特許第6831214号(P6831214)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダイコク電機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6831214-遊技機 図000002
  • 特許6831214-遊技機 図000003
  • 特許6831214-遊技機 図000004
  • 特許6831214-遊技機 図000005
  • 特許6831214-遊技機 図000006
  • 特許6831214-遊技機 図000007
  • 特許6831214-遊技機 図000008
  • 特許6831214-遊技機 図000009
  • 特許6831214-遊技機 図000010
  • 特許6831214-遊技機 図000011
  • 特許6831214-遊技機 図000012
  • 特許6831214-遊技機 図000013
  • 特許6831214-遊技機 図000014
  • 特許6831214-遊技機 図000015
  • 特許6831214-遊技機 図000016
  • 特許6831214-遊技機 図000017
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6831214
(24)【登録日】2021年2月1日
(45)【発行日】2021年2月17日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20210208BHJP
【FI】
   A63F7/02 319
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-219667(P2016-219667)
(22)【出願日】2016年11月10日
(65)【公開番号】特開2018-75230(P2018-75230A)
(43)【公開日】2018年5月17日
【審査請求日】2019年9月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000108937
【氏名又は名称】ダイコク電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】特許業務法人 サトー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】近藤 芳充
【審査官】 阿部 知
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−166853(JP,A)
【文献】 特開2016−005657(JP,A)
【文献】 特開2005−245609(JP,A)
【文献】 特開2005−245605(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の有効ライン上に識別情報の組み合わせを表示するための変動表示を可能とした複数の変動表示部を有する表示手段と、
前記表示手段の変動表示を行う変動制御手段と、
前記表示手段による表示結果として有効ライン上に所定の識別情報の組み合わせを得たかを判定する判定手段と、を備え、
遊技者による所定の遊技が可能であり、あらかじめ定められる変動表示の開始条件の成立により前記表示手段による変動表示を開始し、前記判定手段による判定結果に基づいて遊技者にとって有利な遊技状態に制御可能な遊技機であって、
前記変動表示部は、第1面と、当該第1面の裏側に位置し、前記識別情報が表示される第2面との二重構造であり、
前記第1面は、透明な通常表示領域と、透明ではあるが前記通常表示領域とは光学特性が異なる特別表示領域とを有し、
前記第2面には、前記通常表示領域と重なった場合よりも前記特別表示領域と重なった場合の方が前記光学特性により視認容易となる前記識別情報である特別識別情報と、当該特別識別情報とは光学特性が異なる前記識別情報である通常識別情報とが表示され、
前記有利な遊技状態は、前記特別識別情報を少なくとも含む所定の識別情報の組合せを有効ライン上に得た旨が、前記判定手段により判定された場合に制御可能であり、
前記判定手段は、前記通常識別情報については、前記通常表示領域と前記特別表示領域とのいずれと重なった場合であっても有効と判定し、前記特別識別情報については、前記通常表示領域と重なった場合には有効でないと判定する一方、前記特別表示領域と重なった場合には有効と判定することを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記通常表示領域は、無色透明の場合と比較して、前記特別表示領域に近似させた透明度、及び色合いの少なくとも一方に調整されることで、前記特別識別情報と重ならない場合に、前記特別表示領域との視認上の区別がし難いことを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記変動制御手段は、前記第1面を停止した状態で、前記2面を変動させる第1変動制御を可能とし、
前記第1変動制御は、前記特別表示領域が有効ライン上に位置するように前記第1面を停止した状態で、当該特別表示領域に前記特別識別情報が重ならない状態から重なる状態となり、更に重ならない状態となるように前記第2面を変動させる変動制御であることを特徴とする請求項1または2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記変動制御手段は、前記第2面を停止した状態で、前記第1面を変動させる第2変動制御を可能とし、
前記第2変動制御は、前記特別識別情報が有効ライン上に位置するように前記第2面を停止した状態で、当該特別識別情報に前記特別表示領域が重ならない状態から重なる状態となるように前記第1面を変動させる変動制御であることを特徴とする請求項1からの何れか一項に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ遊技機等の遊技機では、大当り抽選結果を示す図柄変動を行う表示手段として、3つ等の複数のドラムを有するドラム構造の遊技機がある。そして、例えば特許文献1のように、ドラムを二重構造とした二重ドラムを採用し、外ドラムと内ドラムに描かれた図柄を組み合わせて図柄変動を行うことで、遊技の興趣を高めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−275564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
さて、特許文献1の様な従来の二重ドラムでは、外ドラムに透明領域を設け、その透明領域においては内ドラムの図柄を視認可能とするが、外ドラムの図柄が描かれた領域については、その図柄により内ドラムの図柄を隠蔽し、外ドラムの図柄を内ドラムの図柄に優先して有効としているため図柄の表示パターンの多様性は増すものの、意外性のある表示演出としてはドラムを高速回転する等しかなく、一重ドラムと実質的に変わらない表示演出に留まり、興趣を高めることには限界があった。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、二重構造化による表示演出の興趣を従来に比してより高めた表示手段を備えた遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明によれば、第1面における通常表示領域だけでなく、特別識別情報の視認に影響を与える特別表示領域についても透明とすることで、特別表示領域が有効ライン上に位置した状態でも、その特別表示領域が位置する領域にて第2面を視認可能となり、表示演出の興趣を高めた遊技機を提供可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態における遊技機の電気的構成を示すブロック図
図2】ドラム制御基板と接続された各種機器を示すブロック図
図3】遊技機を概略的に示す正面図
図4】表示部の斜視図
図5】第1ドラムユニットを断面にして示す正面図
図6】外ドラムの斜視図
図7】内ドラムの斜視図
図8】内ドラムと外ドラムとを同軸上に重ねた状態で示す斜視図
図9】内ドラムの一部を模式的に示す図
図10】外ドラムの一部を模式的に示す図
図11】内ドラムの図柄配列を示す図
図12】外ドラムの図柄配列を示す図
図13】偏光大当り図柄と偏光領域との位置関係を示す図(その1)
図14】偏光大当り図柄の実際の視認イメージを示す図(その1)
図15】偏光大当り図柄と偏光領域との位置関係を示す図(その2)
図16】偏光大当り図柄の実際の視認イメージを示す図(その2)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
図3はCR(カードリーダ)遊技機を概略的に示す正面図である。遊技機1は、盤面2に玉を発射する発射装置を構成する操作ハンドル3、上受皿4、下受皿5を有し、上受皿4には残高表示部6、貸出釦7、返却釦8が設けられている。盤面2には、普図入賞口9、普図表示部10、普図保留表示部11、ドラム式表示部12(表示手段)、第1保留数表示部13、第2保留数表示部14、複数の一般入賞口15、第1始動口16、第2始動口17、大入賞口18が設けられている。ドラム式表示部12は表示窓19を介して視認可能となっている。
【0009】
遊技機1は、通常時は第1始動口16を狙った盤面左側に玉を打ち込む所謂左打ちを行う一方、特別状態(甘中)では第2始動口17を狙った盤面右側に玉を打ち込む所謂右打ちを行う機種である。また、ドラム式表示部12にて大当り図柄等の役図柄(識別情報)が揃う有効ラインは上段、中段、下段の3段であり、以下、有効ラインの上段を上ライン、中段を中ライン、下段を下ラインと称する。
【0010】
遊技機1は以下に示すように動作する。
(1)第1始動口16は入賞率が変動しない入賞口(所謂ヘソ入賞口)であり、第2始動口17は入賞率が変動する入賞口(所謂電チュー)である。各始動口16、17への入賞(始動入賞)に応じて大当り抽選を行い、抽選結果をドラム式表示部12にて行う図柄変動にて報知し、その変動結果に応じて大当りとなる。
【0011】
(2)図柄変動中に始動入賞した場合には所定の保留上限値(例えば各4つ)まで図柄変動を累積的に保留し、図柄変動終了後に保留している図柄変動を開始する。尚、保留している図柄変動数(保留数)が上限値である状態で始動入賞した場合、図柄変動は保留されず、第2保留数表示部14に保留がある場合は第1保留数表示部13の保留に優先して保留している図柄変動を実行する。
【0012】
(3)大当り抽選の当選確率(大当り確率)は1/260であり、大当りがその後確変状態(確変)となる大当り(確変大当り)となる割合である確変率は(通常状態、確変状態共に)50%である。大当りが発生すると12ラウンド(R)分だけ大入賞口18を開放する。尚、1Rの上限入賞数は10個、上限開放時間は30秒であり、上限入賞数又は上限開放時間のいずれかが満たされた場合に1Rを終了する。
【0013】
(4)確変中は大当り確率が1/50に向上すると共に、各始動口16,17への入賞率が高くなる時短状態(時短)になる。尚、確変は次回大当りまで継続するので、大当り後に大当りでも確変でもない状態である通常遊技状態(通常状態)となる大当り(通常大当り)が発生するまで継続し、その後は所定数(例えば100回)の図柄変動を行うまで時短状態となり、その後に通常状態となる。
【0014】
(5)第2始動口17は普図入賞口9への入賞に応じて変動する普通図柄(普図)が当りとなった場合に入賞率の高い開放状態となる。この場合、普図1回の変動時間は通常状態では30秒であり時短状態では3秒となる。又、開放時間は通常状態では0.3秒であり時短状態では5秒となる。即ち、時短状態では通常状態と比較して普図変動時間が短くなる一方、開放時間は長くなることで第2始動口17の入賞率が高くなる。以上は機種Aを例にして説明したが、例示した値は例えば機種Bであれば大当り確率やラウンドの振分が異なる等、機種に応じて様々な仕様となる。
【0015】
図4はドラム式表示部12の斜視図である。ドラム式表示部12は、左図柄を表示する第1ドラムユニット20(変動表示部)、中図柄を表示する第2ドラムユニット21(変動表示部)、右図柄を表示する第3ドラムユニット22(変動表示部)を直線上に連設して構成されている。これらの各ドラムユニット20〜22は同一構成であることから、以下、代表して第1ドラムユニット20について説明する。尚、図4中の破線は、表示窓19を示している。
【0016】
図5は第1ドラムユニット20を断面にして示す正面図である。ドラムステー23にはギアボックス24が装着されている。このギアボックス24には内軸25と当該内軸25を囲繞する円筒形状の外軸26とが設けられており、それらの軸25,26がギアボックス24に装着された外ドラム用ステッピングモータ(以下、外ドラム用モータ)27と、内ドラム用ステッピングモータ(以下、内ドラム用モータ)28とにより互いに独立して回動可能となっている。そして、内軸25には環状の外ドラム29(第1面)が装着され、外軸26には環状の内ドラム30(第2面)が装着されている。
【0017】
外ドラム29の外周部は透明素材により成形されており、図6に示すように支持部29aから延設した4本のアーム29bと一体化されている。
内ドラム30の外周部は外ドラム29と同様に透明素材により成形しても良いが、透明性は無くとも透光性を有する素材により形成しても良く、図7に示すように支持部30aから延設した4本のアーム30bと一体化されている。内ドラム30の中心軸には表示用バックライト31(図1参照)が配置されており、その表示用バックライト31からの光が内ドラム30を介して外ドラム29に照射される。この表示用バックライト31は、例えば白色LED(Light Emitting Diode)や白色ランプから構成されている。
【0018】
外ドラム29及び内ドラム30には後述する光学特性を有した領域や図柄が設けられており、各ドラム29,30が図8に示すように同軸上に重ねられた状態で光学特性を利用した演出が可能となる。
【0019】
図1は遊技機1の電気的構成を示すブロック図である。遊技機1は、主制御基板32を主体として構成されており、回路全体に給電する電源回路部33から給電される。主制御基板32は、普図入賞口9に設けられたゲート通過検出器34、始動口16,17にそれぞれ設けられた始動入賞検出器35、大入賞口18に設けられた大入賞検出器36からの信号を入力する。また、主制御基板32は、払出装置37を制御する払出制御基板38、発射装置39を制御する発射制御基板40、アンプ/スピーカ41や装飾ランプ類42及びドラム制御基板43(変動制御手段)を制御する副制御基板44、電チューである第2始動口17の可動羽根を開閉する電チューソレノイド45、大入賞口18を開閉する大入賞ソレノイド46を駆動する。
【0020】
主制御基板32は、主回路47(判定手段)を主体として構成されている。主回路47は、CPU(Central Processing Unit)48、プログラム格納用のROM(Read Only Memory)49、ワークエリアや各種カウンタ等が割り当てられるRAM(Random Access Memory)50、入出力インタフェースであるI/O(Input/Output)51等を備えて構成されている。
【0021】
払出制御基板38は、主回路47より入力される賞球払出信号に応じて払出装置37を制御することで、遊技者に対して所定数の賞球を払い出す。
発射制御基板40は、遊技者が操作ハンドル3を操作することに応じて主回路47から入力される発射制御信号に基づいて、発射装置39を作動させる。この場合、操作ハンドル3の操作量に応じて、玉の打出し強さを調節する。
【0022】
副制御基板44は、基準位置検出センサ52からの信号に基づいて、ドラム用モータ27,28、及び表示用バックライト31を制御するドラム制御基板43を駆動する。また、副制御基板44は、主回路47からの音声制御信号に応じてアンプ/スピーカ41より音声を出力したり、主回路47からのランプ制御信号に応じて装飾ランプ類42の点灯/消灯を制御したり、主回路47からの図柄変動信号をドラム制御基板43に出力したりする。
【0023】
図2はドラム制御基板43と接続された各種機器を示すブロック図である。このブロック図では、第1ドラムユニット20を構成する機器の名称の先頭に「第1」を付し、第2ドラムユニット21を構成する機器の名称の先頭に「第2」を付し、第3ドラムユニット22を構成する機器の名称の先頭に「第3」を付す。
【0024】
第1外ドラム用モータ27には第1外ドラム29の回転基準位置を検出する第1外ドラム基準位置検出センサ52、第1内ドラム用モータ28には第1内ドラム30の回転基準位置を検出する第1内ドラム基準位置検出センサ53が内蔵されている。同様に、第2外ドラム用モータ27’には第2外ドラム29’の回転基準位置を検出する第2外ドラム基準位置検出センサ52’、第2内ドラム用モータ28’には第2内ドラム30’の回転基準位置を検出する第2内ドラム基準位置検出センサ53’、第3外ドラム用モータ27”には第3外ドラム29”の回転基準位置を検出する第3外ドラム基準位置検出センサ52”、第3内ドラム用モータ28”には第3内ドラム30”の回転基準位置を検出する第3内ドラム基準位置検出センサ53”がそれぞれ内蔵されている。
【0025】
第1ドラムユニット20に対応して第1表示用バックライト31が配置され、第2ドラムユニット21に対応して第2表示用バックライト31’が配置され、第3ドラムユニット22に対応して第3表示用バックライト31”が配置されている。
【0026】
ドラム制御基板43は、主回路47より入力される図柄変動信号に応じて、第1ドラムユニット20,第2ドラムユニット21,第3ドラムユニット22を構成する上記機器を制御するための処理を実行する。
【0027】
さて、本実施形態は、外ドラム29と内ドラム30との両方に偏光特性(光学特性)を有した偏光フィルタを用いることで図柄変動時に表示演出の興趣を高めることを特徴としており、まず、偏光フィルタの性質について簡単に説明する。
【0028】
偏光フィルタは2枚の偏光フィルタを重ねた場合に、その重ねた偏光フィルタの偏光方向が同じであれば、重ねた一方の偏光フィルタを通過した偏光が他方の偏光フィルタをそのまま通過するため重ねない場合との視認状態に大きく変化することはないが(光量が少し低下する程度)、偏光方向が直交する場合には重ねた一方の偏光フィルタを通過した偏光が他方の偏光フィルタにより遮光されることから、見た目上、黒っぽくなる性質を有しており、本実施形態はこの性質を利用している。
【0029】
図9は内ドラム30の一部を模式的に示す図である。内ドラム30には偏光大当り図柄54(特別識別情報)と通常大当り図柄55(通常識別情報)とが設けられている。偏光大当り図柄54は偏光フィルタを素材として内ドラム30に添着する等、偏光フィルタを利用した図柄である一方、通常大当り図柄55は偏光フィルタを用いない従来と同様な図柄である。図9では説明のため偏光大当り図柄54を右斜線にて示すことで視認可能としているが、実際には、内ドラム30の背景は偏光大当り図柄54と同様の色合いとなるように設定されており、偏光大当り図柄54を背景と区別して視認することを困難としている。尚、偏光大当り図柄54を示す右斜線は偏光方向を示している。
【0030】
図10は外ドラム29の一部を模式的に示す図である。外ドラム29には偏光フィルタからなる偏光領域56(特別表示領域)が設けられている、図10では説明のため偏光領域56を左斜線にて示すことで視認可能としているが、実際には、外ドラム29も内ドラム30と同様に背景を偏光領域56と同様の色合い及び透明度としているため、偏光領域56を背景と区別して視認することを困難にしている。尚、偏光領域56を示す左斜線は偏光方向を示しており、偏光大当り図柄54の偏光方向に対して直交方向となるように設定されている。
【0031】
外ドラム29と内ドラム30とが重なった状態では、偏光大当り図柄54以外の領域では外ドラム29の偏光領域56と重なるか否かに関わらず見た目上大きく変わらないが、偏光大当り図柄54と偏光領域56とが重なった領域はそれらの偏光方向が直交することから、偏光大当り図柄54が黒っぽくなり浮かび上がったような視認状態となる。
【0032】
要するに、内ドラム30には、外ドラム29の背景と重なった場合よりも偏光領域56と重なった場合の方が偏光特性により視認容易となる偏光大当り図柄54と、外ドラム29の背景と重なった場合と偏光領域56と重なった場合とで視認性が大きく変化しない通常大当り図柄55とが設けられている。
【0033】
通常大当り図柄55は、黒っぽくなることで浮かび上がったような視認状態となる偏光大当り図柄54と同種の大当り図柄として扱うため、外ドラム29を重ねた場合に偏光大当り図柄54が浮かび上がった場合の視認状態と同様の視認状態となるように色合いや透明度等が調整されており、偏光大当り図柄54が浮かび上がった場合、偏光大当り図柄54と通常大当り図柄55とは同様の視認状態となる。尚、上記の色合いや透明度等は見た目上の区別が困難となれば一方のみを調整しても良い。
【0034】
ここで、有効ライン上に通常大当り図柄55が停止した場合、偏光領域56が重なるか否かに関わりなく視認可能であることから従来と同様に有効と判定するが、有効ライン上に偏光大当り図柄54が停止した場合、偏光領域56と重なれば視認可能となることから有効とする一方、重ならなければ視認できないことから有効でないと判定する。尚、有効と判定した場合は通常大当り図柄55と同様の取り扱いとなる。つまり、偏光大当り図柄54は、有効ライン上に位置している場合であっても、偏光領域56の存在に応じて有効となったり無効となったりする特殊な大当り図柄として取り扱われる。
【0035】
尚、通常大当り図柄55や背景についても偏光フィルタを用いても良いが、この場合、偏光大当り図柄54が浮かび上がるように偏光大当り図柄54における偏光フィルタの偏光方向と直交する方向(即ち、偏光領域56と同じ偏光方向)とする必要がある。
【0036】
次に、内ドラム30と外ドラム29の図柄配列の具体例について説明する。
図11は各ドラムユニット20〜22を構成する内ドラム30、図12は外ドラム29の図柄配列を示している。内ドラム30には図9にて説明した通常大当り図柄55と偏光大当り図柄54とが設けられているが、通常大当り図柄としては、浮かび上がった偏光大当り図柄54と同様の視認状態となる通常大当り図柄55だけでなく、更に浮かび上がった偏光大当り図柄54とは視認状態(図柄)が異なる大当り図柄である他通常大当り図柄55’も設けられている。この他通常大当り図柄55’は、通常大当り図柄55と同様に偏光領域56と重なるか否かに関わらず視認状態が大きく変化しない。尚、内ドラム30には上述した各大当り図柄54,55,55’に加えて、一般図柄57も設けられている。
【0037】
内ドラム30には上述した各図柄が設けられていない背景のみの空白領域58(通常表示領域)が設けられており、偏光領域56と重ならない偏光大当り図柄54と同様の視認状態となることから、偏光領域56と重ならない場合には空白領域58と偏光大当り図柄54との区別を視認上困難としている。尚、内ドラム30に通常大当り図柄55や他通常大当り図柄55’や一般図柄57等を設けなくとも良く、少なくとも偏光大当り図柄54を設ければ良い。
【0038】
一方、外ドラム29には偏光領域56が部分的に設けられており、偏光領域56以外に通常大当り図柄55(他通常大当り図柄55’でも良い)と、背景のみの空白領域59(通常表示領域)とが設けられている。尚、外ドラム29には少なくとも偏光領域56を一部に設ければ、通常大当り図柄55を設けなくても良いし、他通常図柄55’や一般図柄57等を設けても良い。
【0039】
次に、外ドラム29と内ドラム30とを回転した場合の偏光大当り図柄54及び通常大当り図柄55の見え方について説明する。
図13は、図11及び図12中に太線で囲って示す領域を図柄変動させた場合、即ち、中ラインに偏光領域56が位置するように外ドラム29を停止させたまま内ドラム30を回転させた場合の図柄変動状態を示している。この場合、図13では、偏光大当り図柄54と偏光領域56との偏光方向を斜線にて示している。図14は、図13に対応した実際の視認イメージを示している。
【0040】
図14に示すように、通常大当り図柄55及び他通常大当り図柄55’は偏光領域56と重なるか否かに関わらず視認状態は大きく変わることはないが、偏光大当り図柄54は偏光領域56と重なった場合には通常大当り図柄55と同様の視認状態となる一方、重ならない場合には視認困難となる。
【0041】
以下、上述したような偏光大当り図柄54の見え方による演出パターンについて説明する。
(第1演出パターン(第1変動制御))
例えば、偏光領域56が有効ライン内に位置している状態で外ドラム29を停止させて内ドラム30を回転させた場合、その回転中に偏光大当り図柄54が偏光領域56のみで視認されるため、内ドラム30を回転させる図柄変動中に偏光大当り図柄54と偏光領域56とが複数回重なることで偏光領域56を把握させるというある種の予告報知となり、この偏光領域56に偏光大当り図柄54が停止すれば偏光大当り図柄54が有効になることを遊技者に把握させることができる。
【0042】
また、図柄変動が第1ドラムユニット20(以下、左ドラム)、第2ドラムユニット21(以下、中ドラム)、第3ドラムユニット22(以下、右ドラム)の順で停止する場合における中ドラム等、最後に停止するドラムについて、例えば中ラインが偏光大当り図柄54等によりリーチ(左右ドラムに偏光大当り図柄54や通常大当り図柄55が停止する等)状態となって図14のような演出を行う場合、上述したような予告的に外ドラム29を停止させておくのも良いが、内ドラム30の回転中に、外ドラム29の図12に示す8−10のように偏光領域56が配置されていない領域が有効ライン上に位置している回転状態にて外ドラム29を一旦停止させる。
【0043】
そして、内ドラム30が停止直前となり、内ドラム30において偏光大当り図柄54が配置されていない領域が有効ライン上に位置している回転状態で、外ドラム29を回転させて図13のように有効ライン上に偏光領域56を停止させれば、図柄変動時に偏光領域56がないと捉えていた領域から、図柄変動に応じて図14(b)のように偏光大当り図柄54が突如浮かび上がり、図14(d)のように有効ライン上に偏光大当り図柄54が停止して、大当りになるような演出が可能となる。
【0044】
(第2演出パターン(第2変動制御))
図15及び図16は、内ドラム30が図11の3−5にて停止した状態で、外ドラム29を1−3から2−4へと移動させた状態を図13及び図14と同様に示している。
【0045】
図15に示すように中ラインには偏光大当り図柄54が停止しているが、図15(a)のように偏光領域56が偏光大当り図柄54に重なっていない場合には図16(a)のように空白領域同様に偏光大当り図柄54が視認し難い状態になる。その状態から図15(b)から図15(d)のように外ドラム29を回転させて偏光領域56が移動すると、偏光大当り図柄54において視認し易い領域が増え、図16(d)のように偏光大当り図柄54が徐々に浮かび上がる。
【0046】
この場合、偏光領域56の移動時に上ラインに停止する通常大当り図柄55と偏光領域56とが重なっても視認状態に余り影響を及ぼさないため、偏光大当り図柄54と重なる領域に偏光領域56が位置するまで外ドラム29の移動を把握し難く、突如、偏光大当り図柄54が浮かび上がるような感覚を遊技者に与えることができる。
【0047】
このような演出は偏光大当り図柄54が中ラインにてリーチとなっている状態で一旦、偏光大当り図柄54が視認できずハズレとなったが、偏光大当り図柄54を浮き上がらせることで所謂復活演出的に大当りとなるような印象を与えることができる。
【0048】
尚、図15及び図16では、偏光領域56を上ラインから中ラインへと移動させる例示とし、図13及び図14にて説明したように内ドラム30の図柄変動中に偏光大当り図柄54と偏光領域56とが重なった場合に偏光領域56の位置が把握できることから予告的な要素も盛り込めるが、意外性を更に高めるため、有効ライン上に偏光領域56が位置していない状態で外ドラム29を停止させて偏光領域56が把握できない状態としておき、内ドラム30の停止後や内ドラム30の回転に追随させる等して外ドラム29を回転させて図16のように偏光大当り図柄54を浮かび上がらせても良い。
【0049】
また、偏光領域56を下ラインに配置させて他通常大当り図柄55’を視認可能とした状態から偏光領域56を中ラインへと移動させることで図16と同様の演出を行っても良い。
【0050】
更に、図13及び図14では外ドラム29を停止した状態で内ドラム30を回転させる例、図15及び図16では内ドラム30を停止した状態で外ドラム29を回転させる例を示したが、第1演出パターン及び第2演出パターンの他にも偏光大当り図柄と偏光領域とを重ねた状態で両ドラム29,30を回転させることで、偏光大当り図柄が有効であるように見せながら図柄変動を行う演出パターンも想定でき、以下のように両ドラム29,30を同時に回転させるようにしても良い。
【0051】
例えば左ドラム20では、内ドラム30は図11の5−7、外ドラム29は図12の4−6を重ねると、上ライン、中ラインは偏光大当り図柄54、下ラインは通常大当り図柄55が視認可能となる。同様に中ドラム21では、内ドラム30は図11の5−7、外ドラム29は図12の2−4を重ねると、中ラインは偏光大当り図柄54、上ライン、下ラインは通常大当り図柄55が視認可能となり、右ドラム22では、内ドラム30は図11の2−4、外ドラム29は図12の10−2を重ねると、中ラインは偏光大当り図柄54、上ラインは通常大当り図柄55、下ラインは外ドラム29の通常大当り図柄55が視認可能な状態となる。
【0052】
このように外ドラム29と内ドラム30とを重ねた状態で両者を対応させて回転させると、上述のように例示した領域が有効ライン上に表示されるときには有効ライン内の全てにいずれかの図柄が視認でき、図柄の塊が図柄変動しているような印象を与えられる。
【0053】
この状態から外ドラム29の偏光領域56が内ドラム30の偏光大当り図柄54に重なる箇所が最も少なくなるように両者の重なりをずらせば、視認される偏光大当り図柄54が一気に少なくなる。したがって、1回転毎にこの状態を繰返し行うことで、図柄の塊が図柄変動している状態(以下、第1状態)と、少ない図柄が図柄変動している状態(以下、第2状態)とを切り替えた上での連続した図柄変動も可能となる。例えば、図柄変動している場合に第1状態である期間と第2状態である期間とを大当り期待度等に応じて変更することで、図柄変動中に第1状態を確認できた分だけ、例えば大当り期待度が高いことを遊技者に把握させるような演出も可能となる。
【0054】
このような演出は左ドラム20、中ドラム21、右ドラム22の全てのドラムを対象としても良いし、いずれか1つ、或いは2つのドラムを対象としても良いし、対象となるドラム数を変更することで上記同様に大当り期待度を示しても良い。
【0055】
このような実施形態によれば、次のような効果を奏することができる。
外ドラム29における背景は透明とする一方で、偏光大当り図柄54の視認に影響を与える偏光領域56についても偏光特性を有した透明としたので、偏光領域56が有効ライン内に位置した状態でも、その偏光領域56が位置する範囲にて内ドラム30を視認可能となり、表示演出の興趣をより高めた遊技機を提供可能となる。
【0056】
偏光領域56が有効ライン上に位置した状態でも、その偏光領域56が位置する範囲にて内ドラム30の通常大当り図柄55を視認可能としたので、表示演出の興趣をより高めた遊技機を提供可能となる。
【0057】
外ドラム29について背景と偏光領域56との視認上の区別がし難いことから、偏光領域56が有効ライン上にあることや、偏光領域56が移動していること等が把握し難くなり、表示演出の興趣を高めた遊技機を提供可能となる。
【0058】
偏光領域56が有効ライン上に位置するように外ドラム29が停止した状態で内ドラム30を回転させるので、図柄変動中における偏光領域56と偏光大当り図柄54とが重なった場合に偏光大当り図柄54を視認することで図柄変動中に偏光領域56が有効ライン上に位置することを予告するような演出が可能となり、その偏光領域56に偏光大当り図柄54が位置する図柄変動が行われることを期待するような遊技性を提供可能となる。
【0059】
偏光大当り図柄54が有効ライン上に位置するように内ドラム30が停止した状態で外ドラム29を回転させるので、偏光領域56が移動することで偏光大当り図柄54が突如浮かび上がるような演出が可能となり、内ドラム30の停止後の所謂復活演出的な期待感を新たな表示方法により演出できる。
【0060】
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態に限定されることなく、次のように変形または拡張できる。
通常大当り図柄や他通常大当り図柄を設けることを例示したが偏光大当り図柄だけを設けても良い。
【0061】
偏光大当り図柄として1種類のみを例示したが、複数種類の偏光大当り図柄(例えば図11の他通常大当り図柄55’と同様に取り扱う偏光大当り図柄)を設けても良い。
偏光大当り図柄として、偏光領域と重なった場合に通常大当り図柄と同様に取り扱うことを例示したが、例えば、通常大当り図柄55だけでなく他通常大当り図柄55’と同様に扱う等、複数種類の通常大当り図柄に対応させるオールマイティ的な取扱いとしたり、有効ライン内にて偏光大当り図柄が視認される等有効となった場合に、他の図柄に関わりなく大当り図柄とする等、通常大当り図柄と比較して特別な取扱いを行っても良い。
【0062】
リーチ時に中ドラムが最終停止となることを例示したが、右ドラムや左ドラムを最終停止とし、例示した演出を同様に行っても良い。
偏光大当り図柄や偏光領域を全てのドラムに設けることを例示したが、例えば最終停止となる中ドラムや、中ドラムと右ドラム等のような一部のドラムのみに設けても良い。同様に全てのドラムを2重化することを例示したが一部のドラムのみを2重化しても良い。
【0063】
3つのドラムを採用した遊技機を対象としたが、4つ以上、或いは2つ以下のドラムを採用した遊技機を対象としても良い。
対象となる遊技機はパチンコ遊技機を例示できるが、例示した以外の遊技機を対象としても勿論良い。この場合、スロットマシンや、遊技媒体を排出せずデータ上のポイントを遊技に応じて更新する所謂封入式の遊技機等も想定できるため、玉やメダル等の遊技媒体や上記ポイントを包含する遊技価値という表現を適宜使用した。
【0064】
例示した構成を適宜設定に応じて採用するか否かを変更しても良いし、変形例を含む例示した構成をどのように組み合わせても良いし、適宜構成を除外しても良い。
【符号の説明】
【0065】
図面中、1は遊技機、12は表示部(表示手段)、20〜22はドラムユニット(変動表示部)、29は外ドラム(第1面)、30は内ドラム(第2面)、43はドラム制御基板(変動制御手段)、47は主回路(判定手段)、54は偏光大当り図柄(特別識別情報)、55は通常大当り図柄(通常識別情報)、56は偏光領域(特別表示領域)、58は空白領域(通常表示領域)である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16