交換されておらず、また、認証を受けた部品のみがインストールされていることを確認できる。さらに、マーキングを用いて、その部品が回路基板の「正しい」位置に組み立てられていることを確認することができる。
・部品製造者は、このようなマーキングを用いて、部品が「正しい」送り先に送られ、製造者の部品の認証されていない取引が防止されていることを確認できる。
・供給チェーン管理と供給チェーンの目的地外配送をコントロールできる。ここで、マーキングは供給と製造活動のコントロールに関連する情報を含んでいてもよい。例えば、複数のマーキング組成物を異なる製造及び/又は、供給ステージで形成して、現在の製造ステージの表示を提供する。
・スマート衣服(ウエアラブルデバイス)の製造者は、ガーメント(ウエアラブル物体)と、回路及び電子部品の一方又は両方にこのようなマーキングを用いることができる。ガーメントに組み付ける/取り付けるべき回路及び電子部品は真正品であり、互換性がある。特に、このようなマーキングは、医療目的に用いられるスマートウエアラブル物体では極めて重要であり(例えば、US2016/0022982を参照)。ここでは、ガーメントと回路基板の両方が特別な特性(例えば、ガーメントが導電スレッドを具えている)を有しており、高品質でなくてはならない。
【0010】
マーキング組成物は、回路基板と部品に、単一個所であるいは代替的に異なる施設で取り付けることができる。例えば、PCBの部品のXRFマーキングは、認定を受けた製造者の施設で取り付けることができる。これらのマーキングを回路基板の組み立て施設で読み取って、部品の源を認証できる。
【0011】
回路全体及びその部品は、同じ組成物/同じXRFシグネチュア/符号語でマークすることができる。代替的に、様々な部分又は部品は、同じXRFシグネチュア/コードの異なる符号語でマークすることができる。例えば、ある部品のXRFシグネチュアは、回路基板全体に関連するプレフィックス(例えば、その回路のタイプ、組み立て日、回路を送達すべき送り先又はクライアントを表す)と、部品に関連する情報を含むサフィックス(部品の型、製造者、製造日、その他)を具えていてもよい。
【0012】
マーキングに関連するコード化システムは、回路基板及び/又は単一部品上の異なる位置におけるマーキングの位置の構成がコードの一部を構成するように、局在したマーキングも含む。すなわち、マーキングの特定の位置がマーキングに関連する符号語に組み込まれている。換言すると、本発明のいくつかの実施例では、マーキングを読み取る方法/システム(例えば、XRFリーダー)が、撮像装置及び/又は画像認識手段などの、マーキングを行った部品(マーキングを行った回路基板)上のそのマーキングの位置を同定して決定し、(i)マーキングから取得したXRF信号と;(ii)マーキングを行った部品上のマーキングの位置の両方に基づいて、そのマーキングから読み取った符号語を決定する、操作手段を具えている。
【0013】
サプライチェーンを制御する(例えば、非認証サプライチェーンの目的外配送を制御する)目的で、複数のマーキング組成物(各々が異なるXRFシグネチュアを有する)を、サプライチェーン又は組み立てラインに沿った複数位置で回路基板に取り付け、XRFマーキングの読取が回路の組み立てに関連する情報を提供するようにする。
【0014】
回路基板にあるいはその部品に取り付けられたXRFマーキング組成物は、基板又はその部品の電気的又は磁気特性と干渉しない。また、XRFマーキング組成物は、回路基板の外観を変更しないようにして、他のキャプションマーキングやロゴがマーキング組成物の形成によって影響を受けないように構成されている(例えば、組成物自体が透明である、及び/又は、部品のマーキングを行った基板材料内に目に見えないように埋め込むようにしてもよい)。
【0015】
マーキング組成物は、医療用、フィットネス及び練習用、ならびにファッションやライフスタイル目的のウエアラブル製品やスマート衣服に設けることができるフレキシブル回路にも取り付けることができる。例えば、生体力学データを測定するスマートシューズ、外気温を調整するスマート衣服、及び/又は心拍数、皮膚湿度、皮膚温度など生体測定標識を測定するセンサを具えるガーメントである。スマートガーメントは、心停止の場合に電気ショックを心臓に送るといった治療目的に使用することもできる。
【0016】
スマートガーメントは、特別な材料と布(例えば、通気性のある布または導電スレッドを具える布)からできていてもよく、異なる製造者によって製造することができる。
【0017】
この場合のマーキング組成物は、フレキシブル回路(例えば、フレキシブル回路基板)と布の両方に取り付けて、両方の成分を認証することができる。さらに、マーキングは、品質コントロールとサプライチェーンのコントロールに使用することができ、ここでは、適切なXRFシグネチュア又はコードでマーキングした布と、関連する回路のみが互いに組み立てる/組み合わせることができる。
【0018】
このように、本発明の広い態様によれば、複数の構成部品を具える電子システムが提供されており、これは、少なくとも第1及び第2の電子部品を具える。第1電子部品は、XRF励起放射線による照射に応じて、第1XRFシグネチュアを有する第1XRF信号を発するように構成された第1XRFマーキング組成物を具える。第2電子部品は、XRF励起放射線による照射に応じて、第2XRFシグネチュアを有する第2XRF信号を発するように構成された第2XRFマーキング組成物を具える。第1及び第2のXRFマーキングは、それぞれ、第1電子部品の第1XRFシグネチュアが第2電子部品の第2XRFシグネチュアに対応するように構成されており、これによって、第1及び第2の電子部品がそれぞれ電子システムと互換性のある部品であることを認証することができる。
【0019】
本発明の別の広い態様によれば、少なくとも第1及び第2の電子部品を具える電子システムの部品の互換性を認証する方法が提供されている。この方法は:
− 電子システムに推定上関連する第1部品と第2部品を提供するステップと;
− XRF励起放射線を第1及び第2部品に照射するステップと;
− 第1及び第2部品からの照射に応答して一またはそれ以上のXRF応答信号を検出するステップと;
− 一またはそれ以上のXRF応答信号を処理して、第1及び第2部品の上の第1及び第2XRFマーキング組成物にそれぞれ関連する第1及び第2XRFシグネチュアを認識するステップと;
− 第1及び第2XRF信号の認識時に、第1及び第2のシグネチュアを処理して、これらのシグネチュア間の対応を決定し、第1及び第2部品の電子システムに対する互換性をこの対応性に基づいて認証するステップと;
を具える。
【0020】
なお、本発明の様々な実施例及び実装例では、システムのマーキングした構成部品が、異なる基板をそれぞれ具えており、これにXRFマーキングを取り付ける。したがって、異なる基板の異なる構成部品上で実行されたXRF測定の較正が必要である。
【0021】
したがって、本発明の更なる広い態様によれば、一またはそれ以上の基板材料に取り付けたXRFマーキングのXRF測定値を較正する方法が提供されている。この方法は:
− 様々な基板材料のサンプルと、様々な基板材料上のXRFマーカー元素の濃度の異なる様々なXRFマーキング組成物を具える複数のサンプルを提供するステップと;
− XRFアナライザによって特定の基板材料の複数のサンプルを尋問して、各サンプルについてXRFマーキング元素に関連する所定のエネルギィ範囲の光子を表す秒当たりのカウント値を決定するステップと;
− 基板材料に取り付けたXRFマーカの測定に使用する較正データXRFを決定し、保存するステップであって、この較正データが、複数のサンプル中のXRFマーカー元素のあらかじめ決められた/従来知られている濃度を各サンプルから取得した対応するCPSsに関連付けるデータを含む、ステップと;
を具える。この場合、較正データは、各サンプルから取得したCPSsに基づいてマーキングの符号語を決定するのに使用することができる。
【0022】
代替的に又は追加で、較正手順は、所定のマーキング組成物を形成した所定の基板サンプル(既知の材質とおそらく既知のテキスチュアを有する)から取得したXRF応答スペクトル(例えば、CPSs)を決定するステップと、そのXRF応答をマークした基板に関連する符号語として記録するステップ、すなわち、所定のマーキング組成物による所定の基板のマーキング、とを具える。この場合、XRF応答スペクトル自体(おそらく、マークされている物体上のマーキング位置などの追加情報と共に)は、所定のマーキングではあるが、所定の基板上/中のものに関連する符号語を表している。すなわち、この場合、符号語は、マーキング元素の濃度/相対濃度に関連するものではなく、これを直接表しているものでもないが、基板とマーキング形成技術の特性に関連しており、これによって影響を受ける。すなわち、独自のXRFシグネチュアが予め決められた「読取」(励起)放射線に対するマーキングした基板の組合わせた応答によって形成される。例えば、多量の同じ対象物/基板(すなわち、同じ技術で製造され、同じ又は非常に良く似た材料組成物とレイアウトとを有する物体)が、同じ基準/較正XRFシグネチュアに関連している(これによって同定可能である)このようなシグネチュアは、保存時に決まり、対象物の一つ(又は試験対象物)にマーキングを形成し、このマーキングからのXRF応答を読み取るときに、基準シグネチュアとして作用する。
【0023】
また、所定の実装例では、この方法は、別のXRFパラメータとのXRF尋問を適用することによって実行するSNR最適化ステップを実行するステップを具えており、基板材料のXRF測定値のSNRを最適化するXRFパラメータの最適化セットを決定し、選択的に、このXRFパラメータの最適カセットを較正データ内に保存する。
【0024】
本発明の更なる実施例によれば、物体の尋問を行い、物体に形成したマーキング組成物のスペクトルXRFシグネチュアを表すXRF応答信号を検出するXRF分析器を具えるXRFリーダと;スペクトルXRFシグネチュアと、XRFマーキング元素が含まれている対象物のXRFマーキング元素の濃度間の対応を表す較正データに関連するシグネチュア較正モジュールとを具える。このシグネチュア較正モジュールは、このスペクトルXRFシグネチュアを利用して、較正データに基づいて対象物中のXRFマーキング元素の濃度を決定するように構成されている。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1を参照すると、XRFマーキングでマークした複数の構成部品を具える電子システム100のブロック図が示されている。この特定の例では、電子システム100が2つの構成部品C1とC2と共に示されており(以下、第1及び第2の電子部品という)、これらは、それぞれ、XRFシグネチュアに関連するXRF第1及び第2マーキング組成物XRFM
1とXRFM
2によってマーキングされている。なお、通常は、XRFマークでマーキングした2つ以上の部品がシステム100に含まれていてもよい。
【0027】
本発明の様々な実施例では、構成部品C1とC2が、回路基板とその上に装着した電子部品といった、電子システム100の電子部品を具えている、及び/又は、構成部品C1とC2が、共にシステム100を構成するコントロールユニット/デバイスとスマートウエアラブルデバイスといった、分散した電子システム100の個別デバイスを具えている、及び/又は、構成部品C1とC2が電子モジュールとそのケース/パッキング/エンクロージャを具えていてもよい。また、本発明の様々な実施例では、構成部品C1及びC2の第1及び第2のXRFマーキング組成物XRFM
1とXRFM
2が、以下の一またはそれ以上を表すマークである:各構成部品C1とC2のブランド、構成部品C1とC2製造詳細(例えば、製造者名、製造場所、製造日、LOT番号、その他)、及び/又は、構成部品C1とC2のシリアル番号などの個別部品の識別を表すマークであってもよい。したがって、XRFマーキング組成物XRFM
1とXRFM
2は、部品の基本的な識別(例えば、シリアル番号、ブランド、及び/又は製造者)を表す。
【0028】
なお、本発明の様々な実施例では、XRFマーキングXRFM
1及びXRFM
2が異なる構成部品中の別々の基板材料(例えば、ある構成部品はXRFマーカが含まれているポリマー基板を具える一方、もう一つの構成部品は、XRFマーカが含まれる基板として作用する天然繊維を具える)内に形成(例えば、上に塗布されている、及び/又は、埋め込まれている/混入されている)。この点に関して、用語、基板及び/又は基板材料は、XRFマーキング組成物が形成/埋め込まれている電子システムの構成部品のベース材料(例えば、媒体/基板材料)を表すのに使用されている。したがって、異なる構成部品のマーキング組成物は、システムの異なる構成部品内にマーキング組成物を形成すべき基板に応じて、異なるプロモータ及び/又は異なるバインダ材料を具えていてもよい。
【0029】
本例では、第1電子部品C1が、放射を励起するXRFによる自身の放射に応答して、第1XRFシグネチュアXRFS
1を有する第1XRF信号を発するように構成された第1XRFマーキング組成物XRFM
1を具える。第2電子部品C2は、放射を励起するXRFによる自身の放射に応答して、第2XRFシグネチュアXRFS
2を有する第2XRF信号を発するように構成された第2XRFマーキング組成物XRFM
2を具える。
【0030】
本発明によれば、第1及び第2XRFマーキング組成物であるXRFM
1とXRFM
2は、それぞれ、第1電子部品C1から得られる第1XRFシグネチュアXRFS
1が、第2電子部品C2から得られる第2XRFシグネチュアXRFS
2に対応するように構成されている。XRFマーキング組成物であるXRFM
1とXRFM
2は、これによって、元素同定コード化を提供し、第1及び第2電子部品がそれぞれ、電子システムの互換性のある構成部品(例えば、相補型部品)であるとの認証を可能にしている。部品C1およびC2内に埋め込まれた元素(以後、自身の放射に応答して蛍光X線を発する化学元素を表す活性XRF元素ともいう)に関連するマーキングに基づいているという意味で基本的である元素同定は、例えば、ブランド保護、カスタマイズ化した電子部品の認証、医療デバイス(例えば、特にウエアラブル医療デバイス)の電子部品の信頼性の提供、及びバーチャルサービス又は製品と、フィジカルに操作可能なシステムの結合(例えば、個人データとスマート衣料の結び付け)に対する橋渡し責任を提供、に使用できる/これらを容易にする。
【0031】
図1は、本発明に係る電子システム100の相補型/互換性部品C1及びC2のマーキングに使用する、相補型マークXRFM
1とXRFM
2のXRFシグネチュアであるXRFS
1とXRFS
2との存在し得る関係を例示した表である、表1を示す。この点に関して、二つの部品C1及びC2のみがこの図に例示されているが、システム100は、マーク間に表1に例示したものと同様の関係を持つ複数のXRFでマーキングした部品がいくつあってもよいと解するべきである。
【0032】
特に、本発明の所定の実施例では、システム100の各部品C1とC2上のXRFマーキング組成物であるXRFS
1とXRFS
2は、XRFを励起する放射(例えば、システムまたはその部品にX線またはγ線放射を照射することによって得られた励起放射線)に応答して組成物から発せられたXRF信号が、XRFシグネチュアであるXRFS
1とXRFS
2間のマッチングに基づくように構成されている。さらに、マッチングは、XRFシグネチュアの所定のあらかじめ決められた相互関係条件(例えば、関数(XRFS
1、XRFS
2)<or=or>VALUE)を利用する/提供することによって決定することができる。この条件は、マッチングがある場合XRFシグネチュアXRFS
1とXRFS
2によって満足されなければならない。例えば、表1の2列に例示されているように、条件である関数(XRFS
1、XRFS
2)は、シグネチュアXRFS
1、XRFS
2の累積/加算が、所定の累積シグネチュアCXRFSと等しいことであり、すなわち、以下の条件がこの例では満足されていなければならない:
関数
【0033】
実際、その他の相互条件も使用できる。例えば、シグネチュア間の差XRFS
1−XRFS
2が所定の値に等しい、及び/又は、シグネチュアXRFS
1とXRFS
2が等しいといった条件である。後者の場合、シグネチュアXRFS
1とXRFS
2間の類似性が両者間で合致している特別なケースであり、表1の列1に例示されている。
【0034】
なお、シグネチュアXRFS
1とSRFS
2間の対応が、これらの間の、あるいは他との相同性といった所定の条件を利用してこれらのマッチングによって決まる本発明の実施例は、構成部品C1及びC2のインサイチューでの認証が互換性がある/相補型である所定の実装において利点がある(例えば、相補型部品のシグネチュアを関連付ける外部参照データを用いる必要がなく、これによって満足するべき所定の相互関係条件(例えば、相同性)を提供するのみという点においてインサイチューである)。したがって、XRF認証リーダー(例えば、
図5Bに例示したものなど)は、所定の条件を保存するメモリを具えており、システムの部品を検査する条件を用い、電子システムの二またはそれ以上の部品が相補性であるあるいは互換性があるかどうかを、インサイチューで、外部データソースにアクセスすることなく決定することができる。
【0035】
代替的に、あるいは追加で、電子システムの第1及び第2のXRFシグネチュア間の対応は、表1のREFERENCE−LUTなどの参照データ(例えば、ルックアップテーブル(LUT))に基づいて決まり、システム100の相補的/互換性のある構成部品C1とC2のXRFシグネチュアを関連付ける。これは、図の表1の3列に自明に記載されている。実際、この場合、参照データは、XRF認証リーダーのメモリ/ストレージに含まれていて(例えば、
図5B)、インサイチューでの認証操作を可能としてもよいが、この場合、メモリストレージは、異なる相補的マーキングをもつ追加の部品/システムがリリースされるたびに更新する必要がある。
【0036】
一般的に、用語XRFシグネチュアは、本明細書では、例えば、システム100のC1及びC2といった部品の、XRF励起放射に対するスペクトル応答の少なくとも一部/領域を表すのに使用され、これはXRF信号が期待されるスペクトル帯の少なくとも一部(及び、必ずしもXRFスペクトル帯全体でなくともよい)と関連すると理解すべきである。したがって、対象となるXRFシグネチュア、XRFS
1とXRFS
2は、XRFマーキングであるXRFM
1とXRFM1から得られるXRF応答全体の所定の指定されたスペクトル領域に「隠されて」いる。
【0037】
本発明によるXRFマーキングは、金属、プラスチック、布を含む様々な基板に形成することができる。本発明の新規なマーキング技術は、マーキングを行う対象物(システム100の部品)の材料と構造に対して、非常に一般的であり、無反応である。したがって、電子システム100の非常に様々なタイプ又は部品(例えば、回路基板、電子部品、及び布)の真偽の認証ができる。本発明のいくつかの実施例によれば、本発明は較正技術も提供しており、XRF読取システムは選択的にこの較正技術を利用して、システムの様々な部品のタイプの異なる基板材料に形成したXRFマーキングを正確に読み取ることができる。このことは
図5A及び5Bに記載されており、以下にさらに説明する。このように、本発明のXRFマーキング技術は、XRFマーキングを形成したシステム100の構成部品の様々な基板/材料に対して無反応である。
【0038】
構成部品(対象物)に形成されたXRFマーキング(マーキング組成物ともいう)は、通常、低濃度のマーキングシステムを含み、これは、通常、複数のマーカー材料(以下、「マーカー」という)を具える。各マーカーは、X線又はγ線放射による尋問(照射)に応答して、X線応答信号を発するという意味で、XRF感受性/応答性である。
【0039】
本発明の所定の実施例では、システム100に使用されている一またはそれ以上のマーカ組成物が、少なくとも一のXRF感受性マーカ(XRF応答性マーカ元素及び/又は活性XRFマーカともいう)と、少なくとも一の表面結合材料(対象物の少なくとも表面領域にマーカを結合させる、すなわち、結合剤及び/又は接着剤)を含む。所定の実装例では、少なくとも一のマーカーの濃度が0.1乃至10,000ppmである。いくつかの実施例では、この組成物は、構成部品、すなわち、電子システム100のC1又はC2の表面の少なくとも一の領域上に形成するのに適している。
【0040】
所定の実施例では、一またはそれ以上の部品C1及びC2のマーキングに使用するXRFマーキング組成物が、少なくとも一のXRF感受性マーカと、少なくとも一の結合剤を含んでおり、更に、少なくとも一の接着促進剤と少なくとも一のエッチング剤を含んでいてもよい。本発明のマーキング組成物中のマーカと結合剤の濃度又は量は、あらかじめ選択されたコードにしたがって設定することができる。これは、組成物をシステムの構成部品に形成した後にXRF分析によって測定することができる。一般的にマーキング組成物は、0.1乃至10,000ppmの範囲の濃度の一またはそれ以上のマーカを含んでいる。
【0041】
本発明の所定の実施例では、システム100の一またはそれ以上の部品のマーキングに使用するマーカ組成物は、複数のXRFマーカ元素を含み、各々が異なる濃度又は形で存在する。これを用いて、この組み合わせにおける特定の元素のみならず、その濃度又は相対濃度のスペクトル特性を有するマーキング組成物の独自のシグネチュアを提供する。
【0042】
代替的にあるいは追加で、本発明のいくつかの実施例では、使用すべき各マーキング組成物は、所定の(おそらく独自の)濃度のマーキング元素(任意に決定/設定され、おそらく事象は測定されない)と共に作成される。次いで、マーキング組成物をあらかじめ決められた基板(例えば、所定の材料及び/又はテキスチュアを有するサンプル基板)に所定の形成技術(例えば、以下に述べるように、CVD、PVD及び/又は埋め込み)によって形成された後にのみ、XRF応答が、特定の基板に形成されたマーキングから読み取られ、そのXRF応答が、基板上のマーキングの符号語として設定される。この場合、マーキング元素の濃度は、あらかじめ選択されたコードに基づいて先験的に決定されるのではなく、マーキング組成物(おそらく、任意の濃度のマーキング元素を含んでいる)がサンプル基板に形成された後にのみ、コードが事後に決定/測定される。換言すると、符号語がマーキング組成物だけでなく、形成する基板にも関連すると考えることができる。
【0043】
このように、マーキング元素の濃度及び/又は相対濃度は、マーキングの所望の符号語に基づいて先験的に決定してもよく、決定しなくともよいが、いくつかの場合は、符号語が、マーキング組成物によってマークされる構成部品のタイプ/材料と同様のタイプ/材料の対象物(すなわち、基準対象物/構成部品)に所定の濃度(必ずしも既知でなくともよい)の元素を有するマーキング組成物が形成された後にのみ事後的に決定される。次いで、較正手順の間に、マーキングした対象物に(例えば、基準対象物に)形成した後のXRFスペクトル(信号/シグネチュア)を測定して、マーキングの符号語を決定する。なぜなら、いくつかの実装例では、XRFスペクトル/シグネチュアは、マーキング組成物中のマーキング元素の濃度によって影響を受けるのみならず、マークされている対象物の材料組成物、及び/又は、対象物/構成部品にマーキング組成物を形成する方法によっても影響を受けるためである。したがって、このような実装例では、マーキングの符号語は、マーカー元素の濃度によって影響を受けるが、マーキングの濃度を表すものではなく、これらの濃度で決まるものでもないが、マークされる対象物の材料、対象物へのマーキングの形成方法、および、おそらくは、上述したように対象物上のマーキングの位置といった更なるファクタによっても影響される。このため、同じマーキング組成物によってマークを行う二つの異なる対象物が、異なる符号語を産生する。
【0044】
マーカ組み合わせの中のXRFマーカ、又は、XRFマーキング組成物中の独立したその他のマーカは、金属の形態、塩の形態、酸化物の形態、一又はそれ以上のXRFマーキング元素を含む(化学的又は物理的相互作用で)ポリマ、有機金属化合物、あるいは、一またはそれ以上のXRFマーキング元素を含む合成物であってもよい。
【0045】
本発明のいくつかの実施例では、本発明の組成物中に使用する表面結合剤が、マーカを物体の表面に結合するあるいは結合を促進する材料である。少なくとも一の表面結合剤が、単一材料又は組み合わせ材料であってもよく、独立してあるいは組み合わせて、マーカ/マーカ組成物あるいはマーキング組成物のその他の成分を表面領域に対して不可逆的に結合させる。少なくとも一の表面結合材料は、この分野で知られているように、結合剤、接着剤、接着促進剤、ポリマ、及びプレポリマの一またはそれ以上である。例えば、いくつかの実装例では、少なくとも一の表面結合剤が、少なくとも一の結合剤と少なくとも一の接着促進剤である。代替的にあるいは追加で、少なくとも一の表面結合剤は、その他のものから独立して、あるいは組み合わせた、少なくとも一の結合剤及び/又は少なくとも一の接着促進剤であり、マーカ材料又はマーキング組成物のいずれかの成分の、対象物表面への結合を促進する。
【0046】
エッチング液又はエッチング剤は、表面改質で、マーキング組成物の対象物の表面領域に対する接着又は選択的に不可逆的である一般的な会合を改善させるように選択される。
【0047】
以下の表2は、本発明によって、電子システム100の様々な部品をマーキングするXRFマーキングの化学的組成を特定するものである。
【0048】
なお、特に金属物体/基板をマーキングするのに適したXRFマーキング組成物を含む更なる可能なXRFマーキング組成物は、PCT特許出願PCT/IL2017/050121号に記載されている。この出願は、本出願の譲受人に譲渡されており、引用によってここに組み込まれている。
図2Aを参照すると、本発明の実施例によって構成された電子システム100が示されている。この図面と、以下に述べる本出願のすべての図面には、同様の構成及び/又は機能を有する同様の要素/方法−操作には同じ符号が付されている。
【0049】
この例では、システム100の第1部品C1が電子回路基板PCB(硬質であっても、フレキシブル回路基板であってもよい)であり、第2部品C2が、回路基板C1上の指定された場所に取り付けた部品(例えば、電子部品)である。追加の部品、C3及びC4がこの図に例示されており、これは、第1部品C1(回路基板PCB)上に装着されている/装着可能であり、XRFマーキングを含んでいても、いなくてもよい。
【0050】
システム100の様々な実装例では、第1マーキング組成物XRFM
1が、以下の一又はそれ以上を利用して、回路基板PCB内/上に埋め込まれている:
(a)第1マーキング組成物XRFM
1が、製造中に回路基板PCBに形成された半田マスクを具えるポリマとブレンドされている。例えば、エポキシ及びエポキシアクリレートコポリマをベースにして半田マスク内に、及び/又は写真品質画像の半田マスク(LPSM)インクに、及び/又は通常LPI又はLPISMとよばれる液状写真品質画像半田マスクに、及び/又はドライフィルム写真品質画像半田マスク(DFSM)内にXRFマーカー元素を埋め込む。
(b)第1マーキング組成物XRFM
1は、印刷用インク(例えば、ロゴ/銘、など)とブレンドして、回路基板PCBに印刷するようにしてもよい。例えば、XRFマーカ元素を以下の一またはそれ以上と、混合する/埋め込む:エポキシ又はウレタンなどの、UV硬化ポリマ又は熱硬化ポリマインク、あるいは、シルクスクリーン印刷に、液状光ポリマに、又はインクジェット印刷に形成されるアクリレートポリマ。代替的に、回路基板の表面に形成されるマーキングは、不可視組成物であってもよい。
(c)マーキング組成物は、印刷(インクジェット印刷など)、スタンプ、スプレイ、注入、ブラッシング、エアブラッシングなど、様々な追加の技術によって対象表面に分配又は沈着させることができる。
(d)代替的に又は追加で、マーキング組成物は、真空蒸着法によって回路表面に形成することができる。ここでは、蒸着プロセスが、大気圧よりかなり低い圧力で又は真空で(例えば、真空チャンバ内)行われる。好ましくは、このようなマーキング技術で使用できる真空蒸着プロセスは、低圧化学蒸着(LPCVD)、プラズマ化学蒸着(LPCVD)、プラズマ支援化学蒸着(PACVD)、及び原子層堆積(ALD)などの様々なプロセスを含む化学蒸着(CVD)を利用する。代替的に又は追加で、対象物上にマーカー材料を蒸着するこの蒸着プロセスは、蒸気源が固体又は液体である物理蒸着法(PVD)を具える。PVDプロセスは、スパッタリング、陰極を蒸着し、熱蒸発させ、(固形)プレカーソルとして作用するレーザアブレーションで蒸気を発生させ、電子ビーム蒸着などの技術を使用して、気相中に沈着した粒子を発生させる。
(e)第1マーキング組成物XRFM
1は、一またはそれ以上の部品の回路基板PCBへのアンダーフィル結合を具える化合物とブレンドしてもよい。例えば、XRFマーキング元素で低粘度エポキシポリマをベースにしたアンダーフィル接着剤、及び/又はウレタンポリマ、及び/又はアクリレートポリマとのブレンド。
(f)第1マーキング組成物XRFM
1は、回路基板PCB上のいくつかの部品のパッケージのポリマとブレンドすることができる。例えば、XRFマーキング元素を熱硬化性電子ポリマ(例えば、エポキシ、ポリイミド、シリコーン、フェノリクス、ポリウレタン)及び/又は熱可塑性ポリマ(例えば、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ナイロン66−ポリアミド、ポリフェニレンスルフィド、PBT−ポリブチレンテレフタレート、PET−ポリエチレンテレフタレート)とのブレンド。
(g)マーキング組成物XRFM
1は、半田マスクの、あるいは回路基板PCBの構成部品のオーバーレイ又はコーティング内に埋め込むことができる。例えば、このオーバーレイ又はコーティングは:熱可塑性ポリウレタン、ポリエーテルウレタン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリビニルアセテート、エポキシ、エポキシアクリレート、レアン、アクリレートベースポリマを含んでいてもよい。
(h)マーキング組成物XRFM
1は、回路基板PCB上に垂直相互接続(VIA)ホールを介して形成されたポリマとブレンドしてもよい。例えば、低粘度エポキシポリマ、ウレタンポリマ、又はアクリレートポリマをベースとしたポリマとブレンドしたXRFマーカ元素である。
(i)PCBは、その上に装着したマーキング組成物XRFM
1を担持する特別な「偽の」部品を具えており、このマーキング組成物XRFM
1は、上述した技術のいずれかにしたがってこの特別な「偽の」部品に含まれる/担持されていてもよい。
【0051】
この実施例では、第2部品C2は、例えば、チップなどの電子部品であり、回路基板PCB上に装着可能である。第2マーキング組成物XRFM
2は、以下の一またはそれ以上において、電子部品C2に埋め込むことができる:
(a)マーキング組成物XRFM
2は、電子部品に印刷する印刷用インキとブレンドすることができる。マーキング組成物XRFM
2の化学組成物は、この場合、XRFM
1について上述したインクマーキング組成物と同様である。
(b)マーキング組成物XRFM
2は第2部品C2のパッケージのポリマとブレンドしてもよい。この場合、マーキング組成物XRFM
2の化学組成物は、上述したPCBのポリマに形成したマーキング組成物XRFM
1と同様である。
(c)マーキング組成物XRFM
2は、代替的に又は追加で、第2部品C2の垂直相互接続(VOA)ホールを介して形成したポリマとブレンドしてもよい。
【0052】
図2Bを参照すると、本発明の別の実施例によって構成した電子システム100が示されており、第1電子部品C1がプリント回路基板PCBであり、第2部品は、指定位置LC2の回路基板PCB上に装着可能な電子部品である。ここで、第1XRFマーキングXRFM
1は、指定位置LC2の回路基板PCB上の空間的に離れて位置しており、この位置で第2部品C2が回路基板PCBに装着される。これによって、スキャニング(例えば、空間的に合焦された)XRFアナライザの利用が可能となり、回路基板PCBをスキャンして、第1及び第2のXRFマーキングXRFM
1とXRFM
2の第1及び第2のシグネチュア、XRFS
1とXRFS
2間の対応(マッチング又は相同性)に基づいて、第2部品C2を装着する指定位置LC2を認識することができる。これは、回路基板PCB上の第2部品C2の正しい配置を決定/認証するのに使用することができる。
【0053】
選択的に、
図2Bで説明した通り、システム100の更なる部品C3及びC4を装着する指定位置LC3及びLC4も、各XRFマーキング組成物XRFM
13とXRFM
14でマークされている。したがって、図に示されている部品C3及びC4も、XRFマーキング組成物XRFM
33及びXRFM
44でマークされている。これらは、それぞれ、PCB上のXRFマーキング組成物XRFM
13とXRFM
14に対応する。したがって、これによって、スキャニングXRFアナライザの利用が可能となり、回路基板PCBをスキャンして、PCB上での組み立て/装着前又はその後に、部品C2、C3及びC4の正しい配置位置を決定/認証することが可能になり、これによって、電子システム100の自動組み立てが可能となり、及び/又は、組み立てたシステム100での品質保証(QA)チェックを実行することができ、互換性部品の正しい位置への正しい配置を認証することができる。
【0054】
図2Cを参照すると、本発明のもう一つの実施例による電子システム100が示されており、ここでは、XRFマーキング組成物XRFM
1でマークされた第1部品C1が電子部品であり、XRFマーキング組成物XRFM
2でマークされた第2部品C2が、電子部品C1のケース/パッケージである。電子部品1は、パッケージC2内に配置され/封入されており、したがって、この図では、パッケージの領域RGが半透明に書かれており、電子部品C1のXRFマーキングXRFM
1を露見させている。
【0055】
例えば、この場合、電子システム100は、チップ(例えば、組み立てたチップ)であり、第1部品C1はチップ100の半導体ダイであり、第2部品C2がチップ100のパッケージで、ダイC1を封入している。したがって、パッケージは、例えば、ポリマ材料でできている、あるいはポリマ材料を含んでいてもよく、第2XRFマーキング組成物XRFM
2は、パッケージC2のポリマ材料内に、上述した態様で埋め込まれており、XRFマークをポリマ中に埋め込んでいる、あるいは、ダイとパッケージ間のアンダーフィル材料内に含まれる/埋め込まれていてもよい。第1XRFマーキング組成物XRFM
1は、この場合、電子的に相互接続する材料(例えば、インジウムバンプ)及び/又はダイC1の材料充填VIAホール内に埋め込まれている/含まれていてもよい。
【0056】
この結果、本発明の所定の実施例によれば、第1及び第2のXRFマーキング組成物XRFM
1とXRFM
2は、XRF励起放射によるシステムの照射に応答して、共に部品C1及びC2の両方からの第1及び第2のXRF信号を含む複合XRF信号(例えば、
図1のCXRFS)を出射するように選択される/構成されている。XRFマーキング組成物であるXRFM
1とXRFM
2(特に、その中の活性XRF応答材料の内容物)は、特に、複合XRF信号CXRFSが第1及び第2のXRFシグネチュア、XRFM
1とXRFM
2を表し(すなわち、第1及び第2のXRFシグネチュアXRFM
1とXRFM
2がその中で区別できるように認識され得る)、複合XRF信号CXRFS中で、第1及び第2のXRFシグネチュアであるXRFM
1とXRFM
2が互いに干渉しない(すなわち、これらのシグネチュアが互いに対して補完するように)ように、選択される/構成されている。これは、例えば、第1及び第2のXRFマーキング組成物であるXRFM
1とXRFM
2の各構成によって、特別に選択された活性XRF応答材料を用いて実行できる。この各構成においては、各XRFシグネチュアであるXRFS
1とXRFS
2のスペクトル(波長{λ}セット)が相互に排他的である(例えば、同じ波長ではXRFスペクトル応答ピークを発しない/有しない)。これは、例えば、
図1、表1の2列に記載されており、相互に排他的なスペクトルピークを有するシグネチュアXRFS
1とXRFS
2を示している。したがって、シグネチュアXRFS
1とXRFS
2は互いに干渉せず、互いに読み取って部品C1とC2(例えば、内側部品C1とそれを封入している外側部品C2)が互換性部品であるかどうか(例えば、システム100が真正であるかどうか)を決めることができる。この点においては、X線又はガンマ線の照射及び検出に基づくXRF技術を使用しているため、部品が真正であるか否かの決定を、パッケージ/ケースC2を開くことなく非侵襲的に行うことができる(例えば、システム全体にX線又はガンマ線を照射し、それから応答して発せられた複合XRF信号CXRFSを検出することによって)。
【0057】
図2Dを参照すると、本発明の更なる実施例にかかる電子システム100が示されている。この実施例では、第1及び第2の電子部品C1及びC2は、一般的に第1及び第2の電子デバイスであり、各々がデータストレージモジュールMEM1とMEM2に接続されているかあるいはこれを具えており、その少なくとも一つが、メモリ/データストレージモジュールMEM1とMEM2の両方に接続可能な、ペアリング及び軌道コントローラACTRLを具える、あるいはこれに接続されている。メモリモジュールは、例えば、コンピュータメモリモジュール、フラッシュメモリ、RFIDモジュール及び/又はその他の使用可能なデータ担持/保存モジュールの形であってもよい。
【0058】
この結果、本例では、第1部品C1が、第1データストレージモジュールMEM1(以下、一般性を喪失することなくメモリという)を具える第1電子デバイスであり、これは第1及び第2のXRFシグネチュアXRFS
1とXRFS
2間の対応を表す第1データ部分を保存することができる。第2部品C2は、第2データストレージモジュールMEM2を具える第2デバイスであり、第1及び第2のXRFシグネチュアXRFS
1とXRFS
2の間の対応を表す第2データ部分を保存することができる。この点において、ペアリング操作(例えば、第1及び第2のデバイスが対になるプラントで、及び/又は第1及び/又は第2のデバイスが販売される/分配される代理店/ショップで実行できる)は、XRFマーキング(例えば、デバイスの一つのXRFS
2)を読み取って、それを(あるいはそれに対応するコードを)第1及び第2デバイスのメモリMEM1とMEM2に保存するステップを具える。したがって、元素IDコード化が第1及び第2のデバイスのメモリに導入され、そのXRFマーク間の対応に基づいて、デバイス間の元素ペアリングが可能となる。ペアリング/起動コントローラACTRLは、デバイスC1及びC2の相互操作の起動を可能にする前(例えば、第1及び第2のデバイスC1とC2の有線又は無線の合着が存在する時)に、以下を実行するように構成され操作可能である:
(i)第1及び第2のデバイス間の有線又は無線の合着時に、第1及び第2のデータストレージモジュールMEM1とMEM2にアクセスする
(ii)第1メモリMEM1から第1データ部分を取り出し、第2メモリMEM2から第2データ部分を取り出す;
(iii)第1及び第2データ部分を処理して、第1部品/デバイスC1が第2部品/デバイスC2と対になったかどうかを決定する。
【0059】
この点において、部品/デバイスC1とC2が対になったかどうかを決定する処理は、第1及び第2のデバイスのメモリMEM1とMEM2に保存されたコード間に対応があるかどうかを決定するステップを具える。これによって、デバイスC1とC2が互換性であり、共に作動できるとの元素同定を提供する。これは、第1及び第2のデバイスの第1及び第2のXRFシグネチュアの互換性(メモリMEM1とMEM2に保存された基準データによって表される)に基づく。この結果、起動コントローラACTRLは、第1及び第2のデバイスC1とC2間のペアリング(元素ペアリング)に基づいて、これらの相互操作の調整された起動を提供する/可能にする。
【0060】
図2Dに示す特定の例において、デバイスの一つ、特に第2部品C2は、スマートウエアラブル/ガーメントデバイスである。例えば、電子システム100はヘルスケアシステムであり、第1及び第2デバイスC1とC2の少なくとも一つが、システム100を用いてユーザの一またはそれ以上の症状をモニタリングするように構成されており、第1及び第2のデバイスC1とC2の少なくとも一つが、モニタした症状に基づいてユーザに治療を提供するように構成され操作可能である。実際、この場合は、ヘルスケアシステム(モニタリング特性及び/又は治療特性)が、特定のユーザによって使用されるようにカスタマイズされ、その他のユーザにはダメージとなるので、第1及び第2のデバイスC1とC2の間の元素ペアリングを使用して、これによって、正しい治療デバイス(例えば、ガーメントC2)が、同じユーザの正しいモニタリングデバイス(例えばC2)に接続されるという本来の認証を提供する。
【0061】
本発明の様々な実施例によれば、スマートウエアラブルデバイス(ガーメント)C2は、天然及び/又は合成繊維で作った一またはそれ以上の布を具える。
【0062】
いくつかの実施例では、この布は、天然繊維でできている/天然繊維を具えており、XRFマーキング組成物は、この天然繊維を染める染料中に含まれている。したがって、布の製造工程における染色ステージで、布の天然繊維に活性XRF応答材料を加える。
【0063】
通常、天然繊維は、媒染剤を用いて染色し、この場合、用語「媒染剤」は、電子価が少なくとも二またはそれ以上の金属を有する化学物質に使用される(ほかのタイプの化合物を有していてもよい)。特に、媒染剤は、染料を繊維に結合させる無機塩である(天然繊維用の染料は、布に色素を固定させる媒染剤を使用して、色あせ又は色落ちを防止する必要がある)。天然繊維に通常使用される媒染剤は、例えば、以下の一またはそれ以上を具える:ミョウバン、硫酸アルミニウムカリウム、スズ及び硫酸銅(bluevitriol)、クロム、重クロム酸カリウム(potassium dichromate)、重クロム酸カリウム(potassium bichromate)、硫酸銅(blue vitriol)、硫酸銅、硫酸第一鉄、塩化スズ(II)、亜ジチオン酸ナトリウム(sodium dithionite)、亜ジチオン酸ナトリウム(sodium hydrosulfite)、水酸化アンモニウム、酒石英、酒石酸水素カリウム、グラウバー塩、硫酸ナトリウム、石灰(lime)、苛性アルカリ溶液(lye)、水酸化ナトリウム、シュウ酸、タンニン酸、尿素(uria)、酢、酢酸、洗濯ソーダ、又は炭酸ナトリウム。
【0064】
これによって、天然繊維の染色に使用される様々な量の媒染材料に使用できる/含まれる様々な潜在的XRFマーカを提供して、その繊維の所望のXRFシグネチュアを得ることができる。この結果、天然布/繊維では、XRFマーキング組成物(例えば、図に示すXRFM
2)が、その布を染色するのに使用され、所望のXRFシグネチュア(例えば、図に示すXRFM
2)を提供するように特に選択された媒染剤組成物を伴う媒染剤に含まれている。
【0065】
代替的に又は追加で、この布はポリマー材料でできた合成繊維でできているあるいはこれを含んでいてもよい。この材料は、線状ポリアミド(ナイロン6−6、6−10、6、7)、アセテートセルロース、リヨセル、ポリエステル−PET(例えば、Dacron(商標)、Terylene(商標))、ライクラ、スパンデックス、ケブラー、及びアクリル繊維などである。この場合、繊維/布の染色は、布の繊維の製造段階(特に、成形プロセスの間)で行われる。したがって、XRFマーキング組成物(例えば、XRFM
2)は、この場合は、成形プロセスの間に繊維内に導入される(例えば、XRFマーカ元素を、合成繊維の他の材料とブレンドするなどによって)。
【0066】
図3を参照すると、第1及び第2の、少なくとも二つの部品を具える電子システム(例えば、100)の部品(例えば、C1及びC2)の互換性を認証する方法200のフローチャートが示されている。
【0067】
この方法は、以下の操作を具える:
操作210は、電子システム100に関連すると推定される第1部品C1を提供するステップを具える。
【0068】
操作220は、電子システム100に関連すると推定される第2部品C2を提供するステップを具える。
【0069】
操作230は、第1及び第2部品C1とC2にXRF励起放射を照射するステップを具える。本発明の様々な実装例では、これらの部品のXRF励起放射の照射(例えば、X線又はガンマ線)は、部品別に個別に照射することによって行ってもよく、及び/又は、これら両方の/いくつかの部品にまとめて放射することによって行ってもよい。
【0070】
操作240は、第1及び第2部品C1とC2からの一またはそれ以上のXRF応答信号を検出するステップを具える。この信号は、XRF励起放射による第1及び第2部品C1とC2への照射に応じて発生する。検出が予想されるXRF信号の依存性(例えば、シグネチュアが互いに干渉することが予想されるか否か)に関しては、いくつかの/2又はそれ以上の部品からのXRF応答の検出を、部品ごとに個別に行ってもよく、あるいは、いくつかの部品をまとめて行ってもよい。次いで、一またはそれ以上のXRF応答信号を処理して、第1及び第2のXRFシグネチュアXRFS
1とXRFS
2を認識する。これらのシグネチュアは、第1及び第2の部品C1とC2上の第1及び第2のXRFマーキング組成物にそれぞれ関連している。例えば、このステージでの一またはそれ以上のXRF応答信号の処理はノイズに対する所定の信号の強化と、バックグラウンドのフィルタレーションを具え、信号のSNRを強化する。例えば、このようなSNRフィルタレーションは、XRFアナライザ(リーダ/システム)、及び/又は、検出したXRF信号からトレンド及び/又はスペクトル周期成分を除去する、国際特許出願第PCT/IL2016/050340号に記載の方法を用いて行うことができる。この出願は、本出願の譲受人に譲渡されており、全体が引用により本明細書に組み込まれている。また、このステージにおける一またはそれ以上のXRF応答信号の処理は、検出信号の所定の部分(スペクトル帯)をフィルタに欠けるステップを具え、対象となるXRFS
1とXRFS
2のXRFシグネチュアが見られるこれらのスペクトル帯のみを残すようにしている。これによって、検出したXRF信号からシグネチュアXRFS
1とXRFS
2、及び/又は、シグネチュアXRFS
1とXRFS
2の両方を含む累積/複合シグネチュアCXRFSを認識して、抽出することができる。
【0071】
操作250は、第1及び第2のXRFシグネチュアXRFS
1とXRFS
2、あるいはこれらを両方含む累積/複合シグネチュアCXRFSの認識時に行われ、認識したシグネチュアを処理して、それらの間に対応があるかどうかを決定する。
図1の表1に記載され、より詳細に上述した通り、シグネチュア間の相同性に基づいて、及び/又は、所定の条件に従ったこれらの間のマッチングに基づいて、及び/又は、シグネチュアに関連して対応する基準データ(例えば、LUT)を利用することによって、この対応を決めることができる。この結果、方法200の操作250は、選択的に、マッチングしたXRFシグネチュア間のあらかじめ決められた相互関係を表す所定のあらかじめ決められた条件を提供し、第1及び第2のXRFシグネチュアがこのあらかじめ決められた条件を満足するかどうかを決定する(上述したように、第1及び第2の部品が互換性があるが、外部基準データを使用する必要性を取り除くインサイチューでの認証を可能とする)。例えば、あらかじめ決められた条件は、第1及び第2のXRFシグネチュアがその少なくとも一のスペクトル領域で同じであることであり、この処理は、したがって、第1及び第2のXRFシグネチュアXRFS
1とXRFS
2のスペクトル領域を比較するステップを具える。代替的に又は追加で、第1及び第2のXRFシグネチュア間の対応が、互換性のある部品のシグネチュアに関連する基準データに基づいて決めることができる。この場合、操作250における処理は、基準データを取得する(例えば、メモリから及び/又は外部源から)と第1及び第2のXRFシグネチュアを基準データに対して処理して、これらの間の対応の表示が基準データにあるかどうかを決定する。
【0072】
操作250での結果が検出したシグネチュアが相補的でない場合、部品C1とC2は互いに互換性がないものと決定され、方法200は、部品が互換性がないとの表示を提供する/出力する。
【0073】
操作250での結果が検出したシグネチュアが相補的である場合、部品C1とC2、及び/又は電子システム100と互いに互換性があると決定される。この場合、選択的に操作260を行って、システム100の部品の互換性の適切な表示(システム及び/又は部品が真正であり、偽のシステム/部品ではないとの表示であってもよい)を提供/出力する。
【0074】
したがって、この場合、部品C1及びC2が互いに互換性があり(例えば、システム100において、共に適切に使用できる)、方法200の操作270、280、及び/又は290を更に選択的に実行できる。例えば、操作270を選択的に実行して、電子システム100内の第1及び第2の部品C1及びC2の正しい配置を決定/認証することができる。このことは、
図2Bを参照して上述/上記に例示しており、更に、
図4Aを参照して以下により詳細に説明する。代替的に又は追加で、部品C1及びC2が互換性があるとの認識時に、操作280を行って、電子システム100を組み立てる(例えば、追加操作270で決定された部品の位置/構成に基づいて)。さらに代替的に又は追加で、部品C1及びC2が互換性があるとの認識時に、操作290を行って、電子システム100の第1及び第2の電子部品C1及びC2を対にする。このことは、
図2Dを参照して上述/上記に例示したが、更に
図4Cを参照して以下により詳細に説明する。
【0075】
図4Aを参照すると、電子システム(例えば、100)の部品(例えば、C1及びC2)の互換性を認証して、電子システム内の部品の訂正された位置/構成を決定/認証する方法200Aのフローチャートが示されている。方法200Aは、例えば、第1部品C1が電子回路基板であり、第2部品C2が回路基板C1の指定された場所LC2に関連する電子部品である場合に実行される。方法200Aは、
図3の方法200について上述した方法と同様の操作を有し、これは、フローチャート200Aで同じ符号が付されており、したがって、その詳細は以下では説明しない。
【0076】
方法200Aの操作230は、XRF励起放射で第1及び第2の電子部品C1及びC2を照射する操作232と234を具える。この例では、一の部品(例えば、回路基板である第1部品)が、操作232で、空間スキャニングXRF励起放射で照射され、これによって、第1部品C1上の位置(例えば、第2部品に対して指定したLC2、あるいは、位置LC2を表す位置)を決定する。
【0077】
この場合、第1XRFマーキング組成物XRFM
1は、第2部品の指定位置LC2(または、それを表す位置)において回路基板上で空間的に位置しており、したがって、回路基板上の第2部品の指定位置において、その回路基板上に空間的に位置している。
【0078】
この実施例では、システムの部品からのXRF応答信号を検出する操作240が、第1部品C1(PCB)上の第1XRFマークXRFM
1の位置LC2を決定する操作242を具える。これは、例えば、第1XRFシグネチュアXRFS
1(例えば、第2部品C2からのシグネチュアXRFS
2と対応する/マッチングするシグネチュアの)が認識された時点で、スキャニングXRFアナライザからの空間的スキャニングXRF励起放射の状態(放射ビームの位置/角度方向)をモニタすることによって行われ、これによって、PCB上の第1XRFマークXRFM
1の位置LC2を決定する。この位置LC2は、したがって、PCB/第1部品C1上の第2部品C2の指定配置を表している。
【0079】
したがって、この実施例では、方法200Aはさらに操作270を具え、これを実行して、第1部品(回路基板)C1上の第2部品C2の正しい構成(及び、正しい配置位置LC2)を決定する。実際、指定位置の認識は、指定位置LC2から取得した第1シグネチュアと、第2部品から取得した第2シグネチュアの間の対応に基づく。選択的に、方法200Aは、正しい配置位置LC2で第1部品C1上に第2部品C2を組み立てる(例えば、自動的に組み立てる)操作を具える。選択的に、代替的に又は追加で、方法200Aは、第2部品が正しい配置位置における第1部品上で正しく組み立てられたことを認証することによって、品質保証(QA)を実行する操作274を具える。実際、この場合は、部品C2は指定位置LC2にすでに装着されていてもよく、したがって、XRFシグネチュアXRFS
1とXRFS
2は、共に、これらを両方含む累積/複合シグネチュアCXRFSから得られる。このことは、
図4Bを参照してより詳細に述べる。
【0080】
図4Bは、電子システム100の、共に配置されている/接続されている2又はそれ以上の部品C1及びC2が、互いに互換性があるかどうかを決定する、本発明の実施例による方法を示すフローチャート200Bである。一般的に、方法200Bは、組み立てた電子システムのQA及び/又は真正及び/又は偽物のチェックを行う目的で、方法200A(上述したように、スキャニングXRFアナライザを用いる)と組み合わせることができる。方法200Bは、
図3の方法200A及び/又は
図4Aの方法を参照して上述したものと同様の操作を具えており、このような操作には、フローチャート200Bのものと同様の符号が付されており、以下においては詳細に説明しない。
【0081】
したがって、方法200Bの操作210と220は、電子システム100に関連すると考えられ、選択的に共に組み立てられる第1及び第2の電子部品C1及びC2を提供するステップを具え、第1部品がXRFマークを有し、第2部品が第2XRFマークを有する。選択的に(図における228)、第1及び第2部品の第1及び第2XRFマークは、部品C1及びC2がシステム100と相補的に関連している場合に合致し、それぞれ非干渉XRFシグネチュアを提供するように構成されている。
【0082】
第1及び第2部品にXRF励起放射を照射する方法200Bの操作230は、第1及び第2部品共にXRF励起放射を照射する操作236を具える。部品C1及びC2のXRFシグネチュアを表すXRF応答信号を検出する、方法200Bの操作240は、方法200Bにおいて、第1及び第2部品の第1及び第2XRFシグナリングの頂上部分を表す、複合XRF応答信号を検出するステップを具える。したがって、方法200Bの第1及び第2XRFシグネチュア間にマッチングがあるかどうかを決定する操作250は、第1及び第2部品が相補的であるかどうかを決定する操作252を具え、これは、累積/複合XRFシグネチュアCXRFSに表される第1及び第2XRFシグネチュア間のマッチングに基づく(例えば、
図1の表1、列2を参照)。
【0083】
これによって、互いに組み立てられた部品C1及びC2が、相補的であるかどうかを認証することができ、したがって、第1及び第2XRFシグネチュア間のマッチングに基づいて電子システムが真正であることを証明することができる(操作262に示されている)。この点について、第1部品C1は電子部品であり、第2部品C2がそのケース/パッケージであってもよい。例えば、第1及び第2部品は、
図2Cを参照して上述したように、チップアッセンブリの一部を較正していてもよい。
【0084】
図4Cを参照すると、おそらく部品が互換性がある場合にのみ、電子システムの二つの部品間でペアリングを行う(例えば、部品間の元素ペアリングを提供する)本発明の実施例による方法のフローチャート200Cが示されている。
【0085】
方法200Cが
図3の方法200及び/又は
図4A及び4Bに記載の方法について上述した操作と同様の操作を具えている場合、このような操作は、フローチャート200Cと同様の符号が付されており、以下では詳細に説明しない。方法200Cの必須ではない/追加の操作(例えば、部品C1及びC2が互換性があるかどうかを認識する/決定する操作250)は、図に破線を付けている。
【0086】
方法200Cは、操作290を具えており、これは、上述した操作210乃至280(そのうちのいくつかは、図に示すように選択的である)の一又はそれ以上に加えて実行される。操作290を実行して、分散されている電子システムの二つの電子デバイスである、電子システム100の第1及び第2の電子部品C1及びC2のペアリングを行う。操作290は、システム100の別の部品(例えば、C1)のデータストレージモジュール(例えば、メモリMEM1)内の電子システムの所定の部品(例えば、C2)のXRFシグネチュア(例えば、XRFS
2)に関連するコード(第1のデータ部分)を記録する操作292を具える。選択的に、操作290は、追加の操作294を実行するステップを具えている。この追加の操作は、例えば、所定の部品C2のXRFシグネチュアに対応するコード(例えば、第2のデータ部分)が、部品C2のデータストレージモジュール(メモリMEM2)に保存されていない場合に、実行される(例えば、一般的に、このようなコード(第2データ部分)は、製造工程において、部品C2のメモリにすでに保存されている)。選択的操作294は、所定の部品C2のメモリMEM2に所定の部品C2のXRFシグネチュアに対応するコード(第2データ部分)を記録するステップ、あるいは、少なくとも、このようなコードがメモリMEM2に実際に記録されている/保存されていることを認証するステップを具える。
【0087】
操作290によって、システムの特定の部品が互いに接続された旨の特定の認証(所定の部品C2ともう一つの部品C1間の接続を認識すること)に基づいて、電子システム100を起動するようにできる。
【0088】
方法200C及び特定の操作290は、例えば、上記で
図2Dに記載したような、デバイスC1とC2のペアリングのために実行できる。この例では、第1部品C1が、第1及び第2のXRFシグネチュア間の対応を表す第1データ部分(コード)を保存するメモリを具える第1電子デバイスである。第2部品C2は、第2のメモリを具える第2デバイスであり、第1及び第2のXRFシグネチュア間の対応を表す第2データ部分(例えば、同じコード又は対応するコード)を保存することができる。第1及び第2デバイスC1とC2の少なくとも一つは、ペアリング/起動コントローラACTRLを具える、あるいはこれと関連していてもよい。このコントローラは、メモリMEM1とMEM2から第1及び第2のデータ部分(コード)を取得するように構成され操作可能であり、これを処理して、第1及び第2デバイスが対になっているかどうかを決定し、これらの間のペアリングに基づいて第1及び第2デバイスの相互操作の調整された起動を可能にする。
【0089】
上述した通り、本発明の様々な実施例では、XRFマーキングXRFM
1とXRFM
2が、電子システム100の異なる部品の異なる基板材料に形成することができ(例えば、その上に形成する及び/又は埋め込む/ブレンドする)、したがって、異なる部品の異なるマーキング組成物は、それが形成される基板に応じて異なる促進剤及び/又は異なる結合材料で構成してもよい、あるいはこれを含んでいてもよい。実際、異なるマーキング組成物に使用される異なる基板材料(及び/又は異なる結合剤及び/又は促進剤)によって、異なる基板から作られたシステムの異なる部品のXRFの測定時に、異なるXRFバックグラウンドクラッタを検出することになる。更に、異なるテキスチュア及び表面トポロジー(例えば、基板表面はなめらかであってもよいし、一方で、凹み及び/又は突起を具えていてもよい)が、測定したXRF信号に影響を及ぼすことがある(例えば、基板表面の放射源検出器の間の角度変化によって)。したがって、検出器で測定されたXRF信号は、異なる基板によって決定されたXRFシグネチュアに加えて他の成分があることがある。このクラッタとその他の成分における差異は、対象物から発せられたXRFシグネチュアとこれによって認識された/決定された符号語に影響を及ぼすことがある。このことを解決するために、XRFアナライザの異なる較正を用いて、XRFマーキングを形成する異なる基板及び/又はテキスチュアが、異なる対象物(異なる基板及び/又はテキスチュア)に形成されたマーキング組成物の各XRFシグネチュアを決定するようにする。
【0090】
本発明は、XRFアナライザを較正する新規の較正技術/方法を提供して、システム100の異なる構成部品(例えば、C1とC2)に埋め込まれた/位置するXRFマーキング組成物のXRFシグネチュア(例えば、XRFS
1とXRFS
2)の正確な測定を可能にする。マーキング組成物は、これらの構成部品の異なる基板材料上に埋め込まれている/位置している。この技術は、本発明の様々な実装に使用して、様々な部品のXRFシグネチュアXRFS
1とXRFS
2の正確な検出と測定を容易にし、これらのシグネチュアの信頼性のある比較を行い(例えば、上述した通り、あらかじめ決められた条件及び/又は基準データを使用して)、これらの構成部品に互換性があるかどうかを信頼性を持って決定する。この較正技術を、以下に
図5Aを参照して説明する。有利なことに、
図5Aに示す較正技術は、本発明のXRFマーキングによってマークする、新しいタイプの各基板(例えば、異なる材料組成物及び/又は異なるテキスチュア及び/又はマーキング形成技術を有する)に特別な較正を実行する必要なく、新しいタイプの基板にマーキングを行う較正データを決定するシンプルな方法を提供する。
【0091】
図5Aを参照すると、本発明の実施例によるXRFアナライザの複数基板較正方法500Aのフローチャートが記載されている。
【0092】
方法500Aは、XRFアナライザの最適な較正の取得と、上記の表2及び/又はセクション(a)乃至(i)に例示した様々な蒸着法によって様々な基板(例えば、媒体)上に蒸着した一またはそれ以上のXRFマーキング元素/材料の正確な認識を提供する。
【0093】
一般的に、較正方法500は、電子システム100の構成部品(例えば、C1)から受け取った所定のエネルギィレンジ内のX線光子のある時間ピリオド(例えば、秒あたりのカウント数(CPS))で回収したカウントを、構成部品(例えば、C1)に含まれている対応するXRFマーカーの元素/材料(同じエネルギィレンジでXRFを発する)の濃度に、特に、構成部品内にXRFマーカが蒸着されている基板に関係なく、関連させる、較正データ(例えば、カーブ/プロットの形で、あるいはカーブ/プロットで表した)の生成を提供する。換言すると、方法500Aは、XRFマーキング組成物が形成される構成部品の基板に実質的に関係なく、及び/又は、XRFマーキング元素を特定の構成部品に結合させるXRFマーキング組成物中に使用される追加の材料のタイプや、基板のタイプにも関係なく、構成部品から受け取ったXRF放射のX線スペクトルの一またはそれ以上のピークのXPSを、その構成部品中のXRFマーキング元素の濃度(通常、パーツパーミリオン(ppm)で測定する)へ変換する。これによって、電子システムの様々なタイプの部品を伴い、XRFマーカを様々な基板に埋め込む本発明の技術が利用しやすくなる。
【0094】
較正方法500Aは、複数のサンプル(以下、スタンダードという)を利用して実行され、これには一またはそれ以上のXRFマーキング元素が、様々な既知の濃度で、様々な媒体又は基板(通常、各基板のタイプについて、複数の濃度を持つ複数のサンプルがある)中に存在する。このスタンダード/サンプルは、次いで、XRFアナライザを用いて、尋問を行う。すなわち、スタンダード/サンプルに、X線又はガンマ線放射が照射され、これに応じてスタンダード/サンプルはから届いた二次放射が測定され、XRFマーキング元素の既知の濃度にそれぞれ関連する各スタンダード/サンプルについてのCPS値を受信する。したがって、XRF信号を較正する基準較正データは、スタンダードサンプルから取得したデータに基づいている。このペア(CPS値、濃度)は、CPS中のポイント対濃度(PPM)プレーンを表しており、カーブを測定したポイントセットに合わせる(例えば、「最良」リニアカーブを作る最小二乗法によって)ことによって、較正カーブができる。
【0095】
一般的に、サンプル/スタンダードは、濃度が変化するXRFマーカ元素を含む既知の材料でできており、較正はサンプル/スタンダード(例えば、金属、ポリマ、布)に使用されているタイプの媒体中のXRFマーカ元素の濃度を見つけるのに使用することを意図している。したがって、対象となる構成部品中にXRFマーキングを含む媒体/基板の各タイプを使用しながら、較正が実行される。なぜなら、各基板がバックグラウンドが異なるX線放射を生成し、したがって、一グループの基板のサンプル/スタンダードでできた較正(較正カーブ)は、一般的に、その他のタイプの基板で行われる測定に適切ではないからである。特に、方法500Aは、以下の操作520乃至540を実行するステップを具えている。これらの操作は、XRFマーキングが形成されるべき様々な複数の基板(例えば、媒体)材料について行われる。
【0096】
操作520は、複数の基板材料でできた複数のサンプル/スタンダードを提供するステップを具える。各基板について、様々なあらかじめ決められた濃度のXRFマーカ元素を有するXRFマーキング組成物を伴う複数のサンプルがある。
【0097】
操作530は、複数のサンプル/スタンダードをXRFアナライザで尋問を行って、あらかじめ決められた濃度のXRFマーキング元素を有する各スタンダード/サンプルについての秒あたりのカウント値(CPS)を決定する。ここでは、CPSが、尋問に応答してスタンダード/サンプルから到着したこれらのマーキング元素からのXRF放射に対応する所定のエネルギィ範囲の光子を表している。
【0098】
操作540は、様々なスタンダード/サンプル(CNCTR)中の活性XRFマーカ元素のあらかじめ決められた濃度(CNCTR)を表すデータと、各サンプル/スタンダードから得て、様々な基板に形成されたXRFマーキングのXRF測定/シグネチュアの較正用のXRF−較正−データを生成する、対応CPSsを利用するステップを具える。XRF較正データは、サンプル/スタンダード中のXRFマーカの様々な濃度をサンプル/スタンダードから得た各CPSsに関連付けるデータを具える。したがって、XRFシグネチュアのスペクトル応答の較正が、XRF較正データによって、基板に位置するXRFマーキング元素の濃度について決定(これらのシグネチュアを表す)することができる。
【0099】
したがって、本発明の様々な実施例によれば、様々な基板上のXRFマーキングのXRF測定を実行するように構成されたXRF読み取りシステムは、上述した方法500Aで取得した較正データを具えていてもよく、この較正データを用いて、様々な基板上のXRFマーキングから取得したXRFシグネチュアを、共通のベース(例えば、XRFアナライザからシグネチュアが最初に取得されたスペクトルベースに代えて、マーキング材料濃度ベースとする)に変換する/翻訳するように構成することができる。したがって、これによって、様々な基板と共に作られた様々な構成部品に形成したXRFマーキングを、正確かつ信頼性を持って処理及び/又は比較することができる(例えば、構成部品のXRFマーキング間の比較、及び/又は、それらと基準データとの比較)。
【0100】
なお、選択的に、本発明のいくつかの実施例によれば、XRFアナライザによって複数のサンプル/スタンダードの尋問を行う操作530は、SNR最適化ステップ535を具える。このステップは、SNR最適化ステップ535を具えており、このステップを実行して、XRF尋問の間に放射されるXRF励起放射のパラメータを最適化/決定し、スタンダード/サンプルから読み取ったXRFシグネチュアのSNRを最適化する。SNR最適化ステップ535は、例えば、以下のステップを具える:
(I)XRF測定値を複数のサンプルに適用して、各サンプルから到着するXRFスペクトル(X線又はガンマ線放射に応答して各サンプルから到着する二次X線放射のスペクトル)を測定するステップ。
(II)各サンプルから到着するXRFスペクトルを処理して、サンプル/スタンダードのXRFシグネチュアを決定する(各スペクトルについてXRFマーカ元素に関連するピークを認識することによって)ステップ。
(III)サンプル/スタンダードのXRF信号の信号対ノイズ比(SNR)を評価して、サンプル/スタンダードから、中間(平均)SNR)を有するサンプル/スタンダードを選ぶステップ。(例えば、SNRがすべてのスタンダードのSNRに最も近いサンプル/スタンダードを選択するステップ、及び/又は、代替的に、SNRが極端な(最も良い又は最も悪い)値の一つにあまり近くないスタンダードをランダムに選ぶステップ)
(IV)XRF測定パラメータ(例えば、XRF管電圧、XRF管電流、XRFフィルタ、及びスタンダードからの距離)を変化させて、選択したスタンダード/サンプルからのXRFシグネチュアのSNRを最適化するステップ。
(V)次いで、上述の操作530を実行して、全基板の全スタンダード/サンプルのXRFスペクトル(シグネチュア)で、選択された/最適化したXRF測定パラメータを持つものを、尋問/測定する。
(VI)選択的に、SNRがあらかじめ選択した値より低いスタンダードのスペクトル測定を破棄する。
【0101】
操作530を実行してSNRを最適化した後、この方法は、更に、操作540を続けて行い、較正データ/カーブを取得する。
【0102】
このように、操作540で取得した異なる基板についての較正データは、上記表3に記載したように、CPS対波長/エネルギィ(λ)について測定したXRFシグネチュアと、異なる基板におけるXRFマーキング元素の濃度についてのXRFシグネチュア間の合致を表している。選択的に、較正データが、操作535で取得され、異なる基板からのXRF応答を測定するのに使用するXRF測定パラメータ(例えば、XRF管電圧、XRF管電流、XRFフィルタ、スタンダードからの距離)を表すデータを含んでいてもよい。
【0103】
図5Bを参照すると、本発明の実施例に係る電子システムの構成部品の互換性の認証に使用するXRF認証リーダ400のブロック図が記載されている。
【0104】
XRF認証リーダ400は、電子システム(例えば、100)の異なる構成部品(例えば、C1とC2)関するXRF測定を実行するように構成されたXRFアナライザ410を具え、XRFマーキングから取得したXRFシグネチュアXRFS
1とXRFS
2を表すデータを提供している。XRF認証リーダ400は、更に、XRFシグネチュア対応データプロバイダ430と、XRFシグネチュア対応プロセッサ440を具えており、これらは共に使用して、XRFアナライザ410から取得したXRFシグネチュアXRFS
1とXRFS
2が互いに対応するかどうかを決定し、この場合、XRFマーキングがXRFアナライザ410によって測定される構成部品(例えば、C1とC2)が互換性があるとの表示INDを発行し、さもなければ、これらの構成部品に互換性がないとの表示INDを発行する。
【0105】
所定の実施例では、XRFシグネチュア対応データプロバイダ430は、異なるXRFシグネチュアXRFS
1とXRFS
2間のマッチングを決定するあらかじめ決められた条件を表すあらかじめ決められた条件データなどのデータを保存する、及び/又は、対応するXRFシグネチュアを関連付けるLUTなどの基準データを保存するデータストレージ設備(例えば、メモリ)を具える。代替的にあるいは追加で、所定の実施例では、XRFシグネチュア対応データプロバイダ430が、例えば、遠隔データ源と通信するように構成された通信ユーティリティを具え、XRFシグネチュア間の対応を表す基準データを取得する。
【0106】
したがって、XRFシグネチュア対応プロセッサ440は、XRFアナライザ410に直接あるいは間接的に接続されて、アナライザからXRFシグネチュアXRFS
1とXRFS
2を表すデータを受け取ってもよく、シグネチュア対応データプロバイダ430に接続して、シグネチュア間の対応/-マッチングを表すデータ/条件を受け取るようにしてもよい。XRFシグネチュア対応プロセッサ430は、対応するデータに基づいてXRFシグネチュアXRFS
1とXRFS
2を処理して、上述した技術のいずれかによってこれらが対応するかどうかを決定する。
【0107】
XRFアナライザ410は、通常、検査した対象/構成部品に向けて尋問放射を発する、X線及び/又はγ線放射源412を具える尋問放射エミッタ411と、おそらくは分光計416を具え、尋問を行った対象からのXRF放射応答を検出し、おそらくはそのスペクトル組成を表すデータを取得するように構成された、XRF検出器415を具える。
【0108】
XRFアナライザ410は、また、検出したXRF応答をフィルタリングする一またはそれ以上のフィルタ417を具えている。これらは、応答からの関連するスペクトル成分を除去して、検出したXRFシグネチュア中の、対象となるXRF応答が尋問を行った対象/構成部品から期待されるスペクトル領域だけを残す。また、フィルタ417は、トレンド及び/又は周波数フィルタ419(例えば、本明細書に引用により組み込まれているPCT特許出願第PCT/IL2016/050340に記載されているような)を具える。これは、XRF信号/シグネチュアのSNRからトレンド及び/又は周期スペクトル成分を除去して、これらを強化するように作用する。
【0109】
いくつかの実施例では、尋問放射エミッタ411が、放射ビームスキャナ413を具えており、これは、放射源412から出力された尋問放射ビームを空間的に方向づけ及び/又は合焦させて、このビームで尋問を行った対象物(例えば、電子システム100)をスキャンするように構成され、作用し、これによって、システムの様々な構成部品を組み立てる位置(例えば、
図2BのLC1とLC2)を表すデータを提供する。
【0110】
選択的に、いくつかの実施例では、XRF認証リーダ400が、XRFシグネチュア構成モジュール420と較正DATAプロバイダ425を具えている。これらは、共に操作可能であり、異なる基板材料でできた/異なる基板材料を具える異なる構成部品に埋め込んだ/形成したXRFマーキングから取得できるXRFシグネチュアXRFS
1とXRFS
2を較正する。較正DATAプロバイダ425は、例えば、異なる基板用のXRF較正データ用のストレージ施設/メモリである。較正データは、例えば、上述の方法500Aによって取得されるデータと同様であり、XRFシグネチュアXRFS
1とXRFS
2のスペクトル曲線(CPS対波長/エネルギィの関数として取得した)と、XRFシグネチュアXRFS
1とXRFS
2を取得した構成部品CAとC2の基板をマーキングするXRFマーキング組成物中のXRFマーキング元素の濃度との間の、基板に特異的な関係を表す曲線適合データを具える。したがって、XRFシグネチュア較正モジュール420は、較正データを用いて、スペクトルベースからのXRFS
1とXRFS
2を、XRFシグネチュアが得られる各々の基板をマークするのに使用するマーキング組成物中のXRFマーカの濃度で表されるそれぞれのXRFシグネチュアXRFMC
1とXRFMC
2に変換する。これによって、異なる構成部品の及び/又は異なる基板からのXRFマーキングを比較することができる。
【0111】
選択的に、較正データプロバイダ425からの較正データは、上述した操作535で取得したXRF測定パラメータ(例えば、XRF管電圧、XRF管電流、XRFフィルタ、及びスタンダードからの距離)を表すデータを具える。したがって、尋問放射エミッタ411は、選択的に、尋問コントローラ414を具えていてもよい。このコントローラは、XRF尋問を適用する構成部品の基板に対応するXRF測定パラメータについての基準データを受信し、それに応じて、放射エミッタの放射特性を調整し、これによって、XRFマーキングが存在する尋問を行った構成部品の放射線出射を較正する。
【0112】
XRFシグネチュア構成モジュール420と較正DATAプロバイダ425は両方とも選択的なものであり、なくともよいと解するべきである。例えば、上述したように、いくつかの場合、XRFシグネチュアの符号語がマーキング組成物中のXRFマーキング元素の濃度を表していないが、マーキング組成物並びにマーキング組成物が形成された構成部品の基板と、マーキングを形成する方法の効果を含めて、マークを付けた対象物/構成部品全体から読み取ったXRFシグネチュアに関連している。この場合、マーカー元素の濃度と測定する必要はないが、代わりに、部品そのものからのXRFシグネチュアがマーキングの符号語を表すことができる。したがって、この場合、較正モジュールはなくてもよく、おそらく、XRFシグネチュア対応データプロバイダ430とXRFシグネチュア対応プロセッサ440によって、XRFシグネチュアXRFS
1とXRFS
2(異なる構成部品/基板に形成した同じマーキング組成物から取得できる)が互いに対応するかどうかを決めることができる。