特許第6831090号(P6831090)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6831090
(24)【登録日】2021年2月1日
(45)【発行日】2021年2月17日
(54)【発明の名称】油水分離装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 17/038 20060101AFI20210208BHJP
   C02F 1/40 20060101ALI20210208BHJP
   B01D 17/12 20060101ALI20210208BHJP
【FI】
   B01D17/038
   C02F1/40 Z
   B01D17/12 Z
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2016-75907(P2016-75907)
(22)【出願日】2016年4月5日
(65)【公開番号】特開2017-185447(P2017-185447A)
(43)【公開日】2017年10月12日
【審査請求日】2019年4月1日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000229162
【氏名又は名称】日本ソリッド株式会社
(72)【発明者】
【氏名】波多野 倫
【審査官】 川崎 良平
(56)【参考文献】
【文献】 特許第5044746(JP,B2)
【文献】 特開2010−089025(JP,A)
【文献】 特開2004−243200(JP,A)
【文献】 特開2005−324171(JP,A)
【文献】 米国特許第05861098(US,A)
【文献】 登録実用新案第3133814(JP,U)
【文献】 特開2004−024931(JP,A)
【文献】 特開平09−234305(JP,A)
【文献】 特開昭61−263661(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 17/00
B04B 1/00
C02F 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒型容器の底部に回転羽根を設け、該円筒型容器の内壁面に渦巻流の方向に対して接線方向に平板状の邪魔板を設け、前記円筒型容器の上部に廃油を含有する処理水の導入手段を設け、下部に円筒型容器内に生起する渦巻流に対向するように排水手段を設け、かつ前記回転羽根を回転させる駆動手段を設けたことを特徴とする油水分離装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、整備工場、採鉱設備、食品工場、ファーストフード店、鉄道整備施設、食品,道路等の清掃、駐車場、解体作業、マリーナ、バス,電車等の洗車場、ガソリンスタンド、トンネル現場、レストラン、燃料貯蔵庫、魚介類の養殖場等から発生する廃油を含む処理水の油水分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来廃油を含む処理水は、処理槽に投入した後静置して油と水に分離した後、油層を吸油マット等を用いて油を回収していた。しかしながら薄い油層の場合には、吸油マットを使用しても充分回収できない欠点があったために、処理されないまま下水または側溝や排水路から河川に流出し自然環境の悪化を招いていた。薄い油層の別の処理法の場合、凝集剤を加え凝集させた後に汚泥をろ過分離して処理しているが、ろ過器の洗浄頻度が多く、汚泥を多量に発生するために、薄い油水の割にコストがかかっていた。
また図1に示すように、モーターで回転させた軸の上にボウル(回転体)を乗せて高速で回転させる装置で、ボウル内にディスク(分離板)が百数十枚入った液液分離機(遠心機)Sが知られている。しかしながらこの装置においても廃油の含有量が少ない場合は、油と水を充分に分離することは困難であった。さらに近年新しい処理方法として、油類を含有する処理水に、油吸着材の存在下において、油類と油吸着材とを渦巻流の中心部に集めるようなすり鉢形の凹部を有する渦巻流を生起させ、前記油類と油吸着材とを前記渦流中で接触させながら、下方に流下させて処理する、油水の分離方法が提案されている(特許文献1)。
本発明者は、前記特許文献1の処理方法に適した装置について種々研究を重ねた結果本発明を完成するに至った。
【0003】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5044746号特許公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、廃油含有量の少ない処理水においても簡単な構造の装置で、かつメンテナンスの必要が極めて少ない油水分離装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明は、円筒型容器の底部に回転羽根を設け、該円筒型容器の上部に、廃油を含有する処理水の導入手段を設け、下部に排水手段を設け、かつ、該円筒型容器の底部の回転羽根を回転させる駆動手段を設けたことを特徴とする油水分離装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の油水分離装置によれば廃油含有量の少ない処理水においても限定された箇所に集油することができ、廃油濃度を高めることができるので廃油の除去処理を簡単かつ効率的に行うことができ、また連続的に廃油処理ができるので大量の廃油処理を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】従来の遠心型油水分離装置の断面図。
図2】本発明の油水分離装置の概略斜視図。
図3】本発明の油水分離装置の可動時の状態を示す概略斜視図。
図4】円筒型容器の平面図。
図5】セパレート型の油水分離装置の概略斜視図。
図6】駆動部の端子及び回転羽根端子それぞれの形を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図2は、本発明の油水分離装置1の概略斜視図である。円筒型容器2の底部に回転羽根3を設ける。回転羽根3は、回転させるためにモーター等の駆動手段4に連結されている。また円筒型容器2の上部には廃油を含有する処理水(以下処理水という)を供給する供給管5を処理水の導入手段として設ける。この供給管5の接続方向としては円筒型容器2にその導入口を処理水6の渦巻流方向に向けて接線方向にして円筒型容器2の壁面に設けることが好ましい。
【0010】
一方円筒型容器2の下部には排水手段として排水管7を設ける。この排水管7は、円筒型容器2内に生起する渦巻流に対向するように設けることができる。このようにすることによって渦巻流の流れを乱すことなく排水することができる。
【0011】
油水分離装置1を連続的に運転して処理水を大量に処理するために供給管5と排水管7に定水位弁を設ける。すなわち供給管5に主弁8を設け、排水管7に副弁9を設ける。油水分離装置1を連続的に運転するには渦巻流が生起している状態で副弁9から清澄水を抜くと、その量に対応した処理水が供給管5から導入され、円筒型容器2内の水位は常にほぼ一定に保持することができる。このように連続的に処理することによって渦巻流の底頂部10に廃油が留められる。廃油を集油する渦巻流は、円筒型容器2の規模または回転羽根3の大きさにもよるが、水面11と渦巻流の底頂部10の距離が水深の1/10〜9/10の範囲であることが好ましい。水面11と渦巻流の底頂部10の距離が9/10以上になると渦巻流から集油された廃油が下方に分散し集油効率が悪くなる。
【0012】
ある程度渦巻流の底頂部10に廃油が集油されたら、例えばサイコロ状の油吸着材を投入したり、一旦渦巻流の流れを止めて円筒型容器2内の水位を上げて上層部にある油層部分をオーバーフロー等によって円管型容器2外に取り出す等の手段によって廃油を分離採取する。
分離採取された廃油は、燃料油・加工油にリユース・リサイクルが可能となる。
【0013】
また円筒型容器2の内壁面に渦巻流の方向に対して接線方向に邪魔板12を設けることが好ましい。邪魔板12は円筒型容器2の大きさを考慮して適宜の枚数を設置すればよい。このように邪魔板12を設けることによって渦巻流の乱れを防止することができると共に廃油が円筒型容器2の内壁面に付着することを防止することができる。
【0014】
供給管5或いは円筒型容器2の外側に電熱等の加温設備を設けることが好ましい。
また、処理水6を直接加温する方法として、円筒型容器2内にスチームを当てることが好ましい。
加温設備は、油水温度を上げることにより、C重油等の粘性を有する廃油を渦巻流に集油し易くするだけでなく、油吸着材に付着し易くすることができる。
【0015】
更に、本発明の油水分離装置1は、円筒型容器2と駆動手段4部とを分離型とすることもできる。例えば図5に示すように駆動部本体13にはモーターが内蔵され、モーター軸の先端部に接合端子14を設ける。この接合端子14は図6に示すように例えば放射形の端子とし、一方円筒型容器2に設けられた回転羽根3の回転軸の端部に接合端子14に嵌合する形状の嵌合端子15を設ける。この油水分離装置を可動させるときは、接合端子14と嵌合端子15を嵌合することによって油水分離装置が形成される。また駆動本体13には、モーターの回転数をコントロールするダイヤル目盛16が設けられている。
【符号の説明】
【0016】
2・・・円筒型容器
3・・・回転羽根
4・・・駆動手段
5・・・供給管
7・・・排水管
8・・・主弁
9・・・副弁
10・・・渦巻流の底頂部
11・・・水面
12・・・邪魔板
図1
図2
図3
図4
図5
図6