(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
図1〜
図4を参照して、第1実施形態のキャスク1について説明する。
【0011】
キャスク1は、放射性物質を輸送および貯蔵するための容器(放射性物質輸送貯蔵容器)である。
図1に示すように、キャスク1は、キャスク本体10と、バスケット40と、蓋50と、緩衝体90と、を備える。
【0012】
キャスク本体10は、放射性物質を収納する部分であり、有底円筒状(円筒に底を加えた形状)である。キャスク本体10は、底部11と、開口部13と、胴部20と、を有する。キャスク本体10の中心軸と平行な方向を軸方向Xとする。軸方向Xにおいて、底部11から開口部13に向かう側(または向き)を頭部側X1とし、その逆側を底部側X2とする。以下、「径方向Y」および「周方向」は、キャスク本体10の中心軸を基準とする。
【0013】
胴部20は、軸方向Xに長い円筒状の胴部本体21と、胴部中性子遮蔽材23と、胴部フランジ部30と、を備える。胴部本体21の材料は、金属材料(例えば炭素鋼またはステンレス鋼の鍛造材など)である(胴部フランジ部30の材料も同様)。胴部中性子遮蔽材23は、キャスク本体10内の放射性物質から放出される中性子を遮蔽する部材であり、胴部本体21よりも径方向Y外側に配置される。
【0014】
胴部フランジ部30は、胴部本体21の頭部側X1端部から、頭部側X1かつ径方向Y外側に延びる(ひろがる)。胴部フランジ部30は、蓋50を取付可能に構成され、蓋50の移動を抑制する。
図2に示すように、胴部フランジ部30は、一次蓋取付部31と、二次蓋取付部32と、三次蓋取付部33と、を備える。
【0015】
一次蓋取付部31は、一次蓋60(下記)が取り付けられ、一次蓋60が固定される部分である。一次蓋取付部31は、底部側X2から頭部側X1の順に、壁部31bと、固定部31cと、壁部31dと、を備える。固定部31cなどの「固定部」は、蓋50の底部側X2への移動を抑制する部分であり、例えば、法線方向が軸方向Xの面(軸方向Xに直交する面)である。壁部31bなどの「壁部」は、蓋50の径方向Yへの移動を抑制する部分であり、例えば、法線方向が径方向Yの面である。なお、一次蓋取付部31の形状は、蓋50の形状に応じて変更されてもよい(二次蓋取付部32および三次蓋取付部33も同様)。
【0016】
二次蓋取付部32は、二次蓋70(下記)が取り付けられ、二次蓋70が固定される部分である。二次蓋取付部32は、底部側X2から頭部側X1の順に、固定部32eと、壁部32fと、を備える。固定部32eと壁部31dとで形成される角の近傍を胴内面コーナ32Aとする。胴内面コーナ32Aは、二次蓋密封シール部74(下記)が接する部分32B(
図5参照)およびその近傍の部分である。
【0017】
三次蓋取付部33は、三次蓋80(下記)が取り付けられ、三次蓋80が固定される部分である。三次蓋取付部33は、固定部33gを備える。
【0018】
バスケット40は、
図1に示すように、キャスク本体10内に収納され、燃料集合体(放射性物質)を収納する部材であり、複数のセル(格子状の空間)を有する。なお、
図2ではバスケット40を省略した。
【0019】
蓋50は、
図1に示すように、開口部13を閉じる部材である。蓋50には、一次蓋60と、二次蓋70と、三次蓋80と、がある。一次蓋60、二次蓋70、および三次蓋80それぞれは、円板状(略円板状を含む、以下同様)である。一次蓋60、二次蓋70、および三次蓋80それぞれの材料は、主に金属であり、金属以外の部分(例えば下記の二次蓋中性子遮蔽材75(中性子遮蔽材)(
図2参照))があってもよい。
【0020】
一次蓋60は、
図2に示すように、一次蓋取付部31に取り付けられる。一次蓋60は、円板状の一次蓋本体61と、一次蓋フランジ部62と、一次蓋ボルト63と、一次蓋密封シール部64と、を備える。
【0021】
一次蓋フランジ部62は、一次蓋ボルト63のキャスク本体10への締結部に設けられる。一次蓋フランジ部62は、一次蓋本体61の頭部側X1端面よりも底部側X2に凹むフランジ構造を有する。一次蓋フランジ部62は、一次蓋60の径方向Y外側端部に配置される。なお、一次蓋フランジ部62は、面の部分であり、法線方向が径方向Yの面と、法線方向が軸方向Xの面と、により構成される。
【0022】
一次蓋ボルト63は、一次蓋本体61とキャスク本体10とを固定するボルトである。一次蓋ボルト63は、一次蓋フランジ部62(およびその底部側X2の一次蓋本体61)に形成された貫通孔に通され、固定部31cに形成されたネジ孔に固定される。
【0023】
一次蓋密封シール部64は、一次蓋60とキャスク本体10との軸方向Xの隙間(軸方向X隙間)を気密に封止する。一次蓋密封シール部64は、一次蓋60の底部側X2の面に配置される(設けられる)。一次蓋密封シール部64の底部側X2の面(シール面)は、固定部31cに接する。一次蓋密封シール部64はガスケットであり、その材料は金属である。
【0024】
二次蓋70は、一次蓋60よりも頭部側X1(軸方向X外側)に配置される。二次蓋70は、円板状の二次蓋本体71と、二次蓋フランジ部72と、二次蓋ボルト73と、二次蓋密封シール部74と、二次蓋中性子遮蔽材75と、第1外周凸部76と、第2外周凸部77(二次蓋凸部)と、中央凸部78(
図3参照)と、を備える。二次蓋70は、一次蓋60とほぼ同様に構成される。
【0025】
二次蓋フランジ部72は、二次蓋ボルト73のキャスク本体10への締結部に設けられ、一次蓋フランジ部62とほぼ同様に構成される。二次蓋フランジ部72は、第2外周凸部77の頭部側X1端面(三次蓋80側の端面)よりも底部側X2に凹むフランジ構造を有する。二次蓋フランジ部72は、第2外周凸部77の径方向Y外側端部に隣接して配置される。さらに詳しくは、二次蓋フランジ部72の径方向Y内側端部の、径方向Yにおける位置(径方向Y位置)と、第2外周凸部77の径方向Y外側端部の径方向Y位置と、が一致する。
【0026】
二次蓋ボルト73は、二次蓋本体71とキャスク本体10とを固定するボルトであり、一次蓋ボルト63と同様に構成される。
【0027】
二次蓋密封シール部74は、二次蓋70とキャスク本体10との軸方向Xの隙間を気密に封止する部分であり、一次蓋密封シール部64と同様に構成される。
【0028】
二次蓋中性子遮蔽材75は、キャスク本体10内の放射性物質から放出される中性子を遮蔽する部材(中性子遮断材)である。
図3に示すように、二次蓋中性子遮蔽材75は、二次蓋本体71の内部に設置される。
図2に示すように、例えば、二次蓋中性子遮蔽材75の径方向Y外側端部の径方向Y位置は、胴部本体21の内面の径方向Y位置とほぼ同じであり、その理由は次の通りである。(a)第1領域G1aの位置、特に第1領域G1aの径方向Y内側端部の位置は、胴部本体21の内面の径方向Y位置と近い箇所であることが望ましい。この理由は、外周反力F2(
図5参照)を、第1領域G1aの位置を通じて、胴部本体21に伝えやすくするためである。(b)また、第1領域G1aの径方向Y位置は、二次蓋中性子遮蔽材75が無い部分またはその近傍であることが望ましい。さらに詳しくは、第1領域G1aの位置は、軸方向Xから見たときに、二次蓋中性子遮蔽材75の無い領域と第1領域G1aとがオーバーラップする位置がよい。この理由は、外周反力F2を、二次蓋本体71のうち二次蓋中性子遮蔽材75が無い領域を通じて、胴部本体21に伝えるためである。上記(a)および(b)を考えると、必然的に、二次蓋中性子遮蔽材75の径方向Y外側端部の径方向Y位置は、胴部本体21の内面の径方向Y位置とほぼ同じ位置になる。二次蓋中性子遮蔽材75は、二次蓋本体71(金属)よりも変形しやすく、例えば塑性変形しやすく、例えば弾性変形しやすい。二次蓋中性子遮蔽材75の材料は、ゴム(エチレンプロピレン系ゴム、シリコン系ゴムなど)、または、樹脂(エポキシ樹脂、またはポリエステル樹脂など)などである。
【0029】
第1外周凸部76は、頭部垂直落下(下記)の際に、二次蓋70の外周部(「外周部」については下記)と一次蓋60の外周部との間で衝撃力が伝わる部分である。第1外周凸部76は、一次蓋60とともに第1領域G1a(下記)を形成する。第1外周凸部76は、二次蓋本体71から底部側X2(一次蓋60側)に突出する。第1外周凸部76は、リング状であり、軸方向Xから見たときに円形であり、周方向に全周にわたって設けられる(
図4に示すように、第2外周凸部77も同様)。なお、
図2に示す第1外周凸部76は、周方向に全周にわたって設けられることが好ましいが、周方向に全周にわたって設けられなくてもよい。
【0030】
第2外周凸部77(二次蓋凸部)は、頭部垂直落下の際に、二次蓋70の外周部と三次蓋80の外周部との間で衝撃力が伝わる部分である。第2外周凸部77は、三次蓋80とともに第2領域G2a(下記)を形成する。第2外周凸部77は、二次蓋本体71から頭部側X1(三次蓋80側)に突出する。
【0031】
中央凸部78(
図3参照)は、頭部垂直落下の際に、二次蓋70の径方向Y中央部と一次蓋60の径方向Y中央部との間で衝撃力が伝わる部分である。
図3に示すように、中央凸部78は、二次蓋本体71の径方向Y中央部から底部側X2(
図2に示す一次蓋60側)に突出する。
【0032】
三次蓋80は、二次蓋70よりも頭部側X1(軸方向X外側)に配置される。三次蓋80は、円板状の三次蓋本体81と、三次蓋フランジ部82と、三次蓋ボルト83と、三次蓋密封シール部84と、を備える。三次蓋80は、一次蓋60とほぼ同様に構成される。
【0033】
三次蓋フランジ部82は、三次蓋ボルト83のキャスク本体10への締結部に設けられ、一次蓋フランジ部62と同様に構成される。
【0034】
三次蓋ボルト83は、三次蓋本体81とキャスク本体10とを固定するボルトであり、一次蓋ボルト63と同様に構成される。
【0035】
三次蓋密封シール部84は、三次蓋80とキャスク本体10との軸方向Xの隙間を気密に封止する部分であり、一次蓋密封シール部64とほぼ同様に構成される。三次蓋密封シール部84は、ゴムのOリングでもよいし、金属ガスケットでもよい。
【0036】
緩衝体90は、
図1に示すように、キャスク1が落下した際の衝撃加速度を低減する部材である。緩衝体90には、底部緩衝体91と、頭部緩衝体93と、がある。底部緩衝体91は、底部11の外周部を覆う。頭部緩衝体93は、頭部主緩衝体93aと、頭部補助緩衝体93bと、を備える。頭部主緩衝体93aは、三次蓋80の外周部を覆う。頭部主緩衝体93aは、三次蓋80よりも径方向Y外側の位置、および、三次蓋80よりも頭部側X1の位置に配置される。頭部補助緩衝体93bは、頭部主緩衝体93a主緩衝体よりも径方向Y内側に配置され、三次蓋80の径方向Y中央部の近傍に配置され、三次蓋80よりも頭部側X1に配置される。
【0037】
(軸方向Xの隙間)
図2に示すように、蓋50には、第1隙間G1と、第2隙間G2と、がある。
第1隙間G1は、一次蓋60と二次蓋70との軸方向Xの隙間(以下、軸方向X隙間とも言う)である。第1隙間G1には、ヘリウムガスなどの不活性ガスが充填される。このガス圧力が監視されることで、密封部(二次蓋密封シール部74など)に漏れがないか否かが確認される。長期貯蔵期間中に第1隙間G1のガス圧を正圧に保持することで、一次蓋60および二次蓋70の漏えいがないことを圧力モニタリングするための機能が、第1隙間G1にはある。第1隙間G1には、第1領域G1aと、第3領域G1cと、がある。
【0038】
第1領域G1aは、第1隙間G1の他の領域よりも軸方向X隙間が小さい領域である。上記「領域」は、径方向Y位置の範囲を意味する(以下の第1隙間G1および第2隙間G2に関する説明における「領域」について同様)。上記「第1隙間G1の他の領域」は、第1隙間G1のうち、第1領域G1aを除く領域の、少なくとも一部の領域である。第1領域G1aの軸方向X隙間の大きさ(「軸方向X隙間の大きさ」を単に「隙間」ともいう)は、少なくとも下記[設定a]のように設定され、例えば[設定b]〜[設定e]の少なくともいずれかに設定されてもよい。[設定a]第1隙間G1の中には、第1領域G1aよりも隙間の大きい部分がある。[設定b]一次蓋60の外周部と二次蓋70の外周部との間の第1隙間G1には、第1領域G1aよりも隙間の大きい部分がある。[設定c]第1隙間G1のうち、一次蓋60の外周部と二次蓋70の外周部との間の領域には、第1領域G1aよりも隙間の大きい部分のみがある。[設定d]一次蓋60の径方向Y中央部と二次蓋70の径方向Y中央部との間の領域には、第1領域G1aと隙間の大きさがほぼ同じ部分があってもよい。具体的には、中央凸部78(
図3参照)と一次蓋60との間の隙間と、第1領域G1aの隙間とは、ほぼ同じでもよい。[設定e]第1隙間G1のうち第1領域G1a以外の領域には、第1領域G1aよりも隙間の大きい部分のみがあってもよい(図示なし)。
【0039】
この第1領域G1aは、一次蓋60の外周部と、二次蓋70の外周部と、の間に配置される。「外周部」は径方向Y外側の部分である。ある蓋(例えば一次蓋60)の「外周部」の径方向Yの幅は、この蓋(この場合一次蓋60)の半径の1/2である。ある蓋の「外周部」の径方向Yの幅は、この蓋の半径の、1/3と規定してもよく、1/4と規定してもよく、1/5と規定してもよい。なお、蓋の半径に対する「外周部」の径方向Yの幅は、蓋ごとに異なってもよい。例えば、一次蓋60の外周部の径方向Yの幅が、一次蓋60の半径の1/4のとき、二次蓋70の外周部の径方向Yの幅は、二次蓋70の半径の1/4でなくてもよい。
【0040】
この第1領域G1aは、第1外周凸部76が配置される領域にあり、第1外周凸部76と一次蓋60との間(軸方向Xの間)にある。
【0041】
この第1領域G1aの少なくとも一部は、胴部20を軸方向Xに延長した領域内(軸方向X延長上)にあり、胴部本体21を軸方向Xに延長した領域内にある。軸方向Xから見たとき、第1領域G1aは、胴部20と重なり、胴部本体21と重なる。第1領域G1aは、一次蓋ボルト63よりも径方向Y内側に配置され、一次蓋フランジ部62よりも径方向Y内側に配置され、一次蓋フランジ部62と径方向Yに隣接する(略隣接してもよい)。
【0042】
第3領域G1cは、
図3に示すように、第1隙間G1の他の領域よりも軸方向X隙間が小さい領域である。第3領域G1cは、第1隙間G1のうち、第1領域G1aおよび第3領域G1cを除く領域よりも軸方向X隙間が小さい領域である。第3領域G1cは、頭部補助緩衝体93b(
図1参照)を軸方向Xに延長した領域内(軸方向X延長上)にある。軸方向Xから見たとき、第3領域G1cは、頭部補助緩衝体93b(
図1参照)と重なる。第3領域G1cは、一次蓋60の径方向Y中央部と二次蓋70の径方向Y中央部との間に配置される。第3領域G1cは、中央凸部78が配置される領域にあり、中央凸部78と一次蓋60との間(軸方向Xの間)にある。
【0043】
第2隙間G2は、
図2に示すように、二次蓋70と三次蓋80との軸方向Xの隙間である。第2隙間G2には、第2領域G2aがある。第2領域G2aは、第2隙間G2の他の領域よりも軸方向X隙間が小さい領域である。第2隙間G2における第2領域G2aは、第1隙間G1における第1領域G1aと、ほぼ同様に構成される(以下、主に相違点について説明する)。第2領域G2aは、二次蓋70の外周部と、三次蓋80の外周部と、の間に配置される。第2領域G2aは、第2外周凸部77が配置される領域にあり、第2外周凸部77と三次蓋80との間(軸方向Xの間)にある。第2領域G2a(例えば全体、または、少なくとも一部でもよい)は、胴部20を軸方向Xに延長した領域内にあり、胴部本体21を軸方向Xに延長した領域内にある。第2領域G2aの少なくとも一部は、一次蓋取付部31(壁部31d)よりも径方向Y外側の胴部フランジ部30を軸方向Xに延長した領域内にある。第2領域G2aは、二次蓋中性子遮蔽材75よりも径方向Y外側にあり、好ましくは二次蓋中性子遮蔽材75よりも径方向Y外側のみにある。第2領域G2aは、二次蓋ボルト73よりも径方向Y内側にあり、二次蓋フランジ部72よりも径方向Y内側にあり、二次蓋フランジ部72と径方向Yに隣接する。
【0044】
(軸方向Xの隙間の大きさ)
第1領域G1aおよび第2領域G2aの軸方向X隙間の大きさは、次のように設定される。頭部垂直落下(具体的には9m頭部垂直落下、詳細は下記)の際に、第1領域G1aで一次蓋60と二次蓋70とが当たるように(衝撃力が伝わるように)、第1領域G1aの軸方向X隙間の大きさが設定される。頭部垂直落下の際に一次蓋60と二次蓋70とが当たる位置は、頭部垂直落下の前に第1領域G1aであった位置(隙間があった位置)である。また、頭部垂直落下の際に、第2領域G2aで二次蓋70と三次蓋80とが当たるように、第2領域G2aでの軸方向X隙間の大きさが設定される。
【0045】
(頭部垂直落下の際の、蓋50などの変形)
図1に示すキャスク1では、頭部垂直落下が想定される。頭部垂直落下は、頭部側X1を下側、底部側X2を上側にした状態で、床面や地面など(以下、床面)に対して垂直に(鉛直方向に)、キャスク1が落下することである。頭部垂直落下したキャスク1は、床面に衝突し、衝撃を受ける。頭部垂直落下では、所定高さからキャスク1が落下する。上記「所定高さ」は例えば9mである(このときの頭部垂直落下は「9m頭部垂直落下」である)。
【0046】
第1領域G1a(
図2参照)および第2領域G2aがない従来のキャスクには、頭部垂直落下の際に下記の問題があった。なお、以下では、従来のキャスクの構成要素に、本実施形態のキャスク1の構成要素の符号を付して説明する。また、以下では、主に第1領域G1aがないことによる問題点を説明する。
図5は、頭部垂直落下の際、衝撃により、二次蓋70、三次蓋80、および胴部フランジ部30が変形した状態を示す図である。なお、同図では、変形前の状態を二点鎖線で示し、一次蓋60を省略し、また、断面の輪郭のみを示した(断面を示すハッチングは付していない)。なお、
図5の軸方向Xの向きは、
図1および
図2の軸方向Xの向きとは逆向きである。
図5に示す部分32Bは、固定部32eのうち、二次蓋密封シール部74のシール面が接する部分である。頭部垂直落下の際には、二次蓋密封シール部74の降伏応力を超える応力が、部分32Bに生じる。このとき、二次蓋密封シール部74のシール面の表面応力が、シール面全面において、二次蓋密封シール部74の降伏応力を超える。このように部分32Bに大きな応力が生じる原因は下記の通りである。
【0047】
部分32Bに生じる大きな応力は、二次蓋70の外周部が底部側X2(一次蓋60側)に凸に変形し、二次蓋70の外周部が胴内面コーナ32Aに片当たりすることに起因する。その詳細は次の通りである。頭部垂直落下の際に蓋50などに伝わる衝撃力には、慣性力F1と、外周反力F2と、がある。慣性力F1は、
図1に示すキャスク本体10の内部収納物(放射性物質およびバスケット40)の慣性力(遅れ衝撃荷重)である。外周反力F2(
図5参照)は、頭部主緩衝体93aから三次蓋80の外周部に伝わる力である。
図5に示す慣性力F1が一次蓋60に作用すると、一次蓋60が二次蓋70側(頭部側X1)に凸に変形する(図示略)。一次蓋60の変形が二次蓋70の中央凸部78に達すると、二次蓋70の径方向Y中央部が頭部側X1に凸に変形する。ここで、仮に、外周反力F2が三次蓋80に作用しないのであれば、二次蓋70の外周部が胴内面コーナ32Aから離れる向き(頭部側X1)に変形するので、二次蓋70の外周部が胴内面コーナ32Aに片当たりすることはない。しかし、外周反力F2が三次蓋80に作用するので、下記のように片当たりが生じる。
【0048】
外周反力F2は、領域A1〜領域A4で、三次蓋80、二次蓋70、一次蓋60、および胴部フランジ部30に伝わる。その詳細は次の通りである。領域A1は、二次蓋70の径方向Y外側端部よりも径方向Y外側の領域である。領域A2は、二次蓋フランジ部72が配置される領域である。領域A3は、二次蓋フランジ部72と二次蓋中性子遮蔽材75との間(径方向Yの間)の領域である。領域A4は、二次蓋中性子遮蔽材75の外周部が配置される領域である。領域A1の外周反力F2は、三次蓋80を通して胴部フランジ部30に伝わる。一方、領域A2には、三次蓋80と二次蓋70との間に、軸方向Xの空間(隙間)がある。また、領域A4には、二次蓋本体71よりも変形しやすい二次蓋中性子遮蔽材75がある(変形状態の二次蓋中性子遮蔽材75の図示は省略)。そのため、領域A2、領域A3、および領域A4の外周反力F2は、三次蓋80を通して、二次蓋70の領域A3の部分(他の部分よりも軸方向Xに厚い部分)に伝わる。この反力を二次蓋70から一次蓋60に伝えることができれば、領域A3での二次蓋70の変形を抑制できる。しかし、従来のキャスクでは、二次蓋70と一次蓋60との間の領域A3には、本実施形態よりも大きい軸方向X隙間がある。そのため、領域A3での二次蓋70の反力が、一次蓋60に適切に伝わりにくい。そのため、二次蓋70の外周部が、一次蓋60側(底部側X2)に凸に変形する(二次蓋70外周部の凸変形)。そのため、二次蓋70の外周部が胴内面コーナ32Aに片当たりすると考えられる。その結果、二次蓋密封シール部74に、二次蓋密封シール部74の降伏応力よりも大きい応力が生じる。
【0049】
(二次蓋70の外周部の応力抑制)
図2に示すように、本実施形態のキャスク1は、第1領域G1aを備える(第1外周凸部76を備える)。よって、頭部垂直落下の際に、領域A3(
図5参照)での二次蓋70の反力が、第1領域G1aの位置で、第1外周凸部76を通して、一次蓋60に伝わる。よって、二次蓋70外周部の凸変形が抑制される。よって、二次蓋70の外周部の胴内面コーナ32Aへの片当たりが抑制される。その結果、二次蓋70の外周部の応力が抑制される。その結果、二次蓋密封シール部74のシール面の応力が抑制される。
【0050】
(二次蓋ボルト73の応力抑制)
従来のキャスクでは、二次蓋70外周部の凸変形(
図5参照)により、二次蓋ボルト73に引張応力が生じ、問題になる場合がある。一方、本実施形態のキャスク1では、第1領域G1aにより二次蓋70外周部の凸変形が抑制されるので、二次蓋ボルト73の引張応力が抑制される。
【0051】
(一次蓋ボルト63の応力抑制)
従来のキャスクでは、一次蓋ボルト63の引張応力が問題になる場合がある。この問題の詳細は次の通りである。一次蓋60は、
図5に示す慣性力F1を直接受ける。そのため、一次蓋60の径方向Y中央部は、頭部側X1に凸に変形する。その結果、
図2に示す一次蓋ボルト63に引張応力が生じ、問題になる場合がある。一方、本実施形態のキャスク1は、三次蓋80から二次蓋70に伝わった外周反力F2(
図5参照)が、二次蓋70から第1領域G1aを通して一次蓋60に伝わる。よって、一次蓋60の外周部での頭部側X1への変位および変形が抑制される。よって、一次蓋ボルト63の引張応力が抑制(緩和)される。
【0052】
(第2領域G2aによる作用)
第2領域G2aにより(第2外周凸部77により)、二次蓋70と三次蓋80との間で力が伝わりやすい。よって、第1領域G1aにより二次蓋70の外周部の変形が抑制されたのと同様に、第2領域G2aにより三次蓋80の外周部の変形が抑制される。その結果、二次蓋70の外周部の変形および応力が抑制される。また、第1領域G1aにより一次蓋ボルト63および二次蓋ボルト73の引張応力が抑制されたのと同様に、第2領域G2aにより二次蓋ボルト73および三次蓋ボルト83の引張応力が抑制される。
【0053】
(一次蓋60、二次蓋70、および三次蓋80による支持)
従来のキャスクには、頭部垂直落下の際に
図5に示す慣性力F1により一次蓋60が塑性変形することを許容する設計がなされたものがある(例えば特許文献1などを参照)。このような従来のキャスクでは、頭部垂直落下の際、二次蓋70および三次蓋80により密封性能が担保されていても、一次蓋60による密封性能が破れる可能性がある。そのため、より確かな密封性能を確保するためには、一次蓋60の密封性能が維持されている方が望ましい。一方、
図2に示す本実施形態のキャスク1では、頭部垂直落下の際に、慣性力F1(
図5参照)が加えられた一次蓋60は、第1領域G1aおよび第2領域G2aを通して、二次蓋70および三次蓋80により支持される。よって、一次蓋60の塑性変形が抑制され、蓋50の密封性能を確保(維持)しやすい。
【0054】
(第1の発明の効果)
図1に示すキャスク1による効果は次の通りである。キャスク1は、キャスク本体10と、一次蓋60と、二次蓋70と、三次蓋80と、緩衝体90と、を備える。キャスク本体10は、底部11、軸方向Xに長い胴部20、および開口部13を有する有底円筒状であり、放射性物質を収納するものである。一次蓋60は、開口部13を閉じる。二次蓋70は、一次蓋60よりも軸方向X外側(頭部側X1)に配置され、開口部13を閉じる。三次蓋80は、二次蓋70よりも軸方向X外側(頭部側X1)に配置され、開口部13を閉じる。頭部主緩衝体93a(緩衝体90)は、三次蓋80の外周部を覆う。
図2に示すように、キャスク1には、第1領域G1aがある。
[構成1]第1領域G1aは、一次蓋60と二次蓋70との軸方向X隙間である第1隙間G1に含まれる領域である。第1領域G1aは、第1隙間G1の他の領域よりも軸方向X隙間が小さい領域である。第1領域G1aは、一次蓋60の外周部と二次蓋70の外周部との間に配置される。
【0055】
キャスク1は、上記[構成1]を備える。よって、頭部垂直落下の際、一次蓋60の外周部と二次蓋70の外周部との間で、第1領域G1aの位置で衝撃力が伝わりやすい。よって、頭部垂直落下の際の、少なくとも二次蓋70の外周部の変形を抑制できる。その結果、キャスク1を頭部垂直落下させた際に生じ得る、蓋50の密封性能の低下を抑制できる。
【0056】
二次蓋70の外周部の変形を抑制できる結果として、次の効果を奏する場合がある。通常、二次蓋70の外周部には、二次蓋70とキャスク本体10とを密封するための部材(二次蓋70の密封用部材)がある。二次蓋70の密封用部材は、具体的には例えば、二次蓋密封シール部74および二次蓋ボルト73である。二次蓋70の外周部の変形を抑制できる結果、二次蓋70の密封用部材に生じる応力を抑制できる。よって、二次蓋70とキャスク本体10との密封性能を確保しやすい。また、二次蓋70の外周部の変形を抑制できる結果、一次蓋60および三次蓋80の変形が抑制される。
【0057】
(第2の発明の効果)
[構成2]キャスク1には、第2領域G2aがある。第2領域G2aは、二次蓋70と三次蓋80との軸方向X隙間である第2隙間G2に含まれる領域である。第2領域G2aは、第2隙間G2の他の領域よりも軸方向X隙間が小さい領域である。第2領域G2aは、二次蓋70の外周部と三次蓋80の外周部との間に配置される。
【0058】
キャスク1は、上記[構成2]を備える。よって、頭部垂直落下の際、二次蓋70の外周部と三次蓋80の外周部との間で、第2領域G2aの位置で衝撃力が伝わりやすい。よって、頭部垂直落下の際の、少なくとも二次蓋70の外周部の変形を抑制できる。その結果、キャスク1を頭部垂直落下させた際に生じ得る、蓋50の密封性能の低下を抑制できる。
【0059】
(第3の発明の効果)
キャスク1は、上記[構成1]および[構成2]を備えるので、[構成1]および[構成2]のうちいずれか一方のみを備える場合に比べ、蓋50の密封性能の低下をより抑制できる。
【0060】
(第4の発明の効果)
[構成4]第1領域G1aは、胴部20を軸方向Xに延長した領域内にある。
【0061】
上記[構成4]により、頭部垂直落下の際、緩衝体90から三次蓋80に加えられた力(
図5の外周反力F2参照)のうち、第1領域G1aの位置を通る力を、胴部20に確実に伝えることができる。よって、二次蓋70が、胴部20により確実に支持される。よって、二次蓋70の変形をより抑制できる。
【0062】
(第5の発明の効果)
[構成5]第2領域G2aは、胴部20を軸方向Xに延長した領域内にある。
【0063】
上記[構成5]により、頭部垂直落下の際、緩衝体90から三次蓋80に加えられた力(
図5の外周反力F2参照)のうち、第2領域G2aの位置を通る力を、胴部20に確実に伝えることができる。よって、二次蓋70が、胴部20により確実に支持される。よって、二次蓋70の変形をより抑制できる。
【0064】
(第6の発明の効果)キャスク1は、上記[構成4]および[構成5]を備えるので、上記[構成4]および[構成5]のいずれか一方のみを備える場合に比べ、二次蓋70の変形をより抑制できる。
【0065】
(第8の発明の効果)
二次蓋70は、二次蓋本体71と、二次蓋ボルト73と、二次蓋中性子遮蔽材75と、を備える。二次蓋ボルト73は、二次蓋本体71とキャスク本体10とを固定する。二次蓋中性子遮蔽材75は、二次蓋本体71の内部に設置される。
[構成8]第2領域G2aは、二次蓋中性子遮蔽材75よりも径方向Y外側、かつ、二次蓋ボルト73よりも径方向Y内側にある。
【0066】
通常、二次蓋中性子遮蔽材75は、二次蓋本体71よりも変形しやすい。また、二次蓋ボルト73が配置される位置には、例えば二次蓋フランジ部72が設けられるなど、力を適切に伝えることができない場合がある。そこで、第2領域G2aは、上記[構成8]のように配置される。よって、二次蓋70と三次蓋80との間で伝わる力を、確実に伝えることができる。その結果、二次蓋70の変形をより抑制できる。
【0067】
(第10の発明の効果)
二次蓋70は、二次蓋本体71と、二次蓋ボルト73と、第2外周凸部77(二次蓋凸部)と、二次蓋フランジ部72と、を備える。二次蓋ボルト73は、二次蓋本体71とキャスク本体10とを固定する。
[構成10]第2外周凸部77は、二次蓋本体71から三次蓋80側に突出し、三次蓋80とともに第2領域G2aを形成する。二次蓋フランジ部72は、二次蓋ボルト73のキャスク本体10への締結部に設けられ、第2外周凸部77の三次蓋80側の端面よりも底部側X2に凹むフランジ構造を有し、第2外周凸部77の径方向Y外側端部に隣接して配置される。
【0068】
上記[構成10]では、第2外周凸部77の径方向Y外側端部と、二次蓋フランジ部72の径方向Y内側端部と、が兼用される。よって、これらが兼用されない場合に比べ、二次蓋70を簡素に構成でき、二次蓋70を容易に製造できる。
【0069】
(第13の発明の効果)
図1に示すように、緩衝体90は、三次蓋80の外周部を覆う頭部主緩衝体93aと、三次蓋80の径方向Y中央部を覆う頭部補助緩衝体93bと、を備える。
図3に示すように、キャスク1には、第3領域G1cがある。
[構成13]第3領域G1cは、一次蓋60と二次蓋70との軸方向X隙間である第1隙間G1に含まれる領域である。第3領域G1cは、第1隙間G1の他の領域よりも軸方向X向隙間が小さい領域である。第3領域G1cは、
図1に示す頭部補助緩衝体93bを軸方向Xに延長した領域に配置される領域である。
【0070】
上記[構成13]により、頭部垂直落下の際、頭部補助緩衝体93bから三次蓋80を通り二次蓋70に伝わった衝撃力は、第3領域G1c(
図3参照)の位置を通って一次蓋60に伝わりやすい。よって、頭部垂直落下の際の、少なくとも二次蓋70の変形をより抑制できる。
【0071】
(第2実施形態)
図6を参照して、第2実施形態のキャスク201について、第1実施形態との相違点を説明する。なお、キャスク201のうち、第1実施形態との共通点については、第1実施形態と同一の符号を付し、説明を省略した。相違点は次の(a)〜(c)である。(a)一次蓋60が一次蓋中性子遮蔽材265(中性子遮蔽材)を備える。(b)
図2に示すように、第1実施形態では第1領域G1aを形成する第1外周凸部76が二次蓋70に設けられた。一方、
図6に示すように、第2実施形態では第1領域G1aを形成する第1外周凸部266(一次蓋凸部)が一次蓋60に設けられる。(c)
図2に示すように、第1実施形態では第2領域G2aを形成する第2外周凸部77が二次蓋70に設けられた。一方、
図6に示すように、第2実施形態では第2領域G2aを形成する第2外周凸部287(三次蓋底部側凸部)が三次蓋80に設けられる。
【0072】
一次蓋中性子遮蔽材265の二次蓋中性子遮蔽材75(
図2参照)との相違点は次の通りである。一次蓋中性子遮蔽材265は、一次蓋本体61の内部に設置され、一次蓋本体61よりも変形しやすい。
【0073】
第1外周凸部266(一次蓋凸部)などの、第1外周凸部76(
図2参照)との相違点は次の通りである。第1外周凸部266は、一次蓋本体61から二次蓋70側(頭部側X1)に突出し、二次蓋70とともに第1領域G1aを形成する。第1外周凸部266は(第1領域G1aは)、一次蓋中性子遮蔽材265よりも径方向Y外側にあり、一次蓋ボルト63よりも径方向Y内側にある。一次蓋フランジ部62は、第1外周凸部266の二次蓋70側(頭部側X1)の端面よりも底部側X2に凹むフランジ構造を有する。一次蓋フランジ部62は、第1外周凸部266の径方向Y外側端部に隣接して配置される。
【0074】
第2外周凸部287(三次蓋凸部)の、第2外周凸部77(
図2参照)との相違点は次の通りである。第2外周凸部287は、三次蓋本体81から二次蓋70側(底部側X2)に突出し、二次蓋70とともに第2領域G2aを形成する。
【0075】
(第7の発明の効果)
図6に示すキャスク201による効果は次の通りである。一次蓋60は、一次蓋本体61と、一次蓋本体61とキャスク本体10とを固定する一次蓋ボルト63と、一次蓋本体61の内部に設置される一次蓋中性子遮蔽材265と、を備える。
[構成7]第1領域G1aは、一次蓋中性子遮蔽材265よりも径方向Y外側かつ一次蓋ボルト63よりも径方向Y内側にある。
【0076】
通常、一次蓋中性子遮蔽材265は、一次蓋本体61よりも変形しやすい。また、一次蓋ボルト63が配置される位置には、例えば一次蓋フランジ部62が設けられるなど、力を適切に伝えることができない場合がある。そこで、第1領域G1aは、上記[構成7]のように配置される。よって、一次蓋60と二次蓋70との間で伝わる力を、確実に伝えることができる。よって、一次蓋60の変形を抑制できる結果、二次蓋70の変形を抑制できる。
【0077】
(第9の発明の効果)
一次蓋60は、一次蓋本体61と、一次蓋ボルト63と、第1外周凸部266(一次蓋凸部)と、一次蓋フランジ部62と、を備える。一次蓋ボルト63は、一次蓋本体61とキャスク本体10とを固定する。
[構成9]第1外周凸部266は、一次蓋本体61から二次蓋70側に突出し、二次蓋70とともに第1領域G1aを形成する。一次蓋フランジ部62は、一次蓋ボルト63のキャスク本体10への締結部に設けられ、第1外周凸部266の二次蓋70側の端面よりも底部側X2に凹むフランジ構造を有し、第1外周凸部266の径方向Y外側端部に隣接して配置される。
【0078】
上記[構成9]では、第1外周凸部266の径方向Y外側端部と、一次蓋フランジ部62の径方向Y内側端部と、が兼用される。よって、これらが兼用されない場合に比べ、一次蓋60を簡素に構成でき、一次蓋60を容易に製造できる。
【0079】
(第3実施形態)
図7〜9を参照して、第3実施形態のキャスク301について、第1実施形態との相違点を説明する。相違点は次の通りである。
図7に示すように、一次蓋60は、一次蓋フランジ部62(
図2参照)に代えて、一次蓋座繰部362を備える。二次蓋70は、二次蓋フランジ部72(
図2参照)に代えて、二次蓋座繰部372を備える。なお、
図8では、二次蓋座繰部372の一部にのみ符号を付した。
【0080】
一次蓋座繰部362は、
図7に示すように、一次蓋ボルト63のキャスク本体10への締結部の周囲に設けられる。一次蓋座繰部362は、一次蓋60の頭部側X1の端面よりも底部側X2に凹む座繰り構造を有する。第1領域G1aは、第1実施形態では、
図2に示すように一次蓋フランジ部62の径方向Y内側端部よりも径方向Y内側にのみ配置されたが、本実施形態では、
図7に示すように、一次蓋座繰部362の径方向Y内側端部よりも径方向Y外側にも配置される。よって、第1実施形態に比べ、第1領域G1aを広くできる。よって、第1実施形態に比べ、第1領域G1aの位置で衝撃力を伝やすい。また、胴部本体21の軸方向X延長上の領域での第1領域G1aを広くできる。よって、第1実施形態に比べ、第1領域G1aの位置を通る衝撃力を胴部本体21に伝えやすい。その結果、二次蓋70の変形を抑制できる。
【0081】
二次蓋座繰部372は、一次蓋60における一次蓋座繰部362と同様に構成される。よって、一次蓋座繰部362により第1領域G1aを広くできるのと同様に、第2領域G2aを広くできるので、二次蓋70の変形を抑制できる。また、単に二次蓋中性子遮蔽材75の領域を大きくすると二次蓋70は変形しやすくなるが、二次蓋座繰部372が設けられることで二次蓋70の変形を抑制できる。よって、二次蓋中性子遮蔽材75の領域を大きくできる。
図8に示すように、軸方向Xから見たとき、二次蓋座繰部372の軸方向Xに延びる部分を面372aとする。
【0082】
面372aは、軸方向Xから見たとき、二次蓋ボルト73を囲む略U字状である。
図9に示すように、面372aは、軸方向Xから見たとき、二次蓋ボルト73を円などの閉じた形状で囲むように配置されてもよい。この場合は、
図8に示すように面372aが二次蓋ボルト73を閉じた形状で囲っていない場合に比べ、第2領域G2aを広くできる。なお、
図9に示すような、面372aが二次蓋ボルト73を閉じた形状で囲む構成と同様の構成が、
図7に示す一次蓋座繰部362に設けられてもよい(
図10の一次蓋座繰部462を参照)。
【0083】
(第11の発明の効果)
図7に示すキャスク301による効果は次の通りである。一次蓋60は、一次蓋本体61と、一次蓋本体61とキャスク本体10とを固定する一次蓋ボルト63と、を備える。
[構成11]一次蓋60は、一次蓋座繰部362を備える。
図8に示すように、一次蓋座繰部362は、一次蓋ボルト63のキャスク本体10への締結部の周囲に設けられる。
図7に示すように、一次蓋座繰部362は、一次蓋60の頭部側X1の端面よりも底部側X2に凹む座繰り構造を有する。
【0084】
上記[構成11]により、一次蓋ボルト63のキャスク本体10への締結部に、一次蓋フランジ部62(
図2参照)が設けられる場合に比べ、第1領域G1aを広くできる。よって、一次蓋60の外周部と二次蓋70の外周部との間で、第1領域G1aの位置で衝撃力がより伝わりやすい。よって、少なくとも二次蓋70の外周部の変形をより抑制できる。
【0085】
(第12の発明の効果)
二次蓋70は、二次蓋本体71と、二次蓋本体71とキャスク本体10とを固定する二次蓋ボルト73と、を備える。
[構成12]二次蓋70は、二次蓋座繰部372を備える。二次蓋座繰部372は、二次蓋ボルト73のキャスク本体10への締結部の周囲に設けられ、二次蓋70の頭部側X1の端面よりも底部側X2に凹む座繰り構造を有する。
【0086】
上記[構成12]により、二次蓋ボルト73のキャスク本体10への締結部に、二次蓋フランジ部72(
図2参照)が設けられる場合に比べ、第2領域G2aを広くできる。よって、二次蓋70の外周部と三次蓋80の外周部との間で、第2領域G2aの位置で衝撃力がより伝わりやすい。よって、少なくとも二次蓋70の外周部の変形をより抑制できる。
【0087】
(第4実施形態)
図10を参照して、第4実施形態のキャスク401について、第3実施形態(
図7参照)との相違点を説明する。主な相違点は、一次蓋取付部31の壁部31dが段差431aを備える点と、二次蓋取付部32の壁部32fが段差432aを備える点と、である。
【0088】
一次蓋取付部31の壁部31dは、段差431aと、段差431aよりも頭部側X1の大径部431bと、段差431aよりも底部側X2の小径部431cと、を備える。小径部431cの径方向Y寸法は、大径部431bの径方向Y寸法よりも小さい。この構成により次の効果が得られる。胴部フランジ部30に一次蓋60が設置されるとき、一次蓋取付部31の内側の開口部13に一次蓋60が落とし込まれる。この落とし込みの最初に、一次蓋60が大径部431bに入れられることになる。よって、落とし込みの最初に、大径部431bよりも小径の部分に一次蓋60が入れられる場合に比べ、一次蓋60を一次蓋取付部31に設置しやすい。
【0089】
二次蓋取付部32の壁部32fは、一次蓋取付部31の壁部31dと同様に構成される。壁部32fは、段差432aと、段差432aよりも頭部側X1の大径部432bと、段差432aよりも底部側X2の小径部432cと、を備える。この構成により、一次蓋60と同様に、二次蓋70を二次蓋取付部32に設置しやすい。
【0090】
(一次蓋60の径方向Yの隙間の大きさ[ケース1−a])
一次蓋60の外周面(径方向Y外側端面など)と、キャスク本体10(胴部フランジ部30)と、の間には径方向Yの隙間(以下、径方向Y隙間とも言う)である一次蓋外周隙間G4がある。一次蓋外周隙間G4には、第4領域G4aがある。第4領域G4aは、一次蓋外周隙間G4の他の領域よりも径方向Y隙間が小さい領域である。具体的には、第4領域G4aは、小径部431cと一次蓋60との径方向Y隙間である。第4領域G4aの径方向Y隙間の大きさは、一次蓋外周隙間G4のうち、第4領域G4aよりも頭部側X1の領域の径方向Y隙間よりも小さい。上記「第4領域G4aよりも頭部側X1の領域」は、段差431aと一次蓋60との径方向Y隙間、および、大径部431bと一次蓋60との径方向Y隙間である。
【0091】
(二次蓋70の径方向Y隙間の大きさ[ケース1−b])
二次蓋70の外周面と、キャスク本体10と、の間には径方向Y隙間である二次蓋外周隙間G5がある。二次蓋外周隙間G5には、第5領域G5aがある。第5領域G5aは、二次蓋外周隙間G5の他の領域よりも径方向Y隙間が小さい領域である。具体的には、第5領域G5aは、小径部432cと二次蓋70との径方向Y隙間である。第5領域G5aの径方向Y隙間の大きさは、二次蓋外周隙間G5のうち、第5領域G5aよりも頭部側X1の領域の径方向Y隙間よりも小さい。上記「第5領域G5aよりも頭部側X1の領域」は、段差432aと二次蓋70との径方向Y隙間、および、大径部432bと二次蓋70との径方向Y隙間である。
【0092】
なお、一次蓋外周隙間G4および二次蓋外周隙間G5には、下記の水平落下の際に衝撃力を伝えることが想定されない位置の径方向Y隙間は含まれない。具体的には例えば、壁部31bと一次蓋60との径方向Y隙間は、嵌め合いの管理がなされない大きな隙間であるため、一次蓋外周隙間G4に含まれない。また、二次蓋フランジ部72と壁部32fとの間の径方向Y隙間は、二次蓋外周隙間G5に含まれない。また、本実施形態では、上記[ケース1−a]および[ケース1−b]が満たされるが、上記[ケース1−a]および[ケース1−b]のうちいずれか一方のみが満たされてもよい。
【0093】
(水平落下、第4領域G4a、および第5領域G5aによる作用)
キャスク401では、水平落下が想定される。水平落下は、軸方向Xを水平方向とした状態で、鉛直方向にキャスク401が落下することである。水平落下の際、蓋50は、胴部フランジ部30の支持部材として作用し、胴部フランジ部30の変形を抑制する。ここで、上記のように、一次蓋外周隙間G4に第4領域G4aが設けられる。よって、第4領域G4aの位置で、一次蓋60の支持部材としての作用が働き、その結果、各密封シール部(一次蓋密封シール部64、二次蓋密封シール部74など)の応力を抑制できる。第4領域G4aによる作用と同様に、二次蓋外周隙間G5に第5領域G5aが設けられるので、二次蓋70の支持部材としての作用が働き、その結果、各密封シール部の応力を抑制できる。
【0094】
(第14の発明の効果)
図10に示すキャスク401による効果は次の通りである。
[構成14]キャスク401には、第4領域G4aがある。第4領域G4aは、一次蓋60とキャスク本体10との径方向Y隙間である一次蓋外周隙間G4に含まれる領域である。第4領域G4aは、一次蓋外周隙間G4の他の領域よりも径方向Y隙間が小さい領域である。
【0095】
キャスク401は、上記[構成14]を備える。よって、水平落下の際に、キャスク本体10の胴部フランジ部30と一次蓋60との間で、第4領域G4aの位置で衝撃力が伝わりやすい。よって、胴部フランジ部30の支持部材としての一次蓋60の作用を確保できる。例えば、一次蓋60をキャスク本体10に設置しやすくするために、一次蓋外周隙間G4の一部の領域の径方向Y隙間を、第4領域G4aの径方向Y隙間よりも広くする場合などでも、胴部フランジ部30の支持部材として一次蓋60を作用させることができる。よって、キャスク401の水平落下の際に、胴部フランジ部30から一次蓋60に伝わる衝撃力による一次蓋60の外周部の変形を抑制できる。その結果、キャスク401の水平落下の際に生じ得る、蓋50の密封性能の低下を抑制できる。
【0096】
(第15の発明の効果)
[構成15]キャスク401には、第5領域G5aがある。第5領域G5aは、二次蓋70とキャスク本体10との径方向Y隙間である二次蓋外周隙間G5に含まれる領域である。第5領域G5aは、二次蓋外周隙間G5の他の領域よりも径方向Y隙間が小さい領域である。
【0097】
キャスク401は、上記[構成15]を備える。よって、水平落下の際に、キャスク本体10の胴部フランジ部30と二次蓋70との間で、第5領域G5aの位置で衝撃力が伝わりやすい。よって、キャスク401の水平落下の際に、二次蓋70の外周部の変形を抑制できる。その結果、キャスク401の水平落下の際に生じ得る、蓋50の密封性能の低下を抑制できる。
【0098】
(第16の発明の効果)
[構成16]キャスク401は、上記[構成15]および[構成16]を備える。よって、[構成15]および[構成16]のうちいずれか一方のみを備える場合に比べ、キャスク401の水平落下の際に生じ得る、蓋50の密封性能の低下をより抑制できる。
【0099】
(第5実施形態)
図11を参照して、第5実施形態のキャスク501について、第4実施形態(
図10参照)との相違点を説明する。主な相違点は、一次蓋60が段差561aを備える点と、二次蓋70が段差571aを備える点と、である。また、壁部31dは段差431a(
図10参照)を備えず、壁部32fは段差432a(
図10参照)を備えない。
【0100】
一次蓋本体61の外周部は、段差561aと、段差561aよりも頭部側X1の大径部561bと、段差561aよりも底部側X2の小径部561cと、を備える。小径部561cの径方向Y寸法は、大径部561bの径方向Y寸法よりも小さい。この構成により、胴部フランジ部30に一次蓋60が設置されるとき、一次蓋取付部31への一次蓋60の落とし込みの最初に、小径部561cから一次蓋取付部31に入れられることになる。よって、落とし込みの最初に、小径部561cよりも大径の部分が一次蓋取付部31に入れられる場合に比べ、一次蓋60を一次蓋取付部31に設置しやすい。
【0101】
二次蓋本体71の外周部は、一次蓋本体61の外周部と同様に構成される。二次蓋本体71の外周部は、段差571aと、段差571aよりも頭部側X1の大径部571bと、段差571aよりも底部側X2の小径部571cと、を備える。この構成により、一次蓋60と同様に、二次蓋70を二次蓋取付部32に設置しやすい。
【0102】
(一次蓋60に関する径方向Y隙間の大きさ[ケース2−a])
第4領域G4aは、大径部561bと壁部31dとの径方向Y隙間である。第4領域G4aの径方向Y隙間の大きさは、一次蓋外周隙間G4のうち、第4領域G4aよりも底部側X2の領域の径方向Y隙間よりも小さい。上記「第4領域G4aよりも底部側X2の領域」は、小径部561cと一次蓋60との径方向Y隙間、および段差561aと一次蓋60との径方向Y隙間である。壁部31dと一次蓋60との径方向Y隙間における一次蓋外周隙間G4の径方向Y隙間の大きさは、底部側X2から頭部側X1に順に(徐々に)小さく設定される。この設定を「一次蓋外周隙間G4の設定」とする。
【0103】
(二次蓋70に関する径方向Yの隙間の大きさ[ケース2−b])
第5領域G5aは、大径部571bと二次蓋70との径方向Y隙間である。第5領域G5aの径方向Y隙間の大きさは、二次蓋外周隙間G5のうち、第5領域G5aよりも底部側X2の領域の径方向Y隙間よりも小さい。上記「第5領域G5aよりも底部側X2の領域」は、段差571aと二次蓋70との径方向Y隙間、および小径部571cと二次蓋70との径方向Y隙間である。二次蓋外周隙間G5の径方向Y隙間の大きさは、底部側X2から頭部側X1に順に(徐々に)小さく設定される。この設定を「二次蓋外周隙間G5の設定」とする。
【0104】
なお、本実施形態では、上記[ケース2−a]および[ケース2−b]が満たされるが、上記[ケース2−a]および[ケース2−b]のうちいずれか一方のみが満たされてもよい。また、上記[ケース1−a]および[ケース2−b]が満たされてもよい。また、上記[ケース1−b]および[ケース2−a]が満たされてもよい。
【0105】
(一次蓋外周隙間G4の設定、および二次蓋外周隙間G5の設定による作用)
第4実施形態では、キャスク401(
図10参照)の水平落下の際、第4領域G4aの位置で、一次蓋60の支持部材としての作用が働いた。さらに、
図11に示す第5実施形態では、上記「一次蓋外周隙間G4の設定」がなされる。よって、一次蓋60の支持部材としての作用は、頭部側X1ほど大きく働き、さらに詳しくは、仮に一次蓋60が無いとした場合に胴部20の変形が生じやすい側ほど大きく働く。よって、上記「一次蓋外周隙間G4の設定」により、一次蓋60の支持部材としての効果が有効に働く。その結果、例えば一次蓋外周隙間G4の径方向Y隙間が底部側X2と頭部側X1とで等しい場合などに比べ、各密封シール部(一次蓋密封シール部64、二次蓋密封シール部74など)の応力を抑制できる。「一次蓋外周隙間G4の設定」と同様に、上記「二次蓋外周隙間G5の設定」により、二次蓋70の支持部材としての効果が有効に働き、その結果、各密封シール部の応力を抑制できる。
【0106】
一次蓋密封シール部64で一次蓋60の密封性能を評価する場合には、次の効果がある。「一次蓋外周隙間G4の設定」がされた場合、水平落下の際に一次蓋60が受ける衝撃荷重は、頭部側X1(密封性能の評価位置からの距離が遠い側)に作用するため、この衝撃荷重の作用領域の近傍で高い応力が発生する。一方で、この衝撃荷重の作用領域から離れた一次蓋密封シール部64で発生する応力は、衝撃荷重の作用領域で発生する応力に比べ、小さくなる。よって、水平落下の際の衝撃荷重が、一次蓋60の密封性能の評価に与える影響を少なくできる。一次蓋60と同様に、「二次蓋外周隙間G5の設定」がされた場合、二次蓋密封シール部74で発生する応力は、二次蓋70に作用する衝撃荷重の作用領域で発生する応力に比べ、小さくなる。よって、水平落下の際の衝撃荷重が、二次蓋70の密封性能の評価に与える影響を少なくできる。
【0107】
(第17の発明の効果)
図11に示すキャスク501による効果は次の通りである。
[構成17]第4領域G4aの径方向Y隙間の大きさは、一次蓋外周隙間G4のうち、第4領域G4aよりも底部側X2の領域の径方向Y隙間よりも小さい。
【0108】
キャスク501は、上記[構成17]を備える。よって、キャスク501の水平落下の際に、一次蓋外周隙間G4のうち第4領域G4aよりも底部側X2の位置で衝撃力が伝わる場合に比べ、胴部フランジ部30の支持部材としての一次蓋60の作用を大きくできる。よって、キャスク501の水平落下の際に、胴部フランジ部30から一次蓋60に伝わる衝撃力による一次蓋60の外周部の変形を抑制できる。その結果、キャスク501の水平落下の際に生じ得る、蓋50の密封性能の低下を抑制できる。
【0109】
(第18の発明の効果)
[構成18]第5領域G5aの径方向Y隙間の大きさは、二次蓋外周隙間G5のうち、第5領域G5aよりも底部側X2の領域の径方向Y隙間よりも小さい。
【0110】
キャスク501は、上記[構成18]を備える。よって、キャスク501の水平落下の際に、二次蓋外周隙間G5のうち第5領域G5aよりも底部側X2の位置で衝撃力が伝わる場合に比べ、胴部フランジ部30の支持部材としての二次蓋70の作用を大きくできる。よって、キャスク501の水平落下の際に、胴部フランジ部30から二次蓋70に伝わる衝撃力による二次蓋70の外周部の変形を抑制できる。その結果、キャスク501の水平落下の際に生じ得る、蓋50の密封性能の低下を抑制できる。
【0111】
(変形例)
上記の各実施形態は様々に変形されてもよい。
互いに異なる実施形態の構成要素どうしが組み合わされてもよい。例えば、第1実施形態において、
図2に示す二次蓋70の第2外周凸部77が設けられず、
図6に示す三次蓋80の第2外周凸部287が設けられてもよい。
構成要素の一部が設けられなくてもよい。例えば、
図3に示す中央凸部78は設けられなくてもよい。例えば、
図1に示す頭部補助緩衝体93bは設けられなくてもよい。
構成要素の数が変更されてもよい。固定や取付などは、直接でも間接でもよい。