【実施例】
【0063】
次に本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。以下のすべての実施例及び比較例において、再生コラーゲン繊維の作製は、以下のようにして行った。
【0064】
(製造例1)コラーゲン原液の作製(原液調製工程)
牛の床皮を原料とし、アルカリでコラーゲンを可溶化した。得られた可溶化コラーゲン1200g(コラーゲン分180g)に各実施例又は比較例に記載の添加剤を加え、乳酸水溶液で溶解し、pH3.5、固形分濃度(コラーゲンと添加剤からなる)が7.5重量%のコラーゲン水溶液になるように調整した。
【0065】
(製造例2)再生コラーゲン繊維の作製(紡糸工程)
製造例1で得られたコラーゲン水溶液を減圧下で攪拌脱泡処理し、ピストン式紡糸原液タンクに移送し、さらに減圧下で静置し、脱泡を行った。次いで、脱泡後のコラーゲン水溶液をピストンで押し出した後、ギアポンプで定量送液し、孔径45μmの焼結フィルターで濾過した。次いで、濾過後の可溶化コラーゲン水溶液を孔径0.212mm、孔数275の紡糸ノズルに通し、炭酸水素ナトリウム及び水酸化ナトリウムでpH11に調整した硫酸ナトリウム17重量%を含有する凝固浴(25℃)へ紡出速度5m/分で吐出することで再生コラーゲン繊維を得た。
【0066】
(製造例3)耐水化処理(耐水化工程)
製造例2で得られた再生コラーゲン繊維を、硫酸ナトリウム17重量%、水酸化ナトリウム0.02重量%、エピクロロヒドリン0.83重量%を含有した水溶液に25℃で5時間浸漬し、その後さらに43℃で3.5時間浸漬し、エポキシ化合物による処理を行った。次いで得られた再生コラーゲン繊維を水洗した後、水酸化ナトリウムでpH4.0に調整した硫酸ジルコニウムをZrO
2換算で2.00重量%、硫酸アルミニウムをAl
2O
3換算で0.40重量%、クエン酸1水和物0.56重量%を含有した処理浴に6時間浸漬した。次いで、ジルコニウム塩及びアルミニウム塩で処理した再生コラーゲン繊維を水洗した後、リン酸水素二ナトリウム5.0重量%を含有した処理浴(pH11.0)に6時間浸漬することで水不溶化再生コラーゲン繊維を得た。
【0067】
(製造例4)油剤・乾燥処理(乾燥工程)
製造例3で得た水不溶化再生コラーゲン繊維をアミノ変性シリコーンのエマルジョン及びポリエーテル系静電防止剤からなる油剤を満たした浴槽に浸漬して油剤を付着した後、70℃の均熱風乾燥機を用いて緊張下で乾燥させた。
【0068】
[金属酸化物の平均粒子径の測定方法]
金属酸化物の平均粒子径は、レーザー回折法を用いて金属酸化物の粒度分布を測定し、この粒度分布からメジアン径で表わした平均粒子径を求めた。レーザー回折法による粒度分布の測定は、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置LA−950(株式会社堀場製作所製)を用いた。
【0069】
[再生コラーゲン繊維の性能評価]
再生コラーゲン繊維の光沢、アイロン変色、及び透明度について評価を行った。その際の具体的な評価方法および尺度は以下のようである。
【0070】
<評価環境>
光沢、アイロン変色、透明度の判定は、
図1に示されるように、D65蛍光ランプ(東芝製 色比較・検査用D65蛍光ランプ,D−EDL−D65)光源からサンプルを15cm離し、反射光が45°となる位置でサンプルを目視し、以下の評価基準に基づいて評価した。
【0071】
なお、アイロン処理は、繊維をよく開繊した後、総繊度約10000dtexの束にする。この繊維束の末端を180℃に調整したヘアアイロンで5秒間はさみ、変色度合いを後述の評価基準で評価した。
【0072】
<評価基準>
【0073】
【表1】
【0074】
【表2】
【0075】
【表3】
【0076】
(実施例1)
可溶化コラーゲン1200.00g(コラーゲン分180.00g)にLightstar LA−S263(日産化学製、酸化ケイ素(SiO
2)粒子、固形分濃度26.0%、平均粒子径0.30μm)を5.20g(酸化ケイ素は1.352g)を混合した。添加剤(金属酸化物)の添加量はコラーゲン原液中のコラーゲンと金属酸化物の合計に対する金属酸化物の含有量で表し、次の式で求める。
【0077】
金属酸化物の含有量=添加剤(金属酸化物)/(コラーゲン+添加剤(金属酸化物))×100(%)=1.352/(180.00+1.352)×100=0.75%
さらに、乳酸水溶液と水を一定量添加してニーダーで攪拌し、pH3.5、固形分濃度(コラーゲンと添加剤からなる)が7.5%になるようにコラーゲン原液を調製した。
【0078】
得られたコラーゲン原液を製造例2〜4に記載の方法で処理し再生コラーゲン繊維を得た。
【0079】
最終的に得られた再生コラーゲン繊維の光沢は3級、透明度は標準であった。アイロン変色は1級であり、光沢、透明度、アイロン変色すべてで良好な結果が得られた。
【0080】
(実施例2)
可溶化コラーゲン1200.00g(コラーゲン分180.00g)にMP−4540M(日産化学製、酸化ケイ素(SiO
2)粒子、固形分濃度40.5%、平均粒子径0.41μm)を2.25g(酸化ケイ素は0.911g)を混合した。添加剤(金属酸化物)の添加量はコラーゲン原液中のコラーゲンと金属酸化物の合計に対する金属酸化物の含有量で表し、次の式で求める。
【0081】
金属酸化物の含有量=添加剤(金属酸化物)/(コラーゲン+添加剤(金属酸化物))×100(%)=0.911/(180.00+0.911)×100=0.50%
さらに、乳酸水溶液と水を一定量添加してニーダーで攪拌し、pH3.5、固形分濃度(コラーゲンと添加剤からなる)が7.5%になるようにコラーゲン原液を調製した。
【0082】
得られたコラーゲン原液を製造例2〜4に記載の方法で処理し再生コラーゲン繊維を得た。
【0083】
最終的に得られた再生コラーゲン繊維の光沢は3級、透明度は標準であった。アイロン変色は2級であり、光沢、透明度、アイロン変色すべてで良好な結果が得られた。
【0084】
(実施例3)
可溶化コラーゲン1200.00(コラーゲン分180.00)にPC−7T1082(住化カラー製、酸化ケイ素(SiO
2)粒子、固形分濃度23.2%、平均粒子径0.69μm)を5.90g(酸化ケイ素は1.369g)を混合した。添加剤(金属酸化物)の添加量はコラーゲン原液中のコラーゲンと金属酸化物の合計に対する金属酸化物の含有量で表し、次の式で求める。
【0085】
金属酸化物の含有量=添加剤(金属酸化物)/(コラーゲン+添加剤(金属酸化物))×100(%)=1.369/(180.00+1.369)×100=0.75%
さらに、乳酸水溶液と水を一定量添加してニーダーで攪拌し、pH3.5、固形分濃度(コラーゲンと添加剤からなる)が7.5%になるようにコラーゲン原液を調製した。
【0086】
得られたコラーゲン原液を製造例2〜4に記載の方法で処理し再生コラーゲン繊維を得た。
【0087】
最終的に得られた再生コラーゲン繊維の光沢は3級、透明度は標準であった。アイロン変色は1級であり、光沢、透明度、アイロン変色すべてで良好な結果が得られた。
【0088】
(実施例4)
可溶化コラーゲン1200.00g(コラーゲン分180.00g)にLightstar LA−S26(日産化学製、酸化ケイ素(SiO
2)粒子、固形分濃度26.0%、平均粒子径0.70μm)を5.20g(酸化ケイ素は1.352g)を混合した。添加剤(金属酸化物)の添加量はコラーゲン原液中のコラーゲンと金属酸化物の合計に対する金属酸化物の含有量で表し、次の式で求める。
【0089】
金属酸化物の含有量=添加剤(金属酸化物)/(コラーゲン+添加剤(金属酸化物))×100(%)=1.352/(180.00+1.352)×100=0.75%
さらに、乳酸水溶液と水を一定量添加してニーダーで攪拌し、pH3.5、固形分濃度(コラーゲンと添加剤からなる)が7.5%になるようにコラーゲン原液を調製した。
【0090】
得られたコラーゲン原液を製造例2〜4に記載の方法で処理し再生コラーゲン繊維を得た。
【0091】
最終的に得られた再生コラーゲン繊維の光沢は3級、透明度は標準であった。アイロン変色は2級であり、光沢、透明度、アイロン変色すべてで良好な結果が得られた。
【0092】
(実施例5)
可溶化コラーゲン1200.00g(コラーゲン分180.00g)にTITONE SA−1(堺化学製、酸化チタン(TiO
2)粒子、固形分濃度7.50%、平均粒子径0.15μm)を1.20g(酸化チタンは0.090g)を混合した。添加剤(金属酸化物)の添加量はコラーゲン原液中のコラーゲンと金属酸化物の合計に対する金属酸化物の含有量で表し、次の式で求める。
【0093】
金属酸化物の含有量=添加剤(金属酸化物)/(コラーゲン+添加剤(金属酸化物))×100(%)=0.090/(180.00+0.090)×100=0.05%
さらに、乳酸水溶液と水を一定量添加してニーダーで攪拌し、pH3.5、固形分濃度(コラーゲンと添加剤からなる)が7.5%になるようにコラーゲン原液を調製した。
【0094】
得られたコラーゲン原液を製造例2〜4に記載の方法で処理し再生コラーゲン繊維を得た。
【0095】
最終的に得られた再生コラーゲン繊維の光沢は3級、透明度は標準であった。アイロン変色は1級であり、光沢、透明度、アイロン変色すべてで良好な結果が得られた。
【0096】
(実施例6)
可溶化コラーゲン1200.00g(コラーゲン分180.00g)にTITONE GTR−100(堺化学製、酸化チタン(TiO
2)粒子、固形分濃度7.50%、平均粒子径0.26μm)を4.90g(酸化チタンは0.368g)を混合した。添加剤(金属酸化物)の添加量はコラーゲン原液中のコラーゲンと金属酸化物の合計に対する金属酸化物の含有量で表し、次の式で求める。
【0097】
金属酸化物の含有量=添加剤(金属酸化物)/(コラーゲン+添加剤(金属酸化物))×100(%)=0.368/(180.00+0.368)×100=0.20%
さらに、乳酸水溶液と水を一定量添加してニーダーで攪拌し、pH3.5、固形分濃度(コラーゲンと添加剤からなる)が7.5%になるようにコラーゲン原液を調製した。
【0098】
得られたコラーゲン原液を製造例2〜4に記載の方法で処理し再生コラーゲン繊維を得た。
【0099】
最終的に得られた再生コラーゲン繊維の光沢は3級、透明度は標準であった。アイロン変色は0級であり、光沢、透明度、アイロン変色すべてで良好な結果が得られた。
【0100】
(実施例7)
可溶化コラーゲン1200.00g(コラーゲン分180.00g)にAl
2O
3 1.5μm(和光純薬製、酸化アルミニウム(Al
2O
3)粒子、固形分濃度7.50%、平均粒子径1.50μm)を18.20g(酸化アルミニウムは1.365g)を混合した。添加剤(金属酸化物)の添加量はコラーゲン原液中のコラーゲンと金属酸化物の合計に対する金属酸化物の含有量で表し、次の式で求める。
【0101】
金属酸化物の含有量=添加剤(金属酸化物)/(コラーゲン+添加剤(金属酸化物))×100(%)=1.365/(180.00+1.365)×100=0.75%
さらに、乳酸水溶液と水を一定量添加してニーダーで攪拌し、pH3.5、固形分濃度(コラーゲンと添加剤からなる)が7.5%になるようにコラーゲン原液を調製した。
【0102】
得られたコラーゲン原液を製造例2〜4に記載の方法で処理し再生コラーゲン繊維を得た。
【0103】
最終的に得られた再生コラーゲン繊維の光沢は3級、透明度は標準であった。アイロン変色は0級であり、光沢、透明度、アイロン変色すべてで良好な結果が得られた。
【0104】
(実施例8)
可溶化コラーゲン1200.00g(コラーゲン分180.00g)にY−10(日産化学製、5酸化アンチモン(Sb
2O
5)粒子、固形分濃度44.0%、平均粒子径0.20μm)を12.65g(5酸化アンチモンは5.566g)を混合した。添加剤(金属酸化物)の添加量はコラーゲン原液中のコラーゲンと金属酸化物の合計に対する金属酸化物の含有量で表し、次の式で求める。
【0105】
金属酸化物の含有量=添加剤(金属酸化物)/(コラーゲン+添加剤(金属酸化物))×100(%)=5.566/(180.00+5.566)×100=3.00%
さらに、乳酸水溶液と水を一定量添加してニーダーで攪拌し、pH3.5、固形分濃度(コラーゲンと添加剤からなる)が7.5%になるようにコラーゲン原液を調製した。
【0106】
得られたコラーゲン原液を製造例2〜4に記載の方法で処理し再生コラーゲン繊維を得た。
【0107】
最終的に得られた再生コラーゲン繊維の光沢は3級、透明度は標準であった。アイロン変色は1級であり、光沢、透明度、アイロン変色すべてで良好な結果が得られた。
【0108】
(実施例9)
可溶化コラーゲン1200.00g(コラーゲン分180.00g)にMT−10(扶桑化学製、酸化ケイ素(SiO
2)粒子、固形分濃度28.0%、平均粒子径0.20μm)を3.20g(酸化ケイ素は0.896g)を混合した。添加剤(金属酸化物)の添加量はコラーゲン原液中のコラーゲンと金属酸化物の合計に対する金属酸化物の含有量で表し、次の式で求める。
【0109】
金属酸化物の含有量=添加剤(金属酸化物)/(コラーゲン+添加剤(金属酸化物))×100(%)=0.896/(180.00+0.896)×100=0.50%
さらに、乳酸水溶液と水を一定量添加してニーダーで攪拌し、pH3.5、固形分濃度(コラーゲンと添加剤からなる)が7.5%になるようにコラーゲン原液を調製した。
【0110】
得られたコラーゲン原液を製造例2〜4に記載の方法で処理し再生コラーゲン繊維を得た。
【0111】
最終的に得られた再生コラーゲン繊維の光沢は3級、透明度は標準であった。アイロン変色は2級であり、光沢、透明度、アイロン変色すべてで良好な結果が得られた。
【0112】
(実施例10)
可溶化コラーゲン1200.00g(コラーゲン分180.00g)にMT−10(扶桑化学製、酸化ケイ素(SiO
2)粒子、固形分濃度28.0%、平均粒子径0.20μm)を4.85g(酸化ケイ素は1.358g)を混合した。添加剤(金属酸化物)の添加量はコラーゲン原液中のコラーゲンと金属酸化物の合計に対する金属酸化物の含有量で表し、次の式で求める。
【0113】
金属酸化物の含有量=添加剤(金属酸化物)/(コラーゲン+添加剤(金属酸化物))×100(%)=1.358/(180.00+1.358)×100=0.75%
さらに、乳酸水溶液と水を一定量添加してニーダーで攪拌し、pH3.5、固形分濃度(コラーゲンと添加剤からなる)が7.5%になるようにコラーゲン原液を調製した。
【0114】
得られたコラーゲン原液を製造例2〜4に記載の方法で処理し再生コラーゲン繊維を得た。
【0115】
最終的に得られた再生コラーゲン繊維の光沢は3級、透明度は標準であった。アイロン変色は2級であり、光沢、透明度、アイロン変色すべてで良好な結果が得られた。
【0116】
(比較例1)
可溶化コラーゲン1200.00g(コラーゲン分180.00g)に乳酸水溶液と水を一定量添加してニーダーで攪拌し、pH3.5、固形分濃度(コラーゲン)が7.5%になるようにコラーゲン原液を調製した。
【0117】
得られたコラーゲン原液を製造例2〜4に記載の方法で処理し再生コラーゲン繊維を得た。
【0118】
最終的に得られた再生コラーゲン繊維の光沢は5級、透明度は透明と評価された。アイロン変色は1級であり、アイロン変色は良好であるが光沢が非常に強く、透明度も高いという結果が得られた。
【0119】
(比較例2)
可溶化コラーゲン1200.00g(コラーゲン分180.00g)にオレイン酸(日油製)9.470gを混合した。添加剤の添加量はコラーゲン原液中の固形分全体(コラーゲンと添加剤の合計)に対する割合で表し、次の式で求める。
【0120】
添加量=添加剤/(コラーゲン+添加剤)×100(%)=9.470/(180.00+9.470)×100=5.00%
さらに、乳酸水溶液と水を一定量添加してニーダーで攪拌し、pH3.5、固形分濃度(コラーゲンと添加剤からなる)が7.5%になるようにコラーゲン原液を調製した。
【0121】
得られたコラーゲン原液を製造例2〜4に記載の方法で処理し再生コラーゲン繊維を得た。
【0122】
最終的に得られた再生コラーゲン繊維の光沢は3級、透明度は標準であった。アイロン変色は4級であり、光沢および透明度は良好であるがアイロン変色が顕著に観察される結果が得られた。
【0123】
(比較例3)
可溶化コラーゲン1200.00g(コラーゲン分180.00g)にエポキシ化大豆油9.470gを混合した。添加剤の添加量はコラーゲン原液中の固形分全体(コラーゲンと添加剤の合計)に対する割合で表し、次の式で求める。
【0124】
添加量=添加剤/(コラーゲン+添加剤)×100(%)=9.470/(180.00+9.470)×100=5.00%
さらに、乳酸水溶液と水を一定量添加してニーダーで攪拌し、pH3.5、固形分濃度(コラーゲンと添加剤からなる)が7.5%になるようにコラーゲン原液を調製した。
【0125】
得られたコラーゲン原液を製造例2〜4に記載の方法で処理し再生コラーゲン繊維を得た。
【0126】
最終的に得られた再生コラーゲン繊維の光沢は3級、透明度は標準であった。アイロン変色は3級であり、光沢および透明度は良好であるがアイロン変色が観察される結果が得られた。
【0127】
(比較例4)
可溶化コラーゲン1200.00g(コラーゲン分180.00g)にポリ酢酸ビニル(PVAc)エマルジョン(昭和電工製、固形分濃度25.0%)を80.00g(ポリ酢酸ビニル樹脂は20.000g)を混合した。添加剤の添加量はコラーゲン原液中の固形分全体(コラーゲンと添加剤の合計)に対する割合で表し、次の式で求める。
【0128】
添加量=添加剤/(コラーゲン+添加剤)×100(%)=20.000/(180.00+20.000)×100=10.00%
さらに、乳酸水溶液と水を一定量添加してニーダーで攪拌し、pH3.5、固形分濃度(コラーゲンと添加剤からなる)が7.5%になるようにコラーゲン原液を調製した。
【0129】
得られたコラーゲン原液を製造例2〜4に記載の方法で処理し再生コラーゲン繊維を得た。
【0130】
最終的に得られた再生コラーゲン繊維の光沢は3級、透明度は不透明と評価された。アイロン変色は4級であり、光沢は良好であるが透明度が低く、アイロン変色が顕著に観察される結果が得られた。
【0131】
(比較例5)
可溶化コラーゲン1200.00g(コラーゲン分180.00g)にポリ酢酸ビニル(PVAc)エマルジョン(昭和電工製、固形分濃度25.0%)を37.90g(ポリ酢酸ビニル樹脂は9.475g)を混合した。添加剤の添加量はコラーゲン原液中の固形分全体(コラーゲンと添加剤の合計)に対する割合で表し、次の式で求める。
【0132】
添加量=添加剤/(コラーゲン+添加剤)×100(%)=9.475/(180.00+9.475)×100=5.00%
さらに、乳酸水溶液と水を一定量添加してニーダーで攪拌し、pH3.5、固形分濃度(コラーゲンと添加剤からなる)が7.5%になるようにコラーゲン原液を調製した。
【0133】
得られたコラーゲン原液を製造例2〜4に記載の方法で処理し再生コラーゲン繊維を得た。
【0134】
最終的に得られた再生コラーゲン繊維の光沢は4級、透明度は標準であった。アイロン変色は4級であり、透明度は良好であるが、光沢が強く、アイロン変色が顕著に観察される結果が得られた。
【0135】
(比較例6)
可溶化コラーゲン1200.00g(コラーゲン分180.00g)にポリストロン117(荒川化学工業製、固形分濃度15.0%)を133.40g(ポリアクリルアミド樹脂は20.010g)を混合した。添加剤の添加量はコラーゲン原液中の固形分全体(コラーゲンと添加剤の合計)に対する割合で表し、次の式で求める。
【0136】
添加量=添加剤/(コラーゲン+添加剤)×100(%)=20.010/(180.00+20.010)×100=10.00%
さらに、乳酸水溶液と水を一定量添加してニーダーで攪拌し、pH3.5、固形分濃度(コラーゲンと添加剤からなる)が7.5%になるようにコラーゲン原液を調製した。
【0137】
得られたコラーゲン原液を製造例2〜4に記載の方法で処理し再生コラーゲン繊維を得た。
【0138】
最終的に得られた再生コラーゲン繊維の光沢は5級、透明度は透明と評価された。アイロン変色は1級であり、アイロン変色は良好であるが光沢が非常に強く、透明度も高いという結果が得られた。
【0139】
(比較例7)
可溶化コラーゲン1200.00g(コラーゲン分180.00g)にアラフィックス 255(荒川化学工業製、固形分濃度25.0%)を80.00g(ポリアミドポリアミン樹脂は20.000g)を混合した。添加剤の添加量はコラーゲン原液中の固形分全体(コラーゲンと添加剤の合計)に対する割合で表し、次の式で求める。
【0140】
添加量=添加剤/(コラーゲン+添加剤)×100(%)=20.000/(180.00+20.000)×100=10.00%
さらに、乳酸水溶液と水を一定量添加してニーダーで攪拌し、pH3.5、固形分濃度(コラーゲンと添加剤からなる)が7.5%になるようにコラーゲン原液を調製した。
【0141】
得られたコラーゲン原液を製造例2〜4に記載の方法で処理し再生コラーゲン繊維を得た。
【0142】
最終的に得られた再生コラーゲン繊維の光沢は5級、透明度は透明と評価された。アイロン変色は1級であり、アイロン変色は良好であるが光沢が非常に強く、透明度も高いという結果が得られた。
【0143】
(比較例8)
可溶化コラーゲン1200.00g(コラーゲン分180.00g)にBARIFINE BF−20(堺化学製、硫酸バリウム粒子、固形分濃度7.50%、平均粒子径0.03μm)を18.20g(硫酸バリウムは1.365g)を混合した。添加剤の添加量はコラーゲン原液中の固形分全体(コラーゲンと添加剤の合計)に対する割合で表し、次の式で求める。
【0144】
添加量=添加剤/(コラーゲン+添加剤)×100(%)=1.365/(180.00+1.365)×100=0.75%
さらに、乳酸水溶液と水を一定量添加してニーダーで攪拌し、pH3.5、固形分濃度(コラーゲンと添加剤からなる)が7.5%になるようにコラーゲン原液を調製した。
【0145】
得られたコラーゲン原液を製造例2〜4に記載の方法で処理し再生コラーゲン繊維を得た。
【0146】
最終的に得られた再生コラーゲン繊維の光沢は5級、透明度は透明と評価された。アイロン変色は1級であり、アイロン変色は良好であるが光沢が非常に強く、透明度も高いという結果が得られた。
【0147】
(比較例9)
可溶化コラーゲン1200.00g(コラーゲン分180.00g)にBARIFINE BF−20(堺化学製、硫酸バリウム粒子、固形分濃度7.50%、平均粒子径0.03μm)を74.20g(硫酸バリウムは5.565g)を混合した。添加剤の添加量はコラーゲン原液中の固形分全体(コラーゲンと添加剤の合計)に対する割合で表し、次の式で求める。
【0148】
添加量=添加剤/(コラーゲン+添加剤)×100(%)=5.565/(180.00+5.565)×100=3.00%
さらに、乳酸水溶液と水を一定量添加してニーダーで攪拌し、pH3.5、固形分濃度(コラーゲンと添加剤からなる)が7.5%になるようにコラーゲン原液を調製した。
【0149】
得られたコラーゲン原液を製造例2〜4に記載の方法で処理し再生コラーゲン繊維を得た。
【0150】
最終的に得られた再生コラーゲン繊維の光沢は5級、透明度は透明と評価された。アイロン変色は1級であり、アイロン変色は良好であるが光沢が非常に強く、透明度も高いという結果が得られた。また、再生コラーゲン繊維表面に白点が観察された。
【0151】
(比較例10)
可溶化コラーゲン1200.00g(コラーゲン分180.00g)にBARIFINE BF−20(堺化学製、硫酸バリウム粒子、固形分濃度7.50%、平均粒子径0.03μm)を126.30g(硫酸バリウムは9.473g)を混合した。添加剤の添加量はコラーゲン原液中の固形分全体(コラーゲンと添加剤の合計)に対する割合で表し、次の式で求める。
【0152】
添加量=添加剤/(コラーゲン+添加剤)×100(%)=9.473/(180.00+9.473)×100=5.00%
さらに、乳酸水溶液と水を一定量添加してニーダーで攪拌し、pH3.5、固形分濃度(コラーゲンと添加剤からなる)が7.5%になるようにコラーゲン原液を調製した。
【0153】
得られたコラーゲン原液を製造例2〜4に記載の方法で処理し再生コラーゲン繊維を得た。
【0154】
最終的に得られた再生コラーゲン繊維の光沢は5級、透明度は透明と評価された。アイロン変色は0級であり、アイロン変色は良好であるが光沢が非常に強く、透明度も高いという結果が得られた。また、再生コラーゲン繊維表面に白点が観察された。
【0155】
(比較例11)
可溶化コラーゲン1200.00g(コラーゲン分180.00g)にバリエース B−35(堺化学製、硫酸バリウム粒子、固形分濃度72.20%、平均粒子径0.30μm)を1.88g(硫酸バリウムは1.357g)を混合した。添加剤の添加量はコラーゲン原液中の固形分全体(コラーゲンと添加剤の合計)に対する割合で表し、次の式で求める。
【0156】
添加量=添加剤/(コラーゲン+添加剤)×100(%)=1.357/(180.00+1.357)×100=0.75%
さらに、乳酸水溶液と水を一定量添加してニーダーで攪拌し、pH3.5、固形分濃度(コラーゲンと添加剤からなる)が7.5%になるようにコラーゲン原液を調製した。
【0157】
得られたコラーゲン原液を製造例2〜4に記載の方法で処理し再生コラーゲン繊維を得た。
【0158】
最終的に得られた再生コラーゲン繊維の光沢は3級、透明度は標準であった。アイロン変色は4級であり、光沢、透明度は良好であるがアイロン変色が顕著に観察される結果が得られた。
【0159】
実施例1〜10、比較例1〜11の結果は下記の表4に示される。なお、表4における「凝集体」の項目は、上記評価環境で再生コラーゲン繊維に対する観察により、顆粒状物質、例えば黒点又は白点が含まれているか否かを示す。
【0160】
表4における「金属酸化物量」は、実施例では金属酸化物の重量%であるが、比較例については金属酸化物ではないが各添加剤の添加重量%として示す。
【0161】
【表4】
【0162】
表4から分かるように、コラーゲン原液に金属酸化物を加えると、光沢と透明度がいずれも人毛に近似し、且つ高温のヘアアイロンを用いたスタイリング時にも熱変色を受けにくい再生コラーゲン繊維が得られる。コラーゲン原液に有機添加剤、例えばオレイン酸、エポキシ化大豆油、PVAcを加えると、光沢は抑制される(例えば比較例2〜4)ものの、アイロン変色を抑制することができない。また、コラーゲン原液に金属酸化物以外の無機系添加剤、例えば硫酸バリウムを加える時も、光沢、透明度、アイロン変色のすべてで良好な結果を得ることができず、再生コラーゲン繊維に白点が生じることもある。