特許第6831212号(P6831212)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6831212
(24)【登録日】2021年2月1日
(45)【発行日】2021年2月17日
(54)【発明の名称】自動ドア
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/632 20150101AFI20210208BHJP
【FI】
   E05F15/632
【請求項の数】2
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-217229(P2016-217229)
(22)【出願日】2016年11月7日
(65)【公開番号】特開2018-76657(P2018-76657A)
(43)【公開日】2018年5月17日
【審査請求日】2019年4月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】軽部 亮
【審査官】 藤脇 昌也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−031099(JP,A)
【文献】 特開2012−219431(JP,A)
【文献】 米国特許第06079162(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 15/00 − 15/79
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右の縦枠と、前記左右の縦枠に取り付けられた上枠と、前記左右の縦枠間に配置された縦骨と、前記左右の縦枠のうちの一方の縦枠、前記上枠および前記縦骨によって形成された枠内に配置されたパネルと、前記パネルよりも室内側に配置された開閉戸と、前記開閉戸を当該上枠に沿って開閉移動させるエンジンユニットとを備え、
前記上枠には、前記エンジンユニットと、天井を形成するボードが載せられる額縁とが取り付けられ、
前記額縁は、前記エンジンユニットに対して上方に配置され、
前記上枠は、室内見付け片部と、前記室内見付け片部に連続した上見込み片部および下見込み片部と、前記上見込み片部に連続した室外見付け片部と、前記下見込み片部および前記室外見付け片部に連続したパネル保持用の溝形成部と、前記上見込み片部および前記下見込み片部間において前記室内見付け片部および前記室外見付け片部に連続した仕切り片部とを有し、
前記上枠の内部は、前記仕切り片部によって上ホローおよび下ホローに仕切られ、
前記下ホローには、断面コ字形状の取付金具が配置され、
前記取付金具の下側先端は、前記溝形成部に対向して配置され、
前記取付金具の上側先端は、前記仕切り片部に金具対向部が形成されている場合には当該金具対向部に対向して配置され、または、前記金具対向部が形成されていない場合には前記室外見付け片部に対向して配置され、
前記エンジンユニットは、前記取付金具にねじ止めされ、
前記エンジンユニットの見付け寸法は、当該エンジンユニットの見込み寸法よりも小さくされ、
前記上枠の見付け寸法は、前記エンジンユニットの見付け寸法と、前記上枠に取り付けられる前記額縁の見付け寸法とを合わせた寸法よりも大きい寸法とされている
ことを特徴とする自動ドア。
【請求項2】
請求項に記載の自動ドアにおいて、
前記室外見付け片部に装着された上枠カバーを有し、
前記室外見付け片部の室外面は、前記溝形成部の室外面よりも室内側に位置し、
前記上枠カバーの室外面は、前記溝形成部の室外面に沿って位置している
ことを特徴とする自動ドア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉戸を開閉移動させるスライド式の自動ドアに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建具枠と、建具枠内でスライド開閉自在に支持された障子と、障子を開閉駆動する電動式の駆動装置とを備えた自動ドアが知られている(特許文献1参照)。建具枠は、上枠、下枠、左右の縦枠および縦骨を枠組みして構成されている。駆動装置は、上枠の内部に設置された電動モータ、プーリ、ベルト等を備えたエンジンユニットとして構成されており、ベルトが障子の上部の吊下支持装置に接続され、吊下支持装置を介して駆動力を伝達して障子を開閉駆動できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2008−308845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の自動ドアでは、エンジンユニットが上枠に内蔵されるため、上枠の見付け寸法を小さくすることが困難である。ここで、エンジンユニットを上枠に外付けすることで、上枠の見付け寸法を小さくすることが考えられる。
しかし、エンジンユニットを上枠に外付けした場合には、エンジンユニットと天井との位置の取り合いを考慮する必要があり、自動ドアの設置に手間を要する。
【0005】
本発明の目的は、上枠の見付け寸法を小さく抑えつつ、エンジンユニットと天井との位置の取り合いを容易に設定できる自動ドアを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の自動ドアは、左右の縦枠と、前記左右の縦枠に取り付けられた上枠と、前記左右の縦枠間に配置された縦骨と、前記左右の縦枠のうちの一方の縦枠、前記上枠および前記縦骨によって形成された枠内に配置されたパネルと、前記パネルよりも室内側に配置された開閉戸と、前記開閉戸を当該上枠に沿って開閉移動させるエンジンユニットとを備え、前記上枠には、前記エンジンユニットと、天井を形成するボードが載せられる額縁とが取り付けられ、前記額縁は、前記エンジンユニットに対して上方に配置され、前記上枠は、室内見付け片部と、前記室内見付け片部に連続した上見込み片部および下見込み片部と、前記上見込み片部に連続した室外見付け片部と、前記下見込み片部および前記室外見付け片部に連続したパネル保持用の溝形成部と、前記上見込み片部および前記下見込み片部間において前記室内見付け片部および前記室外見付け片部に連続した仕切り片部とを有し、前記上枠の内部は、前記仕切り片部によって上ホローおよび下ホローに仕切られ、前記下ホローには、断面コ字形状の取付金具が配置され、前記取付金具の下側先端は、前記溝形成部に対向して配置され、前記取付金具の上側先端は、前記仕切り片部に金具対向部が形成されている場合には当該金具対向部に対向して配置され、または、前記金具対向部が形成されていない場合には前記室外見付け片部に対向して配置され、前記エンジンユニットは、前記取付金具にねじ止めされ、前記エンジンユニットの見付け寸法は、当該エンジンユニットの見込み寸法よりも小さくされ、前記上枠の見付け寸法は、前記エンジンユニットの見付け寸法と、前記上枠に取り付けられる前記額縁の見付け寸法とを合わせた寸法よりも大きい寸法とされていることを特徴とする。
【0007】
本発明の自動ドアによれば、上枠に取り付けられるエンジンユニットの見付け寸法が見込み寸法よりも小さいので、上枠の見付け寸法を、エンジンユニットの見付け寸法および額縁の見付け寸法を合わせた寸法よりも大きくしても、エンジンユニットが内蔵される上枠の見付け寸法よりも小さく抑えられる。さらに、エンジンユニットおよび額縁の双方を上枠の見付け面に外付けし、額縁にボードを設置することで天井を形成できるので、エンジンユニットと天井との位置の取り合いを容易に設定できる。
【0008】
また、本発明の自動ドアによれば、取付金具の下側先端が溝形成部に対向し、かつ上側先端が金具対向部または室外見付け片部に対向して配置されるので、取付金具を仮位置決めでき、エンジンユニットを取付金具に簡単にねじ止めできる。
【0009】
本発明の自動ドアでは、前記室外見付け片部に装着された上枠カバーを有し、前記室外見付け片部の室外面は、前記溝形成部の室外面よりも室内側に位置し、前記上枠カバーの室外面は、前記溝形成部の室外面に沿って位置していることが好ましい。
このような構成によれば、上枠カバーを室外見付け片部に装着することで、上枠の室外面を、左右方向において自動ドアの隣に配置される固定窓などの縦枠および上枠の室外面に沿って配置でき、自動ドアの上枠と固定窓などとの間に目地を形成できる。
また、例えば押出形材によって上枠カバーに相当する部分も上枠と一体に形成する場合には、上ホローと、下ホローと、前記部分および室外見付け片部によって形成される室外側ホローとが形成されたトリプルホローの形材を押出成形することとなり、製造が困難である。これに対し、本発明では、上枠と上枠カバーとを分けて製造可能であるので、製造が容易である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、上枠の見付け寸法を小さく抑えつつ、エンジンユニットと天井との位置の取り合いを容易に設定できる自動ドアを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態に係る自動ドアを備えた連窓を示す内観姿図。
図2】前記実施形態に係る自動ドアを備えた連窓を示す横断面図。
図3図2に示すIII−III線に沿った断面図。
図4図2に示すIV−IV線に沿った断面図。
図5】前記実施形態に係る自動ドアの要部を示す説明図。
図6】前記実施形態に係る自動ドアの天井の高さ位置を変更して示す縦断面図。
図7】前記実施形態に係る自動ドアのエンジンユニットを変更して示す縦断面図。
図8】本発明の変形例に係る自動ドアを示す縦断面図。
図9】本発明の他の変形例に係る自動ドアを示す縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[本実施形態の構成]
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1では、建物内外を仕切る連窓1を示しており、連窓1は、本実施形態に係る自動ドア10と、自動ドア10の左右両側に配置された固定窓2(FIX窓)とを備えている。
【0013】
各固定窓2は、図1図4に示すように、左右の縦枠3と、上枠4と、下枠5と、左右の縦枠3、上枠4および下枠5によって形成される枠内に固定されたパネル6とを備えている。左右の縦枠3、上枠4および下枠5は、アルミ製の押出形材によってそれぞれ形成されている。パネル6は、本実施形態では複層のガラスパネルによって形成されているが、単層のガラスパネルであってもよい。
【0014】
自動ドア10は、本実施形態では両開き式であり、図1図3に示すように、左右の縦枠20A,20Bと、縦枠20A,20Bに取り付けられた上枠40および下枠50A,50Bと、縦枠20A,20B間に配置された縦骨60A,60Bと、縦枠20A、上枠40、下枠50Aおよび縦骨60Aによって形成される枠内に配置されるパネル70Aと、縦枠20B、上枠40、下枠50Bおよび縦骨60Bによって形成される枠内に配置されるパネル70Bと、パネル70A,70Bよりも室内側に配置される開閉戸80A,80Bと、上枠40に取り付けられた横型エンジンユニット90(エンジンユニット)とを備えている。
【0015】
縦枠20A,20B、上枠40、下枠50A,50Bおよび縦骨60A,60Bは、アルミ製の押出形材によってそれぞれ形成されている。パネル70A,70Bは、本実施形態では複層のガラスパネルによって形成されているが、単層のガラスパネルであってもよい。
【0016】
縦枠20A,20Bは、本実施形態では、図2に示すように固定窓2の縦枠3とともに分割方立としてそれぞれ構成されている。
図2において左側に示す縦枠20Aは、方立部材201を備えており、左右方向において自動ドア10の左側に隣接する固定窓2の方立部材301Aと組み合わされている。方立部材301Aは、後述する自動ドア10の方立部材301と同様に構成されている。
【0017】
方立部材201は、見込み片部21と、見込み片部21の室外側部分から方立部材201の見付け方向内側に突出した二つの突部によって形成された係合溝形成部23と、見込み片部21のうち係合溝形成部23よりも室内側に位置する部分に形成された対向部24とを有している。
係合溝形成部23には押縁7が係合している。この押縁7は、パネル70Aの室外面に当接するバックアップ材およびシール材が設けられている。
対向部24は、断面略コ字形状に形成されており、パネル70Aの室内面に対向して位置する対向片部241には、パネル70Aの室内面に当接するバックアップ材およびシール材が設けられている。
【0018】
また、見込み片部21には、方立部材201の見付け方向外側に突出した複数の係合部27が形成されている。複数の係合部27は、固定窓2の方立部材301Aの複数の係合部37に係合している。
【0019】
図2において右側に示す縦枠20Bは、方立部材301を備えており、左右方向において自動ドア10の左側に隣接する固定窓2の方立部材201Aと組み合わされている。方立部材201Aは、前述した自動ドア10の方立部材201と同様に構成されている。
【0020】
方立部材301は、見込み片部31と、見込み片部31の室内端部に連続した室内見付け片部32と、見込み片部31の室外側部分から方立部材301の見付け方向内側に突出した二つの突部によって形成された係合溝形成部33と、見込み片部31のうち係合溝形成部33よりも室内側に位置する部分に形成された対向部34とを有している。
係合溝形成部33には押縁7が係合している。この押縁7は、パネル70Bの室外面に当接するバックアップ材およびシール材が設けられている。
対向部34は、断面略コ字形状に形成されており、パネル70Bの室内面に対向して位置する対向片部341には、パネル70Bの室内面に当接するバックアップ材およびシール材が設けられている。
【0021】
また、見込み片部31には、方立部材301の見付け方向外側に突出した複数の係合部37が形成されている。複数の係合部37は、固定窓2の方立部材201Aの複数の係合部27に係合している。
【0022】
上枠40は、図3に示すように、上枠本体41と、上枠本体41に装着された上枠カバー42と、上枠カバー42の左右の小口を塞ぐ左右の小口カバー43とによって構成されている。
上枠本体41は、室内見付け片部411と、室内見付け片部411に連続した上見込み片部412および下見込み片部413と、上見込み片部412に連続した室外見付け片部414と、下見込み片部413および室外見付け片部414に連続したパネル保持用の溝形成部415と、上見込み片部412および下見込み片部413間において室内見付け片部411および室外見付け片部414に連続した仕切り片部416とを有している。
【0023】
室外見付け片部414の室外面は、溝形成部415の室外面よりも室内側に後退した位置に配置(セットバック)されている。
上枠本体41の内部は、仕切り片部416によって上ホロー417および下ホロー418に仕切られている。また、仕切り片部416には、下方に突出した金具対向部としての突部416Aが形成されている。
【0024】
溝形成部415は、溝見込み片部415Aと、溝見込み片部415Aの室外端部に連続した室外対向片部415Bと、溝見込み片部415Aの室内端部に連続した室内対向片部415Cとを有している。
【0025】
溝見込み片部415Aは、上枠40の見込み方向に沿って配置されている。室外対向片部415Bおよび室内対向片部415Cは、上枠40の見付け方向に沿って配置されており、溝見込み片部415Aから垂下している。
【0026】
室外対向片部415Bは、パネル70A,70Bの室外面に対向して配置されている。室外対向片部415Bには、パネル70A,70Bの室外面に当接したバックアップ材およびシール材が設けられている。
【0027】
室内対向片部415Cは、パネル70A,70Bの室内面に対向して配置されている。室内対向片部415Cには、パネル70A,70Bの室外面に当接したバックアップ材およびシール材が設けられている。
室内対向片部415Cの室内面に沿った延長線上には、仕切り片部416の突部416Aの室内面が位置している。つまり、室内対向片部415Cの室内面の見込み位置と突部416Aの室内面の見込み位置は同じ位置である。
【0028】
上枠カバー42は、図3に示すように、カバー見付け片部421と、カバー見付け片部421の上下の端部に形成された係合片部422,423と、係合片部422,423間に配置された小口カバー取付片部424とを有している。
係合片部422は、室外見付け片部414に形成された係合片部414Aに係合しており、係合片部423は、溝見込み片部415Aに形成された係合突部419に係合している。上枠カバー42および室外見付け片部414間には、室外側ホロー425が形成されている。
この上枠カバー42の室外面は、溝形成部415の室外面に沿って位置している。
【0029】
左右の小口カバー43は互いに同様に構成されている。小口カバー43は、図3図5(B)に示すように、上枠本体41の係合片部414Aから溝形成部415の室外対向片部415Bの下端まで延びて形成されており、上枠本体41の室外見付け片部414にねじ止めされた固定片部431を有している。なお、図5(A)は、図1に符号Aで示す部分、すなわち、固定窓2および自動ドア10の連結部分の内観を示しており、図5(B)は、図5(A)に示す連結部分の外観を示している。
また、上枠カバー42の小口カバー取付片部424には、連結金具432がねじ止めされている。この連結金具432には、小口カバー43に螺合したねじの左右方向に沿った軸部が挿通されている。このように、小口カバー43は、連結金具432を介して上枠カバー42を上枠本体41に連結されている。
【0030】
小口カバー43のうち上枠カバー42の小口を覆う部分と上枠カバー42の小口との間には、図5(B)に示すように、クリアランスが形成されており、このクリアランスを形成することによって上枠カバー42の熱伸びを許容している。なお、このクリアランスにはスポンジ等が配置されていてもよい。
【0031】
前述した上枠40の見付け寸法L1は、図3に示すように、上枠40に取り付けられる後述する額縁115の見付け寸法L2と、横型エンジンユニット90の見付け寸法L3とを合わせた寸法よりも大きい寸法とされている。また、上枠40の見付け寸法L1は、後述する図7に示す縦型エンジンユニット90Aの見付け寸法L5よりも大きい寸法とされている。
【0032】
下枠50A,50Bは、互いに同様に構成されており、下枠50Aは、パネル70Aの下縁を保持しており、下枠50Bは、パネル70Bの下縁を保持している。以下、図3に示す下枠50Aについて詳細に説明し、下枠50Bについての詳細な説明を省略する。
【0033】
下枠50Aは、図3に示すように、室外見付け片部51と、見込み片部52,53と、室内見付け片部54とを有している。室外見付け片部51および室内見付け片部54は、見込み片部52,53に連続している。見込み片部52は、見込み片部53よりも上方に位置している。見込み片部52,53間には、室外見付け片部51と室内見付け片部54とに連続した連続片部55が形成されている。なお、室内見付け片部54には、開閉ガイド部材100が取り付けられている。
【0034】
見込み片部52の室外側部分には、上方に立ち上げられた二つの突部によって係合溝形成部56が形成されている。この係合溝形成部56には押縁7が係合しており、この押縁7は、パネル70Aの室外面に対向して位置している。押縁7には、パネル70Aの室外面に当接するバックアップ材およびシール材が設けられている。
【0035】
見込み片部52の室内側部分は上方に立ち上げられて室内見付け片部54に連続しており、この立ち上げられた室内側部分には、下枠50Aの見込み方向において室外側に延出した室内対向片部58が形成されている。室内対向片部58の室外端部は、パネル70Aの室内面に対向して配置されている。室内対向片部58の室外端部には、パネル70Aの室内面に当接したバックアップ材およびシール材が設けられている。前述した押縁7、見込み片部52および室内対向片部58によってパネル保持用の溝形成部が構成されている。
【0036】
室外見付け片部51は、下枠50Aの見込み方向において押縁7よりも室内側に後退した位置に配置(セットバック)されている。この室外見付け片部51には、幅木カバー59が取り付けられている。幅木カバー59の室外面は、押縁7の室外面と面一となっている。なお、幅木カバー59の両小口は、縦枠20Aおよび縦骨60Aによって塞がれている。
【0037】
縦骨60A,60Bは、互いに同様に構成されており、図2に示すように、縦骨60Aは、パネル70Aの縦縁を保持しており、縦骨60Bは、パネル70Bの縦縁を保持している。以下、縦骨60Aについて詳細に説明し、縦骨60Bについての詳細な説明を省略する。
【0038】
縦骨60Aは、下枠50Aから上下方向に沿って配置されて上枠40に取り付けられている。縦骨60Aは、見込み片部62と、室内見付け片部64と、見込み片部62の室外側部分からパネル70A側に突出した二つの突部によって形成される係合溝形成部65と、係合溝形成部65よりも室内側の位置で見込み片部62からパネル70A側に延出した室内対向片部66と、室内見付け片部64および室内対向片部66に連続する連続片部67とを有している。室内見付け片部64には、モヘア8が装着されている。
【0039】
係合溝形成部65には押縁7が係合している。この押縁7はパネル70Aの室外面に対向して配置されている。押縁7には、パネル70Aの室外面に当接したバックアップ材およびシール材が設けられている。
室内対向片部66は、パネル70Aの室内面に対向して配置されている。室内対向片部66には、パネル70Aの室内面に当接したバックアップ材およびシール材が設けられている。
【0040】
開閉戸80A,80Bは、互いに同様に構成されており、図2に示すように、開閉戸80Aは、縦骨60A,60B間の開口部9の左半分を開閉可能に配置されており、開閉戸80Bは、開口部9の右半分を開閉可能に配置されている。以下、開閉戸80Aについて詳細に説明し、開閉戸80Bについては詳細な説明を省略する。
【0041】
開閉戸80Aは、図2,3に示すように、左右の縦框81,82、上框83、下框84およびパネル85を框組みして構成されている。パネル85は、本実施形態では複層のガラスパネルによって形成されているが、単層のガラスパネルであってもよい。上框83には、後述するブラケット101が取り付けられている。下框84には、前述した開閉ガイド部材100に左右方向に案内されるガイド片86が取り付けられている。
【0042】
この開閉戸80Aは、ブラケット101を介して横型エンジンユニット90に吊り下げられることで、開口部9の室内側であって縦枠20A,20B間に配置され、かつ、縦骨60Aの室内見付け片部64に隙間を隔てて配置される。
また、開閉戸80Aよりも縦枠20B側に配置される開閉戸80Bは、ブラケット101を介してエンジンユニットに吊り下げられることで、開口部9の室内側であって縦枠20A,20B間に配置され、かつ、縦骨60Bの室内見付け片部64に隙間を隔てて配置される。
【0043】
横型エンジンユニット90は、図3に示すように見付け寸法L3が見込み寸法L4よりも小さく形成されている。横型エンジンユニット90は、レール91と、レール91に沿って走行可能に係合したローラ92と、ローラ92を走行させる電動モータ等のエンジン(図示省略)とがケース99内に収容されて構成されている。
【0044】
レール91はケース99と一体に形成されている。ローラ92の軸部には、ブラケット101を介して開閉戸80A,80Bが吊り下げられている。エンジンは、横型エンジンユニット90の見込み方向においてレール91およびローラ92よりも室内側に配置されている。この横型エンジンユニット90は、上枠40の長手方向に沿って配置されている。
【0045】
この横型エンジンユニット90は、上枠40の下ホロー418に配置された取付金具110にねじ止めされることによって上枠40に取り付けられている。
取付金具110は、図3に示すように断面コ字形状に形成されている。取付金具110の下側先端111は、溝形成部415の室内対向片部415Cに対向して配置されており、取付金具110の上側先端112は、仕切り片部416に形成された突部416Aに対し隙間を隔てて対向して配置されている。
【0046】
前述した連窓1には天井が設置される。天井は、固定窓2の上枠4および自動ドア10の上枠40にそれぞれ額縁115(膳板)を取り付け、額縁115にボード116を載せることによって構成されている。
上枠40の室内見付け片部411に取り付けられた額縁115は、横型エンジンユニット90に対し、エンジンメンテナンス用のクリアランスを隔てて上方に配置されている。
また、固定窓2の上枠4に取り付けられた額縁115の高さ位置と自動ドア10の上枠40に取り付けられた額縁115の高さ位置とは、同じ高さ位置となっている。このため、各額縁115に載せられたボード116の高さ位置H(天井高さ位置)は揃っている。
【0047】
[本実施形態の動作]
以下、本実施形態に係る連窓1の自動ドア10の開閉動作について説明する。なお、自動ドア10には、開口部9へ接近する人などを感知するセンサー(図示省略)が設置されており、このセンサーによる感知に基づいて横型エンジンユニット90のエンジンが作動する。
【0048】
先ず、開口部9に接近する人などをセンサーが感知すると、横型エンジンユニット90のエンジンを作動してローラ92をレール91に沿って走行させ、開閉戸80Aを図2に示す閉鎖位置から縦枠20A側の開放位置まで自動的に開放移動するとともに、開閉戸80Bを図2に示す閉鎖位置から縦枠20B側の開放位置まで自動的に開放移動する。開閉戸80A,80Bが開放位置に到達すると、前記開放移動を停止して所定時間待機する。待機後、センサーが人などを感知している状態である場合には、さらに所定時間待機する。また、センサーが人などを感知していない状態である場合には、横型エンジンユニット90のエンジンを作動してローラ92をレール91に沿って逆方向に走行させ、開閉戸80A,80Bを開放位置から閉鎖位置まで自動的に閉鎖移動する。開閉戸80A,80Bが閉鎖位置に到達すると、前記閉鎖移動を停止し、再びセンサーが人などを感知するまで静止状態となる。このように自動ドア10は開閉動作する。
【0049】
前述した自動ドア10では、額縁115が上枠40に直接取り付けられているが、参考として、例えば図6に示すように天井を図3に示す位置よりも低い位置に配置することもできる。このように構成する場合には、横型エンジンユニット90にボード支持具117を取り付け、このボード支持具117によってボード116を支持する。
【0050】
また、参考として、自動ドア10には、図7に示す縦型エンジンユニット90Aを取り付けることもできる。縦型エンジンユニット90Aは、その見付け寸法L5が見込み寸法L6よりも大きく形成されており、横型エンジンユニット90と同様にレール91、ローラ92、エンジン等を備えており、ブラケット101を介して開閉戸80A,80Bを吊り下げている。縦型エンジンユニット90Aでは、エンジンは、レール91やローラ92よりも上方に配置されている。
上枠40の見付け寸法L1は、前述したように縦型エンジンユニット90Aの見付け寸法L5よりも大きいので、上枠40に縦型エンジンユニット90Aを取り付けることが可能である。本実施形態の自動ドア10では、横型エンジンユニット90、縦型エンジンユニット90Aのいずれも上枠40に取付け可能である。
【0051】
[本実施形態の効果]
(1)前記実施形態では、自動ドア10は、左右の縦枠20A,20Bと、縦枠20A,20Bに取り付けられた上枠40と、縦枠20A,20B間に配置された縦骨60A,60Bと、縦枠20A、上枠40および縦骨60Aによって形成された枠内に配置されたパネル70Aと、縦枠20B、上枠40および縦骨60Bによって形成された枠内に配置されたパネル70Bと、パネル70Aよりも室内側に配置された開閉戸80Aと、パネル70Bよりも室内側に配置された開閉戸80Bと、上枠40に取り付けられているとともに開閉戸80A,80Bを当該上枠40に沿って開閉移動させる横型エンジンユニット90とを備え、横型エンジンユニット90の見付け寸法L3は、当該横型エンジンユニット90の見込み寸法L4よりも小さくされ、上枠40の見付け寸法L1は、横型エンジンユニット90の見付け寸法L3と、上枠40に取り付けられる額縁115の見付け寸法L2とを合わせた寸法よりも大きい寸法とされていることを特徴とする。
上記構成を有するため、上枠40に取り付けられる横型エンジンユニット90の見付け寸法L3が見込み寸法L4よりも小さいので、上枠40の見付け寸法L3を、横型エンジンユニット90の見付け寸法L3および額縁115の見付け寸法L2を合わせた寸法よりも大きくしても、エンジンユニットが内蔵される上枠の見付け寸法よりも小さく抑えられる。さらに、横型エンジンユニット90および額縁115の双方を上枠40の室内側見付け面に外付けし、額縁115にボード116を設置することで天井を形成できるので、横型エンジンユニット90と天井との位置の取り合いを容易に設定できる。
さらに、本実施形態では、以下の各効果を発揮できる。
(2)上枠40は、室内見付け片部411と、室内見付け片部411に連続した上見込み片部412および下見込み片部413と、上見込み片部412に連続した室外見付け片部414と、下見込み片部413および室外見付け片部414に連続したパネル保持用の溝形成部415と、上見込み片部412および下見込み片部413間において室内見付け片部411および室外見付け片部414に連続した仕切り片部416とを有し、上枠40の内部は、仕切り片部416によって上ホロー417および下ホロー418に仕切られ、下ホロー418には、断面コ字形状の取付金具110が配置され、取付金具110の下側先端111は、溝形成部415に対向して配置され、取付金具110の上側先端112は、仕切り片部416に形成された突部416Aに対向して配置され、横型エンジンユニット90は、取付金具110にねじ止めされている。
このため、取付金具110の下側先端111および上側先端112が溝形成部415および仕切り片部416の突部416Aに対向して配置されるので、取付金具110を仮位置決めでき、横型エンジンユニット90を取付金具110に簡単にねじ止めできる。
(3)自動ドア10は、室外見付け片部414に装着された上枠カバー42を有し、室外見付け片部414の室外面は、溝形成部415の室外面よりも室内側に位置し、上枠カバー42の室外面は、溝形成部415の室外面に沿って位置している。
このため、上枠カバー42を室外見付け片部414に装着することで、上枠40の室外面を、左右方向において自動ドア10の隣に配置される固定窓2の縦枠3および上枠4の室外面に沿って配置でき、自動ドア10の上枠40と固定窓2との間に目地120(図5(B)参照)を形成できる。
また、例えば押出形材によって上枠カバー42に相当する部分も上枠本体41と一体に形成する場合には、上ホロー417と、下ホロー418と、前記部分および室外見付け片部414によって形成される室外側ホロー425とが形成されたトリプルホローの形材を押出成形することとなり、製造が困難である。これに対し、前記実施形態では、上枠本体41と上枠カバー42とを分けて製造可能であるので、製造が容易である。
【0052】
[変形例]
本発明は、以上の実施形態で説明した構成のものに限定されず、本発明の目的を達成できる範囲での変形例は、本発明に含まれる。
例えば、前記実施形態では、上枠40の見付け寸法L1は、縦型エンジンユニット90Aの見付け寸法L5よりも大きい寸法とされているが、同じ寸法とされていてもよい。
【0053】
前記実施形態では、上枠40に取り付けられた横型エンジンユニット90および額縁115間には、エンジンメンテナンス用のクリアランスが形成されているが、このクリアランスがエンジンメンテナンスに必要とされない場合には当該クリアランスを形成しなくてもよい。
【0054】
前記実施形態では、仕切り片部416の突部416Aを取付金具110の上側先端112に対向する金具対向部として構成しているが、これに限られず、例えば図8に示すように、仕切り片部416に形成された段部416Bを、取付金具110の上側先端112に対し隙間を隔てて対向する金具対向部として構成してもよい。この場合には、取付金具110の下側先端111および上側先端112が溝形成部415および仕切り片部416の段部416Bに対向して配置されるので、取付金具110を仮位置決めでき、横型エンジンユニット90を取付金具110に簡単にねじ止めできる。
【0055】
また、例えば図9に示すように、仕切り片部416の突部416Aを省略し、ビスホールを仕切り片部416の上面側に形成し、かつ、取付金具110の上片部を室外側に延長して上側先端112を室外見付け片部414に対し隙間を隔てて対向して配置してもよい。この場合には、取付金具110の下側先端111および上側先端112が溝形成部415および室外見付け片部414に対向して配置されるので、取付金具110を仮位置決めでき、横型エンジンユニット90を取付金具110に簡単にねじ止めできる。
【0056】
前記実施形態では、取付金具110が断面コ字形状に形成されているが、これに限られず、断面L字形状等に形成されていてもよい。
また、上枠40の仕切り片部416の突部416Aの構成は省略されてもよく、また仕切り片部416の構成自体が省略されてもよい。
【0057】
前記実施形態では、上枠カバー42が上枠本体41に取り付けられているが、上枠カバー42の構成を省略してもよい。この場合には、左右の小口カバー43の構成も省略される。
【0058】
前記実施形態では、自動ドア10として両開き式のものを説明したが、片開き式のものであってもよい。
【符号の説明】
【0059】
1…連窓、2…固定窓、3,20A,20B…縦枠、4,40…上枠、5,50A,50B…下枠、6,70A,70B,85…パネル、7…押縁、8…モヘア、9…開口部、10…自動ドア、21,31,52,53,62…見込み片部、23,33,56,65…係合溝形成部、24,34…対向部、27,37…係合部、32,64,54,411…室内見付け片部、41…上枠本体、42…上枠カバー、43…小口カバー、51,414…室外見付け片部、55…連続片部、58,415C…室内対向片部、59…幅木カバー、60A,60B…縦骨、66…室内対向片部、67…連続片部、80A,80B…開閉戸、81,82…縦框、83…上框、84…下框、86…ガイド片、90…横型エンジンユニット、90A…縦型エンジンユニット、91…レール、92…ローラ、99…ケース、100…開閉ガイド部材、101…ブラケット、110…取付金具、111…下側先端、112…上側先端、115…額縁、116…ボード、117…ボード支持具、120…目地、201,201A,301,301A…方立部材、241,341…対向片部、412…上見込み片部、413…下見込み片部、414A,422,423…係合片部、415…溝形成部、415A…溝見込み片部、415B…室外対向片部、416…仕切り片部、416A…突部(金具対向部)、416B…段部(金具対向部)、417…上ホロー、418…下ホロー、419…係合突部、421…カバー見付け片部、424…小口カバー取付片部、425…室外側ホロー、431…固定片部、432…連結金具、H…高さ位置、L1〜L3,L5…見付け寸法、L4,L6…見込み寸法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9