【実施例】
【0035】
〔実施例1〕
エタノールを30重量部、コンドロイチン硫酸ナトリウムを1重量部、残余を水として100重量部の組成物を調整し、よく混合して消毒用組成物を作製した。
【0036】
〔実施例2〕
エタノールを50重量部とした以外は、実施例1と同様に消毒用組成物を作製した。
【0037】
〔実施例3〕
コンドロイチン硫酸ナトリウムを0.01重量部とした以外は、実施例1と同様に消毒用組成物を作製した。
【0038】
〔比較例1〕
エタノールを10重量部とした以外は、実施例1と同様に消毒用組成物を作製した。
【0039】
〔比較例2〕
エタノールを70重量部とした以外は、実施例1と同様に消毒用組成物を作製した。
【0040】
〔比較例3〕
コンドロイチン硫酸ナトリウムを配合しなかった以外は、実施例1と同様に消毒用組成物を作製した。
【0041】
〔外観性状〕
作製直後の消毒用組成物の性状について目視により評価するに際して、評価基準として、コンドロイチン硫酸ナトリウムが均一に溶解している状態を「○」評価とし、コンドロイチン硫酸ナトリウムが溶解していない又はコンドロイチン硫酸ナトリウムによるくすみが生じている状態を「×」評価とし、「○」評価が好ましく「×」評価が好ましくないと評価した。
【0042】
〔保湿性〕
作製の消毒用組成物の保湿性を評価するに際して、評価基準として、専門パネラー5名にて使用後の保湿感を1点から5点の5段階の官能評価を行い、その平均点を求め、下記の評価基準に基づいて区分し、「〇」評価が好ましく、「△」評価及び「×」評価は好ましくないと評価を行った。
○:平均点が4.0以上
△:平均店が2.0以上 、4.0未満
×:平均点が2.0未満
【0043】
〔殺菌効力〕
作製の消毒用組成物の殺菌効力を評価するに際して、検体と菌液を直接接触した後平板培地に塗抹し、菌数の評価を行った。評価基準として、コントロールの菌数に対して前記消毒用組成物と接触したことにより死滅した菌数の割合が99.99%以上の効力であったものを「○」評価とし、99.99%未満の効力であったものを「×」評価とし、「○」評価が好ましく「×」評価が好ましくないと評価した。
【0044】
実施例1〜3、比較例1〜3について、外観性状、保湿性、殺菌効力に関する結果を表1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
表1に示すように、エタノール及び水を配合する組成物において、コンドロイチン硫酸ナトリウムを配合すると保湿性が良好であるが、エタノールの配合量が70重量部になるとコンドロイチン硫酸ナトリウムが溶解せず、エタノールの配合量が10重量部程度である場合には殺菌効力が好ましくなかった。これらの結果より、消毒用組成物として、コンドロイチン硫酸ナトリウムが均一に溶解する良好な性状を有しつつ、好ましい殺菌効力を示すためには、エタノール、水、及びコンドロイチン硫酸ナトリウムの配合割合が所定の範囲である必要があることが分かった。
【0047】
〔実施例4〕
エタノールを30重量部、保湿剤であるコンドロイチン硫酸ナトリウム(1.0重量部、増粘剤であるカルボキシビニルポリマー(和光純薬工業株式会社製、商品名:「ハイビスワコー103」)を0.4重量部、非イオン界面活性剤であるポリオキシエチレンセチルエーテル(日光ケミカルズ株式会社製、商品名:「NIKKOL BC−15」、HLB:15.5)を2重量部、非イオン界面活性剤であるモノステアリン酸グリセリン(日光ケミカルズ株式会社製、商品名:「NIKKOL MGS−AMV」、HLB:4.0)を2重量部、油脂分である流動パラフィン(中央化成株式会社製、商品名:「流動パラフィン350S」)を1重量部、油脂分であるミリスチン酸イソプロピルを1重量部、油脂分であるステアリルアルコールを0.5重量部、保湿剤であるグリセリンを0.5重量部、ジメチルポリシロキサン(東レ・ダウコーニング株式会社製、商品名:「Q7−9120SILICONE FLUID350CST」)を0.2重量部、消毒成分であるベンゼトニウム塩化物を0.05重量部、水酸化ナトリウムを0.072重量部、残余を水として100重量部の組成物を調整し、よく混合して消毒用組成物を作製した。
【0048】
〔実施例5〕
実施例4においてエタノールを50重量部とした以外は、実施例4と同様にして、消毒用組成物を作製した。そして、実施例4と同様に粘度を測定したところ、80Pa・sであった。
【0049】
〔実施例6〕
実施例4においてコンドロイチン硫酸ナトリウムを0.5重量部とした以外は、実施例4と同様にして、消毒用組成物を作製した。そして、実施例4と同様に粘度を測定したところ、95Pa・sであった。
【0050】
〔実施例7〕
実施例4においてコンドロイチン硫酸ナトリウムを0.1重量部とした以外は、実施例4と同様にして、消毒用組成物を作製した。そして、実施例4と同様に粘度を測定したところ、101Pa・sであった。
【0051】
〔実施例8〕
実施例4においてコンドロイチン硫酸ナトリウムを0.01重量部とした以外は、実施例4と同様にして、消毒用組成物を作製した。そして、実施例4と同様に粘度を測定したところ、95Pa・sであった。
【0052】
〔比較例4〕
実施例4においてコンドロイチン硫酸ナトリウムの代わりにヒアルロン酸ナトリウムを0.01重量部とした以外は、実施例4と同様にして、消毒用組成物を作製した。そして、実施例4と同様に粘度を測定したところ、128Pa・sであった。
【0053】
〔比較例5〕
実施例4においてコンドロイチン硫酸ナトリウムを配合せずカルボキシビニルポリマーを0.05重量部、水酸化ナトリウムを0.09重量部とした以外は、実施例4と同様にして、消毒用組成物を作製した。そして、実施例4と同様に粘度を測定したところ、211Pa・sであった。
【0054】
〔比較例6〕
実施例4においてエタノールを40重量部としコンドロイチン硫酸ナトリウムを配合せずカルボキシビニルポリマーを0.05重量部、水酸化ナトリウムを0.09重量部とした以外は、実施例4と同様にして、消毒用組成物を作製した。そして、実施例4と同様に粘度を測定したところ、183Pa・sであった。
【0055】
〔比較例7〕
実施例4においてエタノールを70重量部とした以外は、実施例4と同様にして、消毒用組成物を作製した。そして、製造後に分離や白濁などがあり、実施例4と同様に粘度を測定することができなかった。
【0056】
〔比較例8〕
実施例4においてコンドロイチン硫酸ナトリウムを0.005重量部とした以外は、実施例4と同様にして、消毒用組成物を作製した。そして、実施例4と同様に粘度を測定したところ、105Pa・sであった。
【0057】
〔比較例9〕
実施例4においてエタノールを10重量部とした以外は、実施例4と同様にして、消毒用組成物を作製した。そして、実施例4と同様に粘度を測定したところ、185Pa・sであった。
【0058】
〔外観性状〕
作製直後の消毒用組成物の性状について目視により評価するに際して、評価基準として、コンドロイチン硫酸ナトリウムが均一に溶解しており、クリーム状で分離も見られない状態を「○」評価とし、くすみはあるがコンドロイチン硫酸ナトリウムが溶解しており分離も見られない状態を「△」、分離して均一になっていない状態を「×」評価とし、「○」評価及び「△」評価が好ましく「×」評価が好ましくないと評価した。
【0059】
〔保湿性〕
作製の消毒用組成物の保湿性を評価するに際して、専門パネラー5名にて使用後の保湿感を1点から5点の5段階の官能評価を行い、その平均点を求め、下記の評価基準に基づいて区分し、「〇」評価が好ましく、「△」評価及び「×」評価は好ましくないと評価を行った。
○:平均点が4.0以上
△:平均店が2.0以上 、4.0未満
×:平均点が2.0未満
【0060】
〔殺菌効力〕
作製の消毒用組成物の殺菌効力を評価するに際して、検体と菌液を直接接触した後平板培地に塗抹して培養し、菌数の評価を行った。評価基準として、コントロールの菌数に対して前記消毒用組成物と接触したことにより死滅した菌数の割合が99.99%以上の効力であったものを「○」評価とし、99.99%未満の効力であったものを「×」評価とし、「○」評価が好ましく「×」評価が好ましくないと評価した。
【0061】
実施例4〜8、比較例4〜9について、粘度、外観性状、保湿性、殺菌効力に関する結果を表2に示す。
【0062】
【表2】
【0063】
表2から、エタノール、コンドロイチン硫酸ナトリウム、増粘剤、界面活性剤、水などの配合系において、エタノール、コンドロイチン硫酸ナトリウム、水を所定の含有割合とすることにより、消毒用組成物の作製時に安定してクリーム状の性状を保持することができ、保湿性及び殺菌効力も良好であることが分かった。このように、油脂成分、増粘剤、および界面活性剤を含有し、粘度を所定の範囲とすることにより、炭素数1〜3の低級アルコールが高い割合で配合されながらも、乳化安定性に優れ、さらに、使用したときに手荒れを防ぐこともできる保湿性が良好な半固形状の高粘度である消毒用乳化組成物を形成することができる。
【0064】
〔比較例10〕
エタノール、を78重量部、カルボキシビニルポリマーを0.4重量部、水酸化ナトリウムを0.072、残余を水とする消毒用組成物を作製した。
【0065】
〔比較例11〕
エタノール、を54重量部、カルボキシビニルポリマーを0.4重量部、水酸化ナトリウムを0.072、残余を水とする消毒用組成物を作製した。
【0066】
実施例8、比較例10〜11の消毒用組成物について、水分蒸散量について測定した。すなわち、それらの消毒用組成物を、温度約25℃、湿度30〜40%の環境下において、1回塗布及び10回連続塗布したときの経皮水分蒸散量を1回塗布後は5分及び10分後に、10回連続塗布後は5、10、20、30分後にTewameter TM300(Courage+Khazaka社製)を用いて測定した。そして、それらの経時後の経皮水分蒸散量と、塗布前の経皮水分蒸散量との差より変化量を算出し、肌の皮膚バリア性を評価した。1回塗布及び10回連続塗布したときから10分後以降における経皮水分蒸散量から、塗布前の経皮水分蒸散量を引いた差である変化量を算出し、この変化量が負であるものを良好と評価した。これらの結果を表3に示す。
【0067】
【表3】
【0068】
表3から、実施例8における消毒用組成物では、1回塗布後及び10回塗布後において、10分後以降の経皮水分蒸散量が塗布前の経皮水分蒸散量よりも小さく、10分後以降における経皮水分蒸散量の初期の経皮水分蒸散量からの変化量が負の数となり、水分の蒸散が抑制されて、皮膚バリア性について、比較例10〜11に比べて優れていることが分かった。また、皮膚バリア性が優れることにより、皮膚からの細菌やウイルスの侵入及び感染を予防することができる。