特許第6830775号(P6830775)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6830775
(24)【登録日】2021年1月29日
(45)【発行日】2021年2月17日
(54)【発明の名称】誘導加熱装置及び誘導加熱方法
(51)【国際特許分類】
   H05B 6/10 20060101AFI20210208BHJP
   H05B 6/36 20060101ALI20210208BHJP
【FI】
   H05B6/10 381
   H05B6/36 D
【請求項の数】9
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-167214(P2016-167214)
(22)【出願日】2016年8月29日
(65)【公開番号】特開2018-37165(P2018-37165A)
(43)【公開日】2018年3月8日
【審査請求日】2019年5月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000213297
【氏名又は名称】中部電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 俊二
(72)【発明者】
【氏名】丸尾 哲弘
(72)【発明者】
【氏名】竹内 章浩
(72)【発明者】
【氏名】永松 克明
【審査官】 岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−238758(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/104980(WO,A1)
【文献】 特開2014−051035(JP,A)
【文献】 実開昭62−043492(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 6/10
H05B 6/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂に炭素繊維が編み込まれ成形加工単位である平板状の加熱対象物を複数枚重ね、重ねられた複数の加熱対象物の最上面あるいは最下面を被加熱面とし、前記被加熱面側から誘導加熱コイルを用いて、成形加工前の複数の前記加熱対象物を同時に予備加熱し、予備加熱された成形加工単位の1つの加熱対象物を成形加工側に搬出するとともに新たな1つの加熱対象物を搬入して残りの加熱対象物に重ねて予備加熱を継続することを特徴とする誘導加熱装置。
【請求項2】
前記誘導加熱コイルは、前記被加熱面に比して小さい加熱面を有し、前記複数の加熱対象物と前記誘導加熱コイルとを非接触で相対的に移動させて前記複数の加熱対象物を加熱することを特徴とする請求項1に記載の誘導加熱装置。
【請求項3】
複数の加熱対象物に対する同時加熱を含む所定時間間隔で、前記最上面または前記最下面を有する加熱対象物を搬出する搬出機構と、
前記加熱対象物の搬出後、残りの加熱対象物を繰り上げる繰り上げ機構と、
前記所定時間間隔で、前記搬出機構によって加熱対象物が搬出された後、搬出された加熱対象物の反対側の前記最下面または前記最上面から新たな加熱対象物を搬入する搬入機構と、
を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の誘導加熱装置。
【請求項4】
前記所定時間間隔は、予備加熱された1つの加熱対象物に対する成形加工時間であることを特徴とする請求項3に記載の誘導加熱装置。
【請求項5】
前記誘導加熱コイルを挟み、前記加熱対象物の被加熱面とは反対側の面に磁性体を配置したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の誘導加熱装置。
【請求項6】
前記加熱対象物は、薄板状のCFRP板材であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の誘導加熱装置。
【請求項7】
前記加熱対象物の加熱温度は、CFRP板材の軟化点温度であることを特徴とする請求項6に記載の誘導加熱装置。
【請求項8】
樹脂に炭素繊維が編み込まれ成形加工単位である平板状の加熱対象物を複数枚重ね、重ねられた複数の加熱対象物の最上面あるいは最下面を被加熱面とし、前記被加熱面側から誘導加熱コイルを用いて、成形加工前の複数の前記加熱対象物を同時に予備加熱し、予備加熱された成形加工単位の1つの加熱対象物を成形加工側に搬出するとともに新たな1つの加熱対象物を搬入して残りの加熱対象物に重ねて予備加熱を継続することを特徴とする誘導加熱方法。
【請求項9】
複数の加熱対象物に対する同時加熱を含む所定時間間隔で、前記最上面または前記最下面を有する加熱対象物を搬出する搬出工程と、
前記加熱対象物の搬出後、残りの加熱対象物を繰り上げる繰り上げ工程と、
前記所定時間間隔で、前記搬出工程によって加熱対象物が搬出された後、搬出された加熱対象物の反対側の前記最下面または前記最上面から新たな加熱対象物を搬入する搬入工程と、
を含むことを特徴とする請求項8に記載の誘導加熱方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂に炭素繊維が編み込まれた平板状の複数の加熱対象物に対する誘導加熱を効率よく行うことができる誘導加熱装置及び誘導加熱方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、加熱対象物の被加熱面を非接触で加熱する方法として、高温の気体を吹き付けて被加熱面の熱伝達を使って加熱する方法、電熱線ヒータ等の高温の発熱体を加熱対象物の被加熱面に接近させ、発熱体からの輻射熱で加熱する方法、ランプヒータ等の赤外線を被加熱面に当て、赤外線による輻射熱で加熱する方法、電磁誘導コイルを用いて被加熱面に誘導電流を誘起させ、加熱対象物の材質による抵抗熱で被加熱面を加熱する方法などがある。
【0003】
ここで、誘導加熱コイルを用いて被加熱面を加熱する場合、誘導加熱コイルを移動して被加熱面を満遍なく撫でるように加熱している。この誘導加熱コイルを移動させる方法としては、ロボットアーム先端の手首部に誘導加熱コイルを装着し、ロボットのプログラムに従って誘導加熱コイルを被加熱面の形状に合わせて移動している。
【0004】
なお、特許文献1には、誘導加熱コイルを用いて薄板状の被加熱対象物を加熱する際、被加熱対象物の幅に応じて、2つの略V字形状コイルを合成して形成される合成コイル形状を可変にし、被加熱対象物のエッジ部での過剰加熱を小さくするものが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−245029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、樹脂に炭素繊維が編み込まれた平板状の複数の加熱対象物、例えばCFRP板材を、誘導加熱コイルを用いて加熱する場合、CFRP板材の主材質は熱伝導率が低い樹脂であり、炭素繊維を誘導加熱してもCFRP板材全体を、プレス加工などの成形加工のために軟化点温度まで昇温するには時間がかかる。
【0007】
一方、誘導加熱コイルによって予備加熱されたCFRP板材に対するプレス加工などの成形加工時間は短い。
【0008】
この結果、CFRP板材の予備加熱と成形加工とを連続して行う生産加工時間はCFRP板材の誘導加熱時間によって左右される。すなわち、誘導加熱時間が長いので生産効率が低下する。この誘導加熱時間を短縮するためには複数の誘導加熱装置を設けることが必要であるが、装置規模が大きくなるとともに、予備加熱されたCFRP板材の成形加工機への受け渡し処理が複雑化する。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、樹脂に炭素繊維が編み込まれた平板状の複数の加熱対象物に対する誘導加熱を効率よく行うことができる誘導加熱装置及び誘導加熱方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる誘導加熱装置は、樹脂に炭素繊維が編み込まれた平板状の加熱対象物を複数枚重ね、重ねられた複数の加熱対象物の最上面あるいは最下面を被加熱面とし、前記被加熱面側から誘導加熱コイルを用いて、複数の前記加熱対象物を同時に加熱することを特徴とする。
【0011】
また、本発明にかかる誘導加熱装置は、上記の発明において、前記誘導加熱コイルは、前記被加熱面に比して小さい加熱面を有し、前記複数の加熱対象物と前記誘導加熱コイルとを非接触で相対的に移動させて前記複数の加熱対象物を加熱することを特徴とする。
【0012】
また、本発明にかかる誘導加熱装置は、上記の発明において、複数の加熱対象物に対する同時加熱を含む所定時間間隔で、前記最上面または前記最下面を有する加熱対象物を搬出する搬出機構と、前記加熱対象物の搬出後、残りの加熱対象物を繰り上げる繰り上げ機構と、前記所定時間間隔で、前記搬出機構によって加熱対象物が搬出された後、搬出された加熱対象物の反対側の前記最下面または前記最上面から新たな加熱対象物を搬入する搬入機構と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明にかかる誘導加熱装置は、上記の発明において、前記加熱対象物の加熱は、成形加工前の予備加熱であり、前記所定時間間隔は、予備加熱された1つの加熱対象物に対する成形加工時間であることを特徴とする。
【0014】
また、本発明にかかる誘導加熱装置は、上記の発明において、前記誘導加熱コイルを挟み、前記加熱対象物の被加熱面とは反対側の面に磁性体を配置したことを特徴とする。
【0015】
また、本発明にかかる誘導加熱装置は、上記の発明において、前記加熱対象物は、薄板状のCFRP板材であることを特徴とする。
【0016】
また、本発明にかかる誘導加熱装置は、上記の発明において、前記加熱対象物の加熱温度は、CFRP板材の軟化点温度であることを特徴とする。
【0017】
また、本発明にかかる誘導加熱方法は、樹脂に炭素繊維が編み込まれた平板状の加熱対象物を複数枚重ね、重ねられた複数の加熱対象物の最上面あるいは最下面を被加熱面とし、前記被加熱面側から誘導加熱コイルを用いて、複数の前記加熱対象物を同時に加熱することを特徴とする。
【0018】
また、本発明にかかる誘導加熱方法は、上記の発明において、複数の加熱対象物に対する同時加熱を含む所定時間間隔で、前記最上面または前記最下面を有する加熱対象物を搬出する搬出工程と、前記加熱対象物の搬出後、残りの加熱対象物を繰り上げる繰り上げ工程と、前記所定時間間隔で、前記搬出工程によって加熱対象物が搬出された後、搬出された加熱対象物の反対側の前記最下面または前記最上面から新たな加熱対象物を搬入する搬入工程と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、樹脂に炭素繊維が編み込まれた平板状の加熱対象物を複数枚重ね、重ねられた複数の加熱対象物の最上面あるいは最下面を被加熱面とし、前記被加熱面側から誘導加熱コイルを用いて、複数の前記加熱対象物を同時に加熱するようにしているので、1つの加熱対象物にかかる加熱時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本発明の実施の形態である誘導加熱装置の全体構成を示す模式図である。
図2図2は、加熱対象物の同時加熱処理を説明する説明図である。
図3図3は、加熱対象物の連続同時加熱処理フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照してこの発明を実施するための形態について説明する。
【0022】
(全体構成)
図1は、本発明の実施の形態である誘導加熱装置の全体構成を示す模式図である。図1に示すように、誘導加熱装置は、先端の手首部に誘導加熱コイル2が取り付けられたロボットアーム3、制御部5、表示部6、操作部7、及び、記憶部8を有する。
【0023】
誘導加熱コイル2は、例えば、円状に巻かれた渦巻状円板コイルである。誘導加熱コイル2は、ロボットアーム3によって位置及び姿勢を変えることができる。この誘導加熱コイル2の位置及び姿勢を含む移動経路、移動速度、及び出力は、制御部5のもとに制御される。誘導加熱コイル2は、樹脂に炭素繊維が編み込まれた平板状のCFRP板材である加熱対象物1a〜1cを重ね合わせた状態で誘導加熱する。誘導加熱コイル2は、最上部の加熱対象物1aの上面1uに接近させて移動しつつ、加熱対象物1a〜1cを同時に加熱する。
【0024】
誘導加熱コイル2は、図示しない電源から供給される高周波電流によって磁界を発生し、加熱対象物1a〜1cに渦電流を発生させ、その抵抗熱によって加熱対象物1a〜1cを加熱する。上面1uは、誘導加熱コイル2の寸法よりも大きいため、誘導加熱コイル2を移動させ、上面1uを満遍なく撫でるように加熱する。なお、本実施の形態では、誘導加熱コイル2を上面1uに対して移動させるようにしているが、加熱対象物1a〜1cとともに上面1uを誘導加熱コイル2に対して移動させるようにしてもよい。さらに、誘導加熱コイル2及び加熱対象物1a〜1cの双方を移動させてもよい。すなわち、上面1uと誘導加熱コイル2との位置関係が相対的に移動できる機構であればよい。
【0025】
表示部6は、上面1u、誘導加熱コイル2の移動経路及び移動状態、図示しない赤外線サーモグラフィーなどによって温度検出された加熱対象物1a〜1cの温度分布状態などの各種情報を表示出力する。
【0026】
操作部7は、制御部5に対する制御指示を行う。操作部7は、キーボードやポインティングデバイスによって実現される。記憶部8は、制御プログラムや各種情報などが保持される。
【0027】
(加熱対象物の同時加熱)
図2に示すように、誘導加熱コイル2は、最上部の加熱対象物1aの上面1uとの間のギャップgを維持しつつ、上面1u上を満遍なく撫でるように移動しつつ、加熱対象物1a〜1cを同時に加熱する。誘導加熱コイル2から発した磁力線は、各加熱対象物1a〜1cの樹脂内にある編み込まれた炭素繊維11に誘導電流を流し、渦電流を生成することによって炭素繊維11を発熱させる。この炭素繊維11の発熱によって周囲の樹脂温度も昇温する。この誘導加熱コイル2による加熱対象物1a〜1cの昇温は、加熱対象物1a〜1cが樹脂軟化温度に達するまで行う。樹脂軟化温度まで昇温するのは、加熱対象物1a〜1cをその後、プレス加工などの成形加工を行うためである。
【0028】
誘導加熱する場合、誘導加熱コイル2に供給される高周波電流などの要因などによって加熱部分は加熱対象物の表面近傍となり、この表面近傍でほとんど熱エネルギーに変換される。したがって、金属などの加熱対象物を重ねて同時加熱しようとしても誘導加熱コイル2から遠い位置に配置された加熱対象物には磁力線が到達せず、昇温されない場合がほとんどである。
【0029】
これに対し、CFRP板材である加熱対象物1a〜1cは、誘電体(非磁性体)である樹脂を主材質とするため、樹脂部分で磁力線が通過するため、誘導加熱コイル2から遠い加熱対象物1cにも磁力線が到達し、加熱対象物1cの炭素繊維11に誘導電流が流れ、加熱される。本実施の形態では、この原理を用いて、複数の加熱対象物1a〜1cを同時加熱するようにしている。
【0030】
なお、図2に示すように、誘導加熱コイル2を挟み、加熱対象物1aの被加熱面である上面1uとは反対側の面にフェライトなどの磁性体4を配置することが好ましい。磁性体4を配置することによって、誘導加熱コイル2の上部での磁力線が折り返されエネルギーロスが減少する。
【0031】
本実施の形態では、複数の加熱対象物1a〜1cを同時加熱するようにしているので、1つの加熱対象物に対する加熱時間を短縮することができる。
【0032】
なお、誘導加熱コイル2による加熱対象物1a〜1cの同時加熱は、加熱対象物1cの下面1l側から加熱するようにしてもよい。また、加熱対象物1a〜1cは、水平方向に向けて配置し、誘導加熱コイル2を鉛直方向に移動するようにしてよい。要は、加熱対象物1a〜1cと誘導加熱コイル2との相対位置関係が維持されていれば、これらの絶対的な向きあるいは位置はどのような状態であってもよい。
【0033】
また、加熱対象物1a〜1cの間は隙間を設けてよいし、密着した状態で重ね合せてもよい。
【0034】
(加熱対象物の連続同時加熱)
図3は、加熱対象物の同時加熱を連続して行う場合の処理フローを示す図である。図3では、図2と同様に、3つの加熱対象物を同時に加熱している。この連続同時加熱処理では、図3(a)に示すように、まず、加熱対象物1a〜1cを誘導加熱コイル2によって同時加熱する。その後、図3(b)に示すように、搬出機構21によって、誘導加熱コイル2側の加熱対象物1aが搬出され、図示しない成形加工機に送られる。
【0035】
その後、図3(c)に示すように、繰り上げ機構22によって残った加熱対象物1b,1cが加熱対象物1a,1bが配置されていた位置に繰り上げられる。その後、搬入機構23によって、新たな加熱対象物1dが、加熱対象物1cが配置されていた位置に搬入される。この結果、図3(d)に示すように、3つの加熱対象物1b〜1dが重なった状態となる。この状態で、図3(a)と同様に、加熱対象物1b〜1dを誘導加熱コイル2によって同時加熱する。
【0036】
その後、図3(e)に示すように、搬出機構21によって、誘導加熱コイル2側の加熱対象物1bが搬出され、図示しない成形加工機に送られる。
【0037】
その後、図3(f)に示すように、繰り上げ機構22によって残った加熱対象物1c,1dが加熱対象物1b,1cが配置されていた位置に繰り上げられる。その後、搬入機構23によって、新たな加熱対象物1eが、加熱対象物1dが配置されていた位置に搬入される。その後は、図3(d)と同様に、加熱対象物1c〜1eを誘導加熱コイル2によって同時加熱し、上述した図3(e),図3(f)の処理を繰り返す。
【0038】
この連続同時加熱処理によって、誘導加熱装置から図示しない成形加工機に対して所定時間T毎に1つの加熱対象物が送られることになる。しかも、例えば、誘導加熱装置から送られる加熱対象物1aは、送られる前に3回加熱され、特に、加熱対象物1bの位置に配置された時、及び加熱対象物1cの位置に配置された時に、予備加熱されているため、3回目の同時加熱時の加熱時間が短縮されることになる。
【0039】
なお、連続同時加熱処理において、誘導加熱コイル2側から加熱対象物を搬出し、誘導加熱コイル2から遠い位置に加熱対象物を搬入するようにしていたが、誘導加熱コイル2から遠い位置の加熱対象物を搬出し、誘導加熱コイル2側から加熱対象物を搬入するようにしてもよい。
【0040】
また、上述した誘導加熱コイル2の加熱面は、加熱対象物の被加熱面に比して小さいため、誘導加熱コイル2は被加熱面上を満遍なく撫でるように加熱している。誘導加熱コイル2による加熱は、誘導加熱コイル2の直下でしか加熱できないため、一度に加熱できる被加熱面の面積が狭く、被加熱面全体を加熱するには時間がかかる。さらに、加熱対象物内の温度差が大きいと、加熱対象物に熱応力が発生し、加熱対象物が変形するおそれがあるため、加対象物表面上を複数回、撫でるように誘導加熱コイル2を移動して加熱対象物の温度を徐々に上昇させるようにしているので、この点からも加熱時間が長くかかる。
【0041】
本実施の形態では、誘導加熱コイル2を用いた場合における上述した長い加熱時間を、同時加熱処理あるいは連続同時加熱処理によって短縮することができる。
【0042】
また、同時連続加熱処理では、後工程である成形加工機の生産間隔に合わせて加熱対象物内の樹脂の軟化点温度まで加熱したCFRP板材を供給することができ、生産効率を向上させることができる。
【0043】
なお、上述した実施の形態では、加熱対象物1a〜1cが矩形であったが、これに限らず、円形や楕円形などの各種形状であってもよい。さらに、各加熱対象物1a〜1cの形状が異なっていてもよい。
【符号の説明】
【0044】
1a〜1e 加熱対象物
1u 上面
1l 下面
2 誘導加熱コイル
3 ロボットアーム
5 制御部
6 表示部
7 操作部
8 記憶部
21 搬出機構
22 繰り上げ機構
23 搬入機構
T 所定時間
図1
図2
図3