特許第6830654号(P6830654)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6830654
(24)【登録日】2021年1月29日
(45)【発行日】2021年2月17日
(54)【発明の名称】レンズメータ
(51)【国際特許分類】
   G01M 11/02 20060101AFI20210208BHJP
【FI】
   G01M11/02 B
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-37963(P2017-37963)
(22)【出願日】2017年3月1日
(65)【公開番号】特開2018-31764(P2018-31764A)
(43)【公開日】2018年3月1日
【審査請求日】2020年1月27日
(31)【優先権主張番号】特願2016-162366(P2016-162366)
(32)【優先日】2016年8月23日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】501299406
【氏名又は名称】株式会社トーメーコーポレーション
(72)【発明者】
【氏名】仲田 祐一郎
(72)【発明者】
【氏名】加藤 千比呂
(72)【発明者】
【氏名】青木 伸頼
(72)【発明者】
【氏名】辺 光春
(72)【発明者】
【氏名】山岸 幸治
(72)【発明者】
【氏名】後藤 佳人
【審査官】 横尾 雅一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−082333(JP,A)
【文献】 特開2007−309815(JP,A)
【文献】 特開平10−132707(JP,A)
【文献】 特表2007−514936(JP,A)
【文献】 米国特許第05867259(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 11/00−11/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
投光部から出射した光を被検レンズに照射し、
前記被検レンズを透過した光を受光部にて受光して前記被検レンズの光学特性を測定するレンズメータにおいて、
測定した前記被検レンズの光学特性の値を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された前記被検レンズの光学特性の値を表示する表示手段と、
少なくとも2つの異なる色からなるターゲットパターンであって、前記被検レンズの隠しマークを視認するために自在にピッチを変更可能なターゲットパターンが表示される隠しマーク視認画面を前記表示手段に表示する表示制御手段と、
前記表示手段により前記被検レンズの光学特性の値が表示された測定画面と前記隠しマーク視認画面とを切り替える画面切り替え手段と、を備え、
前記表示制御手段は、前記記憶手段に記憶された前記被検レンズの光学特性に応じて前記被検レンズ越しに見えるピッチが隠しマークを視認する上で最適な目標ピッチと等しくなるよう前記ターゲットパターンのピッチを拡大/縮小制御することを特徴とするレンズメータ。
【請求項2】
前記隠しマークを視認する上で最適な目標ピッチは、隠しマークの大きさや隆起または陥没の度合いに応じて変更可能であることを特徴とする、請求項1に記載のレンズメータ。
【請求項3】
前記ターゲットパターンは、格子模様であることを特徴とする請求項1または2に記載のレンズメータ。
【請求項4】
前記ターゲットパターンは、縞模様であることを特徴とする請求項1または2に記載のレンズメータ。
【請求項5】
前記ターゲットパターンは、市松模様であることを特徴とする請求項1または2に記載のレンズメータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、眼鏡レンズやコンタクトレンズ等の球面レンズ度数等の光学特性を測定することの出来るレンズメータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、老視の視力矯正用やパソコン作業時の眼精疲労低減用として種々の累進屈折力レンズが市販されている。これらの累進屈折力レンズには加入度の値の他、製造メーカーを同定したり、眼鏡フレームに対してレイアウトするための隠しマークが施されている。これら隠しマークは僅かに隆起して、または、僅かに陥没して累進屈折力レンズに加工されているため、通常では視認することが困難である。そのため、これら隠しマークを視認するには熟練が必要であった。
【0003】
特許文献1には、不透明及び透明の正方形が交互にあるパターンからなるターゲットパターンを眼鏡レンズに照射して眼鏡レンズの隠しマークを検出する装置が開示されている。眼鏡レンズにターゲットパターンを照射すると、若干の屈折力のある領域(隠しマークである)を横断した光線の方向が逸脱して、暗い背景に対する明領域或いは明るい背景に対する暗領域として隠しマークが見えるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3133430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1は、上記のように、隠しマークを簡易に視認可能にした隠しマーク検出装置を開示したものである。しかしながら、特許文献1に開示された装置は隠しマークを検出するだけのための装置であり、被検レンズである累進屈折力レンズの屈折力の値などの光学特性を測定するためには、レンズメータを別に用意する必要がある。
【0006】
また、隠しマークを検出する際にはターゲットパターンのピッチが重要であるが、ターゲットパターンは、被検レンズに照射すると被検レンズの屈折力によりターゲットパターンのピッチが拡大或いは縮小してしまうため、最適な条件で隠しマークが検出できない恐れがあるという問題がある。
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、測定した被検レンズの屈折力の値に応じてモニタに表示するターゲットパターンのピッチを拡大或いは縮小制御することを可能にし、常に最適な条件で被検レンズの隠しマークを視認可能なレンズメータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため請求項1に係るレンズメータは、投光部から出射した光を被検レンズに照射し、被検レンズを透過した光を受光部にて受光して被検レンズの光学特性を測定するレンズメータにおいて、測定した被検レンズの光学特性の値を記憶する記憶手段と、記憶手段に記憶された被検レンズの光学特性の値を表示する表示手段と、少なくとも2つの異なる色からなるターゲットパターンであって、被検レンズの隠しマークを視認するために自在にピッチを変更可能なターゲットパターンが表示される隠しマーク視認画面を表示手段に表示する表示制御手段と、表示手段により被検レンズの光学特性の値が表示された測定画面と隠しマーク視認画面とを切り替える画面切り替え手段と、を備え、表示制御手段は、記憶手段に記憶された被検レンズの光学特性に応じて被検レンズ越しに見えるピッチが隠しマークを視認する上で最適な目標ピッチと等しくなるようターゲットパターンのピッチを拡大/縮小制御することを特徴とする。
【0009】
請求項2に係るレンズメータは、請求項1に記載のレンズメータにおいて、隠しマークを視認する上で最適な目標ピッチは、隠しマークの大きさや隆起または陥没の度合いに応じて変更可能であることを特徴とする。
【0010】
請求項3に係るレンズメータは、請求項1または2に記載のレンズメータにおいて、隠しマークを視認するためのターゲットパターンは、格子模様であることを特徴とする。また、請求項4に係るレンズメータは、請求項1または2に記載のレンズメータにおいて、隠しマークを視認するためのターゲットパターンは、縞模様であることを特徴とする。また、請求項5に係るレンズメータは、請求項1または2に記載のレンズメータにおいて、隠しマークを視認するためのターゲットパターンは、市松模様であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係るレンズメータでは、被検レンズの隠しマークを検出するための少なくとも2つの異なる色からなるターゲットパターンをレンズメータに備わる表示手段(モニタ)により表示するようにするため、特許文献1に開示されたような隠しマークを検出するだけのための装置を必要としない。
【0012】
また、ターゲットパターンのピッチは、測定した被検レンズの光学特性の値に応じて拡大/縮小制御することから、常に最適な条件(最適なピッチのターゲットパターン)で被検レンズの隠しマークを検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係るレンズメータの全体構成を説明する図である。
図2】本発明の実施形態に係るレンズメータの光学系を説明する図である。
図3】本発明の実施形態に係るレンズメータで用いられるパターン板の例を説明する図である。
図4】本発明の実施形態に係るレンズメータの操作フローを説明する図である。
図5】本発明の実施形態に係るレンズメータのモニタに表示する(a)測定値の表示画面、(b)ターゲットパターンとして市松模様の表示画面の例を説明する図である。
図6】本発明の実施形態に係るレンズメータのモニタに表示する市松模様のピッチの制御について説明する図である。
図7】本発明の実施形態に係るレンズメータのモニタに表示するターゲットパターンの別の例として格子模様の表示画面を説明する図である。
図8】本発明の実施形態に係るレンズメータのモニタに表示するターゲットパターンの別の例として(a)縞模様(縦)の表示画面、(b)縞模様(横)の表示画面を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0014】
以下、本発明の実施形態に係るレンズメータ1について図1および図2を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態に係るレンズメータ1の全体構成を示した図であり、図2は、本発明の実施形態に係るレンズメータ1の光学系を示した図である。
【0015】
実施形態に係るレンズメータ1は、図1に示すように、光学系10と本体部100から構成される。光学系10は、被検レンズの屈折力を測定するための測定光源11およびRGB型のCMOSイメージセンサー26などから構成されている。
【0016】
本体部100は、演算/制御処理部101、モニタ102、タッチパネル103、スイッチボタン104、プリンター105およびメモリ106などから構成されている。演算/制御処理部101からの制御信号により、測定光源11の点灯/消灯の制御やCMOSイメージセンサー26の制御が実施される。また、演算/制御処理部101には、CMOSイメージセンサー26により取得されたイメージデータが入力される。そして、演算/制御処理部101に入力されたイメージデータについて演算処理を実施して、被検レンズの屈折力の値などを算出する。演算/制御処理部101は、算出した結果をメモリ106に記憶すると共に、モニタ102に表示する。
【0017】
次に、光学系10について、図2を参照して説明する。光学系10は、測定光源11などを備えた投光部と、CMOSイメージセンサー26などを備えた受光部とから構成されている。
【0018】
本実施形態では、測定光源11には、例えば、波長が535nmの緑色光のLEDが採用される。眼鏡レンズの屈折力は、基準波長であるd線(587.56nm)またはe線(546.07nm)により値付けされているため、本実施形態では、これら基準波長に近い535nmの緑色光を採用するが、これに限定するものではなく、緑色光より長波長の赤色光のLEDを採用してもよい。基準波長との差で生じる誤差は、基準レンズを用いた校正作業により補正される。
【0019】
測定光源11から出射される緑色光(以下「測定光」)は絞り16およびコリメータレンズ17に入射する。絞り16は薄い平板に円形状の貫通穴を設けたものであり、被検レンズ18に照射する光の光束径を制限するものである。被検レンズ18に照射する光の光束径が大き過ぎると、コリメータレンズ17から被検レンズ18の間に配置された(図示しない)他の構成部品に照射し、その反射光が被検レンズ18に入り込む恐れがある。絞り16により、被検レンズ18に照射する光の光束径を制限して他の構成部品からの反射光が被検レンズ18に入り込むことを防止している。
【0020】
また、測定光源11は、コリメータレンズ17の後側面焦点距離(バックフォーカス)の位置に配置されている。これにより、測定光はコリメータレンズ17により平行光となり、被検レンズ18に対して垂直に照射する。尚、レンズ受け19は被検レンズ18を載せるための台であり、被検レンズ18は、レンズ受け19により受光素子であるCMOSイメージセンサー26に対し一定の距離に配置されて、屈折力などの光学特性が測定される。
【0021】
被検レンズ18を透過した測定光は、カバーガラス20、パターン板21および集光レンズ22、23、24に入射した後、CMOSイメージセンサー26に入射する。
【0022】
ここで、カバーガラス20は受光部を埃などから保護するために配置された平板状の板ガラスであり、本実施形態では、被検レンズ18を透過した測定光、紫外光および青色光がほぼ100%の透過率で透過できるように、上面および下面の両面には反射防止のためのマルチコーティングが施されている。尚、マルチコーティングは必須なものでななく、適宜、必要に応じて、適切な反射防止コーティングを施せばよい。
【0023】
パターン板21は、例えば、図3の(a)のような正方形の各頂点を中心とする4つの円状の貫通穴21a、21b、21c、21dを設けた円板状の平板が採用できる。被検レンズ18を透過した測定光は、被検レンズ18の屈折力に応じて屈折してパターン板21に入射して4つの分離した光となる。4つの分離した光は、集光レンズ22、23および24により集光し、CMOSイメージセンサー26の受光面において結像する。
【0024】
4つの光がCMOSイメージセンサー26の受光面で結像する位置は、被検レンズ18の屈折力に応じて変化するため、4つの光の重心位置(座標位置)をCMOSイメージセンサー26のイメージデータから算出することにより、被検レンズ18の屈折力の値を算出することができるのである。4つの座標位置から球面屈折力S、円柱屈折力Cおよび乱視角度Aなどの光学特性の値を算出する方法は特許第3150404号公報などに開示されているので、ここでは、詳細は省略する。
【0025】
また、本実施形態における測定光が上記のように緑色光である。そこで、CMOSイメージセンサー26のR受光面(red)、G受光面(green)およびB受光面(blue)の内、G受光面で受光した電気信号を選択的に取り出して演算/制御処理部101にて処理することにより、被検レンズ18の屈折力などの光学特性を取得できる。すなわち、本実施形態のようにRGB型のCMOSイメージセンサー26を受光素子として採用することにより、測定光を選択的に受光するためのフィルターなどを配置する必要がない。
【0026】
次に、本実施形態における操作方法について、図4を参照して説明する。図4は本発明の実施形態に係るレンズメータの操作フローの一例を示したものである。
【0027】
まず、ステップS10で、測定光源11を点灯する。ステップS12で被検レンズをレンズ受け19に載せたら(Y)、ステップS14で、被検レンズ18の屈折力の算出を開始する。被検レンズ18の挿入後から被検レンズ18の屈折力の算出は常時実施されるようになっており、その都度、メモリ106に記憶し、モニタ102に表示する。
【0028】
ステップS16に進み、アライメントを行う。アライメントは測定光軸に被検レンズ18の光学中心が来るように、被検レンズ18をレンズ受け19に載せた状態で左右前後に移動する。具体的には、モニタ102に表示されたターゲットが座標中心に来るように被検レンズを移動することによりアライメントを実施する。
【0029】
図5の(a)は、レンズメータ1のモニタ102に表示される測定画面の一例である。画面中央部にはターゲットエリア116が表示され、ターゲットエリア116の中にはターゲットマーク(+)117が表示される。ターゲットマーク(+)117は被検レンズ18の光学中心の位置を、ターゲットエリア116の中心118は光学系10の光軸中心を、それぞれ表しており、モニタ102に表示されるターゲットマーク(+)117がターゲットエリア116の中心118に来るように、操作者は被検レンズ18をレンズ受け19に載せた状態で左右前後に移動させて、アライメントを実施する。
【0030】
ステップS18で、アライメントが終了したか否かを判断する。もし、アライメントが終了したら(Y:アライメントOK)、ステップS20で、アライメント終了時の被検レンズ18の屈折力の値をメモリ106に記憶し、モニタ102に表示する。アライメントが終了しなければ(N:アライメントNG)、ステップS14に戻り、被検レンズ18の屈折力の算出からやり直す。
【0031】
ステップS22で、モニタ102に表示された被検レンズ18の屈折力の値を確認し、OKと判断したら(Y:測定値OK)、ステップS24に進む。もし、表示された被検レンズ18の屈折力の値に問題があれば(N:測定値NG)、ステップS14に戻り、被検レンズ18の屈折力の算出からやり直す。
【0032】
ステップS24では、画面切替ボタンであるスイッチボタン104を押す。スイッチボタン104が押されたら、ステップS26で、被検レンズ18の隠しマークを視認するためのターゲットパターンをモニタ102に表示する。本実施形態では、ターゲットパターンの一例として、図5の(b)に示すように、白色と黒色の正方形が交互にある市松模様120を用いて説明する。
【0033】
ここで、モニタ102に表示される白色と黒色の正方形のピッチは、ステップS20でメモリ106に記憶された被検レンズ18の屈折力の値に基づいて演算/制御処理部101により算出して決定される。隠しマークの視認は市松模様120が表示されるモニタ102の前方に被検レンズ18を配置し、市松模様120を、被検レンズ18を通して見ることにより行う。被検レンズ18を通して見る市松模様120は、被検レンズ18の屈折力により拡大または縮小するため、一定のピッチで隠しマークを視認することができない。そのため、本実施形態では、被検レンズ18を通して見る市松模様120のピッチが常に一定になるように、測定した被検レンズ18の屈折力の値に基づいて白色と黒色の正方形のピッチを決定してモニタ102に表示されるようになっている。
【0034】
ステップS28では、被検レンズ18に施された隠しマークを視認する。隠しマークの視認は上記のように、モニタ102に表示した市松模様120を、被検レンズ18を通して見ることにより、視認することができる。すなわち、明るい背景(白色の正方形)の暗部領域或いは暗い背景(黒色の正方形)の明領域として隠しマークを視認することができる。
【0035】
隠しマークの視認が終了したら、ステップS30で、再度スイッチボタン104を押す。スイッチボタン104が押されたら、ステップS32で、モニタ102に図5の(a)に示した測定画面を再度表示する。
【0036】
ステップS34で、測定が終了したか否かを判断する。もし、測定が終了したら(Y)、操作は終了する。再度、測定する場合(N)は、ステップS14に戻り、被検レンズ18の屈折力の算出からやり直す。
【0037】
尚、図5の(a)および(b)に示した画面表示は一例であって、限定されるものでない。適宜、最適な画面表示をモニタ102に表示するようにすればよい。
【0038】
図6は、本発明の実施形態に係るレンズメータのモニタに表示する市松模様のピッチの制御について説明する図である。図6の(a)のモニタ102に表示する市松模様120の白色と黒色の正方形の最適なピッチd0、d0は、隠しマークを視認する上で最適の値であるとする。例えば、被検レンズ18がプラスの屈折力を持つ凸レンズである場合、図6の(a)に示すように、被検レンズ18を通して見える市松模様120のピッチd1、d1はピッチd0、d0より大きくなる(d1>d0)。
【0039】
本実施形態では、図6の(b)に示すように、被検レンズ18を通して見える市松模様120のピッチd2、d2が最適なピッチd0、d0と等しくなる(d2=d0)ように、市松模様120の白色と黒色の正方形のピッチd3、d3を縮小して(d3<d0)モニタ102に表示する。ここで、モニタ102に表示する市松模様120の白色と黒色の正方形のピッチd3、d3は、上記のように、測定された被検レンズ18の屈折力の値に基づいて演算/制御処理部101により算出される。
【0040】
上記のように、本実施形態によれば、被検レンズ18の屈折力に関係なく、白色と黒色の正方形のピッチが最適な状態で隠しマークを視認することができる。
【0041】
ここで、レンズメータ1はレンズメータの一例であり、被検レンズ18は被検レンズの一例であり、メモリ106は記憶手段の一例であり、モニタ102は表示手段の一例であり、市松模様120はターゲットパターンの一例である。
【0042】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば、本発明を上記の実施形態に適用したものに限られることなく、これらの実施形態を適宜組み合わせた実施形態に適用してもよく、特に限定するものではない。
【0043】
例えば、上記実施形態では、パターン板21には図3(a)の4つ穴のパターン板を採用したが、パターン板はこれに限定するものではない。例えば、図3(b)のパターン板210のように多数の貫通穴を設けたハルトマンプレートを採用することも可能である。さらに、本明細書には図示しないが、円状のパターンを採用してもよい。すなわち、種々な特許文献に開示されたパターンが採用可能である。
【0044】
また、上記実施形態では、白色と黒色との市松模様120をモニタ102に表示したが、明色と暗色との組み合わせであれば、白色と黒色に限定されず、いろいろな色の組み合わせが採用できる。さらに、3色以上の組み合わせであってもよい。視認において効果的な配色であれば、様々な色の組み合わせが採用可能である。
【0045】
また、上記実施形態では、白色と黒色の正方形のピッチd0、d0を最適の値であるとしたが、これについても、1つの値に限定するものではない。隠しマークの大きさや隆起または陥没の度合いに応じてピッチd0、d0の値を調整してもよい。例えば、図5の(b)の拡大/縮小ボタン121によりピッチd0、d0の値を調整してもよいし、モニタ上をスワイプ、ピンチアウト、ピンチインすることにより調整してもよい。
【0046】
また、上記実施形態では、ターゲットパターンの一例として図5(b)に示すような正方形が交互にある市松模様120をモニタ102に表示したが、ターゲットパターンはこれに限定するものではない。例えば、市松模様120の目は正方形ではなく長方形であってもよい。また、図7のような格子模様のパターン122であってもよいし、図8(a)(b)のような縞模様のパターン123、124であってもよい。
【0047】
また、図5(b)、図7図8(a)(b)に示すターゲットパターンは、モニタ102の上下方向に対して垂直或いは水平方向に境界を持つパターンとしたが、これに限定するものではなく、傾斜方向に境界を持つパターンであってもよい。
【符号の説明】
【0048】
1・・レンズメータ
10・・光学系
11・・測定光源
18・・被検レンズ
26・・CMOSイメージセンサー
101・・演算/制御処理部
102・・モニタ
120・・市松模様
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8