(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ロッカーアームの揺動中心と前記バルブ側荷重作用点との距離であるバルブ側距離は、前記揺動中心と前記カム側荷重作用点との距離であるカム側距離よりも大きくなっており、
前記頂点部は、前記揺動中心に対して、前記バルブ側荷重作用点側に位置することを特徴とする請求項1に記載のロッカーアーム。
前記頂点部を通過する前記基準直線に対する垂線と前記基準直線との交点と、前記バルブ側荷重作用点との距離pに対する前記交点と前記カム側荷重作用点との距離qの比(q/p)は、0.8〜1.2であることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載のロッカーアーム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1〜2のロッカーアームの形状は、基本的には、設計者がロッカーアームを梁とみなし、梁とみなしたロッカーアームの剛性を大きくすることを設計思想として決定されたものである。この結果、ロッカーアームは、その中央に位置するアームシャフトが設置される軸部を太くし、軸部から先端に行くほど細くなるような形状を基本としている。今回、本発明者らは、トポロジー最適化などの近代的な計算方法からロッカーアームの形状を解析し、解析結果に基づいて新しいロッカーアームの形状を発明するに至った。
【0007】
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態は、重量の増大を抑制しつつ、剛性が大幅に増大されたロッカーアームを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係るロッカーアームは、
アームシャフトに揺動可能に支持され、カムの回転によりバルブを動作させるロッカーアームであって、
前記アームシャフトによって支持される軸受部、前記軸受部から一方側に向かって延在するカム側アーム部、及び前記軸受部から他方側に向かって延在するバルブ側アーム部、を有するアーム本体部と、
前記軸受部を跨ぐように前記カム側アーム部と前記バルブ側アーム部とを接続するアーチ状部と、
前記アーム本体部と前記アーチ状部との間に画定される空間に設けられ、前記空間に前記アーチ状部と同一の材料が同一の厚さで充填されている場合と比べて軽量化された軽量化部と、を備える。
【0009】
上記(1)の構成によれば、ロッカーアームの重量の増大を抑制しつつ、ロッカーアームの剛性を大幅に増大することができる。すなわち、軸受部を跨ぐようにアーチ状部をアーム本体部に接続すると共に、アーチ状部とアーム本体部との間に軽量化部を有することによって、ロッカーアームはトラス状の構造を有している。換言すれば、トラス状の構造により、ロッカーアームに作用する曲げ荷重は、アーチ状部における軸荷重によっても支えられることになる。これによって、従来型の梁状の構造を有したロッカーアームに比べて、ロッカーアームの剛性を高めることができる。また、例えば、ロッカーアームが軽量化部を有しておらず、アーム本体部にリブ(上記のアーチ状部に相当する部分と上記の軽量化部に相当する部分とからなるリブ)が設けられる場合のように、アーム本体部とアーチ状部との間に画定される空間にアーチ状部と同一の材料が同一の厚さで充填されている場合よりも、軽量化部によってロッカーアームの重量の増大が抑制することができる。したがって、軽量化部によってロッカーアームの重量の増大を抑制しつつ、アーチ状部によってロッカーアームの剛性を大幅に増大することができる。
【0010】
また、上記の構成によれば、ロッカーアームの重量の増大を抑制しつつ剛性を高めることができるので、ロッカーアームを含む動弁系の固有振動数を向上することができ、動弁系のジャンピングの発生を抑制することができる。さらに、動弁系のジャンピングの発生が起きにくくされることにより、吸気バルブや排気バルブといったバルブの開閉高さを増やすことができる。これによって、吸排気時の圧損(ポンピングロス)の低減できるので、エンジンの効率を高めることができる。また、バルブの着座速度なども低減できるので、パーツの寿命を長くすることができ、パーツの故障に伴うトラブルの未然防止を図ることもできる。エンジン効率向上のための給気弁の早閉じ化などを進めた場合に生じるリフト量減少も軽減することができる。
【0011】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において
前記軽量化部は、前記空間を埋めるように設けられた、前記アーチ状部よりも小さい厚さを有する板状部からなる。
上記(2)の構成によれば、板状部からなる軽量化部によってアーチ状部を支持することによりアーチ状部を補強することができ、アーチ状部の強度(耐久力)の向上を図ることができる。また、軽量化部を板状に形成することにより、軽量化部の製作を容易にすることができる。
【0012】
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において
前記軽量化部は、前記空間において相互に離間して設けられた、前記アーム本体部と前記アーチ状部とを接続する複数の棒状部からなる。
上記(3)の構成によれば、例えば、複数の棒状部をスポーク状に配置することによって軽量化部を形成するなど、複数の棒状部によってアーチ状部を支持することで、アーチ状部の補強を行うことができ、アーチ状部の強度(耐久力)の向上を図ることができる。また、軽量化部を複数の棒状部で形成することにより、ロッカーアームの軽量化をさらに図ることができる。
【0013】
(4)幾つかの実施形態では、上記(1)〜(3)の構成において
前記アーチ状部は、カム側荷重作用点とバルブ側荷重作用点とを結ぶ基準直線からの離間距離が最も大きくなる頂点部を有し、前記バルブ側アーム部から前記頂点部に向かうにしたがって前記離間距離が大きくなるように、且つ、前記頂点部から前記カム側アーム部に向かうにしたがって前記離間距離が小さくなるように形成される。
上記(4)の構成によれば、アーチ状部は、カム側荷重作用点とバルブ側荷重作用点とを結ぶ直線となる基準直線からの距離が最大となる部分となる頂点部を有すると共に、各々の荷重作用点から頂点部に向かって基準直線からの距離が次第に大きくなるように形成される。これによって、アーチ状部によるロッカーアームの剛性の増大をより効果的に実現することができる。
【0014】
(5)幾つかの実施形態では、上記(4)の構成において
前記ロッカーアームの揺動中心と前記バルブ側荷重作用点との距離であるバルブ側距離は、前記揺動中心と前記カム側荷重作用点との距離であるカム側距離よりも大きくなっており、
前記頂点部は、前記揺動中心に対して、前記バルブ側荷重作用点側に位置する。
上記(5)の構成によれば、バルブ側距離をカム側距離よりも長くすることによって、カムリフト量に対応したバルブの開閉高さをより高くすることができる。また、ロッカーアームの揺動中心よりもバルブ側荷重作用点側にアーチ状部の頂点部が位置することにより、アーチ状部によるロッカーアームの剛性の増大をより効果的に実現することができる。
【0015】
(6)幾つかの実施形態では、上記(5)の構成において
前記アーチ状部の厚さは、前記バルブ側距離と前記カム側距離とを加算した長さの5%以上15%以下である。
【0016】
ロッカーアームの剛性は、アーチ状部の厚さ(後述する図の紙面奥行の長さ)が大きくなるにしたがって増大するが、バルブ側距離およびカム側距離の加算値に対するアーチ状部の厚さの比が所定の値以上になると、剛性はそれ以上大きくなりにくくなり、サチる(飽和する)ことが、発明者らの鋭意研究により明らかになった。上記(6)の構成によれば、上述した新たな知見に基づき、アーチ状部の厚さを決定することで、より効果的に、ロッカーアームの重量の増大を抑制しつつ剛性を増大することができる。
【0017】
(7)幾つかの実施形態では、上記(5)〜(6)の構成において
前記頂点部の前記基準直線からの離間距離は、前記バルブ側距離以下である。
【0018】
アーチ状部によるロッカーアームの剛性は、頂点部の基準直線からの離間距離が大きくなるにしたがって増大するが、離間距離が一定以上大きくなると、剛性はそれ以上大きくなりにくくなり、サチる(飽和する)。他方、上記の離間距離が大きくなるほど、アーチ状部の全長が長くなるために、ロッカーアームの重量が増大する。上記(7)の構成によれば、頂点部の基準直線からの離間距離をバルブ側距離以下とすることにより、より効果的に、ロッカーアームの重量の増大を抑制しつつ剛性を増大することができる。
【0019】
(8)幾つかの実施形態では、上記(5)〜(7)の構成において
前記頂点部を通過する前記基準直線に対する垂線と前記基準直線との交点と、前記バルブ側荷重作用点との距離pに対する前記交点と前記カム側荷重作用点との距離qの比(q/p)は、0.8〜1.2である。
上記(8)の構成によれば、アーチ状部によってより効果的に、ロッカーアームの重量の増大を抑制しつつ剛性を増大することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の少なくとも一実施形態によれば、重量の増大を抑制しつつ、剛性が大幅に増大されたロッカーアームが提供される。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態に係るロッカーアーム2を備えるエンジンの動弁系1の正面図である。エンジンの動弁系1(以下、動弁系1)は、吸気バルブや排気バルブといったエンジンが備えるバルブ7を開閉する機構である。そして、
図1に示されるように、動弁系1は、カム6と、バルブ7と、カム6によるカムリフト量に応じてバルブ7を駆動する伝達機構8とを含む。まず、動弁系1の構成について、それぞれ説明する。
【0024】
カム6は、回転運動を直線運動に変換する機構を構成する一要素である。すなわち、カム6は回転するカムシャフト66と共に回転すると共に、後述する伝達機構8の従動体(
図1の例示ではカムフォロア81)に当接している。そして、回転するカム6によってこの従動体が押されることで、従動体を直線状に運動させる。より詳細には、一般的なカム6の断面は卵形の形状となっており、突出する部分(突出部62)をカム6が有することで、カム6の回転中心Oからカム6の外周までの距離の全てが一定とはなっていない。このため、カム6の回転に従って、従動体に当接するカム6の外周の位置(当接位置)が変化すると、この当接位置とカム6の回転中心Oとの距離が変化し、この距離に応じた分だけ従動体は押されることになる。
【0025】
具体的には、カム6の回転中心Oから外周までの距離は突出部62に近づくに従って増加し、突出部62の頂部63において最大となる。逆に、突出部62の頂部63から当接位置が離れるに従って、カム6の回転中心Oと当接位置との距離は減少する。このため、従動体がカム6によって押されて変位する変位量であるカムリフト量は、カムリフト量は、カム形状に大きく依存する。具体的には、カムリフト量は、当接位置が突出部62に近づくにつれて大きくなり、突出部62の頂部63において最大となる。逆に、突出部62の頂部63から当接位置が離れるに従って、カムリフト量は最大値から減少していく。
【0026】
バルブ7は、エンジンのシリンダヘッドにあけられた吸気孔と排気孔の開閉状態を制御する吸気バルブや排気バルブである。また、
図1に示されるように、バルブ7は、棒状の軸部71と、軸部71の前端部71fに接続される円板状の傘部72とで構成される。そして、この傘部72と弁シート74(弁座)との接触状態に応じて吸気孔と排気孔の開閉状態が制御される。すなわち、エンジンの吸気孔や排気孔は、傘部72と弁シート74が接触している時は閉じられた状態であり、逆に、両者が接触していない時は開かれた状態である。そして、このバルブ7の開閉制御は、カム6と、次に説明する伝達機構8と、によって行われる。
【0027】
伝達機構8は、ロッカーアーム方式で実現されており、カム6によるカムリフト量に応じてバルブ7を駆動する。言い換えると、このロッカーアーム方式で実現された伝達機構8によって、カムリフト量は、弁シート74への着座状態からのバルブ7の変位量であるからバルブリフト量に変換される。より詳細には、
図1に示されるように、バルブ7の軸部71の後端部71rには伝達機構8が接続されている。そして、上記に説明したように、カム6の回転運動は伝達機構8の従動体によってカムリフト量に変換されると共に、伝達機構8によって、カムリフト量に対応したバルブリフト量だけバルブ7は直線状に変位される。具体的には、バルブ7の軸部71の後端部71rがバルブリフト量の増加に伴って伝達機構8に押されると、作用板86とガイド部87との間に位置する、バルブ7の軸部71に挿通されたスプリング84が縮められながらバルブ7が開かれる。逆に、バルブリフト量の減少に伴って、バルブ7の軸部71の後端部71rが伝達機構8によって押される力が弱まると、縮められたスプリング84が元に戻ろうとする力でバルブ7は閉じられる。
【0028】
また、ロッカーアーム方式では、シリンダヘッドなどへのロッカーアーム2の固定部分(後述する軸受部31)をてこの支点PPとして、ロッカーアーム2の力点(後述するカム側荷重作用点Pc)側にカム6側が接続され、ロッカーアーム2の作用点(後述するバルブ側荷重作用点Pv)側にバルブ7側が接続されている。
図1に示される動弁系1では、伝達機構8は、上記のスプリング84と、ロッカーアーム2(揺腕)と、従動体に相当するカムフォロア81(滑筒)と、カムフォロア81とロッカーアーム2の力点とを接続する棒状の押棒82と、ロッカーアーム2の作用点とバルブ7の後端部71rを接続するブリッジ85と、スプリング84とロッカーアーム2との間に設けられた、スプリング84の一端部(後端部71r)に固定された作用板86を含んでいる。そして、カム6は、カムフォロア81(従動体)に当接することにより、カムフォロア81および押棒82を介してロッカーアーム2に間接的に接続されている。他方、バルブ7は、作用板86が固定されたバルブ7の後端部71rとブリッジ85とが接続されることにより、ブリッジ85を介して間接的にロッカーアーム2に接続されている。
【0029】
このような機構により、伝達機構8は、カム6側のバルブリフト量をバルブ7側のカムリフト量に変換している。換言すれば、動弁系1は、カムシャフト66、カム6、カムフォロア81、押棒82、ロッカーアーム2、ブリッジ85、作用板86、バルブ7を含んで構成されており、カム6の回転によって生じるカムリフト量に応じてバルブ7がバルブリフト量だけ駆動される。なお、他の幾つかの実施形態では、伝達機構8は、カムフォロア81および押棒82を備えておらず、ロッカーアーム2にカム6が当接(直接的に接続)することにより、ロッカーアーム2がカム6により直接的にリフトされるように構成されていても良い。
【0030】
次に、
図1に示される動弁系1を構成するロッカーアーム2について、
図2〜
図8を用いて説明する。
図2は、本発明の一実施形態に係るロッカーアーム2を示す図であり、軽量化部5は板状部51からなる。
図3Aは、本発明の一実施形態に係るロッカーアーム2の断面図であり、
図2のGG断面に対応する。
図3Bは、本発明の他の一実施形態に係るロッカーアーム2の断面図である、
図2のGG断面に対応する。
図4は、本発明の一実施形態に係るロッカーアーム2の断面図であり、
図2のHH断面に対応する。
図5は、本発明の一実施形態に係るロッカーアーム2を示す図であり、軽量化部5は複数の棒状部53からなる。
図6は、本発明の一実施形態に係るロッカーアームの断面図であり、
図5のGG断面に対応する。
図7は、本発明の一実施形態に係るロッカーアームの断面図であり、
図5のHH断面に対応する。また、
図8は、本発明の一実施形態に係るロッカーアーム2が備えるアーチ状部の厚さと剛性との関係を示す図である。
【0031】
図2、
図5に示されるように、ロッカーアーム2は、伝達機構8を構成するパーツ(部品)であり、アームシャフト88に揺動可能に支持され、カム6の回転によりバルブ7を動作させる。そして、ロッカーアーム2は、アーム本体部3と、アーチ状部4と、軽量化部5と、を備える。
以下、ロッカーアーム2を構成する各々の部位について説明する。なお、以下の説明にある上方や下方とは、図面における上方と下方に一致するものであり、例えば、重力の向きが下方でその反対が上方であっても良い。以下の説明中の厚さ方向とは紙面の法線に一致する方向であり、厚さはその方向の長さとなる。また、カム6の回転によって生じる力(つまり、ロッカーアーム2を上方へ押す押圧力)がロッカーアーム2に作用する点をカム側荷重作用点Pcと呼び、ロッカーアーム2がカム6の回転に応じて揺動することにより生じる力(つまり、バルブ7を下方へ押圧する押圧力)がバルブ7側に作用する点をバルブ側荷重作用点Pvと呼ぶものとする。
【0032】
アーム本体部3は、ロッカーアーム2における、カム6の回転によって生じる力を、バルブ7を下方へ押圧する力に変換する役割を担う主要部分である。そして、アーム本体部3は、軸受部31と、カム側アーム部32と、バルブ側アーム部33と、を備える。アーム本体部3の軸受部31は、アームシャフト88によって支持される部分である。
図1〜
図8に示される実施形態では、
図2、
図5に示されるように、軸受部31は、アーム本体部3を厚さ方向(紙面の法線の方向)に貫通する貫通孔を有することによって、厚さ方向に伸びる円筒形状を有している(
図3A〜
図3B参照)。また、この軸受部31の貫通孔に、シリンダヘッドなどに支持されたアームシャフト88が挿通されている。
【0033】
つまり、アーム本体部3(ロッカーアーム2)は、軸受部31においてアームシャフト88に支持されると共に、アームシャフト88(支点PP)を中心に回転(揺動)可能となっている。軸受部31はアームシャフト88に固定されていても良いし、アームシャフト88に対して回転可能に構成されていても良い。また、
図3Aに示されるように、軸受部31におけるアーム本体部3の厚さaは、アーチ状部4の厚さbと同一になるようにしても良く(a=bあるいはa≒b)、これによって、ロッカーアーム2の軽量化が図ることができる。あるいは、
図3Bに示されるように、軸受部31におけるアーム本体部3の厚さaは、アーチ状部4の厚さbよりも大きくても良く(a>b)、これによって、ロッカーアーム2の強度(耐久力)の向上を図ることができる。
【0034】
他方、アーム本体部3のカム側アーム部32は、アーム本体部3において軸受部31から一方側に向かって延在する部分である。他方、アーム本体部3のバルブ側アーム部33は、アーム本体部3において軸受部31から他方側に向かって延在する部分である。つまり、カム側アーム部32とバルブ側アーム部33とは、互いに反対方向に向かって延在する。また、カム側アーム部32の先端部(カム側端部32e)にはカム6側が接続されるようになっている。他方、バルブ側アーム部33の先端部(バルブ側端部33e)にはバルブ7側が接続されるようになっている。そして、
図2、
図5に示されるように、このカム側端部32eでは、カム6側(
図1では押棒82)と接続される下端にカム側荷重作用点Pcが生じ、他方、バルブ側端部33eでは、バルブ7側(
図1ではブリッジ85)と接続される下端にバルブ側荷重作用点Pvが生じている。
【0035】
図4、
図7に示される実施形態では、アーム本体部3のバルブ側アーム部33における厚さaは、アーチ状部4の厚さbと同一になるように形成されている(a=bあるいはa≒b)。ただし、この実施形態には限定されず、例えば、アーチ状部4をより軽量化するなどのために、アーム本体部3のバルブ側アーム部33における厚さaは、アーチ状部4の厚さbよりも大きくても良い(a>b)。
【0036】
アーチ状部4は、ロッカーアーム2における、軸受部31を跨ぐようにカム側アーム部32とバルブ側アーム部33とを接続する部分である。このようにアーチ状部4がアーム本体部3に接続されることにより、アーム本体部3およびアーチ状部4によって疑似的なトラス構造が形成されるため、ロッカーアーム2の剛性が増大されている。すなわち、アーチ状部4は、カム6の回転により生じる力の作用により弾性変形しようとするアーム本体部3の変形量を抑制(低減)するようにアーム本体部3を支持しており、アーチ状部4によって、アーム本体部3(ロッカーアーム2)の剛性が増大される。
図1〜
図8に示される実施形態では、アーチ状部4は、四角形状の断面形状を有し、直方体状の形状を有している(
図3A〜
図4、
図6〜
図7参照)。ただし、本実施形態に限定されず、アーチ状部4の断面は、円形や楕円形、H状などの他の形状を有していても良い。また、アーチ状部4は、長手方向に沿って中空部が形成された円筒形状を有していても良い。
【0037】
また、
図1〜
図8に示される実施形態では、
図2、
図5に示されるように、アーチ状部4は、軸受部31を跨ぐようにして、カム側アーム部32のカム側端部32eの上部とバルブ側アーム部33のバルブ側端部33eの上部とを接続している。アーチ状部4が、カム側端部32eの上部とバルブ側端部33eの上部とに接続されることにより、カム側アーム部32およびバルブ側アーム部33の少なくとも一方の端部以外の部分にアーチ状部4が接続される場合よりも、アーム本体部3の剛性の増大を図ることが可能となる。
【0038】
詳述すると、カム6が回転することによって、アーム本体部3はカム側端部32eにおいて上方に押圧される。また、このカム6の回転によって生じる押圧力によってアーム本体部3が揺動し、この揺動に伴って、アーム本体部3はバルブ側端部33eにおいてブリッジ85を下方に押圧する。この際、ブリッジ85から反力を受けることにより、アーム本体部3はバルブ側端部33eにおいて上方に押圧される。このように、アーム本体部3は、軸受部31で支持された状態で、カム側端部32eおよびバルブ側端部33e(両先端部)が共に上方に押圧されるため、軸受部31を底として湾曲するように弾性変形しようとすることになる。ところが、アーチ状部4が、共に上方への力が作用している部分である両先端部を上方から下方へ向けて支持する。すなわち、一方側の先端部に作用する上方へ向けた押圧力は、アーチ状部4の軸力となって、他方側の先端部を下方へ押圧する押圧力となり、この他方側の先端部に作用する上方への押圧力を打ち消す方向に働く。よって、アーチ状部4は、アーム本体部3の弾性変形を抑制するように働くので、アーム本体部3(ロッカーアーム2)の剛性が増大される。特に、アーチ状部4の両端がアーム本体部3の両方の先端部にそれぞれ接続されることにより、各々の先端部において、上方への押圧力および下方への押圧力の作用する横方向(紙面において上下方向に直交する方向)における位置を近づけることができるので、アーム本体部3の剛性の増大をより効果的に行うことができる。
【0039】
軽量化部5は、ロッカーアーム2における、アーム本体部3とアーチ状部4との間に画定される空間Sに設けられ、この空間Sにアーチ状部4と同一の材料が同一の厚さで充填されている場合と比べて軽量化されている部分である。軽量化部5は、ロッカーアーム2の剛性の増大への寄与は小さく、主に、アーチ状部4を支持する役割を担う。上述したアーチ状部4によってロッカーアーム2の剛性を増大することができるものの、アーチ状部4の重量の分だけ、ロッカーアーム2の重量が増大することになる。そこで、アーチ状部4の重量によるロッカーアーム2全体の重量の増大を抑制すべく、ロッカーアーム2は軽量化部5を備える。
【0040】
例えば、後述するように、軽量化部5は板状部51(
図2参照)からなっていても良いし、軽量化部5は複数の棒状部53(
図5参照)からなっていても良い。軽量化部5は、例えば、金属や樹脂など、アーチ状部4を形成する材料よりも密度(単位体積当たりの質量)が小さい材料(以下、軽量材料)が、上記空間Sにアーチ状部4と同一の厚さで上記の空間Sに充填されることにより形成されても良いし、後述する板状部51や複数の棒状部53がこの軽量部材により形成されても良い。これらの実施形態の各々では、軽量化部5によってアーチ状部4を支持するため、アーチ状部4の強度(耐久力)を向上することもできる。あるいは、軽量化部5は空間Sのままでも良く、この場合には、アーチ状部4によるロッカーアーム2の重量の増大を最大限抑制することが可能となる。
【0041】
図1〜
図8で示される実施形態では、アーム本体部3およびアーチ状部4は同じ材料で形成されている。例えば、ロッカーアーム2は、少なくともアーム本体部3およびアーチ状部4を鋳造により一体的に成形することにより製造されても良いし、板状の材料を加工することにより製造されても良い。この場合、
図3Bに示されるように、アーム本体部3、アーチ状部4、軽量化部5の各々の表面にテーパを形成することにより、製造を容易に行うことができる。
【0042】
上記の構成によれば、ロッカーアーム2の重量の増大を抑制しつつ、ロッカーアーム2の剛性を大幅に増大することができる。すなわち、軸受部31を跨ぐようにアーチ状部4をアーム本体部3に接続すると共に、アーチ状部4とアーム本体部3との間に軽量化部5を有することによって、ロッカーアーム2はトラス状の構造を有している。換言すれば、トラス状の構造により、ロッカーアーム2に作用する曲げ荷重は、アーチ状部4における軸荷重によっても支えられることになる。これによって、従来型の梁状の構造を有したロッカーアーム2に比べて、ロッカーアーム2の剛性を高めることができる。また、例えば、ロッカーアーム2が軽量化部5を有しておらず、アーム本体部3にリブ(上記のアーチ状部に相当する部分と上記の軽量化部に相当する部分とからなるリブ)が設けられる場合のように、アーム本体部3とアーチ状部4との間に画定される空間Sにアーチ状部4と同一の材料が同一の厚さで充填されている場合よりも、軽量化部5によってロッカーアーム2の重量の増大が抑制することができる。したがって、軽量化部5によってロッカーアーム2の重量の増大を抑制しつつ、アーチ状部4によってロッカーアーム2の剛性を大幅に増大することができる。
【0043】
また、上記の構成によれば、ロッカーアーム2の重量の増大を抑制しつつ剛性を高めることができるので、ロッカーアーム2を含む動弁系1の固有振動数を向上することができ、動弁系1のジャンピングの発生を抑制することができる。さらに、動弁系1のジャンピングの発生が起きにくくされることにより、吸気バルブや排気バルブといったバルブ7の開閉高さを増やすことができる。これによって、吸排気時の圧損(ポンピングロス)の低減できるので、エンジンの効率を高めることができる。また、バルブ7の着座速度なども低減できるので、パーツの寿命を長くすることができ、パーツの故障に伴うトラブルの未然防止を図ることもできる。エンジン効率向上のための給気弁の早閉じ化などを進めた場合に生じるリフト量減少も軽減することができる。なお、
図1〜
図8に示される実施形態では、40%程度のポンピングロスの低減効果が確認されている。
【0044】
次に、上述した軽量化部5の実施形態について説明する。
幾つかの実施形態では、
図2〜
図4に示されるように、軽量化部5は、上記の空間Sを埋めるように設けられた、アーチ状部4よりも小さい厚さを有する板状部51からなる。
図2〜
図4に示される実施形態では、
図3A〜
図4に示されるように、板状部51の厚さeは、アーチ状部4の厚さbよりも小さくなっている(厚さe<厚さb)。これによって、板状部51が上述した軽量部材で形成されている場合は当然として、板状部51がアーチ状部4と同一の材料で形成されている場合であっても、板状部51の厚さe=アーチ状部4の厚さbの関係が成立する場合と比較して、ロッカーアーム2の軽量化が実現されている。また、アーム本体部3とアーチ状部4との間に板状部51が介在することにより、板状部51によってアーチ状部4を支持することができ、アーチ状部4が変形するのを防止することができる。
【0045】
上記の構成によれば、板状部51からなる軽量化部5によってアーチ状部4を支持することによりアーチ状部4を補強することができ、アーチ状部4の強度(耐久力)の向上を図ることができる。また、軽量化部5を板状に形成することにより、軽量化部5の製作を容易にすることができる。
【0046】
また、幾つかの実施形態では、
図5〜
図7に示されるように、軽量化部5は、上記空間Sにおいて相互に離間して設けられた、アーム本体部3とアーチ状部4とを接続する複数の棒状部53からなる。
図5〜
図7に示される実施形態では、図示されるように、複数の棒状部53は4本の棒状の部材で構成されている。また、複数の棒状部53の各々は、軸受部31の上部からアーチ状部4に放射状に延在することにより、アーム本体部3とアーチ状部4とを接続している。すなわち、複数の棒状部53は、アーチ状部4における空間Sに向いた分力の向きと、棒状部53の軸方向の力の向きを合わせるように、アーム本体部3とアーチ状部4とを接続している。これによって、アーチ状部4の強度(耐久力)の向上を図っている。
【0047】
また、
図5〜
図7に示される実施形態では、複数の棒状部53の各々の断面は四角形の形状をしており、その厚さeは、アーチ状部4の厚さbより小さくなっている(e<b)。ただし、本実施形態に限定されず、例えば、他の幾つかの実施形態では、複数の棒状部53の各々の厚さeはアーチ状部4の厚さbと同じであっても良く(e=b)、複数の棒状部53の各々の厚さeはアーチ状部4の厚さb以下となっていても良い(e≦b)。また、複数の棒状部53の各々の断面形状は、円、楕円、H状、環状など他の形状であっても良い。
【0048】
また、
図5〜
図7に示される実施形態では、図示されるように、複数の棒状部53の各々の断面積の大きさ(太さ)は全て同じとはなっておらず、それぞれ異なっている。これは、アーチ状部4において、頂点部4p(後述)よりもバルブ側端部33e側の方が大きな力が作用することに対応するためであり、より大きな力が作用する側に位置する棒状部53の太さを、より大きくしている。これによって、受ける力の大きさに応じて、複数の棒状部53の各々の強度(耐久力)を調整することで、その強度(耐久力)を適切に設定しつつ、重量の増大を抑制することができる。また、受ける力が大きいほど、アーチ状部4やアーム本体部3と棒状部53との接続部分の断面積を大きくすることにより、接続部分における局所的な力を断面積の全体に分散することができる。これによって、アーチ状部4、アーム本体部3が上記の接続部分において棒状部53からの力に負けて破壊等されることを防止することができる。
【0049】
ただし、本実施形態に本発明は限定されない。例えば、他の幾つかの実施形態では、上述のように棒状部53の太さを調整するのではなく、棒状部53の本数を調整しても良い。すなわち、より大きな力が作用する側に位置する棒状部53の本数をより増やしても良く、複数の棒状部53の太さを調整する場合と同様の効果を奏することができる。また、その他の幾つかの実施形態では、全ての棒状部53の太さが同じであっても良い。また、複数の棒状部53は、2以上の棒状部53からなっていれば良い。また、例えば、他の幾つかの実施形態では、複数の棒状部53の少なくとも1本の棒状部53がアーム本体部3とアーチ状部4とを接続していれば良く、その1本の棒状部53に接続される棒状部53や、カム側アーム部32あるいはバルブ側アーム部33の上面から垂直に伸びる棒状部53など、他の棒状部53は上記の効果を奏する範囲で、様々な配置を取っていても良い。
【0050】
上記の構成によれば、例えば、複数の棒状部53をスポーク状に配置することによって軽量化部5を形成するなど、複数の棒状部53によってアーチ状部4を支持することで、アーチ状部4の補強を行うことができ、アーチ状部4の強度(耐久力)の向上を図ることができる。また、軽量化部5を複数の棒状部53で形成することにより、ロッカーアーム2の軽量化をさらに図ることができる。
【0051】
また、幾つかの実施形態では、
図2、
図5に示されるように、アーチ状部4は、カム側荷重作用点Pcとバルブ側荷重作用点Pvとを結ぶ基準直線Lbからの離間距離Isが最も大きくなる頂点部4pを有する。そして、アーチ状部4は、バルブ側アーム部33から頂点部4pに向うにしたがって離間距離Isが大きくなるように、且つ、頂点部4pからカム側アーム部32に向かうにしたがって離間距離Isが小さくなるように形成される。
図1〜
図8に示される実施形態では、離間距離Isは、アーチ状部4におけるバルブ側アーム部33の端部から頂点部4pに向かうにしたがって連続的に大きくなっている。換言すれば、離間距離Isは、頂点部4pから、アーチ状部4におけるバルブ側アーム部33の端部に向かうにしたがって連続的に小さくなっている。同時に、離間距離Isは、アーチ状部4におけるカム側アーム部32の端部から頂点部4pに向かうにしたがって連続的に大きくなっている。換言すれば、離間距離Isは、頂点部4pから、アーチ状部4におけるカム側アーム部32の端部に向かうにしたがって連続的に小さくなっている。つまり、アーチ状部4は、カム側端部32e(例えばカム側荷重作用点Pc)と頂点部4pとバルブ側端部33e(例えばバルブ側荷重作用点Pv)とを結んだ線が円弧状を含む弓なりの形状となるような形状を有している。
【0052】
ただし、アーチ状部4の形状は
図1〜
図8に示される実施形態の形状に限定されず、上記の離間距離Isは、
図2、
図5に示されるように連続的に変化していなくても良い。例えば、アーチ状部4は、カム側端部32e(例えばカム側荷重作用点Pc)と頂点部4pとバルブ側端部33e(例えばバルブ側荷重作用点Pv)とを結んだ線が、三角形や多角形となるような形状を有していていも良い。
【0053】
上記の構成によれば、アーチ状部4は、カム側荷重作用点Pcとバルブ側荷重作用点Pvとを結ぶ直線となる基準直線Lbからの距離が最大となる部分となる頂点部4pを有すると共に、各々の荷重作用点から頂点部4pに向かって基準直線Lbからの距離が次第に大きくなるように形成される。これによって、アーチ状部4によるロッカーアームの剛性の増大をより効果的に実現することができる。
【0054】
また、幾つかの実施形態では、
図1〜
図5に示されるように、ロッカーアーム2の揺動中心(アームシャフト88の軸心となる支点PP)とバルブ側荷重作用点Pvとの距離であるバルブ側距離Dvは、揺動中心とカム側荷重作用点Pcとの距離であるカム側距離Dcよりも大きくなっており、頂点部4pは、揺動中心に対して、バルブ側荷重作用点Pv側に位置する。
【0055】
上記の構成によれば、バルブ側距離Dvをカム側距離Dcよりも長くすることによって、カムリフト量に対応したバルブ7の開閉高さをより高くすることができる。また、ロッカーアーム2の揺動中心(支点PP)よりもバルブ側荷重作用点Pv側にアーチ状部4の頂点部4pが位置することにより、アーチ状部4によるロッカーアーム2の剛性の増大をより効果的に実現することができる。
【0056】
また、幾つかの実施形態では、アーチ状部4の厚さb(
図3A〜
図4、
図6〜
図7参照)は、バルブ側距離Dvとカム側距離Dcとを加算した長さの5%以上15%以下である。詳述すると、ロッカーアーム2の剛性は、アーチ状部4の厚さbが大きくなるにしたがって増大するが、バルブ側距離Dvおよびカム側距離Dcの加算値(Dv+Dc)に対するアーチ状部4の厚さの比が所定の値以上になると、その剛性はそれ以上大きくなりにくくなり飽和することが、発明者らの鋭意研究により明らかになった。これに関して
図8を用いて説明する。
図8は、バルブ側距離Dvとカム側距離Dcとの加算値に対するアーチ状部4の厚さbの割合(b/(Dv+Dc))と、ロッカーアーム2の剛性との関係を示す剛性特性Cを示している。後述するように、アーチ状部4の厚さbに関する剛性特性C(以下、単に剛性特性C)は、横軸の値が大きくなるにしたがって剛性が飽和する特性を示すので、縦軸は、飽和した際の剛性の値を100%として示している。
【0057】
図8に例示されるように、この剛性特性Cは、縦軸で示される剛性の値が、横軸の値の増加に従って単調に増加するのではなく、変曲点により増加の割合を次第に減じながら、次第に剛性の値が飽和していくような特性を有している。より具体的には、縦軸に示される剛性の値は、横軸の値(割合)が0%側から5%付近(第1変曲点Ca)まで大きくなるのにしたがって最も大きな割合(変化率)で増大しており、横軸の値が5%付近において、剛性の値は60%付近まで増大している。また、横軸の値が5%付近から8%付近(第2変曲点Cb)の間は、剛性の値は、第1変曲点Caまでの変化率よりも小さい変化率で増大し、横軸の値が8%付近において90%付近まで増大している。一方、剛性の値は、横軸の値が20%付近で飽和(100%)しており、第2変曲点Cb以降は、剛性の値は、アーチ状部4の厚さbを増大させるにしたがって増大するものの、最低の変化率でゆるやかに飽和に向けて増大している。
【0058】
このように、アーチ状部4の厚さbを増大するとロッカーアーム2の剛性を飽和値まで増大することができるが、その一方で、アーチ状部4の厚さbを増大するのにしたがって、アーチ状部4(ロッカーアーム2)の重量が単調に増大していくため、重量の増大した分だけ慣性力が増大する。つまり、アーチ状部4により増大したロッカーアーム2の剛性は、慣性力により低減されることになる。このため、横軸の値が5%以上となるようにアーチ状部4の厚さbを決定することにより、ロッカーアーム2の重量の増大を抑制しつつ、その剛性の増大効果を最大限得ることが可能となる。一方、ロッカーアーム2の剛性の増大効果が得られないような横軸の値が20%よりも大きくなるようにアーチ状部4の厚さbを決定する必要はない。つまり、横軸の値が5%以上20%以下となるように、アーチ状部4の厚さbを決定することにより、ロッカーアーム2の剛性を増大することができる。また、横軸の値が15%より大きい範囲では、剛性が増大するものの重量の増大に比べて剛性の増大はわずかに増加するに過ぎない。このため、横軸の値が5%以上15%以下とした場合であっても、ロッカーアーム2の剛性を横軸の値が20%の場合と同様な程度にまで増大することができる。さらに、横軸の値が5%以上8%以下となるように、アーチ状部4の厚さbを決定することにより、ロッカーアーム2の重量の増大を抑制しつつ、アーチ状部4の厚さbの増大によって得られる剛性の90%程度までの剛性を得ることができる。
【0059】
上記の構成によれば、上述した新たな知見に基づき、アーチ状部4の厚さbを決定することで、より効果的に、ロッカーアーム2の重量の増大を抑制しつつ剛性を増大することができる。
【0060】
また、幾つかの実施形態では、アーチ状部4の幅d(
図2、
図5参照)は、バルブ側距離Dvとカム側距離Dcとを加算した長さの3%以上である。アーチ状部4は応力を受ける部分であり、ロッカーアーム2の剛性の増大には、アーチ状部4の幅dは大きい方が望ましい。ただし、アーチ状部4の幅dが大きいほど、アーチ状部4(ロッカーアーム2)の重量が増大することになる。このため、バルブ側距離Dvとカム側距離Dcとの加算値に対するアーチ状部4の幅dの割合(d/(Dv+Dc))が3%以上となるように、アーチ状部4の幅dを決定するのが望ましい。
図1〜
図8に示される実施形態では、上記のd/(Dv+Dc)が例えば、3.7%など、3%以上〜4%以下の値となるように、アーチ状部4の幅dを決定している。これによって、ロッカーアーム2の剛性を増大させるためのアーチ状部4の強度(耐久力)を確保することができる。
【0061】
また、幾つかの実施形態では、頂点部4pの基準直線Lbからの離間距離Isは、バルブ側距離Dv以下である。アーチ状部4によるロッカーアーム2の剛性も、頂点部4pの基準直線Lbからの離間距離Isが大きくなるにしたがって増大するが、離間距離Isが一定以上大きくなると、剛性はそれ以上大きくなりにくくなり、サチる(飽和する)。他方、上記の離間距離Isが大きくなるほど、アーチ状部4の全長が長くなるために、ロッカーアーム2の重量が増大する。上記の構成によれば、頂点部4pの基準直線Lbからの離間距離Isをバルブ側距離Dv以下とすることにより、より効果的に、ロッカーアーム2の重量の増大を抑制しつつ剛性を増大することができる。
【0062】
また、幾つかの実施形態では、頂点部4pを通過する基準直線Lbに対する垂線Lhと基準直線Lbとの交点Loと、バルブ側荷重作用点Pvとの距離pに対する上記交点Loとカム側荷重作用点Pcとの距離qの比(q/p)は、0.8〜1.2である。
図2、
図5に示されるように、ロッカーアーム2の揺動中心(アームシャフト88の軸心となる支点PP)は、アーム本体部3の長手方向の中央よりも、カム側端部32e側に位置する。そして、0.8≦q/p≦1.2とすることにより、ロッカーアーム2の揺動中心よりも頂点部4pをバルブ側端部33eに位置させることが可能となる。
図1〜
図8に示される実施形態では、q/pは1.1となっている。他の幾つかの実施形態では、q/pは1.0となっている。これによって、アーチ状部によってより効果的に、ロッカーアームの重量の増大を抑制しつつ剛性を増大することができる。
【0063】
本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。