特許第6831102号(P6831102)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6831102水洗便器用タンク、管体、および管体敷設方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6831102
(24)【登録日】2021年2月1日
(45)【発行日】2021年2月17日
(54)【発明の名称】水洗便器用タンク、管体、および管体敷設方法
(51)【国際特許分類】
   E03D 11/02 20060101AFI20210208BHJP
   E03D 11/13 20060101ALI20210208BHJP
【FI】
   E03D11/02 Z
   E03D11/13
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-14909(P2017-14909)
(22)【出願日】2017年1月30日
(65)【公開番号】特開2018-123501(P2018-123501A)
(43)【公開日】2018年8月9日
【審査請求日】2019年10月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】516225968
【氏名又は名称】竹本 直文
(74)【代理人】
【識別番号】100104776
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100119194
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 明夫
(72)【発明者】
【氏名】竹本 直文
【審査官】 七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/119844(WO,A1)
【文献】 特開2015−200108(JP,A)
【文献】 特表2014−511923(JP,A)
【文献】 特開平10−037279(JP,A)
【文献】 特開平08−187766(JP,A)
【文献】 特開昭62−093585(JP,A)
【文献】 実開昭59−056483(JP,U)
【文献】 特開2001−173085(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 1/00−13/00
F16L 55/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設管内に新管として挿入される管体であって、
管形状に形成された発泡合成樹脂の基材と、
前記管形状の内面および外面において前記基材の表面を覆う、ポリウレア樹脂のコーティング層と、を備え、
一端部は、他の部分より拡径され、該一端部の内面に、受口溝が形成されており、
他端部は、当該管体と同形状の他の管体の一端部内に挿入されるように構成され、該他端部の外面に、該他の管体の受口溝に嵌め込まれる接合部が形成されている管体
【請求項2】
管形状に形成された発泡合成樹脂の基材と、前記管形状の内面および外面において前記基材の表面を覆う、ポリウレア樹脂のコーティング層と、を有し、一端部は、他の部分より拡径され、該一端部の内面に、受口溝が形成されており、他端部は、当該管体と同形状の他の管体の一端部内に挿入されるように構成され、該他端部の外面に、該他の管体の受口溝に嵌め込まれる接合部が形成された、複数の管体を準備する段階と、
既設管の前後の少なくとも一方に掘られた立坑において、前記複数の管体を接合しながら前記既設管内に挿入していき、前記一端部に前記他の管体の前記他端部を挿入して嵌め込む段階と、を備える管体敷設方法
【請求項3】
水洗便器用タンクであって、
タンク形状に成形された発泡合成樹脂の基材と、
前記タンク形状の内面および外面において前記基材の表面を覆う、ポリウレア樹脂のコーティング層と、を備え
前記タンクに形成されたボルトおよびフロート弁金具が設置される開口孔の内径にもポリウレア樹脂のコーティング層が形成されている水洗便器用タンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水洗便器用タンク、管体、および管体敷設方法に関する。
【0002】
従来、便器および水洗便器用タンクの材料の一部として陶磁器以外の工業材料を使用した技術が知られている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。また、水道管などの配管にも、樹脂が利用されている。例えば、既設の水道管の管内面に対して、イソシアネート化合物とアミン化合物といった2液を混合させながら噴出して、水道管の管内面をコーティングする技術が知られている(例えば、特許文献3参照)。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 特開平10−37279号公報
[特許文献2] 特開平05−79081号公報
[特許文献3] 特開2003−159554号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
便器、水洗便器用タンク、および配管は、軽量かつ頑丈であることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様においては、複数の樹脂製部品によって構成される便器を提供する。便器は、少なくとも一つの樹脂製部品が、発泡合成樹脂の基材と、ポリウレア樹脂のコーティング層とを備えてよい。コーティング層は、基材の表面を覆ってよい。
【0005】
便器は、リム部、ボール部、およびスカート部を独立した部品として備えてよい。ボール部がスカート部内に収納配置されてよい。ボール部の上端縁部にリム部が装着されてよい。ボール部は陶磁器であってよい。リム部およびスカート部が、基材とコーティング層とを備えてよい。
【0006】
本発明の第2の態様においては、水洗便器用タンクを提供する。水洗便器用タンクは、タンク形状に成形された発泡合成樹脂の基材と、ポリウレア樹脂のコーティング層とを備えている。ポリウレア樹脂のコーティング層は、タンク形状の内面および外面において基材の表面を覆ってよい。
【0007】
本発明の第3の態様においては、管体を提供する。管体は、老朽化した既設管内に新管として挿入されてよい。管体は、発泡合成樹脂の基材と、ポリウレア樹脂のコーティング層と、を備えてよい。基材は、管形状に形成されてよい。コーティング層は、管形状の内面および外面において基材の表面を覆ってよい。
【0008】
本発明の第4の態様においては、管体敷設方法を提供する。管体敷設方法は、複数の管体を準備する段階と、老朽化した既設管の前後の少なくとも一方に掘られた立坑において、複数の管体を接合しながら既設管内に挿入していく段階とを備える。管体は、発泡合成樹脂の基材と、ポリウレア樹脂のコーティング層とを備えてよい。基材は、管形状に形成されてよい。コーティング層は、管形状の内面および外面において基材の表面を覆ってよい。
【0009】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施形態における便器10の一例を示す図である。
図2】便器10のリム部20の部分断面を示す図である。
図3】便器10のスカート部40の部分断面を示す図である。
図4】本発明の第2実施形態における水洗便器用タンク100の一例を示す断面図である。
図5】本発明の第3実施形態における管体200の一例を示す断面図である。
図6】管体200における継手部220の構成の一例を示す断面図である。
図7】複数の管体200が互いに連結される状態を示す図である。
図8】本発明の一態様における管体敷設方法の概要を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0012】
図1は、本発明の第1実施形態における便器10の一例を示す図である。便器10は、複数の樹脂製部品によって構成される。但し、便器10は、すべての部品が樹脂製部品である必要はない。本例において、便器10は、リム部20、ボール部30、およびスカート部40を独立した部品として備えている。このうち、ボール部30は、従来通り、陶磁器で形成されてよい。リム部20およびスカート部40は、樹脂成形体であってよい。すなわち、本例では、リム部20およびスカート部40が、複数の樹脂製部品である。
【0013】
スカート部40には、ボール部30を収容する内部空間が形成されている。これにより、ボール部30は、スカート部40内に収納配置される。ボール部30は、内部に排水路が形成される。リム部20は、スカート部40の上端縁部に装着される。このようにリム部20、ボール部30、およびスカート部40によって、便器10が構成されてよい。
【0014】
図2は、便器10のリム部20の部分断面を示す図である。図2は、図1におけるA‐A´線に沿ったリム部20の断面を示している。リム部20は、基材22およびコーティング層24を備える。
【0015】
基材22は、発泡合成樹脂で形成される。一例として基材22を形成する合成樹脂は、高分子化合物である。より具体的な例として、基材22を形成する合成樹脂は、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリウレタンから選択された1以上の材料で形成される。発泡合成樹脂とは、これらの合成樹脂中に微細な気泡を分散させたものを指す。一つの実施例において、基材22は発泡スチロール(発泡ポリスチレン)で形成される。
【0016】
コーティング層24は、基材22の表面を覆って形成される。コーティング層24は、ポリウレア樹脂で形成される。ポリウレア樹脂とは、例えばイソシアネートとアミノ基との化学反応によって形成されるウレア結合を有する樹脂である。一例としてポリウレア樹脂は、ポリイソシアネートとポリアミンを反応させて形成される。
【0017】
コーティング層24は、基材22の全面に形成されることが好ましい。つまり、コーティング層24は、リム部20の座面26、裏面28、および側面の全てを覆う。側面は、座面26および裏面28の間の面を指す。コーティング層24の厚みは、基材22の厚みより小さい。一例として、基材22の厚みは2cm以上であり、コーティング層24の厚みは5mm以下である。
【0018】
図3は、便器10のスカート部40の部分断面を示す図である。図3は、図1におけるB‐B´線に沿ったスカート部40の断面を示している。スカート部40は、基材42およびコーティング層44を備える。基材42およびコーティング層44は、上記のリム部20における基材22およびコーティング層24と同様の構成であってよい。
【0019】
コーティング層44は、基材42の全面に形成されることが好ましい。つまり、コーティング層44は、スカート部40の内面46、外面48、および端縁部の全てを覆う。内面46は、ボール部30が収納配置される部分の面であり、外面48は、内面46と反対側の面である。端縁部は、内面46と外面48との間の面である。コーティング層44の厚みは、基材42の厚みより小さい。一例として、基材42の厚みは2cm以上であり、コーティング層44の厚みは5mm以下である。
【0020】
なお、本例では、複数の樹脂製部品であるリム部20およびスカート部40の双方が、ポリウレア樹脂によって被覆される場合を説明したが、複数の樹脂製部品の少なくとも一つがポリウレア樹脂のコーティング層を有していてもよい。また、本例では、便器10が、リム部20、ボール部30、およびスカート部40によって構成される三分割式の便器を示した。しかしながら、便器10は、複数の樹脂製部品を含む便器であればよく、三分割式の便器に限定されない。
【0021】
本例によれば、複数の樹脂製部品のうち少なくとも一つが、発泡合成樹脂の基材22(基材42)と、ポリウレア樹脂のコーティング層24(コーティング層44)とを備えている。したがって、部品を陶磁器で作る場合と比べて製造コストの低減が図られる。また、便器10の重量が軽減され、搬送や施工がしやすい。特に、製造コストの低減および重量の軽減によって、災害時の仮設トイレまたは組立式トイレに広く利用することができる。災害時やイベント開催時において仮設トイレまたは組立式トイレを設定する場合には、大量の製品を運搬し、短期間で製品を施工する必要がある。本例の便器10によれば、便器10の重量が軽減されているので、作業者が簡単に運搬できる。また、重量が軽減されているため施工時の位置調整等も楽になる。したがって、本例の便器10は、仮設トイレまたは組立式トイレに適する。
【0022】
また、コーティング層24(コーティング層44)が、ポリウレア樹脂で形成されるので、高強度、優れた耐水性、および、優れた耐衝撃性を有する。このため、基材22(基材42)の表面をコーティング層24(コーティング層44)でコーティングすることで、超軽量で、強度、耐水性、および、耐衝撃性に優れた便器10を提供できる。
【0023】
図4は、本発明の第2実施形態における水洗便器用タンク100の一例を示す断面図である。水洗便器用タンク100は、基材110およびコーティング層112を備える。基材110は、タンクの形状に形成されている。基材110は、水が収容される内部空間を形成する。水洗便器用タンク100の形状をなす基材110には、ボルトおよびフロート弁金具等が設置される開口孔122、開口孔124、および開口孔126が形成されてよい。
【0024】
基材110は、発泡合成樹脂で形成される。発泡合成樹脂は、第1実施形態の便器10における基材22と同様の高分子化合物であってよい。一つの実施例において、基材110は発泡スチロール(発泡ポリスチレン)で形成される。
【0025】
コーティング層112は、水洗便器用タンク100の内面114および外面116において、基材110の表面を覆って形成される。コーティング層112は、ポリウレア樹脂で形成される。ポリウレア樹脂とは、例えばイソシアネートとアミノ基との化学反応によって形成されるウレア結合を有する樹脂である。一例としてポリウレア樹脂は、ポリイソシアネートとポリアミンを反応させて形成される。
【0026】
コーティング層112は、基材110の全面に形成されることが好ましい。つまり、コーティング層112は、水洗便器用タンク100の内面114、外面116、および側面の全てを覆ってよい。水洗便器用タンク100の内面114は、水洗便器用タンク100の内部空間に露出している面を意味し、外面116は、内面からみて反対側の面を意味する。側面は、内面114および外面116の間の面を指す。コーティング層112の厚みは、基材110の厚みより小さい。一例として、基材110の厚みは2cm以上であり、コーティング層112の厚みは5mm以下である。
【0027】
コーティング層112は、内面114および外面116の間を連通する開口孔122、開口孔124、および開口孔126の表面にも形成されてよい。このように、コーティング層112を基材110の全面に形成することによって、コーティング層112が剥離することを防止することができる。
【0028】
本例によれば、ポリウレア樹脂のコーティング層112がタンク形状の内面および外面において基材110の表面を覆うので、水洗便器用タンク100の表面硬度を高くすることができ、基材110の内部への給水率をゼロとすることができる。したがって、単に、発泡合成樹脂の基材110のみで水洗便器用タンク100を構成する場合と異なり、表面硬度および給水率の観点において、陶磁器製のタンクと同様の利点がある。
【0029】
また、陶磁器の熱伝導率は1.5W/m/Kであるのに対し、発泡合成樹脂の熱伝導率は0.03W/m/Kである。したがって、本例によれば、基材110およびコーティング層112自体が、断熱および防止効果を発揮するので、水洗便器用タンク100内部に、別途の対流遮蔽板や防水性被覆層を設ける必要がない。
【0030】
特に、基材110が、発泡合成樹脂で形成されるので、非常に軽量である。また、コーティング層112は、ポリウレア樹脂で形成されるので、高強度、優れた耐水性、および、優れた耐衝撃性を有する。このため、基材110の表面をコーティング層112でコーティングすることで、超軽量で、強度、耐水性、および、耐衝撃性に優れた水洗便器用タンク100を提供できる。
【0031】
本例の水洗便器用タンク100は、非常に軽量であるので、運搬および施工を容易にする。特に、災害時やイベント開催時において仮設トイレまたは組立式トイレのための水洗便器用タンク100として用いる場合には、大量の製品を運搬し、短期間で製品を施工する必要がある。本例の水洗便器用タンク100によれば、水洗便器用タンク100の重量が軽減されているので、作業者が簡単に運搬できる。また、重量が軽減されているため施工時の位置調整等も楽になる。したがって、本例の水洗便器用タンク100は、仮設トイレまたは組立式トイレ用のタンクに適する。また、水洗便器用タンク100の軽量化によって、水洗便器用タンク100を設置するうえでの制約が少なくなる。例えば、トイレの上方の空間に水洗便器用タンク100を設定することが可能になる結果、便座の後方に水洗便器用タンク100を設置するためのスペースを確保する必要が軽減される。この結果、便座の前方のスペースを広く確保できるようになる。
【0032】
図5は、本発明の第3実施形態における管体200の一例を示す断面図である。本例の管体200は、老朽化した既設管202内に新管として挿入される。既設管202は、既設の水道管であってもよく、他の管であってもよい。既設管202が、さや管として機能する。
【0033】
管体200は、基材210およびコーティング層212を備えている。基材210は、発泡合成樹脂で形成される。発泡合成樹脂は、第1実施形態の便器10における基材22と同様の高分子化合物であってよい。一つの実施例において、基材210は発泡スチロール(発泡ポリスチレン)で形成される。管体200は、管形状に形成されている。管体200の外径は、既設管202の内径より小さい。
【0034】
コーティング層212は、管形状の基材210の外面214および内面216において基材210の表面を覆う。コーティング層212は、ポリウレア樹脂で形成される。ポリウレア樹脂とは、例えばイソシアネートとアミノ基との化学反応によって形成されるウレア結合を有する樹脂である。一例としてポリウレア樹脂は、ポリイソシアネートとポリアミンを反応させて形成される。
【0035】
コーティング層212は、基材210の全面に形成されることが好ましい。コーティング層212は、管形状の基材210の外面214、内面216、および端縁部の全てを覆ってよい。端縁部は、管形状の基材210の外面214と内面216との間の部分を指す。コーティング層212の厚みは、基材210の肉厚より小さい。一例として、基材210の肉厚は2cm以上であり、コーティング層212の厚みは5mm以下である。
【0036】
図6は、管体200における継手部220の構成の一例を示す図である。本例の管体200は、複数本の管体200を前後に連結して使用することができる。本例の管体200の基端部219側には、管体200の先端部よりも内径が大きくなった継手部220が形成されている。継手部220において、複数の管体200同士が接合される。継手部220は、伸びと屈曲が可能となっている。これにより、既設管202の曲がりにしなやかに順応しながら複数の管体200を既設管202内に挿入できる。
【0037】
継手部220において、管体200の内面には、受口溝222が形成されてよい。また、管体200の内面には、ゴム輪を係止するための突起部224が形成されてよい。受口溝222および突起部224も、基材210の成形によって形成してよい。受口溝222および突起部224の表面もコーティング層212で被覆されてよい。これにより、受口溝222および突起部224の強度を高めることができる。
【0038】
図7は、複数の管体200が互いに連結された状態を示す図である。図7は、図6の要部を拡大した図である。図7に示されるとおり、管体200の先端部218側にはテーパが切られたロックリング234が設けられてよい。ロックリング234は金属で形成されてよく、ロックリング234の表面もコーティング層212で被覆されてよい。第1の管体200における先端部218が、第2の管体200における基端部219側に設けられた継手部220に差し込まれると、第1の管体200外面214が、第2の管体200における基端部219側に設けられたゴム輪232と密着する。ゴム輪は、突起部224によって係止されてよい。
【0039】
第1の管体200における先端部218に設けられたロックリング234が、第2の管体200の基端部219に設けられた受口溝222に嵌め込まれてよい。しかしながら、管体200の継手部220の構造は、図7の場合に限られない。
【0040】
図8は、本発明の一態様における管体敷設方法の概要を示す図である。本例の管体敷設方法は、パイプ・イン・パイプ工法の一種である。本例では、パイプ・イン・パイプ工法における新管として、複数の管体200を準備する。具体的には、準備される管体200は、図5から図7に示したとおり、管形状に形成された発泡合成樹脂の基材210と、管形状の基材210の外面214および内面216において基材210の表面を覆うポリウレア樹脂のコーティング層212とを備える。
【0041】
基材210は、発泡合成樹脂で形成されるので、非常に軽量である。また、コーティング層212は、ポリウレア樹脂で形成されるので、高強度、優れた耐水性、および、優れた耐衝撃性を有する。このため、基材210の表面をコーティング層212でコーティングすることで、超軽量で、強度、耐水性、および、耐衝撃性に優れた管体200を提供できる。したがって、管体200を作業現場まで容易に運び入れることができる。
【0042】
管体敷設方法は、挿入段階を有する。挿入段階においては、老朽化した既設管202の前後の少なくとも一方に掘られた立坑302において、複数の管体200を接合しながら、既設管202内に挿入していく。準備された複数の管体200は、立坑302内において、一の管体200の先端部218と他の管体200の基端部219とが接合される。図6および図7に示したような継手部220により、複数の管体200同士が接合されてよい。管体200を既設管202内に挿入するためには、油圧ジャッキ310を用いて力を印加してよい。
【0043】
挿入段階では、管体200に大きな力が印加される。しかし、本例の管体200の表面はポリウレア樹脂で覆われるので、挿入段階において印加される力に耐えることができる。
【0044】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。各実施形態は、相互に組み合わせることが可能である。例えば、第1実施形態における便器10と第2実施形態における水洗便器用タンク100を組み合わせることができる。また、便器10からの排水路に、第3実施形態の管体200を用いてもよい。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0045】
10・・・便器、20・・・リム部、22・・・基材、24・・・コーティング層、26・・・座面、28・・・裏面、30・・・ボール部、40・・・スカート部、42・・・基材、44・・・コーティング層、46・・・内面、48・・・外面、100・・・水洗便器用タンク、110・・・基材、112・・・コーティング層、114・・・内面、116・・・外面、122・・・開口孔、124・・・開口孔、126・・・開口孔、200・・・管体、202・・・既設管、210・・・基材、212・・・コーティング層、214・・・外面、216・・・内面、218・・・先端部、219・・・基端部、220・・・継手部、222・・・受口溝、224・・・突起部、232・・・ゴム輪、234・・・ロックリング、302・・・立坑、310・・・油圧ジャッキ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8