特許第6831220号(P6831220)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6831220
(24)【登録日】2021年2月1日
(45)【発行日】2021年2月17日
(54)【発明の名称】皮むき器
(51)【国際特許分類】
   A47J 17/02 20060101AFI20210208BHJP
   B26B 3/00 20060101ALI20210208BHJP
【FI】
   A47J17/02
   B26B3/00 A
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-230309(P2016-230309)
(22)【出願日】2016年11月28日
(65)【公開番号】特開2018-86072(P2018-86072A)
(43)【公開日】2018年6月7日
【審査請求日】2019年11月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001454
【氏名又は名称】株式会社貝印刃物開発センター
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】田島 綾子
【審査官】 比嘉 貴大
(56)【参考文献】
【文献】 韓国公開実用新案第2009−0003737(KR,U)
【文献】 実開昭51−128164(JP,U)
【文献】 実開昭59−070611(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3198825(JP,U)
【文献】 実開昭60−116955(JP,U)
【文献】 実公昭29−009875(JP,Y1)
【文献】 国際公開第2012/060706(WO,A1)
【文献】 特開2003−169747(JP,A)
【文献】 特開平11−290203(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端部に刃体を有する皮むき腕と先端部に当接部を有する支持腕とを互いに分離して備え、この両先端部間に間隔をあけて皮むき腕と支持腕とを第一連結部で互いに着脱可能に連結し得ることを特徴とし、
前記皮むき腕に支持腕を第二連結部で着脱可能に連結することができ、この第二連結部による連結状態では、この皮むき腕に支持腕を皮むき腕の刃体を避けて重合し得ることを特徴とする皮むき器。
【請求項2】
前記第一連結部による連結状態では、皮むき腕の厚み方向の両側である内側及び外側と、支持腕の厚み方向の両側である内側及び外側とのうち、皮むき腕の内側と支持腕の内側とが互いに連続してそれらの内側間で生じる皮むき空間を皮むき腕の先端部と支持腕の先端部との間の皮むき口で開放したことを特徴とする請求項1に記載の皮むき器。
【請求項3】
前記第一連結部による連結状態において、皮むき腕及び支持腕はそれらの先端部間で互いに接近及び離間し得ることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の皮むき器。
【請求項4】
前記第一連結部による連結状態において、皮むき腕及び支持腕は、弾性力により両先端部を互いに離間させて両先端部間の皮むき口を保持することができ、両先端部間の皮むき口でその弾性力に抗して両先端部を互いに接近させ得ることを特徴とする請求項3に記載の皮むき器。
【請求項5】
前記第一連結部による連結状態において、皮むき腕と支持腕とのうち少なくとも一方に持たせた可撓性により弾性力を生じさせることを特徴とする請求項4に記載の皮むき器。
【請求項6】
前記皮むき腕において刃体の刃縁の延設方向は、皮むき腕の先端部と基端部とを結ぶ長手方向に交差していることを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか一つの請求項に記載の皮むき器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカボチャやジャガイモや里芋などの具の外皮を剥く場合に使用する皮むき器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1にかかる皮むき器においては、先端部に刃体を有する皮むき腕と先端部に当接部を有する支持腕とからU状に一体成形された把持腕を把持して皮むき腕の刃体と支持腕の当接部とを具の外皮に当てがった状態で、把持腕を移動させると、皮むき腕の刃体により具の外皮を剥くことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公昭25−8070号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特許文献1にかかる皮むき器において、支持腕の当接部を具の外皮に当てがわない状態で皮むき腕の刃体のみを使用する場合に、把持腕を上下反転させて皮むき腕の刃体のみを具の外皮に当てがった状態で皮むき腕を移動させると、皮むき腕の刃体により具の外皮を剥くことができる。
【0005】
このように皮むき腕の刃体のみを使用する場合には、上下反転させた把持腕において支持腕が具の外皮から突出するため、通常、その支持腕を把持する。支持腕を把持した場合には、皮むき腕に力が入りにくいため、皮むき腕を把持することもあるが、外皮から突出する支持腕が邪魔して皮むき腕を把持しにくい。従って、皮むき器の使い勝手が悪い。
【0006】
この発明は、使い勝手の良い皮むき器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
後記実施形態の図面(図1〜5)の符号を援用して本発明を説明する。
請求項1の発明にかかる皮むき器(1)においては、先端部に刃体(5)を有する皮むき腕(2)と先端部に当接部(8)を有する支持腕(3)とを互いに分離して備え、この両先端部間に間隔をあけて皮むき腕(2)と支持腕(3)とを第一連結部(6,9)で互いに着脱可能に連結し得ることを特徴とし、皮むき腕(2)に支持腕(3)を第二連結部(7,10)で着脱可能に連結することができ、この第二連結部(7,10)による連結状態(Q)では、この皮むき腕(2)に支持腕(3)を皮むき腕(2)の刃体(5)を避けて重合し得る
【0008】
請求項1の発明では、皮むき腕(2)と支持腕(3)とを互いに連結した皮むき器(1)を使用するばかりではなく、皮むき腕(2)と支持腕(3)とを互いに分離して、皮むき腕(2)のみを使用したり、支持腕(3)のみを使用したりすることができる。従って、多様な使用状態で皮むき器(1)を使用して、使い勝手の良い皮むき器(1)を提供することができる。また、皮むき腕(2)と支持腕(3)とを互いに連結した皮むき器(1)を使用する場合に、両先端部間の間隔に指を入れて皮むき器(1)を容易にかつ安全に把持することができる。また、皮むき腕(2)と支持腕(3)とを互いに分離した場合に、第二連結部(7,10)で皮むき腕(2)に支持腕(3)を連結して支持腕(3)の紛失を防ぐばかりではなく、支持腕(3)により邪魔されることなく皮むき腕(2)により具の外皮(K)を剥くことができる。
【0009】
請求項1の発明を前提とする請求項2の発明において、第一連結部(6,9)による連結状態(P)では、皮むき腕(2)の厚み方向の両側である内側及び外側と、支持腕(3)の厚み方向の両側である内側及び外側とのうち、皮むき腕(2)の内側と支持腕(3)の内側とが互いに連続してそれらの内側間で生じる皮むき空間(11)を皮むき腕(2)の先端部と支持腕(3)の先端部との間の皮むき口(11a)で開放した。請求項2の発明では、皮むき腕(2)と支持腕(3)とを互いに連結した皮むき器(1)を使用する場合に、皮むき口(11a)で皮むき腕(2)の先端部と支持腕(3)の先端部とが間隔をあけて具に当接するため、皮むき器(1)が安定して具に接触し、さらには皮むき空間(11)に指を入れて皮むき器(1)を容易にかつ安全に把持することができる。
【0010】
請求項1または請求項2の発明を前提とする請求項3の発明にかかる第一連結部(6,9)による連結状態(P)において、皮むき腕(2)及び支持腕(3)はそれらの先端部間で互いに接近及び離間し得る。請求項3の発明では、皮むき腕(2)の先端部と支持腕(3)の先端部とを互いに接近及び離間させて、皮むき作業を容易に行うことができる。
【0011】
請求項3の発明を前提とする請求項4の発明にかかる第一連結部(6,9)による連結状態(P)において、皮むき腕(2)及び支持腕(3)は、弾性力により両先端部を互いに離間させて両先端部間の皮むき口(11a)を保持することができ、両先端部間の皮むき口(11a)でその弾性力に抗して両先端部を互いに接近させ得る。請求項4の発明では、皮むき腕(2)の先端部と支持腕(3)の先端部とを弾性力を利用して容易に接近及び離間させることができる。
【0012】
請求項4の発明を前提とする請求項5の発明にかかる第一連結部(6,9)による連結状態(P)において、皮むき腕(2)と支持腕(3)とのうち少なくとも一方に持たせた可撓性により弾性力を生じさせる。請求項5の発明では、皮むき腕(2)と支持腕(3)とのうち少なくとも一方に持たせた可撓性により弾性力を容易に生じさせることができる。
【0013】
請求項1〜5のうちいずれか一つの請求項の発明を前提とする請求項6の発明にかかる皮むき腕(2)において、刃体(5)の刃縁(5a)の延設方向(Y)は、皮むき腕(2)の先端部と基端部とを結ぶ長手方向(X)に交差している。請求項6の発明では、皮むき腕(2)を長手方向(X)に移動させて具の外皮(K)を剥くことができる。
【0015】
次に、請求項以外の技術的思想について実施形態の図面の符号を援用して説明する。
請求項1〜のうちいずれか一つの請求項の発明を前提とする第の発明にかかる第一連結部(6,9)による連結状態(P)において、第一連結部(6,9)を皮むき腕(2)の基端部と支持腕(3)の基端部とに設けた。第の発明では、皮むき腕(2)及び支持腕(3)に第一連結部(6,9)を容易に設けることができる。
【0016】
の発明を前提とする第の発明にかかる第一連結部(6,9)による連結状態(P)において、第一連結部は皮むき腕(2)の基端部と支持腕(3)の基端部とのうち一方の基端部に設けた係止突部(6)と他方の基端部に設けた係止孔部(9)とを互いに嵌合したものである。第の発明では、係止突部(6)と係止孔部(9)とにより簡単な第一連結部にすることができる。
【0017】
請求項1〜のうちいずれか一つの請求項の発明、または第の発明または第の発明を前提とする第の発明にかかる皮むき腕(2)において刃体(5)は、皮むき腕(2)の先端部と基端部とを結ぶ長手方向(X)に交差する方向(Y)へ延びる中心線(4a)を中心に回動可能に支持されている。第の発明では、具の外皮(K)の形態が曲面であったり凹凸形状等であったりしても、皮むき腕(2)をその長手方向(X)に移動させる際に、刃体(5)はその形態に順応して回動するため、具の外皮(K)を容易に剥くことができる。
【0018】
の発明を前提とする第1の発明にかかる皮むき腕(2)において刃体(5)は、皮むき腕(2)の幅方向(Y)へ延びる中心線(4a)を中心に回動可能に支持され、その刃体(5)の刃縁(5a)の延設方向(Y)は皮むき腕(2)の幅方向(Y)へ延びる。第1の発明では、皮むき腕(2)をその長手方向(X)に移動させて刃体(5)により具の外皮(K)を容易に剥くことができる。
【0019】
請求項の発明を前提とする第1の発明にかかる第二連結部(7,10)による連結状態(Q)において、皮むき腕(2)の厚み方向の両側である内側及び外側と、支持腕(3)の厚み方向の両側である内側及び外側とのうち、皮むき腕(2)の外側に支持腕(3)の内側を重合し得る。第1の発明では、皮むき腕(2)と支持腕(3)とを互いに分離して第二連結部(7,10)で皮むき腕(2)に支持腕(3)を連結した場合に、支持腕(3)により邪魔されることなく皮むき腕(2)により具の外皮(K)を剥くことができる。
【0020】
第1の発明を前提とする第1の発明にかかる第二連結部(7,10)による連結状態(Q)において、支持腕(3)の当接部(8)は皮むき腕(2)の刃体(5)に隣接している。第1の発明では、皮むき腕(2)に支持腕(3)をコンパクトに重合することができる。
【0021】
請求項の発明または第1の発明または第1の発明を前提とする第1の発明にかかる第二連結部(7,10)による連結状態(Q)において、第二連結部は、支持腕(3)と皮むき腕(2)とのうち、一方に設けた係止突部(10)と他方に設けた係止孔部(7)とを互いに嵌合したものである。第1の発明では、係止突部(10)と係止孔部(7)とにより簡単な第二連結部にすることができる。
【0022】
請求項1〜のうちいずれか一つの請求項の発明、または第〜1の発明のうちいずれか一つの発明を前提とする第1の発明において、支持腕(3)の当接部は凹凸歯(8)を有している。第1の発明では、皮むき腕(2)と支持腕(3)とを互いに連結した皮むき器(1)を使用する場合に、支持腕(2)を当接部としての凹凸歯(8)により具の外皮(K)に容易に支持することができる。また、当接部としての凹凸歯(8)を利用して支持腕(3)のみを有効に使用することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、多様な使用状態で皮むき器(1)を使用することができ、使い勝手の良い皮むき器(1)を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】(a)は第一連結部による連結状態にある皮むき器を正面側から見た斜視図であり、(b)は同じく背面側から見た斜視図である。
図2】(a)は図1(a)(b)の皮むき器を示す一部切欠き側面図であり、(b)は図1(a)(b)の皮むき器の使用状態を示す側面図である。
図3】(a)は図1(a)(b)の皮むき器から分離した皮むき腕を正面側から見た斜視図であり、(b)はその皮むき腕の一部切欠き側面図であり、(c)はその皮むき腕の使用状態を示す側面図である。
図4】(a)は図1(a)(b)の皮むき器から分離した支持腕を正面側から見た斜視図であり、(b)はその支持腕の一部切欠き側面図であり、(c)はその支持腕の使用状態を示す側面図である。
図5】(a)は第二連結部による連結状態にある皮むき器を正面側から見た斜視図であり、(b)はその皮むき器の一部切欠き側面図であり、(c)はその皮むき器の使用状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
図1,2に示す皮むき器1において、図3に示すように支持腕3から分離された皮むき腕2はプラスチック例えばポリプロピレン樹脂により湾曲板状に成形され、その皮むき腕2の先端部と基端部とを結ぶ長手方向Xの中間部から二股状の腕部4が長手方向Xに交差する幅方向Yの両側で先端側に向けて延設されている。刃体5は両腕部4間で幅方向Yへ延びる中心線4aを中心に所定角度範囲だけ回動可能に支持され、刃体5の刃縁5aの延設方向も幅方向Yへ延びる。皮むき腕2の基端部には第一連結部としての係止突部6が形成されている。皮むき腕2において両腕部4と係止突部6との間には第二連結部としての二つの係止孔部7が皮むき腕2の厚み方向の両側である内側及び外側との間で貫設されている。
【0026】
図1,2に示す皮むき器1において、図4に示すように皮むき腕2から分離された支持腕3はプラスチック例えばポリプロピレン樹脂により湾曲板状に成形され、支持腕3の先端部には支持腕3の先端部と基端部とを結ぶ長手方向Xに交差する幅方向Yへ延びる当接部としての凹凸歯8が形成されている。支持腕3の基端部には第一連結部としての係止孔部9が支持腕3の厚み方向の両側である内側と外側との間で貫設されている。支持腕3の内側において凹凸歯8と係止孔部9との間には第二連結部としての二つの係止突部10が形成されている。
【0027】
図1,2に示すように、皮むき腕2の係止突部6を支持腕3の係止孔部9に着脱可能に嵌合した第一連結状態Pにおいては、皮むき腕2の内側と支持腕3の内側とが互いに間隔をあけてU状に連続し、それらの内側間で生じる皮むき空間11が皮むき腕2の先端部と支持腕3の先端部との間の皮むき口11aで開放されている。皮むき口11aで刃体5の刃縁5aと凹凸歯8との間隔は約55mmに設定されている。皮むき腕2と支持腕3とは、それらの基端部から片持ち梁状に延設されて可撓性により弾性力を生じる。その弾性力により皮むき腕2の先端部と支持腕3の先端部とが互いに離間してその両先端部間の皮むき口11aを保持することができ、その皮むき口11aで両先端部が弾性力に抗して互いに接近する。皮むき空間11で皮むき口11aと皮むき腕2及び支持腕3の基端部との間隔は約95mmに設定されている。皮むき腕2と支持腕3とを同じ撓み易さにしてもよいが、皮むき腕2の厚みを支持腕3の厚みより小さくしたり、皮むき腕2側に第二連結部としての二つの係止孔部7を設けたり、基端部側の係止孔部7を敢えて長孔にしたりすると、支持腕3が皮むき腕2より変形しにくくなるため、皮むき腕2を支持腕3より撓み易くすることができる。
【0028】
図5に示すように、支持腕3の両係止突部10を皮むき腕2の両係止孔部7に着脱可能に嵌合した第二連結状態Qにおいては、皮むき腕2の外側に支持腕3の内側が重合され、皮むき腕2の基端部と支持腕3の基端部とが互いに近接するとともに、皮むき腕2の先端部と支持腕3の先端部とが互いに近接する。その場合、支持腕3の凹凸歯8が皮むき腕2の両腕部4間を避けて刃体5に隣接する。
【0029】
次に、皮むき器1の使用例を述べる。
図1,2に示す第一連結状態Pにある皮むき器1を使用する場合には、図2(b)に示すように、皮むき腕2の刃体5と支持腕3の凹凸歯8とをカボチャ等の具の外皮Kに当てがう。その状態で位置決めされた支持腕3に皮むき腕2を弾性力に抗して接近させると、具の外皮Kの所定長さ分だけを刃体5により剥くことができる。その後、剥き終わった位置で皮むき腕2の刃体5を保持するとともに、支持腕3の凹凸歯8を弾性力により皮むき腕2の刃体5から離間させ、その離間状態で支持腕3の凹凸歯8を具の外皮Kに当接させると、皮むき腕2の刃体5と支持腕3の凹凸歯8との間で次に剥く範囲が定められる。その後再び、位置決めされた支持腕3に皮むき腕2を弾性力に抗して接近させると、皮むき口11aで皮むき腕2の刃体5により具の外皮Kを剥くことができる。この動作を繰り返して、尺取虫のような動きで具の外皮Kを剥くことができる。
【0030】
図5に示す第二連結状態Qにある皮むき器1を使用する場合には、図5(c)に示すように、皮むき腕2及び支持腕3を把持して皮むき腕2の刃体5のみをカボチャ等の具の外皮Kに当てがう。その状態で皮むき腕2を移動させると、その刃体5により具の外皮Kを剥くことができる。
【0031】
図3に示すように支持腕3から分離された皮むき腕2のみを使用する場合には、図3(c)に示すように、皮むき腕2を把持してその刃体5をカボチャ等の具の外皮Kに当てがう。その状態で皮むき腕2を移動させると、その刃体5により具の外皮Kを剥くことができる。
【0032】
図4に示すように皮むき腕2から分離された支持腕3のみを使用する場合には、図4(c)に示すように、支持腕3を把持してその凹凸歯8をカボチャ等の具の内側に当てがう。その状態で支持腕3を移動させると、その凹凸歯8により例えばカボチャの種Tを取り除くことができる。
【0033】
本実施形態は下記の効果を有する。
(1) 皮むき腕2と支持腕3とを互いに連結したり、皮むき腕2と支持腕3とを互いに分離して、皮むき腕2のみを使用したり、支持腕3のみを使用したり、支持腕3を重合した皮むき腕を使用したりして、多様な使用状態で皮むき器1を使用することができる。従って、使い勝手の良い皮むき器1を提供することができる。
【0034】
(2) 皮むき腕2と支持腕3とを互いに分離して、支持腕3を重合した皮むき腕2を使用する場合、支持腕3の紛失を防ぐとともに、皮むき器1を狭小空間にまとめて保管することができる。
【0035】
(3) カボチャのように厚く堅い外皮Kを通常の皮むき器を用いて剥く場合、皮むき器を持った一方の手指に力を入れ過ぎるため、カボチャを持っている他方の手指に皮むき器の刃が当ってしまう場合がある。前述したように、皮むき器1は尺取虫のような動きで外皮Kを剥いていくため、皮むき器1を持った一方の手指やカボチャを持っている他方の手指が刃体5に当たる前に支持腕3の先端部に当たり、安全に外皮Kを剥くことができる。また、カボチャのように大きなものをまな板の上などに置いて皮むき器1を上から押さえ付けながら外皮Kを剥く場合や、里芋などのように小さなものの外皮Kを剥く場合も一方や他方の手指に刃体5が当たりにくくなり、使い勝手の良い皮むき器1を提供することができる。
【0036】
(4) 支持腕3を皮むき腕2より変形しにくくして、皮むき腕2を支持腕3より撓み易くした場合、皮むき作業を安定して容易に行うことができる。
前記実施形態以外にも例えば下記のように構成してもよい。
【0037】
・ 前記実施形態において、第二連結部としての皮むき腕2の両係止孔部7及び支持腕3の両係止突部10を省略することができる。従って、図5に示す第二連結状態Qは省略される。
【0038】
・ 前記実施形態において、図1,2に示す第一連結状態Pにある皮むき器1として使用する場合、皮むき腕2の可撓性による弾性力と支持腕3の可撓性による弾性力とを同じに設定してもよいが、それらの弾性力を互いに相違させてもよい。例えば、支持腕3の可撓性による弾性力をなくして、皮むき腕2のみに可撓性による弾性力を持たせることができる。
【0039】
・ 前記実施形態では、刃体5の刃縁5aの延設方向が長手方向Xに直交する幅方向Yに交差しているが、その延設方向を長手方向Xに対し任意角度で交差させてもよい。
・ 前記実施形態において、図5に示す第二連結状態Qで皮むき腕2に対する支持腕3の重合構造を変更することができる。
【0040】
・ 支持腕3の当接部8としては、使用時に皮むき腕2を支持腕3に対し弾性力に抗して接近させて具の外皮Kを剥く際に外皮Kの表面で滑りにくくするため、凹凸歯のように外皮Kに食い込み易い形状にしたり、外皮Kに対し滑りにくい形状や材質にしたりすることが好ましい。
【0041】
・ 第一連結部である係止突部6や係止孔部9としては、支持腕3に係止突部を設けるとともに皮むき腕2に係止孔部を設けたり、皮むき腕2と支持腕3とのうち一方に長手方向Xまたは幅方向Yに延びる蟻溝を設けるとともに他方にはその蟻溝に係合する蟻(ほぞ)を設けたりしてもよい。また、第一連結部としてバヨネット結合や磁力による結合を用いてもよい。
【0042】
・ 第二連結部である係止突部10や係止孔部7の数としては、一または三以上であってもよい。また、第二連結部としては、皮むき腕2と支持腕3とのうち一方が他方に対して長手方向Xまたは幅方向Yにスライドして結合したり、磁力による結合を用いてもよい。
【0043】
・ 刃体5を皮むき腕2の両腕部4に対し着脱可能または交換可能に設けてもよい。
・ 皮むき腕2と支持腕3とを異なる色で成形して互いに区別することができるようにしてもよい。
【0044】
・ 皮むき腕2と支持腕3とをプラスチック以外の材料、例えば金属等で成形してもよい。
・ 具としては、カボチャ以外に、ジャガイモや里芋やりんご等の果物や大根や人参等であってもよく、特に限定されない。
【符号の説明】
【0045】
1…皮むき器、2…皮むき腕、3…支持腕、5…刃体、5a…刃縁、6…第一連結部としての係止突部、7…第二連結部としての係止孔部、8…当接部としての凹凸歯、9…第一連結部としての係止孔部、10…第二連結部としての係止突部、11…皮むき空間、11a…皮むき口、Y…幅方向(刃縁の延設方向)、X…皮むき腕の長手方向、P…第一連結部による連結状態、Q…第二連結部による連結状態。
図1
図2
図3
図4
図5