(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
車線を走行する車両から、車種判別を行うための車両特徴情報を検出する車両特徴情報検出センサと、前記車両特徴情報検出センサによって検出された前記車両特徴情報に基づいて前記車両が属する一の車種区分、又は、車種区分の候補を特定する車種判別処理部と、前記車両特徴情報検出センサよりも下流側に規定された打切検知位置への前記車両の進入を検知する打切位置車両検知器と、を備え、前記車種判別処理部は、前記打切位置車両検知器で前記車両の進入が検知された打切検知時点で、当該打切検知時点以前に取得された前記車両特徴情報に基づいて前記一の車種区分、又は、前記車種区分の候補を特定して出力する車種判別装置と、
前記車種判別装置から前記一の車種区分、又は、前記車種区分の候補を受け付けて、当該一の車種区分、又は、当該車種区分の候補に基づいて収受員の料金収受処理を支援する料金収受機と、
を備え、
前記料金収受機は、収受員から車種区分の指定操作を受け付ける際、前記車種判別装置から受け付けた一の車種区分、又は、車種区分の候補が指定された場合にのみ前記指定操作を受け付ける、
料金収受システム。
前記車種判別処理部は、前記打切検知時点よりも後に前記進入側車両検知器にて車尾抜けが検知された場合には、当該打切検知時点における前記車種区分の候補の出力に加え、更に、前記打切検知時点よりも後の前記車尾抜け検知時点で、当該車尾抜け検知時点以前に取得された前記車両特徴情報に基づいて一の車種区分、又は、車種区分の候補を特定して出力する
請求項2に記載の料金収受システム。
前記車種判別処理部は、前記レーザスキャナによる前記車両の車体先端の検知位置が、前記打切検知位置よりも下流となった時点で、当該打切検知時点以前に取得された前記車両特徴情報に基づいて前記一の車種区分、又は、前記車種区分の候補を特定して出力する
請求項4に記載の料金収受システム。
車線を走行する車両から、車種判別を行うための車両特徴情報を検出する車両特徴情報検出センサと、前記車両特徴情報検出センサによって検出された前記車両特徴情報に基づいて前記車両が属する一の車種区分、又は、車種区分の候補を特定する車種判別処理部と、前記車両特徴情報検出センサよりも下流側に規定された打切検知位置への前記車両の進入を検知する打切位置車両検知器と、を備え、前記車種判別処理部は、前記打切位置車両検知器で前記車両の進入が検知された打切検知時点で、当該打切検知時点以前に取得された前記車両特徴情報に基づいて前記一の車種区分、又は、前記車種区分の候補を特定して出力する車種判別装置と、
前記車種判別装置から前記一の車種区分、又は、前記車種区分の候補を受け付けて、当該一の車種区分、又は、当該車種区分の候補に基づいて収受員の料金収受処理を支援する料金収受機と、
を備える料金収受システムにおける前記料金収受機のコンピュータに、
収受員から車種区分の指定操作を受け付ける際、前記車種判別装置から受け付けた一の車種区分、又は、車種区分の候補が指定された場合にのみ前記指定操作を受け付けるステップを実行させる、
プログラム。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<第1の実施形態>
以下、第1の実施形態に係る料金収受システムについて、
図1〜
図7を参照しながら説明する。
【0020】
(料金収受システムの全体構成)
図1は、第1の実施形態に係る料金収受システムの全体構成を示す図である。
第1の実施形態に係る料金収受システム1は、有料道路である高速道路の出口料金所に設けられ、当該高速道路を利用する車両Aから、車両Aの車種区分に応じた料金(課金額)の収受を行うための設備である。なお、有料道路が、入口料金所で料金を収受する形式の場合、料金収受システム1は、入口料金所に設けられていてもよい。
また、第1の実施形態に係る料金収受システム1は、走行する車両Aの車種区分に応じた課金額の支払いを求める。そのため、料金収受システム1では、有人ブース10が設置された料金収受位置D2よりも車線方向上流側(+X方向側)において、車両Aの車種区分を判別するための車種判別装置20が設置されている。
本実施形態に係る車種判別装置20は、例えば、車両Aが「軽自動車(二輪車含む)」、「普通車」、「中型車」、「大型車」及び「特大車」の5種類のうちのいずれの車種区分に属するかを特定する。
【0021】
図1に示す例では、高速道路を利用する車両Aの運転者等は、出口料金所に設けられた料金収受システム1において高速道路側から一般道路側へと通じる料金所車線(以下、「車線L」と表記する。)を走行している。車線Lの車線幅方向両側にはアイランドIが敷設されており、当該アイランドI上には、料金収受システム1を構成する種々の装置、設備が設置されている。
【0022】
なお、以下の説明では、車線Lが延在する方向(
図1における±X方向)を「車線方向」とも記載し、また、車線方向に水平に直交する方向(
図1における±Y方向)を「車線幅方向」とも記載する。また、車線Lの車線方向における高速道路側(
図1における+X方向側)を車線Lの「上流側」、又は、車両Aの「進行方向手前側」とも記載する。また、車線Lの車線方向における一般道路側(
図1における−X方向側)を車線Lの「下流側」、又は、車両Aの「進行方向奥側」とも記載する。
【0023】
図1に示すように、料金収受システム1は、有人ブース10と、料金収受機11と、車種判別装置20と、を備えている。
有人ブース10には、車線Lを走行する車両Aとの間で料金収受処理を行う収受員が駐在する。有人ブース10の内部には、収受員が、車線Lを走行する車両Aから当該車両Aの車種区分に応じた料金を収受するために用いる料金収受機11が設置されている。収受員は、車両Aの運転者等と料金収受処理の過程において、有人ブース10内に設置された料金収受機11を操作する。
また、車両Aの運転者等は、車両Aの運転座席位置が、料金収受処理を行うべき料金収受位置D2(有人ブース10の小窓)に到達した時点で車両Aを停車し、有人ブース10に駐在する収受員と料金収受処理を行う。
【0024】
車種判別装置20は、車線Lにおける有人ブース10の上流側に設けられる。車種判別装置20は、アイランドI上に設けられた種々のセンサ機器(進入側車両検知器201、打切位置車両検知器206、及び、複数の車両特徴情報検出センサ20A)と、車種判別処理部200と、を有してなる。
【0025】
車種判別処理部200は、以下に説明する複数の車両特徴情報検出センサ20A(踏板202、ナンバープレート認識装置203、車高検知器204及び車長検知器205)を通じて取得される複数の車両特徴情報に基づいて、上述の5つの車種区分のうち、走行する車両Aが属する一の車種区分、又は、車種区分の候補を特定する。ここで、車両特徴情報とは、車両Aの外観上、構造上の特徴を示す種々の情報であって、本実施形態においては、車両Aの車体の各種緒元(車高、車長、車軸数)、及び、ナンバープレートから読取可能な情報である。
なお、詳細は後述するが、車種判別処理部200は、車両特徴情報検出センサ20Aを通じて得られた1つ又は複数の車両特徴情報から、車両Aが属する車種区分を一意に特定可能な場合には、当該特定した「一の車種区分」を出力する。また、車種判別処理部200は、車両特徴情報検出センサ20Aを通じて得られた1つ又は複数の車両特徴情報から、車両Aの車種区分を一意に特定できない(複数通りの車種区分が当てはまる)場合には、得られた車両特徴情報から特定可能な範囲内の複数の車種区分の組み合わせを、当該車両Aが属する「車種区分の候補」として出力する。
【0026】
進入側車両検知器201は、車両特徴情報検出センサ20Aと車線方向における同じ位置、又は、上流側(+X方向側)に規定された進入検知位置D1における車両Aの進入及び退出を検知する。
具体的には、進入側車両検知器201は、車線Lの最も上流側に位置する進入検知位置D1に設置される。進入側車両検知器201は、いわゆる透過型の車両検知器であって、進入検知位置D1のアイランドI上において高さ方向(±Z方向)に延在し、車線Lを車線幅方向(±Y方向)に挟んで対向する投光塔及び受光塔を有する。そして、進入側車両検知器201は、投光塔から投光される検知光を受光塔で受光するか否かに基づき、進入検知位置D1における車両Aの進入、退出(存在、非存在)を示す車両検知信号を出力する。
【0027】
車両特徴情報検出センサ20Aは、車線Lに沿ったアイランド上、又は、車線Lの路面上に設けられた複数の検出センサである。本実施形態に係る車両特徴情報検出センサ20Aは、具体的には、以下に説明する踏板202、ナンバープレート認識装置203、車高検知器204及び車長検知器205であり、それぞれ、走行する車両Aを車種判別するための車両特徴情報(車軸数、ナンバープレート情報、車高、車長等)に応じた各種信号を検出する。
【0028】
踏板202は、車線Lの路面上において車線幅方向に延在して埋設され、内部に仕込まれた通電センサを通じて走行する車両Aのタイヤによる踏み付けに応じた踏み付け検知信号を出力する。
なお、踏板202の車線方向における設置位置は、上述の進入側車両検知器201の車線方向における設置位置と同じ位置(共に、
図1に示す進入検知位置D1)とされている。
車種判別処理部200は、進入側車両検知器201が車両Aの存在を検知している間に踏板202からの踏み付け検知信号を受け付けた回数で、車両Aの車軸数を計測することができる。車種判別処理部200は、計測した車両Aの車軸数に基づいて車両Aが属する車種区分を特定する。
本実施形態に係る車種判別処理部200は、検出した車軸数が“4”以下である場合、車両Aが属する車種区分の候補を「軽自動車」、「普通車」、「中型車」、「大型車」と特定する。また、車種判別処理部200は、検出した車軸数が“5”以上である場合、車両Aの車種区分を「特大車」と一意に特定する。
【0029】
なお、踏板202は、車両Aがタイヤで踏みつけた車線幅方向の位置を特定可能なものであってもよい。即ち、踏板202は、タイヤで踏みつけられた車線幅方向の位置を示す踏み付け位置検知信号を出力する。
この場合、車種判別処理部200は、踏板202における踏み付け位置検知信号に基づいて、車両Aの車両特徴情報の一つとして、当該車両Aのトレッド幅を計測する。車種判別処理部200は、計測した車両Aのトレッド幅に基づいて車両Aが属する一の車種区分、又は、車種区分の候補を特定するようにしてもよい。
更に、踏板202は、踏みつけたタイヤのタイヤパターン(シングルタイヤかダブルタイヤか)を判別可能なものであってもよい。即ち、踏板202は、踏みつけたタイヤの“幅”(タイヤパターンに関連する情報)を特定可能な踏み付け幅検知信号を出力する。
この場合、車種判別処理部200は、踏板202における踏み付け幅検知信号に基づいて、車両Aの車両特徴情報の一つとして、当該車両Aのタイヤパターンを判別する。
【0030】
ナンバープレート認識装置203は、車線方向における所定位置(進入検知位置D1)に到達した車両Aの車体を正面側(車両Aの進行方向奥側)から撮影可能な位置に設けられている。
ナンバープレート認識装置203は、進入側車両検知器201から車両Aの進入を示す検知信号が出力されたタイミングで車両Aを正面側から撮影し、当該車両Aのナンバープレートを含んだ画像データを取得する。そして、ナンバープレート認識装置203は、取得した画像データに対する画像処理を通じて、ナンバープレート情報(ナンバープレートのサイズ、ナンバープレートに表記されている分類番号、及び、色(文字部と背景部との濃淡関係))を取得する。
車種判別処理部200は、ナンバープレート認識装置203が取得したナンバープレート情報に基づいて車両Aが属する一の車種区分、又は、車種区分の候補を特定する。
本実施形態に係る車種判別処理部200は、“小”、“中”、“大”等と分類されるナンバープレートのプレートサイズが“中”に属する場合、車両Aが属する車種区分の候補を「軽自動車」、「普通車」、「中型車」と特定し、また、プレートサイズが“大”に属する場合、車両Aが属する車種区分の候補を「中型車」、「大型車」、「特大車」と特定する。
また、本実施形態に係る車種判別処理部200は、ナンバープレートに刻印された分類番号の上一桁目が“1”又は“2”であった場合、車両Aが属する車種区分の候補を「中型車」、「大型車」、「特大車」と特定し、また、分類番号の上一桁目が“3”であった場合、車両Aが属する車種区分を「普通車」と一意に特定する。
【0031】
車高検知器204は、アイランドI上に所定の高さ(±Z方向)に設けられている。車高検知器204は、車線Lを車線幅方向に挟んで対向する投光器及び受光器を通じて、車線Lを走行する車両Aの車体の存在/非存在に応じた車高検知信号を出力する。
車種判別処理部200は、車高検知器204からの車高検知信号に基づいて、車両Aが所定の車高(車高検知器204が設置されている高さ)以上か否かを判断することができる。車種判別処理部200は、車両Aの車高の判断結果に基づいて車両Aが属する車種区分の候補を特定する。
本実施形態に係る車種判別処理部200は、車高検知信号が“OFF”(車両Aの車高が上記所定の高さ未満)のままであった場合、車両Aが属する車種区分の候補を「軽自動車」、「普通車」、「中型車」と特定する。また、車種判別処理部200は、車高検知信号が“ON”(車両Aの車高が上記所定の高さ以上)となった場合、車両Aが属する車種区分の候補を「中型車」、「大型車」、「特大車」と特定する。
【0032】
車長検知器205は、車線方向において進入側車両検知器201よりも所定の距離だけ下流側に設けられている。車長検知器205は、車線Lを車線幅方向に挟んで対向する投光器及び受光器を通じて、車線Lを走行する車両Aの、当該設置位置における進入/退出に応じた車長検知信号を出力する。
車種判別処理部200は、進入側車両検知器201からの車両検知信号と車長検知器205からの車長検知信号との組み合わせに基づいて、車両Aが所定の車長(進入側車両検知器201と車長検知器205との間隔)以上か否かを判断することができる。車種判別処理部200は、車両Aの車長の判断結果に基づいて車両Aが属する車種区分の候補を特定する。
本実施形態に係る車種判別処理部200は、車両検知信号が“ON”となっている間に車長検知信号が“ON”(車両Aの車長が上記所定の長さ以上)となった場合、車両Aが属する車種区分の候補を「普通車」、「中型車」、「大型車」、「特大車」と特定する。また、車種判別処理部200は、車両検知信号が“OFF”となってから車長検知信号が“ON”(車両Aの車長が上記所定の長さ未満)となった場合、車両Aの車種区分を「軽自動車」と特定する。
【0033】
打切位置車両検知器206は、複数の車両特徴情報検出センサ20A(踏板202、ナンバープレート認識装置203、車高検知器204及び車長検知器205)よりも下流側に規定された打切検知位置D3における車両Aの進入、退出(存在、非存在)を検知する。
本実施形態に係る打切位置車両検知器206は、進入側車両検知器201と同様の態様とされる。即ち、打切位置車両検知器206は、車線方向における打切検知位置D3に設置される。打切位置車両検知器206は、打切検知位置D3のアイランドI上において高さ方向(±Z方向)に延在し、車線Lを車線幅方向に挟んで対向する投光塔及び受光塔を有する。そして、打切位置車両検知器206は、投光塔から投光される検知光を受光塔で受光するか否かに基づき、打切検知位置D3における車両Aの進入、退出(存在、非存在)を示す車両検知信号を出力する。
【0034】
なお、他の実施形態においては、打切位置車両検知器206は上記の態様(透過型の車両検知器)に限定されない。例えば、打切位置車両検知器206は、反射型の車両検知器であってもよい。また、打切位置車両検知器206は、打切検知位置D3に設置され、当該打切検知位置D3においてタイヤの踏み付けを検知する踏板であってもよいし、超音波センサ等であってもよい。即ち、打切位置車両検知器206は、車両Aが料金収受位置D2近傍に規定された打切検知位置D3に到達したか否かを判定可能なセンサであれば、如何なる態様であってもよい。
【0035】
また、本実施形態では、進入側車両検知器201は進入検知位置D1における車両Aの進入及び退出するセンサであり、車両特徴情報を検出する車両特徴情報検出センサ20Aとは区別して説明した。しかし、他の実施形態においてはこの態様に限定されない。例えば、他の実施形態において、進入側車両検知器201は、所定の車両特徴情報を検出する車両特徴情報検出センサ20Aとしての機能を有していてもよい。例えば、進入側車両検知器201は、車両特徴情報の一つである「被牽引車の有無」を判別可能な、受光塔における受光パターン等を出力するものであってもよい。
【0036】
ここで、第1の実施形態(
図1)では、打切検知位置D3は、アイランドI上における打切位置車両検知器206の配置スペースの制約により、料金収受位置D2よりもわずかに上流側(+X方向側)に規定されているが、他の実施形態においてはこの態様に限定されない。即ち、他の実施形態においては、打切検知位置D3は、アイランドI上における有人ブース10、他の機器との配置関係により配置可能であれば、料金収受位置D2と同じ位置、又は、料金収受位置D2よりも下流側(−X方向側)に規定されていてもよい。
ただし、利用者に対するサービスタイム(料金収受に要する時間)の短縮の観点から、車種判別処理部200は、車両Aが料金収受位置D2に到達するまでに車種判別処理を完了しているのが好ましい。したがって、車種判別処理に要する時間(車両Aが打切検知位置D3に到達した時点から一の車種区分(車種区分の候補)が出力されるまでの時間)に応じた距離だけ料金収受位置D2より上流側に打切位置車両検知器206(打切検知位置D3)を設けてもよい。
【0037】
また、第1の実施形態において、進入側車両検知器201(及び踏板202)が設置される進入検知位置D1と有人ブース10が設置される料金収受位置D2との間隔ΔDは、料金収受システム1の設置スペースの都合により、7〜12メートル程度とされる。なお、出口料金所にて走行が想定される車両Aの最大車長は、18メートル程度である。そのため、車両Aが、車長12メートル以上の大型トラック等であった場合、車両Aの車体前端(運転席)が料金収受位置D2に到達した段階にもかかわらず、車両Aが車尾抜けしていない状態が想定される。
ここで、「車尾抜けする」とは、車線Lを下流側(−X方向側)に走行する車両Aの車体後端が進入検知位置D1を通り過ぎて、進入側車両検知器201が車両Aの存在を検知しなくなったことを意味する。
【0038】
(料金収受システムの機能構成)
図2は、第1の実施形態に係る料金収受システムの機能構成を示す図である。
図2を参照しながら、まず、車種判別装置20の機能構成について説明する。
図2に示すように、車種判別装置20は、車種判別処理部200と、進入側車両検知器201と、複数の車両特徴情報検出センサ20A(踏板202、ナンバープレート認識装置203、車高検知器204、及び、車長検知器205)と、打切位置車両検知器206とを有している。
【0039】
ここで、車種判別装置20を構成する各センサ機器(進入側車両検知器201、車両特徴情報検出センサ20A、及び、打切位置車両検知器206)及び車種判別処理部200の機能については上述した通りである。
車種判別処理部200は、上記のように特定した一の車種区分、又は、(複数の車種区分からなる)車種区分の候補を、逐次、有人ブース10(
図1)内に設けられた料金収受機11に向けて出力する。
料金収受機11は、車種判別装置20から一の車種区分、又は、車種区分の候補を受け付けて、当該一の車種区分、又は、車種区分の候補に基づいて収受員の料金収受処理を支援する。
【0040】
次に、
図2を参照しながら、料金収受機11の機能構成について具体的に説明する。
図2に示すように、料金収受機11は、CPU110と、表示部120と、操作受付部121と、を有してなる。
【0041】
CPU110は、料金収受機11全体の動作を司るプロセッサである。本実施形態においてCPU110が発揮する各種機能については後述する。
表示部120は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等であって、有人ブース10に駐在する収受員の操作を支援するための情報を表示して提供する画像表示デバイスである。
また、操作受付部121は、表示部120の表示画面と一体に設けられたタッチセンサである。本実施形態に係る操作受付部121は、特に、収受員による操作であって、料金収受の対象とする車両Aについての車種区分を指定するための操作(タッチ操作)を受け付ける。
【0042】
CPU110は、専用のプログラムを読み込むことで、
図2に示す車種区分候補取得部111及び操作支援部112としての機能を発揮する。
【0043】
車種区分候補取得部111は、車種判別装置20(車種判別処理部200)によって特定された一の車種区分、又は、車種区分の候補を、当該車種判別装置20から受け付けて取得する。
【0044】
操作支援部112は、車種判別装置20から受け付けた一の車種区分、又は、車種区分の候補に基づいて収受員の料金収受処理(特に、課金額を決定するために車種区分を指定する操作。以下、「車種区分指定操作」とも記載する。)を支援する。
詳細は後述の処理フローで説明するが、操作支援部112は、車種判別装置20から車種区分の候補を受け付けた時点で、収受員が行う料金収受処理の一つである車種区分指定操作の受付を開始する。
【0045】
(車種判別装置の処理フロー)
図3は、第1の実施形態に係る車種判別装置の処理フローを示す図である。
次に、
図3を参照しながら車種判別装置20(車種判別処理部200)が実行する処理フローについて説明する。
【0046】
まず、車種判別装置20の車種判別処理部200は、車両A(
図1)の車線Lへの進入を待ち受ける。具体的には、車種判別処理部200は、進入側車両検知器201による進入検知(車両検知信号)を受け付けたか否かを判定する(ステップS01)。進入検知を受け付けない場合(ステップS01:NO)、進入検知を受け付けるまで待機する。進入検知を受け付けた場合(ステップS01:YES)、車両特徴情報検出センサ20Aを通じて車両特徴情報の検出処理を行う(ステップS02)。
【0047】
ステップS02では、例えば、ナンバープレート認識装置203によるナンバープレート情報の取得、車高検知器204、車長検知器205による車高検知信号、車長検知信号の取得、踏板202による車軸数計測等が行われる。
【0048】
ステップS02における車両特徴情報の取得処理が行われている間、車種判別処理部200は、車両Aが車尾抜けしたか否かを判定する(ステップS03)。
車尾抜けが検知されていない場合(ステップS03:NO)、続いて、車種判別処理部200は、打切位置車両検知器206で車両Aの進入が検知されたか否かに基づいて、車両Aの車体先端が打切検知位置D3に到達したか否かを判定する(ステップS04)。
車尾抜けが検知されておらず、更に、車両Aの車体先端が打切検知位置D3に到達していない場合(ステップS04:NO)、車種判別処理部200は、引き続きステップS02にて車両特徴情報の検出処理を継続する。
【0049】
車両Aの車体先端が打切検知位置D3に到達するよりも前に進入側車両検知器201にて車尾抜けが検知された場合(ステップS03:YES)、車種判別処理部200は、車尾抜けが検知されたタイミング(車尾抜け検知時点)で、一の車種区分、又は、車種区分の候補を特定して、料金収受機11に出力する(ステップS05)。この場合、車種判別処理部200は、車尾抜け検知時点以前にステップS02で取得された車両特徴情報に基づいて一の車種区分、又は、車種区分の候補を特定する。
例えば、車両Aが、比較的小型の車両(「軽自動車」、「普通車」、「中型車」)の場合、車両Aの車体先端が打切検知位置D3に到達する前に進入側車両検知器201にて車尾抜けが検知され得る。この場合、車種判別処理部200は、ステップS02でナンバープレート情報、車高検知信号、車長検知信号及び車軸数を取得することができる。車種判別処理部200は、ほとんどの場合は、これらの車両特徴情報により、一意に車種区分を特定することができる。
【0050】
進入側車両検知器201にて車尾抜けが検知されるよりも前に、車両Aの車体先端が打切検知位置D3に到達した場合(ステップS04:YES)、車種判別処理部200は、打切検知位置D3への到達が検知されたタイミング(打切検知時点)で、一の車種区分、又は、車種区分の候補を特定して、料金収受機11に出力する(ステップS05)。この場合、車種判別処理部200は、打切検知時点以前にステップS02で取得された車両特徴情報に基づいて一の車種区分、又は、車種区分の候補を特定する。
例えば、車両Aが、比較的大型の車両(「大型車」、「特大車」)であった場合、進入側車両検知器201にて車尾抜けが検知されないまま、車両Aの車体先端が打切検知位置D3に到達することが想定される。この場合、車種判別処理部200は、ステップS02でナンバープレート情報、車高検知信号及び車長検知信号を取得可能であるが、車尾抜けしていないため、車両Aの車軸数を確定することができない。そのため、車種判別処理部200は、車軸数以外の車両特徴情報により、車両Aが「大型車」又は「特大車」の何れかに属することまでは特定できるものの、(車軸数が不明のため)車両Aが「大型車」か「特大車」か、を切り分けることはできない。したがって、車種判別処理部200は、打切検知時点で、車両Aが「大型車」又は「特大車」の何れかに属するものとして車種区分の候補を特定し、当該車種区分の候補(「大型車」、「特大車」)を料金収受機11に向けて出力する。
【0051】
(料金収受機の処理フロー)
図4は、第1の実施形態に係る料金収受機の処理フローを示す図である。
また、
図5〜
図7は、それぞれ、第1の実施形態に係る料金収受機の機能を説明する第1の図〜第3の図である。
図5〜
図7は、料金収受機11の表示部120及び操作受付部121の外観の例を示している。
図5〜
図7に示すように、表示部120には、収受員から車種区分の指定を受け付けるための車種区分ボタンE1が表示されている。収受員は、操作受付部121を通じて車種区分ボタンE1をタッチ操作することで、車両Aが属する車種区分を指定する。また、表示部120には、車線Lの様子を撮影可能な監視カメラ(
図1には図示せず)による映像E2等が表示されている。収受員は、車両Aの車体を直接目視したり、映像E2を確認したりすることによって、車両Aが属する車種区分を指定する。
【0052】
以下、
図4及び
図5〜
図7を参照しながら、料金収受機11が行う支援処理について説明する。
【0053】
図4に示すように、料金収受機11の操作支援部112は、初期状態として、車種区分ボタンE1のタッチ操作の受け付けが制限されている(ステップS10)。例えば、
図5に示すように、操作支援部112は、操作受付部121における車種区分ボタンE1の表示をしない、若しくは、グレーアウトして、収受員によるタッチ操作を受け付けないようにする。即ち、車種判別装置20から特定された一の車種区分、又は、車種区分の候補を受け付ける前の初期段階(ステップS10)では、収受員は、車種区分指定操作を入力することができない。
【0054】
次に、料金収受機11の車種区分候補取得部111は、車種判別装置20から一の車種区分、又は、車種区分の候補を受け付けたか否かを判定する(ステップS11)。
車種判別装置20から一の車種区分、又は、車種区分の候補を受け付けていない場合(ステップS11:NO)、一の車種区分、又は、車種区分の候補の待ち受けを継続する。
図3のステップS05を経て、車種判別装置20から一の車種区分、又は、車種区分の候補を受け付けた場合(ステップS11:YES)、操作支援部112は、車種区分ボタンE1のタッチ操作の受付を開始する。
上述したように、車両Aが、比較的小型の車両(「軽自動車」、「普通車」、「中型車」)であったとすると、車両Aの車体先端が打切検知位置D3に到達する前に車尾抜けする。したがって、車種判別処理部200は、ほとんどの場合、一意に車種区分を特定することができる。ここで、例えば、車種判別処理部200が車両Aの車種区分を「普通車」と特定し、当該特定した一の車種区分(「普通車」)を料金収受機11に出力したとする。この場合、操作受付部121は、
図6に示すように、「普通車」を指定するための車種区分ボタンE1のみを明確に表示させるとともに、当該「普通車」を指定するための車種区分ボタンE1へのタッチ操作のみを受け付けるようにする。
また、上述したように、車両Aが、比較的大型の車両(「大型車」、「特大車」)であった場合、進入側車両検知器201にて車尾抜けが検知されないまま、車両Aの車体先端が打切検知位置D3に到達する場合がある。この場合において、例えば、車種判別処理部200は、打切検知時点で、車両Aが「大型車」又は「特大車」の何れかに属するものと判断し、当該特定した車種区分の候補(「大型車」、「特大車」)を料金収受機11に出力したとする。この場合、操作受付部121は、
図7に示すように、「大型車」及び「特大車」を指定するための車種区分ボタンE1のみを明確に表示させるとともに、当該「大型車」、「特大車」を指定するための車種区分ボタンE1へのタッチ操作のみを受け付けるようにする。
【0055】
次に、操作支援部112は、操作受付部121を通じて収受員による車種区分ボタンE1のタッチ操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS13)。ここで、操作支援部112は、ステップS12にて受け付け可能とした車種区分ボタンE1以外の車種区分ボタンE1(非表示又はグレーアウトの状態のままの車種区分ボタンE1)へのタッチ操作は受け付けないようにする。
【0056】
操作受付部121を通じて収受員による車種区分ボタンE1のタッチ操作を受け付けていない場合(ステップS13:NO)、タッチ操作の待ち受けを継続する。
操作受付部121を通じて収受員による車種区分ボタンE1のタッチ操作を受け付けた場合(ステップS13:YES)、操作受付部121は、タッチ操作を受け付けた(収受員によって指定された)車種区分に応じた課金額を決定し、表示部120に表示する(ステップS14)。これにより、収受員は、表示された課金額に基づいて、車両Aの車種区分に応じた正しい課金額を収受することができる。
【0057】
なお、上述の処理フローにおいて、操作支援部112は、常に、収受員による車種区分ボタンE1のタッチ操作を受け付ける(ステップS12)ものとして説明したが、他の実施形態においてはこの態様に限られない。例えば、
図6に示したように、車種判別装置20により車種区分が一意に(例えば、「普通車」のみ)に特定された場合には、収受員による車種区分ボタンE1のタッチ操作を受け付けるまでもなく、「普通車」なる車種区分に関連付けられた課金額を表示する態様であってもよい。
なお、車種判別装置20による車種区分の判別結果に誤りがあった場合、収受員が、目視により判断した真の車種区分を指定(タッチ操作)できなくなることも想定される。このような場合に備え、操作支援部112は、全ての車種区分ボタンE1をタッチ操作可能とするための別途のボタン(制限解除ボタン)を有していてもよい。
【0058】
(作用効果)
以上の通り、第1の実施形態に係る車種判別装置20は、車線Lを走行する車両Aから、車種判別を行うための車両特徴情報(ナンバープレート情報、車高、車長、車軸数)を検出する車両特徴情報検出センサ20Aと、車両特徴情報検出センサ20Aによって検出された車両特徴情報に基づいて、車両Aが属する一の車種区分、又は、車種区分の候補を特定する車種判別処理部200と、を備えている。また、車種判別装置20は、車両特徴情報検出センサ20Aよりも下流側に規定された打切検知位置D3への車両の進入を検知する打切位置車両検知器206を備えている。そして、車種判別処理部200は、打切位置車両検知器206で車両Aの進入が検知された打切検知時点で、当該打切検知時点以前に取得された車両特徴情報に基づいて一の車種区分、又は、車種区分の候補を特定して出力する(
図3のステップS04:YES〜ステップS05の流れを参照)。
このようにすることで、車両特徴情報検出センサ20Aにおける処理の段階(車両特徴情報の検出の程度)が如何なる状況にあったとしても、車両Aが打切検知位置D3に到達した時点で、常に、その段階までに取得できた車両特徴情報に基づいて一の車種区分、又は、車種区分の候補を特定して出力する。したがって、車両Aが車線L上の料金収受位置D2(打切検知位置D3よりも下流の位置)に到達した時点で、収受員に対し当該車両Aが属する一の車種区分、又は、車種区分の候補を示す情報を提供することができる。
【0059】
また、第1の実施形態に係る車種判別装置20は、車両特徴情報検出センサ20Aと車線方向における同じ位置、又は、上流側に規定された進入検知位置D1への車両Aの進入及び退出を検知する進入側車両検知器201を更に備えている。そして、車種判別処理部200は、打切検知時点よりも前に進入側車両検知器201にて車尾抜けが検知された場合には、当該進入側車両検知器201にて車尾抜けが検知された車尾抜け検知時点で、当該車尾抜け検知時点以前に取得された車両特徴情報に基づいて車種区分の候補を特定して出力する(
図3のステップS03:YES〜ステップS05の流れを参照)。
車尾抜けが検知された場合には、当該車尾抜け検知時点よりも後の段階で新たな車両特徴情報が取得されることはない。したがって、上記のようにすることで、車両Aが打切検知位置D3に到達する前に、進入側車両検知器201にて車尾抜けが検知された場合には、車両Aが打切検知位置D3に到達することを待たずに、それまでに取得された車両特徴情報に基づいて一の車種区分、又は、車種区分の候補を特定して出力する。したがって、収受員は、より早く車種区分(車種区分の候補)の提供を受けることができるので、料金収受処理を迅速に行うことができ、車両一台当たりのサービスタイム(車両一台の料金収受処理に要する時間)を縮めることができる。
ただし、他の実施形態に係る車種判別装置20は、上記態様に限定されることはない。即ち、車種判別処理部200は、打切検知時点よりも前に車尾抜けが検知された場合であっても、打切位置車両検知器206における車両検知を待って、打切検知時点で、一の車種区分、又は、車種区分の候補を特定して出力してもよい。
【0060】
また、第1の実施形態に係る料金収受システム1は、上述の車種判別装置20と、車種判別装置20から車種区分の候補を受け付けて、当該車種区分の候補に基づいて収受員の料金収受処理を支援する料金収受機11と、を備えている。
このようにすることで、車種判別装置20が車種区分を一意に特定できなかった場合であっても、当該車種判別装置20から受け付けた車種区分の候補に基づいて、収受員を支援することができる。これにより、収受員が行うべき料金収受処理の負担を軽減することができる。具体的には、収受員は、料金収受処理における車種区分指定操作につき、複数種類(5種類)の車種区分のうち、より少ない候補の中から一つを指定すればよくなる。
【0061】
また、第1の実施形態に係る料金収受機11は、車種判別装置20から一の車種区分、又は、車種区分の候補を受け付けた時点で、収受員が行う料金収受処理の一つである車種区分指定操作の受付を開始する(
図4の処理フローを参照。)
このようにすることで、収受員が料金収受機11に対し車種区分指定操作を入力することができるのは、料金収受機11が車種判別装置20から車両Aが属する一の車種区分、又は、車種区分の候補を受け付けた後に制限される。ここで、車種判別装置20から一の車種区分(又は車種区分の候補)を受け付ける前から、収受員が自由に車種区分指定操作を入力することができるとすると、本来、車種判別装置20から受け付けた一の車種区分(又は車種区分の候補)によって除外できたはずの車種区分を、収受員が誤って指定してしまうことが想定される。したがって、上述の態様とすることで、収受員が誤った車種区分を指定することを抑制することができる。
ただし、他の実施形態に係る料金収受システム1は、上記態様に限定されることはない。即ち、他の実施形態に係る料金収受システム1の料金収受機11は、車種判別装置20から車種区分(又は車種区分の候補)を受け付ける前から、収受員が自由に車種区分指定操作を入力することができてもよい。
【0062】
また、第1の実施形態に示すように、打切検知位置D3は、複数の車両特徴情報検出センサ20Aよりも下流側であって、かつ、料金収受位置D2にできるだけ近い位置とされているのが好ましい(
図1参照)。
このようにすることで、進入側車両検知器201と打切位置車両検知器206との間の距離を可能な限り広げることができる。そうすると、車両Aの車体先端が打切検知位置D3に到達して車両特徴情報の取得が打ち切られるまでに、できるだけ多くの車両特徴情報を取得することができる。
【0063】
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態に係る料金収受システムについて、
図8、
図9を参照しながら説明する。
なお、第2の実施形態に係る料金収受システム1の全体構成及び機能構成については、第1の実施形態(
図1、
図2)と同様である。
【0064】
(車種判別装置の処理フロー)
図8は、第2の実施形態に係る車種判別装置の処理フローを示す図である。
図8に示す処理フローのうちステップS01〜ステップS05は、第1の実施形態(
図3)と同様であるため説明を省略する。
【0065】
図8において、車尾抜けを検知する前に車両Aの車体先端が打切検知位置D3に到達した場合(ステップS04:YES)、車両Aは、車尾抜けしないまま、有人ブース10(
図1参照)手前に停車し、収受員との間で料金収受処理を行う(ステップSS)。
その後、料金収受処理が完了すると、車両Aは、再び発進する。
【0066】
ここで、車種判別処理部200は、料金収受処理(ステップSS)完了後も引き続き、進入側車両検知器201にて車尾抜けを検知したか否かを判定する(ステップS06)。
進入側車両検知器201にて車尾抜けが検知されない場合(ステップS06:NO)、車種判別処理部200は、進入側車両検知器201による車尾抜けの検知を待ち受ける。進入側車両検知器201にて車尾抜けが検知された場合(ステップS06:YES)、車種判別処理部200は、当該車尾抜け検知時点以前に取得した車両特徴情報に基づいて一の車種区分、又は、車種区分の候補を再度特定して出力する(ステップS07)。
例えば、車種判別処理部200は、ステップS05の段階では、車尾抜けしていない(車軸数が確定していない)ため、走行する車両Aが「大型車」か「特大車」か、を判別することができなかったとする。そのため、車種判別処理部200は、ステップS05においては、「大型車」及び「特大車」を車種区分の候補として出力したとする。
この場合、料金収受処理(ステップSS)後、車両Aが再発進した際に当該車両Aの車尾抜けが検知される(ステップS06:YES)。この車尾抜け検知時点では、車種判別処理部200は、踏板202からの踏み付け検知信号により車両Aの車軸数を確定することができる。ここで、例えば、車尾抜け検知時点で、車両Aの車軸数が“5”であったとする。そうすると、車種判別処理部200は、当該車軸数“5”の計測結果に基づいて、車両Aの車種区分を「特大車」と特定することができる。
【0067】
図9は、第2の実施形態に係る料金収受機の機能を説明する図である。
以下、料金収受処理(
図8のステップSS)の完了後、
図8のステップS07により、車種判別処理部200から一の車種区分、又は、車種区分の候補を再度受け付けた場合における料金収受機11の処理について説明する。
【0068】
例として、打切検知時点(
図8のステップS05)において、料金収受機11が車種判別処理部200から受け付けた車種区分の候補が「大型車」、「特大車」のいずれかを示すものであったとする。この場合、収受員は、車両Aに対する料金収受処理(ステップSS)の過程で、車両Aの車体全体を目視確認して、
図7に示す表示画面(車種区分ボタンE1)から、「大型車」、「特大車」のいずれかを示す車種区分ボタンE1をタッチ操作する。
ここで、収受員は、車両Aの車種区分として「大型車」を示す車種区分ボタンE1をタッチ操作したとする。そうすると、料金収受機11の操作支援部112は、指定された「大型車」に関連付けられた課金額を決定して表示する。本実施形態に係る操作支援部112は、この段階で車両Aの車尾抜けが検知されていない場合、当該車両Aについて収受員が指定した車種区分(「大型車」)を一時メモリ等に記録しておく。
次に、車両Aに対する料金収受処理(ステップSS)が完了し、車両Aが発進した際に、車尾抜けが検知されたとする(
図8のステップS06:YES)。車尾抜けが検知された時点で車両Aの車軸数が確定するため、車種判別処理部200は、確定した車軸数を考慮に入れて、改めて一の車種区分、又は、車種区分の候補を特定する(
図8のステップS07)。ここで、例えば、車軸数が“5”と確定したため、車両Aの車種区分が「特大車」であったことが判明したとする。
操作支援部112は、上記一時メモリに記録していた車種区分(即ち、料金収受処理の過程で収受員が指定した車種区分)(「大型車」)と、車種判別処理部200より2回目に受け付けた車種区分(「特大車」)と、を対比する。そして、両者が異なっていた場合には、操作支援部112は、
図9に示すように、先の料金収受処理(ステップSS)にて指定した車種区分(「大型車」)が、車両Aの真の車種区分(即ち、車軸数確定後に判明した車種区分)(「特大車」)と異なっていたことを通知する注意画像E3を表示する。
【0069】
(作用効果)
以上の通り、第2の実施形態に係る車種判別処理部200は、打切検知時点よりも後に進入側車両検知器201にて車尾抜けが検知された場合には、当該打切検知時点における車種区分の候補の出力に加え、更に、打切検知時点よりも後の車尾抜け検知時点で、当該車尾抜け検知時点以前に取得された車両特徴情報に基づいて一の車種区分、又は、車種区分の候補を再度特定して出力する(
図8のステップS06:YES〜ステップS07を参照)。
このようにすることで、料金収受処理が完了した後、車尾抜けが検知された場合に、(打切り検知時点での特定に加えて)車尾抜け検知時点においても車種区分(又は車種区分の候補)を再特定することによって、車種判別装置20から、(打切検知時点において特定された車両特徴情報の数に比べて)より多く取得されることとなる(車軸数などの)車両特徴情報に基づいて、一の車種区分、又は、車種区分の候補が出力される。
そうすると、収受員は、料金収受処理完了後に、料金収受処理で指定した車種区分が正しいものであったか否かの通知を受けることができる。これにより、収受員は到来した車両Aに対し本来指定すべきであった車種区分をその都度学習することができるので、車種区分の指定に係る能力の向上を図ることができる。また、車種区分の指定が誤っていることが通知されるので、収受員に対し、不正行為に対する抑止力を働かせることができる。
【0070】
また、他の実施形態において、操作支援部112は、指定した車種区分の正否(収受員が正しく車種区分を指定できているか否か)を記録して蓄積してもよい。このようにすることで、管理者は、収受員別の車種区分の指定に係る能力を把握することができる。
【0071】
<第3の実施形態>
次に、第3の実施形態に係る料金収受システムについて、
図10、
図11を参照しながら説明する。
【0072】
(料金収受システムの全体構成)
図10は、第3の実施形態に係る料金収受システムの全体構成を示す図である。
図10に示すように、第3の実施形態に係る料金収受システム1は、第1の実施形態と同様に、有人ブース10と、料金収受機11と、車種判別装置20と、を備えている。
【0073】
第3の実施形態に係る車種判別装置20は、アイランドI上に設けられた種々のセンサ機器として、進入側車両検知器201、踏板202、ナンバープレート認識装置203、車高検知器204、車長検知器205、及び、レーザスキャナ207を備えている。このうち、レーザスキャナ207以外のセンサ機器については第1の実施形態と同様であるため説明を省略する。
本実施形態に係るレーザスキャナ207は、第1、第2の実施形態で説明した打切位置車両検知器206及び車両特徴情報検出センサ20Aとしての機能を兼ねる。
【0074】
まず、レーザスキャナ207の、打切位置車両検知器206としての機能について説明する。
図10に示すように、レーザスキャナ207は、車線方向(±X方向)の進入検知位置D1から打切検知位置D3までの間において、車線Lの上方側(+Z方向側)に設置される。レーザスキャナ207は、車線Lの上方から下方(車線Lの路面)に向けてレーザ光Qを投光する。そして、レーザスキャナ207は、車線方向の投光角度θを微小角度ずつ変化させながらレーザ光Qを複数回投光することで、車線方向(±X方向)に沿って上流側から下流側まで(又は下流側から上流側まで)レーザ光Qを走査する。レーザスキャナ207は、少なくとも車両Aの車体が進入側車両検知器201によって検知されている間は、レーザ光Qの走査を複数回、繰り返し行う。
レーザスキャナ207によるレーザ光Qの走査範囲は、少なくとも進入検知位置D1よりも上流側(+X方向側)の領域、及び、打切検知位置D3よりも下流側(−X方向側)の領域を十分にカバーする範囲とされる。通常、レーザ光Qは、1回の走査により車線L上のうち車両Aが存在しない部分(例えば、
図10に示す照射位置P)、及び、車両Aの車体前端から車体後端に渡って投光される。
【0075】
レーザスキャナ207は、例えば、TOF(Time of Flight)方式による測距機能を有している。あるタイミングにおいて、レーザスキャナ207が投光したレーザ光Qの照射位置が
図10に示す照射位置Pであったとする。この場合、レーザスキャナ207は、パルス状のレーザ光Qの投光時刻と、投光したレーザ光Qが照射対象物表面(この場合は路面)で反射して戻ってきた反射光の受光時刻との時間差に基づいて、レーザスキャナ207と照射対象物表面との間の距離rを計測する。
また、レーザスキャナ207は、レーザ光Qの投光角度θを常に認識している。したがって、レーザスキャナ207は、照射位置Pのr−θ極座標系における位置を、距離rと投光角度θとに基づいて特定することができる。そして、レーザスキャナ207は、照射位置P(r、θ)をX−Z直交座標系に座標変換し、照射位置PのXZ平面内における位置を特定する。
本実施形態に係る車種判別処理部200は、レーザスキャナ207から、上流側から下流側までの1回の走査で取得された全ての照射位置P(X、Z)の入力を受け付ける。
【0076】
(車種判別装置の機能)
図11は、第3の実施形態に係る車種判別装置の機能を説明する図である。
図11に示すように、車両Aが車線Lを走行する場合、レーザスキャナ207は、車両Aの車体の上方(+Z方向側)から車両Aの車体上面(−Z方向側)にレーザ光Qを投光する。そして、レーザスキャナ207は、レーザ光Qを車長方向(±X方向)に走査する。このとき、
図11に示すように、レーザ光Qは、車両Aの車体先端から車体後端にかけて、車長方向(±X方向)に沿って、複数の照射位置P0、P1、P2、・・・、Pn−1、Pnに照射される。
【0077】
車種判別処理部200は、レーザスキャナ207から受け付けた複数の照射位置P(X、Z)に基づいて、車両Aの車体先端の検知位置を特定する。
具体的には、車種判別処理部200は、まず、予め規定された基準高さDTに基づいて、レーザスキャナ207から受け付けた全ての照射位置P(X、Z)のうち、車両Aの車体上面に照射されたものを抽出する。この基準高さDTは、例えば、一般的な車両の車体先端(運転座席)付近の高さに準ずる値とされる。車種判別処理部200は、レーザスキャナ207から受け付けた全ての照射位置P(X、Z)のうち、高さ方向(±Z方向)の位置が基準高さDT以上のものを抽出する。これにより、車種判別処理部200は、複数の照射位置P(X、Z)のうち、「大型車」、「特大車」に属する車両Aの車体上面における照射位置P0(X0、Z0)、P1(X1、Z1)、P2(X2、Z2)、・・・、Pn−1(Xn−1、Zn−1)、Pn(Xn、Zn)を特定する(ここで、Z0、Z1、Z2、・・・、Zn―1、Znは、全て基準高さDT以上である)。なお、各照射位置P0、P1、・・・、Pnの車線方向(±X方向)の位置は、X0<X1<X2<・・・<Xn−1<Xnの条件を満たす。
【0078】
次に、車種判別処理部200は、抽出した照射位置P0、P1、・・・、Pnに基づいて、車両Aの車体先端の検知位置を特定する。具体的には、車種判別処理部200は、車体上面における照射位置P0、P1、・・・、Pnのうち、最も下流側に位置するもの(即ち、照射位置P0(X0、Z0))を、車両Aの車体先端の検知位置として特定する。
続いて、車種判別処理部200は、特定した車体先端の検知位置(照射位置P0(X0、Z0))の車線方向(±X方向)の位置X0が、打切検知位置D3よりも下流側(打切検知位置D3よりも小さい)か否かを判定する。
照射位置P0の車線方向(±X方向)の位置X0が打切検知位置D3よりも上流側(X0>D3)であった場合、車種判別処理部200は、車両Aの車体先端が打切検知位置D3に到達していないものと判定する(
図3のステップS04:NO)。
照射位置P0の車線方向(±X方向)の位置X0が打切検知位置D3と同じ位置、又は、下流側(X0≦D3)であった場合、車種判別処理部200は、車両Aの車体先端が打切検知位置D3に到達したものと判定する(
図3のステップS04:YES)。
このように、レーザスキャナ207は、打切検知位置D3への車両Aの進入を検知する打切位置車両検知器206として機能する。
【0079】
本実施形態に係るレーザスキャナ207は、上述の打切位置車両検知器206としての機能だけでなく、車両特徴情報の一つである“車長”を計測するための車両特徴情報検出センサ20A(車長計測器)としても機能する。
具体的には、車種判別処理部200は、車両Aの車体先端が打切検知位置D3に到達したものと判定した場合(
図3のステップS04:YES)、更に、その判定時に取得されていた車体上面における照射位置P0、P1、・・・、Pnのうち、最も下流に位置するもの(即ち、照射位置P0(X0、Z0))と、最も上流に位置するもの(即ち、照射位置Pn(Xn、Zn))と、の車線方向(±X方向)の差(Xn−X0)を計測する。ここで、
図11に示すように、差(Xn−X0)は、車長DLである。
車種判別処理部200は、打切検知位置D3への車両Aの進入を検知した時点で、それまでに取得した車両特徴情報(レーザスキャナ207を通じて計測した車長DLを含む)に基づいて、一の車種区分、又は、車種区分の候補を特定する。
また、レーザスキャナ207は、更に、車両特徴情報の一つである“車高”を計測するための車両特徴情報検出センサ20A(車高計測器)として機能してもよい。この場合、車種判別処理部200は、照射位置P(X、Z)の高さ方向の位置(Z)を参照して、車両Aの車高を計測してもよい。
【0080】
(作用効果)
以上の通り、第3の実施形態に係る車種判別装置20は、打切位置車両検知器206として、車線上方から車線の路面に向けてレーザ光Qを投光するとともに車線方向に沿ってレーザ光Qを走査するレーザスキャナ207を備えている。
このようにすることで、レーザスキャナ207を用いて、走行する車両Aの車体先端が打切検知位置D3に到達したか否かを判断することができる。
【0081】
また、第3の実施形態に係る車種判別処理部200は、レーザスキャナ207による車両の車体先端の検知位置(
図11の照射位置P0)が、打切検知位置D3よりも下流となった時点で、当該打切検知時点以前に取得された車両特徴情報に基づいて車両Aが属する一の車種区分、又は、車種区分の候補を特定して出力する。
このようにすることで、レーザスキャナ207により検知された車両Aの車体先端の位置が打切検知位置D3よりも下流となった時点で車両Aが属する一の車種区分、又は、車種区分の候補の特定が行われる。したがって、車両の車体先端が料金収受位置D2に到達する前に車尾抜けしていなかったとしても、料金収受機11に対し車両特徴情報を提供することができる。
【0082】
また、レーザスキャナ207は、車両特徴情報検出センサ20Aとして車両Aの車長を計測可能な情報(照射位置P0、P1、・・・、Pn)を出力する。
これにより、レーザスキャナ207は、打切位置車両検知器206としての機能と車両特徴情報検出センサ20Aとしての機能の両方を一台で兼ねることができる。したがって、料金収受システム1の省コスト化を図ることができる。
【0083】
なお、上述の各実施形態においては、上述した車種判別装置20の各種処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって上記各種処理が行われる。また、コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【0084】
上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。更に、車種判別装置20は、1台のコンピュータで構成されていても良いし、通信可能に接続された複数のコンピュータで構成されていてもよい。
【0085】
以上のとおり、本発明に係るいくつかの実施形態を説明したが、これら全ての実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態及びその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。