特許第6830834号(P6830834)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6830834
(24)【登録日】2021年1月29日
(45)【発行日】2021年2月17日
(54)【発明の名称】眼科装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/02 20060101AFI20210208BHJP
   A61B 3/10 20060101ALI20210208BHJP
【FI】
   A61B3/02
   A61B3/10
【請求項の数】9
【全頁数】38
(21)【出願番号】特願2017-44143(P2017-44143)
(22)【出願日】2017年3月8日
(65)【公開番号】特開2018-143657(P2018-143657A)
(43)【公開日】2018年9月20日
【審査請求日】2020年2月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 亮輔
【審査官】 安田 明央
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−211781(JP,A)
【文献】 特開平08−010222(JP,A)
【文献】 米国特許第04165924(US,A)
【文献】 実開昭63−075332(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 3/00−3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、
前記ベースに対して予め定めた軸方向に移動自在に保持され、被検眼の眼特性を取得する眼特性取得部と、
前記ベースに設けられ、前記軸方向に移動体を移動させる駆動源と、
前記駆動源による前記移動体の移動に伴い前記眼特性取得部を前記移動体と一体に前記軸方向に移動させる連結状態と、前記移動体に対する前記眼特性取得部の前記軸方向の相対移動を許容する連結解除状態と、に切替自在な連結部と、
を備える眼科装置。
【請求項2】
前記連結部を前記連結状態及び前記連結解除状態のいずれか一方状態から他方状態に切り替える切替操作を行う切替操作部と、
前記切替操作部で行われた前記切替操作に応じて前記連結部を前記一方状態から前記他方状態に切り替える連結制御部と、
を備える請求項1に記載の眼科装置。
【請求項3】
前記連結部と前記連結部が連結される被連結部との一方が前記眼特性取得部と一体に前記軸方向に移動し、且つ前記連結部と前記被連結部との他方が前記移動体と一体に前記軸方向に移動し、
前記連結制御部により前記連結部が前記連結解除状態に切り替えられた場合に、前記駆動源の駆動を制御して、前記移動体を予め定めた退避位置に移動させる第1移動制御部と、
前記連結制御部により前記連結部が前記連結解除状態に切り替えられた場合に、前記一方の位置を前記他方の位置に手動で合わせる位置合わせ操作を行う位置合わせ操作部と、
を備え、
前記連結制御部は、前記位置合わせ操作部にて前記位置合わせ操作が行われた場合、前記切替操作に応じて前記連結部を前記連結解除状態から前記連結状態に切り替える請求項2に記載の眼科装置。
【請求項4】
前記一方と前記他方との相対位置を検出する相対位置検出部を備え、
前記連結制御部は、前記相対位置検出部の検出結果に基づき、前記他方に対する前記一方の位置合わせが完了したと判断した場合に、前記切替操作に応じて前記連結部を前記連結解除状態から前記連結状態に切り替える請求項3に記載の眼科装置。
【請求項5】
前記連結部と前記連結部が連結される被連結部との一方が前記眼特性取得部と一体に前記軸方向に移動し、且つ前記連結部と前記被連結部との他方が前記移動体と一体に前記軸方向に移動し、
前記一方と前記他方との相対位置を検出する相対位置検出部を備え、
前記連結制御部により前記連結部が前記連結状態から前記連結解除状態に切り替えられた場合に、前記相対位置検出部の検出結果に基づき、前記駆動源の駆動を制御して、前記他方を前記一方に対して追従移動させる第2移動制御部と、
を備える請求項2に記載の眼科装置。
【請求項6】
前記連結部と前記連結部が連結される被連結部との一方が前記眼特性取得部と一体に前記軸方向に移動し、且つ前記連結部と前記被連結部との他方が前記移動体と一体に前記軸方向に移動し、
前記一方と前記他方との相対位置を検出する相対位置検出部と、
前記連結解除状態の前記連結部を前記連結状態に切り替える前記切替操作が前記切替操作部で行われた場合に、前記相対位置検出部の検出結果に基づき、前記駆動源の駆動を制御して、前記他方の位置を前記一方の位置に合せる第3移動制御部と、
を備え、
前記連結制御部は、前記一方に対する前記他方の位置合わせが前記第3移動制御部により行われた場合に、前記連結部を前記連結解除状態から前記連結状態に切り替える請求項2に記載の眼科装置。
【請求項7】
前記被連結部は、ピン穴であり、
前記連結部は、前記連結状態ではピンを前記ピン穴に挿入し、且つ前記連結解除状態では前記ピンを前記ピン穴から抜くピン挿抜部である請求項3から6のいずれか1項に記載の眼科装置。
【請求項8】
前記被連結部は磁性体であり、
前記連結部は、前記連結状態では前記磁性体との間で磁気による引力を発生し、且つ前記連結解除状態では前記引力の発生を停止する電磁石である請求項3から6のいずれか1項に記載の眼科装置。
【請求項9】
前記連結部は、関節を介して相互に揺動自在に連結された複数のリンク部材を有するリンク機構であって、一端が前記眼特性取得部と一体に前記軸方向に移動し、且つ他端が前記移動体と一体に前記軸方向に移動するリンク機構であり、
前記関節の角度を検出する角度検出部と、
前記連結状態では前記角度検出部の検出結果に基づき前記関節の角度を予め定められた基準角度で固定し、前記連結解除状態では前記関節の固定を解除するリンク機構駆動部と、
を備える請求項1又は2に記載の眼科装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検眼の眼特性を取得する眼科装置に関する。
【背景技術】
【0002】
眼科では、被検眼の眼屈折力、眼圧、及び角膜内皮細胞の数などの各種の眼特性の取得(測定、撮影、及び観察等)を眼科装置により行う。この場合、取得する眼特性の精度、確度及び画質等の観点から、被検眼に対する眼科装置の測定ユニット(眼特性取得部)の位置合わせ、すなわちアライメントが極めて重要となる。このため、眼科装置にはベースに対して測定ユニットを移動させることによりアライメント調整を行う構成が設けられている。例えば、操作者による操作レバーの水平移動操作(手動の移動操作)により測定ユニットを移動させることで、被検眼に対する測定ユニットの手動アライメントを行う眼科装置が知られている。
【0003】
また、特に近年では、被検眼の位置を検出し、この位置検出結果に基づき測定ユニットを電動駆動により移動させることで、被検眼に対して測定ユニットのアライメントを自動で行う所謂フルオートアライメント(以下、単にオートアライメントという)を行う眼科装置が良く知られている。
【0004】
この際に、角膜又は虹彩に異常があったり或いは眼振が大きかったりするなどのオートアライメントが困難な被検眼の眼特性を取得する場合、操作者による手動でのアライメントが必要になる。この場合には、例えば操作者の操作レバーに対する傾倒操作に応じて電動型の駆動部を駆動して測定ユニットを移動させることにより、被検眼に対する測定ユニットのアライメントが行われる。
【0005】
しかしながら、被検眼に対する測定ユニットのアライメントを操作レバーにより手動で行う場合、上述のような傾倒操作ではなく水平移動操作で行うことが一般的である。このため、オートアライメント機能を有する眼科装置では、被検眼に対する測定ユニットの手動アライメントを行う場合の操作方法が一般的な操作方法(水平移動操作)とは異なっており、操作者(特に熟練の操作者)に違和感を与えるおそれがある。
【0006】
特許文献1には、操作者(検者)による手動の移動操作により測定ユニットを直接移動させる非電動型の可動部と、測定ユニットを自動で移動可能な電動型の駆動部と、を備える眼科装置が記載されている。この特許文献1の眼科装置では、被検眼に対する測定ユニットのアライメントとして、手動の移動操作(操作レバーの水平移動操作)により可動部を移動させて行う手動アライメントと、駆動部により自動で測定ユニットを移動させて行うオートアライメントと、を選択的に行うことができる。
【0007】
特許文献2には、測定ユニットと、測定ユニットを搭載する手動可動ユニットと、手動可動ユニットを搭載する電動駆動ユニットと、を有する眼科装置が記載されている。この特許文献2の眼科装置では、被検眼に対する測定ユニットのアライメントとして、手動の移動操作(操作レバーの水平移動操作)により手動可動ユニットを電動駆動ユニットに対して相対移動させて行う手動アライメントと、電動駆動ユニットにより自動で測定ユニットを移動させて行うオートアライメントと、を選択的に行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−201981号公報
【特許文献2】特開2015−211781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記特許文献1及び特許文献2に記載の眼科装置では、測定ユニットを手動の移動操作で移動させる構成と、電動型の駆動部及び電動駆動ユニットのように駆動源の駆動によって測定ユニットを移動させる構成とを個別に設ける必要がある。このため、眼科装置の構造が複雑化し、眼科装置の製造コストの増加、大型化、及び重量増加という問題が発生する。
【0010】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、手動の移動操作による眼特性取得部の移動と、駆動源を駆動して行う眼特性取得部の移動とを簡単な構成で実施可能にした眼科装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的を達成するための眼科装置は、ベースと、ベースに対して予め定めた軸方向に移動自在に保持され、被検眼の眼特性を取得する眼特性取得部と、ベースに設けられ、軸方向に移動体を移動させる駆動源と、駆動源による移動体の移動に伴い眼特性取得部を移動体と一体に軸方向に移動させる連結状態と、移動体に対する眼特性取得部の軸方向の相対移動を許容する連結解除状態と、に切替自在な連結部と、を備える。
【0012】
この眼科装置によれば、駆動源による駆動で眼特性取得部を移動させる構成と、操作者による手動駆動で眼特性取得部を移動させる構成と、を別々に設ける必要が無く、共通の構成にすることができる。
【0013】
本発明の他の態様に係る眼科装置は、連結部を連結状態及び連結解除状態のいずれか一方状態から他方状態に切り替える切替操作を行う切替操作部と、切替操作部で行われた切替操作に応じて連結部を一方状態から他方状態に切り替える連結制御部と、を備える。これにより、駆動源の駆動による眼特性取得部の移動と、操作者の手動駆動による眼特性取得部の移動とを切替操作によって切り替えることができる。
【0014】
本発明の他の態様に係る眼科装置は、連結部と連結部が連結される被連結部との一方が眼特性取得部と一体に軸方向に移動し、且つ連結部と被連結部との他方が移動体と一体に軸方向に移動し、連結制御部により連結部が連結解除状態に切り替えられた場合に、駆動源の駆動を制御して、移動体を予め定めた退避位置に移動させる第1移動制御部と、連結制御部により連結部が連結解除状態に切り替えられた場合に、一方の位置を他方の位置に手動で合わせる位置合わせ操作を行う位置合わせ操作部と、を備え、連結制御部は、位置合わせ操作部にて位置合わせ操作が行われた場合、切替操作に応じて連結部を連結解除状態から連結状態に切り替える。これにより、駆動源による駆動で眼特性取得部を移動させる構成と、操作者による手動駆動で眼特性取得部を移動させる構成と、を共通の構成にすることができる。
【0015】
本発明の他の態様に係る眼科装置は、一方と他方との相対位置を検出する相対位置検出部を備え、連結制御部は、相対位置検出部の検出結果に基づき、他方に対する一方の位置合わせが完了したと判断した場合に、切替操作に応じて連結部を連結解除状態から連結状態に切り替える。これにより、位置合わせが完了していない状態で連結部が誤って連結状態に切り替えられてしまうことが防止される。
【0016】
本発明の他の態様に係る眼科装置は、連結部と連結部が連結される被連結部との一方が眼特性取得部と一体に軸方向に移動し、且つ連結部と被連結部との他方が移動体と一体に軸方向に移動し、一方と他方との相対位置を検出する相対位置検出部を備え、連結制御部により連結部が連結状態から連結解除状態に切り替えられた場合に、相対位置検出部の検出結果に基づき、駆動源の駆動を制御して、他方を一方に対して追従移動させる第2移動制御部と、を備える。これにより、操作者の手動駆動による眼特性取得部の移動から駆動源の駆動による眼特性取得部の移動への切り替えを自動且つ短時間で行うことができる。
【0017】
本発明の他の態様に係る眼科装置は、連結部と連結部が連結される被連結部との一方が眼特性取得部と一体に軸方向に移動し、且つ連結部と被連結部との他方が移動体と一体に軸方向に移動し、一方と他方との相対位置を検出する相対位置検出部と、連結解除状態の連結部を連結状態に切り替える切替操作が切替操作部で行われた場合に、相対位置検出部の検出結果に基づき、駆動源の駆動を制御して、他方の位置を一方の位置に合せる第3移動制御部と、を備え、連結制御部は、一方に対する他方の位置合わせが第3移動制御部により行われた場合に、連結部を連結解除状態から連結状態に切り替える。これにより、操作者の手動駆動による眼特性取得部の移動から駆動源の駆動による眼特性取得部の移動への切り替えを自動且つ短時間で行うことができる。
【0018】
本発明の他の態様に係る眼科装置は、被連結部は、ピン穴であり、連結部は、連結状態ではピンをピン穴に挿入し、且つ連結解除状態ではピンをピン穴から抜くピン挿抜部である。
【0019】
本発明の他の態様に係る眼科装置は、被連結部は磁性体であり、
連結部は、連結状態では磁性体との間で磁気による引力を発生し、且つ連結解除状態では引力の発生を停止する電磁石である請求項3から6のいずれか1項に記載の眼科装置。
【0020】
本発明の他の態様に係る眼科装置は、連結部は、関節を介して相互に揺動自在に連結された複数のリンク部材を有するリンク機構であって、一端が眼特性取得部と一体に軸方向に移動し、且つ他端が移動体と一体に軸方向に移動するリンク機構であり、関節の角度を検出する角度検出部と、連結状態では角度検出部の検出結果に基づき関節の角度を予め定められた基準角度で固定し、連結解除状態では関節の固定を解除するリンク機構駆動部と、を備える。
【発明の効果】
【0021】
本発明の眼科装置は、手動の移動操作による眼特性取得部の移動と、駆動源を駆動して行う眼特性取得部の移動とを簡単な構成で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】第1実施形態の眼科装置の側面図である。
図2図1中の2−2線に沿う断面図である。
図3】連結状態のピン挿抜部を説明するための説明図である。
図4】連結解除状態のピン挿抜部を説明するための説明図である。
図5】第1実施形態の制御部の電気的構成を示すブロック図である。
図6】連結制御部によるピン挿抜部の連結解除状態から連結状態への切替制御を説明するための説明図である。
図7】第1実施形態の眼科装置による手動駆動アライメントモードでの被検眼の眼特性の測定の流れを示すフローチャートである。
図8】第1実施形態の眼科装置による電動駆動アライメントモード等での被検眼の眼特性の測定の流れを示すフローチャートである。
図9】第2実施形態の制御部の電気的構成を示すブロック図である。
図10】第2実施形態の移動制御部及び連結制御部の制御を説明するための説明図である。
図11】第2実施形態の眼科装置による手動駆動アライメントモードでの被検眼の眼特性の測定の流れを示すフローチャートである。
図12】第2実施形態の眼科装置による電動駆動アライメントモード等での被検眼の眼特性の測定の流れを示すフローチャートである。
図13】第3実施形態の制御部の電気的構成を示すブロック図である。
図14】第3実施形態の移動制御部及び連結制御部の制御を説明するための説明図である。
図15】第3実施形態の眼科装置による手動駆動アライメントモードでの被検眼の眼特性の測定の流れを示すフローチャートである。
図16】第3実施形態の眼科装置による電動駆動アライメントモード等での被検眼の眼特性の測定の流れを示すフローチャートである。
図17】第4実施形態の眼科装置の構成、特に電磁石を説明するための説明図である。
図18】第4実施形態の移動制御部及び連結制御部の制御を説明するための説明図である。
図19】第4実施形態の眼科装置による電動駆動アライメントモード等での被検眼の眼特性の測定の流れを示すフローチャートである。
図20】第5実施形態の眼科装置の構成、特にリンク機構を説明するための説明図である。
図21】連結状態のリンク機構を説明するための説明図である。
図22】連結解除状態のリンク機構を説明するための説明図である。
図23】第5実施形態の眼科装置による手動駆動アライメントモードでの被検眼の眼特性の測定の流れを示すフローチャートである。
図24】第5実施形態の眼科装置による電動駆動アライメントモード等での被検眼の眼特性の測定の流れを示すフローチャートである。
図25】第6実施形態の眼科装置のハウジング及びナットの拡大図である。
図26】第6実施形態の制御部の電気的構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[第1実施形態の眼科装置の構成]
図1は、本発明の第1実施形態の眼科装置10の側面図である。この眼科装置10は、被検者の被検眼Eの各種の眼特性の測定、観察、及び撮影等の取得(以下、単に「測定」と略す)を行う。このような眼科装置10としては、眼底カメラ、OCT(optical coherence tomography)、SLO(Scanning Laser Ophthalmoscope)、眼軸長計、スリットランプ、レフラクトメータ、ケラトメータ、トノメータ、スペキュラマイクロスコープ、及びこれらの複合機等が例として挙げられる。
【0024】
ここで、図中のX軸方向は被検者を基準とした左右方向(被検眼Eの眼幅方向)であり、Y軸方向は上下方向であり、Z軸方向は被検者に近づく前方向と被検者から遠ざかる後方向とに平行な前後方向(作動距離方向ともいう)である。従って、Z軸方向及びX軸方向は水平方向に含まれる。
【0025】
図1に示すように、眼科装置10は、本体ベース12(基台ともいう)と、顔支持部13と、電動駆動部14と、本発明の眼特性取得部に相当する測定ユニット15と、モニタ16と、本発明の位置合わせ操作部に相当する操作レバー17と、を備える。本体ベース12のZ軸方向前方側(被検者側)の端部には顔支持部13が設けられ、且つ本体ベース12の上面には電動駆動部14が設けられている。
【0026】
顔支持部13は、Y軸方向に位置調整可能な不図示の顎受け及び額当てを有しており、眼科装置10による測定時に被検者の顔を支持する。
【0027】
電動駆動部14は、本体ベース12上において後述の測定ユニット15をXYZ軸の各軸方向にそれぞれ移動自在に保持している。電動駆動部14は、後述の制御部65(図5参照)の制御の下、本体ベース12に対して測定ユニット15をXYZ軸の各軸方向にそれぞれ移動させる電動駆動を行うことにより、被検眼Eに対する測定ユニット15のアライメントを行う。また、電動駆動部14は、電動駆動の他に手動駆動を選択することができ、手動駆動が選択された場合には操作レバー17に対する操作者の水平方向(Z軸方向及びX軸方向)の押し引き操作に応じた測定ユニット15の水平方向の移動を許容する。
【0028】
測定ユニット15の移動には、例えば被検眼Eの前眼部像を取得可能な位置への測定ユニット15の移動、及び被検眼Eの左右切替の際の測定ユニット15の移動などを行う場合の粗動(高速移動)と、例えば狭い範囲での精密なアライメントを行う場合の微動(低速移動)と、が含まれる。
【0029】
なお、本実施形態の眼科装置10では、アライメントを自動で行うオートアライメントと、アライメントを手動操作(マニュアル操作)で行う手動アライメントと、を選択することができる。また、この手動アライメントには、電動駆動部14を電動駆動して行う電動駆動アライメントと、電動駆動部14を操作者が手動駆動して行う手動駆動アライメントが含まれる。
【0030】
電動駆動部14は、Z軸ベース21と、Z軸駆動部22と、X軸ベース23と、X軸駆動部24と、Y軸駆動部25と、を備えている。
【0031】
Z軸ベース21は、本体ベース12(本発明のベースに相当)上に設けられている後述のZ軸駆動部22のさらに上方に設けられており、このZ軸駆動部22によりZ軸方向に移動自在に保持されている。このZ軸ベース21の下面には、Z軸方向に並べて配置された一対の軸受27が2組設けられている(図2参照)。2組の一対の軸受27は、X軸方向に間隔をあけて設けられている(図2参照)。また、2組の一対の軸受27には、それぞれZ軸方向に平行な不図示の貫通穴が形成されている。
【0032】
また、Z軸ベース21の下面側には、X軸方向において2組の一対の軸受27の間に位置するように、ハウジング28が配置されている(図2参照)。ハウジング28は、Z軸ベース21とは独立した部材であり、後述のピン挿抜部6Z(図3参照)を介してZ軸ベース21に連結されていると共に、このZ軸ベース21等を介して測定ユニット15に間接的に連結されている。
【0033】
ハウジング28は、後述のナット32と係合してナット32と一体にZ軸方向に移動可能な形状、例えばナット32の上方からナット32をZ軸方向に挟み込む形状を有している。このため、ハウジング28は、ナット32のZ軸方向の移動に伴い、ナット32と一体にZ軸方向に移動する。そして、ハウジング28がピン挿抜部6Z(図3参照)を介してZ軸ベース21に連結されている場合、ハウジング28のZ軸方向の移動に伴い、Z軸ベース21、X軸駆動部24、X軸ベース23、Y軸駆動部25、及び測定ユニット15が一体にZ軸方向に移動する。
【0034】
図2は、図1中の2−2線に沿う断面図(Z軸駆動部22の上面図)である。図1及び図2に示すように、Z軸駆動部22は、本体ベース12上に設けられている。このZ軸駆動部22は、Z軸方向に平行な2本のZガイド軸30と、2組の一対の軸固定部31と、ナット32と、送りねじ33と、Z軸モータ34と、を備える。なお、ナット32は、前述のハウジング28と共に本発明の移動体に相当する。
【0035】
2本のZガイド軸30は、それぞれ2組の一対の軸受27の貫通穴に挿通されている。そして、各Zガイド軸30の両端部は、本体ベース12の上面に設けられた2組の一対の軸固定部31によりそれぞれ保持されている。これにより、Z軸ベース21は、一対の軸受27を介して、Zガイド軸30によりZ軸方向に移動自在に保持、すなわち本体ベース12上でZ軸方向に移動自在に保持される。
【0036】
ナット32は、既述のハウジング28に係合、すなわちハウジング28により上方からZ軸方向に挟み込まれている。この際に、ナット32は、ハウジング28に対してZ軸周りに相対回転不能な状態でハウジング28に係合されている。
【0037】
送りねじ33は、Z軸方向に平行な姿勢で既述のハウジング28をZ軸方向に貫通し、且つこのハウジング28に係合しているナット32に螺合している。この送りねじ33の一端部には、本体ベース12上に設けられたZ軸モータ34が接続されている。なお、送りねじ33は、後述のZ軸モータ34と共に本発明の駆動源を構成する。
【0038】
Z軸モータ34は、後述の制御部65(図5参照)の制御の下、送りねじ33を回転駆動する。この送りねじ33の回転駆動によって、ナット32を介してハウジング28をZ軸方向に移動できると共に、さらにこのハウジング28及びピン挿抜部6Z(図3参照)を介してZ軸ベース21をZ軸方向に移動できる。その結果、Z軸ベース21上に設けられているX軸駆動部24、X軸ベース23、Y軸駆動部25、及び測定ユニット15を一体的にZ軸方向に移動できる。すなわち測定ユニット15等を本体ベース12に対してZ軸方向に相対移動できる。
【0039】
また、Z軸モータ34により送りねじ33の回転方向を制御することで測定ユニット15等のZ軸方向の移動方向を制御できると共に、送りねじ33の回転速度を制御することで測定ユニット15等のZ軸方向の移動速度を制御できる。
【0040】
X軸ベース23は、Z軸ベース21上に設けられている後述のX軸駆動部24のさらに上方に設けられており、このX軸駆動部24によりX軸方向に移動自在に保持されている。このX軸ベース23の下面には、2組の一対の軸受37と、ハウジング38とが設けられている。これら一対の軸受37及びハウジング38は、既述の一対の軸受27及びハウジング28をそれぞれY軸周りに90度回転させた構造(配置)である。
【0041】
ハウジング38は、X軸ベース23とは独立した部材であり、後述のピン挿抜部6X(図5参照)を介して、X軸ベース23に連結され、さらにこのX軸ベース23等を介して測定ユニット15に間接的に連結されている。このハウジング38は、後述のナット42に係合し、このナット42のX軸方向の移動に伴い、ナット42と一体にX軸方向に移動する。そして、ハウジング38がピン挿抜部6Xを介してX軸ベース23に連結されている場合、ハウジング38のX軸方向の移動に伴い、X軸ベース23、Y軸駆動部25、及び測定ユニット15が一体にX軸方向に移動する。
【0042】
X軸駆動部24は、Z軸ベース21(本発明のベースに相当)上に設けられている。このX軸駆動部24は、X軸方向に平行な2本のXガイド軸40と、2組の一対の軸固定部41と、ナット42と、送りねじ43と、X軸モータ44と、を備える。なお、ナット42は前述のハウジング38と共に本発明の移動体を相当し、送りねじ43及びX軸モータ44は本発明の駆動源に相当する。
【0043】
これらX軸駆動部24の各部は、既述のZ軸駆動部22の各部をそれぞれY軸周りに90度回転させた構造(配置)である。従って、X軸モータ44が後述の制御部65(図5参照)の制御の下で送りねじ43を回転駆動することにより、ナット42を介してハウジング38をX軸方向に移動できると共に、ハウジング38及びピン挿抜部6X(図5参照)を介してX軸ベース23を本体ベース12に対してX軸方向に相対移動できる。その結果、X軸ベース23上に設けられているY軸駆動部25及び測定ユニット15を一体的にX軸方向に移動できる。
【0044】
また、X軸モータ44によって、送りねじ43の回転方向を制御することで測定ユニット15等のX軸方向の移動方向を制御し、且つ送りねじ43の回転速度を制御することで測定ユニット15等のX軸方向の移動速度を制御できる。
【0045】
Y軸駆動部25は、円筒ハウジング50と、支柱51と、ナット52と、送りねじ53と、Y軸モータ54とを備える。円筒ハウジング50は、Y軸方向に平行な円筒形状を有しており、X軸ベース23の上面に固定されている。この円筒ハウジング50内には、その上端側の開口から内部に挿入された支柱51が嵌合している。
【0046】
また、円筒ハウジング50内には送りねじ53及びY軸モータ54が収納される。具体的に、Y軸モータ54は円筒ハウジング50内においてX軸ベース23上に固定されている。また、送りねじ53は、その下端側がY軸モータ54に接続されており、円筒ハウジング50内においてY軸方向に平行な姿勢でY軸モータ54に保持されている。
【0047】
支柱51は、Y軸方向に平行な円筒形状を有しており、その下端側から円筒ハウジング50内に嵌合している。また、支柱51の上端部には測定ユニット15が固定されている。そして、支柱51の下端側の内周面には、その周方向に沿ってナット52が係合する環状の係合溝51aが形成されている。ナット52は、支柱51内の係合溝51aに対してY軸周りに相対回転不能な状態で係合しており、支柱51と一体にY軸方向に移動する。
【0048】
送りねじ53は、既述の支柱51内にその下方から嵌合している。また、送りねじ53は、支柱51内の係合溝51aに係合しているナット52に螺合している。
【0049】
Y軸モータ54は、後述の制御部65(図5参照)の制御の下、送りねじ53を回転駆動することにより、ナット52を介して支柱51をY軸方向に移動させる。その結果、測定ユニット15をY軸方向に移動できる。また、Y軸モータ54によって、送りねじ53の回転方向を制御することで測定ユニット15のY軸方向の移動方向を制御すると共に、送りねじ53の回転速度を制御することで測定ユニット15のY軸方向の移動速度を制御できる。
【0050】
このようにZ軸モータ34、X軸モータ44、及びY軸モータ54をそれぞれ駆動することにより、測定ユニット15をXYZ軸の各軸方向にそれぞれ移動(粗動又は微動)させることができる。
【0051】
図3は、連結状態のピン挿抜部6Z,6Xを説明するための説明図である。図4は、連結解除状態のピン挿抜部6Z,6Xを説明するための説明図である。なお、ピン挿抜部6Z,6Xは本発明の連結部に相当する。
【0052】
図3及び図4に示すように、ピン挿抜部6Zは、Z軸ベース21の下面側に開口している取付穴内に設けられている。このピン挿抜部6Zは、Y軸方向下方側に延びたピン7Zを有している。一方、ハウジング28の上面には、ピン7Zが挿入されるピン穴8Z(本発明の被連結部に相当)が形成されている。
【0053】
ピン挿抜部6Zは、図3に示すように連結状態ではピン7ZをZ軸ベース21の下面からY軸方向下方に向かって突出させ、図4に示すように連結解除状態ではピン7ZをZ軸ベース21の下面内に埋没させることにより、ピン穴8Zに対してピン7Zを挿抜させる。具体的に、ピン挿抜部6Zのピン7Zの位置とハウジング28のピン穴8Zの位置とを位置合わせした状態で、ピン挿抜部6Zを連結状態に切り替えると、ピン7Zがピン穴8Z内に挿入されて、Z軸ベース21とハウジング28とが連結される。これにより、ハウジング28及びZ軸ベース21がZ軸方向に一体的に移動し、さらにこのZ軸ベース21上にある測定ユニット15等もZ軸方向に一体的に移動する。
【0054】
また、この状態でピン挿抜部6Zを連結解除状態に切り替えると、ピン7Zがピン穴8Zから抜かれて、Z軸ベース21とハウジング28との連結が解除される。これにより、ハウジング28に対するZ軸ベース21及び測定ユニット15等のZ軸方向の相対移動が許容される。
【0055】
ピン挿抜部6Xは、X軸ベース23とハウジング38とを連結する。このピン挿抜部6Xは、X軸ベース23の下面側に開口している取付穴内に設けられており、Y軸方向下方側に延びたピン7Xを有している。一方、ハウジング38の上面には、ピン7Xが挿入されるピン穴8X(本発明の被連結部に相当)が形成されている。
【0056】
ピン挿抜部6Xは、既述のピン挿抜部6Zと同様に、連結状態ではピン7XをX軸ベース23の下面からY軸方向下方に向かって突出させ、連結解除状態ではピン7XをX軸ベース23の下面内に埋没させることにより、ピン穴8Xに対してピン7Xを挿抜させる。
【0057】
従って、ピン7Xの位置とピン穴8Xの位置とを位置合わせした状態で、ピン挿抜部6Xを連結状態に切り替えると、ピン7Xがピン穴8X内に挿入されて、X軸ベース23とハウジング38とが連結される。これにより、ハウジング38とX軸ベース23とがX軸方向に一体的に移動し、さらにこのX軸ベース23上にある測定ユニット15等もX軸方向に一体的に移動する。一方、ピン挿抜部6Xを連結解除状態に切り替えると、ピン7Xがピン穴8Xから抜かれて、X軸ベース23とハウジング38との連結が解除される。これにより、ハウジング38に対するX軸ベース23及び測定ユニット15等のX軸方向の相対移動が許容される。
【0058】
ピン挿抜部6Z,6Xは、後述の制御部65(図5参照)の制御の下、連結状態と連結解除状態とに切替自在である。これにより、ピン挿抜部6Z,6Xをそれぞれ連結状態に切り替えると、Z軸モータ34及びX軸モータ44の駆動、すなわち前述の電動駆動部14の電動駆動による測定ユニット15のZ軸方向及びX軸方向の移動が可能となる。
【0059】
また、ピン挿抜部6Z、6Xをそれぞれ連結解除状態に切り替えると、手動でのZ軸ベース21及び測定ユニット15等のZ軸方向の移動が可能になると共に、手動でのX軸ベース23及び測定ユニット15等のX軸方向の移動が可能になる。すなわち、電動駆動部14の手動駆動による測定ユニット15のZ軸方向及びX軸方向の移動が可能となる。
【0060】
ピン挿抜部6Zには、ハウジング28の上面、特にピン穴8Zを撮影するカメラ9Zが設けられている。また、ピン挿抜部6Xには、ハウジング38の上面、特にピン穴8Xを撮影するカメラ9Xが設けられている。カメラ9Zで撮影された撮影画像データは、ピン7Zとピン穴8Zとの位置合わせに用いられ、カメラ9Xで撮影された撮影画像データは、ピン7Xとピン穴8Xとの位置合わせに用いられる。
【0061】
図1に戻って、測定ユニット15は、眼科装置10が測定する眼特性の種類に対応した測定光学系15a(撮像素子及び各種光源を含む)を有している。この測定ユニット15は、アライメント検出時にはアライメント検出用の検出信号(被検眼Eの前眼部の観察像等)を後述の制御部65(図5参照)へ出力し、被検眼Eの眼特性の測定時には測定用の測定信号を制御部65へ出力する。なお、測定ユニット15及びその測定光学系15aの構成について周知技術であるので、ここでは具体的な説明は省略する。
【0062】
モニタ16は、測定ユニット15のZ軸方向後方側(操作者側)の端部に取り付けられている。モニタ16としては、例えばタッチパネル式の液晶表示装置が用いられる。このモニタ16は、測定ユニット15により得られた被検眼Eの眼特性の測定結果、測定ユニット15のアライメント等に利用される被検眼Eの前眼部の観察像、及び眼特性の測定に係る操作(測定ユニット15の位置調整を含む)を行うための操作画面等を表示する。
【0063】
また、このモニタ16の操作画面は、既述のピン挿抜部6Z,6Xを連結状態及び連結解除状態のいずれか一方状態から他方状態に切り替える切替操作に用いられる。すなわち、モニタ16は本発明の切替操作部として機能する。なお、モニタ16の代わりに、レバー、スイッチ、及びボタン等の各種操作部を用いて切替操作を行ってもよい。
【0064】
操作レバー17は、例えばX軸ベース23上のZ軸方向後方側の端部に取り付けられている。なお、操作レバー17の頂部には測定ボタンが設けられており、この測定ボタンを押下することで測定ユニット15による被検眼Eの眼特性の測定を開始できる。
【0065】
操作レバー17は、手動操作により前述の電動駆動部14を電動駆動又は手動駆動して、測定ユニット15をXYZ軸の各軸方向に移動させるための操作部である。既述の電動駆動アライメントのように電動駆動部14を電動駆動する場合には、操作レバー17をその長手軸周りに回転(時計回り又は反時計回りに回転)させる回転操作と、操作レバー17をZ軸方向又はX軸方向に傾倒する傾倒操作とを行う。また、既述の手動駆動アライメントのように電動駆動部14を手動駆動する場合には、操作レバー17をZ軸方向又はX軸方向に押し操作又は引き操作する押し引き操作(水平移動操作)を行う。
【0066】
操作レバー17の回転操作が行われると、既述のY軸モータ54が駆動され、測定ユニット15がY軸方向(上下方向)に移動する。この際に、操作レバー17の回転方向を切り替えることで、Y軸モータ54による送りねじ53の回転方向が切り替えられるため、既述のように測定ユニット15をY軸方向に移動させることができる。また、操作レバー17の回転角度を調整することで、測定ユニット15のY軸方向の粗動(高速移動)と微動(低速移動)とが切り替えられる。なお、操作レバー17の回転角度は、例えばロータリーポテンショメータであるYポテンショメータ56Y(図5参照)により検出される。
【0067】
操作レバー17のZ軸方向及びX軸方向(水平方向)の傾倒操作が行われると、既述のZ軸モータ34又はX軸モータ44が駆動、すなわち電動駆動部14が電動駆動されることで、測定ユニット15がZ軸方向又はX軸方向に移動する。この際に、操作レバー17の傾倒角度を調整することで、Z軸モータ34及びX軸モータ44の高速駆動と低速駆動とが切り替えられ、その結果、測定ユニット15のZ軸方向及びX軸方向の粗動(高速移動)と微動(低速移動)とが切り替えられる。
【0068】
なお、操作レバー17の傾倒方向及び傾倒角度は、例えば直動型ポテンショメータであるZポテンショメータ56Z及びXポテンショメータ56X(図5参照)によりそれぞれ検出される。
【0069】
操作レバー17が傾倒操作されることなくZ軸方向又はX軸方向に押し引き操作されると、この操作レバー17を介してX軸ベース23がZ軸方向又はX軸方向に押圧される。例えばX軸ベース23がZ軸方向に押圧された場合、X軸駆動部24を介してZ軸ベース21がZ軸方向に押圧される。その結果、ピン挿抜部6Zが連結解除状態である場合、Z軸ベース21に対するZ軸方向の押圧によって電動駆動部14が手動駆動され、Z軸ベース21及び測定ユニット15等が本体ベース12に対して一体にZ軸方向に移動される。
【0070】
また、X軸ベース23がX軸方向に押圧され、且つピン挿抜部6Xが連結解除状態である場合、X軸ベース23に対するX軸方向の押圧によって電動駆動部14が手動駆動され、X軸ベース23及び測定ユニット15等がZ軸ベース21(本体ベース12)に対してX軸方向に移動される。
【0071】
図5は、眼科装置10内に設けられている第1実施形態の制御部65の電気的構成を示すブロック図である。図5に示すように、制御部65は、例えばCPU(Central Processing Unit)又はFPGA(field-programmable gate array)等を含む各種の演算部及びメモリ等から構成された演算回路であり、眼科装置10の各部の動作を統括制御する。例えば制御部65は、モニタ16のタッチ操作又は操作レバー17の操作等に応じて、既述のアライメント検出用の検出信号の取得及び出力と、被検眼Eの眼特性の測定信号の取得及び出力とを測定ユニット15に実行させる。
【0072】
また、制御部65は、記憶部66から読み出した制御プログラム(不図示)を実行することにより、演算処理部67と移動制御部68(本発明の第1移動制御部に相当)と相対位置検出部90と連結制御部91として機能する。
【0073】
演算処理部67は、アライメント検出部70及び解析部71として機能する。アライメント検出部70は、後述のオートアライメントモード時において、測定ユニット15から入力されるアライメント検出用の検出信号に基づき、被検眼Eに対する測定ユニット15のXYZ軸の各軸方向のアライメント検出を行う。そして、アライメント検出部70は、アライメント検出結果を移動制御部68へ出力する。
【0074】
解析部71は、測定ユニット15から入力される被検眼Eの眼特性の測定信号を解析して、眼特性の測定結果を得る。そして、解析部71は、被検眼Eの眼特性の測定結果をモニタ16及び記憶部66に出力する。これにより、被検眼Eの眼特性の測定結果がモニタ16に表示されると共に記憶部66に記憶される。
【0075】
移動制御部68は、ピン挿抜部6Z,6Xがそれぞれ連結状態である場合、電動駆動部14の電動駆動、すなわちZ軸モータ34、X軸モータ44、及びY軸モータ54の駆動を制御して、測定ユニット15をXYZ軸の各軸方向にそれぞれ移動させることにより、被検眼Eに対する測定ユニット15のアライメントを行う。この移動制御部68には、既述の各モータ34,44,54、及び各ポテンショメータ56X,56Y,56Zの他に、測定ユニット15のX軸方向の位置を検出するX軸位置検出センサ73と、Y軸方向の位置を検出するY軸位置検出センサ74と、Z軸方向の位置を検出するZ軸位置検出センサ75と、が接続されている。
【0076】
移動制御部68は、被検眼Eに対する測定ユニット15のアライメントを行う動作モードとして、オートアライメントモードと手動アライメントモードとを有している。手動アライメントモードは、例えば、被検眼Eの角膜又は虹彩に異常があったり或いは眼振が大きかったりするなどの特にオートアライメントが実行できない場合を考慮したモードである。この手動アライメントモードには、既述の電動駆動アライメントを行う電動駆動アライメントモードと、手動駆動アライメントを行う手動駆動アライメントモードとが含まれる。各アライメントモードの切り替えは、例えばモニタ16に表示される操作画面上でのタッチ操作により行う。
【0077】
移動制御部68は、オートアライメントモードが設定されている場合、既述のアライメント検出部70から入力されるアライメント検出結果と、各位置検出センサ73,74,75の検出結果とに基づき、各モータ34,44,54の駆動を制御して、測定ユニット15のXYZ軸の各軸方向の位置調整を行う。これにより、被検眼Eに対する測定ユニット15のオートアライメントが実行される。なお、アライメント検出部70によるアライメント検出前の測定ユニット15の位置調整については、後述の電動駆動アライメントモードと同じ方法で行われる。
【0078】
移動制御部68は、電動駆動アライメントモードが選択されている場合、操作レバー17の傾倒操作及び回転操作が行われると、各ポテンショメータ56X,56Y,56Zのいずれかより入力される信号に基づき、各モータ34,44,54のいずれかを駆動させる。これにより、電動駆動部14が電動駆動されて、測定ユニット15が傾倒操作又は回転操作に対応した方向及び速度に従って移動(粗動又は微動)する。
【0079】
移動制御部68は、モニタ16での手動駆動アライメントモードへの切替操作に応じて後述の連結制御部91がピン挿抜部6Z,6Xを連結解除状態に切り替えた場合に、Z軸モータ34を駆動して、ハウジング28及びナット32を予め定めた退避位置RZ(図6参照)まで移動させる。また、移動制御部68は、X軸モータ44を駆動して、ハウジング38及びナット42を予め定めた退避位置RX(図6参照)まで移動させる。これにより、手動駆動アライメントモードにおいて、ハウジング28及びナット32(以下、ハウジング28等と略す)と、ハウジング38及びナット42(以下、ハウジング38等と略す)とがそれぞれ退避位置RZ,RXに退避される。
【0080】
退避位置RZは、本実施形態ではZ軸ベース21がZ軸方向の移動範囲の一端に位置する場合にピン挿抜部6Zに対向する位置に設定されている。また、退避位置RZは、X軸ベース23がX軸方向の移動範囲の一端に位置する場合にピン挿抜部6Xに対向する位置に設定されている。なお、退避位置RZ,RXの位置は適宜変更してもよい。
【0081】
相対位置検出部90は、既述のカメラ9Z,9Xと共に本発明の相対位置検出部を構成する。この相対位置検出部90は、ピン穴8Zに対するピン7ZのZ軸方向の相対位置(以下、Z軸相対位置という)を検出すると共に、ピン穴8Xに対するピン7XのX軸方向の相対位置(以下、X軸相対位置という)を検出する。
【0082】
具体的に相対位置検出部90は、モニタ16にて手動駆動アライメントモードから電動駆動アライメントモード又はオートアライメントモード(以下、電動駆動アライメントモード等と略す)への切替操作がなされた場合、カメラ9Z及びカメラ9Xからそれぞれ撮影画像データを取得する。相対位置検出部90は、取得した各撮影画像データからピン穴8Zの位置とピン穴8Xの位置とを検出する。
【0083】
次いで、相対位置検出部90は、検出したピン穴8Zの位置と、Z軸ベース21内での既知のカメラ9Zの取付位置とに基づき、Z軸相対位置を検出する。また、相対位置検出部90は、検出したピン穴8Xの位置と、X軸ベース23内での既知のカメラ9Xの取付位置とに基づき、X軸相対位置を検出する。Z軸相対位置は、例えばピン7Zの中心位置とピン穴8Zの中心位置とのZ軸方向の位置ずれ量で表され、X軸相対位置は、例えばピン7Xの中心位置とピン穴8Xの中心位置とのX軸方向の位置ずれ量で表される。相対位置検出部90は、Z軸相対位置の検出結果及びX軸相対位置をそれぞれ連結制御部91へ出力する。
【0084】
連結制御部91は、ピン挿抜部6Z,6Xの連結状態と連結解除状態との切り替えを制御する。連結制御部91は、モニタ16にて手動駆動アライメントモードへの切替操作がなされた場合、ピン挿抜部6Z,6Xを連結状態から連結解除状態に直ちに切り替える。
【0085】
一方、連結制御部91は、モニタ16にて電動駆動アライメントモード等への切替操作がなされた場合、既述の相対位置検出部90による検出結果に基づき、ピン挿抜部6Z,6Xの連結解除状態から連結状態への切り替えを制御する。
【0086】
図6は、連結制御部91によるピン挿抜部6Z,6Xの連結解除状態から連結状態への切替制御を説明するための説明図である。
【0087】
図6の符号A1に示すように、手動駆動アライメントモードへの切替操作に応じて、連結制御部91によりピン挿抜部6Zが連結解除状態に切り替えられると、符号B1に示すように、移動制御部68は、Z軸モータ34を駆動してハウジング28等を退避位置RZまで移動させる。このため、モニタ16にて電動駆動アライメントモード等への切替操作を行う場合、すなわちピン挿抜部6Zを連結状態に切り替える場合には、符号C1に示すように、操作者がピン穴8Zの位置に対してピン挿抜部6Z(ピン7Z)の位置を手動で合わせる位置合わせ操作を行う。具体的に、操作者は操作レバー17をZ軸方向に押し引き操作して、ピン挿抜部6Zを退避位置RZまで移動させる。これにより、ピン穴8Zの位置に対してピン7Zの位置を手動で位置合わせすることができる。
【0088】
この際に、退避位置RZは、Z軸ベース21がZ軸方向の移動範囲の一端に位置する場合に、このZ軸ベース21内のピン挿抜部6Zに対向する位置に設定されている。このため、操作者は、操作レバー17に対するZ軸方向の押し引き操作により電動駆動部14を手動駆動して、Z軸ベース21をZ軸方向の移動範囲の一端まで移動させるだけで、ピン穴8Zに対してピン7Zを位置合わせすることができる。
【0089】
連結制御部91は、相対位置検出部90から入力されるZ軸相対位置の検出結果に基づき、ピン穴8Zに対するピン7Zの位置合わせが完了したか否かを判断する。例えば、Z軸相対位置の検出結果が既述のZ軸方向の位置ずれ量である場合、連結制御部91は位置ずれ量が予め定めた閾値以下になったか否かに基づき、位置合わせが完了したか否かを判断する。そして、符号D1に示すように、連結制御部91は、位置合わせが完了したと判断した場合、電動駆動アライメントモード等への切替操作に応じて、ピン挿抜部6Zを連結解除状態から連結状態に切り替える。
【0090】
なお、連結制御部91は、位置合わせが完了していない状態で電動駆動アライメントモード等への切替操作がなされた場合、ピン挿抜部6Zの連結状態への切り替えを保留すると共に、位置合わせが完了していない旨の警告表示等をモニタ16に実行させる。
【0091】
連結制御部91によるピン挿抜部6Xの連結状態から連結解除状態への切替制御は、上述のピン挿抜部6Zの切替制御と基本的に同じである。最初に操作者は、ピン穴8Xの位置に対してピン挿抜部6X(ピン7X)の位置を手動で合わせる位置合わせ操作として、操作レバー17に対するX軸方向の押し引き操作を行い、ピン挿抜部6Xを退避位置RXまで移動させる。次いで、連結制御部91は、相対位置検出部90から入力されるX軸相対位置の検出結果に基づき、ピン穴8Xに対するピン7Xの位置合わせが完了したと判断した場合、電動駆動アライメントモード等への切替操作に応じてピン挿抜部6Xを連結解除状態から連結状態に切り替える。
【0092】
[第1実施形態の眼科装置の作用]
<手動駆動アライメントモード>
図7は、上記構成の第1実施形態の眼科装置10による手動駆動アライメントモードでの被検眼Eの眼特性の測定の流れを示すフローチャートである。
【0093】
図7に示すように、操作者は、顔支持部13の顎受け及び額当てのY軸方向の高さ位置の調整を行って、被検者の顔に対する測定ユニット15のY軸方向の高さ位置を調整する。次いで、操作者は、被検眼Eに対する測定ユニット15のアライメントを手動駆動アライメントで行う場合、モニタ16にて手動駆動アライメントモードへの切替操作を行う(ステップS10)。この切替操作を受けて、連結制御部91は、ピン挿抜部6Z,6Xを連結状態から連結解除状態に直ちに切り替える(ステップS20でYES、ステップS30)。これにより、電動駆動部14の手動駆動が可能となる。
【0094】
ピン挿抜部6Z,6Xがそれぞれ連結解除状態に切り替えられると、移動制御部68は、Z軸モータ34及びX軸モータ44を駆動して、ハウジング28等及びハウジング38等をそれぞれ退避位置RZ,RXまで移動させる(ステップS40)。
【0095】
そして、操作者が、操作レバー17をZ軸方向及びX軸方向に押し引き操作して電動駆動部14を手動駆動することにより、測定ユニット15がZ軸方向及びX軸方向に移動される(ステップS50)。これにより、被検眼Eに対する測定ユニット15のZ軸方向の位置とX軸方向の位置とがそれぞれ調整され、被検眼Eに対する測定ユニット15のアライメントが実行される。
【0096】
被検眼Eに対する測定ユニット15のアライメントが完了すると(ステップS60でYES)、測定ユニット15による被検眼Eの眼特性の測定が実行され、測定ユニット15から解析部71に被検眼Eの眼特性の測定信号が入力される。解析部71は、測定ユニット15からの眼特性の測定信号を解析して、眼特性の測定結果を得る(ステップS70)。この被検眼Eの眼特性の測定結果は、モニタ16に表示されると共に記憶部66に記憶される。
【0097】
なお、眼特性を測定する被検眼Eの左右切替を行う場合、或いは別の被検者の被検眼Eの眼特性を測定する場合には、上記の各ステップの処理が繰り返し実行される。
【0098】
<電動駆動アライメントモード及びオートアライメントモード>
次に、図8を用いて、上記構成の第1実施形態の眼科装置10による電動駆動アライメントモード等での被検眼Eの眼特性の測定処理について説明を行う。なお、図8は、第1実施形態の眼科装置10による電動駆動アライメントモード等での被検眼Eの眼特性の測定の流れを示すフローチャートである。
【0099】
図8に示すように、最初に操作者は、既述の手動駆動アライメントモード時と同様に、被検者の顔に対する測定ユニット15のY軸方向の高さ位置を調整する。次いで、操作者は、被検眼Eに対する測定ユニット15のアライメントを電動駆動アライメント等で行う場合、眼科装置10が手動駆動アライメントモードであるか否か、すなわち、ピン挿抜部6Z,6Xが連結解除状態であるか否かを確認する。
【0100】
ピン挿抜部6Z,6Xが連結解除状態である場合(ステップS100でYES)、操作者は、ピン穴8Z,8Xの位置に対してそれぞれピン7Z,7Xの位置を手動で合わせる位置合わせ操作を開始する(ステップS110)。具体的に操作者は、操作レバー17をZ軸方向及びX軸方向に押し引き操作して、ピン挿抜部6Z,6Xをそれぞれ退避位置RZ,RXまで移動させる。本実施形態では各退避位置RZ,RXの位置を既述の通り調整することにより、Z軸ベース21をZ軸方向の移動範囲の一端まで移動させ、且つX軸ベース23をX軸方向の移動範囲の一端まで移動させるだけで、ピン穴8Z,8Xに対するピン7Z,7Xの位置合わせを行うことができる。このため、操作者は、各ピン穴8Z,8Xに対する各ピン7Z,7Xの位置合わせを容易に行うことができる。
【0101】
また、ピン挿抜部6Z,6Xが連結解除状態である場合、カメラ9Z,9Xがそれぞれ撮影を開始して、撮影画像データをそれぞれ相対位置検出部90へ出力する。これにより、相対位置検出部90は、カメラ9Zが撮影したハウジング28の上面の撮影画像データと、カメラ9Xが撮影したハウジング38の上面の撮影画像データとを取得できる(ステップS120)。
【0102】
次いで、相対位置検出部90は、カメラ9Z,9Xからそれぞれ取得した撮影画像データに含まれるピン穴8Z,8Xの位置を検出する。そして、相対位置検出部90は、ピン穴8Zの検出位置とカメラ9Zの取付位置とに基づきZ軸相対位置を検出すると共に、ピン穴8Xの検出位置とカメラ9Xの取付位置とに基づきX軸相対位置を検出する(ステップS130)。これらZ軸相対位置の検出結果及びX軸相対位置の検出結果は、相対位置検出部90から連結制御部91へそれぞれ出力される。
【0103】
Z軸相対位置の検出結果及びX軸相対位置の検出結果の入力を受けた連結制御部91は、各検出結果に基づき、ピン穴8Zに対するピン7Zの位置合わせと、ピン穴8Xに対するピン7Xの位置合わせと、がそれぞれ完了したか否かを判断する。
【0104】
操作者は、既述のステップS110において位置合わせ操作を行った後、モニタ16にて電動駆動アライメントモード等への切替操作を行う(ステップS140)。この切替操作を受けて連結制御部91は、ピン穴8Z,8Xに対するピン7Z,7Xの位置合わせが完了している場合(ステップS150)、ピン挿抜部6Z,6Xをそれぞれ連結解除状態から連結状態に切り替える(ステップS160)。これにより、電動駆動部14の電動駆動が可能となる。
【0105】
一方、連結制御部91は、ピン穴8Z,8Xに対するピン7Z,7Xの位置合わせが完了していない場合(ステップS150でNO)、ピン挿抜部6Z,6Xの連結状態への切り替えを保留すると共に、位置合わせが完了していない旨の警告表示等をモニタ16に実行させる。以下、ステップS150でYESと判定されるまで、ステップS110からステップS140までの処理が繰り返し実行される。
【0106】
電動駆動アライメントモードでは、操作者が、操作レバー17をZ軸方向及びX軸方向に傾倒操作して電動駆動部14を電動駆動することにより、測定ユニット15がZ軸方向及びX軸方向に移動される(ステップS170)。これにより、被検眼Eに対する測定ユニット15のZ軸方向の位置とX軸方向の位置とがそれぞれ調整され、被検眼Eに対する測定ユニット15のアライメントが実行される。
【0107】
また、オートアライメントモードでは、アライメント検出前の測定ユニット15の位置調整が完了すると、測定ユニット15からアライメント検出部70に対してアライメント検出用の検出信号が入力される。この検出信号の入力を受けてアライメント検出部70は、被検眼Eに対する測定ユニット15のXYZ軸の3軸方向のアライメント検出を行い、そのアライメント検出結果を移動制御部68へ出力する。そして、移動制御部68は、アライメント検出部70から入力されたアライメント検出結果に基づき、各モータ34,44,54を駆動してオートアライメントを開始する(ステップS170)。
【0108】
被検眼Eに対する測定ユニット15のアライメントが完了すると(ステップS180でYES)、既述の図7に示したステップS70と同様に、測定ユニット15による被検眼Eの眼特性の測定と、解析部71による解析とが実行されて、被検眼Eの眼特性の測定結果が得られる(ステップS190)。この被検眼Eの眼特性の測定結果は、モニタ16に表示されると共に記憶部66に記憶される。そして、眼特性を測定する被検眼Eの左右切替を行う場合、或いは別の被検者の被検眼Eの眼特性を測定する場合、上記の各ステップの処理が繰り返し実行される。
【0109】
[第1実施形態の眼科装置の効果]
以上のように、第1実施形態の眼科装置10では、ピン挿抜部6Z,6Xを連結状態と連結解除状態とに切り替えることで、電動駆動部14の電動駆動と手動駆動とを切り替えることができる。これにより、電動駆動部14の電動駆動による測定ユニット15の移動と、電動駆動部14の手動駆動による測定ユニット15の移動と、を共通の構成(電動駆動部14)で行うことができる。その結果、従来のように電動駆動により測定ユニット15を移動させる構成と、手動駆動により測定ユニット15を移動させる構成とを個別に設ける必要がなくなる。このため、電動駆動による測定ユニット15の移動と手動駆動による測定ユニット15の移動とを簡単な構成で実施することができる。さらに眼科装置10の製造コストの減少、小型化、及び重量減少という効果が得られる。
【0110】
上記第1実施形態では、各軸ベース21,23にそれぞれピン挿抜部6Z,6Xを設けると共に、ハウジング28,38にそれぞれピン穴8Z,8Xを設けているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば各軸ベース21,23にそれぞれにピン穴8Z,8Xを設けると共に、ハウジング28,38にそれぞれピン挿抜部6Z,6Xを設けてもよい。なお、後述の第2実施形態及び第3実施形態についても同様である。
【0111】
[第2実施形態の眼科装置]
次に、本発明の第2実施形態の眼科装置10について説明を行う。上記第1実施形態の眼科装置10では、手動駆動アライメントモードの設定操作に応じてピン挿抜部6Z,6Xが連結解除状態に切り替えられた場合、操作レバー17のZ軸方向及びX軸方向の押し引き操作によって、ハウジング28等及びハウジング38等をそれぞれ退避位置RZ,RXまで移動させている。これに対して第2実施形態の眼科装置10では、ピン挿抜部6Z,6Xを連結解除状態に切り替えた場合、操作レバー17のZ軸方向及びX軸方向の押し引き操作に応じて、ハウジング28等をピン挿抜部6Zに追従移動させると共に、ハウジング38等をピン挿抜部6Xに追従移動させる。
【0112】
図9は、第2実施形態の眼科装置10の制御部65の電気的構成を示すブロック図である。図9に示すように、第2実施形態の眼科装置10は、制御部65が第1実施形態とは異なる移動制御部68A、相対位置検出部90A、及び連結制御部91Aとして機能する点を除けば、上記第1実施形態の眼科装置10と基本的に同じ構成である。このため、上記第1実施形態と機能又は構成上同一のものについては、同一符号を付してその説明は省略する。
【0113】
相対位置検出部90Aは、手動駆動アライメントモードの間、カメラ9Z及びカメラ9Xからの撮影画像データの逐次取得と、各撮影画像データに基づく既述のZ軸相対位置及びX軸相対位置の逐次検出と、移動制御部68Aに対するZ軸相対位置及びX軸相対位置の検出結果の逐次出力と、を実行する。
【0114】
図10は、第2実施形態の移動制御部68A及び連結制御部91Aの制御を説明するための説明図である。移動制御部68Aは、本発明の第2移動制御部に相当する。この移動制御部68Aは、手動駆動アライメントモード時に行う制御が第1実施形態の移動制御部68とは異なる点を除けば、第1実施形態の移動制御部68と基本的に同じものである。
【0115】
図10の符号A2に示すように、手動駆動アライメントモードへの切替操作に応じてピン挿抜部6Z,6Xが連結解除状態に切り替えられると、移動制御部68Aは、相対位置検出部90AからZ軸相対位置の検出結果とX軸相対位置の検出結果とを逐次取得する。
【0116】
そして、符号B2及び符号C2に示すように、移動制御部68Aは、操作レバー17に対するZ軸方向の押し引き操作に応じてZ軸ベース21がZ軸方向に移動した場合、この移動前後でZ軸相対位置が一定(略一定を含む)に維持されるように、Z軸相対位置の検出結果に基づきZ軸モータ34を駆動してハウジング28等をZ軸方向に移動させる。例えば、Z軸相対位置の検出結果が既述のZ軸方向の位置ずれ量である場合、移動制御部68Aは、Z軸方向の位置ずれ量が既述の閾値以下の状態を維持するように、Z軸モータ34を駆動する。
【0117】
また、移動制御部68Aは、操作レバー17に対するX軸方向の押し引き操作に応じてX軸ベース23がX軸方向に移動した場合、この移動前後でX軸相対位置が一定に維持されるように、X軸相対位置の検出結果に基づき、X軸モータ44を駆動してハウジング38等をX軸方向に移動させる。これにより、Z軸方向及びX軸方向の押し引き操作がなされた場合に、ピン挿抜部6Zに対してハウジング28等を追従移動させると共に、ピン挿抜部6Xに対してハウジング38等を追従移動させることができる。
【0118】
連結制御部91Aは、モニタ16にて手動駆動アライメントモードへの切替操作がなされた場合、第1実施形態の連結制御部91と同様に、ピン挿抜部6Z,6Xを連結状態から連結解除状態に直ちに切り替える。
【0119】
一方、モニタ16にて電動駆動アライメントモード等への切替操作がなされた場合には、既述の通り、移動制御部68Aの制御の下、ハウジング28等及びハウジング38等の追従移動が実行されている。このため、連結制御部91Aは、符号D2に示すように、ピン挿抜部6Z,6Xを連結解除状態から連結状態に直ちに切り替える。
【0120】
[第2実施形態の眼科装置の作用]
<手動駆動アライメントモード>
図11は、上記構成の第2実施形態の眼科装置10による手動駆動アライメントモードでの被検眼Eの眼特性の測定の流れを示すフローチャートである。図11に示すように、ステップS30までは既述の図7で説明した第1実施形態と基本的に同じであるので、具体的な説明は省略する。
【0121】
ステップS30にてピン挿抜部6Z,6Xがそれぞれ連結解除状態に切り替えられた後、操作者は操作レバー17をZ軸方向及びX軸方向に押し引き操作して電動駆動部14を手動駆動することにより、測定ユニット15をZ軸方向及びX軸方向に移動させる(ステップS50)。これにより、被検眼Eに対する測定ユニット15のアライメントが実行される。
【0122】
この際に、カメラ9Z,9Xによる撮影がそれぞれ実行されることにより、相対位置検出部90Aは、カメラ9Zが撮影したハウジング28の上面の撮影画像データと、カメラ9Xが撮影したハウジング38の上面の撮影画像データとを逐次取得する(ステップS51)。
【0123】
次いで、相対位置検出部90Aは、カメラ9Z,9Xから取得した撮影画像データに基づき、第1実施形態と同様にZ軸相対位置及びX軸相対位置を逐次検出し、これらの検出結果を移動制御部68Aへ逐次出力する(ステップS52)。
【0124】
そして、移動制御部68Aは、相対位置検出部90Aから逐次入力されるZ軸相対位置及びX軸相対位置の検出結果が一定に維持されるように、Z軸モータ34及びX軸モータ44をそれぞれ駆動する。これにより、Z軸方向の押し引き操作がなされた場合にピン挿抜部6Zに対してハウジング28等が追従移動され、且つX軸方向の押し引き操作がなされた場合にピン挿抜部6Xに対してハウジング38等が追従移動される(ステップS53)。その結果、手動駆動アライメントモードでの被検眼Eに対する測定ユニット15のアライメントが完了した時点で(ステップS60でYES)、ピン7Z,7Xに対するピン穴8Z、8Zの位置合わせがそれぞれ完了している。
【0125】
ステップS60以降の処理は既述の図7に示した第1実施形態と同じであるので、ここでは具体的な説明は省略する。
【0126】
<電動駆動アライメントモード及びオートアライメントモード>
次に、図12を用いて、上記構成の第2実施形態の眼科装置10による電動駆動アライメントモード等での被検眼Eの眼特性の測定処理について説明を行う。
【0127】
図12に示すように、第2実施形態ではピン挿抜部6Z,6Xが連結解除状態である場合(ステップS100でYES)、既述の図11のステップS53で説明した追従移動によって、ピン穴8Z,8Xに対するピン7Z,7Xの位置合わせが完了している。このため、操作者がモニタ16にて電動駆動アライメントモード等への切替操作を行うと(ステップS140)、連結制御部91Aはピン挿抜部6Z,6Xを連結状態から連結解除状態に直ちに切り替える(ステップS160)。
【0128】
ステップS170以降の処理は既述の図8に示した第1実施形態と同じであるので、ここでは具体的な説明は省略する。
【0129】
[第2実施形態の眼科装置の効果]
以上のように、第2実施形態の眼科装置10においても、ピン挿抜部6Z,6Xを連結状態と連結解除状態とに切り替えることで、電動駆動部14の電動駆動と手動駆動とを切り替えることができるため、上記第1実施形態の眼科装置10と同様の効果が得られる。さらに、第2実施形態の眼科装置10では、手動駆動アライメントモード時に上述の追従移動を実行することで、第1実施形態よりも短時間で手動駆動アライメントモードから電動駆動アライメントモード等に切り替えることができる。
【0130】
[第3実施形態の眼科装置]
次に、本発明の第3実施形態の眼科装置10について説明を行う。上記第2実施形態の眼科装置10では、手動駆動アライメントモードの間、相対位置検出部90によりZ軸相対位置及びX軸相対位置を検出した検出結果に基づいてハウジング28,38の追従移動を行う。これに対して、第3実施形態の眼科装置10では、手動駆動アライメントモードの間はZ軸相対位置及びX軸相対位置の検出のみを行い、電動駆動アライメントモード等への切替操作に応じてハウジング28,38の移動を行う。
【0131】
図13は、第3実施形態の眼科装置10の制御部65の電気的構成を示すブロック図である。図13に示すように、第3実施形態の眼科装置10は、カメラ9Z,9Xの代わりにフォトインタラプタ94Z,94Xが設けられていると共に、制御部65が移動制御部68B、相対位置検出部90B、及び連結制御部91Bとして機能する点を除けば、上記各実施形態の眼科装置10と基本的に同じ構成である。このため、上記各実施形態と機能又は構成上同一のものについては、同一符号を付してその説明は省略する。
【0132】
フォトインタラプタ94Z(フォトカウンタともいう)は、Z軸ベース21に設けられているZ軸方向に平行なZ軸リニアスケール(不図示)を光学的に読み取る。これにより、手動駆動アライメントモード時において、Z軸ベース21がハウジング28等に対してZ軸方向に相対移動した場合に、この移動距離及び移動方向をフォトインタラプタ94Zにより検出できる。従って、フォトインタラプタ94ZによるZ軸リニアスケールの読取結果(以下、Z軸スケール読取結果という)から、既述のZ軸相対位置を検出できる。
【0133】
フォトインタラプタ94Xは、X軸ベース23に設けられているX軸方向に平行なX軸リニアスケール(不図示)を光学的に読み取る。これにより、手動駆動アライメントモード時において、X軸ベース23がハウジング38等に対してX軸方向に相対移動した場合に、この移動距離及び移動方向をフォトインタラプタ94Xにより検出できる。従って、フォトインタラプタ94XによるX軸リニアスケールの読取結果(以下、X軸スケール読取結果という)から、既述のX軸相対位置を検出できる。
【0134】
フォトインタラプタ94Z,94Xは、手動駆動アライメントモードの間、相対位置検出部90Bに対して、Z軸スケール読取結果とX軸スケール読取結果とを逐次出力する。なお、フォトインタラプタ94Z,94Xは、後述の相対位置検出部90Bと共に本発明の相対位置検出部として機能する。
【0135】
相対位置検出部90Bは、手動駆動アライメントモードの間、フォトインタラプタ94Z,94XからZ軸スケール読取結果及びX軸スケール読取結果を逐次取得し、これらの読取結果に基づきZ軸相対位置とX軸相対位置とをそれぞれ逐次検出する。そして、相対位置検出部90Bは、モニタ16にて電動駆動アライメントモード等への切替操作がなされた場合、最新のZ軸相対位置及びX軸相対位置をそれぞれ移動制御部68Bへ出力する。
【0136】
図14は、第3実施形態の移動制御部68B及び連結制御部91Bの制御を説明するための説明図である。移動制御部68Bは、本発明の第3移動制御部に相当する。この移動制御部68Bは、手動駆動アライメントモードへの切替操作に応じて行う制御と、電動駆動アライメントモード等への切替操作に応じて行う制御とが、第1実施形態の移動制御部68とは異なる点を除けば、この移動制御部68と基本的に同じである。
【0137】
図14の符号A3に示すように、手動駆動アライメントモードへの切替操作に応じてピン挿抜部6Z,6Xが連結解除状態に切り替えられると、移動制御部68Bは、Z軸モータ34及びX軸モータ44の駆動を直ちに停止する。これにより、手動駆動アライメントモードの間、ハウジング28,38の位置がそれぞれ固定される。
【0138】
符号B3に示すように、手動駆動アライメントモードの間、移動制御部68Bは、Z軸モータ34及びX軸モータ44の駆動停止を継続する。この際に、既述の相対位置検出部90Bは、フォトインタラプタ94Z,94XからのZ軸スケール読取結果及びX軸スケール読取結果の逐次取得と、Z軸相対位置及びX軸相対位置の逐次検出とを行う。
【0139】
符号C3に示すように、モニタ16にて電動駆動アライメントモード等への切替操作がなされた場合、移動制御部68Bは、相対位置検出部90Bから最新のZ軸相対位置及びX軸相対位置を取得する。そして、移動制御部68Bは、最新のZ軸相対位置及びX軸相対位置に基づき、Z軸モータ34を駆動してハウジング28等をZ軸ベース21のピン挿抜部6Zに対向する対向位置FZまで移動させる共に、X軸モータ44を駆動してハウジング38等をX軸ベース23のピン挿抜部6Xに対向する対向位置FXまで移動させる。これにより、ピン7Z,7Xに対するピン穴8Z,8Xの位置合わせをそれぞれ自動で行うことができる。
【0140】
連結制御部91Bは、モニタ16にて手動駆動アライメントモードへの切替操作がなされた場合、上記各実施形態の連結制御部91,91Aと同様に、ピン挿抜部6Z,6Xを連結状態から連結解除状態に直ちに切り替える。
【0141】
一方、モニタ16にて電動駆動アライメントモード等への切替操作がなされた場合には、既述の移動制御部68Bの制御の下、ハウジング28,38がそれぞれ対向位置FZ,FXまで移動される。このため、連結制御部91Bは、符号D3に示すように、ハウジング28、38がそれぞれ対向位置FZ,FXまで移動された場合に、ピン挿抜部6Z,6Xを連結解除状態から連結状態に切り替える。
【0142】
[第3実施形態の眼科装置の作用]
<手動駆動アライメントモード>
図15は、上記構成の第3実施形態の眼科装置10による手動駆動アライメントモードでの被検眼Eの眼特性の測定の流れを示すフローチャートである。図15に示すように、ステップS50までは既述の図11で説明した第2実施形態と基本的に同じであるので、具体的な説明は省略する。
【0143】
なお、ステップS10にて手動駆動アライメントモードへの切替操作がなされると、フォトインタラプタ94ZによるZ軸リニアスケール(不図示)の読み取りと、フォトインタラプタ94XによるX軸リニアスケール(不図示)の読み取りとが開始される。
【0144】
ステップS50での押し引き操作に応じて測定ユニット15がZ軸方向及びX軸方向に移動される際に、相対位置検出部90Bは、フォトインタラプタ94Z,94XからZ軸スケール読取結果とX軸スケール読取結果とを逐次取得する(ステップS51A)。また、相対位置検出部90Bは、逐次取得したZ軸スケール読取結果及びX軸スケール読取結果に基づき、Z軸相対位置とX軸相対位置とをそれぞれ逐次検出する(ステップS52A)。
【0145】
以下、被検眼Eに対する測定ユニット15のアライメントが完了するまで、相対位置検出部90BによるZ軸スケール読取結果及びX軸スケール読取結果の取得と、Z軸相対位置及びX軸相対位置の検出とが繰り返し実行される(ステップS60でNO)。これにより、相対位置検出部90Bは、手動駆動アライメントモードの間において、最新のZ軸相対位置及びX軸相対位置を常時取得することができ、その結果、ピン7Z,7Xの位置を追跡することができる。
【0146】
被検眼Eに対する測定ユニット15のアライメントが完了(ステップS60でYES)した後の処理は、既述の図7に示した第1実施形態と同じであるので、ここでは具体的な説明は省略する。
【0147】
<電動駆動アライメントモード及びオートアライメントモード>
図16は、上記構成の第3実施形態の眼科装置10による電動駆動アライメントモード等での被検眼Eの眼特性の測定処理の流れを示すフローチャートである。図16に示すように、ステップS140までは既述の図12で説明した第2実施形態と基本的に同じであるので、具体的な説明は省略する。
【0148】
ステップS140にて電動駆動アライメントモード等への切替操作が行われると、相対位置検出部90Bは、既述のステップS52A(図15参照)で取得した最新のZ軸相対位置及びX軸相対位置をそれぞれ移動制御部68Bへ出力する。
【0149】
相対位置検出部90Bから最新のZ軸相対位置及びX軸相対位置の検出結果の入力を受けた移動制御部68Bは、これらZ軸相対位置及びX軸相対位置に基づき、Z軸モータ34及びX軸モータ44を駆動して、ハウジング28等及びハウジング38等をそれぞれ既述の対向位置FZ,FXまで移動させる(ステップS141)。これにより、ピン7Z,7Xに対するピン穴8Z,8Xの位置合わせがそれぞれ自動的に実行される。
【0150】
そして、ピン7Z,7Xに対するピン穴8Z,8Xの位置合わせが完了すると、連結制御部91Bは、ピン挿抜部6Z,6Xを連結解除状態から連結状態に切り替える(ステップS161)。
【0151】
なお、ステップS170以降の処理は既述の図8に示した第1実施形態と同じであるので、ここでは具体的な説明は省略する。
【0152】
[第3実施形態の眼科装置の効果]
以上のように、第3実施形態の眼科装置10においても、ピン挿抜部6Z,6Xを連結状態と連結解除状態とに切り替えることで、電動駆動部14の電動駆動と手動駆動とを切り替えることができるため、上記第1実施形態の眼科装置10と同様の効果が得られる。さらに第3実施形態の眼科装置10では、手動駆動アライメントモード時において最新のZ軸相対位置及びX軸相対位置を逐次検出することで、電動駆動アライメントモード等への切替操作が行われた場合に、ハウジング28,38をそれぞれ対向位置FZ,FXまで自動で移動させることができる。その結果、第1実施形態よりも短時間で電動駆動アライメントモード等への切り替えを行うことができる。
【0153】
なお、上記第3実施形態において、手動駆動アライメントモードへの切替操作がなされた場合に、上記第1実施形態と同様に、ハウジング28,38をそれぞれ退避位置RZ,RXまで自動で移動させてもよい。この場合、相対位置検出部90Bは、退避位置RZ,RXに移動したピン穴8Z,8Xを基準として、Z軸相対位置及びX軸相対位置の検出を行う。
【0154】
[第4実施形態の眼科装置]
図17は、第4実施形態の眼科装置10の構成、特に電磁石96Z,96Xを説明するための説明図である。上記各実施形態では、ピン挿抜部6Z,6Xを連結状態と連結解除状態とに切り替えることで、電動駆動部14を電動駆動と手動駆動とに切り替えているが、第4実施形態では電磁石96Z,96Xを用いて電動駆動部14の電動駆動と手動駆動との切り替えを行う。
【0155】
なお、第4実施形態は、電動駆動部14の電動駆動と手動駆動とを切り替える構成以外の構成については上記第1実施形態と基本的に同じであるので、上記第1実施形態と機能又は構成上同一のものについては、同一符号を付してその説明は省略する。
【0156】
図17に示すように、Z軸ベース21の下面にはストッパ98Zが設けられている。また、X軸ベース23の下面にはストッパ98Xが設けられている。
【0157】
ストッパ98Zは、Z軸ベース21、X軸駆動部24、X軸ベース23、及びY軸駆動部25を介して、測定ユニット15と一体にZ軸方向に移動する。また、ストッパ98Xは、X軸ベース23及びY軸駆動部25を介して、測定ユニット15と一体にX軸方向に移動する。そして、ストッパ98Zは、ハウジング28の側面に対向するハウジング対向側面を有すると共に、ストッパ98Xは、ハウジング38の側面に対向するハウジング対向側面を有する。
【0158】
電磁石96Zは、ストッパ98Zのハウジング28に対向する対向面に設けられ、電磁石96Xは、ストッパ98Xのハウジング38に対向する対向面に設けられている。一方、ハウジング28のストッパ98Zに対向する対向面には、電磁石96Zに対向する位置に磁性体97Zが設けられ、ハウジング38のストッパ98Xに対向する対向面には、電磁石96Xに対向する位置に磁性体97Xが設けられている。これら磁性体97Z,97Xは、本発明の被連結部に相当するものであり、例えば永久磁石が用いられる。
【0159】
電磁石96Zは、連結状態では磁性体97Zとの間で磁気による引力を発生することで磁性体97Zと連結し、電磁石96Xは、連結状態では磁性体97Xとの間で磁気による引力を発生することで磁性体97Xと連結する。これにより、電磁石96Z、磁性体97Z、及びストッパ98Zを介して、Z軸ベース21とハウジング28とが連結される。また、電磁石96X、磁性体97X、及びストッパ98Xを介して、X軸ベース23とハウジング38とが連結される。
【0160】
一方、電磁石96Z,96Xは、それぞれ連結解除状態では上述の磁気による引力の発生を停止させる。これにより、Z軸ベース21とハウジング28との連結が解除されると共に、X軸ベース23とハウジング38との連結が解除される。
【0161】
第4実施形態の制御部65は、第1実施形態と同様の演算処理部67の他に、移動制御部68C及び連結制御部91Cとして機能する。
【0162】
移動制御部68Cは、手動駆動アライメントモードへの切替操作に応じて行う制御と、電動駆動アライメントモード等への切替操作に応じて行う制御とが、第1実施形態の移動制御部68とは異なる点を除けば、この移動制御部68と基本的に同じである。
【0163】
具体的に移動制御部68Cは、手動駆動アライメントモードへの切替操作に応じて、Z軸モータ34を駆動してハウジング28等を退避位置TZ(図18参照)まで移動させると共に、X軸モータ44を駆動してハウジング38等を退避位置TX(図18参照)まで移動させる。後述の図18に示すように、退避位置TZは、Z軸方向の押し引き操作に応じてZ軸ベース21と一体に移動するストッパ98Zの移動範囲外に設定され、退避位置TXは、X軸方向の押し引き操作に応じてX軸ベース23と一体に移動するストッパ98Xの移動範囲外に設定される。
【0164】
また、移動制御部68Cは、電動駆動アライメントモード等への切替操作に応じて、Z軸モータ34を駆動してハウジング28等をストッパ98Zに向けて移動させると共に、X軸モータ44を駆動してハウジング38等をストッパ98Xに向けて移動させる。
【0165】
連結制御部91Cは、手動駆動アライメントモードへの切替操作に応じて、電磁石96Z,96Xを連結状態(磁性体97Xとの間で磁気による引力を発生する状態)に切り替える。また、連結制御部91Cは、電動駆動アライメントモード等への切替操作に応じて、電磁石96Z,96Xを連結解除状態(上述の磁気による引力の発生を停止した状態)に切り替える。
【0166】
[第4実施形態の眼科装置の作用]
<手動駆動アライメントモード>
次に、第4実施形態の眼科装置10による手動駆動アライメントモードでの被検眼Eの眼特性の測定の流れを説明する。なお、この測定の流れを示すフローチャートは、既述の図7に示した第1実施形態のフローチャートと基本的に同じであるので、図示は省略する。また、図18は、第4実施形態の移動制御部68C及び連結制御部91Cの制御を説明するための説明図である。
【0167】
図18の符号A4に示すように、電動駆動アライメントモード等では、電磁石96Z,96Xがそれぞれ連結状態になっているので、Z軸ベース21とハウジング28とが連結されていると共に、X軸ベース23とハウジング38とが連結されている。
【0168】
そして、図7のステップS10からステップS30に示すように、モニタ16にて手動駆動アライメントモードへの切替操作がなされると、連結制御部91Cは、電磁石96Z,96Xを連結解除状態に切り替える。これにより、Z軸ベース21とハウジング28との連結が解除されると共に、X軸ベース23とハウジング38との連結が解除される。
【0169】
次いで、図7のステップS40及び図18の符号B4に示すように、移動制御部68Cは、Z軸モータ34を駆動してハウジング28等を退避位置TZまで移動させると共に、X軸モータ44を駆動してハウジング38等を退避位置TXまで移動させる。これにより、手動駆動アライメントモード時において、Z軸方向の押し引き操作によりZ軸ベース21及びストッパ98ZをZ軸方向に自由に移動できると共に、X軸方向の押し引き操作によりX軸ベース23及びストッパ98XをX軸方向に自由に移動できる。
【0170】
なお、連結制御部91Cは、電磁石96Z,96Xを連結解除状態に切り替える場合に、電磁石96Z,96Xを制御して、電磁石96Z,96Xと磁性体97Z,97Xとの間に磁気による反発力を発生させてもよい。これにより、電磁石96Z,96Xと磁性体97Z,97Xとを確実に分離させることができる。また、手動駆動アライメントモード時にZ軸ベース21及びストッパ98Zがハウジング28に向けて勢いよく移動されたり、或いはX軸ベース23及びストッパ98Xがハウジング38に向けて勢いよく移動されたりしても、ストッパ98Zのハウジング28への衝突と、ストッパ98Xのハウジング38への衝突とが防止される。
【0171】
これ以降の処理(図7のステップS50以降の処理)は、既述の第1実施形態と同じであるので、具体的な説明は省略する。
【0172】
<電動駆動アライメントモード及びオートアライメントモード>
図19は、上記構成の第4実施形態の眼科装置10による電動駆動アライメントモード等での被検眼Eの眼特性の測定処理の流れを示すフローチャートである。なお、図19のステップS140までは既述の図12で説明した第2実施形態等と基本的に同じであるので、具体的な説明は省略する。
【0173】
図19のステップS140,S143に示すように、モニタ16にて電動駆動アライメントモード等への切替操作がなされると、連結制御部91Cは、電磁石96Z,96Xをそれぞれ連結状態に切り替える。
【0174】
次いで、図18の符号C4及び図19のステップS144に示すように、移動制御部68Cは、Z軸モータ34を駆動してハウジング28等をストッパ98Zに向けて移動させると共に、X軸モータ44を駆動してハウジング38等をストッパ98Xに向けて移動させる。これにより、図19のステップS145に示すように、ハウジング28の磁性体97Zが電磁石96Zに近接すると両者が連結されると共に、ハウジング38の磁性体97Xが電磁石96Xに近接すると両者が連結される。
【0175】
なお、ストッパ98Z,98Xの位置が不明であったとしても、ストッパ98Zはハウジング28の移動経路上に位置し、且つストッパ98Xはハウジング38の移動経路上に位置している。このため、ハウジング28,38の移動を継続することで、電磁石96Z,96Xと磁性体97Z,97Xとを確実に連結させることができる。
【0176】
さらに、ストッパ98Z,98Xの各対向面、及びハウジング28,38の各対向面をそれぞれ精度良く加工することにより、ハウジング28、38とストッパ98Z,98Xとをそれぞれ連結した際の再現性を保つことができる。その結果、連結後のZ軸モータ34の駆動パルスとZ軸ベース21との位置関係、及びX軸モータ44の駆動パルスとX軸ベース23との位置関係がそれぞれずれることが防止される。
【0177】
なお、ステップS170以降の処理は既述の上記各実施形態(図8図12、及び図16参照)と同じであるので、ここでは具体的な説明は省略する。
【0178】
[第4実施形態の眼科装置の効果]
以上のように、第4実施形態の眼科装置10においても、電磁石96Z,96Xを連結状態と連結解除状態とに切り替えることで、電動駆動部14の電動駆動と手動駆動とを切り替えることができるため、上記第1実施形態の眼科装置10と同様の効果が得られる。
【0179】
なお、上記第4実施形態では、ストッパ98Z,98Xにそれぞれ電磁石96Z,96Xを設けると共に、ハウジング28,38にそれぞれ磁性体97Z,97Xを設けているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えばストッパ98Z,98Xにそれぞれ磁性体97Z,97Xを設けると共に、ハウジング28,38に電磁石96Z,96Xを設けてもよい。
【0180】
[第5実施形態の眼科装置]
図20は、第5実施形態の眼科装置10の構成、特にリンク機構100Z,100Xを説明するための説明図である。上記各実施形態ではピン挿抜部6Z,6X又は電磁石96Z,96Xを用いて電動駆動部14を電動駆動と手動駆動とに切り替えているが、第5実施形態ではリンク機構100Z,100Xを用いて電動駆動部14の電動駆動と手動駆動との切り替えを行う。
【0181】
なお、第5実施形態は、電動駆動部14の電動駆動と手動駆動とを切り替える構成以外の構成は、上記第1実施形態と基本的に同じであるので、上記第1実施形態と機能又は構成上同一のものについては、同一符号を付してその説明は省略する。
【0182】
図20に示すように、Z軸ベース21の下面にはリンク機構100Zの取付部101Zが設けられている。また、X軸ベース23の下面にはリンク機構100Xの取付部101Xが設けられている。取付部101Zは、Z軸ベース21、X軸駆動部24、X軸ベース23、及びY軸駆動部25を介して、測定ユニット15と一体にZ軸方向に移動する。また、取付部101Xは、X軸ベース23及びY軸駆動部25を介して、測定ユニット15と一体にX軸方向に移動する。
【0183】
リンク機構100Zは、その一端が取付部101Zを介してZ軸ベース21の下面に回転自在に取り付けられ、その他端がハウジング28の上面に回転自在に取り付けられており、Z軸ベース21とハウジング28とを連結する。また、リンク機構100Xは、その一端が取付部101Xを介してX軸ベース23の下面に回転自在に取り付けられ、その他端がハウジング38の上面に回転自在に取り付けられており、X軸ベース23とハウジング38とを連結する。これにより、リンク機構100Zの一端が測定ユニット15と一体にZ軸方向に移動すると共に、リンク機構100Xの一端が測定ユニット15と一体にX軸方向に移動する。また、リンク機構100Zの他端がハウジング28と一体にZ軸方向に移動すると共に、リンク機構100Xの他端がハウジング38と一体にX軸方向に移動する。
【0184】
なお、取付部101Z,101Xを介さずに、リンク機構100Zの一端をZ軸ベース21の下面に取り付けると共に、リンク機構100Xの一端をX軸ベース23の下面に取り付けてもよい。
【0185】
リンク機構100Z,100Xは、関節103を介して相互に揺動自在に連結された複数のリンク部材104により構成されている。具体的にリンク機構100Z,100Xは、一端が取付部101Z,101Xに取り付けられたリンク部材104の他端と、一端がハウジング28,38に取り付けられたリンク部材104の他端とが関節103を介して揺動自在に連結された構造を有している。
【0186】
リンク機構100Zの関節103には、この関節103を駆動するアクチュエータ105Zが接続されている。また、リンク機構100Xの関節103には、この関節103を駆動するアクチュエータ105Xが接続されている。これらアクチュエータ105Z,105Xは、本発明のリンク機構駆動部に相当するものであり、例えば不図示のパルスモータ及び駆動伝達機構により構成されている。アクチュエータ105Z,105Xは、リンク機構100Z,100Xを連結状態と連結解除状態とに切り替える。
【0187】
また、リンク機構100Zの関節103には、この関節103の角度を検出する角度検出センサ106Zが設けられ、リンク機構100Xの関節103には、この関節103の角度を検出する角度検出センサ106Xが設けられている。各角度検出センサ106Z,106Xは、本発明の角度検出部に相当する。そして、各角度検出センサ106Z,106Xの角度検出結果は、制御部65(後述の連結制御部91D)へ出力される。
【0188】
図21は、連結状態のリンク機構100Z,100Xを説明するための説明図である。また、図22は、連結解除状態のリンク機構100Z,100Xを説明するための説明図である。
【0189】
図21に示すように、アクチュエータ105Z,105Xは、各角度検出センサ106Z,106Xから角度検出結果の入力を受けた後述の連結制御部91Dの制御の下、連結状態では関節103を予め定めた基準角度θに調整してから固定する。これにより、Z軸モータ34の駆動によりハウジング28等がZ軸方向に移動されると、リンク機構100Z及び取付部101Zを介してZ軸ベース21が一体にZ軸方向に移動し、さらにこのZ軸ベース21上にある測定ユニット15等がZ軸方向に一体に移動する。また、X軸モータ44の駆動によりハウジング38等がX軸方向に移動されると、リンク機構100X及び取付部101Xを介してX軸ベース23が一体にX軸方向し、さらにこのX軸ベース23上にある測定ユニット15等がX軸方向に一体に移動する。
【0190】
図22に示すように、アクチュエータ105Z,105Xは、連結解除状態では関節103の固定を解除する。これにより、リンク機構100ZがZ軸方向に伸縮自在となると共に、リンク機構100XがX軸方向に伸縮自在となる。このため、ハウジング28等に対するZ軸ベース21及び測定ユニット15等のZ軸方向の相対移動が許容されると共に、ハウジング38等に対するX軸ベース23及び測定ユニット15等のX軸方向の相対移動が許容される。これにより、上記各実施形態と同様に電動駆動部14の手動駆動が可能となる。
【0191】
図20に戻って、第5実施形態の制御部65は、第1実施形態と同様の演算処理部67の他に、移動制御部68D及び連結制御部91Dとして機能する。
【0192】
移動制御部68Dは、手動駆動アライメントモードへの切替操作に応じて直ちにZ軸モータ34及びX軸モータ44の駆動を停止する点を除けば、第1実施形態の移動制御部68と基本的に同じである。
【0193】
連結制御部91Dは、手動駆動アライメントモードへの切替操作に応じて、アクチュエータ105Z,105Xをそれぞれ駆動して、リンク機構100Z,100Xをそれぞれ連結解除状態(図22参照)に切り替える。また、連結制御部91Dは、電動駆動アライメントモード等への切替操作に応じて、各角度検出センサ106Z,106Xの角度検出結果に基づき、アクチュエータ105Z,105Xをそれぞれ駆動して、リンク機構100Z,100Xをそれぞれ連結状態(図21参照)に切り替える。
【0194】
[第5実施形態の眼科装置の作用]
<手動駆動アライメントモード>
図23は、上記構成の第5実施形態の眼科装置10による手動駆動アライメントモードでの被検眼Eの眼特性の測定の流れを示すフローチャートである。
【0195】
図23のステップS10,S20に示すように、モニタ16にて手動駆動アライメントモードへの切替操作がなされると、連結制御部91Dは、アクチュエータ105Z,105Xを駆動して関節103の固定を解除することで、リンク機構100Z,100Xを連結解除状態に切り替える(ステップS35)。これにより、ハウジング28に対するZ軸ベース21等のZ軸方向の相対移動と、ハウジング38に対するX軸ベース23のX軸方向の相対移動とがそれぞれ可能となるので、電動駆動部14の手動駆動が可能になる。
【0196】
これ以降(ステップS50以降)の処理は、既述の第1実施形態と同じであるので、具体的な説明は省略する。
【0197】
<電動駆動アライメントモード及びオートアライメントモード>
図24は、上記構成の第4実施形態の眼科装置10による電動駆動アライメントモード等での被検眼Eの眼特性の測定処理の流れを示すフローチャートである。なお、図24のステップS140までは既述の第2実施形態(図12参照)等と基本的に同じであるので、具体的な説明は省略する。
【0198】
図24のステップS140に示すように、モニタ16にて電動駆動アライメントモード等への切替操作がなされると、各角度検出センサ106Z,106Xがそれぞれ関節103の角度の検出を行い、関節103の角度検出結果を連結制御部91Dへ出力する(ステップS146)。
【0199】
各角度検出センサ106Z,106Xからそれぞれ関節103の角度検出結果の入力を受けた連結制御部91Dは、各角度検出結果に基づき、アクチュエータ105Z,105Xを駆動して、関節103を予め定めた基準角度θに調整してから固定する。これにより、リンク機構100Z,100Xが連結状態に切り替えられる(ステップS147)。その結果、リンク機構100Zを介して、Z軸ベース21及び測定ユニット15等とハウジング28とが一体にZ軸方向に移動可能な状態になる。また、リンク機構100Xを介して、X軸ベース23及び測定ユニット15等とハウジング38とが一体的にX軸方向に移動可能な状態になる。
【0200】
なお、各リンク機構100Z,100Xの関節103を基準角度θに調整してから固定する方法はアクチュエータ105Z,105Xを駆動する方法に限定されない。例えば、各関節103の角度検出結果に基づき、移動制御部68DによりZ軸モータ34及びX軸モータ44をそれぞれ駆動して、ハウジング28等をZ軸方向に相対移動させると共に、ハウジング38等をX軸方向に相対移動させることで、各関節103を基準角度θに調整してもよい。この場合には、アクチュエータ105Z,105Xの代わりに、各関節103の固定と固定解除とをそれぞれ切替可能なロック機構(リンク機構駆動部)を設けて、各関節103が基準角度θに調整された後で各関節103をロック機構により固定する。
【0201】
[第5実施形態の眼科装置の効果]
以上のように、第5実施形態の眼科装置10においても、リンク機構100Z,100Xを連結状態と連結解除状態とに切り替えることで、電動駆動部14の電動駆動と手動駆動とを切り替えることができるため、上記第1実施形態の眼科装置10と同様の効果が得られる。
【0202】
さらに第5実施形態では、リンク機構100Z,100Xを連結状態に切り替えた場合、すなわち関節103の角度を基準角度θに調整した場合、ハウジング28と取付部101ZとのZ軸方向の位置関係、及びハウジング38と取付部101XとのX軸方向の位置関係をそれぞれ一定に保つことができる。このため、手動駆動アライメントモードから電動駆動アライメントモード等に切り替えた場合であっても、Z軸モータ34の駆動パルスとZ軸ベース21との位置関係、及びX軸モータ44の駆動パルスとX軸ベース23との位置関係が、先の電動駆動アライメントモード等からずれることが防止される。
【0203】
[第6実施形態の眼科装置]
上記各実施形態の眼科装置10は、電動駆動アライメントモードに切り替えられている場合、操作レバー17のZ軸方向及びX軸方向の傾倒角度の大きさに応じて、測定ユニット15のZ軸方向及びX軸方向の粗動と微動とを切り替える。この際に、手動駆動型の従来の装置では、測定ユニット15の粗動を、本実施形態の手動駆動アライメントモード時と同様に操作レバー17に対するZ軸方向及びX軸方向(水平方向)の押し引き操作で行うのが通常である。このため、上記各実施形態の眼科装置10は、電動駆動アライメントモード時に測定ユニット15を粗動させる操作方法が従来の装置とは異なっているため、操作者に違和感を与えるおそれがある。
【0204】
そこで、第6実施形態の眼科装置10では、電動駆動アライメント駆動モードに切り替えられている場合、操作レバー17に対するZ軸方向及びX軸方向の押し引き操作に応じて測定ユニット15をZ軸方向及びX軸方向に電動で粗動する粗動制御を行う。なお、第6実施形態の眼科装置10は、上記第1実施形態の眼科装置10と基本的に同じ構成であるので、上記第1実施形態と機能又は構成上同一のものについては、同一符号を付してその説明は省略する。
【0205】
図25は、第6実施形態の眼科装置10のハウジング28,38及びナット32,42の拡大図である。図25に示すように、ハウジング28及びナット32の双方のZ軸方向において互いに対向する対向面の間には、Z軸方向の押し引き操作に伴うZ軸方向の圧力の変化を検出するZ軸圧力センサ60が設けられている。また、ハウジング38及びナット42の双方のX軸方向において互いに対向する対向面の間には、X軸方向の押し引き操作に伴うX軸方向の圧力の変化を検出するX軸圧力センサ61が設けられている。
【0206】
なお、各圧力センサ60,61は、操作レバー17の他に、測定ユニット15、Z軸ベース21、X軸ベース23、及びY軸駆動部25の少なくともいずれかに対するZ軸方向及びX軸方向の押し引き操作が行われた場合に、この押し引き操作に伴う圧力の変化を検出する。
【0207】
図26は、第6実施形態の眼科装置10の制御部65の電気的構成を示すブロック図である。図26に示すように、第6実施形態の制御部65は、第1実施形態とは異なる移動制御部68Eとして機能する点を除けば、第1実施形態の制御部65と基本的に同じ構成である。
【0208】
移動制御部68Eは、電動駆動アライメントモード時に、操作レバー17等に対する押し引き操作に応じて電動駆動部14を電動駆動して、測定ユニット15のZ軸方向及びX軸方向の粗動を行う点を除けば、第1実施形態の移動制御部68と同じである。この移動制御部68Eは、電動駆動アライメントモード時において、各圧力センサ60,61のいずれかで検出される圧力の正負及び絶対値に基づき、各モータ34,44のいずれかの駆動を制御する粗動制御を開始する。
【0209】
具体的に、移動制御部68は、各圧力センサ60,61のいずれかにより検出された圧力の正負に応じて押し引き操作のZ軸方向又はX軸方向の操作方向を決定すると共に、この圧力の絶対値の大きさに応じて測定ユニット15の移動速度を決定する。そして、移動制御部68は、決定した操作方向及び移動速度に従って、各モータ34,44のいずれかを駆動することにより、測定ユニット15を押し引き操作に対応した方向及び速度に従って粗動させる。
【0210】
なお、移動制御部68Eは、各圧力センサ60,61のいずれかにより検出された圧力の絶対値の大きさが予め定めた閾値未満である場合、測定ユニット15のZ軸方向及びX軸方向の粗動制御を停止する。これにより、操作者が誤って操作レバー17を傾倒操作した場合であっても測定ユニット15が微動することはない。従って、電動駆動アライメントモード時には、操作者が操作レバー17の傾倒操作又は回転操作を行うことで、測定ユニット15のXYZ軸方向の各軸方向の微動を行うことができる。
【0211】
[第6実施形態の効果]
以上のように第6実施形態の眼科装置10では、電動駆動アライメントモード時において、水平方向の押し引き操作、すなわち従来の操作レバー17の水平移動操作と同等の操作により測定ユニット15を粗動させることができる。また、電動駆動部14により測定ユニット15を電動移動させることができるので、測定ユニット15が重量物であったとしても操作者の負担になることが防止される。さらに、この際には、電動駆動部14に各圧力センサ60,61を設けるだけでよいので、簡単な構成で実現できる。その結果、操作者に違和感を与えない測定ユニット15の粗動に係る操作を簡単な構成で実現することができる。
【0212】
なお、上記第2実施形態から第5実施形態の眼科装置10においても、上記第6実施形態と同様に各圧力センサ60,61を設ける共に、各圧力センサ60,61の検出結果に基づき電動駆動部14を電動駆動することで、上記第6実施形態と同様の効果が得られる。
【0213】
[その他]
電動駆動部14の電動駆動と手動駆動とを切り替える本発明の連結部として、上記第1実施形態から第3実施形態ではピン挿抜部6Z,6Xを用い、上記第4実施形態では電磁石96Z,96Xを用い、上記第5実施形態ではリンク機構100Z,100Xを用いているが、本発明はこれらに限定されるものでなく、各種連結部を用いてよい。例えば上記第1実施形態から第3実施形態等において、磁性体を少なくとも一部に含むハウジング28,38に対して電磁石又は永久磁石を当接(近接)させたり離間させたりすることによって電動駆動部14の電動駆動と手動駆動とを切り替えてもよい。
【0214】
なお、上記第1実施形態及び第2実施形態では、カメラ9Z及びカメラ9Xにてそれぞれ撮影された撮影画像データに基づき、相対位置検出部90がZ軸相対位置及びX軸相対位置を検出しているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、上記第3実施形態と同様にフォトインタラプタ94Z,94Xを用いてY軸相対位置及びX軸相対位置の検出を行ってもよい。また、上記第3実施形態においてフォトインタラプタ94Z,94Xを用いる代わりに他の方法でZ軸相対位置及びX軸相対位置を検出してもよい。すなわち、上記各実施形態においてZ軸相対位置及びX軸相対位置を検出する方法は、公知の各種方法を用いることができる。
【0215】
上記各実施形態では、各軸ベース21,23に対してハウジング28,38をそれぞれ解除可能に連結させているが、各軸ベース21,23に対してナット32,42をそれぞれ解除可能に連結させてもよい。
【0216】
上記各実施形態では、測定ユニット15のZ軸方向及びX軸方向の移動を電動と手動とに切り替え可能にしているが、測定ユニット15のY軸方向の移動についても電動と手動とに切り替え可能にしてもよい。
【0217】
上記各実施形態では、ハウジング28をZ軸方向に移動させ且つハウジング38をX軸方向に移動させる駆動源として各モータ34,44等を例に挙げて説明したが、公知の各種駆動源を用いてもよい。
【0218】
上記各実施形態では、Y軸方向の下方から上方に向かって、Z軸駆動部22及びZ軸ベース21と、X軸駆動部24及びX軸ベース23と、Y軸駆動部25とが設けられているが、これらの順番は適宜変更してもよい。また、電動駆動部14が測定ユニット15をXYZ軸の各軸方向に移動させる構成は、図1等に示した構成に限定されるものではなく、任意に変更してもよい。
【0219】
上記各実施形態では、電動駆動部14により測定ユニット15が本体ベース12に対してXYZ軸の各軸方向に移動自在に保持されている場合について説明したが、これら各軸方向の少なくともいずれか一方向に移動自在に保持されている場合についても本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0220】
6Z,6X…ピン挿抜部,7Z,7X…ピン,8Z,8X…ピン穴,9Z,9X…カメラ,10…眼科装置,12…本体ベース,14…電動駆動部,15…測定ユニット,17…操作レバー,22…Z軸駆動部,24…X軸駆動部,28,38…ハウジング,32,42…ナット,60…Z軸圧力センサ,61…X軸圧力センサ,65…制御部,68…移動制御部,90…相対位置検出部,91…連結制御部,96Z,96X…電磁石,97Z,97X…磁性体,100Z,100X…リンク機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
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図17
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図19
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図21
図22
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図26