特許第6830837号(P6830837)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6830837
(24)【登録日】2021年1月29日
(45)【発行日】2021年2月17日
(54)【発明の名称】計量器及び充填計量方法
(51)【国際特許分類】
   G01G 23/37 20060101AFI20210208BHJP
【FI】
   G01G23/37 D
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-50958(P2017-50958)
(22)【出願日】2017年3月16日
(65)【公開番号】特開2018-155532(P2018-155532A)
(43)【公開日】2018年10月4日
【審査請求日】2020年1月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000208444
【氏名又は名称】大和製衡株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090310
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 正俊
(72)【発明者】
【氏名】井上 博嘉
(72)【発明者】
【氏名】三田尾 健司
【審査官】 谷垣 圭二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−199001(JP,A)
【文献】 特開平11−142227(JP,A)
【文献】 特開平07−280631(JP,A)
【文献】 特開平09−257552(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0000390(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G 23/37
G01G 19/62
G01G 13/02
G01G 13/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
載台と、
前記載台の上方に配置され、前記載台への被計量物品の載荷を前記載台上の風袋への被計量物品の充填として作業者の操作によって行う複数の充填手段であって、それぞれの充填量が異なる複数の充填手段と、
少なくとも2つの異なる色のうち1つの色を表示可能な色表示手段と、
前記色表示手段を前記計量信号の値に基づいて制御する制御手段とを、
有し、前記制御手段は、
前記複数の充填手段が同時に前記充填を行っている状態において、前記計量信号が予め定めた目標重量よりも小さく定めた少なくとも1つの切換重量を超えると、前記複数の充填手段の内少なくとも1つの充填手段を停止する操作を指示するように、前記色表示手段を第1の色で点灯または点滅させ、
前記目標重量と前記切換重量との間に、前記目標重量との差が前記切換重量との差よりも小さく定めた停止重量を前記計量信号が超えたとき、前記複数の充填手段の全てを停止する操作を指示するように、前記色表示手段を第2の色で点灯または点滅させ、
前記計量信号が前記目標重量を超えたとき、前記色表示手段に、前記第1及び第2の色の表示とは異なる表示をさせて充填が完了したことを報知する
計量器。
【請求項2】
請求項2記載の計量器において、前記作業者の前記複数の充填手段全ての停止のタイミングの習性に応じて、前記停止重量を修正する修正手段を有する計量器。
【請求項3】
載台の上方に配置され、充填量がそれぞれ異なる複数の充填手段から同時に計量器の載台上の風袋に手動操作によって充填される被計量物品の重量を前記計量器の計量手段によって計量し、前記計量信号が予め定めた目標重量よりも小さく定めた少なくとも1つの切換重量を超えると、少なくとも2つの異なる色のうち1つの色を表示可能な色表示手段が第1の色で点灯または点滅するのに従って、前記複数の充填手段のうち、少なくとも1つの充填手段を停止させる段階と、
前記目標重量及び前記切換重量との間に前記目標重量との差が前記切換重量との差よりも小さく定めた停止重量を前記計量信号が超えたとき、前記色表示手段の第2の色での点灯または点滅に従って前記複数の充填手段を全て停止させる段階と、
前記計量信号が前記目標重量を超えたとき、前記色表示手段に、前記第1及び第2の色の表示とは異なる表示をさせて充填が完了したことを報知する段階とを、
有する充填計量方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計量器及び台秤を使用した充填計量方法に関する。
【背景技術】
【0002】
計量器には、例えば作業員が一定量の被計量物品を袋や容器等の風袋に詰める作業に使用されるものがあり、その一例が特許文献1に開示されている。特許文献1の計量器では、計量皿上に複数個のジャガイモのような個体が被計量物品として載荷されて、その重量が予め定めた下限値未満の場合には、被計量物品が軽量であると判定されて、多色LEDが赤色に点灯され、被計量物品の重量が予め定めた上限値よりも大きい場合には、過量であると判定されて多色LEDが黄色に点灯され、被計量物品の重量が下限値以上で上限値以下の場合には、適量であると判定されて多色LEDが青色に点灯される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−175624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の計量器を利用して、計量皿上に供給する被計量物品を順次増加させて予め定めた重量に被計量物品を測り取ることがある。例えば粉体または粒体のような粉粒体を被計量物品として計量皿上の容器や袋のような風袋に連続的に一定の供給量で供給して、予め定めた重量の粉粒体が風袋に収容されると、粉粒体の供給を停止することが考えられる。この場合、予め定めた重量として上記の下限値を使用し、作業員は、多色LEDの表示が赤色の場合には粉粒体の供給を継続し、多色LEDの表示が青色になると粉粒体の供給を停止する。しかし、多色LEDが赤色から青色に変化した時点で供給を停止しても、その瞬間に風袋に向かって落下している粉粒体が存在し、これが風袋内に収容される。その結果、供給停止後も風袋内に粉粒体が収容されるので、風袋内の粉粒体重量が下限値をかなり超えることがある。風袋に予め定めた重量の粉粒体を収容する場合、予め定めた重量に非常に近い重量とすることが生産者としては望ましい。このために、例えば下限値よりも小さく切換値を定めておき、切換値に粉粒体の供給量が到達していない間には、多色LEDを赤で点滅し、切換値を粉粒体の供給量が超えたとき、多色LEDを赤で点灯させ、この点灯に多色LEDが変化したときから粉粒体の供給流量を徐々に減少させ、多色LEDが青色に点灯したときに、供給を停止することが考えられる。この場合、供給を停止したときの供給流量は減少しているので、供給停止後に風袋内に収容される粉粒体の重量が少なくなり、比較的予め定めた重量に近い重量の粉粒体を風袋内に収容することができる。しかし、これでも青色が点灯したときに供給を停止するので、下限値よりも多くの粉粒体が容器に収容される点は改善できない。この点は、粉粒体以外の被計量物品においても、計量皿上に順次増加させて供給して計量する場合に生じる。
【0005】
本発明は、被計量物品の供給停止の適切なタイミングを視覚的に作業員に知らせることができる計量器及び充填計量方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の計量器は、載台を有し、載台に載荷される被計量物品が手動で順次増加させられる。被計量物品としては、載台への単位時間当たりの供給流量を制御できる粒体、粉体または液体を使用することができるし、載台への単位時間当たりの供給流量を制御不能な個体物、例えば果物や野菜等を使用することもできる。被計量物品の載荷は、前記載台の上方に配置された複数の充填手段が行う。複数の充填手段は、前記載台への前記被計量物品の載荷を前記載台上の風袋への被充填物品の充填として作業員の操作によって行うもので、それぞれの充填量が異なる。前記載台に載荷された前記被計量物品の重量を表す計量信号を計量手段が生成する。少なくとも2つの異なる色のうち1つの色を表示可能な色表示手段が設けられている。少なくとも2色の表示が1つでできるものをこの色表示手段として使用することもできるし、それぞれが異なる色を表示する少なくとも2つの表示手段を色表示手段として使用することもできる。制御手段は、前記色表示手段を前記計量信号の値に基づいて制御する。前記制御手段は、前記複数の充填手段が同時に前記充填を行っている状態において、前記計量信号が予め定めた目標重量よりも小さく定めた少なくとも1つの切換重量を超えると、前記複数の充填手段のうち少なくとも1つの充填手段を停止する操作を指示するように、前記色表示手段を第1の色で点灯及び点滅の一方で表示させ、前記目標重量と前記切換重量との間に、前記目標重量との差が前記切換重量との差よりも小さく定めた停止重量を前記計量信号が超えたとき、前記複数の充填手段の全てを停止する操作を指示するように、前記色表示手段を第2の色で点灯または点滅させ、前記計量信号が前記目標重量を超えたとき、前記色表示手段に、前記第1及び第2の色の表示とは異なる表示をさせて充填が完了したことを報知する。なお、切換重量を異なる値で複数設定することもできる。また、前記計量信号が少なくとも1つの切換重量を超える前には、第1の色で点灯及び点滅の他方で表示させることもできるし、第1及び第2の色と異な色で点灯または点滅させることもできる。
【0007】
このように構成された計量器では、作業員が被計量物品の載台への供給を複数の充填手段で同時に開始し、載台上の被計量物品の重量は順次増加する。計量信号が切換重量を超えると、色表示手段の表示は第1の色での点灯及び点滅の一方となる。なお、切換重量を超える前、色表示手段での表示は、第1の色での点灯または点滅の他方、または第1及び第2の色と異なる色での点灯または点滅である。第1の色での点灯または点滅によって作業員は複数の充填手段のうち少なくとも1つの充填手段を停止し、載台への被計量物品の供給量を今までの供給量よりも少なくする。これによって、載台上の被計量物品の重量は増加を継続するが、増量分は減少する。やがて、計量信号が停止重量を超えると、色表示手段は第2の色で点灯または点滅する。この表示に従って、作業員は、複数の充填手段の全てを停止して、載台上への被計量物品の供給を停止する。供給を停止した後も、既に載台に向かっている被計量物品は載台上に供給されるので、載台上の被計量物品は増加し、計量信号も増加する。この計量信号が目標重量を超えると、色表示手段の表示は第1及び第2の色の表示とは異なる表示となる。停止重量は、切換重量との差よりも目標重量との差が小さく設定されているので、目標重量に近い重量となり、この目標重量に近い停止重量を計量信号が超えた時点で、増量分を減少させた供給量から供給停止することによって、目標重量を大きく超えた被計量物品が載台上に供給されることなく、ほぼ目標重量の被計量物品を載台上に供給しやすくなる。即ち、供給停止とするタイミングを作業員が把握することができるので、ほぼ目標重量の被計量物品を載台上に供給しやすくなる。しかも、充填手段が載台の上方にあり、充填手段を停止した後も、落差分の被計量物品の充填が行われるので、第2の色の点灯または点滅の効果は顕著である。また、水道の蛇口のように、バルブを閉じるにつれて被計量物の供給が減少するような場合でも、第2の色の点灯または点滅の効果が顕著である。
【0009】
更に、前記作業員の前記複数の充填手段全ての停止のタイミングの習性に応じて、前記停止重量を修正する修正手段を設けることもできる。第2の色の点灯または点滅時に充填手段による充填を停止するとしても、作業員の習性によって停止のタイミングは異なる。例えば第2の色の点灯または点滅後に遅れて停止させる作業員もいれば、第2の色の点灯または点滅前に見込みで停止させる作業員もいる。そのため最終的に風袋に充填される被計量物品の重量は作業員によって異なる。風袋に充填される被計量物品の重量は、どの作業員が行っても目標重量に非常に近いことが望ましい。そこで、作業員ごとに作業員の習性を、例えば統計的に把握して、充填手段の停止が遅い作業員の場合には停止重量を本来の値よりも小さな値に修正手段によって修正し、充填手段の停止を第2の色の点灯または点滅前に行う作業員の場合には停止重量を本来の値よりも大きな値に修正手段によって修正し、どの作業員が充填作業を行っても、風袋に充填される被計量物品の重量を目標重量に近づけるようにする。
【0010】
本発明の他の態様の充填計量方法では、載台の上方に配置され、充填量がそれぞれ異なる複数の充填手段から同時に計量器の載台上の風袋に手動操作によって充填される被計量物品の重量を前記計量器の計量手段によって計量し、前記計量信号が予め定めた目標重量よりも小さく定めた少なくとも1つの切換重量を超えると、少なくとも2つの異なる色のうち1つの色を表示可能な色表示手段が第1の色で点灯または点滅するのに従って、前記複数の充填手段のうち、少なくとも1つの充填手段を停止させる。次に、前記目標重量及び前記切換重量との間に前記目標重量との差が前記切換重量との差よりも小さく定めた停止重量を前記計量信号が超えたとき、前記色表示手段の第2の色での点灯または点滅に従って前記複数の充填手段を全て停止させる。そして、前記計量信号が前記目標重量を超えたとき、前記色表示手段に、前記第1及び第2の色の表示とは異なる表示をさせて充填が完了したことを報知する。
【0011】
この充填計量方法では、第2の色での点灯または点滅によって、既に充填量を減少させている充填手段を停止させるので、落差分を簡単に減少させることができ、目標重量を大きく超えた被計量物品が載台上の風袋に充填されることなく、ほぼ目標重量の被計量物品を風袋に充填しやすくなる。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明によれば、被計量物品の供給停止の適切なタイミングを視覚的に作業員に知らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の1実施形態の計量器のブロック図と概略構成図である。
図2図1の計量器の制御部が行う制御のフローチャートである。
図3図1の計量器の充填波形図である。
図4図1の計量器の停止重量の修正の説明図である。
図5図1の計量器の変形例における充填波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の1実施形態の計量器は、図1(b)に示すような台秤であって、載台2を有している。載台2は、ベース4内に配置された計量手段、例えば同図(a)に示す重量センサ6によって支持されている。載台2上には、例えば容器または袋のような風袋8が配置される。この風袋8よりも上方に位置するように載台2の上方に容器、例えばタンク10が配置され、その内部には、例えば粉体、粒体または液体のような流動物が収容されている。タンク10には、複数の充填手段、例えば2つのバルブ12、14が設けられている。バルブ12は、単位時間当たりの流動物の流量が大きい大バルブで、バルブ14は、単位時間当たりの流動物の流量が、バルブ12よりも小さい小バルブである。これらバルブ12、14は、作業員が手動操作することによって、流動物を風袋8に異なった流量で供給することができる。例えば大バルブ12及び小バルブ14の両方を開いて、大流量で流動物を風袋8に充填したり、小バブル14のみによって小流量で風袋8に充填したりする。なお、大バルブ12及び小バルブ14を共に閉じても、その時点で既に大バルブ12や小バルブ14から風袋8に向かって落下している流動物は、風袋8に落差分として供給される。この台秤は、上述した大バルブ12及び小バルブ14を作業員が手動操作して、予め定めた目標重量、例えば下限重量wLの流動物を風袋8内に充填するために使用される。
【0015】
風袋8に供給された流動物の重量は、重量センサ6によって検出され、その重量を表す計量信号は、図1(a)に示すように制御部16に供給される。制御部16には、操作手段、例えば操作部18と、表示手段、例えば表示部20とが設けられている。表示部20は、大バルブ12、小バルブ14の操作によって流動物が風袋8内に充填されている最中には、例えば風袋8内に充填されている流動物の重量を制御部16からの指示に従って表示する。また、このような充填作業が行われる前に、操作部18の操作によって設定される種々の設定値が、その設定時に表示部20に制御部16によって表示される。
【0016】
設定値としては、図3に示すように、例えば上述した大バルブ12及び小バルブ14両方からの充填から、大バルブ12を閉じて小バルブ14のみによる充填へ切り換える切換重量w1と、小バルブ14のみによる充填から充填停止に切り替える停止重量w2と、上述した下限重量wLとが、ある。これら設定値は、作業員が操作部18を操作することによって任意に制御部16に設定される。図3から明らかなように下限重量wLよりも切換重量w1は小さく、停止重量w2は、下限重量wLと切換重量w1との間にあり、下限重量wLとの差が、切換重量w1との差よりも小さい。即ち、下限重量wLに近い値に停止重量w2は設定されており、特に、上述した落差分を想定し、この落差分だけ下限重量wLから減算した値に設定されている。
【0017】
風袋8内の流動物の充填重量がどのような状況にあるかを表示するために、少なくとも3つの色表示手段、例えば発色が異なる3つの表示灯、具体的にはLED22、24、26を有する色表示部28が制御部18に接続されている。LED22は、第3の色、例えば青色を表示可能なもので、下限重量wL以上の流動物が風袋8に充填されたときに青色で点灯するように制御部16によって制御される。LED24は、第1の色、例えば赤色で表示可能なもので、切換重量w1よりも風袋8内の充填重量が小さい場合には赤色で点滅し、風袋8内の充填重量が切換重量w1を超えた場合には、赤色で点灯するように、制御部16によって制御される。LED26は、第2の色、例えば緑色で表示可能なもので、風袋8内の充填重量が停止重量w2を超えた場合に緑色で点灯するように、制御部16によって制御される。
【0018】
なお、図1(b)に示すように、操作部18、表示部20及び色表示部28は、操作表示部30に設けられ、この操作表示部30は、支柱32を介してベース4に支持されている。制御部16はベース4内または操作表示部30内に設けられている。
【0019】
制御部16は、図2のフローチャートに示すように、重量センサ6によって得られた風袋8内の流動物の充填重量に従って各LED22、24、26を制御する。即ち、制御部16は、所定のサンプリング期間が経過するごとに、内蔵するA/D変換器によって重量センサ6からの計量信号をデジタル化してデジタル計量値を得て、このデジタル計量値から予め定めた風袋8のデジタル重量値を減算して、即ち風袋引きを行って、風袋8内に現在充填されている流動物のデジタル充填重量(以下、充填重量Wと称する。)を得る。この充填重量Wが得られるごとに、図2のフローチャートで示す処理を実行する。
【0020】
まず、充填重量Wが予め定めた切換重量w1よりも小さいか制御部16が判断する(ステップS2)。この判断の答えがイエスの場合、赤色のLED24を点滅させ(ステップS4)、この処理を終了する。ステップS2の判断の答えがノーの場合、制御部16は、充填重量Wが切換重量w1以上であって、停止重量w2より小さいか判断する(ステップS6)。この判断の答えがイエスの場合、制御部16は、赤色のLED24を点灯させ(ステップS8)、この処理を終了する。ステップS6の判断の答えがノーの場合、制御部16は、充填重量Wが停止重量w2以上であって、下限値wLよりも小さいか判断する(ステップS10)。この判断の答えがイエスの場合、制御部16は緑色のLED26を点灯させ(ステップS12)、この処理を終了する。ステップS10の判断の答えがノーの場合、制御部16は、青色のLED22を点灯させ(ステップS14)、この処理を終了する。
【0021】
このようにLED22、24、26を制御部16が制御するので、このLED22、24、26の表示に従って、次のように作業員は、大バルブ12、小バルブ14を操作することができる。充填開始時には、大バルブ12、小バルブ14を開く。このとき、図3に示すように最も大きい流量で流動物が風袋8に充填され、赤色のLED24が点滅している。やがて、充填重量Wが切換重量w1以上となると、赤色のLED24は点滅から点灯に変化するので、これを見て作業員は大バルブ12を閉じて、小バルブ14のみで充填を継続する。これによって流動物の流量が減少した状態で、充填が継続される。そして、充填重量Wが停止重量w2以上になると、緑色のLED26が点灯するので、これを見て作業員は小バルブ14を閉じる。これによって大バルブ12、小バルブ14が共に閉じられ、落差分の流動物が風袋8に充填され、充填重量Wが下限値wL以上になると、青色のLED22が点灯する。これによって下限値wLに非常に近い重量の流動物が風袋8に充填される。
【0022】
このように、下限重量wLより小さく、かつ近い値に停止重量w2を設定し、この停止重量w2を充填重量Wが超えると、緑色のLED26が点灯することにより、小バルブ14を閉じることを指示しているので、充填重量Wが下限重量wLを超えた時に小バルブ14を閉じる場合よりも最終的に風袋8に充填される流動物の重量を下限重量wLに近づけることができる。
【0023】
大バルブ12、小バルブ14は共に手動によって開閉されるので、緑色のLED26の点灯と同時に小バルブ14を閉じることはできず、例えば図4(a)に示すように実際には時間遅れtが生じる。この時間遅れtの経過後、落差時間tdの間に落差分Wdの流動物が風袋8に充填される。落差時間td、落差分Wdが一定であるとしても、時間遅れtは作業員の習性によって異なり、短い作業員もいれば長い作業員もいる。同図(a)に示すように時間遅れtが長い作業員の場合、最終的に風袋8に充填される流動物の重量は下限重量wLをかなり超えたものとなる。
【0024】
そこで、特定の作業員が例えば何回か試験的に各LED22、24、26の表示の変化に従う充填を繰り返し、最終的な充填重量Wと下限重量wLとの差の平均値または中央値を求め、この平均値または中央値だけ停止重量w2から減算した修正停止重量w2を決定し、操作部18を操作して、この修正停止重量w2を制御部16に設定する。このように操作部18は、修正手段としても機能する。このように停止重量w2を修正すると、特定の作業員がバルブ12、14を操作する場合、その作業員の習性に応じて、図4(b)に示すように、緑色のLED26が点灯するタイミングが速くなり、特定の作業員が、その修正に応じたタイミングで小バルブ14を閉じても、下限重量wLに非常に近い重量の流動物を風袋8に充填することができる。この停止重量w2の修正は、作業員ごとに行うことが望ましい。また、見込みで緑色のLED26が点灯する前に小バルブ14を閉じる作業員もある。この場合、上記と同様にして、下限重量wLを大きく修正すればよい。
【0025】
たとえば、停止重量w2が19.95であり、下限重量wLが20.00であるときに、下限重量wLの5目量多い20.05となったときに小バルブを閉じることの多い作業者向きには、最終的な充填重量Wである20.05から、下限重量である20.00を減算して得た値である0.05を、停止重量w2である19.95から減算して、通常の停止重量w2より0.05だけ速い19.90を、修正停止重量w2として設定する。
【0026】
逆に、図示はしていないが、下限重量wL及び停止重量w2の条件が同じである場合に、最終的な充填重量Wが下限重量wLに満たない場合、たとえば、下限重量wLの1目量手前の19.99で小バルブを閉じることの多い作業者向きには、最終的な充填重量Wである19.99を、下限重量wLである20.00から減算して得た値である0.01を、停止重量w2である19.95に増加して、通常の停止重量w2より0.01だけ遅い19.96を、修正停止重量w2として設定する。
【0027】
以上のように、停止重量w2になったことを確認してから小バルブを閉じるのに要する時間が速いか遅いかといった作業者の習性に応じて、下限重量wLに非常に近い量の充填が可能となる。
【0028】
上記の実施形態では、台秤に本発明を実施したが、他の計量器に本発明を実施することもできる。また、上記の実施形態では、大小バルブ12、14を備えたタンク10によって風袋8に流動物を充填したが、バルブ12、14を使用せずに、風袋8に充填することもでき、例えばタンク10に開閉ゲートを設置し、その開口度を変化させる。また、被計量物品として流動物を使用したが、これに限ったものでなく、非流動の固形物を順次風袋8に載荷することもできる。
【0029】
上記の実施形態では、充填重量Wが切換重量w1よりも小さいときに赤色のLED24を点滅させて、充填重量Wが切換重量w1を超えたとき赤色のLED24を点灯させたが、逆に充填重量Wが切換重量w1よりも小さいときに赤色のLED24を点灯させて、充填重量Wが切換重量w1を超えたとき赤色のLED24を点滅させてもよい。或いは、充填重量Wが切換重量を超えるまで、赤、青及び緑以外の色のLEDを別途設け、これを点灯または点滅させてもよい。また充填重量Wが停止重量w2を超えたとき緑色のLED26を点灯させたが、点滅させてもよいし、充填重量Wが下限重量wLを超えたとき青色のLED22を点灯させたが、点滅させてもよい。また、充填重量Wが停止重量w2を超えたとき緑色のLED26を点灯させ、下限重量wLを超えたとき青色のLED22を点灯させたが、逆に充填重量Wが停止重量w2を超えたとき青色のLED22を点灯させ、下限重量wLを超えたとき緑色のLED26を点灯させてもよい。3つのLED22、24、26を使用したが、これらに代えて1つのLEDで異なる色で発光可能な多色LEDを1つだけ使用することもできる。また、各LED22、24、26が発光する色は、青、赤、緑としたが、それぞれの発光色が異なる3つのLEDを使用することもできるし、LED以外の発光素子を使用することもできる。
【0030】
上記の実施形態では、切換重量を1つだけ設けたが、例えば図5に示すように、切換重量w1の他に、w1よりも小さい切換重量w11を設け、充填重量Wが新たな切換重量w11より小さいときには赤のLED24を点滅させて、大バルブ12、小バルブ14を共に開とすることを指示し、充填重量Wが切換重量w11とw1との間にあるときには赤のLED24を点灯させて、大バルブ12を開、小バルブ14を閉とすることを指示し、充填重量Wが切換重量w1と停止重量w2との間にあるときには緑色のLED26を点滅させて、大バルブ12を閉、小バルブ14を開とすることを指示し、充填重量Wが停止重量w2と下限重量wLとの間にあるときには、緑色のLED26を点灯させて、大バルブ12、小バルブ14を共に閉とすることを指示し、充填重量Wが下限重量wLを超えると、青色のLED22を点灯させて、下限重量wLを超える充填重量Wの流動物が風袋8に充填されたことを報知するように制御部16を構成することもできる。さらに、緑色のLED26の点滅に代えて、赤、青及び緑以外の色のLEDを新たに追加して、これを点灯させることもできる。また、大バルブ12、小バルブ14以外に、これらの中間の流量の中バルブを新たに設けて、充填重量Wが切換重量w11より小さいとき、大バルブ12のみで充填し、充填重量Wが切換重量w11とw1との間にあるとき、中バルブのみで充填し、充填重量Wが切換重量w1と停止重量w2との間にあるとき、小バルブ14のみで充填し、充填重量Wが停止重量w2を超えると、小バルブ14を閉じるようにすることもできる。即ち、バルブの設置数は大小の2台に限ったものではない。
【符号の説明】
【0031】
2 載台
6 計量センサ(計量手段)
12 14 バルブ(充填手段)
16 制御部(制御手段)
18 操作部(操作手段)
24 26、28 LED(色表示手段)
図1
図2
図3
図4
図5