(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態を図面に基づき説明する。
【0010】
[第1の実施形態]
図1、
図2は、第1の実施形態に係る化粧縁付ボードとしての天板1を示す。天板1は、平板形状の木製のボード本体3と、ボード本体3の周縁全周を覆うようにして設けられる樹脂製の化粧縁5とを有する。化粧縁5は、ボード本体3の周縁全周に対し、樹脂で一体成形した矩形の枠形状であり、例えば熱可塑性樹脂エストラマー(EVA:エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂)で構成される。矩形のボード本体3は、無垢材でも合板でもよく、中実材でも中空材でもよい。後述する第3の実施形態で説明するMDF(中密度繊維板)を使用してもよく、木の種類は特に問わない。
【0011】
ボード本体3は、上面となる第1表面3aと、下面となる第2表面3bと、周囲四つの側面3cとを備え、平面視で矩形状である。化粧縁5は、ボード本体の周囲四つの側面3cに密着する密着面5aと、密着面5aに対してボード本体3と反対側に位置する外側面5bと、密着面5aの上下両端から水平に外側面5bに向けて延びる化粧縁第1表面5c及び化粧縁第2表面5dとを有する。
【0012】
化粧縁第1表面5cはボード本体3の第1表面3aと略同一面を形成し、化粧縁第2表面5dはボード本体3の第2表面3bと略同一面を形成している。化粧縁第1表面5cと外側面5bとは、第1円弧面5eで滑らかにつながり、化粧縁第2表面5dと外側面5bとは、第2円弧面5fで滑らかにつながっている。
図1に示すように、化粧縁5の周囲四箇所の角部において、外側面5b同士は外側円弧面5gによって滑らかにつながっている。なお、化粧縁第1表面5c及び化粧縁第2表面5dは設けなくてもよく、第1円弧面5e及び第2円弧面5fが、第1表面3a及び第2表面3bにそれぞれ直接滑らかにつながる構造でもよい。
【0013】
天板1は、例えばアウトサート成形することによって製造することができる。すなわち、天板1はアウトサート成形品である。アウトサート成形する際には、
図3に示すように、ボード本体3を金型7内にセットする。このとき、ボード本体3の側面3c及び角部を含む周囲全周に樹脂を流し込む環状の空間9が形成される。空間9に、金型7の図示しないゲートから溶融樹脂を流し込むことで、
図1に示す化粧縁付の天板1を製造できる。その際、ボード本体3の側面3cを凹凸形状とすることで、樹脂が、凹凸形状の凹部に入り込み、側面3cに対してより強固に密着し、より高品質な天板1となる。
【0014】
天板1は、例えば
図4に示すように4本の脚10を下面に取り付けてテーブルや机等の家具として使用できる。このとき、例えばボード本体3の第2表面3bの角部近傍の四箇所に雌ねじ部形成し、脚10には雌ねじ部に螺合する雄ねじ部を形成することで、脚10を天板1に取り付けることができる。また、天板1は、こたつの天板や、棚としても使用できる。
【0015】
次に、第1の実施形態の作用効果を説明する。
【0016】
第1の実施形態は、天板1が、平板形状のボード本体3と、ボード本体3の周縁全周を覆うようにして設けられる化粧縁5とを有し、化粧縁5は、ボード本体3の周縁全周に対し、樹脂でアウトサート成形されてなる。
【0017】
このため、化粧縁5を、ボード本体3に接着剤やねじ等によって取り付ける作業が不要であり、製造作業が容易となって、特に量産した場合のコスト低下を達成できる。ボード本体3と化粧縁5とが、これら相互の境界部分(第1表面3aと化粧縁第1表面5cとの境界及び、第2表面3bと化粧縁第2表面5dとの境界)の隙間発生を抑制して密着するので、外観品質が向上し、製品としての信頼性が向上する。
【0018】
第1の実施形態は、ボード本体3が木製である。これにより、ボード本体3を樹脂で構成するよりも、高級感を出すことができる。また、ボード本体3に化粧縁5を一体成形する際に、樹脂が木製のボード本体3の側面3cに喰い込み、ボード本体3と化粧縁5との密着度が向上する。
【0019】
なお、ボード本体3は、木製に限らず、樹脂製や金属製であってもよく、化粧縁5の樹脂は、熱可塑性樹脂エストラマーに限ることはない。また、化粧縁5を樹脂でアウトサート成形あるいはインサート成形する際に、化粧縁第1表面5cを第1表面3aの周縁上に形成してもよく、同様にして化粧縁第2表面5dを第2表面3bの周縁上に形成してもよい。さらに、ボード本体3は、平面視で矩形に限らず多角形や円形でもよく、したがって天板1も平面視で矩形に限らず多角形や円形でもよい。
【0020】
[第2の実施形態]
図5、
図10、
図11は、第2の実施形態に係る化粧縁付ボードとしての風呂蓋11を示す。風呂蓋11は、樹脂製のボード本体13と、ボード本体13の両端部に取り付けられる蓋部材としての一対のキャップ15と、一対のキャップ15を取り付けた状態のボード本体13の周縁全周を覆うようにして設けられる樹脂製の化粧縁17とを有する。
【0021】
化粧縁17は、一対のキャップ15を含むボード本体13の周縁全周に対し、樹脂で一体成形してあり、第1の実施形態の化粧縁5と同様に、例えば熱可塑性樹脂エストラマー(EVA:エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂)で構成する。ボード本体13及びキャップ15は、例えばポリカーボネートで構成する。なお、化粧縁17は熱可塑性樹脂エストラマーに限ることはなく、ボード本体13及びキャップ15はポリカーボネートに限ることはない。
【0022】
ボード本体13は、構造的には紙製の段ボールと略同様であり、プラスチック製の段ボールシートである。ボード本体13は、互いに離間して対向配置される一対の板部13aと、一対の板部13a相互をつなぐ接続部13bとを備えている。一対の板部13aは、平面視で矩形状の薄板形状であり、接続部13bは板部13aと略同程度の薄板形状であって長尺に形成してある。
【0023】
接続部13bは、一対の板部13aの面に沿って一方の端部と他方の端部との間にわたり、
図6中で一方向としてX方向に延在し、かつ、一対の板部13aの面に沿って、
図6中でY方向に沿って間隔を開けて複数設けられる。これにより、複数の接続部13b相互間に、中空部13cがY方向に沿って複数形成される。中空部13cは、X方向に沿って長く形成される直方体形状となる。X方向とY方向とは互いに直交するように交差している。
【0024】
ボード本体13の中空部13cはY方向に沿って繰り返し設けられる構造となっており、ボード本体13を、X方向に延びる線によって切断することで様々なサイズ(Y方向の長さ)に対応できる。したがって、Y方向のサイズによっては、接続部13bの近傍で切断される場合もあれば、隣り合う接続部13b間で切断される場合もある。
図6は、隣り合う接続部13bの間で切断される場合を示しており、一対の板部13aは、Y方向の両端に位置する接続部13bに対してY方向に突出する突出部13a1を備えている。これにより、一対の突出部13a1相互間に凹部13dが形成される。突出部13a1はX方向に沿って延在し、したがって凹部13dもX方向に沿って延在する。突出部13a1の接続部13bからのY方向外側への突出量は、一つの中空部13cのY方向の長さの略半分である。
【0025】
中空部13cのX方向に対応する一方の端部及び他方の端部における開口部13c1に、当該開口部13c1を塞ぐキャップ15が取り付けられる。キャップ15は、
図7、
図8に示すように、複数の中空部13cの各開口部13c1に個別に嵌入される複数の嵌入部15aと、複数の嵌入部15aの開口部13c1から突出する側の端部相互をつなぐ頭部15bとを備えている。
【0026】
キャップ15の嵌入部15aは、直方体形状の中空部13cに対応して略直方体形状であり、中空部13cに挿入した状態で中空部13cの内面に密着する。嵌入部15aは、内部が中空であり、頭部15bと反対側の先端が開口している。嵌入部15aの開口側の先端の外周縁は、中空部13cに挿入しやすいようにテーパ面15a1を形成してある。複数の嵌入部15a相互間には隙間15cを形成している。嵌入部15aを中空部13cに嵌入した状態で、ボード本体13の接続部13bが、隙間15cに略密着状態で挿入される。
【0027】
キャップ15の頭部15bは、長手方向(ボード本体13のY方向に相当)の長さが、一対の板部13aのY方向の長さと略等しい。頭部15bは、
図8に示すように、嵌入部15aの中空部分の基端側を閉塞する端面部15b1と、端面部15b1の
図8中で上下両側縁からテーパ面15a1側に向けて90度屈曲して形成される一対の鍔部15b2とを備える。
【0028】
鍔部15b2は、端面部15b1からの突出長さが、嵌入部15aの端面部15b1からの突出長さよりも短く、ボード本体13の開口部13c1側近傍の板部13aの表面を覆う覆い部を構成している。鍔部15b2と嵌入部15aとの間には、鍔部隙間15dが形成される。
図9のように、キャップ15をボード本体13に取り付けた状態で、鍔部隙間15dにボード本体13の端縁部が入り込む。
【0029】
図5、
図10、
図11に示す化粧縁17は、キャップ15を含むボード本体13の周囲全体を囲むような矩形の枠形状であり、外側部17aと、一対の板部13aの周縁近傍の上下両側を覆う一対の化粧縁鍔部17bとを備える。外側部17a及び化粧縁鍔部17bは、キャップ15を備えた部分(
図10)とキャップ15を備えていない部分(
図11)とで断面形状が異なる。
【0030】
図10に示すように、キャップ15を備えた部分の外側部17aは、薄い平板形状である。キャップ15を備えた部分の化粧縁鍔部17bは、キャップ15の鍔部15b2を覆う薄肉部17b1と、薄肉部17b1の先端側に連続する厚肉部17b2とからなる。厚肉部17b2は、ボード本体13の表面を覆っている。薄肉部17b1及び厚肉部17b2の外表面は同一面に形成してある。
【0031】
図11に示すように、キャップ15を備えていない部分の外側部17aは、
図6に示すボード本体13の凹部13dに入り込むコア部17a1を備えている。キャップ15を備えていない部分の化粧縁鍔部17bは、
図10に示す厚肉部17b2と同等の厚さを備える平板形状で、かつ、外表面が薄肉部17b1及び厚肉部17b2の外表面と同一面である。
図11に示すように、キャップ15を備えていない部分の化粧縁鍔部17bは、厚肉部17b2と同様にボード本体13の表面を覆った状態で、コア部17a1に隣接する中空部13cまで達している。
【0032】
図6に示すように、ボード本体13は一対の突出部13a1を備えている。この状態で、
図11のように化粧縁17を樹脂で一体成形することで、突出部13a1が、キャップ15を備えていない部分の化粧縁鍔部17bとコア部17a1との間の隙間17cに入り込んだ状態となる。
【0033】
図5に示す風呂蓋11は、
図9のようにボード本体13に一対のキャップ15を取り付けた状態で、例えばアウトサート成形することによって製造できる。すなわち、風呂蓋11はアウトサート成形品である。
【0034】
風呂蓋11をアウトサート成形する際には、
図12、
図13に示すように、キャップ15を取り付けたボード本体13を金型19内にセットする。
図12は、
図10のキャップ15を取り付けた部分に対応し、
図13は、
図11のキャップ15を取り付けていない部分に対応している。金型19は、ボード本体13及びキャップ15の周囲に樹脂を流し込む環状の空間21を備える。空間21に、金型19の図示しないゲートから溶融樹脂を流し込むことで、
図5に示す化粧縁付の風呂蓋11を製造できる。
【0035】
次に、第2の実施形態の作用効果を説明する。
【0036】
第2の実施形態は、化粧縁17を、ボード本体13に接着剤や留め具等によって取り付ける作業が不要であり、製造作業が容易となって、特に量産した場合のコスト低下を達成できる。ボード本体13と化粧縁17とが、これら相互の境界部分の隙間発生を抑制して密着するので、外観品質が向上し、製品としての信頼性が向上する。
【0037】
第2の実施形態は、ボード本体13が樹脂製であり、樹脂製のボード本体13は、互いに離間して対向配置される一対の板部13aと、一対の板部13a相互をつなぐ接続部13bとを備えている。このため、ボード本体13は、一対の板部13a相互をつなぐ方向の強度が接続部13bによって確保でき、風呂蓋11として信頼性が向上する。
【0038】
第2の実施形態は、接続部13bが、一対の板部13aの面に沿って一方の端部と他方の端部との間にわたりX方向に延在し、かつ、一対の板部13aの面に沿ってX方向と交差するY方向に間隔を開けて複数設けられることで相互間に中空部13cが形成される。ボード本体13が中空部13cを備えることで、強度を保ちつつ軽量化を達成でき、かつ風呂蓋11として断熱性が向上する。
【0039】
第2の実施形態は、接続部13bの延在方向の一方の端部及び他方の端部における中空部13cの開口部13c1に、開口部13c1を塞ぐキャップ15が取り付けられている。これにより、ボード本体13の周縁に対し化粧縁17を樹脂で一体成形する際に、中空部13cへの樹脂の流入を抑制できる。
【0040】
第2の実施形態は、キャップ15が、複数の開口部13c1に個別に嵌入される複数の嵌入部15aと、複数の嵌入部15aの開口部13c1から突出する側の端部相互をつなぐ頭部15bとを備えている。この場合、キャップ15は、複数の嵌入部15aが頭部15bによりつながり一体化して一つの部品となる。このため、取り扱い性が向上する上、頭部15bを押圧することで、複数の嵌入部15aを略同時に中空部13cに嵌入することができ、取付作業が容易となる。
【0041】
第2の実施形態は、キャップ15の頭部15bが、嵌入部15aを開口部13c1に嵌入した状態で、開口部13c1側近傍の板部13aの表面を覆う鍔部15b2を備えている。このため、嵌入部15aを開口部13c1に挿入した状態で、鍔部15b2によって、中空部13cへの樹脂の流入をより確実に抑制することができる。
【0042】
第2の実施形態は、化粧縁17が、キャップ15の鍔部15b2を覆う化粧縁鍔部17bを備えている。このため、キャップ15が外部に露出しなくなり、外観品質がより一層向上する。ボード本体13は樹脂製であるため、透明の樹脂製とすることで、使用時にボード本体13を通して浴槽内の状態を、風呂蓋11を外すことなく確認でき、利便性が向上する。
【0043】
[第2の実施形態の変形例]
次に、第2の実施形態の変形例を示す。変形例の風呂蓋は、外観上は
図5の風呂蓋11と同様である。
図13A〜
図13Cは、
図5に示してある樹脂製の化粧縁17を成形する前の状態を示しているが、便宜上風呂蓋110として説明する。
【0044】
風呂蓋110は、第2の実施形態の風呂蓋11と同様な樹脂製のボード本体13を使用している。風呂蓋110の風呂蓋11と大きく異なる点は、
図6に示すボード本体13の凹部13dに、
図13Dに示す凹部用キャップ16を装着していることである。
【0045】
凹部用キャップ16は、
図13B、
図14Dに示すように、凹部13dに嵌入される嵌入部16aと、嵌入部16aの凹部13dから突出する側の端部相互をつなぐ頭部16bとを備えている。嵌入部16aは、長尺の直方体形状の凹部13dに対応して外形が略直方体形状であり、凹部13dに挿入した状態で凹部13dの内面に密着する。
【0046】
嵌入部16aは、内部が中空であり、頭部16bと反対側の先端が開口している。嵌入部16aの内部には、剛性確保のためのリブ18を長手方向に沿って略等間隔に複数設けている。嵌入部16aの開口側の先端の外周縁は、凹部13dに挿入しやすいように湾曲面16a1を形成してある。湾曲面16a1に代えてテーパ面でもよい。
【0047】
頭部16bは、長手方向(ボード本体13のX方向に相当)の長さが、一対の板部13aのX方向の長さと略等しい。頭部16bは、嵌入部16aの中空部分の基端側を閉塞する端面部16b1と、端面部16b1の
図13B中で左右両側縁から湾曲面16a1側に向けて90度屈曲して形成される一対の鍔部16b2とを備える。
【0048】
鍔部16b2は、端面部16b1からの突出長さが、嵌入部16aの端面部16b1からの突出長さよりも短く、ボード本体13の凹部13dの開口側近傍の板部13aの表面を覆う。鍔部16b2と嵌入部16aとの間には、鍔部隙間16dが形成される。凹部用キャップ16をボード本体13に取り付けた状態で、鍔部隙間16dにボード本体13の突出部13a1が入り込む。嵌入部16aの長手方向(
図6のX方向に相当)の長さは、鍔部16b2の同長手方向の長さより短い。これにより、凹部用キャップ16及び後述するキャップ15Aをボード本体13に取り付けたときに、嵌入部16aと嵌入部15aとの干渉を防ぐ。
【0049】
図13Eは、
図6に示す中空部13cを塞ぐキャップ15Aの長手方向端部周辺の平面図であり、凹部用キャップ16を二点鎖線で示している。
図13Fは、
図13EのJ矢視図である。キャップ15Aは、
図7、
図8に示した第2の実施形態のキャップ15と全体の形状が略同等であるが、
図13Eに示すように長手方向端部の形状が異なる。
【0050】
キャップ15Aの長手方向端部は、頭部15bの外周面が円弧形状となる円弧面15eと、円弧面15eの端部から嵌入部15aに向けて屈曲する平面状の当接面15fとを備えている。凹部用キャップ16側の端部にも、円弧面15e及び当接面15fと同様な円弧面16e及び当接面16fを形成してある。
図13Eに示すように、円弧面16eの長さは円弧面15eの長さより短くなっているが、同等でもよい。円弧面15eと円弧面16eとで、
図13Aに示すような連続した円弧面Pを形成する。当接面15fと当接面16fとは略密着状態で互いに当接する。当接面15fと当接面16fとが互いに当接することで、上記した円弧面Pが形成される。
【0051】
化粧縁17を成形する前の
図13Aに示す風呂蓋110は、二つのキャップ15A及び二つの凹部用キャップ16によって、ボード本体13の外周縁の全周が囲まれた状態となる。この状態で、全部で四つのキャップ15A,16の周縁全周に対し、
図5に示す風呂蓋11と同様に、化粧縁17を樹脂で一体成形する。
【0052】
第2の実施形態の変形例は、第2の実施形態のように開口部13c1を塞ぐキャップ15を取り付けるだけでなく、凹部13dを塞ぐ凹部用キャップ16を取り付けている。このため、ボード本体13の周縁に対し化粧縁17を樹脂で一体成形する際に、中空部13cへの樹脂の流入を抑制できるうえ、凹部13dへの樹脂の流入を抑制できる。
【0053】
また、変形例は、
図13Bに示すように、キャップ15と凹部用キャップ16との当接部における外周面が円弧面Pとなっている。このため、化粧縁17を成形する際に、樹脂が円弧面Pに密着しやすくなり、信頼性が向上する。
【0054】
[第3の実施形態]
図14は、第3の実施形態に係る化粧縁付ボードを複数使用して組み立てた箱23を示す。箱23は、
図15〜
図17に示すように、矩形の1枚の底板25を備える。ここでの底板25は長方形状とする。底板25の周縁4箇所に、矩形の4枚の側板27を取り付けることで、
図14、
図16に示す箱23となる。箱23は、例えば道具や備品あるいは子供のおもちゃ等の物入れとして使用できる。なお、
図14以降の各図において、底板25の短辺部に沿う方向(短手方向)をX方向、底板25の長辺部に沿う方向(長手方向)をY方向、X方向及びY方向にそれぞれ直交する
図14、
図15中で上下方向をZ方向とする。
【0055】
4枚の側板27は、底板25の長辺部に取り付ける一対の大側板27Lと、底板25の短辺部に取り付ける一対の小側板27Sとを備える。大側板27Lと小側板27Sは、Z方向の高さが同等である。底板25と側板27との間及び、互いに隣接する側板27同士は、後述する連結部によって着脱自在に連結される。
【0056】
底板25は、ボード本体29と、ボード本体29の周縁全周を覆うようにして設けられる化粧縁31とを備える化粧縁付ボードである。同様に、側板27(27L,27S)は、ボード本体33(33L,33S)と、ボード本体33(33L,33S)の周縁全周を覆うようにして設けられる化粧縁35(35L,35S)とを備える化粧縁付ボードである。
【0057】
ボード本体29,33は、矩形で木製の例えばMDF(中密度繊維板)で構成している。ボード本体29,33は、MDFの他に、インシュレーションボード、ハードボード、パーティクルボードや合板等を用いてもよく、さらには樹脂や金属製でもよい。化粧縁31,35は、それぞれボード本体29,33の周縁全周に対し、樹脂で一体成形した矩形の枠形状であり、第1の実施形態の化粧縁5と同様に、例えば熱可塑性樹脂エストラマー(EVA:エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂)で構成するが、熱可塑性樹脂エストラマーに限ることはない。
【0058】
大側板27Lと小側板27Sとは、
図18、
図19にそれぞれ示す連結部37,39によって互いに連結される。各連結部37,39は、
図15で理解できるように、側板27のZ方向両端及び中央の全部で3箇所設けている。
図20は、大側板27Lの連結部37と小側板27Sの連結部39とが互いに連結した部分の断面図(
図14のC−C断面図)であり、
図21は、連結部37,39に対してZ方向にずれた位置の断面図(
図14のD−D断面図)である。
【0059】
図20、
図21に示すように、連結部37を備える大側板27Lの化粧縁35Lは、ボード本体33Lの周縁の端部33Laを覆う化粧縁本体35Laと、端部33La近傍のボード本体33Lの表裏両面を挟むようにして覆う一対の鍔部35Lbとを備えている。
図20に示すように、化粧縁本体35Laに連結部37を形成している。
【0060】
化粧縁本体35Laは、化粧縁35LのZ方向に延在する凹部35La1を備えている。凹部35La1は、ボード本体33Sの端部33Saに対向する側が開口し、かつ
図15中でZ方向の下端が開口している。凹部35La1のZ方向上端は閉塞している。
図20に示すように、連結部37は、凹部35La1の開口側において互いに接近する方向に突出する一対の挟持突起37aを備え、一対の挟持突起37aによって連結部37を構成している。
【0061】
連結部39を備える小側板27Sの化粧縁35Sは、
図20、
図21に示すように、ボード本体33Sの周縁の端部33Saを覆う化粧縁本体35Saと、端部33Sa近傍のボード本体33Sの表裏両面を挟むようにして覆う鍔部35Sbとを備えている。
図20に示すように、化粧縁本体35Saに連結部39を形成している。
【0062】
化粧縁本体35Saは、化粧縁35SのZ方向に延在する凸部35Sa1を備えている。凸部35Sa1は凹部35La1内に挿入される。連結部39は、凸部35Sa1の先端側において互いに離れる方向に突出する一対の嵌合突起39aを備えている。このため、凸部35Sa1は、嵌合突起39aに対してボード本体33S側に首部39bが形成される。首部39bは、一対の挟持突起37a相互間に位置する。
【0063】
図19に示すように、首部39bのZ方向上部には係止爪39cを設けている。係止爪39cは、凸部35Sa1の両側に、一対の嵌合突起39aに対応して一対設けてあり、凸部35Sa1に対し嵌合突起39aの突出方向と同方向に突出している。係止爪39cは、上部の傾斜面39c1と、傾斜面39c1の下端位置にて首部39bの面に対して略直交する係止面39c2とを備えている。連結部37,39同士を連結した状態では、係止爪39cの係止面39c2が連結部37の挟持突起37aの上端面37a1に当接する。これにより、小側板27Sの大側板27Lに対するZ方向下方への移動が規制され、大側板27Lの小側板27Sに対するZ方向上方への移動が規制される。
【0064】
大側板27Lと小側板27Sとを連結する際には、大側板27Lのボード本体33Lと小側板27Sのボード本体33Sとが、互いに90度を成す角度位置で、かつ、大側板27Lと小側板27SとがZ方向に互いに完全にずれた状態から行う。この状態から、小側板27Sと大側板27Lとを互いに接近する方向に相対移動させる。これにより、小側板27SのZ方向最上端に位置する嵌合突起39aを、大側板27Lの凹部35La1にZ方向下端の開口からスライドさせるようにして入り込ませる。
【0065】
嵌合突起39aが挟持突起37aに対し、
図15中で下方から上方に向けて通過する際には、
図19に示した係止爪39cが傾斜面39c1にガイドされて挟持突起37aに乗り上げ、通過後に係止面39c2が挟持突起37aの上端面37a1に係止した状態となる。係止爪39cが挟持突起37aに乗り上げる際には、例えば、一対の挟持突起37aが互いに離反するようにして化粧縁35Lが弾性変形する。
【0066】
連結部37,39はZ方向に3箇所設けているので、Z方向最上端の連結部39の係止爪39cは、小側板27SをZ方向上方にスライド移動させるときに、さらに、2箇所の挟持突起37aを乗り上げることになり、全部で3箇所の挟持突起37aを乗り上げる。Z方向中央の連結部39の係止爪39cは、最下端と中央の2箇所の挟持突起37aを乗り上げ、Z方向最下端の連結部39の係止爪39cは、最下端の1箇所の挟持突起37aを乗り上げる。
【0067】
連結部37,39同士を連結した状態では、
図20に示すように、首部39bが一対の挟持突起37a相互間に挟持されるように位置し、一対の挟持突起37aよりも奥側(
図20中で下部側)の凹部35La1に一対の嵌合突起39aが位置する。これにより、大側板27Lと小側板27Sとが連結される。Z方向3箇所の係止爪39cが、挟持突起37aの上端面37a1に上方から当接して係止することで、小側板27Sの大側板27Lに対するZ方向下方への移動が規制される。また、化粧縁35Lの凹部35La1のZ方向上端は閉塞しているので、当該閉塞した部分の化粧縁35Lに最上部の連結部37の上端が当接することにより、小側板27Sの大側板27Lに対するZ方向上方への移動が規制される。
【0068】
このようにして連結部37,39同士を連結する作業を、箱23の周囲4箇所の角部に対応する位置で行う。これにより、底板25を取り付ける前の4枚の側板27を互いに組み付けることができる。このとき、小側板27Sは、互いに平行に配置した2枚の大側板27Lに対して同時にZ方向にスライド移動させて組み付けることもできる。底板25は、互いに組み付けた状態の4枚の側板27に対し、上方から箱23の内部に落とし込むようにして入り込ませる。なお、小側板27Sと大側板27Lとを組み付ける際には、小側板27S及び大側板27Lを
図15に対して上下を逆にし、小側板27Sを大側板27Lの上から下方にスライドさせることによって、組み付け作業が容易となる。あるいは、小側板27Sと大側板27Lとを水平方向にスライド移動させて組み付けてもよい。
【0069】
次に、底板25と側板27とを連結する連結部について説明する。底板25と側板27との連結部は、
図16に示すように、嵌合部41と係合部43との2種類を設定してある。大側板27Lには、嵌合部41をY方向中央に1箇所設けてあって係合部43は設けていない。小側板27Sには、嵌合部41をX方向中央に1箇所設け、係合部43はX方向両端付近に2箇所設けている。
【0070】
嵌合部41は、
図17、
図22に示す底板25の化粧縁31に設けた嵌合凸部45と、
図17、
図23に示す側板27の化粧縁35に設けた嵌合孔47とで構成される。
図23は、小側板27Sを示すが、大側板27Lも同様の嵌合孔47を備えている。
【0071】
図24、
図25、
図26は、
図16のそれぞれE−E断面図、F−F断面図、G−G断面図であり、いずれも底板25と小側板27Sとの連結部分を示している。
図24〜
図26に示すように、底板25の化粧縁31は、ボード本体29の周縁の端部29aを覆う化粧縁本体31aと、端部29a近傍のボード本体29の表裏両面を挟むようにして覆う一対の鍔部31bとを備えている。一対の鍔部31bのうちZ方向上方の鍔部31bから、載置部31cが側板27に向けてY方向に突出して形成されている。化粧縁本体31a及び一対の鍔部31bが、ボード本体29に対し一体成形する際に接合される。
【0072】
図20、
図21でも説明した小側板27Sの化粧縁35Sは、底板25との連結部分に関し、小側板27Sの下端部33Sbを覆う化粧縁本体35Scと、下端部33Sb近傍の小側板27Sの表裏両面を挟むようにして覆う一対の鍔部35Sdとを備えている。化粧縁本体35Scから、底板受部35Seが底板25に向けてY方向に突出して形成されている。底板受部35Seの上に載置部31cが載置される。一対の鍔部35SdのうちY方向外側(
図24〜
図26中で右側)の鍔部35Sdから、支持脚部35SfがZ方向下方に突出している。支持脚部35Sfは、箱23を床等においたときに床等の表面に接触する。化粧縁本体35Sc及び一対の鍔部35Sdが、小側板27Sに対し一体成形する際に接合される。
【0073】
図25に示すように、嵌合部41の嵌合凸部45は、載置部31cの下面に、下方に向けて突出して形成してある。嵌合部41に対応する位置の底板受部35Seは、
図16、
図17にも示すように、底板25に向けてY方向に突出する突出受部35Se1を備えている。突出受部35Se1に、嵌合部41の嵌合孔47を形成している。
【0074】
したがって、底板25の載置部31cを小側板27Sの底板受部35Se及び突出受部35Se1に載置した状態で、嵌合凸部45が嵌合孔47に入り込んで嵌合する。このような嵌合部41の嵌合構造は、底板25と大側板27Lとの間にも同様に形成してある。嵌合部41によって、小側板27Sの特にX方向中央付近のY方向外側(箱23の外側)への膨らみを抑制でき、大側板27Lの特にY方向中央付近のX方向外側(箱23の外側)への膨らみを抑制できる。
【0075】
係合部43は、
図27に示す底板25の化粧縁31に設けた係合爪49と、
図28に示す小側板27Sの化粧縁35Sに設けた一対の係合凸部51とで構成される。一対の係合凸部51は、係合爪49のX方向長さの範囲内で、X方向に沿って間隔を開けて形成している。係合部43は、小側板27Sと底板25との間にのみ設けているが、大側板27Lと底板25との間に設けてもよい。
【0076】
図26、
図27に示すように、係合部43の係合爪49は、
図25に示した嵌合部41の嵌合凸部45と同様に、化粧縁31の載置部31cの下面に、下方に向けて突出して形成してある。係合爪49は、先端(下端)に小側板27S側に向けて突出する爪部49aを備えている。係合爪49は、
図22、
図27から理解できるように、載置部31cにおいて、嵌合凸部45よりも、ボード本体29にやや近く小側板27Sからやや遠い位置にある。
【0077】
図26、
図28に示すように、係合部43の一対の係合凸部51は、化粧縁35Sの底板受部35Seの下面に、Z方向の下方に向けて突出形成している。一対の係合凸部51は、
図26に示すように、支持脚部35Sfから底板受部35Seの先端まで達しており、先端面が底板受部35Seの先端面と同一面となっている。
【0078】
図26、
図27に示すように、係合爪49と化粧縁本体31aとの間には隙間53を形成している。係合爪49は、一対の係合凸部51に係合させるときに、隙間53内で化粧縁本体31a側に向けて弾性変形する。
【0079】
前述したように、底板25は、互いに組み付けた状態の4枚の側板27に対し、上方から箱23の内部に落とし込むようにして入り込ませる。このとき係合爪49は、爪部49aが底板受部35Seに当接してから隙間53側に弾性変形する。一方、嵌合凸部45は嵌合孔47に入り込む。爪部49aが一対の係合凸部51の下方まで移動すると、係合爪49が元の形状に戻り、
図26の係合状態となる。
【0080】
図26に示すように、係合部43が係合した状態で、小側板27Sは、化粧縁35Sが爪部49aと載置部31cとの間に挟持された状態となる。これにより、小側板27Sと底板25との間のZ方向の互いの移動が規制される。
【0081】
図24〜
図26に示すように、小側板27Sの化粧縁35Sの上部は、ボード本体33Sの上端部33Scを覆う化粧縁本体35Sgと、上端部33Sc近傍のボード本体33Sの表裏両面を挟むようにして覆う一対の鍔部35Shとを備えている。化粧縁本体35Sg及び一対の鍔部35Shが、ボード本体33Sに対し一体成形する際に接合される。大側板27Lの化粧縁35LのZ方向上部も小側板27Sと同様に形成してある。
【0082】
底板25及び側板27は、例えばアウトサート成形することによって製造することができる。すなわち、底板25及び側板27はアウトサート成形品である。アウトサート成形する際には、例えば底板25であれば、
図25に対応する
図29に示すように、ボード本体29を金型55内にセットする。
【0083】
このとき、ボード本体29の外周縁全周に樹脂を流し込む環状の空間57が形成される。空間57に、金型55の図示しないゲートから溶融樹脂を流し込むことで、
図17に示す化粧縁付の底板25を製造できる。その際、ボード本体29の端部29a及び端部29a近傍の表裏両面を凹凸形状とすることで、樹脂が、凹凸形状の凹部に入り込み、ボード本体29に対してより強固に密着し、より高品質な底板25となる。
【0084】
側板27についても、底板25と同様にしてアウトサート成形することができる。なお、
図20に示す大側板27Lの一対の挟持突起37a、
図25に示す側板27の嵌合孔47、
図26に示す底板25の爪部49aを成形する際には、適宜スライドコア等を使用する。
【0085】
次に、第3の実施形態の作用効果を説明する。
【0086】
第3の実施形態は、化粧縁31,35をボード本体29,33に接着剤やねじ等によって取り付ける作業が不要であり、製造作業が容易となって、特に量産した場合のコスト低下を達成できる。ボード本体29,33と化粧縁31,35とが、これら相互の境界部分の隙間発生を抑制して密着するので、外観品質が向上し、製品としての信頼性が向上する。
【0087】
第3の実施形態は、ボード本体29,33が木製である。これにより、ボード本体29,33を樹脂で構成するよりも、高級感を出すことができる。
【0088】
第3の実施形態は、化粧縁31,35には、底板25と複数の側板27とを着脱自在に連結する連結部及び、側板27同士を着脱自在に連結する連結部が設けられている。このため、これら底板25及び複数の側板27を互いに連結することで、
図14、
図16のような箱23を組み立てることができる。
【0089】
組み立てた箱23を分解する場合には、
図16に示す係合部43を外した状態で底板25を箱23の開口側に向けて移動させて側板27から外す。その後、小側板27Sと大側板27Lとを、
図19の係止爪39cを
図18の挟持突起37aの上端面37a1から外した状態で、組み付けたときと逆方向に相対移動させることで、4枚の側板27同士を外すことができる。分解した状態の底板25及び側板27は、いずれも板状であるので、不使用時には、互いに重ね合わせることでコンパクトに収納できる。
【0090】
[その他の実施の形態]
以上、実施形態について説明したが、これらの実施形態は理解を容易にするために記載された単なる例示に過ぎず、当該実施形態に限定されるものではない。技術的範囲は、上記実施形態で開示した具体的な技術事項に限らず、そこから容易に導きうる様々な変形、変更、代替技術なども含む。