(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1の採取部材を装着する第1のホルダと第2の採取部材を装着する第2のホルダとを少なくとも有する実装ヘッドを備え、部品供給部から供給された部品を採取して実装処理する実装装置を含む実装システムに用いられる制御装置であって、
情報を記憶する記憶部と、
前記第1の採取部材の先端の第1のずれ量と前記第2の採取部材の先端の第2のずれ量とを取得し、前記第1のずれ量と前記第2のずれ量とに基づいて求められる前記採取部材の先端の間隔が所定範囲内に入る前記採取部材の組み合わせを選択する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記採取部材の識別情報と、前記ずれ量を示した前記ホルダの識別情報と、前記採取部材の先端のずれ量とを取得し、取得した該採取部材の識別情報と該ホルダの識別情報と該ずれ量とを対応付けた対応情報として前記記憶部へ記憶させる、制御装置。
第1の採取部材を装着する第1のホルダと第2の採取部材を装着する第2のホルダとを少なくとも有する実装ヘッドを備え、部品供給部から供給された部品を採取して実装処理する実装装置を含む実装システムに用いられる制御装置であって、前記第1の採取部材の先端の第1のずれ量と前記第2の採取部材の先端の第2のずれ量とを取得し、前記第1のずれ量と前記第2のずれ量とに基づいて求められる前記採取部材の先端の間隔が所定範囲内に入る前記採取部材の組み合わせを選択する制御部、を備えた制御装置と、
第1の採取部材を装着する第1のホルダと第2の採取部材を装着する第2のホルダとを少なくとも有する実装ヘッドと、
前記実装ヘッドへ部品を供給する部品供給部と、を備え、
前記制御部は、前記第1の採取部材の先端の第1のずれ量と前記第2の採取部材の先端の第2のずれ量とを取得し、前記第1のずれ量と前記第2のずれ量とに基づいて求められる前記採取部材の先端の間隔が所定範囲内に入る前記採取部材の組み合わせを選択し、選択した前記採取部材を前記実装ヘッドへ装着させる、実装装置。
前記制御部は、前記採取部材の先端の間隔が所定範囲内であるか否かを判定し、前記先端の間隔が所定範囲内であると判定されたときには、前記第1の採取部材と前記第2の採取部材とにより同一工程内で前記部品供給部から前記部品を前記実装ヘッドに採取させる、請求項3に記載の実装装置。
第1の採取部材を装着する第1のホルダと第2の採取部材を装着する第2のホルダとを少なくとも有する実装ヘッドを備え、部品供給部から供給された部品を採取して実装処理する実装装置を含む実装システムに用いられる制御方法であって、
(a)前記第1の採取部材の先端の第1のずれ量と前記第2の採取部材の先端の第2のずれ量とを取得するステップと、
(b)取得した前記第1のずれ量と前記第2のずれ量とに基づいて求められる前記採取部材の先端の間隔が所定範囲内に入る前記採取部材の組み合わせを選択するステップと、
(c)前記採取部材の識別情報と、前記ずれ量を示した前記ホルダの識別情報と、前記採取部材の先端のずれ量とを取得し、取得した該採取部材の識別情報と該ホルダの識別情報と該ずれ量とを対応付けた対応情報として記憶部へ記憶させるステップと、
を含む制御方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本実施形態を図面を参照しながら以下に説明する。
図1は、本開示である実装システム10の一例を示す概略説明図である。
図2は、実装ヘッド22の説明図である。
図3は、実装ヘッド22が部品Pを同時採取する説明図である。
図4は、記憶部32に記憶された対応情報33の一例を表す説明図である。実装システム10は、例えば、部品Pを基板Sに実装する処理に関する実装処理を実行するシステムである。この実装システム10は、実装装置11と、管理コンピュータ(PC)50とを備えている。実装システム10は、複数の実装装置11が上流から下流に配置された実装ラインとして構成されている。
図1では、説明の便宜のため実装装置11を1台のみ示している。なお、本実施形態において、左右方向(X軸)、前後方向(Y軸)及び上下方向(Z軸)は、
図1、3に示した通りとする。
【0011】
実装装置11は、
図1に示すように、基板処理部12と、部品供給部14と、部品撮像部16と、ノズル保管部18と、実装部20と、制御装置30とを備えている。基板処理部12は、基板Sの搬入、搬送、実装位置での固定、搬出を行うユニットである。基板処理部12は、
図1の前後に間隔を開けて設けられ左右方向に架け渡された1対のコンベアベルトを有している。基板Sはこのコンベアベルトにより搬送される。
【0012】
部品供給部14は、リールを備えた複数のフィーダ15やトレイユニットを有し、実装装置11の前側に着脱可能に取り付けられている。各リールには、テープが巻き付けられ、テープの表面には、複数の部品Pがテープの長手方向に沿って保持されている。このテープは、リールから後方に向かって巻きほどかれ、部品が露出した状態で、吸着ノズル25で吸着される採取位置にフィーダ部により送り出される。トレイユニットは、部品を複数配列して載置するトレイを有し、所定の採取位置へこのトレイを出し入れする。
【0013】
部品撮像部16(撮像部)は、画像を撮像する装置であり、実装ヘッド22に採取され保持された1以上の部品Pを撮像するユニットである。この部品撮像部16は、部品供給部14と基板処理部12との間に配置されている。この部品撮像部16の撮像範囲は、部品撮像部16の上方である。部品撮像部16は、部品Pを保持した実装ヘッド22が部品撮像部16の上方を通過する際、その画像を撮像し、撮像画像データを制御装置30へ出力する。
【0014】
ノズル保管部18は、複数種類の吸着ノズル25を複数個、収納穴に保管するものである。実装ヘッド22は、部品Pを装着する基板Sの種類や部品Pの種類に応じて、ノズル保管部18に保管された吸着ノズル25に交換して実装処理を行う。
【0015】
実装部20は、部品Pを部品供給部14から採取し、基板処理部12に固定された基板Sへ配置するものである。実装部20は、ヘッド移動部21と、実装ヘッド22と、保持体23と、ノズルホルダ24と、吸着ノズル25とを備えている。ヘッド移動部21は、ガイドレールに導かれてXY方向へ移動するスライダと、スライダを駆動するモータとを備えている。実装ヘッド22は、スライダに取り外し可能に装着されており、ヘッド移動部21によりXY方向へ移動する。実装ヘッド22の下面には、1以上の吸着ノズル25が取り外し可能に保持体23を介して装着されている。保持体23には、複数種のうちいずれかの種別の吸着ノズル25が複数装着される。保持体23には、複数の吸着ノズル25(例えば、16個や8個、4個など)がノズルホルダ24を介して装着され、複数の部品Pを1度に採取可能である。ノズルホルダ24と吸着ノズル25とには嵌合する凹凸部が形成されており、ノズルホルダ24には、予め定められた軸回転位置で吸着ノズル25が装着される。吸着ノズル25は、負圧を利用して部品を採取する採取部材であり、実装ヘッド22にノズルホルダ24を介して取り外し可能に装着されている。
【0016】
この実装ヘッド22は、回転可能な状態で保持体23に保持されるロータリー型の作業ヘッドとして構成されている。実装ヘッド22の保持体23は、
図2、3に示すように、X軸スライダに取り付けられるヘッド本体40と、ヘッド本体40から下方に配設された係合軸41とを備えている。保持体23は、円柱状の部材であるロータリー部42と、ロータリー部42の下方に配設されたR軸ギア43と、ロータリー部42の上方に配設されたQ軸ギア44と、下端に吸着ノズル25を装着する長尺円筒状の複数のノズルホルダ24とを備えている。ヘッド本体40には、ロータリー部42を軸回転させるR軸モータ26と、吸着ノズル25を軸回転させるQ軸モータ27と、押下部29を移動することにより吸着ノズル25を昇降させるZ軸モータ28とが配設されている。なお、ロータリー部42の回転軸をR軸と称し、吸着ノズル25の回転軸をQ軸と称する。係合軸41は、軸回転可能にヘッド本体40に配設されており、Q軸ギア44の中心に形成された有底孔に挿入され保持体23を係合する。ロータリー部42は、例えば、ノズルホルダ24の中心軸を中心に回転可能に且つ上下動可能に複数のノズルホルダ24を支持する円柱状の部材である。R軸ギア43は、ロータリー部42よりも大きな外径を有している円板状の部材であり、外周面にギア溝が形成されている。このR軸ギア43は、R軸モータ26の回転軸に接続された小ギア45に噛み合っており、この小ギア45を介してR軸モータ26により回転駆動される。Q軸ギア44は、ロータリー部42よりも小さな外径を有している円筒状の部材であり、外周面にギア溝が形成されている。ノズルホルダ24は、その上端側に小ギア46が配設され、下端側に吸着ノズル25を装着する部材である。小ギア46は、Q軸ギア44の外周に形成されたギア溝に噛み合っている。ノズルホルダ24は、Q軸ギア44の外周に沿って等間隔に配設されている。ノズルホルダ24は、Q軸モータ27に接続された小ギア47、Q軸ギア44及びノズルホルダ24の上端側に配設された小ギア46を介して伝達されたQ軸モータ27の駆動力により回転軸(Q軸)を中心に回転(自転)し、吸着した部品Pの角度を調整可能となっている。この実装ヘッド22では、Q軸ギア44の回転に連動して全てのノズルホルダ24が同期して回転する。このノズルホルダ24は、押下部29を介して伝達されたZ軸モータ28の駆動力により、Z軸方向(上下方向)に昇降される。実装ヘッド22では、X軸方向において左端部に位置する第1昇降位置Aと右端部に位置する第2昇降位置Bの2カ所(
図3参照)でノズルホルダ24をZ軸方向に昇降する。ここでは、第1昇降位置Aにあるものを吸着ノズル25a、第2昇降位置Bにあるものを吸着ノズル25bとして説明する。この実装ヘッド22は、複数の吸着ノズル25により、部品供給部14から複数の部品Pを同一工程内で採取可能である。なお、「同一工程内」とは、例えば、実装ヘッド22が採取位置に配置されたのち次に移動するまでの間としてもよいし、実装ヘッド22が採取位置に配置されたのち実装位置へ移動するまでの間としてもよい。ここでは、「同一工程内」とは複数の部品Pを同時に採取する場合について説明し、これを同時採取とも称する。
【0017】
制御装置30は、
図1に示すように、制御部としてのCPU31を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、各種データを記憶する記憶部32などを備えている。この制御装置30は、基板処理部12や、部品供給部14、部品撮像部16、実装部20へ制御信号を出力し、実装部20や部品供給部14、部品撮像部16からの信号を入力する。記憶部32には、
図4に示すように、吸着ノズル25のIDと、吸着ノズル25のサイズと、保持体23のIDと、ノズルホルダ24のIDと、吸着ノズル25の先端のずれ量とを対応付けた対応情報33が記憶されている。吸着ノズル25は、ノズルホルダ24に装着された際に、その組み合わせによっては、先端が真正の位置からずれたり、そのずれ量が変わることがある。この対応情報33は、吸着ノズル25ごとにノズルホルダ24とノズル先端のずれ量とを対応付けて記憶する。このため、実装装置11では、対応情報33を用いることにより、ずれ量の再現性をより高めることができる。また、記憶部32には、部品Pを基板Sへ実装する実装順や部品Pの配置位置、部品Pを採取可能な吸着ノズル25の種別などを含む実装条件情報が記憶されている。
【0018】
管理PC50は、実装システム10の各装置の情報を管理するコンピュータである。管理PC50は、
図1に示すように、制御装置51と、記憶部33と、ディスプレイと、入力装置とを備えている。制御装置51は、制御部としてのCPU52を中心とするマイクロプロセッサとして構成されている。記憶部33は、例えばHDDなど、処理プログラムなど各種データを記憶する装置である。ディスプレイは、各種情報を表示する液晶画面である。入力装置は、作業者が各種指令を入力するキーボード及びマウス等を含む。記憶部33には記憶部32に記憶された対応情報33と同様の対応情報54が記憶されている。
【0019】
次に、こうして構成された本実施形態の実装システム10の動作、特に、実装装置11での実装処理について説明する。
図5は、制御装置30のCPU31により実行される実装処理ルーチンの一例を表すフローチャートである。このルーチンは、記憶部32に記憶され、作業者の実装開始入力に基づいて実行される。このルーチンが開始されると、CPU31は、まず、実装条件情報及び対応情報33を読み出して取得し(S100)、基板Sの搬送及び固定処理を基板処理部12に行わせる(S110)。次に、CPU31は、実装条件情報19の配置順に基づいて吸着ノズル25が吸着する配置対象である部品Pを設定する(S120)。次に、CPU31は、設定された部品Pを採取する吸着ノズル25の交換や装着が必要であるか否かを判定する(S130)。吸着ノズル25の装着、交換を要すると判定されたときには、CPU31は、ノズル保管部18に保管されている吸着ノズル25に装着、交換を行う(S140)。
【0020】
次に、CPU31は、新たに交換、装着された吸着ノズル25の先端のずれ量を測定すると共に、測定したずれ量と吸着ノズル25の識別情報とノズルホルダ24の識別情報とを対応付けて対応情報33へ記憶させる(S150)。
図6は、吸着ノズル25のずれ量の説明図である。ずれ量の測定は、実装ヘッド22の下面側を部品撮像部16で撮像し、その撮像画像を用いて、真正のノズル先端位置からX軸方向、Y軸方向にどれくらいずれているかを求めることによって行う。例えば、ずれ量は、吸着ノズル25が第1昇降位置Aに位置するときのX軸方向のずれ量dX、Y軸方向のずれ量dYで管理されるものとしてもよい。このノズル先端のずれ量は、部品Pを採取するときの位置補正に用いられる。
【0021】
次に、CPU31は、実装ヘッド22に装着された吸着ノズル25のうち第1昇降位置A及び第2昇降位置Bに配置されたときに、ノズル先端の間隔が所定範囲外となる吸着ノズル25の組み合わせがあるか否かを判定する(S160)。CPU31は、ノズル先端のX軸方向のずれ量から求められる間隔Lxが所定範囲としての基準距離Xl以上Xu以下の範囲外であるか否か、及びノズル先端のY軸方向のずれ量から求められる間隔Lyが所定範囲としての基準距離Yl以上Yu以下の範囲外であるか否かに基づいてこの判定を行うことができる。
図7は、吸着ノズル25のずれがなく間隔Lxが所定範囲内である説明図である。
図8は、吸着ノズル25にずれがあり間隔Lxが所定範囲外である説明図である。なお、
図7、8では、便宜的にX軸方向のみ示している。この所定範囲(基準距離Xl〜Xu,Yl〜Yu)は、部品供給部14で供給される部品Pの間隔に基づいて定められるものとしてもよく、具体的には、実装ヘッド22を移動することなく複数の部品Pが同時に採取可能な間隔範囲に定められるものとしてもよい。この基準距離Xl,Ylは、部品Pを同時採取可能なノズル先端の最短距離であり、基準距離Xu、Yuは、部品Pを同時採取可能なノズル先端の最長距離である。
【0022】
ノズル先端の間隔が所定範囲外となるものがあるときには、CPU31は、ノズル先端の間隔が所定範囲になるノズルの組み合わせを選択する(S170)。この処理では、CPU31は、ノズル保管部18に保管されている吸着ノズル25の中から所定範囲内になる吸着ノズル25を選択するものとする。例えば、
図6に示すように、第1昇降位置Aにてずれ量が(+dX、+dY)である特定の吸着ノズル25に対しては、対向する第2昇降位置Bに回転移動すると(−dX、−dY)となる。CPU31は、第1昇降位置Aにおいて(−dX、−dY)により近い値を示す吸着ノズル25を選択すれば、第2昇降位置Bに回転移動すると(dX、dY)となるため、ずれ量が相殺され、ノズル先端の間隔が所定範囲内になる確率が高まる。CPU31は、このような基準で、装着されるノズルホルダ24でのずれ量を用いて対向する吸着ノズル25を選択する。なお、ノズル先端の間隔が所定範囲内になるものがない場合には、CPU31は、その吸着ノズル25については、部品Pの同時採取を解除するものとしてもよい。続いて、CPU31は、選択された組み合わせの吸着ノズル25に交換させる(S180)。
図9は、吸着ノズル25にずれはあるが、間隔Lxが所定範囲内である説明図である。上述したように吸着ノズル25の好適な組み合わせを選択すると、
図9に示すように、ノズル先端にずれがある場合でも、そのずれが相殺され、部品Pの同時採取を行うことができる。
【0023】
S180のあと、またはS130でノズル装着、交換を要しないとき、あるいはS160でノズル先端の間隔が所定範囲外となるものがないときには、CPU31は、現在の吸着ノズル25のセットで配置対象の部品Pの採取処理を行わせる(S190)。CPU31は、部品供給部14の採取位置へ実装ヘッド22を移動させ、ノズル先端のずれ量を加味して複数の吸着ノズル25により部品Pの同時採取を行わせる。次に、CPU31は、部品Pの移動処理、及び実装ヘッド22に保持された部品Pの撮像処理を実装部20及び部品撮像部16に行わせる(S200)。CPU31は、このとき部品撮像部16の上方を通過するよう実装ヘッド22を移動させる。
【0024】
次に、CPU31は、実装ヘッド22に保持された部品Pの採取位置ずれや回転などを補正しつつ、部品Pを基板Sの配置位置へ配置させる(S210)。なお、CPU31は、撮像画像から部品Pの変形などの有無などを判定してもよい。続いて、CPU31は、現基板の実装処理が完了したか否かを判定し(S220)、完了していないときには、S120以降の処理を実行する。即ち、CPU31は、次に吸着する部品Pを設定し、必要に応じて、吸着ノズル25を取り替え、ノズルの先端の間隔が所定範囲内になる吸着ノズル25を選択し、ずれ量を補正して部品Pを基板Sに配置させる。一方、S220で現基板の実装処理が完了したときには、CPU31は、実装完了した基板Sを基板処理部12により排出させ(S230)、生産完了したか否かを判定する(S240)。生産完了していないときには、CPU31は、S110以降の処理を実行する一方、生産完了したときには、そのままこのルーチンを終了する。
【0025】
次に、管理PC50で吸着ノズル25の好適な組み合わせを選択する場合について説明する。管理PC50でノズル先端のずれ量などを管理しておけば、実装条件情報での個別ノズルの指定に役立ち、あるいはノズル保管部18へ良好な組み合わせの吸着ノズル25を配置しておくことができる。
図10は、制御装置51のCPU52が実行するノズル組合せ選択処理ルーチンの一例を表すフローチャートである。このルーチンは、記憶部53に記憶され、作業者による吸着ノズル25の組み合わせ選択処理の開始入力に基づいて実行される。ここでは、実装条件情報には、部品Pの配置順と使用するノズル種別の指定は記憶されているが、個別のノズルはまだ指定されていないものとする。このルーチンが開始されると、CPU52は、まず、実装条件情報及び対応情報54を読み出して取得し(S300)、配置対象の部品Pを設定し(S310)、使用する吸着ノズル25の種別を選択する(S320)。対応情報54は、実装装置11により更新された対応情報33により適宜更新されているものとする。次に、CPU52は、吸着ノズル25の先端のずれ量を対応情報54から取得し、ノズル先端の間隔が所定範囲内になる吸着ノズル25の組み合わせを選択する(S340)。この選択は、上記S170と同様の処理とし、ノズルホルダ24との組み合わせを考慮しつつ吸着ノズル25の選択を行うものとする。
【0026】
続いて、CPU52は、選択した内容を表示処理させる(S350)。CPU52は、選択された吸着ノズル25の識別情報などを適宜ディスプレイに表示させてもよい。このとき、ノズル保管部18にノズルセットとして保管されることが視認可能な表示画面をディスプレイに表示させるものとしてもよい。次に、CPU52は、次の配置対象の部品Pがあるか否かを実装条件情報の実装順の情報に基づいて判定し(S360)、次の配置対象の部品Pがあるときには、S310以降の処理を実行する。一方、S360で次の配置対象の部品Pがないときには、S340で選択された個別の吸着ノズル25の組み合わせを実装条件情報に記憶させ(S370)、このルーチンを終了する。このように、管理PC50で好適な吸着ノズル25の組み合わせを選択することにより、事前に良好なノズルセットを設定することができる。
【0027】
ここで、本実施形態の構成要素と本開示の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態の制御装置30及び制御装置51が本開示の制御装置に相当し、CPU31及びCPU52が制御部に相当し、吸着ノズル25が採取部材に相当し、ノズルホルダ24がホルダに相当する。また、記憶部32及び記憶部53が記憶部に相当し、実装ヘッド22が実装ヘッドに相当し、部品供給部14が部品供給部に相当し、部品撮像部16が撮像部に相当する。なお、本実施形態では、制御装置30及び制御装置51の動作を説明することにより本開示の制御方法の一例も明らかにしている。
【0028】
以上説明した本実施形態の実装装置11は、吸着ノズル25を装着する複数のノズルホルダ24を有する実装ヘッド22と、部品供給部14から供給された部品Pを採取して実装処理する制御装置30を備える。この制御装置30は、吸着ノズル25aの先端のずれ量と吸着ノズル25bの先端のずれ量とを取得し、これらのずれ量に基づいて求められるノズル先端の間隔が所定範囲内に入る吸着ノズル25の組み合わせを選択する。この制御装置30では、同一工程内での部品Pの採取により適した吸着ノズル25の組み合わせを選択することができるため、同一工程内での複数部品Pの採取をより確実に行うことができる。また、管理PC50は、選択した吸着ノズル25の組み合わせを表示出力させるため、作業者は、表示出力された吸着ノズル25の組み合わせを確認することができ、例えば、吸着ノズル25を事前にノズル保管部18にセットすることなどができる。
【0029】
また、CPU31は、吸着ノズル25のID(識別情報)と、ずれ量を示したノズルホルダ24のIDと、吸着ノズル25の先端のずれ量とを取得し、取得したノズルIDとホルダIDとずれ量とを対応付けた対応情報33として記憶部32へ記憶させる。この制御装置30では、対応情報33を管理することにより、例えば、同一工程内で部品Pを採取可能な吸着ノズル25の組み合わせを予め選択することができる。あるいは、この制御装置30では、予め記憶された対応情報33を用いることによって、ずれ量の測定を省略することができる。また、CPU52は、吸着ノズル25の先端の間隔が所定範囲内に入る吸着ノズル25の組み合わせを対応情報54を用いて選択することができる。また、CPU31は、吸着ノズル25の先端の間隔が所定範囲内であるか否かを判定し、ノズル先端の間隔が所定範囲内であると判定されたときには、吸着ノズル25a,25bにより同一工程内で部品供給部14から部品Pを実装ヘッド22に採取させる。この実装装置11では、同一工程内での複数部品Pの採取をより確実に行うことができる。
【0030】
実装装置11は、ノズル先端の間隔が所定範囲内に入る吸着ノズル25の組み合わせを選択し、選択した吸着ノズル25を実装ヘッド22へ装着させるため、より適した吸着ノズル25を選択して装着させるから、同一工程内での複数の部品Pの採取をより確実に行うことができる。また、実装装置11は、吸着ノズル25を装着した実装ヘッド22を部品撮像部16に撮像させた撮像画像に基づいて、吸着ノズル25の先端のずれ量を取得するため、撮像画像を用いて、吸着ノズル25の先端のずれ量を測定することができる
【0031】
なお、本開示の制御装置及び実装装置は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0032】
例えば、上述した実施形態では、管理PC50で吸着ノズル25の組み合わせをディスプレイへ表示処理するものとしたが、実装装置11の操作パネル上の表示部に表示させてもよい。あるいは、管理PC50や実装装置11において、吸着ノズル25の組み合わせの表示処理を省略してもよい。このような実装装置11及び管理PC50においても、選択された吸着ノズル25の組み合わせを利用すれば、同一工程内での複数の部品Pの採取をより確実に行うことができる。
【0033】
上述した実施形態では、第1昇降位置Aと第2昇降位置Bの2箇所で部品Pを同時採取するものとして説明したが、3箇所以上で部品Pを同時採取するものとしてもよい。例えば、この採取位置が3個ある場合、「所定範囲」は、第1及び第2の吸着ノズル25の先端間隔と、第2及び第3の吸着ノズル25の先端間隔と、第1及び第3の吸着ノズル25の先端間隔とのうち2以上に対して定められているものとしてもよい。
【0034】
上述した実施形態では、X軸方向及びY軸方向に対して所定範囲内になる吸着ノズル25の組み合わせを選択するものとしたが、特にこれに限定されず、例えば、X軸方向に対してのみ所定範囲内になる吸着ノズル25の組み合わせを選択し、Y軸方向については、部品供給部14のテープの送り量を変更することにより対処するものとしてもよい。この実装装置においても同一工程内での複数の部品Pの採取をより確実に行うことができる。
【0035】
上述した実施形態では、実装ヘッド22は、16個のノズルホルダ24を有するものとしたが、2以上であれば、特にこれに限定されない。
【0036】
上述した実施形態では、特に説明しなかったが、実装装置11や管理PC50では、特定の吸着ノズル25との組み合わせが良好である吸着ノズル25の組み合わせについても対応情報33として管理するものとしてもよい。
【0037】
上述した実施形態では、制御装置30と制御装置51とで吸着ノズル25の組み合わせを選択するものとしたが、いずれか一方で行うものとしてもよい。なお、より確実に同時採取を行うには、制御装置30と制御装置51とで吸着ノズル25の組み合わせを選択することが好ましい。
【0038】
上述した実施形態では、実装ヘッド22は、ノズルホルダ24の全てが同期して軸回転するものとして説明したが、特にこれに限定されず、ノズルホルダ24が個別に軸回転するものとしてもよい。なお、ノズルホルダ24の全てが同期して軸回転するものの方が、本開示の内容を適用する意義が高く、好ましい。
【0039】
ここで、本開示の制御装置において、前記制御部は、選択した前記採取部材の組み合わせを表示出力させるものとしてもよい。この制御装置では、作業者は、表示出力された採取部材の組み合わせを確認することができ、例えば、採取部材を事前にセットすることなどができる。
【0040】
本明細書で開示する制御装置は、情報を記憶する記憶部、を備え、前記制御部は、前記採取部材の識別情報と、前記ずれ量を示した前記ホルダの識別情報と、前記採取部材の先端のずれ量とを取得し、取得した該採取部材の識別情報と該ホルダの識別情報と該ずれ量とを対応付けた対応情報として前記記憶部へ記憶させるものとしてもよい。この制御装置では、対応情報を管理することにより、例えば、同一工程内で部品を採取可能な採取部材の組み合わせを予め選択することができる。あるいは、この制御装置では、予め記憶された対応情報を用いることによって、ずれ量の測定を省略することができる。このとき、前記制御部は、前記採取部材の先端の間隔が前記所定範囲内に入る前記採取部材の組み合わせを前記対応情報を用いて選択するものとしてもよい。
【0041】
本明細書で開示する実装装置は、
第1の採取部材を装着する第1のホルダと第2の採取部材を装着する第2のホルダとを少なくとも有する実装ヘッドと、
前記実装ヘッドへ部品を供給する部品供給部と、
上述したいずれかの制御装置と、
を備えたものとしてもよい。
【0042】
この実装装置では、上述したいずれかの制御装置を備えるため、同一工程内での複数部品の採取をより確実に行うことができる。
【0043】
本明細書で開示する実装装置において、前記制御部は、前記採取部材の先端の間隔が所定範囲内であるか否かを判定し、前記先端の間隔が所定範囲内であると判定されたときには、前記第1の採取部材と前記第2の採取部材とにより同一工程内で前記部品供給部から前記部品を前記実装ヘッドに採取させるものとしてもよい。この実装装置では、同一工程内での複数部品の採取をより確実に行うことができる。
【0044】
本明細書で開示する実装装置において、前記制御部は、前記第1の採取部材の先端の第1のずれ量と前記第2の採取部材の先端の第2のずれ量とを取得し、前記第1のずれ量と前記第2のずれ量とに基づいて求められる前記採取部材の先端の間隔が所定範囲内に入る前記採取部材の組み合わせを選択し、選択した前記採取部材を前記実装ヘッドへ装着させるものとしてもよい。この実装装置では、より適した採取部材を選択して装着させるから、同一工程内での複数部品の採取をより確実に行うことができる。
【0045】
本明細書で開示する実装装置は、前記実装ヘッドを撮像する撮像部、を備え、前記制御部は、前記採取部材を装着した前記実装ヘッドを前記撮像部に撮像させた撮像画像に基づいて、前記採取部材の先端のずれ量を取得するものとしてもよい。この実装装置では、撮像画像を用いて、採取部材の先端のずれ量を測定することができる。なお、前記撮像部は、前記実装ヘッドに採取された前記部品を撮像し、前記制御部は、撮像した画像に基づいて前記部品のずれ量を求めるものとしてもよい。
【0046】
本明細書で開示する制御方法は、
第1の採取部材を装着する第1のホルダと第2の採取部材を装着する第2のホルダとを少なくとも有する実装ヘッドを備え、部品供給部から供給された部品を採取して実装処理する実装装置を含む実装システムに用いられる制御方法であって、
(a)前記第1の採取部材の先端の第1のずれ量と前記第2の採取部材の先端の第2のずれ量とを取得するステップと、
(b)取得した前記第1のずれ量と前記第2のずれ量とに基づいて求められる前記採取部材の先端の間隔が所定範囲内に入る前記採取部材の組み合わせを選択するステップと、
を含むものとしてもよい。
【0047】
この制御方法は、上述した制御装置のように、より適した採取部材の組み合わせを選択することができるため、同一工程内での複数部品の採取をより確実に行うことができる。なお、この制御方法において、上述した制御装置及び実装装置の種々の態様を採用してもよいし、また、上述した制御装置及び実装装置の各機能を実現するような構成を追加してもよい。