(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6831270
(24)【登録日】2021年2月1日
(45)【発行日】2021年2月17日
(54)【発明の名称】高周波電源用の電源制御装置および高周波電源の制御方法、ならびにレーザ加工システム用の光源
(51)【国際特許分類】
H01S 3/097 20060101AFI20210208BHJP
H01S 3/131 20060101ALI20210208BHJP
H01S 3/00 20060101ALI20210208BHJP
H02M 7/48 20070101ALI20210208BHJP
B23K 26/00 20140101ALN20210208BHJP
【FI】
H01S3/097 A
H01S3/131
H01S3/00 B
H02M7/48 M
H02M7/48 A
!B23K26/00 A
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-39211(P2017-39211)
(22)【出願日】2017年3月2日
(65)【公開番号】特開2018-147951(P2018-147951A)
(43)【公開日】2018年9月20日
【審査請求日】2019年6月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100116274
【弁理士】
【氏名又は名称】富所 輝観夫
(72)【発明者】
【氏名】原 章文
【審査官】
高椋 健司
(56)【参考文献】
【文献】
特開2016−059932(JP,A)
【文献】
特開2015−153917(JP,A)
【文献】
特開2014−183153(JP,A)
【文献】
特開2000−004059(JP,A)
【文献】
米国特許第06181719(US,B1)
【文献】
特開2015−195677(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 3/00−4/00
B23K 26/00−26/70
H02M 3/00−3/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ装置に間欠的に交流電圧を供給する高周波電源を制御する電源制御装置であって、
前記高周波電源の動作、停止を指示するショット指令の履歴にもとづいて、所定の時間区間当たりの光源の消費電力と相関を有する推定値を生成し、前記推定値がしきい値より小さいときに前記高周波電源の動作の許可を示し、前記推定値がしきい値より大きいときに禁止を示すフラグを生成する判定部と、
前記ショット指令が動作を指示し、かつ前記フラグが許可を示すとき、前記高周波電源を動作させる駆動制御部と、
を備えることを特徴とする電源制御装置。
【請求項2】
前記ショット指令は、動作を指示するとき第1状態、停止を指示するとき第2状態をとる2値信号であり、
前記推定値は、前記ショット指令のデューティ比の移動平均であることを特徴とする請求項1に記載の電源制御装置。
【請求項3】
レーザ装置と、
前記レーザ装置に間欠的に交流電圧を供給する高周波電源と、
前記高周波電源を制御する請求項1または2に記載の電源制御装置と、
を備えることを特徴とするレーザ加工システム用の光源。
【請求項4】
レーザ装置に間欠的に交流電圧を供給する高周波電源の生成方法であって、
前記高周波電源の動作、停止を指示するショット指令を生成するステップと、
前記ショット指令の履歴にもとづいて、所定の時間区間当たりの光源の消費電力と相関を有する推定値を生成するステップと、
前記推定値がしきい値より小さいときに前記高周波電源の動作の許可を示し、前記推定値がしきい値より大きいときに禁止を示すフラグを生成するステップと、
前記ショット指令が動作を指示し、かつ前記フラグが許可を示すとき、前記高周波電源を動作させるステップと、
を備えることを特徴とする制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ加工システムに関する。
【背景技術】
【0002】
産業用の加工ツールとして、レーザ加工システムが広く普及している。
図1は、レーザ加工システムのブロック図である。レーザ加工システム10Rは、光源20Rと加工機40を備える。加工機40は、光源20Rが発生するレーザパルス50を受け、それを対象物2に照射する。
【0003】
加工機40は、光学系42、ステージ44、加工制御装置46を備える。対象物2はステージ44上に載置され、必要に応じて固定される。光学系42は、レーザパルス50を受け、レーザパルス52を対象物2に照射する。ステージ44は、加工制御装置46からの位置制御信号S
2に応じて、対象物2を位置決めし、対象物2とレーザパルス52の照射位置を相対的にスキャンする。ステージ44は、1軸、2軸(XY)あるいは3軸(XYZ)であり得る。
【0004】
加工制御装置46は、レーザ加工システム10Rを統括的に制御する。具体的には加工制御装置46は、光源20Rに対して間欠的にショット指令S
1を出力する。また加工制御装置46は、加工処理を記述するデータ(レシピ)にしたがってステージ44を制御するための位置制御信号S
2を生成する。
【0005】
光源20Rは、加工制御装置46からのショット指令S
1に応じて、レーザパルス50を発生する。光源20Rは、直流電源22、高周波電源24、レーザ装置26、光源側制御装置28を備える。レーザ装置26はCO
2レーザなどである。直流電源22は直流電圧V
DCを発生する。高周波電源24は、直流電圧V
DCを昇圧し、レーザ装置26の放電電極27に交流高電圧V
DRVを印加する。
【0006】
光源側制御装置28は、ショット指令S
1に応答して、高周波電源24を間欠動作させる。高周波電源24の動作期間(励振期間)において、レーザ装置26は発光し、高周波電源24の停止期間において、レーザ装置26は発光停止する。
【0007】
高周波電源24は、高周波インバータ25を備え、高周波インバータ25は、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)、バイポーラトランジスタ、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などの半導体スイッチで構成される。光源側制御装置28は、励振期間の間、半導体スイッチを高速にスイッチングする。
【0008】
高周波電源24には、意図的にあるいは寄生的にインダクタンスが導入される。半導体スイッチを高速にスイッチングさせると、インダクタンスには、それに流れる電流に応じたエネルギーが蓄えられる。このインダクタンスは、ときとして半導体スイッチに過電圧を印加する要因となる。
【0009】
半導体スイッチに耐圧を超える過電圧が印加されると、信頼性が損なわれる。そこで、半導体スイッチには、スナバ回路が接続され、インダクタンスのエネルギーを適切に吸収させている。一般的にスナバ回路は半導体スイッチと並列に接続されるスナバコンデンサを含み、半導体スイッチに流れる電流をスナバコンデンサに引き込むことにより、半導体スイッチの両端間の電圧の上昇を抑制する。スナバコンデンサに蓄えられた電荷は、放電用抵抗を介して放電されるようになっている。
【0010】
ここで、スナバコンデンサへの充電速度が、放電速度を上回る状況が持続すると、スナバコンデンサの電圧は上昇し続け、半導体スイッチに過電圧が印加されるおそれがある。特許文献1の技術では、この問題を解決するために、放電用抵抗と並列に放電用のスイッチを設け、スナバコンデンサの電圧がしきい値を超えると、放電用スイッチをオンして、スナバコンデンサの電圧を強制的に低下させる構成を取っている。
【0011】
スナバコンデンサの電圧あるいは半導体スイッチに印加される電圧を監視し、所定のしきい値を超えると、高周波電源を停止する方法も考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特許第3991450号公報
【特許文献2】特開2015−195677号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
特許文献1のスナバ回路では、吸収すべきエネルギーが大きい状態が持続すると、放電用スイッチが導通する時間が長くなる。このことは、放電用スイッチが発熱することを意味するため、保護としては十分でない場合もある。
【0014】
また従来技術では、スナバコンデンサの電圧にもとづいた保護処理を行うため、半導体スイッチの保護には有効である。しかしながら、高周波電源24の出力電力が大きい状態が持続すると、半導体スイッチよりも、レーザ装置の放電電極27の信頼性低下の方が問題となる場合もある。
【0015】
本発明は係る課題に鑑みてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、従来とは異なるアプローチによって信頼性を高めた光源の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明のある態様は、レーザ装置に間欠的に交流電圧を供給する高周波電源を制御する電源制御装置に関する。電源制御装置は、高周波電源の動作、停止を指示するショット指令の履歴にもとづいて、高周波電源の動作の許可、禁止を示すフラグを生成する判定部と、ショット指令が動作を指示し、かつフラグが許可を示すとき、高周波電源を動作させる駆動制御部と、を備える。
【0017】
ショット指令の履歴は、過去の所定時間当たりの発生エネルギーと相関を有する。この態様によれば、ショット指令の履歴にもとづいて、高周波電源やレーザ装置の状態が安全か否かが判定され、安全である場合のみ、レーザの発光が許可されるため、信頼性を一層高めることができる。
【0018】
ショット指令は、動作を指示するとき第1状態、停止を指示するとき第2状態をとる2値信号であり、判定部は、ショット指令のデューティ比の移動平均としきい値の比較結果にもとづいて、フラグを生成してもよい。
【0019】
本発明の別の態様はレーザ加工システム用の光源に関する。光源は、レーザ装置と、レーザ装置に間欠的に交流電圧を供給する高周波電源と、高周波電源を制御する上述のいずれかの電源制御装置と、を備える。
【0020】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや本発明の構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0021】
本発明のある態様によれば、信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図2】実施の形態に係るレーザ加工システムのブロック図である。
【
図4】判定部の構成例を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0024】
図2は、実施の形態に係るレーザ加工システム10のブロック図である。レーザ加工システム10の概要は、
図1のレーザ加工システム10Rと同様であり、光源20と加工機40を備える。加工機40は、対象物2にレーザパルス52を照射し、対象物2を加工する。対象物2の種類は特に限定されず、また加工の種類も、穴空け(ドリル)、切断などが例示されるが、その限りではない。加工機40の構成は
図1を参照して説明した通りであるから省略をする。
【0025】
光源20は、直流電源22、高周波電源24、レーザ装置26および光源側制御装置30を備える。
【0026】
直流電源22は、数百V(たとえば500V)の直流電圧V
DCを生成する。直流電源22の構成は特に限定されないが、バンクコンデンサ、電源装置、フィルタなどを含みうる。電源装置は、バンクコンデンサの電圧V
DCを目標値に安定化するコンバータや充電回路であってもよい。
【0027】
光源側制御装置30は、加工制御装置46の制御下にあり、加工制御装置46からの各種制御指令、制御データなどに応じて、直流電源22や高周波電源24を制御する。
【0028】
光源側制御装置30は、システムコントローラ32および電源制御装置34を備える。システムコントローラ32は、加工制御装置46からの制御指令に応じて、光源20全体を統合的に制御する。
【0029】
放電電極27は、CO
2などの混合ガスが充填されるチャンバー内に設けられており、等価的に直列キャパシタとして表される。高周波電源24は、レーザ装置26の放電電極27に間欠的に矩形波の交流電圧V
DRVを供給する。この駆動電圧V
DRVは、図示しないインダクタンスを介して放電電極27の間に印加され、インダクタンスとキャパシタンスの直列共振によって、放電電極27の両端間に交流の高周波電圧V
ACを発生させる。このキャパシタンスは、放電開始前と放電開始後で変化する。すなわち放電開始前のキャパシタンスは2つの放電電極に挟まれるガスの容量である。放電電極は絶縁物に埋め込まれており、放電開始後におけるキャパシタンスは、電極の周囲の絶縁部の容量となる。高周波電源24は、入力コンデンサ、フルブリッジ(Hブリッジ)型の高周波インバータ25、昇圧トランスT
1を含んでもよい。高周波インバータ25は、複数の半導体スイッチと、各半導体スイッチと並列に接続されるスナバ回路を備える。高周波インバータ25は、直流電圧V
DCを振幅とする交流電圧を、昇圧トランスT
1の一次巻線に印加する。
【0030】
昇圧トランスT
1の二次巻線には、巻線比に応じた振幅を有する高周波電圧V
ACが発生する。たとえばV
DC=500V、巻線比が4であるとき、高周波電圧V
ACの振幅は2kVとなる。なお昇圧トランスT
1を省略して、直流電圧V
DCを数kVとしてもよい。高周波電源24の動作期間において、高周波インバータ25が高周波数でスイッチングすることにより、高周波の駆動電圧V
DRVが放電電極27に印加され、レーザ装置26は発光する。高周波電源24の停止期間において、レーザ装置26の励振は停止し、したがってレーザ装置26は非発光状態となる。
【0031】
電源制御装置34は、加工制御装置46からのショット指令S
1にもとづいて、高周波電源24の動作・停止を制御する。ショット指令S
1は、動作期間と停止期間を間欠的に指定する信号であり、光信号であってもよいし、電気信号であってもよい。
【0032】
電源制御装置34は、判定部36および駆動制御部38を備える。判定部36は、高周波電源24の動作、停止を指示するショット指令S
1の履歴にもとづいて、高周波電源24の動作の許可、禁止を示すフラグS
3を生成する。駆動制御部38は、ショット指令S
1が動作期間を指示し、かつフラグS
3が許可を示すとき、駆動信号S
4にもとづいて高周波インバータ25をスイッチングし、高周波電源24を動作させる。駆動制御部38は、フラグS
3が禁止を示すとき、ショット指令S
1が動作期間を指示していたとしても、駆動信号S
4を生成せず、高周波電源24を停止する。
【0033】
たとえばショット指令S
1は、動作期間を指示するとき第1状態、停止を指示するとき第2状態をとる2値信号である。ショット指令S
1が電気信号である場合、第1状態はハイレベル、第2状態はローレベルであってもよい。
【0034】
判定部36は、ショット指令S
1の履歴にもとづいて、所定の時間区間当たりの光源20の消費電力(エネルギー)と相関を有する推定値を生成してもよい。そしてエネルギーの推定値が、所定のしきい値を超えると、フラグS
3を禁止状態にセットしてもよい。
【0035】
判定部36は、エネルギーの推定値として、ショット指令S
1の動作期間の時間比率(デューティ比)の移動平均を計算してもよい。そしてこの移動平均値と判定しきい値の比較結果にもとづいて、フラグS
3を生成してもよい。繰り返し周波数が一定の場合、デューティ比はオン時間に対応する。
【0036】
移動平均は、単純移動平均を用いてもよいし、重み付け移動平均を用いてもよい。あるいは判定部36は、ハードウェア的には、ローパスフィルタあるいは積分器を利用して実装してもよい。
【0037】
所定の時間区間の長さは、保護対象に応じて適切に定めればよい。たとえば半導体スイッチの過電圧保護が目的の場合、スナバ回路のスナバコンデンサの時定数にもとづいて所定の時間区間の長さを決めればよい。半導体スイッチや放電電極27のオーバーヒート保護が目的の場合、対象の熱緩和時間を考慮して定めればよい。
【0038】
たとえば半導体スイッチを保護対象とする場合、所定の時間区間の長さ、言い換えれば移動平均処理の時間窓の長さは、1ms〜10ms程度であってもよい。
【0039】
以上が光源20の構成である。続いてその動作を説明する。
図3は、
図2の光源の動作波形図である。
【0040】
ショット指令S
1は、所定の繰り返し周波数を有するパルス信号であり、ハイレベルが高周波電源24の動作期間、すなわちレーザ装置26の発光期間を指示し、ローレベルが高周波電源24の停止期間、すなわちレーザ装置26の停止期間を指示する。つまりショット指令S
1のハイレベルの長さが、高周波電源24の動作期間の長さを表している。
【0041】
時刻t
0より前において、レーザ加工システム10は正常であり、ショット指令S
1のハイレベルの長さは、レシピにしたがって正常な範囲で調節される。駆動制御部38は、ショット指令S
1が指示する動作期間の間、駆動信号S
4を出力し、レーザ装置26を発光させる。
【0042】
時刻t
0以降は異常状態を示す。異常状態は、加工制御装置46あるいはその他の箇所において異常が発生し、あるいはノイズの影響を受けている状態などが想定される。異常状態においてショット指令S
1のオン時間(デューティ比)が、正常範囲より大きい値をとると、高周波電源24の消費電力、レーザ装置26に投入される電力が増加する。判定部36は、ショット指令S
1にもとづいて、所定期間に投入されるエネルギー量を推定する。
【0043】
ショット指令S
1のデューティ比が大きい状態が持続すると、所定期間に投入されるエネルギーの推定値が増大していく。エネルギーの推定値が時刻t
1にしきい値THを超えると、フラグS
3が禁止を指定するローレベルに遷移する。これにより時刻t
1以降、電源制御装置34は、ショット指令S
1が動作期間を指示したとしても、それをマスクし、高周波電源24には駆動信号S
4を供給しない。
【0044】
しきい値THは、光源20のうち保護すべき箇所の耐圧や耐熱性などを考慮して規定すればよい。たとえば高周波インバータ25の半導体スイッチの耐圧が問題となるアプリケーションでは、半導体スイッチの両端間電圧が耐圧を超えないようにしきい値THを設定すればよく、半導体スイッチの発熱が問題となるアプリケーションでは、半導体スイッチの温度が許容値を超えないようにしきい値THを設定すればよい。レーザ装置26の放電電極27の信頼性が問題となるアプリケーションでは、放電電極27が劣化しないように、しきい値THを設定すればよい。
【0045】
以上が実施の形態に係る光源20およびレーザ加工システム10の動作である。レーザ加工システム10によれば、ショット指令S
1の履歴にもとづいて、高周波電源24やレーザ装置26の状態が安全か否かが判定され、安全である場合のみ、レーザの発光が許可される。つまり過剰なエネルギーが投入されて、装置の信頼性が低下するのを未然に防止できるため、信頼性を一層高めることができる。
【0046】
図4は、判定部36の構成例を示す機能ブロック図である。判定部36は、デューティ比検出部60、移動平均処理部62、比較部64を含む。これらの機能ブロックは、ソフトウェア処理で実現できるが、ハードウェアで実装してもよい。デューティ比検出部60は、ショット指令S
1のハイレベル区間(動作期間)T
ONと繰り返し周期T
Pをそれぞれ測定し、それらの比であるデューティ比S
5=(T
ON/T
P)計算する。時間測定はデジタルカウンタで行えばよい。
【0047】
移動平均処理部62は、デューティ比S
5の移動平均値S
6を計算する。比較部64は、移動平均値S
6をしきい値S
7と比較し、比較結果を示すフラグS
3を生成する。
【0048】
この判定部36において、移動平均値S
6は、所定期間当たりのエネルギー量を表す。したがって
図3の処理を実現できる。
【0049】
実施の形態に係る電源制御装置34は、(i)スナバコンデンサの電圧がしきい値を超えると強制的に放電させる保護方法、(ii)半導体スイッチの両端間電圧がしきい値を超えると高周波電源24を停止する保護方法、(iii)半導体スイッチやその他の箇所の温度が、しきい値を超えると高周波電源24を停止する保護方法などと併用することが可能である。これらの併用によって、光源20の信頼性を一層高めることができる。
【0050】
実施の形態では、ショット指令S
1が2値信号のプラットフォームについて説明したが、ショット指令S
1の信号形式は限定されない。たとえばショット指令S
1は、シリアルデータあるいはパラレルデータであってもよく、オン時間T
ONの長さを指定するデータと、オフ時間T
OFFの長さを指定するデータと、を含んでもよい。
【0051】
実施の形態では、ショット指令S
1が規定するデューティ比の移動平均を算出したがその限りではない。たとえばショット指令S
1の履歴のパターンを解析し、より高度な信号処理によってフラグS
3を生成してもよい。
【0052】
実施の形態にもとづき、具体的な語句を用いて本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用の一側面を示しているにすぎず、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が認められる。
【符号の説明】
【0053】
2…対象物、10…レーザ加工システム、20…光源、22…直流電源、24…高周波電源、25…高周波インバータ、26…レーザ装置、27…電極、28,30…光源側制御装置、32…システムコントローラ、34…電源制御装置、36…判定部、38…駆動制御部、40…加工機、42…光学系、44…ステージ、46…加工制御装置、50,52…レーザパルス、S
1…ショット指令、S
2…位置制御信号、S
3…フラグ、S
4…駆動信号。