(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1の弁装置では、軸やばね等の開閉機構が弁体に設けられている。また、この開閉機構は、弁体の収容空間におけるケースの穴部の正面領域の側方に配置される。そして、収容空間では、この開閉機構の付近で排気の乱流や滞留が生じる可能性があり、これにより騒音が生じる恐れがある。
【0005】
本開示の一態様においては、マフラの騒音を抑制するのが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、車両に搭載され、エンジンからの排気を流下させるマフラであって、仕切り部と、テーパ部と、ケース部と、弁体と、付勢部と、を備える。仕切り部は、マフラの内部空間を、流れ方向に並ぶ上流空間と下流空間とに仕切る板状の部位であって、上流空間とは、マフラにおける排気の入口側の空間であり、下流空間とは、マフラにおける排気の出口側の空間である。テーパ部は、仕切り部に設けられた開口である中間口の縁から下流空間に突出する筒状の部位であって、下流空間側に向かうに従い細くなるテーパ状の部位である。ケース部は、仕切り部から上流空間に突出し、中間口を覆う部位であって、中間口を含む空間である中間空間と上流空間とを仕切ると共に、中間空間と上流空間とを繋ぐ開口である上流口を有する部位である。弁体は、中間空間に配置され、軸を中心に回転して閉位置と開位置との間を変位することで、上流口の開放度合いを調整する部位であって、閉位置に向かうに従い上流口の開放度合いを低減させる部位である。付勢部は、弁体が閉位置に向かって変位するよう、弁体を付勢する。そして、流れ方向に沿って上流口を中間口に投影すると、中間口の縁は、上流口の縁の外側に位置する。
【0007】
上記構成によれば、ケース部の上流口は中間口の内側に位置し、中間口の縁からは、テーパ部が下流空間側に突出する。このため、中間空間において、上流口の正面領域の側方により広く空間を確保できる。これにより、軸や付勢部等といった弁体の開閉機構が上流口の正面領域の側方に配置されても、開閉機構の付近により広い空間を確保でき、開閉機構の付近における排気の乱流や滞留が抑制される。
【0008】
さらに、テーパ部は、下流空間側に向かうに従い細くなるよう傾斜している。このため、例えば上流口の開放時であっても、中間空間における弁体の中間口側の領域において、排気の流れをスムーズにすることができる。
【0009】
したがって、マフラの騒音を抑制できる。
本開示の一態様では、流れ方向に沿って弁体を中間口に投影すると、中間口の縁は、弁体の外縁の外側に位置してもよい。
【0010】
上記構成によれば、弁体は中間口の内側に位置するため、中間空間において、弁体の側方により広く空間を確保できる。これにより、弁体の開閉機構が弁体の縁部に設けられても、開閉機構の付近により広い空間を確保でき、開閉機構の付近における排気の乱流や滞留が抑制される。したがって、マフラの騒音を抑制できる。
【0011】
本開示の一態様では、ケース部は、側壁と、底部と、を有してもよい。側壁は、仕切り部から上流空間側に突出する部位であって、中間口の縁に沿って配置され、中間口を囲む部位である。底部は、上流口が設けられており、中間口に対面する壁状の部位である。
【0012】
上記構成によれば、中間空間において、中間口の縁の付近により広く空間を確保でき、その結果、上流口の正面領域の側方及び弁体の側方に、より広い空間が確保される。したがって、弁体の開閉機構の付近における排気の乱流や滞留を抑制でき、その結果、マフラの騒音が抑制される。
【0013】
本開示の一態様では、ケース部における流れ方向の長さは、テーパ部における流れ方向の長さよりも大きくてもよい。
上記構成によれば、中間空間におけるケース部側に、より広い空間が確保される。このため、弁体の開閉機構の付近により広い空間を確保できる。したがって、弁体の開閉機構の付近における排気の乱流や滞留を抑制でき、その結果、マフラの騒音が抑制される。
【0014】
本開示の一態様では、テーパ部における下流空間側の開口を、下流口としてもよい。軸は、中間空間における上流口の正面領域の側方に位置し、中間口に沿って延びてもよい。上流口を基準として軸が位置する側の反対側を、反軸側としてもよい。下流口の中央部は、中間口の中央部よりも反軸側に位置してもよい。
【0015】
上記構成によれば、弁体が閉位置から開位置に変位すると、弁体は、反軸側の部分が上流口から最も離間した状態になる。このため、上流口における反軸側の部分から、より多くの排気が流出する。これに対し、上記構成では、テーパ部は、反軸側に位置する部分の傾斜が相対的に大きくなる。このため、上流口における反軸側の部分から中間空間に流入した排気を、下流口に向けてスムーズに流出させることができる。したがって、排気の乱流や滞留を抑制でき、その結果、マフラの騒音が抑制される。
【0016】
本開示の一態様では、ケース部は、側壁と、底部と、を有してもよい。側壁は、仕切り部から上流空間側に突出する。底部は、上流口が設けられており、中間口に対面する壁状の部位である。軸は、中間空間における上流口の正面領域の側方に位置し、中間口に沿って延びてもよい。上流口を基準として軸が位置する側の反対側を、反軸側としてもよい。底部における上流口の反軸側に、上流口よりも小さく、上流空間と中間空間とを繋ぐ少なくとも1つのサブ開口が設けられていてもよい。
【0017】
上記構成によれば、少なくとも1つのサブ開口を、弁体の軸等の開閉機構から離れた位置に配置できる。このため、少なくとも1つのサブ開口から開閉機構の付近に排気が流入し、乱流や滞留が生じるのを抑制できる。これにより、マフラの騒音が抑制される。
【0018】
本開示の一態様では、少なくとも1つのサブ開口は、流れ方向に沿ってテーパ部の内壁に対面してもよい。
上記構成によれば、少なくとも1つのサブ開口から中間空間に流入した排気を、テーパ部までスムーズに導くことができる。したがって、排気の乱流や滞留を抑制でき、その結果、マフラの騒音が抑制される。
【0019】
本開示の一態様では、少なくとも1つのサブ開口は、上流口の縁の下端よりも上側に位置してもよい。
サブ開口は上流口よりも小さいため、マフラの内部に溜まった水がサブ開口から吸い込まれる場合には、該水が上流口から吸い込まれる場合に比べ、騒音が生じ易い。これに対し、上記構成によれば、少なくとも1つのサブ開口が上流口の下端よりも上側に位置する。このため、マフラの内部に溜まった水は上流口から吸い込まれ易くなり、該水が少なくとも1つのサブ開口により吸い込まれるのを抑制できる。したがって、マフラの騒音を抑制できる。
【0020】
本開示の一態様では、上流口は、内部空間への入口よりも下側に位置してもよい。
上記構成によれば、マフラ内部に溜まった水がマフラの内部空間への入口に進入する前に、該水を上流口に進入させ、下流空間に誘導することができる。これにより、マフラ内部に溜まった水を車両の排気流路の下流側に誘導でき、その結果、該水を好適に外部に排出することができる。
【0021】
本開示の一態様では、ケース部は、底部と、側壁と、少なくとも1つの取付部と、を有してもよい。底部は、上流口が設けられており、中間口に対面する壁状の部位である。側壁は、中間空間を囲んだ状態で配置され、底部に対面する開口を形成する。取付部は、側壁における開口の縁をなす部分から外側に突出する。少なくとも1つの取付部が、仕切り部に接合されていてもよい。
【0022】
上記構成によれば、ケース部を好適に仕切り部に接合することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本開示の実施形態について図面を用いて説明する。なお、本開示の実施の形態は、下記の実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
【0025】
[全体の構成について]
図1に示す本実施形態のマフラ1は、車両のエンジンの排気を流下させる排気流路に設けられる。マフラ1の外形は、一例として断面が略矩形である柱状の形状であり、マフラ1は、上流側エンドプレート2と、下流側エンドプレート3と、シェル4とを備える。
【0026】
シェル4は、前後方向に延び、断面が略矩形である筒状の部位であり、マフラ1の外周面を形成する。
上流側エンドプレート2及び下流側エンドプレート3は、マフラ1の底面を形成する板状の部位であり、シェル4の両端に形成される開口を塞ぐ。上流側エンドプレート2及び下流側エンドプレート3は前後方向に対面し、上流側エンドプレート2は前側に、下流側エンドプレート3は後側に位置する。以後、シェル4、上流側エンドプレート2、及び下流側エンドプレート3により囲まれた空間を、内部空間6と記載する。
【0027】
ここで、マフラ1の断面の長手方向を左右方向と記載する。また、マフラ1は、その断面の短手方向の一方が上側に位置し、他方が下側に位置する状態で、車両に搭載される。しかし、車両に搭載された際のマフラ1の上流側エンドプレート2及び下流側エンドプレート3が対面する向きは、適宜定められる。つまり、車両に搭載されたマフラ1における前後方向及び左右方向は、該車両の前後方向及び左右方向と必ずしも一致しない。
【0028】
上流側エンドプレート2は、後述する上流管2bが挿入される入口2aを有する。入口2aは、上流側エンドプレート2における左右方向の中央よりも左側に位置する。また、下流側エンドプレート3は、後述する下流管3bが挿入される出口3aを有する。出口3aは、下流側エンドプレート3における左右方向の中央よりも右側に位置する。
【0029】
また、マフラ1は、仕切り部5と、上流管2bと、下流管3bと、テーパ部10と、ケース部20と、弁装置30とを更に備える。以下では、これらの構成について説明する。
[仕切り部について]
仕切り部5は、
図1〜3に示すように、内部空間6を仕切る板状の部位である。仕切り部5は、上流側エンドプレート2及び下流側エンドプレート3に対し、平行又は略平行に配置される。このため、内部空間6は、仕切り部5により、前後方向に並ぶ上流空間6aと下流空間6bとに分割される。なお、上流空間6aは、上流側エンドプレート2側(換言すれば、入口2a側)に位置し、下流空間6bは、下流側エンドプレート3側(換言すれば、出口3a側)に位置する。
【0030】
仕切り部5の縁は、前側にL字状に屈曲している。仕切り部5は、この屈曲した部分を介して、シェル4の内側に接合される。
また、仕切り部5は、後述する中間口12と、上流管口5aと、上流空間6aと下流空間6bとを連通させる少なくとも1つの孔5bを有する。上流管口5aは、仕切り部5における左右方向の中央よりも左側に位置する。また、仕切り部5には、テーパ部10とケース部20とが設けられている。テーパ部10及びケース部20は、上流管口5aの右側に位置する。
【0031】
また、上流管2bは、その一端が入口2aに繋がっていると共に、上流管口5aを通過して仕切り部5を貫通した状態で配置される。上流管2bは、前後方向に延びて上流空間6aを横断し、上流管2bの他端は、下流空間6bまで到達している。つまり、上流管2bは、上流管口5aの縁により外周面が支持された状態となる。また、上流管2bにおける上流空間6aに配置された部分には、少なくとも1つの孔2cが設けられている。
【0032】
[テーパ部について]
テーパ部10は、
図1、4に示すように、仕切り部5に設けられた開口である中間口12の縁から下流空間6b(換言すれば、後側)に突出する筒状の部位である。テーパ部10は、テーパ状であり、後側に向かうに従い細くなる。すなわち、テーパ部10は、後側に向かうに従って断面の面積が小さくなる。
【0033】
ここで、テーパ部10において、下流空間6b側の開口を下流口11とする。また、中間口12は、テーパ部10の上流空間6a側の開口に相当する。中間口12は、一例として略楕円形である。また、下流口11は、一例として円形又は略円形である。なお、テーパ部10は、仕切り部5の一部の形状を加工することで形成されても良い。
【0034】
また、テーパ部10の下流口11は、下流管3bの一端に繋がっている。具体的には、下流口11の縁には、後側に延びる縁部13が設けられており、縁部13が下流管3bに接合されている。下流管3bの他端は、出口3aに繋がっており、下流口11から流出した排気は、下流管3bにより出口3aに誘導される。なお、下流管3bの他端は、出口3aに達しておらず、下流空間6bに配置されても良い。また、下流管3bを設けない構成としても良い。
【0035】
[ケース部について]
ケース部20は、
図1、4に示すように、上流空間6a側に突出した状態で仕切り部5に設けられ、仕切り部5の中間口12を覆う。また、ケース部20は、中間空間6cと上流空間6aとを仕切る。中間空間6cとは、中間口12を含む空間であり、ケース部20とテーパ部10との間に形成される。また、ケース部20は、中間空間6cと上流空間6aとを繋ぐ開口である上流口23を有する。なお、上流口23は、一例として円形又は略円形であり、上流口23、中間口12、及び下流口11は、平行又は略平行に配置される。
【0036】
ケース部20は、
図4、5に示すように、側壁21と、底部22と、少なくとも1つの取付部26とを有する。なお、本実施形態では、一例として、3つの取付部26が設けられている。
【0037】
底部22は、中間口12に対面する壁状の部位である。
側壁21は、仕切り部5から上流空間6a側(換言すれば、前側)に突出する。側壁21は、中間口12の縁に沿って配置されると共に、中間口12(換言すれば、中間空間6c)を囲んだ状態で配置される。より詳しくは、側壁21は、その全ての部分が、中間口12の縁又はその付近に位置する状態で配置される。なお、これに限らず、側壁21は、その全部又は一部が、中間口12の縁の内側又は外側に配置されても良い。換言すれば、側壁21は、底部22の縁から突出し、底部22に対面する開口を形成する。
【0038】
取付部26は、側壁21により形成される開口の縁から、該開口の外側に突出するフランジ状の部位である。例えば溶接により取付部26を仕切り部5に接合させることで、ケース部20が仕切り部5に取り付けられる。
【0039】
また、底部22は、上述した上流口23と、少なくとも1つのサブ開口25とを有する。なお、本実施形態では、一例として、2つのサブ開口25が設けられている。
上流口23は、中間口12に対面するように配置されている。また、上流口23の縁には、縁部24が設けられている。縁部24は、上流口23の縁を中間空間6c側にL字状に屈曲させることで形成された部位であり、上流口23の縁から中間空間6cに突出する。
【0040】
サブ開口25は、中間空間6cと上流空間6aとを繋ぐ開口であり、上流口23よりも小さい。また、各サブ開口25は、上流口23の反軸側32a(換言すれば、左下)に位置する。なお、反軸側32aについては後述する。
【0041】
また、サブ開口25は、前後方向に沿ってテーパ部10の内壁に対面する。より詳しくは、サブ開口25は、テーパ部10における仕切り部5に対する傾斜の度合いが相対的に高い部分に対面する。
【0042】
また、
図5に示すように、本実施形態における2つのサブ開口25のうちの1つは、上流口23における最も下側に位置する部分(以後、下端部分)よりも上側に位置する。なお、全てのサブ開口25が、下端部分の上側に位置しても良い。
【0043】
また、
図2、3に示すように、上流口23は、仕切り部5の上流管口5aよりも下側に位置する。また、上流側エンドプレート2の入口2aは、上流管口5aに対し前後方向に対面している。このため、上流口23は、入口2aよりも下側に位置する。より詳しくは、上流口23の中央部は、入口2aの中央部のよりも下側に位置する。なお、上流口23及び入口2aの中央部とは、例えば、これらの中心又は重心であっても良い。
【0044】
[弁装置について]
弁装置30は、
図1、4、5に示すように、ケース部20の内側(換言すれば、中間空間6c)に配置されている。弁装置30は、弁体31と、軸32と、付勢部33と、台座部34と、支持部35とを備える。
【0045】
台座部34は、上流口23の縁部24に設けられた筒状の部位である。台座部34は、縁部24から中間空間6c側(換言すれば、後側)に突出するテーパ状の部位であり、前側に向かうに従い細くなる。
【0046】
支持部35は、台座部34の右上に設けられた部位である。台座部34と支持部35とにより、弁体31が支持される。また、支持部35には、弁体31を回転させる軸32が設けられる。
【0047】
軸32は、中間空間6cにおける上流口23の正面領域の側方(一例として、該正面領域の右上)に位置し、中間口12に沿って延びる。より詳しくは、軸32は、上流口23の正面領域と交差せず、中間口12及び上流口23と平行又は略平行に延びる。以後、上流口23を基準として軸32が位置する側を軸側と記載し、軸側の反対側を反軸側32aと記載する。より詳しくは、反軸側32aとは、軸32に直交又は略直交し、且つ、軸32から、上流口23に平行又は略平行に、上流口23側に向かう方向であっても良い。
【0048】
弁体31は、当該弁体31の縁部に設けられた軸32により、回転可能に支持される。弁体31は、この軸回転により台座部34に対し接近又は離間する。これにより、弁体31は、開位置31aと閉位置31bとの間を変位し、この変位により上流口23の開放度合いが調整される。なお、弁体31が開位置31aに位置する際、上流口23の開放度合いは最大となる。また、弁体31が閉位置31bに向かうに従い、上流口23の開放度合いは低減する。弁体31が開位置31a及び閉位置31bに位置する際の上流口23の開放度合いは、適宜定められ得る。本実施形態では、弁体31が閉位置31bに位置する際、上流口23は完全に閉鎖される。しかし、弁体31が閉位置31bに位置する際、上流口23は部分的に開放されていても良い。
【0049】
付勢部33は、弁体31を閉位置31bに向けて変位させるよう弁体31を付勢する。本実施形態では、付勢部33は、一例として、軸32の周りに配置されたねじりコイルばねとして構成されている。しかしながら、付勢部33は、例えば、圧縮コイルばねや、引張コイルばねや、板ばね等として構成されていても良い。
【0050】
付勢部33による付勢により、通常時は弁体31は閉位置31bに保持される。しかし、弁体31は、マフラ1に流入した排気により上流空間6a側から押圧される。そして、マフラ1への排気の流入量が増加し、排気が弁体31を押圧する力が、付勢部33により弁体31に加えられる力を上回ると、弁体31が開位置31aに向かって変位し、上流口23が開放される。その結果、上流口23通って上流空間6aから中間空間6cに排気が流入する。
【0051】
[各構成要素の位置等について]
図5、6に示すように、中間口12の縁は、前後方向に沿って中間口12(換言すれば、テーパ部10)に投影されたケース部20の上流口23の縁及び弁体31の外縁の外側に位置する。つまり、弁体31全体が、中間口12の正面に位置する。なお、
図6では、想像線により弁装置30を示している。
【0052】
また、
図4、6に示すように、前後方向に沿って中間口12に投影された下流口11の中央部11aは、中間口12の中央部12aよりも反軸側32aに位置する。なお、下流口11及び中間口12の中央部とは、上述した上流口23及び入口2aの中央部と同様に定められ得る(
図4では、便宜上、下流口11の中心軸を11b、中間口12の中心軸を12bで示す)。このため、テーパ部10における弁装置30の軸32及び付勢部33等の正面に位置する部分は、仕切り部5に対する傾斜の度合いが相対的に低くなっている。なお、この部分の傾斜の度合いは、開位置31aに位置する弁体31の傾斜の度合いと同一又は略同一であっても良い。一方、テーパ部10におけるケース部20の少なくとも1つのサブ開口25の正面に位置する部分は、該傾斜の度合いが相対的に高くなっている。
【0053】
また、ケース部20における前後方向の長さを、ケース部厚さ27とし、テーパ部10における先細り形状の部分の前後方向の長さを、テーパ部厚さ14とする。
図4に示すように、一例として、ケース部厚さ27はテーパ部厚さ14よりも大きい。
【0054】
[作用]
上記実施形態のマフラ1においては、上流管2bから低圧の排気が流入した場合、該排気の一部は、上流管2bの後端から下流空間6bに流入する。その後、該排気は、仕切り部5の少なくとも1つの孔5bから上流空間6aに流入し、さらに、サブ開口25から下流管3bに流入する。また、該排気の一部は、上流管2bの少なくとも1つの孔2cから上流空間6aに流入し、その後、サブ開口25から下流管3bに流入する。
【0055】
一方、上流管2bから高圧の排気が流入した場合、該排気の一部は、低圧の排気が流入した場合と同じ経路を流下する。これに加え、該高圧の排気の一部は、上流管2bの後端から下流空間6bに流入し、その後、仕切り部5の少なくとも1つの孔5bから上流空間6aに流入する。そして、該排気は、弁体31を下流側に押圧し、上流口23から中間空間6cに流入し、さらに、テーパ部10に沿って下流管3bへと流下する。
【0056】
[効果]
(1)上記実施形態によれば、中間口12と上流口23との位置関係により、中間空間6cにおいて、上流口23の正面領域の側方により広く空間を確保できる。これにより、軸32や付勢部33等といった弁体31の開閉機構が上流口23の正面領域の側方に配置されても、開閉機構の付近により広い空間を確保でき、開閉機構の付近における排気の乱流や滞留が抑制される。
【0057】
さらに、テーパ部10は、下流空間6b側に向かうに従い細くなるよう傾斜している。このため、例えば中間口12の開放時であっても、中間空間6cにおける弁体31の中間口12側の領域において、排気の流れをスムーズにすることができる。
【0058】
したがって、マフラ1の騒音を抑制できる。
(2)また、弁体31と中間口12との位置関係により、中間空間6cにおいて、弁体31の側方により広く空間を確保できる。これにより、弁体31の開閉機構が弁体31の縁部に設けられても、開閉機構の付近により広い空間を確保でき、開閉機構の付近における排気の乱流や滞留が抑制される。
【0059】
(3)また、ケース部20の側壁21は、中間口12の縁に沿って配置される。このため、中間空間6cにおいて、中間口12の縁の付近により広く空間を確保でき、その結果、上流口23の正面領域の側方及び弁体31の側方に、より広い空間が確保される。したがって、弁体31の開閉機構の付近における排気の乱流や滞留を抑制できる。
【0060】
(4)また、ケース部厚さ27は、テーパ部厚さ14よりも大きい。このため、中間空間6cにおけるケース部20側に、より広い空間が確保される。このため、弁体31の開閉機構の付近により広い空間を確保できる。したがって、ケース部20内に弁装置30が収容された構成において排気の流れが弁装置30に阻害されることを低減でき、弁体31の開閉機構の付近における排気の乱流や滞留を抑制できる。
【0061】
(5)また、テーパ部10は、反軸側32aに位置する部分の傾斜が相対的に大きい。このため、テーパ部10において、反軸側32aの傾斜部分における後端部の前後方向の位置と、軸側の傾斜部分における後端部の前後方向の位置とを一致させることができる。また、反軸側32aの傾斜部分では、上流口23から中間空間6cに流入した排気を、下流口11に向けてスムーズに流出させることができる。したがって、排気の乱流や滞留を抑制できる。
【0062】
(6)また、少なくとも1つのサブ開口25が、上流口23の反軸側32aに設けられている。このため、少なくとも1つのサブ開口25を、弁体31の開閉機構から離れた位置に配置できる。したがって、少なくとも1つのサブ開口25から開閉機構の付近に排気が流入し、乱流や滞留が生じるのを抑制できる。
【0063】
(7)また、少なくとも1つのサブ開口25は、前後方向に沿ってテーパ部10の内壁に対面する。このため、少なくとも1つのサブ開口25から中間空間6cに流入した排気を、テーパ部10までスムーズに導くことができる。したがって、排気の乱流や滞留を抑制できる。
【0064】
(8)また、少なくとも1つのサブ開口25は、上流口23の縁の下端よりも上側に位置する。このため、マフラ1の内部に溜まった水は上流口23から吸い込まれ易くなり、該水が少なくとも1つのサブ開口25により吸い込まれるのを抑制できる。したがって、マフラ1の騒音を抑制できる。
【0065】
(9)また、上流口23は、入口2aよりも下側に位置する。このため、マフラ1の内部に溜まった水が入口2aに進入する前に、該水を上流口23に進入させ、下流空間6bに誘導できる。これにより、マフラ1内部に溜まった水を車両の排気流路の下流側に誘導でき、その結果、該水を好適に外部に排出することができる。
【0066】
(10)また、ケース部20は、3つの取付部26により仕切り部5に接合される。このため、ケース部20を好適に仕切り部5に接合できる。
[他の実施形態]
上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【0067】
[特許請求の範囲との対応]
上記実施形態における前後方向が、流れ方向の一例に相当する。また、テーパ部10における先細り形状の部分が、テーパ部の一例に相当する。