(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
薬物送達デバイス(1、101、201、301、401、501、601)で使用するための可聴インジケータ(13、113、213、313、413、513、613)であって、2つ以上の異なる形態を有する2つ以上の状態(S1、S2)にあるように構成された双安定弾性力部材(13.1、113.1、213.1、313.1、413.1、513.1、613.1)を含み、
ここで、弛緩状態(S1)では、弾性力部材(13.1、113.1、213.1、313.1、413.1、513.1、613.1)は第1の形態で弛緩しており、
付勢状態(S2)では、弾性力部材(13.1、113.1、213.1、313.1、413.1、513.1、613.1)は第1の形態とは異なる第2の形態でエネルギーを蓄えるように付勢されており、
弾性力部材(13.1、113.1、213.1、313.1、413.1、513.1、613.1)は、第2の形態から第1の形態への遷移に起因して付勢状態(S2)から弛緩状態(S1)に変化するときに、蓄えられたエネルギーを解放して可聴シグナルを生成し、ここで、弾性力部材(13.1、113.1、213.1、313.1、413.1、513.1、613.1)は、プランジャ(10、110、210、310、410、510、610)の動きによって付勢状態(S2)から変化する、前記可聴インジケータ。
プランジャ(410)に連結され、遠位ばねセクション(413.5)を支持するように適用されたカラー(418)を特徴とする、請求項8に記載の可聴インジケータ(413)。
弾性力部材(13.1、113.1、213.1、313.1、413.1、513.1、613.1)は、1つまたはそれ以上の翼形状のセクションの1つまたはそれ以上の外縁部もしくは中央領域にエネルギーを蓄えるように適用された1つまたはそれ以上の翼形状のセクションを含む板ばねを含み、
弾性力部材(13.1、113.1、213.1、313.1、413.1、513.1、613.1)が第1の形態に達するまで1つまたはそれ以上の翼形状のセクションが特定の角度周りに旋回したとき、弾性力部材(13.1、113.1、213.1、313.1、413.1、513.1、613.1)が付勢状態(S2)から弛緩状態(S1)に変化することを特徴とする、薬剤送達の完了を示すように適用された、請求項1〜14のいずれか1項に記載の可聴インジケータ(13、113、213、313、413、513、613)。
薬物送達デバイス(1、101、201、301、401、501、601)であって、請求項1〜15のいずれか1項に記載の可聴インジケータ(13、113、213、313、413、513、613)を含む前記薬物送達デバイス。
【発明を実施するための形態】
【0029】
対応する部分には、すべての図において同じ参照符号が付される。
【0030】
本明細書では、「遠位セクション/端部」という用語が使用されるとき、これは、デバイスの使用中に患者の薬剤送達部位の最も近くに位置するデバイスのセクション/端部、またはその構成要素のセクション/端部を指す。それに対応して、「近位セクション/端部」という用語が使用されるとき、これは、デバイスの使用中に患者の薬剤送達部位から離れる方を向くデバイスのセクション/端部、またはその構成要素のセクション/端部を指す。
【0031】
図1〜
図6は、以下でさらに記述される薬物送達デバイス1の例示的な実施形態の可聴インジケータ13の第1の実施形態をそれぞれ示す。
図1は、自動注射器として構成された薬物送達デバイス1の例示的な実施形態の概略的な斜視部分断面図である。
【0032】
示される例示的な実施形態では、薬物送達デバイス1は、前方ケース2.1および後方ケース2.2を有するケース2を含む。ケース2は、シリンジなどの薬剤容器3を保持するように適用される(薬剤容器は、以後「シリンジ3」と呼ばれる)。シリンジ3は、薬剤Mが入っている、シリンジ3の遠位端に配置された針4を有する充填済みシリンジ、特に1.0ml充填済みシリンジとすることができる。別の例示的な実施形態では、薬剤容器3は、薬剤Mを含み、取り外し可能な針と(たとえばねじ、スナップ、摩擦などによって)係合するカートリッジであってもよい。
【0033】
薬物送達デバイス1は、針4に連結された保護ニードルシース5をさらに含む。たとえば、保護ニードルシース5は、針4に取り外し可能に連結される。保護ニードルシース5は、ゴムのニードルシースであってもよく、ゴムと、全体的にまたは部分的にプラスチックのシェルとから成る剛性のニードルシースであってもよい。
【0034】
近位においてシリンジ3を封止するため、およびシリンジ3に入っている薬剤Mを針4を通して変位させるために、ストッパ6が設けられ、シリンジ3内に配置されている。
【0035】
示される実施形態では、薬物送達デバイス1はニードルシュラウド7を含み、ニードルシュラウド7は、ケース2に入れ子式に連結され、針4が覆われる、ケース2に対する第1の伸張位置と、針4が露出される、ケース2に対する後退位置との間で移動可能である。さらに、ケース2に対してニードルシュラウド7を遠位方向に付勢するためのシュラウドばね8が配置される。
【0036】
さらに駆動ばね9が、ケース2内に配置される。さらにプランジャ10は、駆動ばね9の力をストッパ6に送るように機能する。プランジャ10は中空であってもよく、ここで駆動ばね9は、プランジャ10をケース2に対して遠位方向に付勢した状態でプランジャ10内に配置される。別の例示的な実施形態では、プランジャ10は中実であってもよく、駆動ばね9は、プランジャ10の近位端に係合していてもよい。示される例示的な実施形態では、駆動ばね9は、プランジャ10の外径の周りに巻かれており、シリンジ3内に延在している。プランジャ10は、異なる直径を有するように構成された近位プランジャセクション10.1と遠位プランジャセクション10.2とを含んでもよく、ここで近位プランジャセクション10.1の直径は、遠位プランジャセクション10.2の直径よりも大きい(
図1、
図4、および
図6には詳細に示されていない)。
【0037】
さらに薬物送達デバイス1は、ケース2の遠位端に、特に前方ケース2.1の遠位端に取り外し可能に配設することができるキャップ11を含む。キャップ11は、たとえばキャップ11をねじっておよび/または引いてケース2から外すことによって、キャップ11の取り外しを容易にするためのグリップ機能11.1を含んでもよい。キャップ11は、保護ニードルシース5、ケース2、および/またはニードルシュラウド7に係合するように配置されたグリップ要素11.2、たとえばバーブ、フック、狭窄セクションなどをさらに含んでもよい。
【0038】
示される例示的な実施形態では、ニードルシュラウド7がケース2に対して後退する前にプランジャ10が解放されるのを防止するため、およびニードルシュラウド7が十分に後退したときプランジャ10を解放するためのプランジャ解放機構12が配置されている。
【0039】
さらに、キャップ11が定位置にあるときに、ケース2に対してニードルシュラウド7が後退することを防止し、それにより薬物送達デバイス1の予期せぬ作動、たとえば落とした場合、輸送中または梱包中などの作動を回避するためのシュラウドロック機構14が配置されている。シュラウドロック機構14は、キャップ11上の1つまたはそれ以上のコンプライアントビーム(compliant beam)11.3、およびコンプライアントビーム11.3のそれぞれを受けるように適用された、ニードルシュラウド7にある対応する数のアパーチャ7.6を含んでもよい。
【0040】
キャップ11が薬物送達デバイス1に取り付けられると、コンプライアントビーム11.3は、ケース2の径方向止め具2.15に当接し、それによりコンプライアントビーム11.3がアパーチャ7.6から係合解除することが防止される。さらに、キャップ11が薬物送達デバイス1に取り付けられると、ケース2に対するキャップ11の軸方向近位への動きが、ケース2に当接するキャップ11上のリブ11.4によって制限される。
【0041】
キャップ11がケース2から遠位方向に引き抜かれると、コンプライアントビーム11.3はアパーチャ7.6の縁部に当接してもよく、アパーチャ7.6から係合解除するようにたわみ、キャップ11、およびそれに取り付けられた保護ニードルシース5の取り外しを可能にする。例示的な実施形態では、コンプライアントビーム11.3および/またはアパーチャ7.6は、アパーチャ7.6からコンプライアントビーム11.3を係合解除するのに必要な力を低減させるために傾斜していてもよい。
【0042】
薬物送達デバイス1は、薬剤の送達が完了したことを示す可聴フィードバックを、使用者または患者に対して生成するための、第1の実施形態による可聴インジケータ13をさらに含む。言い換えれば:可聴インジケータ13は、薬剤Mの全用量が使い尽くされたことを使用者または患者に示すために提供される。
【0043】
以下の
図2〜
図6では、第1の実施形態による可聴インジケータ13が、より詳細に説明される。
【0044】
図2および
図3は、第1の実施形態による可聴インジケータ13の概略斜視図であり、ここで
図2は、組立前状態の可聴インジケータ13を示し、
図3は準備完了状態にある可聴インジケータ13を示す。
【0045】
可聴インジケータ13は、たとえば実質的に矩形の形状を有する弾性力部材13.1を含み、弾性力部材13.1は、弾性力部材13.1の外周の最長側部に平行に通る長手方向軸Lを含む。他の実施形態では、弾性力部材13.1は、三角形状、または可聴インジケータ13を自動注射器1に連結するのに適した任意の他の幾何学的形状を有してもよい。
【0046】
弾性力部材13.1は、弾性材料、たとえばばね鋼、またはプラスチックばね(spring plastic)を含む単安定板ばねとして設計されてもよい。したがって、弾性力部材13.1は、2つの状態にあることができる。すなわち弾性力部材13.1は、2つの異なる形態をとることができ、そのうちの一方は外部からかかる力が制限されているまたは全く力がかからない状態で安定しており、他方は不安定である。たとえば、これら2つの状態は、弾性力部材13.1が第1の形態を有する第1の状態または弛緩状態S1(または組立前状態、またはトリガ状態)を含むことができる。第2の状態または付勢状態2(または準備完了状態)では、弾性力部材13.1は、第2の形態を有することができる。
図2では、弾性力部材13.1は、組立前状態、および薬剤の送達が終わった状態に対応し得る弛緩状態S1にある。
【0047】
第1の実施形態に関して、弾性力部材13.1は長手方向曲げ部13.2を含む。長手方向曲げ部13.2は、弾性力部材13.1の概して中央に、長手方向軸Lに平行に通るように配置することができる。長手方向曲げ部13.2は、可聴インジケータ13を、互いに対して180度未満の角度で傾斜した2つの翼形状のセクションに分割することができる。示される
図2の斜視図では、翼形状のセクションは、下向きに傾斜している。
【0048】
さらに、弾性力部材13.1は、外周から径方向に突出した1つまたはそれ以上のタブ13.3を含むことができる。具体的には、弾性力部材13.1は、1つ、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上のタブ13.3を含むことができる。
図2および
図3に示されるように、弾性力部材13.1は、4つのタブ13.3を含み、ここで1対のタブ13.3が、別の1対のタブ13.3の反対側に配置される。別の実施形態(図示せず)では、弾性力部材13.1は、概して互いに反対に位置する2つのタブ13.3を含むことができる。タブ13.3の対は、長手方向軸Lの方向に互いに離間して配置される。別の例示的な実施形態では、タブ13.3の数および配置は、示される例示的な実施形態とは異なってもよい。例示的な実施形態では、タブ13.3は、薬物送達デバイス1の組立てを容易にするために、翼形状のセクションに対して傾斜していてもよい。
【0049】
可聴インジケータ13は、
図1に示されるようにケース2に連結される。特に、弾性力部材13.1は、長手方向軸Lが、薬物送達デバイス1の長手方向の伸張と平行になるように、後方ケース2.2に保持される。可聴インジケータ13は、スナップ連結によって薬物送達デバイス1に連結されており、ここでタブ13.3の1つまたはそれ以上が、後方ケース2.2の複数の対応する開口部(図示せず)内に係合される。別の例示的な実施形態では、弾性力部材13.1は、ねじもしくはリベット連結、または締まり嵌めなどの摩擦連結によって後方ケース2.2に保持される。
【0050】
可聴インジケータ13を薬物送達デバイス1に組み付けるために、弾性力部材13.1は、長手方向軸Lに垂直に通る軸A周りに中央で曲げられる。曲げ角度は90度未満である。この曲げは、タブ13.3を後方ケース2.2の開口部内に係合させるときに、弾性力部材13.1の中心点にまたはその近くに所定の力を加えることによって実現される。その結果、弾性力部材13.1は、弛緩状態S1から付勢状態S2に変化する。長手方向軸Lに沿った両側の端部にある弾性力部材13.1の2つの端部13.1.1、13.1.2は、付勢状態S2を示している
図3の示される斜視図における中心点から上向きに傾斜している。したがって、付勢状態S2は準備完了状態に対応し、ここで弾性力部材13.1は、一定量のエネルギーを蓄える。
【0051】
加えられた力が取り除かれた後で、弾性力部材13.1は、
図4に示され以下で記述されるように、付勢状態S2に保持される。
【0052】
図4は、薬物送達デバイス1の駆動サブアセンブリ1.1の例示的な実施形態の長手方向断面図を示す。
【0053】
駆動サブアセンブリ1.1は、薬物送達デバイス1のサブアセンブリであり、薬剤Mを送達するのに必要な構成要素を含む。駆動サブアセンブリ1.1は、後方ケース2.2、プランジャ10、および第1の実施形態による可聴インジケータ13を含む。薬物送達デバイス1は、サブアセンブリの製造および最終的なシリンジ3との組付けの時間ならびに場所に関して柔軟性を持たせることを可能にするために、前方サブアセンブリ(別個には示さず)をさらに含む。
【0054】
本実施形態によれば、後方ケース2.2は、保管、移送、および薬剤送達中に、シリンジ3の軸方向の位置を支持するように適用された2つの支持アーム15.1を含む。支持アーム15.1は、後方ケース2.2の遠位端から遠位方向に突出している。後方ケース2.2は、同じく後方ケース2.2の遠位端から遠位方向に突出している付加的な可撓性アーム15.2をさらに含む。可撓性アーム15.2は衝撃力を弱め、したがって保管、移送、および薬剤送達中に、弾性力部材13.1をその付勢状態S2で安定させるように適用される。
【0055】
弾性力部材13.1は付勢状態S2にあり、上述したようにスナップ連結によって後方ケース2.2に保持される。弾性力部材13.1の遠位方向を向く端部13.1.1は、可撓性アーム15.2の遠位端に配置された可撓性アーム15.2の突起15.2.1によって支持される。弾性力部材13.1の近位方向を向く端部13.1.2は自由であり、いかなる他の構成要素にも接触せず、可撓性アーム15.2または後方ケース2.2の別のセクションの上に位置する。例示的な実施形態では、後方ケース2.2は、後方ケース2.2の近位端の周囲周りに配置された複数の可撓性アーム15.2を含んでもよい。
【0056】
さらに可撓性アーム15.2は、
図4に示されるように、プランジャ10の外周によって支持されて外向きにたわんでいる。
【0057】
前に記述したように弛緩状態S1から付勢状態S2に変化した後には、弾性力部材13.1を付勢状態S2に保持するのに必要な力は、ほんのわずかである。これは、弛緩状態S1から付勢状態S2への変化により座屈して新しい構成になった弾性力部材13.1の曲がった断面を提供する長手方向曲げ部13.2によって実現される。この構成では、材料構造の剛性が著しく低減し、したがって弾性力部材13.1を付勢状態S2に維持するために必要な保持力が、ほんのわずかになる。
図5は、弾性力部材13.1の力−曲げ曲線Cを有する図を示す。
【0058】
図は、横座標xおよび縦座標yを含む。横座標xは曲げたわみを表し、縦座標yは、このたわみを実現するために必要な力を表す。力の最大値は、座標x1,y2によって表される。たわみおよび力がゼロである弛緩状態S1から開始し、この最大値に到達するまでは、力を取り除くと、弾性力部材13.1は弛緩状態S1に戻る。座標x1,y2における最大値は、弾性力部材13.1が弛緩状態S1から付勢状態S2に変化するための平衡点を表し、すなわち、さらに力を加えなくてもたわみがさらに増し、その結果、曲線は座標x2,y1に至る。この点では、弾性力部材13.1を付勢状態S2に保持するには、最大値よりもはるかに低い力で十分である。したがって、保持力を低く維持しながら、付勢状態S2にある弾性力部材13.1に大量のエネルギーを蓄えることができる。
【0059】
付勢状態S2の低い保持力は、プランジャ10上でわずかな摩擦抵抗を生じ、薬剤送達中に駆動ばね9の少量のエネルギーを逸らすことがあり、ここでプランジャ10は、駆動ばね9のエネルギーの解放によって遠位方向に移動する。しかし、保持力が低いことから、逸れたエネルギーは低い。
【0060】
図6は、第1の実施形態による可聴インジケータ13を含む薬物送達デバイス1の駆動サブアセンブリ1.1の長手方向断面図を示す。
【0061】
弾性力部材13.1は弛緩状態S1にあり、ここで薬物送達デバイス1は、薬剤送達工程の終わりの状態にある。
【0062】
注射部位、たとえば患者の肌に、針4を通して薬剤Mを送達するために、プランジャ10は、駆動ばね9の作動によって、近位位置から遠位位置まで遠位方向に移動する。駆動ばね9の作動は、ボタンを押すこと、またはニードルシュラウド7が注射部位に押し当てられたときに、ニードルシュラウド7を押し下げることによって、開始することができる。
【0063】
図6では、プランジャ10は遠位位置に到達しており、ここで可撓性アーム15.2はもはやプランジャ10と係合していない。プランジャ10の近位端が、可撓性アーム15.2の遠位端を通過したとき、可撓性アーム15.2は弛緩することができ、したがって、弾性力部材13.1の遠位方向を向く端部13.1.1によって駆動され径方向内向きに移動することができる。弾性力部材13.1の遠位方向を向く端部13.1.1が移動するとき、弾性力部材13.1は、概して付勢状態S2から概して弛緩状態S1に遷移することができ、蓄えられたエネルギーを解放して、第2の形態から第1の形態への遷移に起因したカチッという音などの可聴シグナルを生成する。蓄えられたエネルギーが大量であることから、可聴シグナルは、たとえば最大100デシベルの高強度で生成される。より低い強度のシグナルを生成することもできる。弾性力部材13.1の近位方向を向く端部13.1.2も、径方向内向きに動いて、それにより可撓性アーム15.2、またはケース2、または薬物送達デバイス1の別の構成要素を打つことができる。この衝撃も、可聴シグナルの生成に寄与し得る。
【0064】
可聴シグナルを認識した使用者または患者には、薬剤送達工程が終了し、全用量が使い切られたことがわかる。
【0065】
薬物送達デバイス1は、組立工程中およびその後にシリンジ3の正確な支持を可能にするためのキャリア16をさらに含む。このキャリア16は、シリンジ3をケース2内に組み付け、配置し、保持するように適用される。
【0066】
図7〜
図11は、それぞれ第2の実施形態による可聴インジケータ113を示す。
【0067】
図7は、第2の実施形態による可聴インジケータ113を含む薬物送達デバイス101の例示的な実施形態の概略的な斜視部分断面図を示す。
【0068】
薬物送達デバイス101は、
図1の記述とほぼ同様の自動注射器として構成される。
【0069】
後方ケース102.2および可聴インジケータ113を除き、薬物送達デバイス101の全構成要素は、
図1〜
図6で上述した構成と同じ構成を有する。第2の実施形態による可聴インジケータ113は、
図8でより詳細に記述される。後方ケース102.2は、
図9でより詳細に記述される。
【0070】
図8は、第2の実施形態による可聴インジケータ113の斜視図である。
【0071】
可聴インジケータ113は、弾性材料、たとえばばね鋼またはプラスチックばねを含む双安定板ばねとして構成される弾性力部材113.1を含む。したがって、弾性力部材113.1は、2つの状態にあることができる。すなわち、弾性力部材113.1は、外部からかかる力が制限されているまたは全く力がかからない状態で、2つの異なる安定な形態をとることができる。たとえば、これらの2つの状態は、弾性力部材113.1が第1の態様を有する第1の状態または弛緩状態S1(または組立前状態、またはトリガ状態)を含むことができる。第2の状態または付勢状態S2(または準備完了状態)では、弾性力部材113.1は、第2の形態を有することができる。弾性力部材113.1は、実質的に矩形の形状、および弾性力部材113.1の外周の最長側部に平行に通る長手方向軸L100を含んでもよい。
【0072】
弾性力部材113.1は、長手方向軸L100に平行に通る、弾性力部材113.1の中央に配置された長手方向曲げ部113.2をさらに含む。長手方向曲げ部113.2は、可聴インジケータ113を、互いに対して180度未満の角度で傾斜した2つの翼形状のセクションに分割することができる。
図8の示される斜視図では、翼形状のセクションは上向きに傾斜している。
【0073】
弾性力部材113.1は、長手方向軸L100に垂直であり得る軸A100に平行に通る交差曲げ部113.5によって分割される近位ばねセクション113.3と遠位ばねセクション113.4とを含む。
【0074】
本実施形態によれば、長手方向軸L100に対して、近位ばねセクション113.3は、遠位ばねセクション113.4よりも長い。代替的な実施形態では、近位ばねセクション113.3は、遠位ばねセクション113.4より短くてもよく、または同じ長さを有してもよい。
【0075】
弾性力部材113.1は、以下の
図9に示されるように、後方ケース102.2に連結されている。
【0076】
図9は、薬物送達デバイス101の駆動サブアセンブリ101.1の例示的な実施形態の概略斜視図を示す。
【0077】
後方ケース102.2は、
図4において記述された支持アームと同様の2つの支持アーム115.1を含む。
【0078】
本実施形態によれば、支持アーム115.1は、可聴インジケータ113の組立状態において、長手方向軸L100に対して異なる長さを有するように構成される。特に、弾性力部材113.1を担持する支持アーム115.1は、弾性力部材113.1を配置するための空間を作るために、他方の支持アーム115.1よりも短い。弾性力部材113.1は、ポジティブフィット(positive fit)連結によって支持アーム115.1に連結することができる。たとえば、近位ばねセクション113.3は、支持アーム115.1の内側に配置された案内凹部内に受けられ、たとえばスナップ連結によって、溶接、接着によって、または摩擦嵌めによって固定され、ここで近位ばねセクション113.3の残りのセクション、および遠位ばねセクション113.4は、支持アーム115.1から遠位方向に突出している。
【0079】
示される弾性力部材113.1は付勢状態S2にあり、ここで遠位ばねセクション113.4は、近位ばねセクション113.3に対してプランジャ110の外周の方に向けられている。
【0080】
遠位プランジャセクション110.2の直径が(
図1に示されるプランジャ10と同様に)小さくなっていることから、遠位ばねセクション113.4は、遠位プランジャセクション110.2の外周から径方向に離間している。さらに、遠位ばねセクション113.4は、
図10からわかるように、薬物送達デバイス101のいかなる構成要素によっても支持されていない。
【0081】
図10は、付勢状態S2にある第2の実施形態による可聴インジケータ113を含む薬物送達デバイス101の近位部分の概略長手方向断面図を示し、ここで弾性力部材113.1は、一定量のエネルギーを蓄えている。プランジャ110は、近位位置にある。したがって、薬物送達デバイス101は、薬剤送達工程を開始する用意ができている。
【0082】
注射部位に針104を通して薬剤Mを送達するために、プランジャ110は、上述した駆動ばね109を作動させることによって、近位位置から
図11に示される遠位位置に遠位方向に移動されなくてはならない。
【0083】
図11は、プランジャ110が遠位位置にあり、可聴インジケータ113が弛緩状態S1にある薬物送達デバイス101の近位部分の概略長手方向断面図を示す。
【0084】
薬剤送達の終わりに、近位プランジャセクション110.1は、遠位ばねセクション113.4に当接する。当接することによって、弾性力部材113.1に影響を及ぼす力が生成され、それにより遠位ばねセクション113.4が径方向外向きにたわむ。その結果、弾性力部材113.1、特に遠位ばねセクション113.4がエネルギーを解放し、したがって概して付勢状態S2から概して弛緩状態S1に遷移することができ、それにより、認識することのできる可聴シグナルを生成する。
【0085】
図12〜
図16は、それぞれ第3の実施形態による可聴インジケータ213を示す。
【0086】
図12は、第3の実施形態による可聴インジケータ213を含む薬物送達デバイス201の例示的な実施形態の概略的な斜視部分断面図を示す。
【0087】
薬物送達デバイス201は、
図1に記述された自動注射器と同様の自動注射器として構成される。
【0088】
後方ケース202.2および可聴インジケータ213を除き、薬物送達デバイス201の全構成要素は、
図1〜
図6で上述した構成と同じ構成を有してもよい。第3の実施形態による可聴インジケータ213は、
図13でより詳細に記述される。後方ケース202.2は、
図14でより詳細に記述される。
【0089】
図13は、第3の実施形態による可聴インジケータ213の斜視図である。
【0090】
可聴インジケータ213は、弾性材料、たとえばばね鋼またはプラスチックばねを含む双安定板ばねとして構成される弾性力部材213.1を含む。したがって、弾性力部材213.1は、2つの状態にあることができる。すなわち、弾性力部材213.1は、外部からかかる力が制限されているまたは全く力がかからない状態で、2つの異なる安定な形態をとることができる。たとえば、これらの2つの状態は、弾性力部材213.1が第1の形態を有する第1の状態または弛緩状態S1(または組立前状態、またはトリガ状態)を含むことができる。第2の状態または付勢状態S2(または準備完了状態)では、弾性力部材213.1は、第2の形態を有することができる。弾性力部材213.1は、実質的に矩形の形状、および弾性力部材213.1の外周の最長側部に平行に通る長手方向軸L200を含んでもよい。
【0091】
弾性力部材213.1は、長手方向軸L200に平行に通る、弾性力部材213.1の概して中央に配置することができる長手方向曲げ部213.2をさらに含む。長手方向曲げ部213.2は、弾性力部材213.1を、互いに対して180度未満の角度で傾斜した2つの翼形状のセクションに分割する。
図13の示される斜視図では、翼形状のセクションは上向きに傾斜している。
【0092】
弾性力部材213.1は、以下の
図14に示され記述されるように、後方ケース202.2に連結されている。
【0093】
図14は、薬物送達デバイス201の駆動サブアセンブリ201.1の例示的な実施形態の概略斜視図を示す。
【0094】
後方ケース202.2は、
図4に示された支持アームとほぼ同様の2つの支持アーム215.1を含む。
【0095】
本実施形態によれば、支持アーム215.1は、可聴インジケータ213の組立状態において長手方向軸L200に対して同じ長さを有する。支持アーム215.1は、それぞれ長手方向凹部215.1.1を含み、ここで弾性力部材213.1は、支持アーム215.1のうちの1つの支持アーム215.1の長手方向凹部215.1.1内に配置される。したがって、弾性力部材213.1の回転を防止するために、弾性力部材213.1は、ポジティブ連結、たとえばスナップ連結によって、支持アーム215.1に近位方向で固定される。
【0096】
弾性力部材213.1の翼形状のセクションは、プランジャ210から離れるように上向きに曲がっている。
【0097】
可聴インジケータ213を薬物送達デバイス201に組み付けるために、弾性力部材213.1は、よじれ先端(kink tip)213.3が生成されるまで軸A200周りに中央でさらに曲げられ、弾性力部材213.1は、概して弛緩状態S1から
図15に示される概して付勢状態S2に遷移することができ、ここでよじれ先端213.3は、プランジャ210の外周の方を向いている。この曲げは、弾性力部材213.1の中心点に所定の力を加えることによって実現することができる。同様に、この曲げは、弾性力部材213.1の近位端をよじれ点の近くで支持し、所定の力、たとえば20Nを、弾性力部材213.1の遠位端に加えることによって実現することができる。よじれ先端213.3は、長手方向曲げ部213.2の角度および曲げ半径が十分に小さく、よじれ先端213.3を生成するときに、十分に小さい曲げ半径および十分に大きいたわみが加えられた場合にのみ、実現することができる。
【0098】
図15は、付勢状態S2にある第3の実施形態による可聴インジケータ213を含む駆動サブアセンブリ201.1の概略長手方向断面図を示し、ここで弾性力部材213.1は、一定量のエネルギーを蓄えている。プランジャ210は、近位位置にあり、よじれ先端213.3は、プランジャ210の外周によって支持されている。薬物送達デバイス201は、薬剤送達工程を開始する用意ができている。
【0099】
注射部位に薬剤Mを送達するために、プランジャ210は、近位位置から
図16に示される遠位位置に遠位方向に移動されなくてはならない。
【0100】
薬剤送達の終わりに、プランジャ210が、よじれ先端213.3を遠位方向に通過したとき、遠位プランジャセクション210.2に対して大きい直径を有する近位プランジャセクション210.1、よじれ先端213.3は、弾性力部材213.1に影響を及ぼす力を生成し、それによりよじれ先端213.3が、
図16に示されるように径方向外向きにたわむ。
【0101】
図16は、プランジャ210が遠位位置にあり、可聴インジケータ213が弛緩状態S1にある駆動サブアセンブリ201.1の概略長手方向断面図を示す。
【0102】
よじれ先端213.3のたわみに起因して、弾性力部材213.1からエネルギーが解放され、それにより弾性力部材213.1は長手方向軸L200に対して真っ直ぐになる。蓄えたエネルギーを解放することによって、弾性力部材213.1は、概して付勢状態S2から概して弛緩状態S1に遷移することができ、それにより、認識することのできる可聴シグナルを生成する。
【0103】
図17〜
図22は、それぞれ第4の実施形態による可聴インジケータ313を示す。
【0104】
図17は、第4の実施形態による可聴インジケータ313を含む薬物送達デバイス301の例示的な実施形態の概略的な斜視部分断面図を示す。
【0105】
薬物送達デバイス301は、
図1に記述された自動注射器と同様の自動注射器として構成される。
【0106】
後方ケース302.2および可聴インジケータ313を除き、薬物送達デバイス301の全構成要素は、
図1〜
図6で上述した構成と同じ構成を有している。第4の実施形態による可聴インジケータ313は、
図18でより詳細に記述される。後方ケース302.2は、
図19でより詳細に記述される。
【0107】
図18は、第4の実施形態による可聴インジケータ313の斜視図である。
【0108】
可聴インジケータ313は、弾性材料、たとえばばね鋼またはプラスチックばねを含む双安定板ばねとして構成される弾性力部材313.1を含む。したがって、弾性力部材313.1は、2つの状態にあることができる。すなわち、弾性力部材313.1は、外部からかかる力が制限されているまたは全く力がかからない状態で、2つの異なる安定な形態をとることができる。たとえば、これらの2つの状態は、弾性力部材313.1が第1の形態を有する第1の状態または弛緩状態S1(または組立前状態、またはトリガ状態)を含むことができる。第2の状態または付勢状態S2(または準備完了状態)では、弾性力部材313.1は、第2の形態を有することができる。弾性力部材313.1は、実質的に矩形の形状、および弾性力部材313.1の外周の最長側部に平行に通る長手方向軸L300を含んでもよい。
【0109】
弾性力部材313.1は、長手方向軸L300に平行に通る、弾性力部材313.1の概して中央に配置することができる長手方向曲げ部313.2をさらに含む。長手方向曲げ部313.2は、弾性力部材313.1を、互いに対して180度未満の角度で傾斜した2つの翼形状のセクションに分割することができる。
【0110】
弾性力部材313.1は、長手方向軸L300に垂直であってもよい軸A300に対しそれぞれ平行に通る第1の交差曲げ部313.6および第2の交差曲げ部313.7があることによって、近位ばねセクション313.3と、中間ばねセクション313.4と、遠位ばねセクション313.5とに、さらに分割することができる。
【0111】
それに加えて、遠位ばねセクション313.5は、遠位ばねセクション313.5の遠位端に配置された、遠位ばねセクション313.5の近位端に向かって斜めに突出しているフック上の突起313.5.1を含む。
【0112】
弾性力部材313.1は、
図19に示されるように後方ケース302.2に連結されている。
【0113】
図19は、後方ケース302.2、プランジャ310、および第4の実施形態による可聴インジケータ313を含む薬物送達デバイス301の駆動サブアセンブリ301.1の概略斜視図を示す。
【0114】
後方ケース302.2は、
図4において記述された支持アームとほぼ同様の2つの支持アーム315.1を含む。
【0115】
本実施形態によれば、支持アーム315.1は、可聴インジケータ313の組立状態において長手方向軸L300に対して同じ長さを有する。あるいは、弾性力部材313.1に連結されていない支持アーム315.1は、任意の長さにすることができる。支持アーム315.1は、それぞれ案内凹部315.1.1を含み、ここで弾性力部材313.1は、支持アーム315.1のうちの1つの支持アーム315.1の案内凹部315.1.1内に受けられる。特に、近位ばねセクション313.3は、案内凹部315.1.1内に配置され、案内凹部315.1.1は、弾性力部材313.1のポジティブロックのための案内トラックを含んでもよい。案内凹部315.1.1内への近位ばねセクション313.3の配置は、近位ばねセクション313.3の上で径方向に案内凹部315.1.1の断面を小さくする2つのロックタブ315.1.2によって支持される。
【0116】
中間ばねセクション313.4および遠位ばねセクション313.5は、支持アーム315.1から遠位方向に突出しており、ここで中間ばねセクション313.4は、近位ばねセクション313.3に対して径方向外向きに傾斜しており、これは
図20において最も明確に示されている。遠位ばねセクション313.5は、中間ばねセクション313.4に対して径方向内向きに傾斜しており、したがって
図20に示されるようにプランジャ310に向かって曲がっている。遠位ばねセクション313.5を径方向内向きに曲げることによって、弾性力部材313.1は、弛緩状態S1から付勢状態S2に遷移し、それによりエネルギーを蓄えることができる。
【0117】
図20は、付勢状態S2にある第4の実施形態による可聴インジケータ313を含む薬物送達デバイス301の近位部分の概略長手方向断面図を示し、ここで薬物送達デバイス301は、薬剤送達前の初期状態にある。
【0118】
弾性力部材313.1は、ニードルシュラウド307の内周内に配置された支持リブ307.7によって支持される。特に、フック状の突起313.5.1が、支持リブ307.7に当接している。したがって、フック状の突起313.5.1と支持リブ307.7との係合によって、保管および輸送中の弾性力部材313.1の早すぎる作動が防止される。あるいは、2つ以上の支持リブ307.7を配置してもよい。
【0119】
図21は、付勢状態S2にある第4の実施形態による可聴インジケータ313を含む薬物送達デバイス301の近位部分の概略長手方向断面図を示し、ここで薬物送達デバイス301は、準備完了状態にある。
【0120】
これによって、薬物送達デバイス301は薬剤送達の準備ができ、したがって使用する用意ができる。準備中にニードルシュラウド307は、ケース302内に近位方向に移動され、したがって支持リブ307.7が、フック状の突起313.5.1の後ろに近位方向に移動し、これによって、遠位ばねセクション313.5が、
図22に示されるように径方向外向きにたわむための空間ができる。プランジャ310は近位位置にあり、薬物送達デバイス301は、薬剤送達を開始する用意ができている。
【0121】
注射部位に薬剤Mを送達するために、プランジャ310は、近位位置から
図22に示される遠位位置に遠位方向に移動されなくてはならない。
【0122】
図22は、薬剤送達の後、可聴インジケータ313が弛緩状態S1にある薬物送達デバイス301の近位部分の概略長手方向断面図を示す。
【0123】
薬剤送達の終わりに、近位プランジャセクション310.1は、遠位ばねセクション313.5に当接する。当接することによって、弾性力部材313.1に影響を及ぼす力が生成され、それにより遠位ばねセクション313.5が径方向外向きにたわむ。
【0124】
遠位ばねセクション313.5がたわむことによって、弾性力部材313.1からエネルギーが解放される。蓄えられたエネルギーを解放することによって、弾性力部材313.1は、概して付勢状態S2から概して弛緩状態S1に遷移することができ、それにより、認識することのできる可聴シグナルを生成する。
【0125】
図23〜
図30は、それぞれ第5の実施形態による可聴インジケータ413を示す。
【0126】
図23は、第5の実施形態による可聴インジケータ413を含む薬物送達デバイス401の例示的な実施形態の概略的な斜視部分断面図である。
【0127】
薬物送達デバイス401は、
図1に記述された自動注射器と同様の自動注射器として構成される。
【0128】
後方ケース402.2および可聴インジケータ413を除き、薬物送達デバイス401の全構成要素は、
図1〜
図6で上述した構成と実質的に同じ構成を有している。第5の実施形態による可聴インジケータ413は、
図24でより詳細に記述される。後方ケース402.2は、
図26でより詳細に記述される。
【0129】
図24は、第5の実施形態による可聴インジケータ413の斜視図である。
【0130】
可聴インジケータ413は、弾性材料、たとえばばね鋼またはプラスチックばねを含む双安定板ばねとして構成される弾性力部材413.1を含む。したがって、弾性力部材413.1は、2つの状態にあることができる。すなわち、弾性力部材413.1は、外部からかかる力が制限されているまたは全く力がかからない状態で、2つの異なる安定な形態をとることができる。たとえば、これらの2つの状態は、弾性力部材413.1が第1の形態を有する第1の状態または弛緩状態S1(または組立前状態、またはトリガ状態)を含むことができる。第2の状態または付勢状態S2(または準備完了状態)では、弾性力部材413.1は、第2の形態を有することができる。弾性力部材413.1は、実質的に矩形の形状、および弾性力部材413.1の外周の最長側部に平行に通る長手方向軸L400を含んでもよい。
【0131】
弾性力部材413.1は、長手方向軸L400に平行に通る、弾性力部材413.1の概して中央に配置することができる長手方向曲げ部413.2をさらに含む。長手方向曲げ部413.2は、弾性力部材413.1を、互いに対して180度未満の角度で傾斜した2つの翼形状のセクションに分割することができる。
【0132】
弾性力部材413.1は、長手方向軸L400に垂直であり得る軸A400に対しそれぞれ平行に通る第1の交差曲げ部413.6および第2の交差曲げ部413.7があることによって、近位ばねセクション413.3と、中間ばねセクション413.4と、遠位ばねセクション413.5とに、さらに分割することができる。
【0133】
図24によれば、弾性力部材413.1は付勢状態S2にあり、ここで遠位ばねセクション413.5は、中間ばねセクション413.4に対して、第2の交差曲げ部413.7にわたって径方向内向きに曲がっている。
【0134】
弾性力部材413.1は、
図26に示されるように、後方ケース402.2に連結されている。
【0135】
図25は、
図26に示されるように駆動サブアセンブリ401.1に組み付けられるカラー418の概略斜視図を示す。
【0136】
カラー418は、カラー418の外周に配置された、斜めに傾斜した面として構成されるカラー傾斜部418.1を含む。
【0137】
図26は、後方ケース402.2、プランジャ410、第5の実施形態による可聴インジケータ413、およびカラー418を含む薬物送達デバイス401の駆動サブアセンブリ401.1の概略斜視図を示す。
【0138】
後方ケース402.2は、
図4に記述された支持アームと同様の2つの支持アーム415.1を含む。
【0139】
本実施形態によれば、支持アーム415.1は、可聴インジケータ413の組立状態において長手方向軸L400に対して同じ長さを有する。弾性力部材413.1を受けるために、支持アーム415.1間に固定要素415.2が配置されている。
【0140】
中間ばねセクション413.4および遠位ばねセクション413.5は、固定要素415.2から遠位方向に突出しており、ここで中間ばねセクション413.4は、近位ばねセクション413.3に対して径方向内向きに傾斜している。遠位ばねセクション413.5は、中間ばねセクション413.4に対して径方向外向きに傾斜しており、したがって
図27に示されるようにプランジャ410から離れるように曲がっている。遠位ばねセクション413.5を径方向外向きに曲げることによって、弾性力部材413.1は、概して弛緩状態S1から概して付勢状態S2に遷移し、それによりエネルギーを蓄えることができる。
【0141】
弾性力部材413.1、特に曲がった遠位ばねセクション413.5は、たとえばねじ連結によって遠位プランジャセクション410.2に遠位方向に連結されるカラー418の外周によって支持される。したがって、遠位ばねセクション413.5とカラー418の係合によって、保管および輸送中の弾性力部材413.1の早すぎる作動が防止される。
【0142】
図27は、付勢状態S2にある第5の実施形態による可聴インジケータ413を含む薬物送達デバイス401の近位部分の概略長手方向断面図を示し、ここで薬物送達デバイス401は、薬剤送達前の初期状態にある。
【0143】
カラー418は、
図28に示されるように、複数のロックリブ407.8によって回転を防止される。
【0144】
図28は、カラー418および複数のロックリブ407.8を示す、
図27による薬物送達デバイス401の概略的な長手方向詳細断面図である。
【0145】
示される実施形態によれば、ニードルシュラウド407の内周に配置された2つのロックリブ407.8を含むニードルシュラウド407が配置されている。あるいは、ロックリブ407.8は1つのみ配置されてもよく、または3つ以上配置されてもよい。
【0146】
ロックリブ407.8は、薬物送達デバイス401の長手方向の伸張と平行に延在し、径方向内向きに突出し、それによりカラー傾斜部418.1が、ロックリブ407.8間に突出し、こうして保管および輸送中に、ニードルシュラウド407に対するカラー418の回転移動を防止する。
【0147】
薬物送達デバイス401の準備中、後方ケース402.2に対して近位方向にニードルシュラウド407を動かすには力が必要である。その結果、ロックリブ407.8は、カラー傾斜部418.1に沿って動く。この動きによって、プランジャ410に対してカラー418が回転する。ねじ連結があることから、カラー418は、弾性力部材413.1に対して遠位方向に移動し、曲がった遠位ばねセクション413.5は、
図29に示されるように、支持されなくなる。
【0148】
図29は、付勢状態S2にある第5の実施形態による可聴インジケータ413を含む薬物送達デバイス401の近位部分の概略長手方向断面図を示し、ここで薬物送達デバイス401は準備完了状態にあり、遠位ばねセクション413.5は支持されていない。
【0149】
したがって、薬物送達デバイス401は、薬剤送達の用意ができている。
【0150】
注射部位に針404を通して薬剤Mを送達するために、上述したように駆動ばね409を作動させることによって、プランジャ410は、近位位置から
図30に示される遠位位置に遠位方向に移動されなくてはならない。
【0151】
図30は、薬剤送達の後、可聴インジケータ413が弛緩状態S1にある薬物送達デバイス401の近位部分の概略長手方向断面図を示す。
【0152】
薬剤送達の終わりに、遠位プランジャセクション410.2よりも大きい直径を有する近位プランジャセクション410.1は、遠位ばねセクション413.5に当接する。当接することによって、弾性力部材413.1に影響を及ぼす力が生成され、それにより遠位ばねセクション413.5が径方向内向きにたわむ。
【0153】
遠位ばねセクション413.5がたわむことによって、弾性力部材413.1からエネルギーが解放される。蓄えられたエネルギーを解放することによって、弾性力部材413.1は、概して付勢状態S2から概して弛緩状態S1に遷移することができ、それにより、認識することのできる可聴シグナルを生成する。
【0154】
図31〜
図35は、それぞれ第6の実施形態による可聴インジケータ513を示す。
【0155】
図31は、第6の実施形態による可聴インジケータ513を含む薬物送達デバイス501の例示的な実施形態の概略的な斜視部分断面図を示す。
【0156】
薬物送達デバイス501は、
図1に記述された自動注射器と同様の自動注射器として構成される。
【0157】
後方ケース502.2および可聴インジケータ513を除き、薬物送達デバイス501の全構成要素は、
図1〜
図6で上述した構成と実質的に同じ構成を有している。第6の実施形態による可聴インジケータ513は、
図32でより詳細に記述される。後方ケース502.2は、
図33でより詳細に記述される。
【0158】
図32は、第6の実施形態による可聴インジケータ513の斜視図である。
【0159】
可聴インジケータ513は、弾性材料、たとえばばね鋼またはプラスチックばねを含む双安定板ばねとして構成される弾性力部材513.1を含む。したがって、弾性力部材513.1は、2つの状態にあることができる。すなわち、弾性力部材513.1は、外部からかかる力が制限されているまたは全く力がかからない状態で、2つの異なる安定な形態をとることができる。たとえば、これらの2つの状態は、弾性力部材513.1が第1の形態を有する第1の状態または弛緩状態S1(または組立前状態、またはトリガ状態)を含むことができる。第2の状態または付勢状態S2(または準備完了状態)では、弾性力部材513.1は、第2の形態を有することができる。弾性力部材513.1は、実質的に矩形の形状、および弾性力部材513.1の外周の最長側部に平行に通る長手方向軸L500を含んでもよい。
【0160】
弾性力部材513.1は、長手方向軸L500に平行に通る、弾性力部材513.1の概して中央に配置することができる長手方向曲げ部513.2をさらに含む。長手方向曲げ部513.2は、弾性力部材513.1を、互いに対して180度未満の角度で傾斜した2つの翼形状のセクションに分割する。
【0161】
弾性力部材513.1は、長手方向軸L500に垂直であってもよい軸A500に平行に通る交差曲げ部513.5があることによって、近位ばねセクション513.3と、遠位ばねセクション513.4とに、さらに分割することができる。
【0162】
図32によれば、弾性力部材513.1は付勢状態S2にあり、ここで遠位ばねセクション513.4は、近位ばねセクション513.3に対して交差曲げ部513.5にわたって特定の角度で曲げられている。
【0163】
長手方向軸L500に関して、本実施形態の弾性力部材513.1は、第5の実施形態の可聴インジケータ413の弾性力部材413.1よりも小さい。
【0164】
弾性力部材513.1は、
図33に示されるように、後方ケース502.2に連結されている。
【0165】
図33は、後方ケース502.2、プランジャ510、および第6の実施形態による可聴インジケータ513を含む薬物送達デバイス501の駆動サブアセンブリ501.1の概略斜視図を示す。
【0166】
後方ケース502.2は、
図4に記述された支持アームと同様の2つの支持アーム515.1を含む。
【0167】
本実施形態によれば、支持アーム515.1は、可聴インジケータ513の組立状態において、長手方向軸L500に対して同じ長さを有する。
【0168】
弾性力部材513.1はプランジャ510に連結され、ここでプランジャ510に対する弾性力部材513.1の回転移動を防止するために、遠位ばねセクション513.4は、圧入、形状嵌合(form fit)、および/または接着接合によって近位プランジャセクション510.1に固定される。近位ばねセクション513.3は、
図34に示されるように、近位プランジャセクション510.1の縁部の後ろに突出する、弾性力部材513.1の自由端を画成する。
【0169】
近位ばねセクション513.3は、遠位ばねセクション513.4に対して径方向内向きに斜めに傾斜しており、したがって弾性力部材513.1は付勢状態S2になり、それによりエネルギーを蓄える。
【0170】
弾性力部材513.1、特に近位ばねセクション513.3は、
図34においてより詳細に示され記述される後方ケース502.2によって支持される。
【0171】
図34は、第6の実施形態による可聴インジケータ513を含む薬物送達デバイス501の近位部分の概略長手方向断面図を示す。
【0172】
薬物送達デバイス501は使用前の準備完了状態にあり、ここでプランジャ510は近位位置にある。
【0173】
近位ばねセクション513.3は、プランジャ510に向かって遠位方向に突出する後部ケース502.2の近位端の内側に配置された支持突出部502.2.1によって支持される。支持突出部502.2.1は、突出セクションとして構成されてもよく、または循環型リング形状の突出部として構成されてもよい。
【0174】
近位ばねセクション513.3は、径方向内向きの方向に対して支持突出部502.2.1の後ろに配置されており、したがって、薬物送達デバイス501の保管、移送、および準備中には径方向外向きにたわむことが防止される。さらに交差曲げ部513.5は、弾性力部材513.1の双安定を可能にするよじれを画成する。
【0175】
注射部位に針504を通して薬剤Mを送達するために、上述したように駆動ばね509を作動させることによって、プランジャ510は、近位位置から
図35に示される遠位位置に遠位方向に移動されなくてはならない。遠位ばねセクション513.4は近位プランジャセクション510.1に固定されているので、弾性力部材513.1は、プランジャ510の軸方向移動に従う。その結果、弾性力部材513.1は、後部ケース502.2に対して支持突出部502.2.1から離れるように遠位方向に移動し、ここで近位ばねセクション513.3は支持されなくなる。
【0176】
薬剤送達の終わりに、ニードルシュラウド507の内周に配置された作動リブ507.9は、交差曲げ部513.5において弾性力部材513.1に当接する。この当接によって、弾性力部材513.1に影響を及ぼす力が生成され、それにより近位ばねセクション513.3が刺激され、径方向外向きにたわむ。
【0177】
近位ばねセクション513.3のたわみによって、弾性力部材513.1からエネルギーが解放される。蓄えられたエネルギーを解放することによって、弾性力部材513.1は、
図35に示されるように概して付勢状態S2から概して弛緩状態S1に遷移することができ、それにより、認識することのできる可聴シグナルを生成する。
【0178】
図35は、薬物送達デバイス501の近位部分の概略長手方向断面図を示し、ここで可聴インジケータ513は付勢状態S2にあるが、可聴インジケータ513がニードルシュラウド507に接触し始める作動時点である。
【0179】
図36〜
図40は、それぞれ第7の実施形態による可聴インジケータ613を示す。
【0180】
図36は、第7の実施形態による可聴インジケータ613を含む薬物送達デバイス601の例示的な実施形態の概略的な斜視部分断面図を示す。
【0181】
薬物送達デバイス601は、
図1に記述された自動注射器と同様の自動注射器として構成される。
【0182】
後方ケース602.2および可聴インジケータ613を除き、薬物送達デバイス601の全構成要素は、
図1〜
図6で上述した構成と実質的に同じ構成を有している。第7の実施形態による可聴インジケータ613は、
図37でより詳細に記述される。後方ケース602.2は、
図38でより詳細に記述される。
【0183】
図37は、第7の実施形態による可聴インジケータ613の斜視図である。
【0184】
可聴インジケータ613は、弾性材料、たとえばばね鋼またはプラスチックばねを含む単安定板ばねとして構成される弾性力部材613.1を含む。したがって、弾性力部材613.1は、2つの状態にあることができる。すなわち、弾性力部材613.1は2つの異なる形態をとることができ、そのうちの一方は、外部からかかる力が制限されているまたは全く力がかからない状態で、安定であり、他方は不安定である。たとえば、これらの2つの状態は、弾性力部材613.1が第1の形態を有する第1の状態または弛緩状態S1(または組立前状態、またはトリガ状態)を含むことができる。第2の状態または付勢状態S2(または準備完了状態)では、弾性力部材613.1は、第2の形態を有することができる。弾性力部材613.1は、実質的に矩形の形状、および弾性力部材613.1の外周の最長側部に平行に通る長手方向軸L600を含んでもよい。
【0185】
弾性力部材613.1は、長手方向軸L600に平行に通る、弾性力部材613.1の概して中央に配置することができる長手方向曲げ部613.2をさらに含む。長手方向曲げ部613.2は、弾性力部材613.1を、互いに対して180度未満の角度で傾斜した2つの翼形状のセクションに分割する。
【0186】
弾性力部材613.1は、
図38に示されるように、後方ケース602.2に連結されている。
【0187】
図38は、後方ケース602.2、プランジャ610、および第7の実施形態による可聴インジケータ613を含む薬物送達デバイス601の駆動サブアセンブリ601.1の概略斜視図を示す。
【0188】
後方ケース602.2は、
図14において記述された支持アームと同様の2つの支持アーム615.1を含む。
【0189】
本実施形態によれば、支持アーム615.1は、可聴インジケータ613の組立状態において、長手方向軸L600に対して同じ長さを有する。支持アーム615.1はそれぞれ長手方向凹部615.1.1を含み、ここで弾性力部材613.1は、支持アーム615.1のうちの一方の支持アームの長手方向凹部615.1.1内に配置される。それにより、弾性力部材613.1の回転を防止するために、弾性力部材613.1は、ポジティブ連結、たとえばスナップ連結によって、支持アーム615.1に近位方向および遠位方向に固定される。あるいは、固定によって、弾性力部材613.1の端部は回転することができるが、並進運動ができないようにしてもよい。
【0190】
弾性力部材613.1の翼形状のセクションは、プランジャ610から離れるように上向きに曲がっている。
【0191】
本実施形態によれば、可聴インジケータ613は、他の実施形態のうちの一部の実施形態の双安定弾性力部材113.1〜513.1とは対照的に、単安定性のみを含む。つまり、弾性力部材613.1は、
図39においてより詳細に示され記述されるように、付勢状態S2にあるためには支持されることが必要である。
【0192】
図39は、薬物送達デバイス601の近位部分の概略長手方向断面図を示し、ここで弾性力部材613.1は付勢状態S2にあり、薬物送達デバイス601は使用前の準備完了状態にあり、ここでプランジャ610は近位位置にある。
【0193】
弾性力部材613.1の支持は、径方向内向きの方向に対して弾性力部材613.1の後ろの、支持アーム615.1のセクションに配置されたカンチレバービーム(cantilever beam)602.2.1によって実現される。したがって、弾性力部材613.1はカンチレバービーム602.2.1上で静止し、それにより弾性力部材613.1は、長手方向軸L600に概して垂直に通る軸A600周りに、中央においてさらに曲げられ、それによりよじれ先端613.3が生成される。
【0194】
カンチレバービーム602.2.1は、プランジャ610の外周によって径方向外向きに付勢される。本実施形態によれば、後方ケース602.2は2つのカンチレバービーム602.2.1を含む。あるいは、後方ケース602.2は、1つのみ、または3つ以上のカンチレバービーム602.2.1を含んでもよい。2つ以上の弾性力部材613.1を有する実施形態では、各カンチレバービーム602.2.1は、それぞれの1つの弾性力部材613.1を支持するように配置される。
【0195】
注射部位に薬剤Mを送達するために、プランジャ610は、近位位置から
図40に示される遠位位置に遠位方向に移動されなくてはならない。薬剤送達中に、弾性力部材613.1はカンチレバービーム602.2.1によって支持される。プランジャ610の移動中、カンチレバービーム602.2.1上に摩擦が生じる。
【0196】
薬剤送達の終わりに、プランジャ610の近位端がカンチレバービーム602.2.1を遠位方向に通過したとき、カンチレバービーム602.2.1は自由になり径方向内向きに弛緩する。その結果、弾性力部材613.1が弛緩し、それにより認識することのできる可聴シグナルを生成する。
【0197】
図40は、薬物送達デバイス601の近位部分の概略長手方向断面図を示し、ここで弾性力要素613は、薬剤送達後の弛緩状態S1にある。
【0198】
可聴インジケータ13の用途は自動注射器1に限定されないことを、当業者は容易に理解する。その代わりに可聴インジケータ13は、手動式の薬物送達デバイス1にも同様に適用されて、プランジャ10が遠位位置に完全に移動したことを示してもよい。
【0199】
例示的な実施形態では、双安定または単安定弾性力部材13.1、113.1、213.1、313.1、413.1、513.1、613.1は、ステンレス鋼、たとえばステンレス鋼301フルハードから成ってもよい。例示的な実施形態では、弾性力部材13.1、113.1、213.1、313.1、413.1、513.1、613.1は、特に長さ70mmを有する実質的に矩形の形状を有してもよい。弾性力部材13.1、113.1、213.1、313.1、413.1、513.1、613.1の公称平坦幅は、約8mmとすることができる。長手方向曲げ部13.2、113.2、213.2、313.2、413.2、513.2、613.2は、弾性力部材13.1、113.1、213.1、313.1、413.1、513.1、613.1の幅を二等分するように位置してもよい。弾性力部材13.1、113.1、213.1、313.1、413.1、513.1、613.1の厚さは、0.1mmとすることができる。第1の形態では、弾性力部材13.1、113.1、213.1、313.1、413.1、513.1、613.1は、2つの翼形状のセクションが130〜160、または130度〜150度の角度になるように、長手方向曲げ部13.2、113.2、213.2、313.2、413.2、513.2、613.2周りに曲げることができる。たとえば、角度は、130度〜140度、または140度〜155度、または132度〜142度、または134度〜140度、または136度〜138度とすることができる。例示的な実施形態では、角度は互いに対して、約もしくはちょうど136度、または137度、または138度、または148度、または152度である。
【0200】
他の例示的な実施形態では、弾性力部材13.1、113.1、213.1、313.1、413.1、513.1、613.1は、異なる長さ、たとえば約30mmまたは43mmを有してもよい。
【0201】
弾性力部材13.1、113.1、213.1、313.1、413.1、513.1、613.1をよじって、第1の形態から第2の形態にそれを動かすためには、弾性力部材13.1、113.1、213.1、313.1、413.1、513.1、613.1の自由端に、またはたとえば自由端から約13mmの自由端の近くの点に、3N〜14Nの範囲の力を加えてもよい。この力を加えることによって、第1の形態における位置から、自由端が2mm〜3.5mm伸張することになる。
【0202】
弾性力部材13.1、113.1、213.1、313.1、413.1、513.1、613.1を作動させて、その第2の形態からその第1の形態に動かすために必要な力は、0.2N〜0.4Nの範囲にあってもよく、弾性力部材13.1、113.1、213.1、313.1、413.1、513.1、613.1の自由端に、またはたとえば自由端から約1mm〜2mmの自由端の近くの点に加えられる。
【0203】
特にカチッという音を明確にすること、ならびによじれおよび作動の力を低減させることは、弾性力部材13.1、113.1、213.1、313.1、413.1、513.1、613.1をよじり、それを作動させ、次いで再びそれをよじってから、薬物送達デバイス1、101、201、301、401、501、601にそれを挿入することによって、実現することができる。
【0204】
作動されたとき、弾性力部材13.1、113.1、213.1、313.1、413.1、513.1、613.1は、たとえば約0.5mの距離で測定された少なくとも100dBの音量を有する可聴シグナルを生成することができる。たとえば152度の曲げ角度を有する弾性力部材13.1、113.1、213.1、313.1、413.1、513.1、613.1に対して、たとえば136度の曲げ角度を有する弾性力部材13.1、113.1、213.1、313.1、413.1、513.1、613.1によって生成される音量は、約6dB大きくなることが可能であり、これは振幅において係数が2に増えることに相当する。
【0205】
薬物送達デバイス1、101、201、301、401、501、601に挿入されたとき、弾性力部材13.1、113.1、213.1、313.1、413.1、513.1、613.1は、たとえば約150mmの距離で測定された少なくとも100dB(A)の音量を有する可聴シグナルを生成することができる。試験設定では、薬物送達デバイス1、101、201、301、401、501、601は、ニードルシュラウド7、307、407、507が前進した状態で、テーブル上の吸音環境内に置かれた。薬物送達デバイス1、101、201、301、401、501、601をテーブルから音響的にデカップリングするために、ニードルシュラウド7、307、407、507と、テーブルとの間にエラストマー層が位置する。薬物送達デバイス1、101、201、301、401、501、601から横方向に、2つのマイク(たとえばROGA MI−17(IEPE))が、互いに対向してそれぞれ150mmの距離で、テーブルの上170mmに配置された。第1の試験は、使用者が右手を薬物送達デバイス1、101、201、301、401、501、601の周りで閉じて薬物送達デバイス1、101、201、301、401、501、601を保持および操作する状態で実行され、ここで、手の指は、一方のマイクに向けられた薬物送達デバイス1、101、201、301、401、501、601の片側を覆っており、他方のマイクの方を向いている反対側は、手のひらによって覆われた。指側のマイクの可聴シグナルの音量は、少なくとも100dB(A)であり、手のひら側のマイクの音量は、100dB(A)よりも低かった。別の試験は、使用者が右手の指先だけで薬物送達デバイス1、101、201、301、401、501、601を保持および操作する状態で実行され、ここで手のひらは、薬物送達デバイス1、101、201、301、401、501、601と一方のマイクとの間に位置していた;しかし、薬物送達デバイス1、101、201、301、401、501、601に手のひらは触れていない状態であった。両方のマイクによって得られた可聴シグナルの音量は、少なくとも100dB(A)であり、ここで手のひら側のマイクによって検出された音量は、他方のマイクによって検出された音量よりもわずかに低かった。
【0206】
本明細書で使用する用語「薬物」または「薬剤」は、1つまたはそれ以上の薬学的に活性な化合物を説明するために本明細書において使用される。以下に説明されるように、薬物または薬剤は、1つまたはそれ以上の疾患を処置するための、様々なタイプの製剤の少なくとも1つの低分子もしくは高分子、またはその組合せを含むことができる。例示的な薬学的に活性な化合物は、低分子;ポリペプチド、ペプチド、およびタンパク質(たとえばホルモン、成長因子、抗体、抗体フラグメント、および酵素);炭水化物および多糖類;ならびに核酸、二本鎖または一本鎖DNA(裸およびcDNAを含む)、RNA、アンチセンスDNAおよびRNAなどのアンチセンス核酸、低分子干渉RNA(siRNA)、リボザイム、遺伝子、およびオリゴヌクレオチドを含むことができる。核酸は、ベクター、プラスミド、またはリポソームなどの分子送達システムに組み込むことができる。これらの薬物の1つまたはそれ以上の混合物もまた、企図される。
【0207】
用語「薬物送達デバイス」は、薬物をヒトまたは動物の体内に投薬するように構成されたあらゆるタイプのデバイスまたはシステムを包含するものである。限定されることなく、薬物送達デバイスは、注射デバイス(たとえばシリンジ、ペン型注射器、自動注射器、大容量デバイス、ポンプ、かん流システム、または眼内、皮下、筋肉内、もしくは血管内送達にあわせて構成された他のデバイス)、皮膚パッチ(たとえば、浸透圧性、化学的、マイクロニードル)、吸入器(たとえば鼻用または肺用)、埋め込み(たとえば、コーティングされたステント、カプセル)、または胃腸管用の供給システムとすることができる。ここに説明される薬物は、針、たとえば小ゲージ針を含む注射デバイスで特に有用であることができる。
【0208】
薬物または薬剤は、薬物送達デバイスで使用するように適用された主要パッケージまたは「薬物容器」内に含むことができる。薬物容器は、たとえば、カートリッジ、シリンジ、リザーバ、または1つまたはそれ以上の薬学的に活性な化合物の保存(たとえば短期または長期保存)に適したチャンバを提供するように構成された他の容器とすることができる。たとえば、一部の場合、チャンバは、少なくとも1日(たとえば1日から少なくとも30日まで)の間薬物を保存するように設計することができる。一部の場合、チャンバは、約1ヶ月から約2年の間薬物を保存するように設計することができる。保存は、室温(たとえば約20℃)または冷蔵温度(たとえば約−4℃から約4℃まで)で行うことができる。一部の場合、薬物容器は、薬物製剤の2つまたはそれ以上の成分(たとえば薬物および希釈剤、または2つの異なるタイプの薬物)を別々に、各チャンバに1つずつ保存するように構成された二重チャンバカートリッジとすることができ、またはこれを含むことができる。そのような場合、二重チャンバカートリッジの2つのチャンバは、ヒトまたは動物の体内に投薬する前、および/または投薬中に薬物または薬剤の2つまたはそれ以上の成分間で混合することを可能にするように構成することができる。たとえば、2つのチャンバは、これらが(たとえば2つのチャンバ間の導管によって)互いに流体連通し、所望の場合、投薬の前にユーザによって2つの成分を混合することを可能にするように構成することができる。代替的に、またはこれに加えて、2つのチャンバは、成分がヒトまたは動物の体内に投薬されているときに混合することを可能にするように構成することができる。
【0209】
本明細書において説明される薬物送達デバイスおよび薬物は、数多くの異なるタイプの障害の処置および/または予防に使用することができる。例示的な障害は、たとえば、糖尿病、または糖尿病性網膜症などの糖尿病に伴う合併症、深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症などの血栓塞栓症を含む。さらなる例示的な障害は、急性冠症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、がん、黄斑変性症、炎症、枯草熱、アテローム性動脈硬化症および/または関節リウマチである。
【0210】
糖尿病または糖尿病に伴う合併症の処置および/または予防のための例示的な薬物は、インスリン、たとえばヒトインスリン、またはヒトインスリン類似体もしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)、GLP−1類似体もしくはGLP−1受容体アゴニスト、またはその類似体もしくは誘導体、ジペプチジルペプチダーゼ−4(DPP4)阻害剤、または薬学的に許容される塩もしくはその溶媒和物、またはそれらの任意の混合物を含む。本明細書において使用される用語「誘導体」は、元の物質と構造的に十分同様のものであり、それによって同様の機能または活性(たとえば治療効果性)を有することができる任意の物質を指す。
【0211】
例示的なインスリン類似体は、Gly(A21),Arg(B31),Arg(B32)ヒトインスリン(インスリングラルギン);Lys(B3),Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28),Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;B28位におけるプロリンがAsp、Lys、Leu、Val、またはAlaで置き換えられており、B29位において、LysがProで置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28−B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリンおよびDes(B30)ヒトインスリンである。
【0212】
例示的なインスリン誘導体は、たとえば、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ミリストイルヒトインスリン;B29−N−パルミトイルヒトインスリン;B28−N−ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29−N−(N−パルミトイル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(N−リトコリル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン、およびB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。例示的なGLP−1、GLP−1類似体およびGLP−1受容体アゴニストは、たとえば:リキシセナチド(Lixisenatide)/AVE0010/ZP10/リキスミア(Lyxumia)、エキセナチド(Exenatide)/エクセンディン−4(Exendin−4)/バイエッタ(Byetta)/ビデュリオン(Bydureon)/ITCA650/AC−2993(アメリカドクトカゲの唾液腺によって産生される39アミノ酸ペプチド)、リラグルチド(Liraglutide)/ビクトザ(Victoza)、セマグルチド(Semaglutide)、タスポグルチド(Taspoglutide)、シンクリア(Syncria)/アルビグルチド(Albiglutide)、デュラグルチド(Dulaglutide)、rエクセンディン−4、CJC−1134−PC、PB−1023、TTP−054、ラングレナチド(Langlenatide)/HM−11260C、CM−3、GLP−1エリゲン、ORMD−0901、NN−9924、NN−9926、NN−9927、ノデキセン(Nodexen)、ビアドール(Viador)−GLP−1、CVX−096、ZYOG−1、ZYD−1、GSK−2374697、DA−3091、MAR−701、MAR709、ZP−2929、ZP−3022、TT−401、BHM−034.MOD−6030、CAM−2036、DA−15864、ARI−2651、ARI−2255、エキセナチド(Exenatide)−XTENおよびグルカゴン−Xtenである。
【0213】
例示的なオリゴヌクレオチドは、たとえば:家族性高コレステロール血症の処置のためのコレステロール低下アンチセンス治療薬である、ミポメルセン(mipomersen)/キナムロ(Kynamro)である。
【0214】
例示的なDPP4阻害剤は、ビルダグリプチン(Vildagliptin)、シタグリプチン(Sitagliptin)、デナグリプチン(Denagliptin)、サキサグリプチン(Saxagliptin)、ベルベリン(Berberine)である。
【0215】
例示的なホルモンは、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(ソマトロピン)、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、およびゴセレリンなどの、脳下垂体ホルモンまたは視床下部ホルモンまたは調節性活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニストを含む。
【0216】
例示的な多糖類は、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン、もしくは超低分子量ヘパリン、またはそれらの誘導体、または上述の多糖類の硫酸化形態、たとえば、ポリ硫酸化形態、および/または、薬学的に許容されるそれらの塩を含む。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容される塩の例としては、エノキサパリンナトリウムがある。ヒアルロン酸誘導体の例としては、HylanG−F20/Synvisc、ヒアルロン酸ナトリウムがある。
【0217】
本明細書において使用する用語「抗体」は、免疫グロブリン分子またはその抗原結合部分を指す。免疫グロブリン分子の抗原結合部分の例は、抗原を結合する能力を保持するF(ab)およびF(ab’)
2フラグメントを含む。抗体は、ポリクローナル、モノクローナル、組換え型、キメラ型、非免疫型またはヒト化、完全ヒト型、非ヒト型(たとえばマウス)、または一本鎖抗体とすることができる。いくつかの実施形態では、抗体はエフェクター機能を有し、補体を固定することができる。いくつかの実施形態では、抗体は、Fc受容体と結合する能力が低く、または結合することはできない。たとえば、抗体は、アイソタイプもしくはサブタイプ、抗体フラグメントまたは変異体とすることができ、Fc受容体との結合を支持せず、たとえば、これは、突然変異したまたは欠失したFc受容体結合領域を有する。
【0218】
用語「フラグメント」または「抗体フラグメント」は、全長抗体ポリペプチドを含まないが、抗原と結合することができる全長抗体ポリペプチドの少なくとも一部分を依然として含む、抗体ポリペプチド分子(たとえば、抗体重鎖および/または軽鎖ポリペプチド)由来のポリペプチドを指す。抗体フラグメントは、全長抗体ポリペププチドの切断された部分を含むことができるが、この用語はそのような切断されたフラグメントに限定されない。本発明に有用である抗体フラグメントは、たとえば、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、scFv(一本鎖Fv)フラグメント、直鎖抗体、二重特異性、三重特異性、および多重特異性抗体(たとえば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ)などの単一特異性または多重特異性抗体フラグメント、ミニボディ、キレート組換え抗体、トリボディまたはバイボディ、イントラボディ、ナノボディ、小モジュラー免疫薬(SMIP)、結合ドメイン免疫グロブリン融合タンパク質、ラクダ化抗体、およびVHH含有抗体を含む。抗原結合抗体フラグメントのさらなる例は、当技術分野で知られている。
【0219】
用語「相補性決定領域」または「CDR」は、特異的抗原認識を仲介する役割を主に担う重鎖および軽鎖両方のポリペプチドの可変領域内の短いポリペプチド配列を指す。用語「フレームワーク領域」は、CDR配列ではなく、CDR配列の正しい位置決めを維持して抗原結合を可能にする役割を主に担う重鎖および軽鎖両方のポリペプチドの可変領域内のアミノ酸配列を指す。フレームワーク領域自体は、通常、当技術分野で知られているように、抗原結合に直接的に関与しないが、特定の抗体のフレームワーク領域内の特定の残基が、抗原結合に直接的に関与することができ、またはCDR内の1つまたはそれ以上のアミノ酸が抗原と相互作用する能力に影響を与えることができる。
【0220】
例示的な抗体は、アンチPCSK−9mAb(たとえばアリロクマブ(Alirocumab))、アンチIL−6mAb(たとえばサリルマブ(Sarilumab))、およびアンチIL−4mAb(たとえばデュピルマブ(Dupilumab))である。
【0221】
本明細書において説明される化合物は、(a)化合物または薬学的に許容されるその塩、および(b)薬学的に許容される担体を含む医薬製剤において使用することができる。化合物はまた、1つまたはそれ以上の他の医薬品有効成分を含む医薬製剤、または存在する化合物またはその薬学的に許容される塩が唯一の有効成分である医薬製剤において使用することもできる。したがって、本開示の医薬製剤は、本明細書において説明される化合物および薬学的に許容される担体を混合することによって作られる任意の製剤を包含する。
【0222】
本明細書において説明される任意の薬物の薬学的に許容される塩もまた、薬物送達デバイスにおける使用に企図される。薬学的に許容される塩は、たとえば酸付加塩および塩基性塩である。酸付加塩は、たとえば、HClまたはHBr塩である。塩基性塩は、たとえば、アルカリもしくはアルカリ土類金属、たとえばNa+、もしくはK+、もしくはCa2+、またはアンモニウムイオンN+(R1)(R2)(R3)(R4)(式中、R1からR4は互いに独立して:水素、場合により置換されたC1〜C6−アルキル基、場合により置換されたC2〜C6−アルケニル基、場合により置換されたC6〜C10−アリル基、または場合により置換されたC6〜C10−ヘテロアリール基を意味する)から選択されるカチオンを有する塩である。薬学的に許容される塩のさらなる例は、当業者に知られている。
【0223】
薬学的に許容される溶媒和物は、たとえば、水和物またはメタノラート(methanolate)またはエタノラート(ethanolate)などのアルカノラート(alkanolate)である。
【0224】
本明細書に記述される物質、処方、装置、方法、システム、および実施形態の様々な構成要素の修正(付加および/または除去)が、そのような修正およびそのあらゆる等価物を包含する本発明の全範囲および趣旨から逸脱することなく行われてもよいことを、当業者は理解するであろう。