(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記空調装置を点検すべく、前記屋内空間から前記屋根裏空間へ出入りする際に用いる点検口が1つだけ設けられていることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか一項に記載の建物の空調システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、屋根裏に屋内空間を有する上述の建物では、その屋内空間が屋根下にあることから屋外からの熱の影響を受け易くなっていると考えられる。特に、屋根裏にかかる屋内空間が複数設けられている場合(例えば吹き抜け空間と小屋裏収納室とが設けられている場合等)には、屋外からの熱の影響を大きく受けることになると考えられる。そのため、そのような建物においては、空調装置により空調を行うに際し空調負荷が大きくなることが想定される。
【0006】
そこで、このように屋根裏に複数の屋内空間を有する建物に対して、上記特許文献1の空調システムを適用することが考えられる。すなわち、2つの空調装置を用いて建物内の空調を行うことが考えられる。この場合、屋根裏の各屋内空間も含めて、各空調装置ごとに空調対象となる屋内空間を割り振ることが考えられる。しかしながら、その場合、その割り振り方によっては一方の空調装置の空調負荷が他方の空調装置よりも極端に高くなる等、効率のよい空調を行うことができないおそれがある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、効率よく空調を行うことができる建物の空調システムを提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決すべく、第1の発明の建物の空調システムは、建物本体と、その上方に配設された屋根部とを備え、屋内空間として、前記建物本体に形成された下側空間部と、前記建物本体よりも上方の屋根裏部分に形成され前記下側空間部と連続する上側空間部とを備え、前記上側空間部として、互いに隔てて設けられた第1上側空間部及び第2上側空間部を有する建物に適用され、前記建物には、空調空気を生成する空調装置として、第1空調装置及び第2空調装置が設けられ、それら各空調装置により前記屋内空間の空調を行う空調システムであって、前記第1空調装置より供給される空調空気を空調対象となる前記屋内空間へと搬送する複数の第1ダクトと、前記第2空調装置より供給される空調空気を空調対象となる前記屋内空間へと搬送する複数の第2ダクトとを備え、前記第1ダクトによる空調空気の搬送先には、前記第1上側空間部が含まれており、前記第2ダクトによる空調空気の搬送先には、前記第2上側空間部が含まれていることを特徴とする。
【0009】
屋根裏部分に設けられた上側空間部は屋根下にあることから屋外からの熱の影響を受け易いと考えられる。そのため、上側空間部を空調対象に含めて空調装置による空調を行う際には空調負荷が大きくなることが想定される。その点本発明では、各上側空間部のうち第1上側空間部には第1空調装置より第1ダクトを通じて空調空気を供給し、第2上側空間部には第2空調装置より第2ダクトを通じて空調空気を供給するようにしている。つまり、本発明では、各上側空間部をそれぞれ別々の空調装置により空調を行う構成としている。この場合、一方の空調装置に過大な空調負荷がかかるのを回避することができるため、効率のよい空調を行うことが可能となる。
【0010】
第2の発明の建物の空調システムは、第1の発明において、前記屋根裏部分には、前記建物本体に設けられた天井部により前記下側空間部と上下に区画された屋根裏空間が形成されており、前記屋根裏空間は、前記第1上側空間部の周囲を囲む第1周囲壁と、前記第2上側空間部の周囲を囲む第2周囲壁とにより区画されており、前記屋根裏空間には、前記第1空調装置と前記第2空調装置とがそれぞれ設けられ、前記第1ダクトを通じて搬送される空調空気を吹き出す第1吹出部と、前記第2ダクトを通じて搬送される空調空気を吹き出す第2吹出部とを備え、前記第1吹出部は、前記下側空間部の前記天井部と、前記第1上側空間部の前記第1周囲壁とにそれぞれ設けられ、前記第2吹出部は、前記下側空間部の前記天井部と、前記第2上側空間部の前記第2周囲壁とにそれぞれ設けられていることを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、第1空調装置と第2空調装置とがいずれも屋根裏空間に設置されている。また、第1空調装置より供給される空調空気の各吹出部(各第1吹出部)が屋根裏空間に面した天井部及び第1周囲壁にそれぞれ設けられ、また第2空調装置より供給される空調空気の各吹出部(各第2吹出部)が屋根裏空間に面した天井部及び第2周囲壁にそれぞれ設けられている。この場合、空調装置と各吹出部とをつなぐ複数のダクト(第1ダクト、第2ダクト)を屋根裏空間に集約して配設することができるため、下側空間部と上側空間部との双方に空調空気を搬送し空調を行う上記の構成にあって、ダクトの取り回しをし易くすることができる。
【0012】
第3の発明の建物の空調システムは、第2の発明において、前記屋根裏空間は、前記第1周囲壁を囲むように設定された第1エリアと、前記第2周囲壁を囲むように設定された第2エリアとに区分けされており、前記第1エリアに前記第1空調装置と前記各第1吹出部とが配置され、前記第2エリアに前記第2空調装置と前記各第2吹出部とが配置されていることを特徴とする。
【0013】
屋根裏空間が第1周囲壁と第2周囲壁とにより区画されている上述の構成では、各周囲壁によってダクトの配設態様に制約が生じることが想定される。例えば、屋根裏空間において周囲壁の周りは比較的狭小となっているため、そこに第1ダクトと第2ダクトとが並ぶとダクトの配設が困難になるといった問題が発生すると考えられる。そこで本発明では、この点に鑑み、屋根裏空間を、第1周囲壁を囲む第1エリアと、第2周囲壁を囲む第2エリアとに区分けし、第1エリアに第1空調装置と各第1吹出部とを配置し、第2エリアに第2空調装置と各第2吹出部とを配置している。この場合、各第1ダクトについては第1エリアに配置され、各第2ダクトについては第2エリアに配置されることになるため、第1ダクトと第2ダクトとが周囲壁の周りで並んで配置される事態を生じにくくすることができる。これにより、ダクトの取り回しを含めた空調設計の容易化を図ることができる。
【0014】
第4の発明の建物の空調システムは、第2又は第3の発明において、前記屋根裏空間には、前記第1周囲壁と前記第2周囲壁とが並ぶ並び方向における前記第2周囲壁よりも前記第1周囲壁側の領域に前記第1空調装置と前記各第1吹出部とが配置され、前記並び方向における前記第1周囲壁よりも前記第2周囲壁側の領域に前記第2空調装置と前記各第2吹出部とが配置されていることを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、屋根裏空間において第2周囲壁よりも第1周囲壁側の領域に第1空調装置と各第1吹出部とが配置され、第1周囲壁よりも第2周囲壁側の領域に第2空調装置と各第2吹出部とが配置されている。この場合、上記第3の発明と同様に、第1ダクトと第2ダクトとが周囲壁の周りで並んで配置される事態を生じにくくすることができ、その結果空調設計の容易化を図ることができる。
【0016】
第5の発明の建物の空調システムは、第2乃至第4のいずれかの発明において、前記空調装置を点検すべく、前記屋内空間から前記屋根裏空間へ出入りする際に用いる点検口が1つだけ設けられていることを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、第1空調装置と第2空調装置とがいずれも屋根裏空間に設置されているため、屋根裏空間へ出入りする際に用いる点検口を1つだけにしても各空調装置の点検を行うことが可能である。この場合、各空調装置ごとに点検口を設ける場合と比べて構成の簡素化が図れる。
【0018】
第6の発明の建物の空調システムは、第5の発明において、前記下側空間部から前記第1上側空間部へ通じる階段が設置されており、前記点検口は、前記第1上側空間部を囲む前記第1周囲壁に設けられていることを特徴とする。
【0019】
本発明によれば、第1上側空間部を囲む第1周囲壁に点検口が設けられ、その点検口を通じて屋根裏空間に出入り可能となっている。この場合、点検口がいわゆる壁付けの点検口とされているため、屋根裏空間への出入りが容易であり、空調装置の点検作業をする上で都合がよい。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、
図1は住宅の概略を示す概略図である。
【0022】
図1に示すように、住宅10は、平屋建て(一階建て)の住宅とされており、基礎11上に設けられた建物本体12(一階部分)と、その建物本体12の上方に配設された屋根部13とを備える。屋根部13は、切妻式の屋根により構成されている。
【0023】
住宅10には、屋内空間が形成されている。本住宅10では、屋内空間として、建物本体12に形成された下側空間部Xと、建物本体12よりも上方の屋根裏部分18に形成された上側空間部Yとを有している。下側空間部Xと上側空間部Yとは上下に連続した連続空間とされている。
【0024】
建物本体12において下側空間部Xの上方には天井部15が設けられている。天井部15は、下側空間部Xの天井面を形成しており、屋根部13の下方に配置されている。天井部15と屋根部13との間には屋根裏空間16が形成されている。屋根裏空間16は、天井部15により下側空間部Xと上下に区画されている。また、屋根裏空間16は、屋根裏部分18において上側空間部Yと隣接しており、その上側空間部Yとは壁部(詳しくは後述する周囲壁44,54)によって区画されている。
【0025】
続いて、住宅10内の間取りについて
図1に加え
図2を用いながら説明する。
図2は住宅10内の間取りを示す平面図である。
図3は住宅10の屋根裏部分18を示す平面図である。
図4は住宅10内の間取りを示す断面図であり、
図2のA−A線断面図に相当する。
【0026】
図2に示すように、住宅10は、平面視において矩形形状(長方形状)をなしている。本住宅10では、南側が住宅正面側、北側が住宅奥側となっている。住宅10の正面側から奥側に向けた方向は住宅10の奥行き方向であり、その奥行き方向と直交する方向は住宅10の幅方向(間口方向)である。本住宅10では、幅方向が奥行き方向よりも長い平面視長方形状となっている。
【0027】
住宅10内には、屋内空間として、住宅幅方向における中央部にリビングダイニング21が設けられているとともに、そのリビングダイニング21を挟んだ両側のうち一方側(東側)に玄関22、クローゼット23、廊下24、寝室25,26及び書斎27が設けられ、他方側(西側)にキッチン31、廊下32、トイレ33、洗面室34、寝室35及び浴室36が設けられている。リビングダイニング21を除く各屋内空間22〜27,31〜36についてはいずれも下側空間部Xに相当する。
【0028】
リビングダイニング21は、住宅10の奥行き方向(南北方向)に延びる空間となっており、詳しくは同方向の全域に亘って延びている。リビングダイニング21は、住宅奥行き方向の一方側(南側)がリビング空間21a、他方側(北側)がダイニング空間21bとなっている。
図3及び
図4に示すように、リビング空間21aは、建物本体12と屋根部13とに跨がって上下に延びる吹き抜け空間となっている。リビング空間21aでは、天井部15に吹き抜け開口部37が形成されており、その吹き抜け開口部37を介して同空間21aが上下に吹き抜けている。なお、リビング空間21aにおいて建物本体12に形成された空間は下側空間部Xに相当し、屋根裏部分18に形成された空間(以下、リビング上空間39という)は上側空間部Yに相当する。
【0029】
リビング上空間39の周囲には同空間39を囲むように周囲壁44が設けられている。この周囲壁44によりリビング上空間39が屋根裏空間16と区画されている。なお、リビング上空間39が第2上側空間部に相当し、周囲壁44が第2周囲壁に相当する。
【0030】
図2に示すように、リビングダイニング21に対して一方側(東側)には、玄関22が設けられている。玄関22には玄関口38が設けられ、その玄関口38を通じて住宅10内への出入りが可能となっている。玄関22にはクローゼット23が隣接して設けられている。クローゼット23は、靴等を収容可能であってかつ人の出入りが可能なウォークインクローゼットとなっている。玄関22とクローゼット23との間には出入口41が設けられ、その出入口41を通じて玄関22からクローゼット23への出入りが可能となっている。また、出入口41には折り戸からなるドア42が設けられている。ドア42には、その下端がアンダーカットされる等して玄関22とクローゼット23とを連通する通気部42aが設けられている。
【0031】
玄関22は廊下24に隣接しており、その廊下24は各寝室25,26及び書斎27にそれぞれ通じている。各寝室25,26は例えば子供の寝室となっている。廊下24と各寝室25,26との間にはそれぞれ出入口45,46が設けられ、それらの出入口45,46を通じて廊下24から各寝室25,26への出入りが可能とされている。また、各出入口45,46には、引き戸からなるドア47,48が設けられている。各ドア47,48には、寝室25,26と廊下24とを連通するガラリ等の通気部47a,48aが設けられている。
【0032】
また、リビングダイニング21に対して一方側では、上述した各屋内空間21〜27の他に、階段室28が設けられている。階段室28にはリビングダイニング21(詳しくはダイニング空間21b)から出入りが可能となっており、その階段室28はリビングダイニング21と連続する空間となっている。詳しくは、階段室28とリビングダイニング21との間は連通部を介して互いに連通され、その連通部にはドア等の開閉体が設けられていない。したがって、両空間21,28は常時連通状態となっている。
【0033】
階段室28は、建物本体12と屋根部13とに跨って上下に延びる吹き抜け空間となっている。階段室28には、屋根裏部分18に設けられた収納室29へ通じる階段51が設置されている(
図3及び
図4参照)。この場合、この階段51を通じて一階部分から収納室29への出入りが可能となっている。ちなみに、階段室28と収納室29とは連通部を介して互いに連通されており、その連通部にはドア等の開閉体が設けられていない。したがって、これら両空間28,29は常時連通状態となっている。
【0034】
収納室29は、天井部15と屋根部13との間に形成されたいわゆる小屋裏収納室となっている。収納室29は、玄関22、クローゼット23及び廊下24の上方に形成されている。なお、この場合、収納室29と、階段室28において屋根裏部分18に形成された空間部とを含んで上側空間部Yが構成され、その構成された上側空間部Yが第1上側空間部に相当する。その第1上側空間部の周囲には、同空間部を囲むように周囲壁54が設けられている。この周囲壁54により第1上側空間部が屋根裏空間16と区画されている。また、階段室28において建物本体12に形成された空間部は下側空間部Xに相当する。なお、周囲壁54が第1周囲壁に相当する。
【0035】
屋根裏部分18において、第1上側空間部の周囲壁54は第2上側空間部(すなわちリビング上空間39)の周囲壁44と住宅幅方向に並んで配置されている。詳しくは、これら各周囲壁44,54は住宅幅方向に所定の隙間を隔てて互いに隣接している。この場合、これら隣接する各周囲壁44,54は住宅幅方向において略中央に位置しており、また住宅奥行き方向においても略中央に位置している。したがって、屋根裏空間16は全体としてこれら各周囲壁44,54を囲むようにして形成されている。
【0036】
図2の説明に戻って、リビングダイニング21に対して他方側(西側)には、キッチン31が設けられている。キッチン31は廊下32に隣接しており、その廊下32はトイレ33、洗面室34及び寝室35へそれぞれ通じている。洗面室34には浴室36が隣接している。また、寝室35は、例えば親の主寝室となっている。
【0037】
廊下32と洗面室34との間には出入口52が設けられており、その出入口52を通じて廊下32から洗面室34への出入りが可能となっている。出入口52には、開き戸からなるドア53が設けられている。ドア53には、その下端がアンダーカットされる等して廊下32と洗面室34とを連通する通気部53aが設けられている。
【0038】
廊下32と寝室35との間には出入口55が設けられており、その出入口55を通じて廊下32から寝室35への出入りが可能となっている。また、出入口55には、引き戸からなるドア56が設けられている。ドア56には、廊下32と寝室35とを連通するガラリ等の通気部56aが設けられている。
【0039】
ところで、本実施形態の住宅10には、いわゆる全館空調システムが導入されている。以下においては、全館空調システムの構成について
図3を用いながら説明する。
【0040】
図3に示すように、全館空調システムは、第1空調装置61と第2空調装置71とを備え、これら2つの空調装置61,71より複数の屋内空間に空調空気(冷房空気又は暖房空気)を供給することで、それら複数の屋内空間の空調(冷房及び暖房)を行うものとなっている。全館空調システムは、大きく分けて第1空調装置61を有して構成される第1空調システムと、第2空調装置71を有して構成される第2空調システムとからなる。第1空調システムは、リビングダイニング21よりも東側の屋内空間を空調対象としたシステムとなっており、その空調対象としてクローゼット23、各寝室25,26及び収納室29が設定されている。一方、第2空調システムは、リビングダイニング21とそれよりも西側の屋内空間を空調対象としたシステムとなっており、その空調対象として上記リビングダイニング21の他、キッチン31、洗面室34及び寝室35が設定されている。
【0041】
第1空調システムと第2空調システムとはいずれも屋根裏空間16に導入されている。屋根裏空間16は、第1エリアE1と第2エリアE2とに区分けされており、
図3ではこれら各エリアE1,E2をそれぞれ点線で囲んで示している。これら各エリアE1,E2は、屋根裏空間16に各空調システムを導入するにあたり、便宜上区分けした仮想のエリアとなっている。したがって、これらのエリアE1,E2は壁体等により視覚的に区画されているわけではない。但し、壁体等を設けて各エリアE1,E2を互いに区画するようにしてもよい。
【0042】
第1エリアE1は、周囲壁54を囲むように設定された平面視矩形のエリアである。第2エリアE2は、周囲壁44を囲むように設定された平面視矩形のエリアである。これらのエリアE1,E2は、各周囲壁44,54が並ぶ方向(換言すると住宅幅方向)に隣接しており、各エリアE1,E2の境界部が各周囲壁44,54の間に設定されている。また、第1エリアE1は、屋根裏空間16において各周囲壁44,54の並ぶ方向(壁並び方向)における周囲壁44よりも周囲壁54側の領域となっており、第2エリアE2は、壁並び方向における周囲壁54よりも周囲壁44側の領域となっている。
【0043】
屋根裏空間16において、第1空調システムは第1エリアE1に設けられ、第2空調システムは第2エリアE2に設けられている。以下、これら第1空調システム及び第2空調システムの構成について順に説明する。
【0044】
まず、第1空調システムの構成について説明する。第1空調システムにおいて、第1空調装置61は冷房機能及び暖房機能を有する室内機として構成されている。第1空調装置61には還気ダクト63が接続されており、その還気ダクト63には還気グリル64が接続されている。還気グリル64は、廊下24の天井部15に設けられている。第1空調装置61は、その還気グリル64と還気ダクト63とを介して廊下24の空気を還気として取り込み、その取り込んだ還気をもとに空調空気(冷気又は暖気)を生成する。
【0045】
第1空調装置61には、複数の給気ダクト66が接続されている。それら各給気ダクト66にはそれぞれ給気グリル67が接続されている。これらの給気グリル67は、各寝室25,26の天井部15と、クローゼット23の天井部15と、収納室29(ひいては第1上側空間部)の周囲壁54とにそれぞれ設けられている。この場合、各給気ダクト66と各給気グリル67とはいずれも第1エリアE1に配置されている。なお、各給気ダクト66がそれぞれ第1ダクトに相当し、各給気グリル67がそれぞれ第1吹出部に相当する。
【0046】
第1空調装置61により生成された空調空気は各給気ダクト66を介して各々の給気グリル67へ供給され、それら各給気グリル67より給気として各寝室25,26、クローゼット23及び収納室29に吹き出される。これにより、それらの給気によって各屋内空間23,25,26,29の空調が行われる。
【0047】
各寝室25,26に供給された空調空気は通気部47a,48aを介して廊下24に流れ込む。また、クローゼット23に供給された空調空気は通気部42aを介して玄関22へ流れ込み、その後廊下24へ流れる。そして、廊下24に流れ込んだこれらの空調空気は還気グリル64より取り込まれ、その後還気ダクト63を介して第1空調装置61に取り込まれる。このように、第1空調システムは、屋内の空気を循環させながら空調を行う循環式の空調システムとなっている。なお、収納室29に供給された空調空気は階段室28を通じてリビングダイニング21へと流れ、その後廊下32へと流れて後述する還気グリル74に取り込まれる。
【0048】
続いて、第2空調システムの構成について説明する。
【0049】
第2空調システムにおいて、第2空調装置71は冷房機能及び暖房機能を有する室内機として構成されている。第2空調装置71には還気ダクト73が接続されており、その還気ダクト73には還気グリル74が接続されている。還気グリル74は、廊下32の天井部15に設けられている。第2空調装置71は、その還気グリル74と還気ダクト73とを介して廊下32の空気を還気として取り込み、その取り込んだ還気をもとに空調空気(冷気又は暖気)を生成する。
【0050】
第2空調装置71には、複数の給気ダクト76が接続されている。それら各給気ダクト76にはそれぞれ給気グリル77が接続されている。これらの給気グリル77は、リビングダイニング21(ダイニング空間21b)の天井部15と、キッチン31の天井部15と、寝室35の天井部15と、洗面室34の天井部15と、リビング上空間39の周囲壁44とにそれぞれ設けられている。この場合、各給気ダクト76と各給気グリル77とはいずれも第2エリアE2に配置されている。なお、各給気ダクト76がそれぞれ第2ダクトに相当し、各給気グリル77がそれぞれ第2吹出部に相当する。
【0051】
第2空調装置71により生成された空調空気は各給気ダクト76を介して各々の給気グリル77へ供給され、それら各給気グリル77より給気としてダイニング空間21b、キッチン31、寝室35、洗面室34及びリビング上空間39(ひいてはリビング空間21a)に吹き出される。これにより、それらの給気によって各屋内空間21b,31,34,35,39の空調が行われる。
【0052】
ダイニング空間21bとキッチン31とに供給された空調空気はそれぞれ廊下32に流れ込む。また、寝室35に供給された空調空気は通気部56aを介して廊下32に流れ込み、洗面室34に供給された空調空気は通気部53aを介して廊下32に流れ込む。また、リビング上空間39に供給された空調空気はダイニング空間21bを経由して廊下32に流れ込む。そして、廊下32に流れ込んだこれらの空調空気は還気グリル74より取り込まれ、その後還気ダクト73を介して第2空調装置71に取り込まれる。このように、第2空調システムは、屋内の空気を循環させながら空調を行う循環式の空調システムとなっている。
【0053】
収納室29の周囲壁54には、空調装置61,71を点検する際に用いる点検口81が設けられている。点検口81は、収納室29と屋根裏空間16とを連通する開口部であり、点検扉82により開閉可能とされている。空調装置61,71の点検をする際には、この点検口81を通じて屋根裏空間16に入り点検作業を行うこととなる。また、本住宅10では、点検口81が1つだけしか設けられていない。そのため、各空調装置61,71のうちいずれを点検する際にも、この点検口81より屋根裏空間16へ出入りすることになる。
【0054】
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0055】
屋根裏部分18に設けられた上側空間部Yは屋根下にあることから屋外からの熱の影響を受け易いと考えられる。そのため、上側空間部Yを空調対象に含めて空調装置61,71による空調を行う際には空調負荷が大きくなることが想定される。そこで、上記の実施形態では、この点に鑑み、第1空調装置61より供給される空調空気を空調対象となる屋内空間へ搬送する複数の給気ダクト66のうち、いずれかの給気ダクト66については空調空気の搬送先を収納室29(ひいては第1上側空間部)に設定し、第2空調装置71より供給される空調空気を空調対象となる屋内空間へ搬送する複数の給気ダクト76のうちいずれかの給気ダクト76については空調空気の搬送先をリビング上空間39(第2上側空間部に相当)に設定した。この場合、各上側空間部の空調がそれぞれ別々の空調装置61,71により行われることになるため、一方の空調装置に過大な空調負荷がかかるのを回避することができる。これにより、効率のよい空調を行うことが可能となる。
【0056】
第1空調装置61と第2空調装置71とをいずれも屋根裏空間16に設置した。また、第1空調装置61より供給される空調空気の吹出部となる各給気グリル67を屋根裏空間16に面した(下側空間部の)天井部15と(第1上側空間部の)周囲壁54とに設け、第2空調装置71より供給される空調空気の吹出部となる各給気グリル77を屋根裏空間16に面した(下側空間部の)天井部15と(第2上側空間部の)周囲壁44とに設けた。この場合、空調装置61,71と各給気グリル67,77とをつなぐ複数のダクト66,76を屋根裏空間16に集約して配設することができるため、下側空間部Xと上側空間部Yとの双方に空調空気を搬送し空調を行う上記の構成にあって、ダクト66,76の取り回しをし易くすることができる。
【0057】
また、各空調装置61,71を比較的広い屋根裏空間16に配置するようにしたことで、空調装置61,71及びダクト66,76の配設態様に関し自由度を高めることができる。
【0058】
屋根裏空間16を、周囲壁54を囲む第1エリアE1と、周囲壁44を囲む第2エリアE2とに区分けし、第1エリアE1に第1空調装置61と各給気グリル67とを配置し、第2エリアE2に第2空調装置71と各給気グリル77とを配置した。この場合、各ダクト66については第1エリアE1に配置され、各ダクト76については第2エリアE2に配置されることになるため、これらのダクト66,76が周囲壁44,54の周りで並んで配置される事態を生じにくくすることができる。これにより、ダクト66,76の取り回しを含めた空調設計の容易化を図ることができる。
【0059】
空調装置61,71を点検すべく、屋内空間から屋根裏空間16へ出入りする際に用いる点検口81を1つだけ設けた。第1空調装置61と第2空調装置71とがいずれも屋根裏空間16に設置されている構成では、点検口81が1つだけあれば各空調装置61,71の点検を行うことが可能である。この場合、各空調装置61,71ごとに点検口81を設ける場合と比べて構成の簡素化が図れる。
【0060】
点検口81を、収納室29(ひいては第1上側空間部)の周囲壁54に設けることで壁付けの点検口とした。この場合、屋根裏空間16への出入りが容易となり、空調装置61,71の点検作業をする上で都合がよい。
【0061】
廊下32に隣接するキッチン31、洗面室34及び寝室35についていずれも第2空調装置71による空調対象とした。この場合、廊下32に隣接する各屋内空間32,34,35を均一の温度で空調することが可能となるため、廊下32を介して各屋内空間32,34,35に出入りする際にヒートショックが生じるのを抑制することができる。
【0062】
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
【0063】
・上記実施形態では、屋根裏空間16を2つのエリアE1,E2に区分けし、それら各エリアE1,E2に空調装置61,71を別々に設置したが、これを変更してもよい。例えば、屋根裏空間16をエリアで区分けせず、2つの空調装置61,71を隣接させて配置してもよい。そうすれば、空調装置61,71のメンテナンスや点検をする上で好都合となる。
【0064】
・点検口81は必ずしも1つである必要はなく、2つ以上設けてもよい。また、点検口を天井部15に設けてもよい。その場合、下側空間部Xより点検口を通じて屋根裏空間16に出入りすることになる。
【0065】
・上記実施形態では、各空調装置61,71を屋根裏空間16に設けたが、これに代えて、床下空間に設けてもよい。また、屋内に空調装置用の機械室を設け、その機械室に各空調装置61,71を設置してもよい。これらの場合にも、給気ダクト66,76の一部を上側空間部に導くことで、当該上側空間部の空調を行うことができる。但し、給気ダクトの配設のし易さの点からすると、各空調装置61,71を屋根裏空間16に設けて給気ダクト66,76を同空間16に集約配置するのが望ましい。
【0066】
・上記実施形態では、屋根裏部分18に設けられる上側空間部が、吹き抜け空間の上側空間(リビング上空間39)や小屋裏収納室(収納室29)等となっていたが、上側空間部はその他の空間であってもよく、例えばロフトであってもよい。
【0067】
・上記実施形態では、平屋建ての住宅(建物)に本発明の空調システムを適用したが、二階建て以上の建物に本発明を適用してもよい。