(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6830897
(24)【登録日】2021年1月29日
(45)【発行日】2021年2月17日
(54)【発明の名称】粘着ラベル製造装置
(51)【国際特許分類】
B41J 11/66 20060101AFI20210208BHJP
B26D 5/00 20060101ALI20210208BHJP
B26D 7/06 20060101ALI20210208BHJP
【FI】
B41J11/66
B26D5/00 F
B26D7/06 Z
【請求項の数】14
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2017-546021(P2017-546021)
(86)(22)【出願日】2015年11月19日
(65)【公表番号】特表2017-536274(P2017-536274A)
(43)【公表日】2017年12月7日
(86)【国際出願番号】EP2015077168
(87)【国際公開番号】WO2016079273
(87)【国際公開日】20160526
【審査請求日】2018年6月6日
(31)【優先権主張番号】102014223628.2
(32)【優先日】2014年11月19日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】202014009169.2
(32)【優先日】2014年11月19日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102015200033.8
(32)【優先日】2015年1月5日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】517176401
【氏名又は名称】ツェーエーヴェーエー シュティフトゥンク ウント コー.カーゲーアーアー
【氏名又は名称原語表記】CEWE STIFTUNG & CO. KGAA
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(74)【代理人】
【識別番号】100119415
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 充
(72)【発明者】
【氏名】シュッツ、ペーター
【審査官】
松林 芳輝
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−178107(JP,A)
【文献】
特開平09−174899(JP,A)
【文献】
特開2003−104598(JP,A)
【文献】
特開2000−187775(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J11/00−11/70
B41J5/00−5/52
B41J21/00−21/18
B26D 7/06
B26D 5/00−5/42
B65H37/00−37/06
B65H45/00−45/30
B65H23/18−23/198
B65H26/00−26/08
B41J 3/20
B41J 2/32
B41J 2/325
B65H 7/00−7/20
B65H43/00−43/08
G03B17/48−17/55
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
例えばドラッグストアのとりわけセルフサービスエリアにおいて粘着ラベルを製造する装置であって、
該装置(1)は、
・ユーザによる入力データの入力を可能にするよう適合された入力装置(8)、
・ユーザの入力データに基づいてパターン(15)を生成するパターン生成手段(9)、但し、該パターン(15)は切断パターン及び該切断パターンの内部のプリントパターンを含む、
・プリントパターンを粘着フィルム(14)にプリントするプリンタ(11)、
・切断パターンに沿って粘着フィルム(14)を切断する切断装置(13)、
・プリントされた粘着フィルム(以下「プリント粘着フィルム」という)(14)をプリンタ(11)から切断装置(13)に自動的に移送する移送装置(12)、但し、該移送装置(12)はプリント粘着フィルム(14)を順方向においてプリンタ(11)から切断装置(13)へ自動的に移動する第1移動ユニット(16)を含む、及び、
・プリント粘着フィルム(14)のプリンタ(11)から切断装置(13)への自動的移送を制御する制御装置(10)
を含み、
切断装置(13)は、該切断装置(13)の内部においてプリント粘着フィルム(14)を移動する第2移動ユニット(18)を有し、
第2移動ユニット(18)は、プリント粘着フィルム(14)を切断装置内において順方向及び逆方向に移動するよう適合されており、
プリンタ(11)は、粘着フィルムのプリント領域にプリントパターンをプリントし、当該プリント領域を切り取り、該切り取ったプリント領域をプリント粘着フィルム(14)として移送装置(12)に供給するよう適合されている、
装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、
プリンタ(11)、移送装置(12)及び切断装置(13)は、粘着フィルム(14)が順方向においてプリンタ(11)から移送装置(12)を介して切断装置(13)へ直動可能であるように配置されており、
移送装置(12)は、プリント粘着フィルム(14)を回転させることなく並進運動のみ実行することにより、順方向においてプリント粘着フィルム(14)を移動するよう適合されている、
装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の装置において、
制御装置(10)は、最初に、プリント粘着フィルム(14)を第2移動ユニット(18)へ移動するよう第1移動ユニット(16)のみが作動され、次に、該2つの移動ユニット(16、18)が同期的にプリント粘着フィルム(14)を更に切断装置(13)内へ移動するよう該2つの移動ユニット(16、18)が作動されるように、該2つの移動ユニット(16、18)を制御するよう適合されている、
装置。
【請求項4】
請求項3に記載の装置において、
移送装置(12)は、プリント粘着フィルム(14)が第1移動ユニット(16)によって切断装置(13)の方向へ移動される距離を測定する測定ユニット(19)を更に含み、
制御装置(10)は、測定された距離がプリント粘着フィルム(14)の第2移動ユニット(18)への移動が完了したことを示すまで、プリント粘着フィルム(14)が切断装置(13)の方向へ前進されるように、第1移動ユニット(16)を制御するよう適合されている
装置。
【請求項5】
請求項4に記載の装置において、
測定ユニット(19)は、プリンタ(11)がプリント粘着フィルム(14)を移送装置(12)内へ案内した距離を測定するようにも適合されており、
制御装置(10)は、測定された距離全体がプリント粘着フィルム(14)の第2移動ユニット(18)への移動が完了したことを示すまで、プリント粘着フィルム(14)が切断装置(13)の方向へ前進されるように、第1移動ユニット(16)を制御するよう適合されている、
装置。
【請求項6】
請求項5に記載の装置において、
第1移動ユニット(16)は、順方向において空転するモータ駆動型ローラ(20)を有し、
測定ユニット(19)は、プリンタ(11)がプリント粘着フィルム(14)を移送装置(12)内へ移動した距離を測定するために、プリント粘着フィルム(14)がプリンタ(11)から移送装置(12)内へ移動されるとき、前記ローラ(20)の受動的空転的回転(passive freewheeling rotation)を測定するよう適合されている、
装置。
【請求項7】
請求項1〜6の何れかに記載の装置において、
第2移動ユニット(18)は、プリント粘着フィルム(14)を切断装置(13)へ移動するためのモータ駆動型ローラ(21)を含む、但し、モータ駆動型ローラ(21)は空転しない、
装置。
【請求項8】
請求項1〜7の何れかに記載の装置において、
移送装置(12)は、第2移動ユニット(18)がプリント粘着フィルム(14)を移送装置(12)の方向へ後進させるとき、第1移動ユニット(16)のそばを通過するようプリント粘着フィルム(14)を案内するよう調整されている案内ユニット(22)を含む、
装置。
【請求項9】
請求項8に記載の装置において、
案内ユニット(22)は、第2移動ユニット(18)がプリント粘着フィルム(14)を移送装置(12)の方向へ後進させるとき、第1移動ユニット(16)の下側でプリント粘着フィルム(14)を案内するよう調整されている、
装置。
【請求項10】
請求項1〜9の何れかに記載の装置において、
移送装置は、プリント粘着フィルム(14)が移送装置(12)へ供給される時点を検出する粘着フィルム検出ユニット(19)を有し、
制御装置(10)は、粘着フィルム(14)が供給されたことが検出されてから予め設定された期間が経過するまでは第1移動ユニット(16)がプリント粘着フィルム(14)を切断装置(13)の方向へ移動させないように、第1移動ユニット(16)を制御するよう適合されている、
装置。
【請求項11】
請求項1〜10の何れかに記載の装置において、
第1移動ユニット(16)は、プリント粘着フィルム(14)を移動するための、切断装置(13)の方向において空転するモータ駆動型ローラ(20)を含む、
装置。
【請求項12】
請求項10及び11に記載の装置において、
プリンタ(11)と移送装置(12)は、プリンタ(11)から移送装置(12)へ供給されたプリント粘着フィルム(14)が第1移動ユニット(16)の空転ローラ(20)を空転させるように適合されており、
粘着フィルム検出ユニット(19)は、第1移動ユニット(16)のローラ(20)の回転を検出することにより、粘着フィルム(14)が供給される時点を検出するよう適合されている、
装置。
【請求項13】
例えばドラッグストアのとりわけセルフサービスエリアにおいて粘着ラベルを製造する方法であって、
該方法は、以下の工程:
・ユーザに入力データを入力装置(8)を用いて入力させること、
・ユーザの入力データに基づきパターン(15)をパターン生成手段(9)によって生成すること、但し、該パターン(15)は切断パターン及び該切断パターンの内部のプリントパターンを含む、
・プリントパターンを粘着フィルム(14)にプリンタ(11)によってプリントすること、
・プリント粘着フィルム(14)をプリンタ(11)から切断装置(13)に移送装置(12)を用いて自動的に移送すること、但し、移送装置(12)の第1移動ユニット(16)はプリント粘着フィルム(14)を順方向においてプリンタ(11)から切断装置(13)へ自動的に移動し、プリント粘着フィルム(14)のプリンタ(11)から切断装置(13)への自動的移送は制御装置(10)によって制御されること、及び、
・粘着フィルム(14)を切断パターンに沿って切断装置(13)によって切断すること
を含み、
切断装置(13)は、該切断装置(13)の内部においてプリント粘着フィルム(14)を移動する第2移動ユニット(18)を有し、
第2移動ユニット(18)は、プリント粘着フィルム(14)を切断装置内において順方向及び逆方向に移動し、
プリンタ(11)は、粘着フィルムのプリント領域にプリントパターンをプリントし、当該プリント領域を切り取り、該切り取ったプリント領域をプリント粘着フィルム(14)として移送装置(12)に供給する、
方法。
【請求項14】
例えばドラッグストアのとりわけセルフサービスエリアにおいて粘着ラベルを製造するためのコンピュータプログラムであって、
該コンピュータプログラムは、請求項1に記載の粘着ラベルの製造装置(1)を制御する制御装置(10)において該コンピュータプログラムが実行されるとき請求項13に記載の粘着ラベルの製造方法が実行されるように該製造装置(1)を制御するよう適合されているプログラムコードを含む、
コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着ラベルを製造するための装置、方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近頃は、ユーザは、インターネットで例えばシャワージェルや日焼け止めクリームのような商品を選択し、その商品をパーソナライズするために該商品に適用されるべきパターンをデザインすることができる。選択された商品はデザインされたパターンと一緒にプリント工場に送られ、そこで、ユーザによってデザインされたパターンが粘着フィルムにプリントされる。プリント工場の作業員(従業員)は、プリントされた粘着フィルムをプリンタから取り出して切断装置に装填する。更に、作業員は、粘着ラベルを製造するために切断装置がプリントされたパターンの切断のアウトラインに沿って切断する前に、プリントされた粘着フィルムを切断装置において位置合せする。そして、作業員は、このようにして製造されたラベルを選択された商品に貼り付け、その後、選択された商品はユーザに郵送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】US 6 408 132 B1
【特許文献2】JP H11 320993 A
【特許文献3】JP H02 196278 A
【特許文献4】EP 0 947 341 A1
【特許文献5】WO 2010/009354 A1
【特許文献6】US 6 209 435 B1
【特許文献7】US 2014/126947 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
粘着ラベルは、とりわけ作業員による不可欠な調整作業に起因する切断エラーを伴うことがあり、その結果、ラベルの品質の低下が起こり得る。
【0005】
従って、本発明の目的は、このように製造される粘着ラベルの品質の改善が可能な、粘着ラベルの製造のための装置、方法及びコンピュータプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、以下の構成要素を含む、粘着ラベルの製造装置によって達成される:
・ユーザによる入力データの入力を可能にするよう適合(構成)された入力装置、
・ユーザの入力データに基づいてパターンを生成するパターン生成手段、但し、該パターンは切断パターン及び該切断パターンの内部のプリントパターンを含む、
・プリントパターンを粘着フィルムにプリントするプリンタ、
・切断パターンに沿って粘着フィルムを切断する切断装置、
・プリントされた粘着フィルム(以下「プリント粘着フィルム」という)をプリンタから切断装置に自動的に移送する移送装置、但し、該移送装置はプリント粘着フィルムを順方向においてプリンタから切断装置へ自動的に移動する第1移動ユニットを含む、及び、
・プリント粘着フィルムのプリンタから切断装置への自動的移送を制御する制御装置。
この製造装置においては、更に、切断装置は、該切断装置の内部においてプリント粘着フィルムを移動する第2移動ユニットを有し、
第2移動ユニットは、プリント粘着フィルムを切断装置内において順方向及び逆方向に移動するよう適合されて
おり、
プリンタは、粘着フィルムのプリント領域にプリントパターンをプリントし、当該プリント領域を切り取り、該切り取ったプリント領域をプリント粘着フィルムとして移送装置に供給するよう適合されている。
【発明を実施するための形態】
【0007】
製造装置は、かくして、プリンタ、移送装置及び切断装置を含み、プリンタは粘着フィルムに対しプリントを行い、その後、移送装置は粘着フィルムを切断装置へ自動的に案内し、切断装置において、粘着フィルムは、粘着ラベルを製造するための切断パターンに沿って切断される。プリント粘着フィルムはプリンタから切断装置へ自動的に移送されるため、切断装置の内部における粘着フィルムの配向は分かっているので、切断装置の内部における粘着フィルムの手動の(手作業の)調整(位置合せ)は必ずしも必要ではなく、その結果、エラーの発生を減少することができる、即ち、不正確な切断の可能性を小さくすることができ、従って、より品質の高い粘着ラベルを製造することができる。
【0008】
入力装置、パターン生成手段、プリンタ、移送装置及び切断装置は、更に、粘着ラベルを製造するための同じ装置に組み込まれている。従って、ユーザは例えばドラッグストアのセルフサービスエリアで直接に(その場で)データを入力することができ、その後、パターン生成装置はユーザ入力データに基づいてパターンを生成し、プリンタは生成されたパターンを粘着フィルムにプリントし、プリントされた粘着フィルム(「プリント粘着フィルム」)は移送装置によって切断装置へ自動的に案内され、切断装置は粘着フィルムを切断パターンに沿って切断し、以って、粘着ラベルをセルフサービスエリアで直接に(その場で)製造することができる。かくして、製造装置は、ユーザ入力データを用いて、比較的迅速なプロセスで、パーソナライズされた粘着ラベルを製造することができる。
【0009】
プリンタと切断装置は、互いに対し離隔配置されたユニットであることが好ましい。プリンタと切断装置は、一体化されないことが好ましい。移送装置は、当該移送装置がプリント粘着フィルムをプリンタから切断装置へ自動的に移送することができるよう、プリンタと切断装置の間に配置されることが好ましい。移送装置は、プリンタとも切断装置とも一体化されないことが好ましい。とりわけ、切断装置と移送装置は、プリンタと一体化されておらず、従って、プリンタの部分ではないこと、が好ましい。
【0010】
以下において、プリンタから移送装置を介して切断装置へ向かう方向を順方向と称する。プリンタ、移送装置及び切断装置は、粘着フィルムが順方向においてプリンタから移送装置を介して切断装置へ直動可能であるように配置されていることが好ましく、移送装置は、プリント粘着フィルムを回転させることなく並進運動のみ実行することにより、順方向においてプリント粘着フィルムを移動するよう適合(構成)されていることが好ましい。移送装置は粘着フィルムを回転させることなく並進運動のみ実行することによりプリント粘着フィルムを移動するため、切断装置内におけるプリント粘着フィルムの不正確な調整(位置合せ)の可能性従って不正確な切断の可能性は更に低減される。この切断精度(正確性)を更に改善するために、パターン生成手段は、プリント粘着フィルムが配向マーキングを有するようにパターンを配向マーキングでマーキングするよう適合(構成)されることが可能であり、切断装置は、プリント粘着フィルム上の配向マーキングを検出する検出ユニットを有し、切断が実行される前に、検出された配向マーキングに基づいて、切断装置の内部におけるプリント粘着フィルムの配向を最適化するよう適合(構成)されることができる。とりわけ、プリント粘着フィルムを切断装置の内部で順方向及び逆方向に移動させる切断装置の第2移動ユニットと、それ(順方向及び逆方向)に対して横方向に、とりわけそれ(順方向及び逆方向)に対して直交方向に移動可能な切断装置の切断ユニットは、切断が実行される前に、配向マーキングに対する切断ユニットの位置が予め定められた位置により良好に対応するように制御されることができる。このようにして、切断精度は更に改善可能である。
【0011】
プリント粘着フィルムはプリンタから切断装置へ自動的にかつ比較的正確に供給されるため、プリント粘着フィルム上の複数の配向マーキングに基づく自動再位置決めは、精度に関する限りでは、一般的には更なる利点をもたらさない。このため、このような再位置決めは、好ましい一実施形態では、ただ1つの配向マーキングに基づいてのみ実行される。 尤も、他の実施形態では、複数の配向マーキングを使用してもよい。或いは、再位置決めは省略されてもよいが、この場合、プリント粘着フィルムは配向マーキングを有していなくてもよいであろう。配向マーキングは、好ましくはプリント粘着フィルムのコーナー領域に配置されるL字型構造を含むことが好ましい。
【0012】
検出ユニットは、プリント粘着フィルムを照射するための光源、とりわけレーザと、プリント粘着フィルムから反射された光を検出する検出器を有してもよく、検出ユニットは、該反射光に基づいて配向マーキングを検出するよう適合(構成)されてもよく、制御装置は、第2移動ユニットが作動(活性化)されるまでレーザを作動(活性化)させないよう適合(構成)されてもよい。このようにして、装置のエネルギ消費を低減することができる。
【0013】
制御ユニットは、プリント粘着フィルムと切断ユニットが、生成された切断パターンに沿って粘着フィルムが切断されるように移動されるよう、第2移動ユニット及び切断ユニットを制御するように構成されていることが好ましい。
【0014】
制御装置は、最初に、プリント粘着フィルムを第2移動ユニットへ移動するよう第1移動ユニットのみが作動(活性化)され、次に、該2つの移動ユニットが同期的に(同期して)プリント粘着フィルムを更に切断装置内へ移動するよう該2つの移動ユニットが作動(活性化)されるように、該2つの移動ユニットを制御するよう適合(構成)されていることが好ましい。より具体的には、プリント粘着フィルムは第2移動ユニットの前方の短距離のところに(短距離だけ離れたところに、ないし少々手前に)移動され、その後初めて、2つの移動ユニットは、プリント粘着フィルムを切断装置内へ案内するために同期的に移動される。最初に第1移動ユニットがプリント粘着フィルムを第2移動ユニットの前方の短距離のところに(少々手前に)移動させるため、かつ、プリント粘着フィルムが(第2)移動ユニットの前方の短距離のところに(少々手前に)位置付けられる状態が到達されてから初めて、両方の移動ユニットがプリント粘着フィルムを切断装置内へ案内するために同期的に(同期して)移動される(という事実の)ため、第1移動ユニットが第2移動ユニットに対してプリント粘着フィルムを押し付けることを阻止することができ、その結果、プリント粘着フィルムのカール、折り曲げ及び/又はねじれを阻止することができる。更に、プリント粘着フィルムが第2移動ユニットの直ぐ前方に位置付けられる上述の状態が到達されたときにのみ第2移動ユニットが作動(活性化)されるため、第2移動ユニットは不必要に作動(活性化)されることがなくなり、その結果、エネルギ消費を低減することができる。
【0015】
移送装置は、更に、プリント粘着フィルムが第1移動ユニットによって切断装置の方向に移動される距離を測定する測定ユニットを含み、制御装置は、測定された距離がプリント粘着フィルムの第2移動ユニットへの移動が完了したことを示すまで、プリント粘着フィルムが切断装置の方向へ前進されるように、第1移動ユニットを制御するよう適合(構成)されていることが好ましい。測定ユニットを用いることにより、最初に第1移動ユニットがプリント粘着フィルムを第2移動ユニットの前方の短距離のところ(少々手前)までしか移動しないこと(そのような位置で留めること)が、相対的に簡単な技術的手段で保証することが可能になる。
【0016】
測定ユニットは、更に、プリンタがプリント粘着フィルムを移送装置内へ案内した距離を測定するように適合(構成)されており、制御装置は、測定された距離全体がプリント粘着フィルムの第2移動ユニットへの移動が完了したことを示すまで、プリント粘着フィルムが切断装置の方向へ前進されるように、第1移動ユニットを制御するよう適合(構成)されていることが好ましい。プリンタがプリント粘着フィルムを移送装置内へ案内した距離を付加的に考慮することにより、最初にプリント粘着フィルムが第2移動ユニットの前方の短距離のところ(少々手前)までしか移動されない(そのような位置で留められる)よう、プリント粘着フィルムが第1移動ユニットによって一層より正確に移動されることが可能になる。
【0017】
第1移動ユニットは、順方向において空転する(自由回転する:freewheel)モータ駆動型ローラを有し、測定ユニットは、プリンタがプリント粘着フィルムを移送装置内へ移動した距離を測定するために、プリント粘着フィルムがプリンタから移送装置内へ移動されるとき、該ローラの従動的自由回転(passive freewheeling rotation)を測定するよう適合(構成)されていることが好ましい。第1移動ユニットが順方向において自由回転するモータ駆動型ローラを有するため、プリンタはプリント粘着フィルムを第1移動ユニットへ即ち(より正確には)第1移動ユニットのモータ駆動型ローラへ、プリント粘着フィルムがカール、折り曲げ及び/又はねじれの危険に晒されることなく、移動することができる。これにより、プリント粘着フィルムが切断装置内で不正確に位置合せ(配向)される可能性、従って不正確に切断される可能性は更に低減される。回転に基づく距離の測定(測定距離)は、第1移動ユニットがプリント粘着フィルムを切断装置の方向へ移動した距離を測定するために使用することも可能である。これにより、(本発明の製造)装置を設計上(構造上)よりコンパクトにすることが可能になる。
【0018】
第2移動ユニットは、プリント粘着フィルムを切断装置へ移動するためのモータ駆動型ローラを含み、該モータ駆動型ローラは空転しないことが好ましい。移送装置は、更に、第2移動ユニットがプリント粘着フィルムを移送装置の方向へ後進させるとき、第1移動ユニットのそばを通過するようプリント粘着フィルムを案内するよう調整されている案内ユニットを含むことが好ましい。案内ユニットは、とりわけ、第2移動ユニットがプリント粘着フィルムを移送装置の方向へ後進させるとき、第1移動ユニットの下側でプリント粘着フィルムを案内するよう調整されていてもよい。プリント粘着フィルムを第1移動ユニットのそばを通過するよう案内することにより、プリント粘着フィルムが一般的に第1移動ユニットの方向へ後進されている間に、プリント粘着フィルムが切断装置において切断されるときカール、折り曲げ及び/又はねじれを被らないことを保証することができる。このようにして、プリント粘着フィルムが切断装置の内部における切断オペレーション中に正確に位置合せされた状態が維持されることも保証することができ、その結果、切断精度を更に一層改善することができる。
【0019】
移送装置は、プリント粘着フィルムが移送装置へ供給される時点を検出する粘着フィルム検出ユニットを有していてもよく、制御装置は、粘着フィルムが供給されたことが検出されてから予め設定された期間が経過するまでは第1移動ユニットがプリント粘着フィルムを切断装置の方向へ移動させないように、第1移動ユニットを制御するよう適合(構成)されていることが可能である。プリンタは、一巻の(巻取り紙状の:a web of)粘着フィルムのプリント領域(printed area)にプリントパターンをプリントし、当該プリント領域を切り出し、該切り出したプリント領域をプリント粘着フィルムとして移送装置に供給するよう適合(構成)されてもよい。予め設定された期間は、少なくとも、第1移動ユニットがプリント粘着フィルムを切断装置の方向へ移動し始めるときにプリンタの切断オペレーションが完了されている程の長さであることが好ましい。このようにして、例えば、粘着フィルムがまだ切断されておらず、プリンタがまだプリント粘着フィルムを解放していないにも拘わらず、第1移動ユニットが早くもプリント粘着フィルムの第2移動ユニットの方向への移動を試みることを阻止することができる。最終的にはプリント粘着フィルムの切断装置内における不正確な位置合せ、従って、切断オペレーションの精度の悪化を引き起こし得る、プリント粘着フィルムの例えば不注意な移動、とりわけねじれを阻止することができる。
【0020】
プリンタと移送装置は、プリンタから移送装置へ供給されたプリント粘着フィルムが第1移動ユニットの空転ローラを回転させるように適合(構成)されており、粘着フィルム検出ユニットは、第1移動ユニットのローラの回転を検出することにより、粘着フィルムが供給される時点を検出するよう適合(構成)されていることが好ましい。空転ローラのこの従動的回転は、とりわけ、プリント粘着フィルムがプリンタによって移送装置へ案内された距離を測定するために、付加的に使用することができる。第1移動ユニットのローラはかくして異なる目的のために使用されてもよく、かくして(本発明の製造)装置を設計(構造)上極めてコンパクトにすることができる。
【0021】
プリンタは、好ましくは、熱昇華型(Thermosublimation)プリンタであり、プリントパターンは、好ましくは、カラーパターン及び/又は白黒パターン及び/又はグレースケールパターンである。入力装置は、フォトデータ受信ユニットを含み、フォトデータ受信ユニットは、ユーザのフォトデータをユーザ入力データ(Benutzereingaben)として受信するよう適合(構成)されていることが好ましい。入力装置は、更に、ユーザに対し複数の異なるパターンテンプレートを示すよう、及び、ユーザに(1つの)パターンテンプレートをユーザ入力データとして選択させるよう適合(構成)されていることが好ましい。入力装置は、更に、ユーザに対し商品、とりわけドラッグストアのセルフサービスエリアにおいて購入すべき商品を選択することを可能にするよう適合(構成)されていることが好ましく、入力装置は、更に、選択された商品に基づいて及び商品(複数)とパターン(複数)の間の予め定められたアロケーション(ないし対応関係情報:Zuordnungen)に基づいて(1つの)パターンテンプレートを選択するよう、及び、選択されたパターンテンプレートをユーザ入力データとして提供するよう適合(構成)されることができる。より具体的には、商品は、商品コードでマーキングされていてもよく、入力装置は、ユーザによって選択された商品の商品コードを読み取るための商品コードリーダを含んでもよい。商品コードは、例えば、バーコードとすることができ、商品コードリーダは、バーコードを読み取るためのユニット(装置)とすることができる。入力装置は、更に、選択されたパターンテンプレートを修正する入力データをユーザが入力できるよう適合(構成)可能であり、例えば、ユーザは、該パターンに付加されるべきテキスト及び/又はカラーを入力することができる。フォトデータも該パターンに付加可能である。
【0022】
上記の目的は、更に、粘着ラベルの製造方法によって達成される。この方法は、以下の工程:
・ユーザに入力データ(Eingabe)を入力装置を用いて入力させること、
・ユーザの入力データに基づきパターンをパターン生成手段によって生成すること、但し、該パターンは切断パターン及び該切断パターンの内部のプリントパターンを含む、
・プリントパターンを粘着フィルムにプリンタによってプリントすること、
・プリント粘着フィルムをプリンタから切断装置に移送装置を用いて自動的に移送すること、但し、移送装置の第1移動ユニットはプリント粘着フィルムを順方向においてプリンタから切断装置へ自動的に移動し、プリント粘着フィルムのプリンタから切断装置への自動的移送は制御装置によって制御されること、及び、
・粘着フィルムを切断パターンに沿って切断装置によって切断すること
を含む。
この製造方法においては、更に、
切断装置は、該切断装置の内部においてプリント粘着フィルムを移動する第2移動ユニットを有し、
第2移動ユニットは、プリント粘着フィルムを切断装置内において順方向及び逆方向に移動
し、
プリンタは、粘着フィルムのプリント領域にプリントパターンをプリントし、当該プリント領域を切り取り、該切り取ったプリント領域をプリント粘着フィルムとして移送装置に供給する。
【0023】
上記の目的は、更に、粘着ラベルを製造するためのコンピュータプログラムによって達成される。該コンピュータプログラムは、請求項1に記載の粘着ラベルの製造装置を制御する制御装置において該コンピュータプログラムが実行されるとき請求項
13に記載の粘着ラベルの製造方法が実行されるように該製造装置を制御するよう適合(構成)されているプログラムコードを含む。
【0024】
請求項1に記載の装置、請求項
13に記載の方法及び請求項
14に記載のコンピュータプログラムは、とりわけ従属請求項に記載されているような、類似の及び/又は同一の好ましい実施形態を有すると理解されるべきである。
【0025】
以下に、本発明の実施例を添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】粘着ラベルの製造装置の一実施形態の例示的模式図。
【
図2】
図1に示した装置の幾つかの構成要素の例示的模式図。
【
図3】本発明に応じて製造された幾つかの粘着ラベルを含むプリントされかつ切断された粘着フィルムの例示的模式図。
【
図4】
図1に示した装置のプリンタ、移送装置及び切断装置の組み合わせを或る方向から見た例示的模式図。
【
図5】
図1に示した装置のプリンタ、移送装置及び切断装置の組み合わせを
図4とは異なる方向から見た例示的模式図。
【
図6】
図1に示した装置のプリンタ、移送装置及び切断装置の組み合わせを
図4〜
図5とは異なる方向から見た例示的模式図。
【
図7】
図1に示した装置のプリンタ、移送装置及び切断装置の組み合わせを
図4〜
図6とは異なる方向から見た例示的模式図。
【
図9】粘着ラベル製造方法の一実施形態を説明するフローチャート。
【実施例】
【0027】
図1は、粘着ラベルの製造装置の一実施形態を模式的かつ例示的に示す。この例では、装置1はドラッグストアのセルフサービスエリアにある。装置1は、ハウジング2に感圧性モニタ(ないしディスプレイ)3、フォトデータ受信ユニット5及び商品コードリーダ6を有する。感圧性モニタ3、フォトデータ受信ユニット5及び商品コードリーダ6は、ユーザが入力データを入力することを可能にするよう適合(構成)されている入力装置8の構成要素として理解することも可能である。ハウジング2の内部には、ユーザ入力データに基づいてパターン15を生成するためのパターン生成手段9もあり、パターン15は、切断パターンと該切断パターン内のプリントパターンを含む。
図2は、パターン生成手段9及びハウジング2の内部に設置されている装置1の他の構成要素を模式的かつ例示的に示す。
図3は、幾つかのパターン15を含むプリントされかつ切断された粘着フィルム14の一例を示す。
【0028】
フォトデータ受信ユニット5は、ユーザのフォトデータをユーザ入力データとして受信するよう適合(構成)されている。ユーザは、ドラッグストアのセルフサービスエリアで入手可能な商品を選択し、それをつかみ上げて商品コードリーダ6へもたらして、該商品に割り当てられた商品コードを商品コードリーダ6で読み取らせることもできる。商品コードは例えばバーコードであることが可能であり、商品コードリーダ6はバーコードを読み取るためのユニット(バーコード読み取り装置)であることが可能である。入力装置8は、商品(複数)又は商品コード(複数)とパターンテンプレート(複数)との間のアロケーション(ないし対応関係情報:Zuordnungen)を有することも可能であり、1又は2以上のパターンテンプレートは、これらのアロケーションとユーザによって選択された商品から読み取られる商品コードに基づいて感圧性モニタ3上に表示されることも可能である。幾つかのパターンテンプレートが感圧性モニタ3上に表示されると、ユーザはそれらのうちの1つを選択することができる。入力装置8は、ユーザが所望の変更、例えば所望のテキスト、所望のカラー等を入力できるよう適合(構成)されることも可能である。これらのユーザ入力データに基づいて、パターン生成手段9はパターンを生成することができる。
【0029】
装置1は、更に、粘着フィルム14にプリントパターンをプリントするためのプリンタ11、粘着フィルム14を切断パターンに沿って切断するための切断装置13、及び、プリントされた粘着フィルム(「プリント粘着フィルム」)14をプリンタ11から切断装置13へ自動的に移送するための移送装置12を含み、移送装置12は、プリント粘着フィルム14を順方向においてプリンタ11から切断装置13へ自動的に移動するための第1移動ユニット16を含む。装置1は、更に、プリント粘着フィルム14のプリンタ11から切断装置13への自動的移送を制御するよう適合(構成)されている制御装置10を含む。
【0030】
プリントパターンは、好ましくは、カラーパターン及び/又は白黒パターン及び/又はグレースケールパターンである。この実施形態では、プリンタ11は、熱昇華型プリンタ(サーマルプリンタ)である。熱昇華型プリンタ11は、粘着フィルムのプリント領域にプリントパターンをプリントし、当該プリント領域を切り出し、該切り出したプリント領域をプリント粘着フィルム14として移送装置12に供給するよう適合(構成)されている。従って、プリント粘着フィルム14は、粘着フィルム上の夫々のプリント領域と同じである。熱昇華型プリンタ11は、例えばシチズン社製のCX/DS40プリンタ、またはその他の熱昇華型プリンタである。
【0031】
プリンタ11、移送装置12及び切断装置13は、粘着フィルム14が順方向においてプリンタ11から移送装置12を介して切断装置13へ直動(直進)可能であるように配置され、移送装置12は、粘着フィルム14を回転することなく、並進運動のみを実行することにより、順方向においてプリント粘着フィルム14を移動するよう適合(構成)されている。プリンタ11によってプリントされかつ切断装置13によって切断された粘着フィルム14は、出口スロット7を通過してハウジング2の外部に案内される。
【0032】
以下に、プリンタ11、移送装置12及び切断装置13の詳細について、
図4〜
図8を参照して説明する。なお、
図4及び
図5は或る角度から見た斜視図であり、
図6及び
図7は側面図である。
図8は、ハウジング30の内部に配設されているため
図4〜
図7では視認できない切断装置13の構成要素(複数)も示す概要図である。
【0033】
移送装置12の第1移動ユニット16は、複数のシャフトに(夫々)配された複数のローラ20を含み、該複数のシャフトはベルトを介してモータによって駆動される。これらのローラ20のうち少なくともプリンタ11の最も近くにあるシャフトに配されているローラは、プリント粘着フィルム14の前進運動の方向において空転する(自由回転する:freewheel)ことができる。ローラ(複数)20が配されている第1移動ユニット16の複数のシャフトの各々の一方の端部は、シャフト(複数)従ってローラ(複数)20が第1移動ユニット16のモータによって駆動されると別のスプロケット(歯車)39が回転するよう当該スプロケット39と噛合するスプロケット38を有する。ローラ20を有する第1移動ユニット16のシャフト(複数)がモータ駆動されない場合であっても、当該シャフトがプリント粘着フィルム14のプリンタ11から移送装置12への移動により(従動)回転する場合には、スプロケット39は回転する。
【0034】
第1移動ユニット16は、更に、例えば光源と光検出器の組み合わせから構成されるセンサ40を含み、これらの光源と光検出器は、センサ40のそばを移動するスプロケット39の歯の数をカウントできるように配置される。センサのそばを移動するスプロケット39の歯数に基づいて、制御装置10は、スプロケット39がどの程度回転されたかを決定する(求める)ことができる。これは、プリント粘着フィルム14がプリンタ11によって(プリンタ11を介して)移送装置12内へ、更には第1移動ユニット16によって切断装置13の方向へ移動された距離の測定に使用することができる。
【0035】
プリンタ11の最も近くに配置されているスプロケット39の回転の検出は、プリント粘着フィルム14が移送装置12内へ(既に)供給されているか否かを確認する(establish)ために利用することができる。従って、スプロケット38、39とセンサ40の組み合わせは、プリント粘着フィルム14が移送装置12に供給される時点を検出するための粘着フィルム検出ユニット19として理解することができる。スプロケット38、39とセンサ40の組み合わせは、プリンタ11がプリント粘着フィルム14を移送装置12へ案内した距離及び第1移動ユニット16がプリント粘着フィルム14を切断装置13の方向へ移動した距離の測定にも使用可能であるため、この組み合わせは、これらの距離を測定するための測定ユニット19として理解することも可能である。
【0036】
第1移動ユニット16は、粘着フィルム14が供給されたことが検出されてから予め設定された期間が経過するまでは第1移動ユニット16がプリント粘着フィルム14を切断装置13の方向へ移動させないように制御されることが好ましい。予め設定された期間は、少なくとも、第1移動ユニット16がプリント粘着フィルム14を切断装置13の方向へ移動し始めるときにプリンタ11の切断オペレーションが完了されている程の長さであることが好ましい。
【0037】
制御装置10は、プリント粘着フィルム14が切断装置13の第2移動ユニット18へ移動したことを測定された距離が示すまで、第1移動ユニット16がプリント粘着フィルム14を切断装置13の方向へ前進させるように、適合(構成)されていることが好ましい。第1移動ユニット16は、とりわけ、プリント粘着フィルム14が第2移動ユニット18のローラ21の直ぐ前方に位置付けられ(配置され)ていることを測定された距離が示すまでプリント粘着フィルム14が切断装置13の方向へ前進させられるよう制御される。第2移動ユニット18のローラ21は、モータ駆動されるが、空転(自由回転)はしない。ローラ21は、プリント粘着フィルム14が切断装置13の内部において順方向及び逆方向に移動可能であるように回転されることができる。
【0038】
第1及び第2移動ユニット16、18は、最初に、プリント粘着フィルム14を第2移動ユニット18へ移動するよう第1移動ユニット16のみが作動(活性化)され、次に、該2つの移動ユニット16、18が同期的に(同期して)プリント粘着フィルム14を更に切断装置13内へ移動するよう該2つの移動ユニット16、18が作動(活性化)されるように、制御されることが好ましい。移送装置12の案内ユニット22は、プリント粘着フィルム14が切断装置13内へ移動し、移送装置12を去った場合、プリント粘着フィルム14が切断装置13の第2移動ユニット18から再び後進(後方に移動)されると、プリント粘着フィルム14が第1移動ユニット14のそばを通って移動されるよう、作動(活性化)される。より具体的には、案内ユニット22は、第2移動ユニット18がプリント粘着フィルム14を移送装置12の方向に後進させるとき、プリント粘着フィルム14が第1移動ユニット16の下方で案内されるよう、調整されることができる。この実施形態では、案内ユニット22は、ガイド36及びサーボ駆動装置37を含む。サーボ駆動装置37は、プリント粘着フィルム14が切断装置13から後進されるとき、例えば金属のシートで形成されているガイド36が、プリント粘着フィルム14を第1移動ユニット16のそばを通過するように案内するために持ち上げられるよう、制御される。
【0039】
粘着フィルム14が移送装置12から切断装置13へ移動しているとき、粘着フィルム14を押え付けるために加圧ローラ35を使用することができる。加圧ローラ35は、サーボ駆動装置37がガイド36を持ち上げるとき、加圧ローラ35が上方に枢動されるように、設計(構成)されることができる。
【0040】
プリント粘着フィルム14は、プリンタ11によって粘着フィルム14にプリントされた配向マーキング17を有する。切断装置13は、プリント粘着フィルム14上の配向マーキングを検出するための検出ユニット32を含む。切断装置13は、切断が実行される前に、検出された配向マーキング17に基づいて、切断装置13の内部におけるプリント粘着フィルム14の配向を最適化(適正化)するよう適合(構成)されている。より具体的には、切断装置13の内部においてプリント粘着フィルム14を順方向及び逆方向に移動するための第2移動ユニット18と、それ(順方向及び逆方向)に対して直交方向に移動可能な切断装置の切断ユニットは、切断が実行される前に、配向マーキングに対し相対的な切断ユニットの位置が予め定められた位置に極めて正確に対応するように制御されることができる。
【0041】
この実施形態では、切断ユニット31及び検出ユニット32の両方が、切断装置13の同じヘッド33に取り付けられており、このヘッド33は、モータによって軸34に沿って順方向及び逆方向に対し直交方向に移動されることができる。検出ユニット32が配向マーキング17の内側コーナー50の上方に位置付けられる(配置される)ように、第2移動ユニット18はプリント粘着フィルム14を移動し、ヘッド33は検出ユニット32を移動する。検出ユニット32は、とりわけ、光源、例えばレーザ、と光検出器、例えばフォトダイオード、を含む。検出ユニット32の光源から出射された光のビームが配向マーキング17の内側コーナー50に入射するように、第2移動ユニット18はプリント粘着フィルム14を移動し及び検出ユニット32を有するヘッド33は移動される。この状態に到達すると、切断ユニット31は、プリント粘着フィルム14に対する、とりわけプリントパターンに対する、規定された極めて正確な配向を有する。その後、切断装置13は、プリント粘着フィルム14が夫々のパターン15の切断パターンに沿って切断されるよう制御され、粘着フィルム14は下地上、とりわけ紙下地又はその他の下地媒体上にあり、切断装置13は、粘着フィルム14のみを切断し、その下にある下地を切断しないよう適合(構成)されていることが好ましい。そして、プリント及び切断によって製造された粘着ラベルは、出口スロット7を通過して排出されることができる。顧客は、プリント及び切断された粘着フィルム14から粘着ラベルを引き離す(剥し取る)ことができ、そのラベルを所望の商品に貼り付けることができる。
【0042】
例えばドラッグストアのとりわけセルフサービスエリアにおいて粘着ラベルを製造するための方法の一実施形態について、以下に、
図9に示したフローチャートを参照して説明する。
【0043】
ステップ101では、顧客は、入力装置8に入力データを入力することができる。例えば、顧客は、フォトデータ、テキスト、所望のカラー等(の入力データ)を入力することができる。顧客は、更に、例えば複数のそのようなパターンテンプレートから(1つの)所望のパターンテンプレートを選択することができる。この選択は、商品を選択することによって行うことも可能である。この場合、顧客は、最初に、商品を選択し、その後、顧客に対し、選択された商品に適合する1又は2以上のパターンテンプレートが提示されることができる。顧客に対し複数のパターンテンプレートが提示される場合、顧客は、入力装置8によってこれらのパターンテンプレートのうちの1つを選択することができる。
【0044】
ステップ102では、顧客(ユーザ)入力データに基づいて1つのパターンがパターン生成手段9によって生成される。このパターンは、切断パターンと、該切断パターン内のプリントパターンを含む。例えば、フォトデータに含まれる顧客の写真がパターンテンプレートに組込まれ、このパターンテンプレートは、更に、ステップ101において顧客によって入力されたカラー及び/又はテキストによって修正(修飾)することができる。このようにして生成されたパターン、少なくともプリントパターン(のデータ)は、プリンタ11に送信され、プリンタ11はステップ103においてプリントパターンを粘着フィルムにプリントする。
【0045】
ステップ104では、プリントされた粘着フィルム(「プリント粘着フィルム」)は、移送装置12によってプリンタ11から切断装置13へ自動的に移送され、移送装置12の第1移動ユニット16は、プリント粘着フィルムを順方向においてプリンタ11から切断装置13へ自動的に移動する。ステップ105では、切断装置13は、粘着フィルムを切断パターンに沿って切断して粘着ラベルを製造し、ステップ106では、このように製造された粘着ラベルが、出口スロット7を介して排出される。
【0046】
入力装置8は、所望のカラー、所望のパターンテンプレート等を選択するための及び所望のテキストを入力するための感圧性モニタ3を介してコンピュータによって作動可能なグラフィカルユーザインターフェースを提供することが好ましい。このように製造された粘着ラベルは、購入されるべき商品、例えばシャワージェルの容器、ミューズリー(muesli:シリアルの一種)のパッケージ等、に貼着されるべき粘着ラベルであってもよく、この場合、それぞれの製品に即ちそれぞれの製品パッケージに適する粘着ラベルが製造される。尤も、装置1は、特定の商品又は商品容器に対し特別に適合されたものではない(それらの専用ではない)粘着ラベルを製造するよう適合(構成)されてもよい。このことは、装置1は、特定の商品から独立しておりかつ例えば自動車その他の物体に貼着可能な粘着ラベルを製造するよう適合(構成)されてもよいことを意味する。
【0047】
装置1は、パーソナライズされた粘着ラベルを、即ち、顧客入力データによってデザインされた粘着ラベルを製造することを可能にする。
図1〜
図8を参照して説明した実施形態では、フォトデータ受信ユニット5は、記憶媒体、例えばUSBフラッシュドライブ、によってフォトデータを読み込むよう適合(構成)されている。尤も、他の実施形態では、フォトデータ受信ユニットは、他の方法でフォトデータを受信するよう適合(構成)されてもよい。例えば、フォトデータは、有線又は無線データ通信を介してカメラから、とりわけ撮像機能を有するスマートフォンから、直接的に受信されてもよい。フォトデータ受信ユニットは、フェイスブック、ドロップボックス、CEWEクラウド等のようなクラウドサービスを介してフォトデータを受信するよう適合(構成)されてもよい。
【0048】
プリンタは、これは好ましくは熱昇華型プリンタであるが、紙下地等の下地媒体上に配されている粘着フィルムに夫々のパターンをプリントし、その後、プリントされた粘着フィルム(「プリント粘着フィルム」)は移送装置によって切断装置へ移送されるが、これはステッカー(貼着シール:sticker)カッターとして理解することも可能である。粘着フィルムに設けられた配向マーキングは、センサ、即ち、切断装置の検出ユニットによって検出され、粘着フィルムの再調整(再位置合せ)のために、即ち、粘着フィルムの垂直及び水平アライメント(位置合せ)のために使用される。プリント粘着フィルムに加えて、デジタルクリッピングマスク(digital clipping mask)、即ち、切断パターンが切断装置に送られる。このデジタルクリッピングマスクは粘着ラベルのアウトライン(輪郭)を表すものである。切断装置の切断ユニットは、粘着フィルムを切断パターンに沿って切り込むために、粘着ラベルのアウトラインに沿って、即ち、切断パターンに沿って移動されるドラッグナイフ(drag knife)を含むことが好ましい。ドラッグナイフは、好ましくは、粘着フィルムのみが切り込まれ、下地媒体(支持媒体)は切り込まれないように移動される。
【0049】
切断装置は、顧客に対しテンプレート(複数)の形で即ちパターンテンプレート(複数)の形で提供される任意の切断パターンを切り抜くよう適合(構成)されてもよく、顧客はこれらのテンプレートの何れか1つを選択することができる。切断後、切断装置は、最終的に製造された(完成した)粘着ラベルを排出する。粘着ラベルは、如何なる残留物も残すことなく、顧客によって下地材料から引き離されることができる。顧客が粘着ラベルを適用することを望む商品を選択すれば、顧客自身によって貼り付けを行うことができる。かくして、ドラッグストアで入手可能な商品は、顧客自身によって簡単な方法でパーソナライズすることができる。
【0050】
特許請求の範囲において、用語「有する(aufweisen)」及び「含む(umfassen)」は、列記されたもの以外の構成要素又はステップを除外せず、また、不定冠詞「ein」は複数を除外しない。
【0051】
1つのユニット又は装置は、特許請求の範囲に記載された複数の構成要素の機能(複数)を実行することもできる。個々の機能及び構成要素が異なる従属請求項に記載されているという事実は、これらの機能又は構成要素の組み合わせが有利に使用できないことを意味しない。
【0052】
粘着ラベルの製造方法に従う粘着ラベルの製造装置の制御(ないしコントローラ)は、コンピュータプログラムコードとして及び/又は適切なハードウェアの形で実現することが可能であるが、とりわけ、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)である。
【0053】
コンピュータプログラムは、適切な媒体に、例えば光学記録媒体又は他のハードウェアと組み合わせて又はその一部として作動される固体記録媒体に記録及び/又は保存される(verteilt)ことができる。尤も、コンピュータプログラムは、他の方式で、例えばインターネットその他の遠距離通信システムを介して、配信されることも可能である。
【0054】
特許請求の範囲に付した図面参照符号は、特許請求の範囲によって与えられる主題及び保護範囲がこれらの図面参照符号によって限定されることを意味するものと理解すべきではない。
【0055】
本発明は、例えばドラッグストアのとりわけセルフサービスエリアにおいて、粘着ラベルを製造する装置に関する。該装置は、ユーザ(顧客)の入力データに基づくプリントパターンを粘着フィルムにプリントするプリンタと、ユーザによって選択可能な特定の切断パターンに沿って粘着フィルムを切断する切断装置と、プリントされた粘着フィルムをプリンタから切断装置へ自動的に移送する移送装置を含み、移送装置は、プリントされた粘着フィルムを、順方向においてプリンタから切断装置へ自動的に移動する第1移動ユニットを含む。制御装置は、プリントされた粘着フィルムのプリンタから切断装置への自動的移送を制御する。
【0056】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を付記する。
(形態1)例えばドラッグストアのとりわけセルフサービスエリアにおいて粘着ラベルを製造する装置が提供される。
該装置は、
・ユーザによる入力データの入力を可能にするよう適合された入力装置、
・ユーザの入力データに基づいてパターンを生成するパターン生成手段、但し、該パターンは切断パターン及び該切断パターンの内部のプリントパターンを含む、
・プリントパターンを粘着フィルムにプリントするプリンタ、
・切断パターンに沿って粘着フィルムを切断する切断装置、
・プリントされた粘着フィルム(以下「プリント粘着フィルム」という)をプリンタから切断装置に自動的に移送する移送装置、但し、該移送装置はプリント粘着フィルムを順方向においてプリンタから切断装置へ自動的に移動する第1移動ユニットを含む、及び、
・プリント粘着フィルムのプリンタから切断装置への自動的移送を制御する制御装置
を含む。
(形態2)上記の装置において、プリンタ、移送装置及び切断装置は、粘着フィルムが順方向においてプリンタから移送装置を介して切断装置へ直動可能であるように配置されており、
移送装置は、プリント粘着フィルムを回転させることなく並進運動のみ実行することにより、順方向においてプリント粘着フィルムを移動するよう適合されていることが好ましい。
(形態3)上記の装置において、切断装置は、該切断装置の内部においてプリント粘着フィルムを移動する第2移動ユニットを有し、
第2移動ユニットは、プリント粘着フィルムを切断装置内において順方向及び逆方向に移動するよう適合されていることが好ましい。
(形態4)上記の装置において、制御装置は、最初に、プリント粘着フィルムを第2移動ユニットへ移動するよう第1移動ユニットのみが作動され、次に、該2つの移動ユニットが同期的にプリント粘着フィルムを更に切断装置内へ移動するよう該2つの移動ユニットが作動されるように、該2つの移動ユニットを制御するよう適合されていることが好ましい。
(形態5)上記の装置において、移送装置は、プリント粘着フィルムが第1移動ユニットによって切断装置の方向へ移動される距離を測定する測定ユニットを更に含み、
制御装置は、測定された距離がプリント粘着フィルムの第2移動ユニットへの移動が完了したことを示すまで、プリント粘着フィルムが切断装置の方向へ前進されるように、第1移動ユニットを制御するよう適合されていることが好ましい。
(形態6)上記の装置において、測定ユニットは、プリンタがプリント粘着フィルムを移送装置内へ案内した距離を測定するようにも適合されており、
制御装置は、測定された距離全体がプリント粘着フィルムの第2移動ユニットへの移動が完了したことを示すまで、プリント粘着フィルムが切断装置の方向へ前進されるように、第1移動ユニットを制御するよう適合されていることが好ましい。
(形態7)上記の装置において、第1移動ユニットは、順方向において空転するモータ駆動型ローラを有し、
測定ユニットは、プリンタがプリント粘着フィルムを移送装置内へ移動した距離を測定するために、プリント粘着フィルムがプリンタから移送装置内へ移動されるとき、前記ローラの受動的空転的回転(passive freewheeling rotation)を測定するよう適合されていることが好ましい。
(形態8)上記の装置において、第2移動ユニットは、プリント粘着フィルムを切断装置へ移動するためのモータ駆動型ローラを含む、但し、モータ駆動型ローラは空転しないことが好ましい。
(形態9)上記の装置において、移送装置は、第2移動ユニットがプリント粘着フィルムを移送装置の方向へ後進させるとき、第1移動ユニットのそばを通過するようプリント粘着フィルムを案内するよう調整されている案内ユニットを含むことが好ましい。
(形態10)上記の装置において、案内ユニットは、第2移動ユニットがプリント粘着フィルムを移送装置の方向へ後進させるとき、第1移動ユニットの下側でプリント粘着フィルムを案内するよう調整されていることが好ましい。
(形態11)上記の装置において、移送装置は、プリント粘着フィルムが移送装置へ供給される時点を検出する粘着フィルム検出ユニットを有し、
制御装置は、粘着フィルムが供給されたことが検出されてから予め設定された期間が経過するまでは第1移動ユニットがプリント粘着フィルムを切断装置の方向へ移動させないように、第1移動ユニットを制御するよう適合されていることが好ましい。
(形態12)上記の装置において、第1移動ユニットは、プリント粘着フィルムを移動するための、切断装置の方向において空転するモータ駆動型ローラを含むことが好ましい。
(形態13)上記の装置において、プリンタと移送装置は、プリンタから移送装置へ供給されたプリント粘着フィルムが第1移動ユニットの空転ローラを空転させるように適合されており、
粘着フィルム検出ユニットは、第1移動ユニットのローラの回転を検出することにより、粘着フィルムが供給される時点を検出するよう適合されていることが好ましい。
(形態14)例えばドラッグストアのとりわけセルフサービスエリアにおいて粘着ラベルを製造する方法が提供される。
該方法は、以下の工程:
・ユーザに入力データを入力装置を用いて入力させること、
・ユーザの入力データに基づきパターンをパターン生成手段によって生成すること、但し、該パターンは切断パターン及び該切断パターンの内部のプリントパターンを含む、
・プリントパターンを粘着フィルムにプリンタによってプリントすること、
・プリント粘着フィルムをプリンタから切断装置に移送装置を用いて自動的に移送すること、但し、移送装置の第1移動ユニットはプリント粘着フィルムを順方向においてプリンタから切断装置へ自動的に移動し、プリント粘着フィルムのプリンタから切断装置への自動的移送は制御装置によって制御されること、及び、
・粘着フィルムを切断パターンに沿って切断装置によって切断すること
を含む。
(形態15)例えばドラッグストアのとりわけセルフサービスエリアにおいて粘着ラベルを製造するためのコンピュータプログラムが提供される。
該コンピュータプログラムは、上記の粘着ラベルの製造装置を制御する制御装置において該コンピュータプログラムが実行されるとき上記の粘着ラベルの製造方法が実行されるように該製造装置を制御するよう適合されているプログラムコードを含む。