特許第6831289号(P6831289)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6831289
(24)【登録日】2021年2月1日
(45)【発行日】2021年2月17日
(54)【発明の名称】遊技場用管理システム
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20210208BHJP
【FI】
   A63F7/02 328
   A63F7/02 355A
【請求項の数】2
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-85323(P2017-85323)
(22)【出願日】2017年4月24日
(65)【公開番号】特開2018-183278(P2018-183278A)
(43)【公開日】2018年11月22日
【審査請求日】2020年1月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000108937
【氏名又は名称】ダイコク電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】特許業務法人 サトー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】猪飼 俊光
【審査官】 遠藤 孝徳
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−80603(JP,A)
【文献】 特許第5610439(JP,B2)
【文献】 特開2010−233938(JP,A)
【文献】 特開2015−107270(JP,A)
【文献】 特許第5952015(JP,B2)
【文献】 特開2003−190585(JP,A)
【文献】 特許第4932313(JP,B2)
【文献】 特許第5490351(JP,B2)
【文献】 特開2009−183397(JP,A)
【文献】 特許第5813971(JP,B2)
【文献】 特開2002−306810(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の遊技機と、
各遊技機に付設され、遊技者が所有する遊技価値を特定するための識別情報が記録された記録媒体を受け付けて当該遊技価値を遊技に使用するための遊技価値使用処理を実行する遊技用装置と、
各遊技機に対応して遊技者が着座する椅子と、が設置された遊技場における遊技場用管理システムにおいて、
前記椅子の座部に設けられ、遊技者の着座に基づいて変化する所定の着座情報を取得する着座情報取得手段と、
前記着座情報取得手段により取得された着座情報に基づいて、同一遊技者による遊技中であるか否かを判定する着座判定手段と、
前記記録媒体から特定される前記遊技価値が全て消費されるまでの期間を同一遊技者による遊技中と判定する記録媒体判定手段と、
前記着座判定手段及び前記記録媒体判定手段のうち少なくとも何れか一方が同一遊技者による遊技中と判定した期間を、同一遊技者による遊技期間であると特定する遊技期間特定手段と、
遊技機において発生した稼動情報を、前記遊技期間特定手段により特定された同一遊技者による遊技期間毎に区別して管理する稼動情報管理手段と、を備え
前記遊技期間特定手段は、
前記記録媒体判定手段により同一遊技者による遊技中と判定されている場合に前記着座判定手段により遊技者が同一でないと判定されたときは、別の遊技者に代理で遊技させる代理遊技が発生したと判定するように構成され、
前記同一遊技者の遊技期間における遊技者個人履歴データを作成する場合、当該遊技者個人履歴データに前記別の遊技者による代理遊技のデータを含むことを特徴とする遊技場用管理システム。
【請求項2】
前記遊技期間特定手段は、前記記録媒体判定手段により遊技価値が全て消費されて同一遊技者による遊技が終了したと判定された後、遊技者による貨幣の投入に応じて遊技価値が再度特定された場合に、前記着座判定手段による判定結果に基づいて同一遊技者が遊技を継続したのか、別の遊技者に交替したのかを判定することを特徴とする請求項1に記載の遊技場用管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は遊技場用管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載されているように、会員カードのID情報に基づいて遊技者を識別し、各遊技者の稼動情報を管理することが行われている。
また、特許文献2に記載されているように、会員カードとは別にカメラで遊技者の顔画像を取得して遊技者を識別することも実用化されており、会員カードと併用することによって、遊技者の識別精度を一層高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−107270号公報
【特許文献2】特開2013−158524号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、顔画像による識別については、カメラで顔を撮像されることに対して不快感を抱く遊技者も少なくないという事情があり、それが遊技者の来場意欲を阻害してしまうという欠点が指摘されている。このため、遊技者に無用な不快感を抱かせることがないようにカメラを使用することなく遊技者を識別するには、会員カード使用時に当該会員カードの使用期間を同一遊技者による遊技期間であると判定することで遊技者の遊技情報を管理することが考えられる。この場合、会員カードの使用期間の判定精度は高いことから、遊技者の稼動情報を精度良く管理することができる。
【0005】
しかしながら、一般の遊技者による一般カード使用時に当該一般カードから特定できる遊技価値の全てが消費されるまでの期間を同一遊技者による遊技期間と判定する場合は、それ以降に同一遊技者が遊技を継続しているのか否かを精度良く判定できないことから、遊技者の稼動情報の管理に支障を生じてしまう。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、遊技者に無用な不快感を抱かせることなく、遊技者の識別精度を高めることが可能な遊技場用管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明によれば、記録媒体の使用に基づく判定に加え、着座判定手段による遊技者の着座状態に基づいて同一遊技者による遊技期間を判定するようにしたので、遊技者に無用な不快感を与えることなく、遊技者の識別精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態における遊技場用システムを概略的に示す図
図2】計数貸出ユニットの正面図
図3】計数貸出ユニットの構成を示す機能ブロック図
図4】判定結果の組合せパターンを示す図
図5】遊技機別遊技者履歴データを示す図
図6】遊技機別遊技者集計データを示す図
図7】遊技者個人履歴データを示す図
図8】遊技者個人集計データを示す図
図9】同一遊技者判定処理を示すフローチャート
図10】遊技継続判定処理を示すフローチャート
図11】代打判定処理」を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、遊技場用管理システムの全体構成を示す概略図である。遊技場内には多数の遊技機1が設置されており、各遊技機1に対応して計数貸出ユニット2(遊技用装置、記録媒体判定手段、遊技期間特定手段、稼動情報管理手段)が設置されている。遊技機1及び計数貸出ユニット2は、2台毎に中継装置3及びLAN4を介して管理装置5と接続されている。管理装置5は、遊技機側(遊技機1、計数貸出ユニット2等)から送信される遊技信号を受信することにより遊技機1毎の遊技データを管理する共に、会員登録された会員毎の個人データも管理する。
【0010】
遊技場には、景品交換装置(POS)6、精算機7も設置されており、LAN4を介して管理装置5と接続されている。景品交換装置6は、付属するカードリーダライタ8により読取った一般カード9(記録媒体)或いは会員カード10(図3参照)により特定される遊技価値(持玉数・貯玉数(会員の場合))、又は遊技者の貯玉口座から読出した貯玉数に基づいて景品交換処理を実行すると共に、後述するように一般カード9及び会員カード10の両方を受付けたときは両カード9,10により特定される遊技価値を合算して景品交換を行う。
【0011】
精算機7は、一般カード9又は会員カード10がカード挿入口11に挿入されると、挿入されたカード9,10に記録されている入金残高をカードリーダ(図示せず)により読取り、その読取った入金残高に対応する現金を返却口12から返却する。
【0012】
尚、景品交換装置6及び精算機7においてカード9,10に記録されている遊技価値を取扱うときは、管理装置5がカード9,10に対応して予め記憶している遊技価値と照合し、真であると判定したことを条件として遊技価値の取扱いを有効とする。
【0013】
管理装置5は、遊技場内の例えば事務室等に設置されており、遊技場の管理者が操作するキーボード13、モニタ14、図示しないプリンタ等が接続されている。尚、図1では図示を省略したが、実際には例えば数百台の遊技機1が管理装置5の管理対象となっている。管理装置5は、遊技場内に設置された遊技機1、計数貸出ユニット2、景品交換装置6等の稼動状況を管理すると共に、遊技機側からの信号に基づいて遊技者毎の遊技価値(持玉数・貯玉数(会員の場合))と、入金残高とを記憶管理する。
【0014】
図1で示す遊技機1はCR(カードリーダ)パチンコ機であり、盤面15に玉を発射する発射装置を構成する操作ハンドル16、上部受皿17、下部受皿18を有すると共に、盤面15に、液晶表示部19、始動口20、大入賞口21を有する。遊技機1は以下に示す動作を行う。
【0015】
(1)操作ハンドル16が操作されたことにより盤面15に発射された玉が始動口20に入賞(始動入賞)することに応じて大当たり抽選を行い、抽選結果に基づいて所謂特別図柄(特図)による図柄変動を液晶表示部19にて実行し、その結果に応じて大当たりを発生させる。尚、所謂保留玉の上限は各4個ずつであり、保留中に始動入賞した場合は上限まで保留し、図柄変動終了後に順次保留した図柄変動を実行する。
【0016】
(2)大当たり抽選の当選確率(大当たり確率)は1/300であり、大当たりのうち大当たり後に確変状態(確変)となる大当たりの割合は66.6%(2/3)である。大当たりが発生すると対応するラウンド数(R)に応じた分だけ大入賞口21を開放する。尚、1Rの上限入賞数(上限数)は8個、上限開放時間は30秒であり、上限数又は上限開放時間の何れかが満たされた場合に1Rを終了する。
【0017】
(3)大当たりに対応するラウンド数は5Rと16Rとがあり、その振分割合は5Rが25%であり、16Rが75%である。
(4)確変中は大当たり確率が1/30に向上する。確変は次回大当たりまで継続するため、大当たり後に通常状態(通常)となる大当たり(通常大当たり)が発生するまで継続し、通常大当たりが発生した場合は通常状態へと戻る。
【0018】
遊技機1及び当該遊技機1に付設された周辺機器は、遊技者による玉の打込みや始動口20への始動入賞等の遊技の進行に伴って、以下に示す遊技信号を出力する。
・アウト信号:使用玉を回収するアウトBOX(図示せず)から出力される使用遊技価値(使用媒体数、アウト)を特定可能な信号である。回収玉(使用玉、打込玉)10玉に対して1パルスが出力されるので、アウト信号数×10をアウトとして特定する。尚、遊技機1から直接出力される信号であってもよい。アウト信号により特定されるアウトは、遊技に使用された遊技価値の量に相当する。
【0019】
・セーフ信号:遊技機1から出力される払出遊技価値(払出媒体数、セーフ)を特定可能な信号である。払出玉10玉に対して1パルスが出力されるので、セーフ信号数×10をセーフとして特定する。尚、補給装置(図示せす)から出力される補給信号をセーフ信号としてもよい。セーフ信号により特定されるセーフは、入賞により付与された遊技価値の量に相当する。
【0020】
・始動入賞信号:遊技機1から出力される始動口20への入賞(始動入賞)を特定可能な信号である。始動口20への入賞1回につき1パルスが出力されるので、始動入賞信号の受信に応じて始動入賞を特定する。
【0021】
・図柄変動信号(スタート信号):遊技機1から出力される始動口20への始動入賞により変動(作動)を開始する図柄変動(役物作動)を特定可能な信号である。図柄変動の確定時(終了時)に出力されるので、図柄変動信号の受信に応じて図柄変動(スタート)を特定する。尚、図柄変動の開始時に出力される信号であってもよい。
【0022】
・大当たり信号:遊技機1から出力される大当たり状態である期間を特定可能な信号である。大当たり状態中にレベル出力されるので、大当たり信号受信中を大当たり状態中として特定する。
【0023】
・確率変動信号:遊技機1から出力される大当たりの当選確率が高い確変状態中である期間を特定可能な信号である。確変状態中にレベル出力されるので、確率変動信号受信中を確変状態中として特定する。
【0024】
計数貸出ユニット2は、投入された紙幣の金額の範囲内で玉(遊技媒体)の貸出処理を行うと共に、遊技機1から払出される玉(遊技価値)を受入れて計数する。また、カード9,10を受付けたときは、入金残高及び計数玉数の範内で貸出・持玉返却処理を行うと共に、カード発行時に入金残高及び計数玉数(持玉数)を一般カード9に記録したり、会員カード10に対応して管理装置5に記録したりする。
【0025】
図2は計数貸出ユニット2の正面図である。計数貸出ユニット2は、遊技機1の遊技状態を示す状態表示部22、紙幣が投入される紙幣投入口23、遊技者からの操作入力を受付けると共に遊技の進行に伴って図柄変動回数(スタート回数)や大当たり確率等の遊技データを表示するタッチパネル式の液晶表示部24、1単位分(500円相当)の玉を払出すための払出ボタン25、払出された玉が通過する払出ノズル26、一般カード9或いは会員カード10が挿入されるカード挿入口27、遊技機1の下部受皿18の下方に位置する着脱可能な計数受皿28、この計数受皿28から流入する玉数を計数する計数部29等を備えている。
【0026】
図3は、計数貸出ユニット2の構成を示す機能ブロック図である。計数貸出ユニット2は、CPU30a、ROM30b、RAM30c、I/O30dを有するマイクロコンピュータにより構成される制御部30、当該制御部30と接続された周辺部を備えて構成されている。周辺部としては、管理装置5及び遊技機1との間で各種信号や各種情報を送受信するI/F部31、状態表示部22、紙幣投入口23に投入された紙幣の真贋を判定する紙幣処理部32、液晶表示部24、当該液晶表示部24上に設けられたタッチパネル33、カード挿入口27に挿入されたカード9,10に記録されている各種情報を読取ったり、書込んだりするカードリーダライタ34、最大5枚の一般カード9をストック可能なカードストック部35、払出ボタン25が操作されたときに1単位分(例えば500円分)の玉を払出ノズル26から払出す払出部36、計数部29を備えている。
【0027】
一般カード9及び会員カード10にはICチップ9a,10aが内蔵されており、ICチップ9a,10aには一般ID、会員ID(識別情報)がそれぞれ記憶されている。これらのカード9,10は、計数貸出ユニット2に入金された入金金額(残高情報)や持玉数を特定するための持玉情報を記録(会員カード10の場合は管理装置5に記憶)するための記録媒体である。一般カード9は当日限り有効である。会員カード10は、貯玉や再プレイを利用するための会員特有の機能を有しており、予め設定されている有効期限まで有効である。
【0028】
計数貸出ユニット2は、以下に示す機能を備えている。
(1)紙幣投入口23に投入された紙幣の金額(1000円単位)を記憶すると共に、投入金額(入金残高)を液晶表示部24に表示する。
【0029】
(2)遊技機1に設けられた貸出ボタン37(図3参照)の操作に応じて入金残高の範囲内で1度数(例えば500円)に相当する数の玉(125玉)を遊技機1内部の払出機構から払出す。このとき、遊技機1から計数貸出ユニット2に1度数分の玉を払出したことを示す信号が出力されるので、液晶表示部24に表示されている入金残高から1度数に相当する金額(500円)を減額すると共に売上信号を出力する(遊技価値使用処理)。この売上信号は1度数の玉の払出し毎に1パルスが出力されるので、1パルスを500円分の売上額として特定する。
【0030】
(3)遊技機1の下部受皿18から落下して計数受皿28で受けられた玉が計数部29に流入することで玉数を計数して液晶表示部24に表示する。
(4)払出ボタン25の操作に応じて計数玉数(持玉数)又は貯玉数(会員の場合)の範囲内で1度数(125玉)ずつ払出す(遊技価値使用処理)。尚、貯玉を払出すときは、その貯玉が後述の前日貯玉であるときは、125玉に対して25玉を手数料に相当する遊技価値として徴収する一方、当日貯玉であるときは計数玉数(持玉数)と同様に手数料を徴収しないように構成しても良い。
【0031】
(5)遊技機1に設けられた返却ボタン38(図3参照)の操作に応じて入金残高及び持玉数をカード挿入口27に挿入されている一般カード9に記録して発行する。会員カード10が挿入されている場合は、入金残高を会員カード10に記録すると共に暗証番号の入力を条件として持玉数を管理装置5に送信してから会員カード10を発行する。カード9,10を発行する場合は、発行情報を管理装置5へ送信し、管理装置5側にも記憶する。尚、カード挿入口27に一般カード9も会員カード10も挿入されていない場合は、カードストック部35に最大10枚までストックしている一般カード9をカードリーダライタ34に繰出して入金残高及び持玉数を記録して発行する。
【0032】
(6)一般カード9がカード挿入口27に挿入された場合は、一般カード9に記録されている入金残高及び持玉数を読出して液晶表示部24に表示する。会員カード10が挿入された場合は、会員カード10に記録されている入金残高を読出して液晶表示部24に表示すると共に暗証番号の入力を条件として管理装置5の会員口座に記憶されている貯玉数(当日貯玉数・前日貯玉数)も表示する。当日貯玉数とは当日貯玉された貯玉数であり、前日貯玉数とは前日までの貯玉数である。営業終了後は、当日貯玉数は前日貯玉数に合算して記憶される。遊技者による払出操作に応じて貯玉数の範囲内で1度数分の玉を払出ノズル26から払出す。
【0033】
(7)液晶表示部24に対する操作入力に応じて対応する遊技機1或いは指定された他の遊技機1の遊技データを表示したり、遊技場からのメッセージを表示したり、遊技者が会員であることが特定された場合は遊技機1の遊技データを表示する。
【0034】
(8)一般カード9の挿入状態で入金残高及び持玉数が零となった場合は当該一般カード9をカードストック部35に回収する。
(9)カードストック部35のカードが無くなったときはエラー状態となり、従業員によってカードが補充されると正常状態へ復帰する。
【0035】
管理装置5は、記憶しているコンピュータプログラムにしたがって作動し、遊技機1の稼動状況を示す遊技データを表示する遊技情報表示サービス、並びに遊技者が遊技により獲得した遊技媒体を一旦貯蓄し、当日或いは後日遊技に再利用できるようにする貯玉サービスを実行可能となっている。これらのサービスを実行するために、遊技機1や計数貸出ユニット2等から入出力部に入力される遊技信号に基づいて、遊技機1の稼動状態を特定して遊技機1毎に遊技データを管理するようになっている。
【0036】
遊技機1毎に管理する遊技データは次の通りである。
・アウト
・セーフ
・差玉=セーフ−アウト
・出玉率=セーフ÷アウト
・大当たり確率=大当たり回数÷スタート回数
一方、各遊技機1に対して椅子39が付設されている。椅子39の座部には着座センサ40(着座情報取得手段)が装着されている。着座センサ40としては、例えば特許第5610439号公報に記載されているセンサシートを採用することができる。
【0037】
4台の椅子39毎に1台の着座判定装置41(着座判定手段)が設けられており、各着座センサ40から受信した検知信号に基づいて椅子39毎に同一遊技者が着座しているか否かを以下のように判定する。
【0038】
着座センサ40の検知結果に基づいて遊技者の着座状態の特徴量を演算し、遊技者の有無、及び同一遊技者による遊技期間を判定し、一定時間(例えば1分)が経過する毎に判定結果を計数貸出ユニット2へ送信する。遊技者の着座状態の特徴量とは、着座センサ40を構成する多数のボタンセンサにより座面の圧力分布を検出し、その圧力分布に基づいて演算される数値である。
【0039】
特徴量の代表例として次の項目が設定されているが、実際にはさらに詳細な項目に分類されている。
・所定の圧力値範囲を検出したボタンセンサの数
・所定の圧力値以上を検出したボタンセンサの数
・ボタンセンサが検出した圧力値の合計値
・ボタンセンサが検出した圧力の重心位置
着座判定装置41は、上記の特徴量から遊技者の着座の有無、着座している遊技者の体重、臀部の大きさ及び形状等により同一遊技者が着座しているか否かを判定する。
【0040】
計数貸出ユニット2は、使用された一般カード9及び会員カード10のID情報、及び着座判定装置41から入力される判定結果に基づいて以下のように遊技者の遊技状況を管理する。
【0041】
(1)遊技データの集計管理
中継装置3経由で遊技機1側から各種の遊技データを受信し、各遊技機1の稼動状況を集計して管理する。
・遊技データの種類
アウト玉数(遊技機1に投入された遊技媒体の数を示す)
セーフ玉数(遊技機1から払い出された遊技媒体の数を示す)
大当たり回数(遊技機1で発生した大当たりの回数を示す)
スタート回数(遊技機1で実行されたゲーム(図柄変動)の回数を示す)
稼動時間(遊技機1が稼動している時間)など
【0042】
(2)稼動状態・非稼動状態の判定
遊技機1においてアウト玉数が発生している状態を稼動状態、アウト玉数が発生していない状態を非稼動状態と判定する。
(3)遊技中・非遊技中の判定
(a)会員カード10による識別
会員カード10が挿入されている期間は会員IDにより特定される同一遊技者による遊技中と判定する。
(b)一般カード9による識別
一般カード9から入金残高及び持玉数のうち少なくとも何れか一方を特定可能な期間(遊技価値が全て消費されるまでの期間)は同一遊技者による遊技中と判定する。
(c)着座判定装置41からの判定結果による識別
着座判定装置41からの判定結果に基づいて、着座を検知している期間を同一遊技者による遊技中と判定する。
【0043】
計数貸出ユニット2は、同一遊技者が着座しているか否かを次のように判定する。
図9は、計数貸出ユニット2による同一遊技者判定処理を示すフローチャートである。計数貸出ユニット2は、会員カード10が挿入されたか(S101:NO)、会員カード10を発行したか(S103:NO)、一般カード9から特定される遊技価値が発生したか(S105:NO)、一般カード9を発行したか(S107:NO)、一般カード9から特定される遊技価値の全てを消費したか(S108:NO)、遊技者が椅子39に着座したか(S110:NO)、退座したか(S112:NO)を判定している。
【0044】
ここで、一般カード9から特定される遊技価値が発生したかの判定は、一般カード9に入金残高や持玉である遊技価値が記録されているか否かにより判定する。つまり、カードリーダライタ34に一般カード9が受け付けられていない状態で遊技価値が発生すると、カードストック部35に収納されている一般カード9がカードリーダライタ34に繰り出されて遊技価値が記録されるので、一般カード9から特定される遊技価値が発生する。また、遊技者が一般カード9を計数貸出ユニット2に挿入されると、カードリーダライタ34により一般カード9に記録されている入金残高や持玉数が読取られるので、一般カード9から特定される遊技価値が発生する。
【0045】
遊技者が遊技機1で遊技するために椅子39に着座すると、着座判定装置41は、着座センサ40により検出した特徴量に基づいて遊技者の着座を検出して計数貸出ユニット2に通知する。計数貸出ユニット2は、着座判定装置41から着座を検知したことが通知された場合は(S110:YES)、着座判定に基づく同一遊技者による遊技中の特定を開始する(S111)。
【0046】
遊技者が会員カード10を計数貸出ユニット2に挿入すると(S101:YES)、会員カード挿入判定に基づく同一遊技者による遊技中の特定を開始する(S102)。ここで、遊技者が計数貸出ユニット2に現金を投入すると、入金残高が発生するので、会員カード10に入金残高を記録する。遊技者が貸出操作を行うと、単位金額分の遊技媒体を払い出すと共に会員カード10に記録している入金残高を単位金額分だけ減額する。
【0047】
遊技者が遊技により獲得した遊技媒体を計数貸出ユニット2により計数することで持玉が発生すると、持玉は管理装置5に当日貯玉として記憶される。管理装置5に記憶された当日貯玉は当日において払出操作により払い出すことができる。当日貯玉は当日に払い戻すことが原則であるが、貯玉することで翌日以降に手数料分が差し引かれて払い戻すことも可能である。
【0048】
計数貸出ユニット2は、遊技者が会員カード10の発行操作を行うと(S103:YES)、会員カード挿入判定に基づく同一遊技者による遊技中の特定を終了する(S104)。
以上の動作により、会員カード10が挿入されている期間を会員IDにより特定される同一遊技者による遊技期間として特定することができる。
【0049】
会員登録していない遊技者が計数貸出ユニット2に現金を投入することで入金残高が発生すると、計数貸出ユニット2は、カードストック部35に収納している一般カード9をカードリーダライタ34に繰り出して入金残高を記録する。これにより、一般カード9から特定される遊技価値が発生したと判定し(S105:YES)、遊技価値判定に基づく同一遊技者による遊技中の特定を開始する(S106)。
【0050】
遊技者が遊技により獲得した遊技媒体を計数貸出ユニット2により計数することで持玉が発生すると、計数貸出ユニット2は、一般カード9に持玉数を記録する。これにより、一般カード9から特定される遊技価値が発生したと判定し(S105:YES)、遊技価値判定に基づく同一遊技者による遊技中の特定を開始する(S106)。一般カード9に記録された持玉は当日のみ払い戻すことができ、会員カード10のように貯玉することはできない。
【0051】
計数貸出ユニット2は、一般カード9から特定される遊技価値が存在する状態で遊技者が発行操作を行うと(S107:YES)、遊技価値判定に基づく同一遊技者による遊技中の特定を終了する(S109)。発行された一般カード9は、計数貸出ユニット2に挿入することで記録している入金残高内で遊技媒体を貸し出したり、持玉の範囲内で遊技媒体を払い戻したりすることができる。
【0052】
一般カード9から特定される遊技価値の全てが消費された場合は(S108:YES)、遊技価値判定に基づく同一遊技者による遊技中の特定を終了する(S109)。遊技価値の全てが消費された一般カード9はストック部35に回収されるが、計数貸出ユニットの機種によってはカードリーダライタ34に受付けられた状態を維持する場合もある。このように一般カード9の受付状態で他の一般カード9が挿入された場合は、受付状態の一般カード9はストック部35に回収され、挿入された一般カード9が受付状態となる。
以上の動作により、一般カード9から遊技価値を特定可能な期間を一般IDにより特定される同一遊技者による遊技期間と特定することができる。
【0053】
遊技者が休憩したり、台移動したり、遊技終了したりするために退座すると、着座判定装置41が退座したことを計数貸出ユニット2に通知する。計数貸出ユニット2は、遊技者が退座したと判定し(S112:YES)、着座判定に基づく同一遊技者による遊技中の特定を終了する(S113)。
【0054】
以上の動作により、着座判定装置41による着座判定に基づいて、遊技者の着座期間を同一遊技者による遊技期間と特定することができる。この場合、着座判定に基づく同一遊技者による遊技期間の特定は、上述した会員カード10及び一般カード9に基づく同一遊技者による遊技期間の特定を補うものであると言える。
【0055】
計数貸出ユニット2は、上述のようにして特定した同一遊技者による遊技期間を管理装置5に通知し、管理装置5は、計数貸出ユニット2から通知された同一遊技者による遊技期間の組合せパターンに基づいて同一遊技者による遊技期間を最終的に判定する。
【0056】
図4は判定結果の組合せパターンを示している。この図4に示す通り、会員カード10の挿入期間、一般カード9から特定される遊技価値の存在期間、或いは遊技者の着座期間のいずれかの期間は同一遊技者による遊技期間として最終的に判定する。
【0057】
ここで、一般カード9から特定される遊技価値の全てを消費した場合の遊技者の行動としては、着座したまま遊技を継続する場合と、台移動や遊技を終了するために退座する場合とが考えられる。つまり、図4のパターン5からパターン2となる場合と、パターン5からパターン1となる場合とが考えられる。この場合、一般カード9から特定される遊技価値の全てが存在しなくなったことを判定しただけでは同一遊技者による遊技期間を精度良く判定することはできないが、着座判定と組み合わせることで同一遊技者による遊技期間を精度良く判定することが可能となる。
【0058】
ところで、一般カード9から特定される遊技価値の全てが消費された場合に、退座した同一遊技者が再び着座し、計数貸出ユニット2に現金を投入して遊技を再開する場合があり、このような場合は、同一遊技者による遊技期間が継続することになる。
【0059】
そこで、計数貸出ユニット2は、図10に示す遊技継続判定処理において、売上が発生した場合は(S201:YES)、着座判定装置41による着座判定に基づいて退座したと判定した同一遊技者が着座中かを判定し(S202)、同一遊技者が着座中の場合は(S202:YES)、退座したと判定したことに伴って(S112:YES)、ステップS113において同一遊技者による遊技中の特定を終了したことを解除する(S203)。これにより、同一遊技者による遊技中の特定が継続することになる。
【0060】
一方、計数貸出ユニット2は、代打(代理遊技)を判定する機能も有する。代打とは、会員カード10の挿入中、又は一般カード9から遊技価値を特定中の状態で遊技者が交代することであり、遊技場によっては禁止行為とされている。
【0061】
計数貸出ユニット2は、図11に示す代打判定処理において、会員カード10の挿入中か(S301:NO)、一般カード9から遊技価値を特定中か(S302:NO)を判定している。会員カード10の挿入中(S301:YES)、又は一般カード9から遊技価値を特定中の場合は(S302:YES)、代打状態かを判定する(S303)。この場合、代打状態でないことから(S303:NO)、着座判定装置41による着座判定に基づいて異なる遊技者が着座したかを判定し(S304)、異なる遊技者が着座した場合は(S304:YES)、代打を特定する(S305)。但し、会員カード10の挿入中、又は一般カード9から特定される遊技価値の存在中は、判定上同一遊技者による遊技中であることには変わらない。代打状態では(S303:YES)、着座判定装置41により代打前の同一遊技者が着座したかを判定する(S306)。代打前の同一遊技者が着座した場合は(S306:YES)、代打特定を終了する(S307)。
【0062】
尚、会員カード10の挿入中、又は一般カード9から遊技価値の特定中に着座判定により退座したと判定し、さらに着座した場合は、退座した遊技者が着座したか否かを判定し、異なる遊技者が着座したことを特定した場合に代打を特定するようにしても良い。この場合、同一遊技者が着座した場合は、会員カード10を挿入したまま、又は一般カード9に遊技価値が残っている状態で短時間だけ退座したものと判定し同一遊技者による遊技中の特定を継続する。
【0063】
計数貸出ユニット2は、以上のようにして特定した同一遊技者による遊技期間と会員ID又は一般IDとを管理装置5に通知する。
管理装置5は、計数貸出ユニット2から通知された同一遊技者による遊技期間の稼動データと会員ID又は一般IDとを対応付ける。つまり、会員カード10の挿入期間及びその前後において着座判定により同一遊技者と判定された期間を会員IDと対応付ける。また、一般カード9から特定された遊技価値の存在期間及びその前後において着座判定により同一遊技者と判定された期間を一般IDと対応付ける。
【0064】
管理装置5は、このような対応付けを行うことで図5に示すように遊技機別遊技者履歴データを作成し、例えば閉店処理時に当該遊技機別遊技者管理データに基づいて図6に示す遊技機別遊技者集計データ、図7に示す遊技者個人履歴データ、図8に示す遊技者個人集計データを作成して表示したり、印字出力したりする。
【0065】
このような実施形態によれば、次のような効果を奏することができる。
計数貸出ユニット2は、一般カード9の使用時は、遊技価値判定に基づく同一遊技者による遊技中の特定期間に加え、着座判定に基づく同一遊技者による遊技中の特定期間を同一遊技者による遊技期間と判定するので、遊技者に無用な不快感を与えることなく、遊技者の識別情報を高めることができる。
【0066】
遊技価値の全てが消費された後に遊技価値が再度発生した場合は、着座判定に基づいて同一遊技者による遊技期間を判定するようにしたので、遊技価値の全てが消費された場合に、同一遊技者が遊技を継続したのか、別の遊技者に交替したのかを確実に判定することができる。
【0067】
一般カード9から遊技価値を特定可能な状態、或いは会員カード10の挿入状態で着座判定に基づいて客交代と判定した場合は、代打であることを特定するようにしたので、代打に対処することが可能となる。
【0068】
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態に限定されることなく、次のように変形又は拡張したり、各変形例を上記実施形態と組み合せたり、各変形例を組み合わせるようにしても良い。
【0069】
椅子39の座部に重量センサを設けて遊技者の体重を測定し、その測定値を着座情報としてもよい。重量センサによる測定値が基準値(例えば300グラム)以上変化したときに遊技者が交替したと判定することができる。
【0070】
一の計数貸出ユニット2で発行されたカードが別の計数貸出ユニット2へ挿入されたとき、着座判定装置41によって先の遊技者と後の遊技者とが異なると判定された場合には、カードの盗難があったとみなして報知する盗難報知手段を備えるようにしてもよい。
【0071】
管理装置5が作成する帳票は上記実施形態に限定されず、様々なデータを含む帳票を作成することができる。例えば、遊技機別に限らず、遊技機の種類別や遊技場内のエリア別にデータを集計してもよい。また、遊技者個人集計データとして、例えば出玉率、差玉数、ゲーム回数などのデータを含むことができる。
【0072】
計数貸出ユニット2により同一遊技者による遊技期間を判定するようにしたが、管理装置5により判定するようにしても良い。この場合、計数貸出ユニット2が一般カード9から遊技価値を特定できなくなったことを管理装置5に通知するように構成すれば良い。
【0073】
計数貸出ユニット2に設けたカメラで遊技者の顔画像を取得し、その顔画像を分析することによって遊技者を特定する構成を追加してもよい。
着座判定装置41と遊技機1との対応関係は1対4に限定されず、1対何台であっても良い。
【0074】
着座判定装置41を計数貸出ユニット2または中継装置3と一体的に設けるようにしても良い。
中継装置3を2台の遊技機に1つ設けるようにしたが、中継装置3と遊技機との対応関係はこれに限定されない。3対1や4対1であってもよい。
【0075】
遊技機は、遊技媒体を払い出さず、電子データとして加算記憶する封入式遊技機であってもよい。
パチンコ遊技機に限定されず、例えばスロットマシンであってもよい。
【符号の説明】
【0076】
図面中、1は遊技機、2は計数貸出ユニット(遊技用装置、記録媒体判定手段、遊技期間特定手段、稼動情報管理手段)、9は一般カード(記録媒体)、40は着座センサ(着座情報取得手段)、41は着座判定装置(着座判定手段)である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11