(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
媒体に印字する印字ヘッドと、前記印字ヘッドに対向して配置されており前記印字ヘッドとの間で前記媒体を挟持した状態で前記媒体を搬送するプラテンローラとを有するプリンタであって、
印字ヘッド側に配置された上側ローラとプラテンローラ側に配置された下側ローラとを有し前記媒体を挟んだ状態で搬送する搬送部と、
前記プラテンローラと前記下側ローラとを回転自在に支持するローラ支持部と、
前記下側ローラを回転自在な状態で前記ローラ支持部に向けて押さえるローラ押さえ部と、
前記ローラ押さえ部に着脱可能に設けられ、前記プラテンローラを回転自在な状態で前記ローラ支持部に固定するプラテンローラ押さえ片と、
を備えるプリンタ。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[プリンタの概要の説明]
以下、図面を用いて、本発明の実施形態に係るプリンタ1について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るプリンタ1の概略を説明する概略図である。
【0010】
本発明の実施形態に係るプリンタ1は、媒体Pに文字、図形等を印字する装置である。プリンタ1における印字方式としては、インクジェット方式、レーザ方式、熱転写方式等が挙げられる。本実施形態において、媒体Pは、プリンタ1に適用された印字方式に適合するものである。
【0011】
本実施形態において、媒体Pとしては、RFID(Radio Frequency Identification)技術に対応したICチップとアンテナとを有し、無線通信により情報を書込み可能であると共にその表面に印字可能なICタグ媒体P1と、ICチップ及びアンテナを備えず印字のみが可能な印字媒体P2とを用いることができる。
【0012】
本実施形態において、ICタグ媒体P1と印字媒体P2は、いずれも単葉である。以下の説明において、媒体Pと記した場合には、ICタグ媒体P1と印字媒体P2の両者を含む。
【0013】
本実施形態に係るプリンタ1は、媒体Pの取込を行って、媒体Pに印字を行い、印字後の媒体Pを排出する。
【0014】
本実施形態において、取込とは、印字のために媒体Pを外部からケーシング10の内部に搬入することである。また、排出とは、印字が終了した媒体Pをケーシング10の外部に搬出することである。
【0015】
本実施形態に係るプリンタ1は、基本動作として、後述するケーシング10に形成された開口部10Rから媒体Pを取り込んで印字した後、開口部10Fから排出するように構成されている。
【0016】
また、本実施形態に係るプリンタ1は、媒体Pの取込と排出とを開口部10Fにおいて行うことも可能であって、この場合には、開口部10Fから後述する開口部10Rに向かう方向(
図1に示す矢印F1の方向)に媒体Pを一旦搬送し、印字しながら、開口部10R側から開口部10F側に向かう方向(
図1に示す矢印F2の方向)に媒体Pを搬送する。
【0017】
本実施形態に係るプリンタ1は、媒体Pに文字、記号等を印字する印字ヘッド11と、ICタグ媒体P1に所定の情報を書き込むIC書込部12とを有する。
【0018】
印字ヘッド11は、後述するインクリボンRに塗布された印刷用インクを熱転写により媒体Pに印字する。また、印字ヘッド11は、プラテンローラ22に向けて揺動自在に配置されており、印字動作時には、プラテンローラ22に所定圧で押し当てられる。
【0019】
印字ヘッド11に対向する位置には、プラテンローラ22が配置されている。プラテンローラ22は、印字ヘッド11との間で媒体Pを挟持した状態で媒体Pを矢印F1又は矢印F2の方向に搬送する。
【0020】
本実施形態に係るプリンタ1は、上側ローラユニット31と、下側ローラユニット32とを備える。なお、
図1においては、上側ローラユニット31の要部と、下側ローラユニット32の要部が示されている。
【0021】
本実施形態に係るプリンタ1は、印字ヘッド11側に位置する第1上側ローラ33aと、プラテンローラ22側に位置する第1下側ローラ33bとを有する第1搬送部33を備える。
【0022】
第1搬送部33では、第1上側ローラ33aと第1下側ローラ33bとが媒体Pを挟んだ状態で回転することにより、媒体Pを搬送する。
【0023】
同様に、プリンタ1は、第2上側ローラ34aと第2下側ローラ34bとを有する第2搬送部34を備える。また、プリンタ1は、第3上側ローラ35aと第3下側ローラ35bとを有する第3搬送部35を備える。
【0024】
第1上側ローラ33a,第2上側ローラ34a,第3上側ローラ35aとIC書込部12とは、上側ローラユニット31に配置されている。上側ローラユニット31には、開口部31Aが形成されている。印字ヘッド11は、上側ローラユニット31の開口部31AからインクリボンRを媒体Pに向けて押し出すように配置されている。
【0025】
第1上側ローラ33a及び第1下側ローラ33bは、矢印F2方向における印字ヘッド11の下流側に配置されている。すなわち、第1上側ローラ33a及び第1下側ローラ33bは、開口部10Fと印字ヘッド11との間に配置されており、媒体Pを矢印F1又は矢印F2の方向に搬送する。
【0026】
第1上側ローラ33aとプラテンローラ22との間隔は、プリンタ1において使用可能な各種媒体Pのうち長手方向の長さが最小のものよりも狭い間隔に設定されている。
【0027】
第2上側ローラ34a及び第2下側ローラ34bは、矢印F2方向における印字ヘッド11の上流側に配置されている。すなわち、第2上側ローラ34a及び第2下側ローラ34bは、印字ヘッド11とIC書込部12との間に配置されており、正逆方向に回転することによって媒体Pを矢印F1又は矢印F2の方向に搬送する。
【0028】
プラテンローラ22と第2上側ローラ34aとの間隔は、プリンタ1において使用可能な各種媒体Pのうち長手方向の長さが最小のものよりも狭い間隔に設定されている。
【0029】
第3上側ローラ35a及び第3下側ローラ35bは、矢印F2方向におけるIC書込部12の上流側に配置されている。第3上側ローラ35a及び第3下側ローラ35bは、媒体Pのサイズが第2上側ローラ34aと第3上側ローラ35aとの間隔よりも大きい場合には、矢印F1の方向に搬送する際に媒体Pを挟持する。
【0030】
また、第3上側ローラ35a及び第3下側ローラ35bは、媒体Pが後述の開口部10Rから取り込まれた場合には、媒体Pを挟持し、印字ヘッド11に向けて搬送する。
【0031】
本実施形態において、第1下側ローラ33b,第2下側ローラ34b,第3下側ローラ35bは、
図1には図示しないモータ61(
図6におけるモータ61)にギア等を介して連結されており、モータ61による回転が第1下側ローラ33b,第2下側ローラ34b,第3下側ローラ35bに伝達される。ここでの回転方向は、プラテンローラ22と連動するように構成されている。
【0032】
本実施形態に係るプリンタ1には、矢印F2方向におけるケーシング10の上流側に、媒体Pを取り込む開口部10Rが設けられている。
【0033】
IC書込部12は、開口部10Rから媒体Pを取り込む際の、矢印F2方向において、印字ヘッド11よりも上流側に配置されている。IC書込部12は、取り込まれたICタグ媒体P1に所定情報が書き込めるように、アンテナ感度、電波出力、設置場所等が設定されている。
【0034】
IC書込部12は、通信規格に応じて、UHF帯(300MHz〜3GHz、特に860MHz〜960MHz)、マイクロ波(1〜300GHz、特に2.4GHz近傍)、及びHF帯(3MHz〜30MHz、特に13.56MHz近傍)等の特定の周波数帯の電波に対応した信号を発信可能である。
【0035】
ICタグ媒体P1には、これらのRFIDの規格に応じたアンテナが設けられている。
【0036】
本実施形態に係るプリンタ1は、ICタグ媒体P1に印字するICタグモードと、印字媒体P2に印字する印字モードとを有する。プリンタ1において、印字モードとICタグモードは、切り換え可能とされている。
【0037】
プリンタ1は、さらに、媒体Pに転写する印字用インクが塗布されたインクリボンRを供給するリボン収容部41を備える。
【0038】
リボン収容部41は、ロール状に巻き回されたインクリボンRを供給する供給軸42と、印字に用いられた後のインクリボンRを巻き取る巻取軸43とを備える。
【0039】
供給軸42及び巻取軸43は、図示しない駆動部に連結されており、媒体Pを矢印F1又は矢印F2の方向に搬送することに合わせてインクリボンRを搬送するように回転する。
図1において、媒体Pが矢印F1の方向に搬送される際におけるインクリボンRの動きは、黒塗り矢印で示される。
【0040】
また、リボン収容部41は、供給軸42から送り出されたインクリボンR又は印字ヘッド11を通過して巻取軸43に向かうインクリボンRに所定の張力を付与するテンションローラ44,45を備える。
【0041】
供給軸42に装着されたロールから引き出されたインクリボンRは、印字ヘッド11とプラテンローラ22との間に供給される。インクリボンRは、媒体Pとともにプラテンローラ22と印字ヘッド11との間に挟持された状態で、矢印F2の方向に搬送される。
【0042】
本実施形態に係るプリンタ1は、開口部10Fからケーシング10の内部に媒体Pが挿入されたことを検出するセンサ51を備える。
【0043】
また、本実施形態に係るプリンタ1は、開口部10Rから媒体Pが挿入されたことを検出するセンサ52を備える。
【0044】
<下側ローラユニットの詳細説明>
次に、
図2乃至
図5を参照して、下側ローラユニット32の詳細について説明する。
【0045】
図2は、本実施形態に係るプリンタ1における下側ローラユニット32の平面図である。
【0046】
プリンタ1において、下側ローラユニット32は、プラテンローラ22と第1下側ローラ33b,第2下側ローラ34b,第3下側ローラ35bとを回転自在に支持するローラ支持部71を備える。
【0047】
また、プリンタ1は、プラテンローラ22と第1下側ローラ33b,第2下側ローラ34b,第3下側ローラ35bそれぞれの端部をローラ支持部71に向けて押さえるローラ押さえ部72を備える。
図2では、説明の便宜上、ローラ押さえ部72の一部を切り欠いて示している。
【0048】
ローラ支持部71には、プラテンローラ22と第1下側ローラ33b,第2下側ローラ34b,第3下側ローラ35bのそれぞれが収まるローラ収納部73,74,75,76が形成されている。
【0049】
第1下側ローラ33bは、ローラ軸33sの一方の端部にベアリング33tを備え、他方の端部にベアリング33uを備える。また、第1下側ローラ33bは、軸方向におけるベアリング33uの外側に、第1下側ローラ33bを駆動するためのモータ61(
図2には示されていない)に連結されたギア36を備える。
【0050】
同様に、プラテンローラ22は、ローラ軸22sの一方の端部にベアリング22tを備え、他方の端部にベアリング22uを備える。また、プラテンローラ22は、軸方向におけるベアリング22uの外側に、プラテンローラ22を駆動するためのモータ61(
図2には示されていない)に連結されたギア37を備える。
【0051】
同様に、第2下側ローラ34bは、ベアリング34t,34uを備え、第3下側ローラ35bは、ベアリング35t,35uを備える。ただし、ベアリング34uとベアリング35tは、ローラ押さえ部72に隠れており、
図2には示されていない。
【0052】
また、
図2には図示されていないが、第2下側ローラ34b及び第3下側ローラ35bのそれぞれは、第2下側ローラ34b及び第3下側ローラ35bを駆動するためのモータ61に連結されたギアを備える。
【0053】
ローラ収納部73には、第1下側ローラ33bの一方の端部に設けられたベアリング33tが収まる凹部73aが形成されている。また、ローラ収納部73には、第1下側ローラ33bの他方の端部に設けられたベアリング33uが収まる凹部73bが形成されている。
【0054】
同様に、ローラ収納部74には、プラテンローラ22の一方の端部に設けられたベアリング22tが収まる凹部74aと、プラテンローラ22の他方の端部に設けられたベアリング22uが収まる凹部74bが形成されている。
【0055】
同様に、ローラ収納部75には、ベアリング34tが収まる凹部75aと、ベアリング34uが収まる凹部75bが形成されており、ローラ収納部76には、ベアリング35tが収まる凹部76aと、ベアリング35uが収まる凹部76bが形成されている。ただし、凹部75bと凹部76bは、ローラ押さえ部72に隠れており、
図2には示されていない。
【0056】
プラテンローラ22と第1下側ローラ33b,第2下側ローラ34b,第3下側ローラ35bは、ローラ表面の一部がローラ支持部71の表面71Aよりも突出するようにローラ支持部71に設置されている。
【0057】
下側ローラユニット32において、ローラ支持部71の表面71Aには、ローラ軸方向に沿って長孔部81,82,83,84が形成されている。長孔部81には、媒体Pの搬送方向における側縁をガイドするためのガイド部91が設けられている。ガイド部91は、長孔部81に沿って可動であり、媒体Pの幅に合わせて変更可能である。
【0058】
同様に、長孔部82にはガイド部92が設けられており、長孔部83にはガイド部93が設けられており、長孔部84にはガイド部94が設けられている。
【0059】
続いて、
図3を用いてローラ押さえ部72について説明する。
図3は、下側ローラユニット32を印字ヘッド11側からみた側面図である。なお、
図3では、説明の便宜上、構成の一部を除いて示している。
【0060】
図3に示すように、ローラ押さえ部72は、ローラ支持部71に形成された凹部73bに対応する位置に、ローラ支持部71に向けて突出して形成された下側ローラ押さえ凸部72aを備える。下側ローラ押さえ凸部72aは、ローラ押さえ部72がローラ支持部71に取り付けられた状態において、凹部73bに収められたベアリング33uの上面に当接するように形成されている。
【0061】
これにより、下側ローラ押さえ凸部72aと凹部73bの底面でベアリング33uが挟持されて、第1下側ローラ33bがローラ支持部71に固定される。
【0062】
また、
図3に示すように、ローラ押さえ部72は、ローラ支持部71に形成された凹部74bに対応する位置に、ローラ支持部71に向けて突出して形成されたプラテン押さえ凸部72bを備える。プラテン押さえ凸部72bは、ローラ押さえ部72がローラ支持部71に取り付けられた状態において、凹部74bに収められたベアリング22uの上面に当接するように形成されている。
【0063】
これにより、プラテン押さえ凸部72bと凹部74bの底面でベアリング22uが挟持されて、プラテンローラ22がローラ支持部71に固定される。
【0064】
また、
図3に示すように、ローラ押さえ部72は、ローラ支持部71に形成された凹部75bに対応する位置に、ローラ支持部71に向けて突出して形成された下側ローラ押さえ凸部72cを備える。下側ローラ押さえ凸部72cは、ローラ押さえ部72がローラ支持部71に取り付けられた状態において、凹部75bに収められたベアリング34uの上面に当接するように形成されている。
【0065】
これにより、下側ローラ押さえ凸部72cと凹部75bの底面でベアリング34uが挟持されて、第2下側ローラ34bがローラ支持部71に固定される。
【0066】
また、
図3に示すように、ローラ押さえ部72は、ローラ支持部71に形成された凹部76bに対応する位置に、ローラ支持部71に向けて突出して形成された下側ローラ押さえ凸部72dを備える。下側ローラ押さえ凸部72dは、ローラ押さえ部72がローラ支持部71に取り付けられた状態において、凹部76bに収められたベアリング35uの上面に当接するように形成されている。
【0067】
これにより、下側ローラ押さえ凸部72dと凹部76bの底面でベアリング35uが挟持されて、第3下側ローラ35bがローラ支持部71に固定される。
【0068】
下側ローラユニット32において、ローラ支持部71とローラ押さえ部72とは、
図2,3には図示しない位置で、ねじ等により互いに留め付けられている。
【0069】
本実施形態に係るプリンタ1では、プラテンローラ22を押さえるためのプラテン押さえ凸部72bがローラ押さえ部72に対して着脱可能に設けられている。
【0070】
図4は、本実施形態に係るプリンタ1の下側ローラユニット32のプラテン押さえ凸部72bを有するプラテンローラ押さえ片77の着脱を説明する平面図である。また、
図5は、プリンタ1の下側ローラユニット32のプラテン押さえ凸部72bを有するプラテンローラ押さえ片77の着脱を説明する側面図である。
【0071】
プリンタ1は、プラテン押さえ凸部72bを有するプラテンローラ押さえ片77を備える。また、プラテンローラ押さえ片77は、ローラ押さえ部72に係止するための係止爪77a,77bを備える。
【0072】
プラテンローラ押さえ片77は、ローラ押さえ部72に形成された開口部72eに装着され、係止爪77aによって開口部72eの縁に係止され、係止爪77bによって係止口72fに係止されるように構成されている。これにより、プラテンローラ押さえ片77は、ローラ押さえ部72に対して着脱可能とされている。
【0073】
プラテンローラ22と第1下側ローラ33b,第2下側ローラ34b,第3下側ローラ35bのローラ表面の一部は、ローラ支持部71の表面71Aよりも突出しているため、印字ヘッド11、第1上側ローラ33a、第2上側ローラ34a及び第3上側ローラ35aとの間で媒体Pを所定圧で挟持することができる。
【0074】
したがって、各ローラを回転させると、ローラの回転方向に媒体Pを搬送することができる。
【0075】
なお、プリンタ1では、印字ヘッド11が媒体Pに向けてインクリボンRを押し付ける圧(すなわち、プラテンローラ22との間の押圧)は、第1上側ローラ33a,第2上側ローラ34a,第3上側ローラ35aと、第1下側ローラ33b、第2下側ローラ34b、第3下側ローラ35bとの間の押圧よりも大きく設定されている。
【0076】
以上説明したように、本実施形態に係るプリンタ1は、下側ローラユニット32が第1下側ローラ33b、第2下側ローラ34b、第3下側ローラ35b及びプラテンローラ22を支持するローラ支持部71と、ローラ支持部71に支持された各ローラの全てを押さえるローラ押さえ部72とを備える。
【0077】
すなわち、プリンタ1は、ローラ押さえ部72が外されると、プラテンローラ22及び第1下側ローラ33b,第2下側ローラ34b,第3下側ローラ35bの全てを取り外すことができる構造を有する。
【0078】
したがって、プラテンローラ22の取り外しが容易に行える。また、プラテンローラ22以外の第1下側ローラ33b,第2下側ローラ34b,第3下側ローラ35bの取り外しも容易に行える。これにより、プリンタ1の保守性が高められる。
【0079】
また、ローラ押さえ部72に備えられた凸部72a,72b,72c,72dと、凹部73b,74b,75b,76bの底面との間において、ベアリング33u,22u,34u,35uが挟持されているので、プラテンローラ22、第1下側ローラ33b、第2下側ローラ34b及び第3下側ローラ35bが安定して支持される。
【0080】
また、プリンタ1は、プラテンローラ22を押さえているプラテン押さえ凸部72bを備えたプラテンローラ押さえ片77がローラ押さえ部72に対して着脱可能とされている。これにより、プラテンローラ押さえ片77を外すことによって、プラテンローラ22のみを交換することができる。このため、他のローラよりも交換頻度の高いプラテンローラ22のみを容易に交換することができる。
【0081】
[プリンタの内部構成の説明]
次に、本発明の実施形態に係るプリンタ1の構成を説明する。
図6は、本発明の実施形態に係るプリンタ1の構成を説明するブロック図である。
【0082】
プリンタ1は、
図6に示すように、ROM(Read Only Memory)101と、ROM101に記憶されている各種制御プログラムに従って各部を制御するCPU(Central Processing Unit)102と、CPU102のワークエリアとしてのRAM(Random Access Memory)103とを備える。これらROM101,CPU102,RAM103及び後述する各構成は、内部バス104によって接続されている。
【0083】
プリンタ1において、ROM101、CPU102及びRAM103は、コントローラ105を構成する。
【0084】
ROM101には、プリンタ1における印字動作を実行するための制御プログラム、制御プログラムのための各種固定データ、制御テーブルデータ、IO定数、モータ制御プログラム等が記憶されている。
【0085】
また、RAM103は、CPU102が動作する上で必要となる各種データを記憶するワークエリア、及び印字データが展開される印字展開エリアを有する。
【0086】
また、プリンタ1は、ユーザからの操作入力を受け付ける操作部106を備える。操作部106は、インタフェース111及び内部バス104を介してコントローラ105と接続されている。また、操作部106は、印字モードかICタグモードかを選択するための入力を受け付ける。操作部106としては、キーボード或いはタッチパネルが挙げられる。
【0087】
また、プリンタ1は、印字データ等を表示する表示部107を備える。表示部107は、インタフェース112及び内部バス104を介してコントローラ105と接続されている。表示部107は、操作部106において選択される印字モード又はICタグモードに関する情報を表示する。また、操作入力のために必要な情報や、印字データが表示される。
【0088】
また、プリンタ1は、印字データ等が格納される記憶部108を備える。
【0089】
さらに、プリンタ1は、外部機器から印字データ等を取得する入力端子109を備える。入力端子109は、インタフェース113及び内部バス104を介してコントローラ105と接続されている。
【0090】
本実施形態におけるプリンタ1において、コントローラ105は、ROM101に記憶された制御プログラムに基づいて、媒体Pに対して所定の印字動作を実行する。プリンタ1において、コントローラ105は、インクリボンRを印字ヘッド11に供給するリボン収容部41における供給軸42及び巻取軸43の動作を制御する。
【0091】
また、プリンタ1は、
図1に記載されたセンサ51,52と、印字ヘッド11とを備える。また、プラテンローラ22と、第1下側ローラ33b,第2下側ローラ34b,第3下側ローラ35bのそれぞれにおける少なくとも一方を駆動するモータ61を備える。
【0092】
また、プリンタ1は、センサ51を制御するセンサ制御回路114と、印字ヘッド11の動作を制御するための印字ヘッド制御回路115と、モータ61の動作を制御するためのモータ制御回路116とを備える。
【0093】
印字ヘッド制御回路115は、CPU102からの制御信号に基づいて、RAM103の印字展開エリアに展開された印字する文字、記号及びバーコード等の印字用データに対応する信号を印字ヘッド11に供給して印字動作を行わせる。
【0094】
モータ制御回路116は、CPU102からの制御信号に基づいてモータ61の制御信号を生成し、プラテンローラ22を取込方向F1又は排出方向F2に回転させる。
【0095】
以上説明した構成を有するプリンタ1によれば、開口部10Rから媒体Pを取り込み、媒体Pに印字し、印字後の媒体Pを矢印F2方向に搬送することによって、開口部10Fから排出することができる。
【0096】
[印字動作の説明]
次に、本発明の実施形態に係るプリンタ1による、ICタグ媒体P1及び印字媒体P2への印字動作について説明する。
【0097】
本実施形態に係るプリンタ1は、ICタグ媒体P1に印字するICタグモードと、印字媒体P2に印字する通常印字モードとが切り換え可能とされている。
【0098】
(ICタグモード)
ICタグモードが選択されている場合に、開口部10RからICタグ媒体P1が挿入されると、センサ52によって挿入が検出される。挿入が検出されたことにより、取込フェーズが開始される。
【0099】
挿入が検出されると、第3上側ローラ35a及び第3下側ローラ35bは、ICタグ媒体P1を、IC書込部12に備えられたアンテナとICタグ媒体P1に設けられたアンテナとが合致する書込位置まで搬送する。
【0100】
ICタグ媒体P1が書込位置に到達すると、排出フェーズ(書込処理及び印刷処理)が開始される。印字ヘッド11による印字に先立って、IC書込部12は、ICタグ媒体P1に所定の情報を書き込む。
【0101】
その後、ICタグ媒体P1は、第2上側ローラ34a及び第2下側ローラ34bによって矢印F2方向に印字ヘッド11まで搬送される。ICタグ媒体P1は、印字ヘッド11において、印字ヘッド11とプラテンローラ22に挟持された状態で矢印F2方向に送られながら印字される。
【0102】
印字が完了すると、ICタグ媒体P1は、第1上側ローラ33a及び第1下側ローラ33bによって矢印F2方向に、開口部10Fまで搬送される。
【0103】
上述したICタグモードの取込フェーズにおける、第3上側ローラ35a及び第3下側ローラ35bによってICタグ媒体P1を印字ヘッド11の位置まで搬送するときの第3上側ローラ35a及び第3下側ローラ35bの回転量、プラテンローラ22によってICタグ媒体P1を第1上側ローラ33a及び第1下側ローラ33bの位置まで搬送するときのプラテンローラ22の回転量、及びリボン収容部41の巻取軸43によるインクリボンRの巻取量は、ICタグモードを実行するための作業情報として、ROM101や記憶部108に予め格納されている。
【0104】
以上説明したように、プリンタ1は、ICタグ媒体P1を取り込んで、ICタグ媒体P1に対して、ICチップへの所定情報の書き込みとICタグ媒体P1表面への印字とを行うことができる。
【0105】
(印字モード)
印字モードが選択されている場合に、開口部10Rから印字媒体P2が挿入されると、センサ52によって挿入が検出される。挿入が検出されたことにより、取込フェーズが開始される。
【0106】
第3上側ローラ35a第3及び第3下側ローラ35bは、矢印F2方向に印字媒体P2を印字ヘッド11まで搬送する。
【0107】
印字媒体P2が印字ヘッド11に達すると、印字ヘッド11がプラテンローラ22に押し当てられて、印刷処理が開始される。印字媒体P2は、インクリボンRとともに印字ヘッド11とプラテンローラ22に挟持された状態で、プラテンローラ22の回転によって第1上側ローラ33a及び第1下側ローラ33bまで搬送される。
【0108】
印字が完了すると、印字媒体P2は、第1上側ローラ33a及び第1下側ローラ33bによって矢印F2の方向に、開口部10Fまで搬送される。
【0109】
上述した印字モードの取込フェーズにおける、第3上側ローラ35a及び第3下側ローラ35bによって印字媒体P2を印字ヘッド11の位置まで搬送するときの第3上側ローラ35a及び第3下側ローラ35bの回転量、プラテンローラ22によって印字媒体P2を第1上側ローラ33a及び第1下側ローラ33bの位置まで搬送するときのプラテンローラ22の回転量、及びリボン収容部41の巻取軸43によるインクリボンRの巻取量は、印字モードを実行するための作業情報として、ROM101や記憶部108に予め格納されている。
【0110】
以上説明したように、プリンタ1は、印字媒体P2を取り込んで、印字媒体P2表面に所定情報の印字を行って排出することができる。
【0111】
[その他の実施形態]
上述した本発明の実施形態は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更が可能である。
【0112】
本実施形態に係るプリンタ1では、開口部10Fから印字媒体Pを取り込んで印字し、印字後の印字媒体Pの搬送方向を反転させて、開口部10Fから再び排出する印字動作も可能である。この場合には、以下の印字動作が実行される。
【0113】
印字媒体Pが開口部10Fから挿入されたことがセンサ51において検出されると、印字ヘッド11のプラテンローラ22への押圧が解除される。すなわち、印字ヘッド11とプラテンローラ22との挟持状態が解除される。これにより、開口部10Fから印字媒体Pを印字ヘッド11とプラテンローラ22との間に挿入可能となる。
【0114】
続いて、第1上側ローラ33a及び第1下側ローラ33bは、矢印方向F1にICタグ媒体P1を印字ヘッド11まで搬送する。
【0115】
ICタグ媒体P1が印字ヘッド11に達すると、印字ヘッド11がプラテンローラ22に押し当てられる。ICタグ媒体P1は、インクリボンRとともに印字ヘッド11とプラテンローラ22に挟持された状態で、プラテンローラ22の回転によって第2上側ローラ34a及び第2下側ローラ34bまで搬送される。
【0116】
ICタグ媒体P1がプラテンローラ22の回転によって第2上側ローラ34a及び第2下側ローラ34bの位置まで搬送されて、ICタグ媒体P1が第2上側ローラ34a及び第2下側ローラ34bに受け渡されると、印字ヘッド11とプラテンローラ22との挟持状態が解除される。
【0117】
このとき、インクリボンRは、印字ヘッド11がプラテンローラ22に押し当てられてから、ICタグ媒体P1が第2上側ローラ34a及び第2下側ローラ34bの位置に到達するまでの搬送距離に相当する分の使用済み領域が矢印F1方向(すなわち、黒矢印とは反対方向)に巻き戻される。
【0118】
そこで、開口部10Fから印字媒体Pを取り込む印字動作を行う場合には、プリンタ1では、印字ヘッド11とプラテンローラ22との挟持状態が解除された後、矢印F1方向に巻き戻されたインクリボンRの使用済み領域を、未使用領域が印字開始位置になるまで送り出す制御が行われてもよい。
【0119】
また、この場合には、第2上側ローラ34a及び第2下側ローラ34bは、ICタグ媒体P1を、IC書込部12に備えられたアンテナとICタグ媒体P1に設けられたアンテナとが合致する書込位置まで搬送するように制御される。
【0120】
プリンタ1で適用される媒体Pは、シート状の連続体であり、印字後に、単葉にカットされるものであってもよい。また、シート状の台紙に単葉のラベルが仮着されたものであってもよい。
【0121】
また、本実施形態に係るプリンタ1は、開口部10Rに、ICタグ媒体P1又は印字媒体P2を連続的に給紙可能な給紙装置が接続されていてもよい。これにより、ICタグ媒体P1又は印字媒体P2への連続印字が可能になる。
【0122】
本実施形態に係るプリンタ1において、ICタグ媒体P1に所定の情報を書き込むIC書込部12は、必ずしも備えなくともよい。
【0123】
また、本実施形態に係るプリンタ1では、ローラ押さえ部72の凸部72a,72c,72dのそれぞれが、ローラ押さえ部72に対して着脱可能とされていてもよい。これにより、交換の必要が生じたローラのみを容易に交換できる。
【0124】
本実施形態に係るプリンタ1において、プラテンローラ22、第1下側ローラ33b、第2下側ローラ34b及び第3下側ローラ35bは、個別のモータによって協調して駆動するように構成されていてもよい。
【0125】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は、本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。