【課題を解決するための手段】
【0015】
この課題は、請求項1の特徴を有する機器によって解決される。本発明の好ましい実施形態は従属請求項において記述され、以下で説明される。
【0016】
それにより、光学素子を傾斜させるための機器は、
− 光学素子であって、少なくとも第1の軸の周りに傾斜させることができるように移動可能に取り付けられる、光学素子と、
− 延長方向に延びる(例えば、永久)磁石であって、前記延長方向に整列した磁化(即ち、磁化が延長方向に平行に伸びる)を備え、さらに前面を備える磁石と、
− 延長方向において磁石の前面と向き合う、第1の方向に沿って延びる第1の導体部分と、
を備え、
− ここで、光学素子は磁石又は第1の導体部分に堅く結合され、
− 第1の導体部分に電気的に接続された電流源手段であって、前記第1の導体部分に電流を印加して、磁石と第1の導体部分との間に、光学素子を前記第1の軸の周りに、第1の傾斜方向に又はそれと逆方向に傾斜させる(電流の方向に依存する)ローレンツ力が生成されるように設計される電流源手段をさらに備える。
【0017】
具体的には、第1の傾斜方向は第1の軸に直交させることができる。しかし、具体的に、その周りに傾斜が起きる2つの独立な軸(例えば、第1及び第2の軸、以下を参照されたい)が存在する場合には、第1の傾斜方向が第1の軸に直交する必要はない(同様に、第2の傾斜方向が第2の軸に直交する必要はない)。
【0018】
具体的には、光学素子はミラーであるが、以下の素子、即ち、プリズム、レンズ、マイクロレンズ、回折光学素子又は任意の他の光学素子のうちの1つとすることもできる(このことは以下で説明する本発明の第2の態様にも適用される)。
【0019】
磁石(並びに以下で説明するさらに別の磁石)は必ずしも円柱形である必要はなく、また平坦面(例えば、前面)で終わる必要もない。しかし、一般に磁石(単数又は複数)は全ての実施形態において円柱形とすることができ、さらに平坦な前面を備えることができる。しかし、磁力線を可能な限り平行に最適角度に維持しながら、それぞれの磁石を導体のより近くに配置することができるように、前面は凸型曲率、例えば、球面曲率、(例えば、全ての実施形態において)を備えることもできる。さらに、一般に、磁石(単数又は複数)は他の形状を有することもできる。例えば、磁石(単数又は複数)は球面を有することができる(例えば、球を形成できる)。具体的には、全ての実施形態において、磁石の延長方向はその磁化軸(主磁場軸)と一致することができる。具体的には、延長方向は、磁石の対称軸(例えば、円柱軸)又は、長手軸方向などのいずれかの軸方向に一致することができる。
【0020】
本発明の一実施形態により、機器は、延長方向において磁石の前面と向き合う第2の導体部分を備え、ここで、第2の導体部分は、第1の方向とは異なる第2の方向に沿って延び、ここで、光学素子を第1の軸に加えて第1の軸とは異なる第2の軸の周りにも傾斜させることができるように、移動可能に光学素子が取り付けられる。具体的には、第2の軸は第1の軸に直角に延びるが、第1の軸と、90°とは異なる角度を囲むこともできる。さらに、具体的には、電流源手段は第2の導体部分にも電気的に接続され、ここで、電流源手段は、第2の軸の周りに、第2の傾斜方向に又はその反対方向に光学素子を傾斜させる(第2の導体部分の中の電流の方向に依存する)ローレンツ力が第2の導体部分と磁石の間に生成されるように、前記第2の導体部分に電流を印加するように設計される。具体的には、第2の傾斜方向は、第1の傾斜方向とは異なり、ここで、第2の傾斜方向は、具体的には第1の方向に直角に延びる(しかし、両方の傾斜方向は、90°とは異なる角度を囲むこともできる)。従って、光学素子を2Dにおいて傾斜又はピボット回転させることができる。
【0021】
具体的には、光学素子が第1の導体部分に堅く結合されるとき、これはさらに第2の導体部分に堅く結合される。具体的には、光学素子が導体部分(単数又は複数)に結合される実施形態において、光学素子は、例えば、それぞれのコイル手段又はコイル・キャリア(以下を参照されたい)に、例えば、直接に又は他の構成要素を介して間接に堅く結合することができる。
【0022】
好ましくは、光学素子は(例えば実質的に)、第1の軸と第2の軸の交点を通り、さらに前記第1及び第2の軸に直角に延びる軸に対して、同軸に配置される。具体的には、光学素子は前記軸に沿って磁石と向き合う。
【0023】
具体的には、電流源手段は、第1の導体部分(単数又は複数)及び第2の導体部分(単数又は複数)に、互いに独立に電流を印加し、その結果前記電流の各々を別々に制御し調節する(例えば、電流源手段によって)ことができるように、設計される。具体的には、電流源手段は、第1の導体部分(及び、最終的にはさらに別の第1の導体部分、以下を参照されたい)のための第1の電流源を備えることができ、ここで、第1の電流源は第1の導体部分に電気的に接続され、前記電流を前記第1の導体部分に印加するように設計される。さらに、具体的には、電流源手段は、第2の導体部分(及び、最終的にはさらに別の第2の導体部分、以下を参照されたい)のための第2の電流源を備えることができ、ここで、第2の電流源は第2の導体部分に電気的に接続され、前記電流を前記第2の導体部分に印加するように設計される。
【0024】
具体的には、第1の導体部分と第2の導体部分とは互いに交差する。具体的には、第1の導体部分と第2の導体部分とは互いに対して直角に延びる。しかし、第1及び第2の導体部分によって囲まれる角度はまた、135°〜45°、具体的には130°〜60°、具体的には105°〜75°、具体的には100°〜80°、具体的には95°〜85°の範囲にすることができる。
【0025】
具体的には、磁石の前面と向き合うこれらの交差電流(例えば、磁石の磁化の延長方向又はその方向における)は、2つの異なる、具体的には直交する傾斜方向に、光学素子を傾斜(ピボット回転)させることを可能にし、その結果、光学素子を2次元(2D)においてピボット回転させることができる。
【0026】
具体的には、交点又は交差領域は、延長方向に整列し、又は延長方向における磁石の前面の射影(例えば、コイル・キャリア上への射影、以下を参照されたい)の中に位置する。
【0027】
さらに、具体的には、第1及び第2の導体部分(又は第1及び第2の方向)は、磁石の前記前面がそれに沿って延びる(仮想)延長平面に沿って延び、ここで前面は、光学素子(又は磁石)の傾斜に応じて、前記延長平面に対して傾斜させることができる。さらに、具体的には、第1及び第2の方向は、同じく前記延長平面に沿って又はその中を延びる(例えば、前記延長平面に広がる)。さらに、磁石(又は光学素子)は、磁石の延長方向又はその磁化が前記延長平面に垂直に延びる、及び/又は磁石の前記前面が前記延長平面に平行に延びる、特定の位置を備えることができる。具体的には、本明細書において、そのような特定の位置は、傾斜可能な磁石又は光学素子が存在することができる磁石又は光学素子の位置であり、それに応じて、機器に磁石又は光学素子を傾斜させることによって別の位置から達することができる位置である。例えば、特定の位置は、磁石又は光学素子が傾斜していない(例えば、静止位置)位置(例えば、初期位置)又はいずれかの他の位置とすることができる。
【0028】
さらに、具体的には、第1及び/又は第2の導体部分は、磁石の前面に沿って延びる。磁石の特定の(例えば、傾斜していない)位置において、第1及び/又は第2の導体部分(或いは第1の方向及び/又は第2の方向)は、延長方向又は磁石の磁化に垂直に延びる。さらに、具体的には、磁石の前記特定の位置において、第1及び/又は第2の導体部分(或いは第1の方向及び/又は第2の方向)は、磁石の前面に平行に延びる。具体的には、第1の導体部分又は第2の導体部分と、磁石の延長方向(又は磁化)との間の角度は、正確に90°である必要はなく、この値からの40°まで、具体的には30°まで、具体的には20°まで、具体的には10°まで、具体的には5°まで、の偏差を含むことができる。換言すれば、前記角度は、130°〜50°、具体的には120°〜60°、具体的には110°〜70°、具体的には100°〜80°、具体的には95°〜85°の範囲にあれば良い。
【0029】
本発明のさらに別の実施形態により、機器は第1のコイル手段(具体的には、前記延長平面に沿って延びる)を備え、ここで、第1の導体部分が第1のコイル手段の導体の一部分を形成し、この第1のコイル手段の導体が少なくとも第1の巻軸(具体的には、前記延長平面に垂直に又は少なくとも実質的に垂直に伸びる)の周りに巻かれ、ここで具体的には、磁石の特定の位置において、第1の巻軸が、延長方向又は磁石の磁化に平行に(又は少なくとも実質的に平行に)伸びる。
【0030】
具体的には、前記特定の位置に関して、第1の巻軸は、延長方向又は磁化に対して、±25°、具体的には±20°、具体的には±15°、具体的には±10°、具体的には±5°以内で平行に伸びる。換言すれば、第1の巻軸と延長平面とによって囲まれる角度は115°〜65°、具体的には110°〜70°、具体的には105°〜75°、具体的には100°〜80°、具体的には95°〜85°の範囲内にあれば良い。さらに、具体的には、全ての実施形態において、機器は、原理的に、全ての角度を±25°の間で設定できるように設計することができる。
【0031】
さらに、本発明による機器の一実施形態により、機器は第2のコイル手段(具体的には、前記延長平面に沿って延びる)を備え、ここで、第2の導体部分が第2のコイル手段の導体の一部分を形成し、この第2のコイル手段の導体が少なくとも第2の巻軸(具体的には、前記延長平面に垂直に又は少なくとも実質的に垂直に伸びる)の周りに巻かれ、ここで具体的には、磁石の前記特定の位置において、第2の巻軸が、延長方向又は磁石の磁化に平行に(又は少なくとも実質的に平行に)伸びる。具体的には、第2の巻軸と延長方向との間の角度、又は第2の巻軸と延長平面との間の角度は、第1の巻軸に関する上記の範囲の中に入ることができる。
【0032】
さらに、本発明の一実施形態により、第1のコイル手段は第1及び第2のループを備え、ここで第1の導体部分の少なくとも一部分(又は完全な第1の導体部分)が第1のループの一部分を形成し、ここで機器はさらに別の第1の導体部分を備え、さらに別の第1の導体部分の少なくとも一部分(又は完全なさらに別の第1の導体部分)が第2のループの一部分を形成し、ここで、第1の導体部分とさらに別の第1の導体部分とは、互いに沿って、具体的には第1の方向に沿って(具体的には互いに平行に)延び、ここで具体的には第1の導体部分とさらに別の第1の導体部分とは、磁石の前面と(磁石の延長張方向において)向き合う第1のコイル手段の中央領域を形成する。さらに、具体的には、電流源手段が、第1のコイル手段の第1のループ及び第2のループに電流を、前記2つの第1の導体部分の中で電流が同じ(第1の)方向に流れるように、印加するように設計される。すでに述べたように、第1の方向を第1の軸に合わせることができる。
【0033】
具体的には、第1のコイル手段の導体は、第1の巻軸の周りに第1のループに巻かれ、さらに別の第1の巻軸の周りに第2のループに巻かれ、その結果、具体的には2つのループが反対の巻き方向を有する。具体的には、第1の巻軸とさらに別の第1の巻軸とは互いに平行に、又は少なくとも実質的に平行に伸びる。さらに、具体的には、磁石の特定の位置において、第1の巻軸とさらに別の第1の巻軸とは、延長方向又は磁石の磁化に平行に、又は少なくとも実質的に平行に伸びる。延長方向(磁化)又は延長平面に対する第1の巻軸に関する上記の角度は、さらに別の第1の巻軸及び/又はさらに別の第2の巻軸に関しても当てはまる(以下を参照されたい)。
【0034】
さらに、本発明の一実施形態により、第2のコイル手段は第1及び第2のループを備え、ここで第2の導体部分の少なくとも一部分(又は完全な第2の導体部分)が第1のループの一部分を形成し、ここで機器はさらに別の第2の導体部分を備え、さらに別の第2の導体部分の少なくとも一部分(又は完全なさらに別の第2の導体部分)が第2のループの一部分を形成し、ここで、第2の導体部分とさらに別の第2の導体部分とは、互いに沿って、具体的には第2の方向に(具体的には互いに平行に)延び、ここで具体的には第2の導体部分とさらに別の第2の導体部分とは、磁石の前面と(磁石の延長方向において)向き合う第2のコイル手段の中央領域を形成する。さらに、具体的には、電流源手段が、第2のコイル手段の第1及び第2のループに電流を、前記2つの第2の導体部分の中で電流が同じ(第2の)方向に流れるように、印加するように設計される。すでに述べたように、第2の方向を第2の軸に合わせることができる。
【0035】
具体的には、第2のコイル手段の導体は、第2の巻軸の周りに第2のコイル手段の第1のループに巻かれ、さらに別の第2の巻軸の周りに第2のコイル手段の第2のループに巻かれ、その結果、具体的には2つのループが反対の巻き方向を有する。具体的には、第2の巻軸とさらに別の第2の巻軸とは互いに平行に伸びる。さらに、具体的には、磁石の特定の位置において、第2の巻軸とさらに別の第2の巻軸とは、延長方向又は磁石の磁化に平行に伸びる。
【0036】
好ましい実施形態により、第1の導体部分(さらに別の第1の導体部分に沿って又は平行に伸びる)及びさらに別の第1の導体部分は、第2の導体部分(さらに別の第2の導体部分に沿って又は平行に伸びる)及びさらに別の第2の導体部分を横切って延びる。具体的には、第1の導体部分は第2の導体部分に直角に延び、ここで具体的には、第1の導体部分と第2の導体部分との交点又は交差領域が磁石の前面と(延長方向において)向き合い、及び具体的にはその下に、磁石の前記特定の位置の垂直真下にある。第1の導体部分と(交差する)第2の導体部分とによって囲まれる角度は、第1及び第2の導体部分に関して上述した範囲内にあることができる。さらに、本発明の一実施形態により、第1及び/又は第2のコイル手段の2つのループは、それぞれ別々のコイルを形成することができる。ここで、具体的には、第1のループ(第1のコイル手段の)の導体は第1の巻軸の周りに巻かれ、第2のループ(第1のコイル手段の)の導体はさらに別の第1の巻軸の周りに、即ち具体的には、第1のループの導体と反対の巻方向に巻かれ、その結果、(中央の)隣接する第1の導体部分の中の電流は、同じ(第1又は第2の)軸に沿って(その方向に又は反対方向に)流れる。この場合もやはり、巻軸と延長方向/面との間の角度は上記のものとすることができる。
【0037】
さらに、代替的な一実施形態により、第1及び/又は第2のコイル手段の2つのループは、それぞれ、単一のコイル、例えば
図8コイル、を形成することができる
【0038】
図8コイルにおいて、導体は2つの巻軸(例えば、第1及びさらに別の第1の巻軸、又は第2及びさらに別の第2の巻軸)の周りに巻かれ、ここで2つの巻軸は互いに平行に伸びるので、コイルは、
図8の形状を形成する2つの(電気的に接続された)ループを構成するように形成される。具体的には、導体は、2つの巻軸の周りに反対方向(反対の巻方向)に巻かれる。ここでもやはり、それぞれの
図8コイルの中央領域が存在し、その中で2つのそれぞれの(第1又は第2の)導体部分が互いに沿って伸び、その中で電流が同じ方向に(例えば、第1及び第2の方向に沿って)流れる(上記を参照されたい)。この場合もやはり、巻軸と延長方向/平面との間の角度は、上記のものとすることができる。
【0039】
さらに、具体的には、前記導体部分の各々は1つ又は幾つかの電導体、例えばワイヤを備えることができる。
【0040】
本発明のさらに別の実施形態により、第1及び/又は第2のコイルの各々は、少なくとも1つの層又は幾つかの層を備えることができ、ここで、具体的には、第1のコイルの少なくとも1つの層が、第2のコイルの少なくとも1つの層の上に、前記延長平面に垂直に(又は前記延長方向に)配置され、又はここで、具体的には、第1及び第2のコイルの層が、前記延長平面に垂直に又は前記延長方向に、互いの上に交互に配置される。ここで、上記の導体部分は、それゆえに、1つ又は幾つかの層を備える。
【0041】
一般に、コイル手段、コイル又はループは、円形状又は円形輪郭を有する必要はない。コイル/ループの形状又は輪郭は円形にすることができるが、円形構造から逸脱することもできる(例えば、長方形、楕円形、丸みのある縁を有する長方形など)
【0042】
本発明による機器のさらに別の一実施形態により、機器はさらに別の第1の導体部分を備え、ここで第1の導体部分及びさらに別の第1の導体部分は第1の方向に沿って延び、ここで、機器はさらに別の第2の導体部分を備え、ここで第2の導体部分及びさらに別の第2の導体部分は互いに沿って第2の方向に延び、ここで各々の導体部分は、別々のコイルによって形成され(即ち、4つの別々のコイルが存在する)、ここで、具体的には電流源手段は、前記別々のコイルに電流を、前記2つの第1の導体部分の中で電流が同じ方向に、具体的には第1の方向に又はその反対方向に流れるように、及び、前記2つの第2の導体部分の中で電流が同じ方向に、具体的には第2の方向に又はその反対方向に流れるように、印加するように設計される。
【0043】
例えば、磁石を2Dにおいて動かすために、このように4つのコイル(即ち、方向毎に2つのコイル)を備えることは、磁場が最大となるコイル・キャリア/PCB(以下も参照されたい)の中心に均一な電流フローを生成することを可能にする。
【0044】
前記コイルは、層状PCB構造体に中に実装されるように設計されることが好ましい。層設計において、両方の直交方向が互い違いになって双方向性の力を生じることが好ましい。ここで、具体的には、コイル・キャリア/PCBは種々の形状(例えば、丸みのある輪郭/外縁)を有するように設計することができる。具体的には、有利に、リターン電流がコイル・キャリア/PCBの外側のコイルを流れ、コイル・キャリア(例えばPCB)の中心以外の磁束を最小にするように最適化された備えられた誘導構造体のために、小さな反動力を生じるだけである。さらに、具体的には、磁気リターン構造体もまた、そうしなければ作動を妨害し得る外部磁場から、コイルを遮蔽するのに役立つことができる。リターン構造体及び磁気遮蔽は同じ構造にする必要はない。電磁遮蔽はファラデー・ケージとも呼ばれ、コイルを囲む導電性シートに存することができる。
【0045】
さらに、本発明による機器の一実施形態により、第1及び第2の導体部分の各々は、別々のコイルで形成され、この別々のコイルの各々は、磁束誘導板(例えば、鉄板又は鋼板の形態の)の周りに巻かれる。さらに、そのような磁束誘導構造体の文脈で本明細書において説明される他の材料を使用することもできる。
【0046】
好ましくは、第1及び第2の導体部分の各々は、複数の平行なワイヤ部分を備え、ここで、第1の導体部分のワイヤ部分は、第2の導体部分のワイヤ部分を横切って伸び、その結果、ワイヤ部分の格子構造が、例えば、前記磁石と向き合う前記磁束誘導板の表面上に形成される。
【0047】
ここで、必要な電気的及び光学的構成要素を有する(例えば、単に非常に薄い)PCBを、そのような板の上、例えば、方向毎に理想的に均一な電流を生じる(具体的には、反動力を生じる可能性のある反対方向に電流が流れない)ように設計された前記ワイヤ部分の上に配置することができる。
【0048】
好ましくは、前記磁束誘導板を磁束誘導構造体、例えば、機器の磁場(若しくは磁束)リターン構造体の中に埋め込むことができるか、又は、本明細書で様々な実施形態において説明するように外側磁束誘導構造体の底部の一部分又は完全な底部を形成することができる。好ましくは、コイル・ワイヤは、例えば、リターン構造体に埋め込まれた前記板の真下に閉鎖される。この板のために、前記板の下のさらに別の磁束誘導(例えば、リターン)構造体は、板がそのような構造体の機能を果たすことができるので、省略することができる。
【0049】
従って、磁束誘導板の厚さは、磁束誘導板が磁束誘導構造体の一部分となり、鉄板の真下のコイル巻線を通る逆流電流が、本明細書で説明する(例えば、外側)磁束誘導構造体の内部の磁場を変更しないような厚さであることが好ましい。
【0050】
そのようなコイル構造体は、均一な一方向力の生成を可能にし、高いコイル実装密度及びコイルの良好な熱接続(即ち、鉄板/リターン構造体への)を備える。本発明のさらに別の(第2の)態様により、光学素子をピボット回転させるための機器であって、
− 光学素子であって、少なくとも第1の軸の周りに傾斜させることできるように移動可能に取り付けられる、光学素子と、
− 延長方向に延びる第1の(例えば、永久)磁石(さらに以下で説明する他の磁石も永久磁石とすることができる)であって、前記延長方向に整列する磁化(即ち、磁化が延長方向に平行に伸びる)又は延長方向に垂直に伸びる磁化を備え、さらに前面を備える第1の磁石と、
− 延長方向において又は延長方向に垂直に第1の磁石の前面と向き合い、第1の巻軸の周りに巻かれた導体を備えた第1のコイル手段であって、具体的には、前記第1の巻軸は、第1の磁石が特定の(例えば、傾斜しない)位置に配置されるとき第1の磁石の延長方向に平行に伸びる、第1のコイル手段と、
を備え、
− 光学素子は第1の磁石又は前記第1のコイル手段に堅く結合され、
− 第1のコイル手段に電気的に接続された電流源手段であって、前記第1のコイル手段に電流を印加して、第1の磁石と第1のコイル手段との間に、光学素子を前記第1の軸の周りに、第1の傾斜方向に又はその反対方向に傾斜させる(第1のコイル手段の中の電流の方向に依存する)電磁力が生成されるように設計される電流源手段をさらに備える、
機器が開示される。
【0051】
本発明の一実施形態により、機器は延長方向に延びる第2の磁石を備え、ここで第2の磁石は、第2の磁石の前記延長方向に整列するか又は第2の磁石の延長方向に直角に伸びる、磁化を備え、(具体的には、第1及び第2の磁石の延長方向は互いに平行に伸びる)、ここで光学素子は、第1の軸とは異なる第2の軸の周りにも光学素子を傾斜させることができるように、移動可能に取り付けられる。さらに、具体的には、機器は、第2の磁石の前面と、具体的には第2の磁石の延長方向において(又は第2の磁石の延長方向に垂直に)向き合う第2のコイル手段を備え、ここで第2のコイル手段は第2の巻軸の周りに巻かれた導体を備え、ここで具体的には、前記第2の巻軸は、第2の磁石が特定の位置に配置されるとき、延長方向に平行に伸び、ここで、光学素子は、第2の磁石又は第2のコイル手段(及び具体的には第1のコイル手段)に堅く結合される。さらに、具体的には、電流源手段がさらに第2のコイル手段に電気的に接続され、前記第2のコイル手段に電流を印加し、その結果、第2の磁石と第2のコイル手段との間に電磁力が生成され、その結果、光学素子が第2の軸の周りで第2の傾斜方向に又はその反対方向に(第2のコイル手段の中の電流の向きに依存して)傾斜させられる、ように設計される。
【0052】
具体的には、光学素子が第1のコイル手段に堅く結合されるとき、これはまた第2のコイル手段に(及び最終的にはさらに別のコイル手段に)堅く結合される。具体的には、光学素子が前記コイル手段に結合される実施形態において、光学素子は、例えば、コイル・キャリアに(以下を参照されたい)、例えば、直接に又は他の構成要素を介して間接に、堅く結合することができる。
【0053】
具体的には、第2の傾斜方向は第1の傾斜方向とは異なり、ここで第2の傾斜方向は、具体的には第1の傾斜方向と直角に延びる。さらに、具体的には、第1の軸は第2の軸と直角に延びる。しかし、第1の軸及び第2の軸が存在する場合、2つの軸は互いに対して直角に伸びる必要はない。それに対応して、同じことが第1及び第2の傾斜方向に対して成り立つ。さらに、2つの傾斜軸の場合、即ち、第1及び第2の軸が存在する場合、第1の導体部分(単数又は複数)の第1の方向は、第1の軸と一致する必要はない。さらに、第2の導体部分(単数又は複数)の第2の方向は、第2の軸と一致する必要はない。
【0054】
従って、この場合もやはり、本発明の第2の態様により、光学素子を2Dにおいてピボット回転させることができる。
【0055】
またここで、光学素子は、上記の素子のうちの1つとすることができる。具体的には、以前と同様に、電流源手段は、第1のコイル手段と第2のコイル手段とに対して互いに独立に電流を印加し、その結果、前記電流の各々を別々に制御し調節する(例えば、電流源手段により)ことができるように、設計される。具体的には、電流源手段は、第1のコイル手段のための(及び最終的にはさらに別のコイル手段のための、以下を参照されたい)第1の電流源を備えることができ、ここで第1の電流源は第1のコイル手段に電気的に接続され、前記電流を前記第1のコイル手段に印加するように設計される。さらに、具体的には、電流源手段は、第2のコイル手段のための(及び最終的にはさらに別のコイル手段のための、以下を参照されたい)第2の電流源を備えることができ、ここで第2の電流源は第2のコイル手段に電気的に接続され、前記電流を前記第2のコイル手段に印加するように設計される。
【0056】
さらに、具体的には、第1及び第2のコイル手段は、(架空の)延長平面に沿って延び、さらにそれに沿って前記前面が延びることができ(代替的に、前面は延長平面に垂直に延びることができ)、ここで前面は、光学素子の(又は磁石の)傾斜に応じて前記延長平面に対して傾斜させることができる。さらに、具体的には、第1及び第2の傾斜方向は、やはり前記延長平面に沿って又はその中で延びる(例えば、前記延長平面に広がる)。さらに、2つの磁石(又は光学素子)は、それぞれの(第1又は第2の)磁石又はその磁化の延長方向が前記延長平面に垂直に延びる、及び/又は磁石の前記前面が前記延長平面に平行に(又は垂直に)延びる、特定の位置を備えることができる。
【0057】
具体的には、第1及び/又は第2のコイル手段は、関連付けられる磁石と(例えば、それぞれの延長方向と)同軸に配置され、ここで、具体的には、第1及び/又は第2のコイル手段の外径は、それぞれの磁石の外径より大きい。
【0058】
具体的には、第1及び第2のコイル手段の各々は、それぞれループを形成する別々のコイルとして形成される。さらに、具体的には、第1及び第2のコイル手段の各々は、前記平面に沿って延び、ここで、それらは重ならずに、前記延長平面内で又はそれに沿って、隣り合って延びる。
【0059】
具体的には、本発明の第2の態様による機器は、4つの磁石、即ち、第1、第2、並びに第3及び第4の磁石を備える。具体的には、第3及び第4の磁石もまた延長方向に延び、それぞれの延長方向に整列する(又はそれに垂直に伸びる)磁化を備える。さらに、具体的には、第3及び第4の磁石もまた光学素子に堅く結合される(しかし、その代わりに、光学素子がコイル手段又はコイル・キャリアに結合されることも可能である)。具体的には、本機器は対応する複数のコイル手段(例えば、それぞれループを形成する別々のコイルとして形成された)、即ち、第1及び第2のコイル手段、並びに第3及び第4のコイル手段を備える。さらに、具体的には、第3のコイル手段が第3の磁石に関連付けられ、第3の磁石の延長方向において第3の磁石の前面と向き合い、第4のコイル手段が第4の磁石に関連付けられ、第4の磁石の延長方向において第4の磁石の前面と向き合う。
【0060】
さらに、具体的には、第3及び第4のコイル手段は、第3の巻軸(第3のコイル手段)及び第4の巻軸(第4のコイル手段)の周りに巻かれた導体を備え、ここで、それぞれの巻軸は、それぞれの磁石が例えばピボット回転していない前記特定の位置(上記を参照されたい)に配置されるとき、関連付けられる(第3又は第4の)磁石の磁化に平行に向けられる。具体的には、第3及び第4のコイル手段(及びそれぞれのコイル手段の導体)は、第3及び第4のコイル手段のそれぞれの巻軸に垂直に伸びる前記延長平面に沿って延びる。
【0061】
具体的には、さらに第3及び第4のコイル手段の各々は、それぞれループを形成する別々のコイルとして形成される。さらに、具体的には、第3及び第2のコイル手段の各々は、前記延長平面に沿って延び、ここで、具体的には、4つのコイル手段は重ならず、前記延長平面内で又はそれに沿って隣り合わせに配置される。
【0062】
具体的には、第1及び第3のコイル手段は、第1の方向において互いに向き合い、他方、第2及び第4のコイル手段は、具体的には第1の方向に垂直に伸びる第2の方向において互いに向き合う。
【0063】
具体的には、電流源手段はコイル手段に電気的に接続され、この電流源手段は、第1、第2、第3及び/又は第4のコイル手段に電流を(独立に)印加し、その結果、光学素子を第1の方向に若しくはその反対方向に、及び/又は第2の方向に若しくはその反対方向に(それぞれの軸の周りに)、それぞれのコイル手段の中の電流の方向に応じて傾斜させる電磁力が生成されるように、設計される。
【0064】
具体的には、第3及び/又は第4のコイル手段はさらに、関連付けられる磁石と同軸に配置され、ここで、具体的には、第3及び/又は第4のコイル手段の外径はまた、それぞれの(第3又は第4の)磁石の外径より大きい。
【0065】
さらに、第1及び第2の磁石のために(並びに具体的にはさらに第3及び第4の磁石のために)磁束リターン構造体を備えることが可能である。各々の磁束リターン構造体は、具体的には、関連付けられる磁石の延長方向に平行に延びるリムを備え、このリムは関連付けられるコイルを通して延び、ここで、それぞれのコイルは関連付けられる磁石と、それぞれの延長方向に垂直な又は前記延長平面に沿った方向において向き合う。
【0066】
一般に、複数の磁石、例えば4つの磁石などを用いる代わりに、単に1つの磁石を、本発明の第2の態様において備えることができ、ここで、それゆえに、個々のコイル手段に(例えば、4つの異なるコイルに)磁束を誘導する1つの磁束リターン構造体が使用される。従って、実際上4つの磁気的手段又は磁束がこのようにもたらされ、これが上記のように関連付けられるコイル手段と相互作用することができる。
【0067】
以下の特徴及び実施形態を、上記の本発明の両方の態様に適用することができる。
【0068】
さらに、全ての実施形態において、機器は、第1及び/又は第2のコイル手段(並びに最終的にはさらに別のコイル手段)を支えるため、又は前記別々の4つのコイル(上記を参照されたい)を支えるためのコイル・キャリアを備えることができる。具体的には、コリ・キャリアは基板、例えば、プリント回路基板とすることができ、ここで、第1及び/又は第2のコイル手段(並びに最終的には、第3及び/又は第4のコイル手段のようなさらに別のコイル手段)がコイル・キャリアの上に配置されるか又はコイル・キャリア内に組み込まれる。すでに述べたように、光学素子を磁石に堅く結合する代わりに、固定磁石(単数又は複数)に対して動くコイル・キャリアに光学素子を結合することもできる。
【0069】
具体的には、前記キャリアは板状キャリアであり、ここで、第1及び/又は第2の巻軸に垂直なキャリアの寸法は、第1及び/又は第2の巻軸に沿ったキャリアの寸法より著しく大きい。
【0070】
さらに、本発明の一実施形態により、第1及び/又は第2のコイル手段(並びに最終的にはさらに別のコイル手段)は、平面コイルとして、例えば、単層又は多層プリント回路基板のコイルとして形成される。さらに、第3及び/又は第4のコイル手段も平面コイルにすることができる。換言すれば、それぞれのコイル又はコイル手段を、プリント回路基板として形成されたコイル・キャリアに組み込むか又は埋め込むことができる。
【0071】
具体的には、本発明の意味での平面コイルは、巻軸又は複数の巻軸に垂直な外側の直径が、巻軸(又は複数の巻軸)の方向における厚さと少なくとも同じ大きさである、コイルである。前記直径は、前記厚さより著しく大きい、具体的には10倍大きい、具体的には100倍大きい、具体的には1000倍大きいことが好ましい。例えば、平面コイル(手段)は、巻軸の方向に例えば30μmの厚さ、及び例えば30mmの直径(巻軸に垂直な)を有することができる。
【0072】
一般に、本発明のさらに別の実施形態により、本発明による機器は、センサ手段を備え、具体的には、第1の磁石又は前記複数の磁石の位置を計測するための少なくとも1つの磁場センサ(例えばホール・センサ)を備える。
【0073】
具体的には、センサ手段はコイル・キャリアの上、具体的には磁石又は複数の磁石と向き合うコイル・キャリアの側面の上、或いは磁石又は複数の磁石から離れる方向を向くコイル・キャリアの側面の上に配置される。具体的には、センサ手段は延長方向において磁石と向き合い、具体的には、第1の磁石と(少なくとも、磁石の前記特定の位置において)同軸に配置される。
【0074】
具体的には、センサ手段が、磁石又は複数の磁石と向き合う側面の上に配置されるとき、センサ手段は、磁石の数に対応する数の磁場センサ(例えば、ホール・センサ)を備え、ここで各々の磁場センサは関連付けられる磁石の近傍に配置される。具体的には、センサ手段が、第1の磁石から離れる方向を向く前記他の側面の上に配置されるとき、センサ手段は具体的には単一の磁場センサ、例えば、磁石の位置を検出するように設計された、(2D)ホール・センサを備える。
【0075】
さらに、本発明による機器の一実施形態により、センサ手段は4つのホール・センサ、即ち、回転軸毎に2つのホール・センサを備えることができ、これらは回転軸に沿ったミラーの直交する側面の上に、好ましくは、前記4つのホール・センサを備えた前記センサ手段によって生成される信号が磁石の位置に依存するように、配置される。
【0076】
さらに、具体的には、機器は、電流源手段(例えば、個々の電流源)を、第1の磁石又は前記複数の磁石及びそれゆえにそれに接続された光学素子の現在の位置が基準値に近づくように、制御するためのコントローラを備える。
【0077】
具体的には、電流源手段及び/又はコントローラを、センサ手段(例えば、ホール・センサ)に組み込むことができる。
【0078】
代替的な一実施形態により、機器は、光源、具体的にはLED、及び光強度センサ、例えば、光ダイオードを備え、ここで、光源は光を放射するように構成され、その結果、光源によって放射された前記光が、磁石、又は磁石に接続された反射手段(例えば、ミラー)によって強度センサ(例えば、光ダイオード)に向けて反射され、その結果、強度センサ(例えば、光ダイオード)に衝突する前記反射された光により強度センサ(光ダイオード)によって生成される(フィードバック)信号(例えば、電流)が、磁石の位置に依存する。
【0079】
さらに別の実施形態により、光ダイオードは、クアドラチャ光ダイオード(例えば、4つのクアドラントを備え、各々のクアドラントが、それぞれのクアドラントに衝突する光に応じた信号をもたらす)、又は、例えばクアドラチャ光ダイオードに類似するように配置された4つの単一の光ダイオードであり、ここで、前記光源(例えば、LED又はレーザ)は、クアドラチャ光ダイオードの中心、具体的には光ダイオードの窪みの中に配置される。
【0080】
さらに、本発明による機器の一実施形態により、磁石又は前記反射手段は、前記信号が磁石の延長方向の周りの磁石の回転角並びに第1及び/又は第2の傾斜方向における磁石の傾斜を示すように、シェーディングを備える。
【0081】
さらに、本発明による機器の一実施形態により、機器は、磁石の位置に依存する信号を生成するように構成された容量センサ手段を備える。
【0082】
具体的には、前記センサ手段は、可動ミラーに取り付けられた電導性の第1の板部材を備えることができる。さらに、具体的には、センサ手段は、例えばコイル・キャリアに結合された第2及び第3の(別々の)板部材を備えることができ、この第2及び第3の板部材はミラーと一緒には動かず、第1の板部材から間隔を空けられるが後者と向き合い、その結果、直列に配置された2つのコンデンサが前記板部材によって形成される。
【0083】
容量センサ手段は、ミラーが動くときに変化する、直列の2つのコンデンサの容量を計測するように構成されることが好ましい。この容量は、ミラーの動きを制御するために上記のコントローラが使用できる信号に対応する。
【0084】
具体的には、機器は、電流源手段(例えば、個々の電流源)を制御して、信号が、第1の磁石及び従って光学素子の望ましい基準位置に関連付けられる基準信号に近づくようにするコントローラを備える。具体的には、コントローラは、磁石又は光学素子の、名目上の傾斜範囲の外の回転(例えば、磁石の延長方向の周りの回転)が防止されるように、電流源を制御するように構成される。
【0085】
さらに、本発明の一実施形態により、光学素子を支持するために、機器は、機器の窪みの中、具体的には機器のケージ部材であって、具体的にはコイル・キャリアに接続されたケージ部材の窪みの中に配置される、ベアリング・ボールを備える。
【0086】
具体的には、ベアリング・ボールは光学素子に接続される。
【0087】
具体的には、光学素子は、光学素子を保持する保持要素を介してベアリング・ボールに接続される。
【0088】
具体的には、ベアリング・ボールはケージ部材の窪みの軸受面に沿って摺動する球状に湾曲した凸面を備え、その結果、ベアリング・ボールは前記窪みの中で回転して磁石及び光学素子をピボット回転させることができる。
【0089】
さらに、具体的には、ベアリング・ボールは、ベアリング・ボールの第1の(例えば、下部の)側面を備え、この第1の側面がコイル・キャリア又は存在するコイル手段と向き合い、他方、ベアリング・ボールの第2の側面は第1の側面から離れる方向を向く。
【0090】
具体的には、磁石及び/又はその前面がベアリング・ボールの第1の側面の上に配置され、他方、光学素子及び/又は保持要素はベアリング・ボールの第2の側面の上に配置される。
【0091】
具体的には、磁石はベアリング・ボールの第1の側面に接続され、他方、ベアリング・ボールの第2の側面は光学素子に、具体的にはベアリング・ボールに接続された保持要素を介して、接続される。
【0092】
具体的には、磁石はベアリング・ボールの第1の側面上のベアリング・ボールの窪みの中に配置され、ここで具体的には窪みはベアリング・ボールの貫通開口であり、磁石の裏面は光学素子に接続されるように設計され、この磁石の裏面は、磁石の前記前面から離れる方向を向く。具体的には、磁石の前記裏面は、ベアリング・ボールの表面とぴったり重なり、又は窪みから突き出ることができる。さらに、具体的には、磁石の前記前面を備えた磁石の末端部分は、ベアリング・ボールの第1の側面上のベアリング・ボールの窪みから、例えば、コイル・キャリア又はコイル手段に向かって突き出る。
【0093】
さらに、代替的に、磁石はベアリング・ボールの第1の側面上のベアリング・ボールの貫通開口の中に配置され、ここで、保持部材の一部分が、ベアリング・ボールの第1の側面から離れる方向を向く第2の側面の上の貫通開口の中に挿入される。具体的には、保持部材は、光学素子を保持するように設計される、即ち、光学素子が保持部材に接続される。具体的には、第1の磁石の前記前面を備える第1の磁石の末端部分がベアリング・ボールの貫通開口から突き出る。
【0094】
代替的に、具体的には、保持要素は、ベアリング・ボールの前記窪み(例えば、貫通開口)の中に配置されてそれから突き出る部分を、ベアリング・ボールの第1の側面上の末端部分と共に備え、ここで磁石は、保持要素の前記末端部分に固定される。
【0095】
幾つかの磁石(例えば、前記4つの磁石)が存在する場合、磁石は、具体的には、前記コイル手段又はコイル・キャリアと向き合う、保持部材の第1の側面又は光学素子に接続される。保持部材のこの第1の側面は、光学素子が取り付けられる保持部材の第2の側面から離れる方向を向く。
【0096】
さらに、具体的には、磁石は前記ベアリング・ボールを形成することができる。
【0097】
具体的には、磁石及び/又は保持要素は、ベアリング・ボールに接着することができる。
【0098】
具体的には、ベアリング・ボール及びケージ部材は、インサート成形型ボール・ベアリングを形成する。具体的には、ベアリング・ボールは、光学素子の光学特性に影響せずに回転自由度を可能にする回転対称性を備える。
【0099】
さらに、本発明の一実施形態により、機器は、磁石を支持するための複数のベアリング・ボールを備えたボール・ベアリングを備え、その結果、磁石を任意の軸の周りに傾斜させることができ、このボール・ベアリングは、ミラーを支持する第1の支持部材と、第1の支持部材及び/又は磁石を囲む第2の支持部材との間に形成される円周方向隙間の中に配置され、ここで、第2の支持部材がコイル・キャリアに接続されることが好ましい。
【0100】
さらに、本発明による機器の一実施形態により、本明細書で説明するように、例えばコイル・キャリア(例えばPCB)の下に配置することができる、例えば、磁束誘導構造体又はリターン構造体への磁石のスナップ・インを防ぐために、及び/又は、磁石の回転(例えば、その延長方向の周りの)を防ぐために、機器は、ミラーに接続された内側磁束誘導構造体、及びコイル・キャリアに接続された(例えば環状の)外側磁束誘導構造体を備え、この外側磁束誘導構造体は前記内側磁束誘導構造体を囲む。
【0101】
さらに、一実施形態により、(例えば、外側)磁束誘導構造体はさらに、光学素子及び磁石が機器から落ちるのを防ぐように構成される。さらに、(例えば、外側)磁束誘導構造体又はリターン構造体(又は代替的に特定の遮蔽物)はまた、機器を外部磁場から遮蔽するように構成される。
【0102】
さらに、本発明の一実施形態により、内側磁束誘導構造体は、複数の第1の突起を備え、ここで、各々の第1の突起は外側磁束誘導構造体に向かって放射状に外向きに突き出し、ここで、外側磁束誘導構造体は対応する数の第2の突起を備え、ここで各々の第2の突起は、内側磁束誘導構造体に向かって、各々の第1の突起が関連付けられる第2の突起と位置合わせされて隙間を形成するように、放射状に内向きに突き出る。
【0103】
本発明のさらに別の実施形態により、光学素子又は前記保持部材は、具体的にはコイル・キャリアの上に、具体的には復元力をもたらす弾性的に変形可能なバネ手段によって支持される。
【0104】
具体的には、バネ手段は、ポリマなどの弾性材料製の円筒ボディのようなボディとすることができる。
【0105】
さらに、本発明の一実施形態により、バネ手段は、複数の磁石(例えば、第1、第2、第3及び/又は第4の磁石)に接続された中央部分を備え、ここで中央部分は、中央部分を囲む円周方向第1の部分に一体的に接続され、その結果、中央部分を第1の軸の周りに第1の部分に対して傾斜させることができ、ここで、第1の部分は、第1の部分を囲む円周方向第2の部分に一体的に接続され、その結果、第1の部分を中央部分と共に、第2の部分に対して、第1の軸に垂直に伸びる第2の軸の周りに傾斜させることができ、ここで第2の部分は、具体的にはコイル・キャリアに接続される。
【0106】
さらに、本発明の一実施形態により、バネ手段は、それを介して、光学素子に固定される、具体的には第1の磁石又は複数の磁石のうちの1つに固定される第1の固定点から、それを介してコイル・キャリアに固定される第2の固定点まで延びる少なくとも1つのアームを備える。具体的には、2つの固定点は光学素子の中心軸に近接し、この中心軸は光学素子及び/又はコイル・キャリアに垂直に伸びる。
【0107】
さらに、本発明の一実施形態により、バネ手段は、具体的にはカルダン継手を形成する。
【0108】
具体的には、バネ手段は、バネ手段の中心から外側に延びる4つのアーム(即ち、第1、第2、第3及び第4のアーム)を有する十字形バネ部材を備える。具体的には、第1のアームは第2のアームと整列し、ここで、第1及び第2のアームは、第1の軸(傾斜移動の)に対して例えば45°の角度で延び、ここで、第3のアームは第4のアームと整列し、第3及び第4のアームは、第1及び第2のアームに対して垂直である。具体的には、各々のアームは外側末端領域を備える。さらに、機器は、それに光学素子が接続され、及びそれに磁石又は第1及び/又は第2の磁石(並びに最終的にはさらに第3及び第4の磁石)が接続される第1のキャリア部材(保持部材を形成する)(磁石(単数又は複数)の代わりにコイル手段を第1のキャリア部材に接続することができる)と、それに第1及び/又は第2のコイル手段(並びに最終的にはさらに第3及び第4のコイル手段)が接続される第2のキャリア部材(コイル手段の代わりに磁石(単数又は複数)を第2のキャリア部材に接続することができる)とを備え、ここで、具体的には、十字形部材が2つのキャリア部材の間に配置され、ここで、第1及び第2のアームの末端領域は、具体的には第1のキャリア部材に固定され、他方、第3及び第4のアームの末端領域は、具体的には第2のキャリア部材に固定され、その結果、第1のキャリア部材を(光学素子と一緒に)、第1及び/又は第2の軸の周りに第2のキャリア部材に対して傾斜させることができる。バネ手段に関して、光学素子を磁石(単数又は複数)と一緒に、固定されたコイル手段に対して傾斜させることができることに留意されたい。代替的に、光学素子をコイル手段と一緒に、固定された磁石(単数又は複数)に対して、傾斜させることができる。具体的には、これは、本発明の枠組み中で用いられる全ての支持概念に当てはまる。
【0109】
バネ手段の代わりに、ジャイロ・ジョイント(2軸ジャイロとも呼ばれる)を用いることもできる。この機構は、光学素子10及び具体的には磁石(単数又は複数)又は使用される導体部分(単数又は複数)若しくはコイル手段を保持するための前記保持部材を形成する第1の部材、第2の部材、及び第3の部材を備える。光学素子のための2Dピボット回転可能な支持を実現するために、第2の部材は第1の部材の上に回転可能に支持され、その結果、第2の部材を第1の軸の周りに第1の部材に対して傾斜させることができ、ここで、第3の部材は第2の部材の上に回転可能に支持され、その結果、第3の部材を、例えば第1の軸と直交する第2の軸の周りに(第2の部材に対して)傾斜させることができる。結果として、第3の部材を、2つの独立な軸の周りに、2次元(2D)において第1の部材に対して傾斜させることができる。第1の部材を、コイル・キャリア又は使用される導体部分(単数又は複数)又はコイル手段に、或いは代替的に磁石(単数又は複数)に、接続することができる。
【0110】
さらに、本発明の一実施形態により、機器は、光学素子を初めの位置に戻すための復元力をもたらすように設計された復元力手段を備え、ここで、具体的には復元力手段は以下のうちの1つを具体的に備える:
− 磁場(又は磁束)リターン構造体であって、磁石(単数又は複数)(即ち、前記磁石又は第1、第2、第3、及び第4の磁石)によって生成される磁束(例えば、コイルの中を通る)を改善するため、及び、復元力を生成するために、コイル手段又は導体部分(単数又は複数)の下に配置することができる、磁場(又は磁束)リターン構造体。具体的には、磁場リターン構造体は、具体的にはコイル・キャリアに、具体的には磁石(単数又は複数)から離れる方向を向く側面に接続される板の形態を備えることができる。具体的には、前記リターン構造体は磁気的に軟らかい材料及び/又は強磁性材料(例えば、鉄又は鋼)から構成することができる。具体的には、磁場リターン構造体は、磁石(単数又は複数)の磁化又は延長方向に垂直な延長平面/コイル・キャリアに沿って延びる。具体的には、リターン構造体は、それに沿って磁場が、それぞれの磁石の延長方向に平行に伸びる距離を長くし、それゆえに例えば大きなローレンツ力を導体部分のうえに生じるように設計される。さらに、磁場リターン構造体と磁石(単数又は複数)との間に、磁石(単数又は複数)を初めの位置に戻す引力が存在する。
− 代替的に、前記復元力手段は磁石、又は
− バネ手段(例えば、上記のような)を備えることができる。
【0111】
本発明の一態様により、視野拡大結像システムが提供され、これは本発明による少なくとも1つの機器を備える。具体的には、視野拡大結像システムは、視野を拡大するように、具体的には、所定の第1の角度(例えば、20°)の視野を、レンズ積層体の後ろに配置された画像センサの上に異なる方向からの光を向け直すことによって、所定のより大きな第2の角度(例えば、60°)の視野に拡大するように設計された結像システム(即ち、画像を生成するシステム)である。
【0112】
本発明のさらに別の態様により、本発明による機器は、動的光ステアリング(システムの照明経路又は結像経路内における)、例えば、照明用途に使用される。本発明の一態様により、本発明による少なくとも1つの機器を備えた、動的光ステアリングのための対応するシステムが提供される。この機器は、単一ユニット構成において、又は複数の機器のアレイにおいて使用することができる。例えば、本発明のさらに別の態様により、本発明による複数の機器であって、アレイ構成に配置された機器を備えたシステムが提供される。一般に、本発明による機器は光学素子を単に1次元(1D)において又は2次元(2D)において傾斜させるために使用することができる。
【0113】
上記の全ての実施形態において、回転軸又は複数の回転軸(即ち、第1及び第2の軸)は、力の方向の軸(例えば、前記ローレンツ力が導体部分(単数又は複数)又は磁石に作用する方向)に整列する必要はない。
【0114】
一般に、光学素子は、プリズム、ミラー、レンズ、回折光学素子及び他の光学素子とすることができる。非磁性ベアリング・ボールは以下の材料、即ち、ガラス(例えば、溶融石英)、セラミックス(例えば、ジルコニア酸化物及び酸化アルミニウム)、ルビー、サファイア、鋼(例えば、クロム鋼)、AISI316(オーステナイトステンレス鋼)の内の1つから構成できることが好ましい。
【0115】
ケージ部材は、以下の材料、即ち、ポリアミド−イミド(例えば、トルロン(Torlon)4301)、アセタール樹脂(例えば、デルリン(Derlin)500AL)、PTFE(特に強化されたPTFE、例えばルロン(Rulon)J)、PVX(例えば、テカ(Teca)PEEK)、SLX(ナイロン、例えばナイキャスト(Nycast)NylOil)のうちの1つから構成することができる。
【0116】
具体的にはミラーの形態の光学素子は、以下の材料、即ち、ベリリウム、シリコン、溶融石英/水晶、SiC、BK7、サファイア(Al2O3)、MgF2のうちの1つから構成することができる。
【0117】
本明細書で説明する磁石又は複数の磁石は、以下の材料、即ち、サマリウムコバルト SmCo33EN S300、ネオジム−鉄−ホウ素(NdFeB)N50Mのうちの1つから形成することができる。
【0118】
鋼板に対しては、AISI1010炭素鋼を使用することができる。
【0119】
プリント回路基板(例えば、コイル・キャリア)は、例えば、FPCから形成することができ、又は、HDI Anylayerのような多層PCBとすることができる。
【0120】
コイルのための導体は、10μm〜200μm、具体的には20μm〜60μmの範囲の厚さを有することができる銅から作製することができる。
【0121】
ホール・センサとして、以下のセンサ、即ち、AS5013(2Dホール・センサ)、AS5510、LC898214XCを用いることができる。勿論、他のホール・センサを用いることもできる。
【0122】
上記の材料は、例として理解されたい。他の材料も同様に用いることができる。
【0123】
具体的には、本発明による機器の典型的な外径は2mm〜75mmの範囲にある(延長平面に沿って)。
【0124】
具体的には、本発明による機器は、以下の分野において使用することができ、又は以下の機器のうちの1つの構成要素として形成することができる:照明、マシンビジョン、レーザ加工、ライトショー、3Dプリンタを含むプリンタ、計量学、医療用機器、飛行時間カメラ、視野拡大器、ライダー、動き追跡、顕微鏡、内視鏡、研究、監視カメラ、自動車、プロジェクタ、距離計、携帯電話、視覚システム、眼鏡レンズ、フォロプターなどの眼科機器、屈折計、眼底カメラ、ppt.バイオメトリ、視野計、屈折計、眼圧計、アノマロスコープ、コントラストメータ、内皮顕微鏡、アノマロスコープ、ビノプトメータ、OCT、ロダテスト、検眼鏡、RTA、並びに照明機器、(例えば、頭部装着型)眼鏡、ロボット・カム望遠鏡、双眼鏡、眼鏡レンズ、バーコード・リーダ、及びウェブ・カム、ファイバ結合、バイオメトリック機器、電子拡大鏡、軍用、デジタル・スチル・カメラ、ウェブ・カム、工業用途、視覚システム及びヘッドアップ・ディスプレイ。
【0125】
具体的には、本発明による機器は、車両の前照灯によって生成された光を偏向させて、調節可能な方向に沿って進み、従って道路などの湾曲に対して調節することができるダイナミック・ヘッド・ライトを生成するように、車両の中で使用することができる。
【0126】
本発明の別の態様は、3D拡張現実感のための装置であって、
− 好ましくは請求項1〜28のいずれか1項に記載の又は本明細書で説明する本発明による機器の形態の、この機器の前記光学素子がミラーである、可動2Dミラーと、
− コリメート光ビームを生成するためのレーザであることが好ましい光源と、
− 焦点制御機器と、
− 走査型ミラー機器であることが好ましい画像プロジェクタと、
− 投影スクリーンと、
− 装置のユーザの眼の瞳の投影スクリーンに対する位置を検出するように構成された視標追跡機器と、
を備え、
光源は、焦点制御機器を通るように誘導される光ビームを生成するように構成され、この焦点制御機器は前記光ビームを焦点合わせ及び焦点ぼかしするように構成され、ここで、画像プロジェクタは前記光ビームを用いて画像を生成するように構成され、可動2Dミラーは、前記画像を投影スクリーンの上に、少なくとも検出された瞳の位置に応じて反射するように構成される、
装置に関する。
【0127】
好ましい一実施形態により、焦点制御機器は、最も好ましくは液体レンズの形態の焦点調節可能レンズである(例えば、引用によりそれらの全体が本明細書に組み入れられる米国特許第8,000,022(B2)号明細書又は米国特許第8,755,124(B2)号明細書に記載されている)。しかし、焦点制御機器はまた、並進レンズ・システムとすることもできる。
【0128】
画像プロジェクタは、前記光ビームを偏向させて前記画像を生成するように構成された走査型ミラー機器であることが好ましい。
【0129】
本装置の一実施形態により、装置は頭部装着型表示器である。投影スクリーンは湾曲した半透明又は反射スクリーン(例えば、ガラス板)であることが好ましい。
【0130】
一実施形態により、ガラス板は、画像プロジェクタの波長(色)を部分的に又は完全に反射することが好ましい。
【0131】
さらに、一実施形態により、投影スクリーン(例えば、ガラス板)上の投影範囲は、最大でも現在の眼の視野に限定され、可動2Dミラー(例えば、本発明による機器)の使用により、瞳の動きによって変化する。
【0132】
瞳の位置は、任意の適切な視標追跡機器によって見いだせることが好ましい。投影される画像のサイズは、可動2Dミラー(例えば、本発明による機器)の光学素子(ミラー)の表面の傾斜角に依存する。
【0133】
従って、投影される画像の解像度は、投影スクリーン/ガラス板全体を照明することに比べて、視野のみを照明するときに向上させることができる。
【0134】
具体的には、ガラス板を照明するのに必要な範囲は、投影される仮想物体のサイズによって与えられる。その物体が、幾つかのサブフレームで構成され、人の視覚システムが処理する全画像がサブフレームの重ね合わせである場合、照明範囲をさらに減らし、単位面積当たりのピクセル解像度を増すことができる。サブフレームは、例えば、記号を認識することができ且つ高解像の虚像が必要な視野の内部で、可動2Dミラー(例えば、本発明による機器)のミラー(光学素子)を僅かに動かすことによって得ることができる。一実施形態において、低解像画像を、左右の眼の視野限界によって制限される両眼視野の中且つ記号を認識することができる視野の外に、投影できることが好ましい。
【0135】
さらに、具体的には、放射された光の総量を瞳の中に向けることができるので、投影スクリーン(例えば、ガラス板)の一部分のみを照明するとき、エネルギー消費が減少する。
【0136】
さらに、具体的には、コリメート光源(例えば、レーザ)と可動2Dミラー(例えば、本発明による機器)のミラー(光学素子)との間の前記焦点制御機器又は焦点調節可能(例えば、液体)レンズの位置調整は、視聴者に対して提示される虚像の距離を動的に変化させることができるように、光線の焦点合わせ及び焦点ぼかしを行うことを可能にする。
【0137】
一実施形態において、焦点制御機器又は(例えば液体)レンズが、個々のピクセルの光線のコリメーションを修正することによって虚像の焦点面を変化させるように構成されることが好ましい。光路内に、焦点制御機器(例えば、前記レンズ)を、画像プロジェクタ(例えば、走査型ミラー機器)の前又は後ろに配置できることが好ましい。その位置は、画像機器及び適用される制御アルゴリズムに依存し得る。
【0138】
本発明の好ましい実施形態により、別々の頭部装着型表示器がユーザの各々の眼に対して準備され、人の視覚システムが物体の距離を再構築することができる立体視を可能にする。
【0139】
換言すれば、本発明による装置は、それぞれ、各々の眼のための前述の構成要素を備える。しかし、投影スクリーン(例えば、ガラス板)を両眼のために使用することができる。
【0140】
人の視覚システムが画像を処理できるよりも速いフレームレートで種々異なる距離において画像を投影することは、これらの画像のオーバレイを生じ、脳は種々異なる焦点面に応じた視野の深さを有する3D画像を生成する。これは、画像プロジェクタ、及び十分に速く調節することができる焦点制御機器(例えば、調節可能レンズ)によって実現することができる。一例として、人の視覚システムは、16Hz未満の明滅に気が付く。従って、滑らかな3D体験を生成するために、調節可能(例えば、液体)レンズは例えば50Hz付近又はそれ以上で振動できることが好ましい。
【0141】
さらに別の実施形態により、視標(動き)追跡機器の他に、目蓋の動きだけでなくユーザの手のジェスチャにも反応するように構成されたジェスチャ追跡機器を備えて、目蓋及び/又はジェスチャから記録された制御命令に従う装置によって画像を投影するようにすることができる。
【0142】
本発明のさらに別の特徴及び利点並びに本発明の実施形態を、以下で図面を参照しながら説明する。