特許第6830669号(P6830669)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ タワー ガーデン エルエルシーの特許一覧

<>
  • 特許6830669-改良された水耕植物栽培装置 図000002
  • 特許6830669-改良された水耕植物栽培装置 図000003
  • 特許6830669-改良された水耕植物栽培装置 図000004
  • 特許6830669-改良された水耕植物栽培装置 図000005
  • 特許6830669-改良された水耕植物栽培装置 図000006
  • 特許6830669-改良された水耕植物栽培装置 図000007
  • 特許6830669-改良された水耕植物栽培装置 図000008
  • 特許6830669-改良された水耕植物栽培装置 図000009
  • 特許6830669-改良された水耕植物栽培装置 図000010
  • 特許6830669-改良された水耕植物栽培装置 図000011
  • 特許6830669-改良された水耕植物栽培装置 図000012
  • 特許6830669-改良された水耕植物栽培装置 図000013
  • 特許6830669-改良された水耕植物栽培装置 図000014
  • 特許6830669-改良された水耕植物栽培装置 図000015
  • 特許6830669-改良された水耕植物栽培装置 図000016
  • 特許6830669-改良された水耕植物栽培装置 図000017
  • 特許6830669-改良された水耕植物栽培装置 図000018
  • 特許6830669-改良された水耕植物栽培装置 図000019
  • 特許6830669-改良された水耕植物栽培装置 図000020
  • 特許6830669-改良された水耕植物栽培装置 図000021
  • 特許6830669-改良された水耕植物栽培装置 図000022
  • 特許6830669-改良された水耕植物栽培装置 図000023
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6830669
(24)【登録日】2021年1月29日
(45)【発行日】2021年2月17日
(54)【発明の名称】改良された水耕植物栽培装置
(51)【国際特許分類】
   A01G 31/00 20180101AFI20210208BHJP
   A01G 31/04 20060101ALI20210208BHJP
   A01G 31/06 20060101ALI20210208BHJP
【FI】
   A01G31/00 601B
   A01G31/04 A
   A01G31/06
【請求項の数】17
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2018-520408(P2018-520408)
(86)(22)【出願日】2016年5月12日
(65)【公表番号】特表2018-531028(P2018-531028A)
(43)【公表日】2018年10月25日
(86)【国際出願番号】US2016032205
(87)【国際公開番号】WO2017069803
(87)【国際公開日】20170427
【審査請求日】2019年5月9日
(31)【優先権主張番号】62/243,767
(32)【優先日】2015年10月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514079907
【氏名又は名称】タワー ガーデン エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Tower Garden, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100141025
【弁理士】
【氏名又は名称】阿久津 勝久
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン,モリス
【審査官】 門 良成
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2006/0032128(US,A1)
【文献】 実開平01−020172(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0100535(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水耕植物栽培装置であって、
流体を保持するための容器であって、前記容器が、ベース及びカバーを有し、前記ベースが上縁部を有し、前記カバーが、下縁部及び上部開口部を有し、前記上部開口部は前記下縁部から垂直方向にずれており、前記カバーの前記下縁部は、前記ベースの前記上縁部と取り外し可能に係合することができる、容器と、
中空内部を有する植え付け柱であって、前記植え付け柱は、前記容器のカバー内の前記上部開口部と取り外し可能に係合することができる、植え付け柱と、
前記植え付け柱の前記中空内部に少なくとも部分的に植物を受け入れるために、前記植え付け柱内に画定された少なくとも1つの植え付けポートと、
前記植え付け柱の前記中空内部を通り抜ける導管であって、前記植え付け柱が前記カバー内で前記上部開口と係合しているときに、前記導管は前記容器と流体連通している、導管と、
前記植え付け柱の頂部と取り外し可能に係合することができる流体分配器であって、前記流体分配器が前記植え付け柱の頂部と係合しているときに、前記導管と流体連通している流体分配器と、
前記容器内に位置付けられているポンプと、
前記カバー内で前記ポンプから前記上部開口部まで延在している供給線と、
前記カバー内で、前記上部開口部内に位置付けられ、前記上部開口部から下向きに延在している流体カプラであって、前記植え付け柱が前記カバー内で前記上部開口部と係合しているときに、前記流体カプラは、前記供給線を前記導管に流体連結するように構成されおり、前記流体カプラは前記カバーの前記下縁部より下に延在していない、流体カプラと、を備え、
前記カバーが前記ベースと係合しているとともに、前記流体分配器が前記植え付け柱と係合しているときに、前記流体が、前記容器から前記植え付け柱内の前記導管を通って前記流体分配器に選択的に循環され、前記流体が、向きを変えられて前記植え付け柱の前記中空内部を下り、前記容器に戻され
前記カバーが、
下向きの凹面を備えて前記容器の前記ベースから上方に弓形に延在し、
前記カバーが、変曲線を含み、前記カバーが前記上部開口部に向かって集中するにつれて、前記カバーが、前記変曲線を横切って凹面を変化させ装置。
【請求項2】
前記ベースが前記容器の下部を画定し、前記カバーが前記容器の上部を画定し、前記流体カプラが前記容器の前記下部の中に延在していない、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記カバーが、ドーム形状を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
水耕植物栽培装置であって、
流体を保持するための容器であって、前記容器が、ベース及びカバーを有し、前記ベースが上縁部を有し、前記カバーが、下縁部及び上部開口部を有し、前記上部開口部は前記下縁部から垂直方向にずれており、前記カバーの前記下縁部は、前記ベースの前記上縁部と取り外し可能に係合することができる、容器と、
中空内部を有する植え付け柱であって、前記植え付け柱は、前記容器のカバー内の前記上部開口部と取り外し可能に係合することができる、植え付け柱と、
前記植え付け柱の前記中空内部に少なくとも部分的に植物を受け入れるために、前記植え付け柱内に画定された少なくとも1つの植え付けポートと、
前記植え付け柱の前記中空内部を通り抜ける導管であって、前記植え付け柱が前記カバー内で前記上部開口と係合しているときに、前記導管は前記容器と流体連通している、導管と、
前記植え付け柱の頂部と取り外し可能に係合することができる流体分配器であって、前記流体分配器が前記植え付け柱の頂部と係合しているときに、前記導管と流体連通している流体分配器と、
前記容器内に位置付けられているポンプと、
前記カバー内で前記ポンプから前記上部開口部まで延在している供給線と、
前記カバー内で、前記上部開口部内に位置付けられ、前記上部開口部から下向きに延在している流体カプラであって、前記植え付け柱が前記カバー内で前記上部開口部と係合しているときに、前記流体カプラは、前記供給線を前記導管に流体連結するように構成されおり、前記流体カプラは前記カバーの前記下縁部より下に延在していない、流体カプラと、を備え、
前記カバーが前記ベースと係合しているとともに、前記流体分配器が前記植え付け柱と係合しているときに、前記流体が、前記容器から前記植え付け柱内の前記導管を通って前記流体分配器に選択的に循環され、前記流体が、向きを変えられて前記植え付け柱の前記中空内部を下り、前記容器に戻され、
前記カバーが、S字断面を有する装置。
【請求項5】
前記植え付け柱及び前記カバー内の前記上部開口部が、第1の対応する入れ子要素の対及び第2の対応する入れ子要素の対を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
複数のローラをさらに備え、前記容器の前記ベースが、前記複数のローラ上に位置付けられている、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記植え付け柱が、少なくとも第1のモジュール及び第2のモジュールをさらに備え、各モジュールが、
側壁と、
中空内部と、
前記中空内部に少なくとも部分的に植物を受け入れるために、前記側壁内に画定された少なくとも1つの植え付けポートと、
開放上端と、
底壁と、
前記底壁内に画定されている複数の排出孔と、
前記モジュールの前記底壁から前記開放上端まで延在するモジュール導管と、を含み、
前記第1のモジュールの前記底壁が前記第2のモジュールの前記開放上端と取り外し可能に係合するように構成されており、
前記第1モジュールの前記底部壁が、前記第2モジュールの前記開放上端と取り外し可能に係合しているときに、前記第1のモジュールの前記モジュール導管が、前記第2のモジュールの前記モジュール導管と取り外し可能に係合するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記第1のモジュールの前記底壁及び前記第2のモジュールの前記開放上端が、対応する角度停止要素を含み、前記第1のモジュールの前記底壁が前記第2のモジュールの前記開放上端と取り外し可能に係合しているとき、前記角度停止要素が前記第1のモジュールと前記第2のモジュールとの間の相対回転を防止する、請求項に記載の装置。
【請求項9】
前記角度停止要素が、それぞれのモジュールの少なくとも1つの植え付けポートと整列しており、これによって、前記第1のモジュールの前記底壁が前記第2のモジュールの前記開放上端と取り外し可能に係合しているときに、前記第1のモジュールの前記少なくとも1つの植え付けポートが、前記第2のモジュールの前記少なくとも1つの植え付けポートと垂直方向に整列している、請求項に記載の装置。
【請求項10】
それぞれのモジュールの前記底壁は、当該底壁を通るモジュール支持ロッド孔を含み、前記第1のモジュールの前記底壁が前記第2のモジュールの前記開放上端と係合しているときに、それぞれのモジュール支持ロッド孔は垂直方向に整列しており、
前記流体分配器の下壁は、前記下壁を通る流体分配器支持ロッド孔を含み、前記流体分配器が前記植え付け柱の前記上部と係合しているときに、前記流体分配器支持ロッド孔はそれぞれのモジュール支持ロッド孔と垂直方向に整列しており、
前記植え付け柱は、それぞれのモジュールの前記モジュール支持ロッド孔及び前記流体分配ロッド孔を通って延在する支持ロッドをさらに備えることにより、前記植え付け柱が前記容器の前記カバーと係合しているときに構造的完全性を提供し、前記流体分配器が、前記植え付け柱の頂部と係合している、請求項に記載の装置。
【請求項11】
水耕植物栽培装置であって、
流体を保持するための容器であって、前記容器が、ベース及びカバーを有し、前記ベースが上縁部を有し、前記カバーが、下縁部及び上部開口部を有し、前記上部開口部は前記下縁部から垂直方向にずれており、前記カバーの前記下縁部は、前記ベースの前記上縁部と取り外し可能に係合することができる、容器と、
中空内部を有する植え付け柱であって、前記植え付け柱は、前記容器のカバー内の前記上部開口部と取り外し可能に係合することができる、植え付け柱と、
前記植え付け柱の前記中空内部に少なくとも部分的に植物を受け入れるために、前記植え付け柱内に画定された少なくとも1つの植え付けポートと、
前記植え付け柱の前記中空内部を通り抜ける導管であって、前記植え付け柱が前記カバー内で前記上部開口と係合しているときに、前記導管は前記容器と流体連通している、導管と、
前記植え付け柱の頂部と取り外し可能に係合することができる流体分配器であって、前記流体分配器が前記植え付け柱の頂部と係合しているときに、前記導管と流体連通している流体分配器と、
前記容器内に位置付けられているポンプと、
前記カバー内で前記ポンプから前記上部開口部まで延在している供給線と、
前記カバー内で、前記上部開口部内に位置付けられ、前記上部開口部から下向きに延在している流体カプラであって、前記植え付け柱が前記カバー内で前記上部開口部と係合しているときに、前記流体カプラは、前記供給線を前記導管に流体連結するように構成されおり、前記流体カプラは前記カバーの前記下縁部より下に延在していない、流体カプラと、を備え、
前記カバーが前記ベースと係合しているとともに、前記流体分配器が前記植え付け柱と係合しているときに、前記流体が、前記容器から前記植え付け柱内の前記導管を通って前記流体分配器に選択的に循環され、前記流体が、向きを変えられて前記植え付け柱の前記中空内部を下り、前記容器に戻され、
前記容器の前記ベースが、前記カバーから下向き方向に弓形に延在する側壁を有する装置。
【請求項12】
水耕植物栽培装置であって、
流体を保持するための容器であって、前記容器が、ベース及びカバーを有し、前記ベースが上縁部を有し、前記カバーが、下縁部及び上部開口部を有し、前記上部開口部は前記下縁部から垂直方向にずれており、前記カバーの前記下縁部は、前記ベースの前記上縁部と取り外し可能に係合することができる、容器と、
中空内部を有する植え付け柱であって、前記植え付け柱は、前記容器のカバー内の前記上部開口部と取り外し可能に係合することができる、植え付け柱と、
前記植え付け柱の前記中空内部に少なくとも部分的に植物を受け入れるために、前記植え付け柱内に画定された少なくとも1つの植え付けポートと、
前記植え付け柱の前記中空内部を通り抜ける導管であって、前記植え付け柱が前記カバー内で前記上部開口と係合しているときに、前記導管は前記容器と流体連通している、導管と、
前記植え付け柱の頂部と取り外し可能に係合することができる流体分配器であって、前記流体分配器が前記植え付け柱の頂部と係合しているときに、前記導管と流体連通している流体分配器と、
前記容器内に位置付けられているポンプと、
前記カバー内で前記ポンプから前記上部開口部まで延在している供給線と、
前記カバー内で、前記上部開口部内に位置付けられ、前記上部開口部から下向きに延在している流体カプラであって、前記植え付け柱が前記カバー内で前記上部開口部と係合しているときに、前記流体カプラは、前記供給線を前記導管に流体連結するように構成されおり、前記流体カプラは前記カバーの前記下縁部より下に延在していない、流体カプラと、を備え、
前記カバーが前記ベースと係合しているとともに、前記流体分配器が前記植え付け柱と係合しているときに、前記流体が、前記容器から前記植え付け柱内の前記導管を通って前記流体分配器に選択的に循環され、前記流体が、向きを変えられて前記植え付け柱の前記中空内部を下り、前記容器に戻され、
前記流体分配器は、前記供給線を前記流体カプラに対して回転させ得る旋回軸受を備える装置。
【請求項13】
前記カバーは、上に向かって集中して、前記上部開口部を画定する上向き延長部分を形成し、前記上向き延長部分は、植え付け柱が入れ子となる垂直座を形成する、請求項1に記載の装置
【請求項14】
水耕植物栽培装置であって、
流体を保持するための容器であって、前記容器が、ベース及びカバーを有し、前記カバーが、前記ベースから上方に弓形になっており、前記ベースが前記容器の第1の部分を画定し、前記カバーが前記容器の第2の部分を画定する、容器と、
前記カバー内に画定されている上部開口部と、
前記容器の前記カバーの前記上記開口部より上で、互いの上に端部を合わせて積み重ねられた複数の植え付けモジュールであって、それぞれのモジュールが、側壁、中空内部、前記中空内部の中に少なくとも部分的に植物を受け入れるために、前記側壁に画定され、少なくとも1つの植え付けポート、開放上端、前記開放上端と取り外し可能に係合するように構成された底壁、前記底壁に画定された複数の排出孔、前記底壁に画定されたモジュール支持ロッド孔であって、それぞれのモジュールの前記モジュール支持ロッド孔は、互いに前記複数のモジュールの前記モジュール支持ロッド孔と垂直方向に整列している、モジュール支持ロッド孔、及び前記底壁から前記開放上端まで延在するモジュール導管を含み、前記複数のモジュールのそれぞれの前記モジュール導管は、隣接するモジュールの前記モジュールと流体連通して、前記容器と流体連通する植え付け柱導管を形成する、モジュールと、
前記複数の植え付けモジュールの上に位置付けられた流体分配器であって、前記流体分配器は前記導管と流体連通しており、前記流体分配器は、下壁、及び前記下壁に画定される流体分配器支持ロッド孔を含み、前記流体分配器支持ロッド孔は前記複数の植え付けモジュールのそれぞれの前記モジュール支持ロッド孔と垂直方向に整列している、流体分配器と、
前記複数の植え付けモジュールの、前記流体分配器支持ロッド孔、及び前記モジュール支持ロッド孔を通って延在する支持ロッドと、
を備え、
前記流体が、前記容器から前記植え付け柱導管を通って前記流体分配器に選択的に循環され、前記流体が、向きを変えられて前記植え付けモジュールのそれぞれの前記中空内部を下り、前記容器に戻される装置。
【請求項15】
複数のローラをさらに備え、前記ベースが、前記複数のローラ上に位置付けられている、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記カバーが、前記上部開口部内に位置付けられ、かつ前記容器の前記第2の部分の中に下向きに延在しているが、前記容器の前記第2の部分を超えていない、流体カプラをさらに備える、請求項14に記載の装置。
【請求項17】
前記少なくとも1つの植え付けポートの中に位置付けられている少なくとも1つの種子かごをさらに備える、請求項14に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は概して、植物栽培のための水耕機器、または土壌を使用するのとは対照的に、植物を生育するために強壮剤とも呼ばれ得る栄養豊富な水を使用する植物栽培システムに関する。
【背景技術】
【0002】
本開示は、改良された水耕栽培システムに関する。従来の水耕栽培システムの一例は、Bryanの米国特許第7,055,282号に見ることができ、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。従来の水耕植物栽培システムでは、容器が、植え付け柱の頂部に汲み上げられた栄養豊富な水を保持し、そこでその水は、下向きに向けらて、植え付け柱内に収容された植物の根に戻る。従来のシステムでは、栄養豊富な水を保持する容器は、典型的には、平坦なカバーと、ほぼ正方形、長方形、または円筒形の形状とを有していた。このような形状の容器に収容された水は、熱を不均一に分散させることがあり、したがって、不均一な温度分布が栄養豊富な水全体にわたって生成される可能性がある。
【0003】
水耕植物栽培システム用の水に含有される植物栄養素は、栽培システムで使用される栄養素の寿命及び有効性を延ばすのに役立ち得る最適な貯蔵温度及び条件を有し得る。容器全体の不定な温度分布は、容器内の高温及び低温スポットを生成し、容器の高温及び低温スポットの水の温度が栄養素の最適貯蔵条件から外れる場合、栄養素に悪影響を及ぼし得る。不適当な貯蔵条件は、栄養素の有効寿命及び有効性に悪影響を及ぼし、同様に、栽培システム内の植物成長に影響を及ぼす可能性がある。
【0004】
従来の水耕植物栽培システムの別の問題は、水耕システムの容器の蓋またはカバーがほぼ平坦であることである。このように、システムが稼動し、流体と蓋またはカバーとの間の容器内に湿気が蓄積すると、蓋またはカバーに水分が形成され、容器内部にカビが形成される可能性がある。容器内部のカビは、システム内の栄養素の品質に影響を与える可能性があり、容器の洗浄が必要になることもある。容器を洗浄するために、植え付け柱を容器から取り外す必要があり、植物への水の流れを止めなければならず、これは植物への栄養素の供給が中断されるので望ましくない。
【0005】
従来の水耕植物栽培システムの別の問題は、移動または再配置が困難であることである。従来のシステムは、システムを別の場所に移動させるために持ち上げる必要がある。再配置プロセス中、水は容器内に留まり、装置自体の重量に加えて持ち上げなければならないかなりの重量が加わる場合がある。システムによっては、水の重さが非常に負担になるため、栄養豊富な水を除去してシステムを持ち上げたり再配置したりする必要があり、その結果、栄養豊富な水が無駄になる。さもなければ、操作者は、システムを動かす前に、扱いやすい重量になるまで水が使い尽くされるのを待たなければならない。さらに、従来の解決策では、水耕システムを容器内に水が残った状態で持ち上げると、再配置プロセス中に水の位置が変わり、容器から溢れる可能性があり、再び容器内の栄養豊富な水を無駄にする可能性がある。
【0006】
したがって、水耕植物栽培システムの改善が必要である。
【発明の概要】
【0007】
本開示の一態様は、流体を保持する容器を含む水耕植物栽培装置であり、この容器がベース及びカバーを有し、このベースが容器の第1の部分を画定し、このカバーが容器の第2の部分を画定する。上部開口部は、カバー内に画定され得る。中空内部を有する植え付け柱は、容器のカバー内の上部開口部の上に位置付けられ得る。少なくとも1つの植え付けポートを植え付け柱に画定することができ、植え付けポートは、植え付け柱の中空内部に少なくとも部分的に植物を受け入れるように構成されている。導管は、植え付け柱の中空内部を通り抜けることができ、導管は容器と流体連通している。植え付け柱の頂部に流体分配器を位置付けることができ、流体分配器は、導管と流体連通している。流体は、容器から植え付け柱の導管を通って流体分配器に選択的に循環することができ、流体は、向きを変えられて植え付け柱の中空内部を下り、容器に戻される。いくつかの実施形態では、カバーは、ベースから上方に弓形になり、丸みを帯びた壁を有し得、カバーは上部開口部に向かって集中する。
【0008】
本開示の別の態様は、流体を保持するための容器を含む水耕植物栽培装置である。この装置は、複数のローラを含むことができ、容器が複数のローラ上に位置付けられている。植え付け柱は、中空内部を有することができ、この植え付け柱は容器の上に位置付けられている。植え付け柱の中空内部に少なくとも部分的に植物を受け入れるために、少なくとも1つの植え付けポートを植え付け柱内に画定することができ、導管は植え付け柱の中空内部を通り抜け、この導管は容器と流体連通している。植え付け柱の頂部に流体分配器を位置付けることができ、流体分配器は、導管と流体連通している。流体は、容器から植え付け柱内の導管を通って流体分配器に選択的に循環することができ、流体は、向きを変えられて植え付け柱の中空内部を下り、容器に戻される。
【0009】
本開示の1つの目的は、水耕植物栽培装置の容器内の水または流体の温度を維持するのに役立つことである。
【0010】
本開示の別の目的は、水耕植物栽培装置を移動するまたは再配置するプロセスを容易にするのに役立つことである。
【0011】
本開示の別の目的は、水耕植物栽培装置の植え付け柱内の容器と導管との間の改良された密閉特性を提供することである。
【0012】
本開示の多くの他の目的、利点及び特徴は、以下の図面及び好ましい実施形態の説明を検討すれば、当業者には容易に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示の水耕植物栽培装置の一実施形態の斜視図である。
図2図1の水耕植物栽培装置の容器の断面図である。
図3図1の水耕栽培装置の断面図である。
図4図1の水耕栽培装置の分解立体図である。
図5図1の水耕植物栽培装置の植え付け柱用モジュールの上面図である。
図6図5のモジュールの断面図である。
図7】導管を上り、植物に対して植え付け柱の空間に入る水の流れを示す、図1の水耕植物栽培装置の部分断面図である。
図8】植え付け柱と容器との間の接続部を示す、図1の水耕植物栽培装置の部分断面図である。
図9図1の水耕植物栽培装置の植え付け柱における2つのモジュールの連結の詳細図である。
図10】本発明の種子かごの一実施形態の斜視図である。
図11】水耕植物栽培装置のモジュールに挿入された図10の種子かごの断面図である。
図12】ほぼ球形の容器を有する水耕植物栽培システムの別の実施形態の斜視図である。
図13】水耕植物栽培システムの追加の実施形態の様々な図を示す。
図14】水耕植物栽培システムの追加の実施形態の様々な図を示す
図15】水耕植物栽培システムの追加の実施形態の様々な図を示す。
図16】水耕植物栽培システムの追加の実施形態の様々な図を示す。
図17】水耕植物栽培システムの追加の実施形態の様々な図を示す。
図18】水耕植物栽培システムの追加の実施形態の様々な図を示す。
図19】水耕植物栽培システムの追加の実施形態の様々な図を示す。
図20】水耕植物栽培システムの追加の実施形態の様々な図を示す。
図21】水耕植物栽培システムの追加の実施形態の様々な図を示す。
図22】水耕植物栽培システムの追加の実施形態の様々な図を示す。
【0014】
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の様々な実施形態の作成及び使用を以下に詳細に説明するが、本発明は、多種多様な特定の状況において具体化される多くの適用可能な発明概念を提供することを理解されたい。本発明の特許性のある範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者に思い付く他の実施例を含み得る。本明細書で説明される特定の実施形態は、本発明を実施及び使用するための特定の方法の単なる例示であり、本発明の範囲を限定するものではない。当業者であれば、本明細書に記載の特定の装置及び方法に対する多数の等価物を認識するであろう。そのような等価物は、本発明の範囲内にあると考えられ、特許請求の範囲に含まれる。
【0016】
本明細書に記載された実施形態の理解を容易にするために、いくつかの用語を以下に定義する。本明細書で定義される用語は、本発明に関連する分野の当業者によって一般的に理解される意味を有する。「a」、「an」、及び「the」などの用語は、単数の実体のみを指すことを意図するものではなく、具体例が例示のために使用され得る汎用クラスを含む。本明細書における用語は、本発明の特定の実施形態を説明するために使用されるが、特許請求の範囲に記載されている場合を除き、その使用は本発明の範囲を限定しない。
【0017】
図面では、分かりやすくするために、各図面に全ての参照番号が含まれているわけではない。さらに、「上部」、「下部」、「側部」、「頂部」、「底部」、「水平」、「垂直」などの位置的用語は、図面に示された向きのときの装置を指す。当業者であれば、装置は使用時に異なる向きをとれることを認識するであろう。
【0018】
水耕植物栽培装置10の一実施形態が図1〜4に示される。装置10は、ベース14及びカバー16を有する容器12を含み得る。ベース14は、図2に示すように、容器12の第1の部分18を画定することができ、カバー16は、容器12の第2の部分20を画定し得る。同様に、カバー16は、ベース14から概して上方に延びることができ、いくつかの実施形態では、カバー16は、容器12の第2の部分20を画定するように、ベース14のトップエッジ22から上方に延在し得る。
【0019】
いくつかの実施形態では、フィルゲージ17は、カバー16を通って容器12の中に延び、このフィルゲージ17は、容器12内の栄養豊富な水のレベルを示す。いくつかの実施形態では、図15及び22に示すように、フィルゲージ17は上方に延在しているロッドを備えたフロートとし得る。上方に延びているロッドは、カバー16内の孔17aを通って延在することができ、フィルゲージ17のロッドは、カバー16内の孔17aを通って上下に移動可能であり、容器12内の水位が変化すると、フィルゲージ17のロッドがカバー16の外へ延在する量は、それに応じて変化し得る。このように、フィルゲージは容器12の外部から視認可能である。いくつかの実施形態では、フィルゲージ17上のロッドは、容器12内の栄養豊富な水のレベルと栄養豊富な水を容器12内に追加するべきか否かを視覚的に表示できるカラーマーキングを含み得る。したがって、フィルゲージは、ユーザが容器12の水位と容器12を補充する必要があるか否かを容易に確認することを可能にする。いくつかの実施形態では、図13に示すように、カバー16はまた、ユーザが容器12の内部を見て、容器12の内部の水位を点検できるように、持ち上げられるアクセスポート蓋93を含むこともできる。
【0020】
再度図1〜4を参照して、カバー16は上部開口部28を含み得る。ベース14から上方に延在しているカバー16は、平坦なカバーを備えた従来の水耕システムと比較して、カバー16の上部開口部28をベース14のトップエッジ22から垂直方向にずらし得る。いくつかの実施形態では、カバー16は、それらに限らないが、正四角柱、直角プリズム、円錐形、ピラミッド形、ドーム形、半球形など様々な形状を有することができ、各形状は、上部開口部28をベース14のトップエッジ22から垂直方向にずらし得る。
【0021】
植え付け柱24は、上部開口部28の上に位置付けられ得る。植え付け柱24は、中空内部を有することができ、少なくとも1つの植え付けポート46が植え付け柱24内に画定され得る。植え付けポート46は、植え付け柱24の中空内部に少なくとも部分的に植物を受け入れるように構成され得る。装置10の動作中に、水が植え付け柱24の中空内部に位置する植物の根に接触し、その後、植物が植え付けポート46から成長できるように、栄養豊富な水が植え付け柱24を通って供給される。いくつかの実施形態では、植え付けポート46は、植え付けポート46が概して上方角度に配向された下壁を有するように、植え付け柱24に対してある角度で配向することができ、これは植え付けポート46への植物の挿入を容易にするとともに、植物を上方に成長させて植え付け柱24から出ることを推奨する。いくつかの実施形態では、植え付けポート46の配向角度は、植え付け柱24の外壁に対して30〜60度である。
【0022】
いくつかの実施形態では、図1及び図10〜12に示す種子かご47は、植え付け柱24内の植え付けポート46の各々に位置付けられ得る。種子かご47は、植物の種子を保持するために使用され得る。種子かご47は、植え付けポート46内の植物の根が種子かご47を通り抜けて、栄養豊富な水を受け取れる植え付け柱24の中に入り得る複数の開口部を有し得、種子かご47はまた、植物自体を植え付けポート46の外に導く。このように、種子かご47は、植え付け柱24の内部に植物が閉じ込められるのを防ぎ、さらに植物の根が栄養豊富な水を受け取れることを可能にする。
【0023】
いくつかの実施形態では、ベース14、カバー16、及び植え付け柱24は、樹脂材料などの耐熱材料で作られ得、耐熱材料が植物栽培システム10内の一定の温度プロファイルを維持するのに役立ち、より一貫して効率的な植物の成長を支援し得る。いくつかの実施形態では、樹脂材料はポリスチレンであってもよい。ポリスチレンなどの耐熱性樹脂は、有益な熱特性を提供できるのと同時に、耐衝撃性及び軽量特性をも提供することができる。
【0024】
場合によっては、カバー16及び植え付け柱24をベース14から取り外す必要がある。ベース14から上方に延在するカバー16と、ベース14の上縁部22から垂直にずらした上部開口部28とを有することにより、カバー16及び植え付け柱24をベース14から分離して地面に置くことができ、上部開口部28は、地面から垂直方向にずれており、水が植え付け柱24から上部開口部28を通って排出されるのを可能にし、植え付け柱24内の水が植物を浸し過ぎるのを防ぐのに役立つ。
【0025】
いくつかの実施形態では、図2に示すように、カバー16は、ベース14の垂直軸32に対して上部開口部28に向かって鋭角30でベース14から上方に延在するものとして一般に説明できる。いくつかの実施形態では、カバー16は、ベース14から上方に弓形になるまたは延在し、丸みを帯びた壁26を有し、カバー16及び丸みを帯びた壁26は、カバー16の上部開口部28に向かって集中する。いくつかの実施形態では、カバー16は、ベース14から上方に弓形に延在し得、カバー16は、曲がった、弓形の、湾曲した、または丸みを帯びた形状を有し得る。カバー16がベース14から上方に弓形になる実施形態では、カバー16のそれぞれの接線34と垂直軸32との間に形成される角度30は、カバー16に沿って変化することができ、カバー16が上部開口部28に向かって延在している鋭角が、カバー16に沿って変化し得ても、カバー16は一般に、垂直軸32に対して上部開口部28に向かって鋭角30で延在すると説明できる。他の実施形態では、カバー16は、例えば、カバー16が円錐形またはピラミッド形状を有する場合に、垂直軸32に対して一定の鋭角で延在する実質的に真っ直ぐな壁を有し得る。
【0026】
いくつかの実施形態では、カバー16は、実質的にドーム形または丸みを帯びた形状を有し、ドーム形のカバー16は、上部開口部28に向かって集中する。いくつかの実施形態では、図2に示すように、カバー16は、複合曲線を形成するS字形の断面36を有することができ、この断面36は、カバー16を形成するように、垂直軸32の周りで概ね回転可能である。そのような実施形態では、断面36は、断面36の凹面が変化する変曲点38を有し得る。このように、カバー16は、図1に示す変曲線40を含むことができ、いくつかの実施形態では、カバー16は、下向きの凹面を備えてベース14から上方に弓形に延在することができ、カバー16が上部開口部28に向かって集中するにつれて、カバー16は変曲線40を横切って凹面を変化させ得る。カバー16が上部開口部28に向かって集中するにつれて上向きの凹面に変化させるカバー16は、図2に示すように、上部開口部28を画定する上向き延長部分42を形成できる。上向き延長部分42はまた、図3に示すように、入れ子式の植え付け柱44のための垂直座を提供できる。
【0027】
いくつかの実施形態では、図2に示すように、ベース14は、カバー16から下向き方向に弓形に延在する側壁48を有し得る。側壁48はまた、カバー16の下縁部50から弓形に内方に延在し得る。このように、ベース14及びカバー16は、いくつかの実施形態では、図1及び図12に示すように、ほぼ球形を有する容器12を形成できる。容器12内に貯蔵されている栄養豊富な水52は、最適な貯蔵温度を有し得る。球形の容器が、容器内の熱放散を最適化するのを支援するので、ほぼ球形の容器12を有することにより、容器12内に貯蔵された水52の温度が均一な温度分布を維持できることを確実にするのに役立つ。
【0028】
従来の水耕植物栽培システムの問題の一つは、そのようなシステムの容器がほぼ正方形または長方形であることである。このため、容器のコーナーに高温または低温スポットが発生する可能性がある。高温または低温スポットが栄養豊富な水の最適貯蔵温度範囲外になると、これらの高温スポットに位置する栄養素の有効性及び有効寿命に悪影響が及ぼされ、システムによる植物成長を阻害する可能性がある。ほぼ球形の容器を有することによって、容器内の高温または低温スポットを除去し、容器12内の栄養豊富な水52の全てを最適貯蔵温度に保つのに役立つ。
【0029】
装置10の動作中に、カバー16と栄養豊富な水52との間の空間は湿り、カバー16の下側に水分が形成される可能性がある。ベース14から上方に弓形になるか、またはドーム形状を有するカバー16を有する別の潜在的な利点は、図2に示すように、容器12内のカバー16の下側に形成される水分をカバー16に沿って下向きに押し進めて栄養豊富な水52に戻し得ることである。
【0030】
平坦なカバーを備えた従来の水耕システムでは、平坦なカバーの下側に水分が残り、最終的にカバーの下側にカビが生えることがある。容器内のカビは、栄養豊富な水の供給の質及びシステム内の植物の成長に悪影響を与える可能性がある。カビの成長はまた、容器をより頻繁に洗浄する必要があり、これは装置の動作を中断する必要があり、したがって植物の成長に悪影響を与える。ベース14から上方へ下方に、そして水供給部52の中へ弓形に延びるカバー16上の水分を押し進めることは、カビの成長を減少させるのに役立ち、装置10の洗浄時間及び停止時間を短縮するのに役立ち得る。
【0031】
図1の断面図が図3に示されている。導管54は、植え付け柱24の中空内部56を通り抜け得る。導管54は、容器12と流体連通し得る。植え付け柱24の頂部に流体分配器58を位置付け得、流体分配器58は、導管54と流体連通している。流体分配器58は、複数の分散孔60を有する下壁62を含み得、それにより、流体分配器58に入る水が、分散孔60を通って植え付け柱24の中、そして植え付け柱24の中空内部56に収容される植物上に分散することができる。このように、栄養豊富な水52は、容器12から植え付け柱24内の導管54を通って流体分配器58に循環させることができ、水は、分散孔60を通って流体分配器58によって下向きに向きを変えられ、植え付け柱24の中空内部56を下り、上部開口部28を通って容器12に戻され得る。
【0032】
図3に示すように、ポンプ64は、容器12内に位置付けられ得る。供給線またはホース66は、ポンプ64から植え付け柱24の導管54まで延在できる。このように、ポンプ64は、栄養豊富な水を容器12から導管54内に、植え付け柱24の頂部に押し込み得る。いくつかの実施形態では、カバー16は、供給線66と導管54との間のシーリングジャケットとして機能するように、供給線66を導管54に効果的に接続し得る流体カプラ76を含み得る。いくつかの実施形態では、流体カプラ76は、植え付け柱24またはカバー16が回転すると、供給線がねじれたり、潜在的に捩れたりしないように、供給線66をカプラ76に対して回転させ得る旋回軸受または他の特徴を含み得る。このように、供給線66は、旋回ホースを含み得る。
【0033】
他の実施形態では、供給線66は、ポンプ64からスプリッターまで延在し得る。第2の供給線は、水を導管54の中に上方に導くために、スプリッターから旋回コネクタまで延在し得る。排出線はまた、スプリッターから提供され得、この排出線は取り外し可能なプラグを含む。排出線は、容器12から延在し得る。プラグが排出線上に位置付けられた状態で、ポンプ64は、装置10の通常の動作中に、第2の供給線を通って導管54に水を導き得る。プラグが取り外された状態で、ポンプ64は、所望の場合、水52を容器12から排出できるように、排出線を通して水を推し進め得る。
【0034】
電源コード77は、ポンプ64から延在できる。ポンプ64及び水耕植え付け装置10に電力を供給するために、電源コード77を配電網に差し込み得る。いくつかの実施形態では、下縁部50は、電源コード77がカバー16を通過でき、同時にカバー16がベース14上に適切に着座し得るように、電源コード77を受け入れ得るノッチを含み得る。いくつかの実施形態では、ポンプ64に電力が供給されると、ポンプ64は連続的に作動し得る。他の実施形態では、ポンプ64は、所定の間隔で動作するようポンプ64をプログラムできるように、タイマーを含み得る。ポンプ64のタイマーは、装置10が無人で動作することを可能にし得る。
【0035】
いくつかの実施形態では、図8に示すように、カバー16は、上部開口部28内に位置付けられている流体カプラ76を含み得る。流体カプラ76は、植え付け柱24が上部開口部28上にまたは上に位置付けられているとき、供給線66と導管54とを一緒に流体連結するように構成され、流体カプラ76は、導管54と供給線66との間の接合のためのシーリングジャケットとして機能する。カバー16は、容器12のベースから上方に延在するまたは弓形になっているので、流体カプラ76は、上部開口部から容器12の第2の部分20の中に下向きに延在できる。平坦なカバーを備えた従来の水耕システムでは、このような流体カプラは、カバーを任意にベースから取り外して地面に置くと、カプラは地面に当たって潜在的に亀裂または破損し、これは、導管と流体供給線との間のシールの完全性に悪影響を与えるため、カバーの上部開口部の下まで延在し得なかった。
【0036】
上方に延びている、または弓形になっているカバー16によって、洗浄、保守などの間にカバー16が任意に地面に置かれたとき、流体カプラ76が亀裂または破損する危険なしに、流体カプラ76が容器12の第2の部分20の中に延在することを可能にする。このように、カバー16は、従来技術のものよりもかなり長い流体カプラ76を含むことができ、導管54と供給線66との間の接合のためのより良好なシーリングジャケットを生成し得る。より良好なシールは、導管54を通って流体分配器に汲み上げられる水の効率を高め得る。
【0037】
図1の装置10の分解図が図4に示されている。いくつかの実施形態では、植え付け柱24は、少なくとも第1のモジュール78及び第2のモジュール80を含み得る。図5及び6に示すように、各モジュール78及び80は、中空内部56、複数の排出孔84を含む底壁82、及び開放上端86を含み得る。各モジュール78及び80は、モジュール78及び80の中空内部56に少なくとも部分的に植物を受け入れるように構成された少なくとも1つの植え付けポート46を含み得る。いくつかの実施形態では、モジュール78及び80は、4つの植え付けポート46を含み得、1つの植え付けポート46は、モジュール78及び80の各側面に位置する。このように、植物はモジュール78及び80の4つの側面全てから成長し得る。
【0038】
図9で見ることができるように、第1のモジュール78の底壁82は、第2のモジュール80の上部開放端86と係合するように構成され得、第1及び第2のモジュール78及び80は、植え付け柱24の少なくとも一部を形成するために、端部と端部形状との間で積み重ねられ得る。いくつかの実施形態では、モジュール78及び80の底壁82は、モジュール78及び80の上部開放端86に位置する植え付けポート46と整列し得る複数の突出部85を含むことができ、1つのモジュールが別のモジュール上に配置されたとき、突出部85が植え付けポート46の中を摺動し、底壁82を上部開放端86と係合させる。いくつかの実施形態では、突出部85及び植え付けポート46は、底壁82及び上部開放端86上に、対応する角度停止要素として機能し得、この角度停止要素は、モジュールが互いに積み重ねられて底壁82が上部開放端86と係合するとき、第1のモジュール78と第2のモジュール80との間の相対回転を防止する。
【0039】
いくつかの実施形態では、図3及び図4に示すように、植え付け柱24は、モジュール78及び80内の孔を通って延在する1つ以上の支持ロッド81を含み得る。支持ロッド81は、支持ロッド81が植え付け柱24に構造的完全性を提供し、モジュールが互いに崩壊したり移動したりすることを防止するのに役立つように、植え付け柱24内の各モジュールを通って延在するように構成され得る。支持ロッド81は、いくつかの実施形態ではステンレス鋼を含む、任意の適切な材料で作られてもよい。
【0040】
図14及び19で見ることができるように、いくつかの実施形態では、装置10は、支柱24及び流体分配器58を通る位置に支持ロッド81を固定するために使用され得る複数のナット83を含み得る。ナット83を支持ロッド81の上に挿入することができ、次に、支持ロッド81は、ナット83が支柱24内の最下部モジュールの底壁82に当接するまで、支柱24を通って挿入され得る。いくつかの実施形態では、支持ロッド81が支柱24内の最下部モジュールに対して所定の位置に固定されるように、支柱24の最下部モジュールの底壁82の反対側に追加のナット83を位置付け得る。その後、モジュールが直線的に一緒に係合されるように、モジュールを支持ロッド81上に滑り込ませることにより、追加のモジュールを支柱24上に位置付け得る。次いで、流体分配器58は、流体分配器58をさらに通って延在する支持ロッド81とともに支柱24の上部に位置付けられ得る。次に、ナット83が、流体分配器58の下壁62の上側の支持ロッド81上に位置付けられ得、支柱24及び流体分配器58が支持ロッド81によって一緒に強固に接続され得る。2つ以上の支持ロッド81を備えた実施形態では、上記の手順が各ロッド81に対して繰り返され得る。
【0041】
図6及び7を参照して、モジュール78及び80の各々は、底壁82から上部開放端86に延在しているモジュール導管88を有し得る。モジュール導管88は、第1のモジュール78上のモジュール導管88が第2のモジュール80上のモジュール導管88と係合し得るように、隣接するモジュール上のモジュール導管88と係合するように構成され得る。複数のモジュール導管88の係合により、植え付け柱24を通って延在する前回の導管54を形成し得る。したがって、モジュール78及び80は、植物がモジュール78及び80から成長するにつれて、必要に応じてモジュール78及び80が再編成され、かつ再積み重ねられ、植え付け柱24から延在している植物の混雑または干渉を低減するように、互いの上に交換可能に積み重ねられて植え付け柱24を形成し得る。追加のモジュールは、植え付け柱24に容易に追加され、植え付け柱24内で成長させ得る植物の量を増加させることもできる。
【0042】
第1及び第2のモジュール78及び80が互いの上に積み重ねられた状態で、連続する導管54は支柱24を通って延在し得る。第1のモジュール78の頂部に流体分配器58を位置付けることができ、流体分配器58は、導管54と流体連通し得る。水が容器から導管54を上り流体分配器58に汲み上げられると、流体分配器58内に水が集められ、分散孔60を介して流体分配器58から出て、植え付け柱24及びモジュール78及び80の中空内部56に流入する。流体分配器58は、流体分配器58に入る水を下向きに向きを変えて、水が分配孔60を通って出ることを確実にし得る上部プレート90を有し得る。水は、水が容器に戻るまで、モジュールの各々の底壁82内の分配孔84を通過することによって、モジュール78及び80と植え付け柱24内の他の任意のモジュールとの間を通り得る。水が各モジュールに入ると、水は各モジュール78及び80の中空内部56に受け入れられた植物の根90上に垂れ落ち得、それにより、植物の成長を促進する。いくつかの実施形態では、中空内部56は、それらに限らないが、空気、岩綿、または土壌の必要性を緩和できる任意の他の適切な植え付け媒体を含む、植え付け媒体を含み得る。
【0043】
いくつかの実施形態では、図8に示すように、上部開口部28及び植え付け柱24は、第1の対応する入れ子要素の対92、並びに第2の入れ子要素の対94を有し得る。いくつかの実施形態では、上部開口部は第1の縁96を含み得る。植え付け柱24の底壁82、または植え付け柱24内の最下部モジュールの底壁82は、植え付け柱24が上部開口部28の内側に入れ子状になるように、上部開口部の第1の縁96の内側に入れ子にするように構成され得る。加えて、上部開口部28は、第2の縁または溝98を含むことができ、植え付け柱24の底壁82は、第2の縁または溝98内に入れ子にするように構成され得る環状リブ100をさらに含み得る。このように、植え付け柱24及び上部開口部28は、上部開口部28上に植え付け柱24の改良された着座を提供できる2対の入れ子要素92及び94を含み得る。入れ子要素92及び94はまた、上部開口部28に対する植え付け柱24の横方向の移動を防止するのに役立ち得、装置10が使用されているとき、導管54を通ってシールの完全性を維持するのに役立ち得る。いくつかの実施形態では、第1の縁96は、植え付け柱24の底壁82、または植え付け柱24の最下部モジュールから延在している突出部85と係合し得る上部開口部の角度停止部102を含み得る。このように、上部開口部28に対する植え付け柱24の回転は、角度停止部102によって防止され得る。さらに別の実施形態では、支柱24及びカバー16の上部開口部28上の1つ以上の入れ子要素92及び94との間に形成され得る摩擦または締り嵌めは、支柱とカバー16との間のより確実な係合を提供するのに役立ち得る。
【0044】
加えて、図19に示すように、流体分配器58及び支柱24は、第3の入れ子要素95の組を含み得、流体分配器58の下壁62に画定されたステップを含み得る。流体分配器58の下壁62内のステップは、流体分配器58を支柱24上に入れ子にするように、支柱24内の最上部モジュールの上部開放端86上に入れ子にしてもよい。いくつかの実施形態では、第3の入れ子要素95はまた、流体分配器58と支柱24との間のより良好な係合を提供するために、流体分配器58と支柱24との間の締りまたは摩擦嵌めを形成し得る。
【0045】
従来の水耕栽培システムの別の問題は、特に容器内に水が残っている状態で、移動や輸送が困難なことである。従来の容器は、地面に置く平坦な底を有する。従来のシステムを移動させるために、全体のシステムを持ち上げて新たな場所に移動させなければならない。水が容器内に存在する場合、システムはますます重くなり、システムを移動する前に水を排出する必要があり、それにより、栄養豊富な水を無駄にする。加えて、容器内の水とともにこのシステムを移動する場合、輸送中に水の位置が変わり、容器から溢れる可能性があり、栄養素を無駄にして操作者が清掃する面倒も生じさせる。
【0046】
この問題を軽減するために、装置10のいくつかの実施形態は、図1に示すように、容器12に接続された複数のローラ104を含み得る。容器12は、装置10の重量がローラ104によって搬送されるように、ローラ104上に位置付けられ得る。このように、操作者が装置10を移動させたいとき、操作者は、潜在的に重い装置10を持ち上げる必要なく、かつ容器12から水を排出させることなく、ローラ104によって装置10を新たな場所に容易に動かす。いくつかの実施形態では、環状凹部106は、図2に示すように、容器12の底に画定され得、環状凹部106は、ローラ104を受け入れるように構成されている。他の実施形態では、各ローラ104に対して容器12の底に別個の凹所を画定し得る。いくつかの実施形態では、ローラ104を容器12上に迅速に組み付け得るように、ローラ104を容器12の中にスナップ嵌めできる。加えて、いくつかの実施形態では、ローラ104は、ローラ104及び装置10が意図せずに動くことを防止するために作動させ得る1つ以上のストッパまたは調整可能なロックを備え得る。
【0047】
ローラ104のさらなる利点は、容器12が地面から離れることが可能なことである。このため、容器12の底壁108は、ローラ104が容器に装着されているとき、装置10の重量を支える必要はない。このように、底壁108の直径は、ベース14の内側に湾曲する側壁48に対応するために、より小さくされ得る。いくつかの実施形態では、容器12の底壁108を丸くして、容器12内の熱放散及び熱持続性を最適化するのに役立つ球形の容器12をさらに提供する。
【0048】
図17で見ることができるように、いくつかの実施形態では、モジュール78、80の底壁82に排出孔84の列を画定することができ、この列は、導管54から半径方向に延在している。いくつかの実施形態では、モジュール78及び80は、導管54から半径方向に延在している8本の排出孔84の列を含み得、各列が、3つの排出孔84を含んでいる。
【0049】
いくつかの実施形態では、1つ以上のロッド孔87をモジュール78及び80の底壁82に画定することができ、ロッド孔87は、支持ロッドがロッド孔87及び支柱を通って延在することを可能にする大きさである。
【0050】
同様に、図20で見ることができるように、いくつかの実施形態では、流体分配器58の下壁62に分散孔60の列を画定することができ、この列は、導管54から半径方向に延在している。いくつかの実施形態では、流体分配器58は、導管54から半径方向に延在している8本の分散孔60の列を含み得、各列が、3つの分散孔60を含んでいる。いくつかの実施形態では、1つ以上のロッド孔87を流体分配器58の下壁62に画定することができ、ロッド孔87は、支持ロッドがロッド孔87及び流体分配器58を通って延在することを可能にする大きさである。
【0051】
いくつかの実施形態では、図22に示すように、流体分配器58が支柱24の上に位置付けられているとき、支持ロッド81が支柱24及び流体分配器58を通って延在できるように、支柱24のモジュール内の支持孔85を流体分配器58のロッド孔87と整列できる。そのような実施形態では、装置10を通過する栄養豊富な水が概して直線状に下向きに流れるように、支柱24のモジュール内の排出孔84及び流体分配器内の分散孔60を整列できる。
【0052】
いくつかの実施形態では、図22で見ることができるように、分散孔60は、排出孔84の直径よりも小さい直径を有し得る。一定量の栄養豊富な水または強壮剤が流体分配器58内に収容されることが望ましくあり得、次いで、この栄養素豊富な水が分散孔60を通って定期的に分散される。このように、概して小さい直径を有する分散孔60は、流体分配器60内に栄養豊富な水を蓄積させ得る。流体分配器58内の栄養豊富な水が一定のレベルに達すると、その後、蓄積された栄養豊富な水の重量によって生成された圧力は、水が分散孔60を通って均一に分散するようにさせる。分散孔60の直径が大きすぎると、栄養豊富な水が流体分配器58内に保持されず、栄養豊富な水が分散孔60、ひいては装置10を通って潜在的に均一に分散せず、装置10内に収容される植物の成長に悪影響を及ぼし得る。
【0053】
支柱24の様々なモジュール内の排出孔84が小さすぎると、栄養豊富な水が保持されて1つのモジュール内に貯留され、他の下部モジュール内に水不足が生じる可能性がある。このため、いくつかの実施形態での排出孔84は、モジュール及び支柱24を通る栄養豊富な水の無制限の流れを一般に可能にするような大きさにされ得る。このように、分散孔60の直径よりも大きな直径を有する排出孔84は、流体が装置10を通って均一に分配され、同時に流体が支柱24の全てのモジュールを通って自由に流れることを可能にするように、一旦流体が分散孔60を通過すると、流体が流体分配器58に蓄積されることを可能にする。いくつかの実施形態では、分散孔60の直径は、約3mmであってもよく、排出孔84の直径は約6mmであってもよい。
【0054】
したがって、本発明の特定の実施形態が、新規で有用な改良された水耕植物栽培装置について記載されているが、そのような参照が本発明の範囲を限定するものと解釈されることは意図されていない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22