(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記スリーブが、前記細長可撓性部の前記遠位端から延びて、前記イオン電気活性ポリマーアクチュエータの少なくとも一部を取り囲んでいる、請求項1に記載の医療機器。
前記導電性ポリマーが、ポリアニリン(PANI)、ポリピロール(Ppy)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)、ポリ(p−フェニレンスルファイド)(PPS)、またはこれらの組み合わせを含む、請求項4に記載の医療機器。
前記炭素系材料が、炭化物由来炭素、カーボンナノチューブ、グラフェン、炭化物由来炭素とポリマー電解質部材との複合物、及びカーボンナノチューブとポリマー電解質部材との複合物のうちの少なくとも1つを含む、請求項7に記載の医療機器。
前記細長可撓性部が、直線的に延び且つ前記コアの外表面に沿って周方向に互いに離間して配置された複数の溝をさらに備え、各溝が前記導電性ワイヤのうちの1つを受容している、請求項1に記載の医療機器。
前記ポリマー電解質部材が長方形の形状であり、頂表面と対応する底表面とを規定しており、2つの電極が、前記ポリマー電解質部材の前記頂表面と前記底表面の周囲に対称に周方向に分散して配置されてサンドイッチ構造を形成している、請求項20に記載の医療機器。
【発明の概要】
【0005】
操向可能な腔内用医療機器の実施形態は、医療機器の作動部(例えばガイドワイヤ)の、改良された操向制御及び体内位置調整を提供する。ここでは、医療機器の作動部の遠位端を人体内の所望の解剖学的部位に配置する目的で、管腔または体内通路内へと動かすため及びそれらを通って動かすために、作動部を人体内部へと押している間、作動部は、管腔に挿入されるか、または人体の体内通路もしくは管腔内に挿入されて操作されるのに適合している。医療機器の実施形態は、人体内の所望の部位における外科手術または他の医療作業を実施するために医療機器の作動部の遠位の前端部に配置された、1つ以上の操作可能な超微細手術用部品の、動作及び位置調整のより精密な制御を提供する。
【0006】
医療機器の一実施形態は、管腔または体内通路の中へまたはそれらを通って動かされる、ガイドワイヤの形態の作動部を有し得る。医療機器は、遠位端及び近位端を有する、細身の細長可撓性部と、細長可撓性部の遠位端に近接して配置されたポリマー電解質部材を備える、イオン電気活性ポリマーアクチュエータとを備える。細長可撓性部の一実施形態は、近位端から遠位端まで延びるコアと、コアを取り囲むスリーブとをさらに含み得る。以下で詳細に説明するイオン電気活性ポリマーアクチュエータは、ポリマー電解質部材であって、印加される電場に応じて内部でカチオンが自由に移動するポリマー電解質部材を備える、アクチュエータである。電場は、ポリマー電解質部材の外周の周囲に配置され、離間配置された、複数の分散して配置された電極に電圧を印加すること(energization)によって提供される。複数の分散して配置された電極は、ポリマー電解質部材の少なくとも表面の少なくとも一部の、中に埋め込まれているか、その上に置かれているか、それに対して固定されているか、のうちの1つである。複数の電極のそれぞれは、例えば、細長可撓性部のコアにわたって延び、且つ電位源に連結された近位端と電極に連結された遠位端とを有する金属ワイヤといった、1つ以上の導電性ワイヤを通じて電位源に接続されていてよい。複数の電極のうちの、全てではないが1つ以上に対して選択的に電圧を印加することによって、ポリマー電解質部材は、ポリマー電解質部材の側部または一部分に沿って収縮する、及び/またはポリマー電解質部材の側部または一部分に沿って膨張する結果、非対称的に変形する。
【0007】
ある実施形態では、コアの外表面は、細長可撓性部の遠位端から、直線的にテーパが付いているか、曲線状にテーパが付いているか、または段階的にテーパが付いていて、減厚、減幅、または縮径された端部を形成していることができる。任意のそうしたテーパ端の角度は、所望の可撓性特性に応じて、様々であることができる。剛性の遷移をより漸進的に(テーパ長を長く)するか、より急進的に(テーパ長を短く)するために、テーパ端の長さが選択されてよい。ある実施形態では、テーパ端は、遠位方向にテーパが付いた外径を含んでいてよく、それによってコアの一部分の断面が小さくなり、その結果ポリマー電解質部材の内部に埋め込まれ得る。ある実施形態では、コアは、中実の断面を有する。しかし、ある代わりの実施形態では、コアは中空の断面を有し得る。例えば、ある実施形態では、コアの近位端から遠位端まで、コア内に内部ルーメンが設けられ、長手方向に形成されている。他の実施形態では、コアは金属材料を含んでいてよく、さらなる導電性導管の役割を果たすため、複数の電極のうちの少なくとも1つに連結されていてよい。
【0008】
ある実施形態では、スリーブは、イオン電気活性ポリマーアクチュエータの少なくとも一部を取り囲むために、細長可撓性部の遠位端から延びていてよい。例えば、スリーブは、電極、ポリマー電解質部材、またはこれらの組み合わせのうちの1つを取り囲んでいてよい。
【0009】
導電性ワイヤは、様々な手段、技法、及び/または構造によって、細長可撓性部と相互接続している。限定しないが、例えばある実施形態では、導電性ワイヤのそれぞれは、コアの外表面に沿って直線的にまたは平行に配置されており、外表面上で周方向に互いに離間して配置されている。例示的な一実施形態では、複数の溝が直線的に形成されており、コアの外表面から内に向けて、周方向に互いに離間して配置されている。各溝は、それぞれ内部に導電性ワイヤのうちの1つを受容している。他の実施形態では、複数の導電性ワイヤのうちのそれぞれは、螺旋状にまたは織り合わせるように、コアの周囲に巻き付けられている。代わりに、ある実施形態では、導電性ワイヤは、スリーブとコアの間に固定され、さらに、イオン電気活性ポリマーアクチュエータの少なくとも一部に固定されていてよい。他の実施形態では、導電性ワイヤは、コアを貫通していてよく、例えば、コアが中実の断面を有している場合には、コア内を通って固定されているか、コア内に埋め込まれていてよい。代わりに、コアが中空の断面を有している場合には、導電性ワイヤは、上記のようにコア内に規定されている内部ルーメンを貫通していてよい。
【0010】
接触が望ましい場合を除いて、導電性ワイヤを細長可撓性部及びイオン電気活性ポリマーアクチュエータから絶縁するために、複数の導電性ワイヤのそれぞれは、その上に絶縁被覆をさらに含み得る。絶縁被覆の材料は、限定しないが、例えばセラミック、PTFE、ナイロン、ポリイミド、ポリエステル、またはこれらの組み合わせを含み得る。
【0011】
ある実施形態では、ポリマー電解質部材は、溶媒としての電解質及びポリマーホストを含み得る。ポリマーは、限定しないが、フッ素ポリマー及び本質的に導電性のポリマーを含み得る。例示的な一実施形態では、フッ素ポリマーは、ペルフルオロイオノマー、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、またはそれらのコポリマー(例えばポリ(フッ化ビニリデン−コ−ヘキサフルオロプロピレン))(PVDF−HFP)を含み得るが、これらのポリマーには限定されない。別の例示的な実施形態では、本質的に導電性のポリマーは、限定しないが、ポリアニリン(PANI)、ポリピロール(Ppy)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)、ポリ(p−フェニレンスルファイド)(PPS)またはこれらの組み合わせを含み得る。さらなる別の実施形態では、電解質は、水またはイオン液体であり得る。イオン液体の例示的な一例は、限定しないが、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート(EMI−BF4)、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(EMI−TFSI)、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホナート(EMITf)またはこれらの組み合わせを含み得る。
【0012】
ある実施形態では、電極のそれぞれは、プラチナ、金、炭素系材料、及びこれらの組み合わせのうちの1つを含み得る。炭素系材料の例示的な例は、限定しないが、炭化物由来炭素、カーボンナノチューブ、グラフェン、炭化物由来炭素とポリマー電解質部材との複合物、及びカーボンナノチューブとポリマー電解質部材との複合物のうちの1つを含み得る。
【0013】
医療機器の一実施形態では、イオン電気活性ポリマーアクチュエータは、複数の、個別で互いに電気的に絶縁された電極であって、ポリマー電解質部材の少なくとも表面の周囲に角度的に分散して配置された、複数の電極を備え得る。医療機器の一実施形態では、イオン電気活性ポリマーアクチュエータは、医療機器の作動部(例えばガイドワイヤ)の遠位端にある、屈曲可能部内に含まれる。限定しないが、例えば一実施形態では、医療機器の屈曲可能部は、中心線において約120°(2.094ラジアン)で互いに分離して配置されている、角度的に分散して配置された3つの電極を備える。限定しないが、別の一例では、医療機器の屈曲可能部は、中央線において約45°(0.785ラジアン)で互いに分離して配置されている、角度的に分散して配置された8つの電極を備える。複数の電極のそれぞれが、ポリマー電解質部材の表面の周囲の周方向の距離の一部分を占めていることと、したがって「角度的な分離」が、隣接している電極と電極の端部間に関してではなく、電極と電極の中心線間に関して述べられていることは、理解されるであろう。隣接する電極の中心線間よりも、隣接する電極の隣接する端部間の方が、はるかにより近接している。医療機器のある実施形態では、電極は、隣接する電極間に十分な間隙を設ける態様で、離間して配置されている。
【0014】
ある実施形態では、導電性ワイヤは、はんだ付け、圧着、ステープル止め、挟着(pinching)、溶接、(例えば導電性エポキシを用いた)導電性接着剤などといった様々な従来型の技法を用いて、電極に直接、相互接続されている(例えば、一体化され、埋め込まれている)。代わりに、ある実施形態では、導電性ワイヤは、介在している導電性ブリッジを通じて電極と間接的に相互接続している。例示的な実施形態では、導電性ブリッジは、ポリマー電解質部材の表面と電極のうちの少なくとも1つとの間に延びており、導電性ワイヤを電極に接続し、且つこの両者間の電気的接続に負のインパクトを与えることなくこの両者間で動くことが可能な、導電性インターフェースの役割を果たしている。
【0015】
ある実施形態では、イオン電気活性ポリマーアクチュエータは、2自由度の屈曲動作を与える任意の可能な構成で構成されていることができる。例えば、4つの電極が、ポリマー電解質部材の表面の周囲に、中心線の角度的な離間を等しくして、周方向に分散して配置されている。ある実施形態では、イオン電気活性ポリマーアクチュエータは、1自由度の屈曲動作を与える任意の可能な構成で構成されていることができる。ある例示的な実施形態では、ポリマー電解質部材は、直円柱もしくは他の断面の棒(rod)であってよいか、または別の棒状の形状を有していてよく、2つの電極が、ポリマー電解質部材の表面の周囲に、等しい角度で周方向に分散して配置されていてよい。別の例示的な実施形態では、ポリマー電解質部材は、矩形で、頂面とそれに対応する底面とを規定していてよく、2つの電極が、ポリマー電解質部材の頂面と底面の周囲に、対称に、周方向に分散して配置されていて、電極と電極の間にポリマー電解質部材を挟んでいる、サンドイッチ構造を形成している。
【0016】
添付の図面は、実施形態のさらなる理解をもたらすものであり、本願に組み込まれて本願の一部を構成しており、記載されている説明と共に、本発明を明確にするのに役立つ。添付の図面を、以下のとおり簡単に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1A】一実施形態による、細長可撓性部と屈曲可能部とを含む、ガイドワイヤの一部分の等角図である。
【
図1B】一実施形態による、
図1Aのガイドワイヤの一部分の等角図であり、ポリマースリーブの一部が除去されて内部の構成要素の詳細が見えている。
【
図2A】
図2Aから
図2Fは、
図1Aの細長可撓性部の様々な実施形態を示す。
図2Aは、一実施形態による細長可撓性部の断面図であり、コアの外表面に沿って、周方向に互いに離間して直線状に配置された、2つの導電性ワイヤを示している。
【
図2B】別の一実施形態による細長可撓性部の断面図であり、さらにコアワイヤを備えるコアの外表面に沿って、周方向に互いに離間して直線状に配置された、1つの導電性ワイヤを示している。
【
図2C】別の一実施形態による細長可撓性部のコアの側面図であり、螺旋状にまたは織り合わせるようにコアの周囲に巻き付けられた、導電性ワイヤを示している。
【
図2D】別の一実施形態による、細長可撓性部と屈曲可能部の側断面図であり、細長可撓性部に沿ってコアと共に形成された内部ルーメンを示している。
【
図2E】
図2Eは、
図2Dの細長可撓性部の断面図であり、内部ルーメンを貫通している導電性ワイヤを示している。
【
図2F】別の一実施形態による細長可撓性部の断面図であり、コアの外表面に沿って、周方向に互いに離間して直線状に形成された、複数の溝を示している。
【
図3A】
図3Aから
図3Cは、様々な実施形態による
図1Aのガイドワイヤの細長可撓性部と屈曲可能部を示している。細長可撓性部の遠位端には、テーパ端が設けられている。
図3Aは、一実施形態による、細長可撓性部と屈曲可能部の一部分の等角図であり、内部の構成要素の詳細がよりよく見えるように、ポリマースリーブの一部が実線で表されている。
【
図3B】一実施形態による、
図3Aの細長可撓性部と屈曲可能部の側断面図であり、屈曲可能部に設けられたイオン電気活性ポリマーアクチュエータの近位端と連結するために、細長可撓性部の遠位端に近づくに連れて断面積が減少していく寸法形状を有している、テーパ端を示す。
【
図3C】別の一実施形態による、
図3Aの細長可撓性部と屈曲可能部の側断面図であり、ポリマー電解質部材の近位端内に埋め込まれたテーパ端を示している。
【
図4A】
図1A及び
図1Bの一実施形態の屈曲部の一部分の等角図であり、ストレートモードにある屈曲可能部を示す。
【
図4B】変形モードまたは屈曲モードにある、
図4Aの屈曲可能部の一部分の斜視図である。
【
図4C】
図4A及び
図4Bの屈曲可能部の一部分の断面図であり、2自由度の屈曲動作を与えるため、ポリマー電解質部材の外表面の周囲に配置された周方向に分散して配置された4つの電極に、4つの電気信号の第1の選択された組が印加されている、一実施形態を示している。
【
図4D】
図4A及び
図4Bの屈曲可能部の一部分の断面図であり、ポリマー電解質部材の周囲に配置された、周方向に分散して配置された電極に、4つの電気信号の第2の選択された組が印加されている、一実施形態を公開している。
【
図5】別の一実施形態による、ガイドワイヤの屈曲可能部の一部分の等角図であり、1自由度の屈曲動作を与える、棒状のイオン電気活性ポリマーアクチュエータを示す。
【
図6A】別の一実施形態による、細長可撓性部と屈曲可能部とを含む、ガイドワイヤの等角図である。
【
図6B】
図6Aの等角図であり、内部の構成要素の詳細がよりよく見えるように、ポリマースリーブの一部が実線で表されている。
【
図6C】
図6A及び
図6Bの屈曲可能部の等角図であり、サンドイッチ構造になっているイオン電気活性ポリマーアクチュエータを示す。
【
図7A】別の一実施形態による、ガイドワイヤの細長可撓性部(ポリマースリーブなし)と屈曲可能部の側断面図であり、イオン電気活性ポリマーアクチュエータの近位端に形成された導電ブリッジ13を示している。
【
図7B】ポリマースリーブありの、
図7Aの細長可撓性部の側断面図を示す。
【
図8A】一実施形態による、
図2Dと概して同じだが修正された構成を有する、ガイドワイヤの細長可撓性部と屈曲可能部の側面図を示す。
【
図9A】
図9Aから
図9Cは、イオン電気活性ポリマーアクチュエータと、細長可撓性部のコアの遠位端に設けられたテーパ端との結合を概略的に示す。
図9Aは、一実施形態による、
図6A及び
図6Bに示すガイドワイヤのコア及びイオン電気活性ポリマーアクチュエータを示す分解図である。
【
図9B】一実施形態による、
図6A及び
図6Bに示すガイドワイヤのコア及びイオン電気活性ポリマーアクチュエータの等角図である。
【
図9C】
図9Bの等角図であり、内部の構成要素の詳細がよりよく見えるように、イオン電気活性ポリマーアクチュエータの一部が実線で表されている。
【
図10A】
図10Aから
図10Dは、導電性ワイヤと、イオン電気活性ポリマーアクチュエータの電極及び細長可撓性部のコアとの結合を概略的に示す。
図10Aは、一実施形態による、
図6A及び
図6Bに示すガイドワイヤのコア、イオン電気活性ポリマーアクチュエータ、及び導電性ワイヤを示す等角図である。
【
図10C】
図10Aの等角図であり、内部の構成要素の詳細がよりよく見えるように、イオン電気活性ポリマーアクチュエータの一部が破線で表されている。
【
図10D】
図10Aの側面図であり、内部の構成要素の詳細がよりよく見えるように、イオン電気活性ポリマーアクチュエータの一部が実線で表されている。
【
図11A】
図11Aから
図11Eは、コアを取り囲むポリマースリーブと、イオン電気活性ポリマーアクチュエータの近位端と、導電性ワイヤとの結合を概略的に示す。
図11Aは、一実施形態による、ガイドワイヤの一部分の細長可撓性部と屈曲可能部の等角図を示す。細長可撓性部はコア及びコア1を取り囲むポリマースリーブを備え、屈曲可能部は、
図6A及び
図6Bに示すイオン電気活性ポリマーアクチュエータ110bを含む。
【
図11C】
図11Aの等角図であり、内部の構成要素の詳細がよりよく見えるように、ポリマースリーブの一部が破線で表されている。
【
図11D】
図11Aの側面図であり、内部の構成要素の詳細がよりよく見えるように、ポリマースリーブの一部が実線で表されている。
【
図11E】
図11Aの斜視図であり、内部の構成要素の詳細がよりよく見えるように、ポリマースリーブ及びイオン電気活性ポリマーアクチュエータの一部が破線で表されている。
【発明を実施するための形態】
【0018】
ガイドワイヤといった医療機器は、動脈、静脈、咽喉、外耳道、鼻腔、尿道、またはいくつもの他の管腔もしくは体内通路といった管腔内に挿入するのに、十分に細身である。これらの医療機器は、被験者または患者に大きな開口部を切開する必要性を避けて、外科手術または医療作業を実施するための局所的アクセスを提供することによって、医師が、従来型の外科手術に比べて回復期間の大幅な短縮につながる非侵襲的な外科手術を行うことを可能にする。
【0019】
本明細書で使用する場合、「被験者」または「患者」は、この機器による医学的介入を受ける者を指す。ある態様では、患者は、ヒト患者である。他の態様では、患者は、愛玩用動物(companion animal)、競技用動物(sporting animal)、飼育動物もしくは家畜、または他の動物である。
【0020】
本書で使用する場合、「イオン電気活性ポリマーアクチュエータ」という用語は、電場が印加されるのに応答して内部でカチオンが移動する、薄いポリマー電解質部材と、ポリマー電解質部材の表面上に配置された1つ以上の電極とを備える、医療機器の構成要素を指す。本明細書に記載の「イオン電気活性ポリマーアクチュエータ」は、医療機器の屈曲可能部の遠位端を動かすか、または選択的に屈曲させることができるようにするために、この遠位端に設けられていてよい。具体的には、1つ以上の電極に対して選択的に電圧を印加することによって、1つまたは複数のポリマー電解質部材は、ポリマー電解質部材の側部または一部分に沿って収縮する、及び/またはポリマー電解質部材の側部または一部分に沿って膨張する結果、非対称的に変形する。ポリマー電解質部材内のカチオンが、ポリマー電解質部材のマトリクス内に残存する一方で、アノードとして電圧を印加された電極に向かって、またカソードとして電圧を印加された電極から離れて移動することは、理解されたい。これによって、アノードとして電圧を印加された電極に近接するポリマー電解質部材の一部分が膨張し、カソードとして電圧を印加された電極に近接するポリマー電解質部材の一部分が収縮し、それによってポリマー電解質部材が屈曲する。導電性ワイヤを用いて電極に送達される電気信号を協調して制御することで、意図したまたは選択した方向へのポリマー電解質部材の屈曲が生み出される。イオン電気活性ポリマーアクチュエータのポリマー電解質部材は、緩和状態、即ち電圧が印加されていない状態では、元の形状に留まる。
【0021】
本明細書に記載の「ポリマー電解質部材」という用語は、ポリマーホスト及び電解質溶液(例えば水、イオン液体など)を含む、層、膜、棒、またはあらゆる形状もしくは形態の構成要素を指す。ポリマーホストは、限定しないが例えば、フッ素ポリマー及び本質的に導電性のポリマーを含む。例えば、ポリマー電解質部材は、二フッ化ビニリデンの重合によって生成され、イオン液体または食塩水を含有する高度に非反応性の熱可塑性フッ素ポリマーである、多孔性のポリフッ化ビニリデンまたはポリ二フッ化ビニリデンを含む。代わりに、ポリマー電解質は、フッ化ポリビニリデンまたは二フッ化ポリビニリデン、炭酸プロピレン、及びイオン液体によって形成された、ゲルを含んでいることもできる。
【0022】
本明細書に記載の「導電性ワイヤ」または「導電性導管」という用語は、ポリマー電解質部材の屈曲に影響を与えるために電源から複数の電極のうちの1つ以上へと電気信号を伝導する構成要素を指しており、優れた化学的安定性と耐食性のために、貴金属を含んでいてよい。ポリマー電解質部材を作動させるために電位を選択された電極に供給する導電性ワイヤまたは導管は、限定しないが例えば、高度に導電性のプラチナ、プラチナ合金、銀、もしくは銀合金を含むか、または、金もしくは金合金を含む。金もしくは金合金は、化学的安定性と耐食性があるのに加えて展性があり、有利には、屈曲に対する固有の耐性が非常に低い、非常に細身の導電性ワイヤに成形することができる。
【0023】
以下の段落では、医療機器であって、この医療機器を用いた外科手術を実施するのに、またはその実施を可能にするのに有用な医療機器と、こうした医療機器の作製を可能にするのに用いられ得る方法の、特定の実施形態について説明する。医療機器及び方法の他の実施形態が以下に添付されている特許請求の範囲の範囲内であることと、こうした実施形態の例示が本発明を限定するものではないことは、理解されるだろう。
図1Aは、医療機器の一実施形態を示しており、ガイドワイヤ1の一部分の等角図を含む。
図1Bは、
図1Aのガイドワイヤ1の一部分の斜視図であり、ポリマースリーブが除去されて内部の構成要素の詳細が見えている。ガイドワイヤ1は、細長可撓性部10及び、細長可撓性部10の遠位端100に配置された可制御屈曲可能部(controllably bendable portion)11を備える。細長可撓性部10は、コア101(例えば
図1B参照)及びコア101を取り囲むスリーブ102をさらに備える。屈曲可能部11は、細長可撓性部100のコア101に近接して且つ概してコア101と共線的に配置され、且つ
図1A及び
図1Bで位置決めされているような複数の電圧印加可能な電極112に対して中央に配置されたポリマー電解質部材111を備える、イオン電気活性ポリマーアクチュエータ110を含む。ポリマー電解質部材111の外表面113を実質的に取り囲んでいる複数の電極112のうちのそれぞれは、複数の導電性ワイヤ12のうちの別々のものの遠位端120に接続されており、この複数の導電性ワイヤ12を通って、電気信号または電位が、接続されている電極112に供給されてよい。
【0024】
図1に示すとおり、細長可撓性部10は、細長可撓性部10の近位端103に設けられた医療機器の操作可能部から延伸可能であり、オペレータ(図示せず)による操作のために利用可能である。細長可撓性部10のコア101は、人体(図示せず)の管腔(図示せず)内に挿入されるのに十分細身である。また、コア101は十分に可撓性があり、且つ十分に軸方向に圧縮不能であって、それによって、このコアは、人体の管腔(図示せず)内に挿入された後、細長可撓性部10を前方に押すかまたは進めることで、湾曲したまたは曲がりくねった経路を有する管腔を通って前進させることができる。コア101は、金属、金属合金、ポリマーなど、またはこれらの組み合わせを含む、任意の適切な材料を含み得る。適切な金属及び金属合金のいくつかの例は、304vステンレス鋼といったステンレス鋼、ニチノールといったニッケル−チタン合金、ニッケル−クロム合金、ニッケル−クロム−鉄合金、コバルト合金など、または他の適切な材料を含む。本明細書に記載の「ニチノール」という用語は、ニッケルとチタンの金属合金を指す。コア101は、全体が同じ材料(例えばニチノール)からできていることができるか、またはある実施形態では、異なる材料からできている一部分または部分を含んでいることができる。ある実施形態では、コア101を構築するのに使われている材料は、シャフト101の種々の部分に様々な可撓性と剛性の特性を与えるために選択されている。例えば、コア101の近位部と遠位部は、別々の材料(即ち、異なる弾性係数を有する材料)から形成されていてよく、その結果、コア101が種々の部位において可撓性に差分を有していてよい。ある実施形態では、近位部を構築するのに使用される材料は、コア101のこの部分の押し込み性とトルク伝達性(大きなエネルギー貯蔵またはヒステリシスなしに捻じることができる能力)のために、比較的剛性であり得、遠位部を構築するのに使用される材料は、コア101の遠位部のよりよい横方向追従性及び操向可能性のために、比較的可撓性であり得る。例えば、コア101の近位部は真っ直ぐにされた304vステンレス鋼線から形成されていてよく、コア101の遠位部は真っ直ぐにされた超弾性または線形弾性の合金(例えばニチノール)のワイヤであることができる。
図2Aから
図2Fは、細長可撓性部10の様々な実施形態を示す。ある実施形態では、コア101は、中実の断面を有する(
図2A、
図2B、
図2C、及び
図2F参照)。中実のコアによる
図2Bの実施形態では、コア101は、中実の金属材料104を含む金属コアワイヤである。中実の金属材料104を有するコア101は、電極112のうちの少なくとも1つに連結していることができ、電源から複数の電極112のうちの1つ以上に選択的に送信された電気信号を伝達してポリマー電解質部材111の屈曲を制御するための、さらなる導電性導管の役割を果たすことができる。それによって、コア101の外表面105に取り付けられている導電性ワイヤ12の数を適宜減らすことが、例えば
図2Aの導電性ワイヤ12が2本であるのに比べて導電性ワイヤ12を1本に減らすことが、可能になる。ある代わりの実施形態では、コア101は中空の断面を有し得る。例えば、
図2D及び
図2Eに示すように、コア101内に、細長可撓性部10に沿って、導電性ワイヤ12を受容するための内部ルーメン106が形成される。
【0025】
ポリマースリーブ102がコア101とイオン電気活性ポリマーアクチュエータ110の一部分を取り囲んでおり、人体内の管腔または通路におけるガイドワイヤの操縦性を容易にしている。ポリマースリーブ102は、例えば、熱可塑性ポリマーまたは熱硬化性ポリマーといった、ポリマーを含む。例えば、ポリマースリーブ102は、ポリエーテルブロックアミド(PEBA)、ポリウレタン、ポリエーテルエステル、ポリエステル、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、もしくは線形低密度ポリエチレンなど、またはこれらのコポリマーもしくは複合物もしくは組み合わせを含み得る。加えて、ポリマースリーブ102は、ポリアミド、弾性ポリアミド、ブロックポリアミド/エーテル、シリコーン、ポリエチレンなど、またはこれらの、もしくは上記の他の材料のうちのいずれかとの、複合物、組み合わせ、もしくはコポリマーといった、ポリマーを含み得る。好適な実施形態では、スリーブ102に対してより可撓性のあるポリマー特性を提供するため、ポリマースリーブ102は、PEBAX(登録商標)(Arkemaから入手可能)もしくはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、またはこれらの組み合わせを含んでいる。ポリマースリーブ102用の他の適切な例示的材料は、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、及び/またはパーフルオロアルコキシポリマー樹脂(PFA)を含む。材料と処理技法を注意深く選択することによって、可撓性やキンク耐性などといった所望の結果を実現するために、熱可塑性、可溶性、及び熱硬化性において異なる、これらの材料及び他の材料を用いることができる。
【0026】
加えて、ある実施形態では、ポリマースリーブ102の一部分もしくは全体に、及び/またはガイドワイヤ1の他の部分に、例えば潤滑性(例えば親水性)の被覆や他のタイプの被覆といった被覆が付けられ得る。フッ素ポリマーといった疎水性の被覆は、乾燥潤滑性をもたらす。この乾燥潤滑性は、ガイドワイヤのハンドリングと機器交換を容易にする。潤滑性の被覆は、人体内の管腔または通路内における操向性を向上させ、人体内の管腔または通路内における病変部横断機能を向上させる。適切な潤滑性ポリマーは当該技術分野でよく知られており、ポリアリーレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ヒドロキシアルキルセルロース、アルギン、サッカリド、カプロラクトンなどといった親水性ポリマー、並びにこれらの複合物及び組み合わせを含み得る。好適な実施形態では、ポリマースリーブ102は、上記のように親水性のポリマーで被覆されている。
【0027】
導電性ワイヤ12は、任意の適切な接続技法(例えば機械的締結具(ボルトまたはクランプ)、レーザ溶接、超音波接合、ろう付け、及びハンダ付け)を用いてコア101に接続されている。例えば、
図2A及び
図2Bでは、導電性ワイヤ12のそれぞれは、コア101の外表面105の長さに沿って直線的に配置されている。代替形態では、
図2Cに示すとおり、複数の導電性ワイヤ12のそれぞれが、コア101の外表面105の周囲に、螺旋状にまたは織り合わせるように巻き付けられている。次に、
図2A〜
図2Cの導電性ワイヤ12のそれぞれは、ポリマースリーブ102、コア101、及びイオン電気活性ポリマーアクチュエータ110の近位端の少なくとも一部に対して、固定されている(
図1A参照)。他の実施形態では、導電性ワイヤ12は、
図2Dの内部ルーメン106を貫通していることができる。さらに別の実施形態では、
図2Fに示すとおり、コア101の外表面105に沿って、複数の溝107が直線的に延びて形成されている。各溝は、それぞれ内部に導電性ワイヤ12のうちの1つを受容している。溝107の内部に導電性ワイヤ12を包み込むため、ポリマースリーブ102がさらに溝107を覆っている。
【0028】
図3A及び
図3Bは、一実施形態による
図1Aのガイドワイヤ1の細長可撓性部10と屈曲可能部11を示している。この実施形態では、細長可撓性部10のコア101の遠位端100に近接して、テーパ端108が設けられている。コア101の直径は、小径部であって、移行部からコアの遠位端へと延びる小径部と、大径部であって、移行部からコアの近位端(図示せず)へと延びる大径部とを含み、移行部は、1つ以上のテーパまたは段に沿って、大径部と小径部との間でコア101の直径を移行させている。ある実施形態では、
図3A〜
図3Bで示すように、ポリマースリーブ102に取り囲まれたコア101は、コアの表面が細長部の遠位端100に近づくにつれて断面が小さくなっていく寸法形状を有するテーパ部108を有しており、遠位端100におけるコア101の小径部の小さくなった断面が、イオン電気活性ポリマーアクチュエータ110の近位端114の表面に接触している。次に、ポリマースリーブ102は、上記の任意の適切なポリマーをコア101上に、及びイオン電気活性ポリマーアクチュエータ110の近位端114上に押し出してこれらを堅固に固定することによって、形成されている。また、堅固に相互接続するために、
図3Cに示す他の実施形態では、テーパ端108からコアの遠位端100へと延びている小径部は、ポリマー電解質部材111の近位端114から内部に延びて設けられている開口内に埋め込まれている。ある実施形態では、コア101は、テーパが付いている場合、所望の移行特性に応じて、均一または不均一である、テーパ部108の移行部を含んでいることができる。例えば、コア101のテーパ部108の直径移行部の表面プロファイルは、直線状、曲線状、または段階状であってよく、1つ以上の移行タイプまたは直径の変化を含んでいることができる。任意のこうした移行部のコアの中心線に対する角度は、コア101の所望の可撓性特性に応じて、さまざまであることができる。テーパ部108の長さは、コア101内のテーパ部108の長さに沿って、より多くの(長さが長い)またはより少ない(長さが短い)剛性の漸進的な移行を得るために、選択されてよい。コア101のテーパ部108は、当該技術分野で知られた数々の異なる技法のうちの任意のもの、例えば円筒研削(例えば外径研削またはセンターレス研削)によってテーパ付けまたは形成されていてよいが、テーパを付ける方法はこれに限定されない。
【0029】
図4Aは、
図1A及び
図1Bのガイドワイヤ1の実施形態の屈曲可能部11の端部の等角図であり、ストレートモードにある屈曲可能部11を示す。屈曲可能部11は、棒状のポリマー電解質部材111であって、
図3Aから
図3Cの細長可撓性部10の遠位端100に近接して、且つその周囲、即ち外表面113上に角度的に分散して配置された複数の電圧印加可能電極112の中央に配置された、棒状のポリマー電解質部材111を備える、イオン電気活性ポリマーアクチュエータ110を含む。ポリマー電解質部材111の外表面113を取り囲むように配列された複数の電極112のそれぞれは、導電ワイヤ12であって、それを通って電気信号または電位が接続された電極112に選択的に供給される、導電ワイヤ12の遠位端120に接続されており、ポリマー電解質部材111の外表面113の一部に形成された間隙によって、互いに離間して配置されている。一実施形態では、イオン電気活性ポリマーアクチュエータ110は、ポリマー電解質部材111の外表面113の周囲に等角度で分散して配置された、複数の角度的に分散して配置された電極112を備え得る。限定しないが、例えば、
図4の実施形態におけるイオン電気活性ポリマーアクチュエータ110は、ポリマー電解質部材111及び、角度的に分散して配置された4つの電極112であって、ポリマー電解質部材111の外表面113に沿って、電極の中心または中心線間が約90°(1.571ラジアン)で互いに分離してまたは離間して配置された、角度的に分散して配置された4つの電極112を備える。限定しないが、別の例として、イオン電気活性ポリマーアクチュエータ110は、角度的に分散して配置された8つの電極112であって、ポリマー電解質部材111の外表面113に沿って、その中心線間が約45°(0.785ラジアン)で分離して配置された、角度的に分散して配置された8つの電極112を備えていてよい。さらに別の例として、イオン電気活性ポリマーアクチュエータ110は、角度的に分散して配置された3つの電極112であって、ポリマー電解質部材111の外表面113に沿って、その中心線間が約120°(2.094ラジアン)で互いに分離して配置された、角度的に分散して配置された3つの電極112を備えていてよい。複数の電極112のそれぞれが、ポリマー電解質部材の表面に沿った周方向の距離の一部を占めていることと、したがって「角度的な分離」が、隣接している電極の端部間に関してではなく、電極の中心線に関して述べられていることは、理解されるであろう。隣接する電極の中心線間よりも、隣接する電極の隣接する端部間の方が、はるかにより近接している。医療機器のある実施形態では、電極は、隣接する電極間に絶縁チャネルが介在するように十分な間隙が設けられている態様で、離間して配置されている。
【0030】
一実施形態では、
図4Aのイオン電気活性ポリマーアクチュエータ110は、イオンポリマー金属複合体(IPMC)アクチュエータである。一実施形態では、イオン電気活性ポリマーアクチュエータ110は、(電解質として)EMITFを含浸させたPVDF−HFPから作られている、ポリマー電解質部材111を含む。代替形態では、ガイドワイヤ1のイオン電気活性ポリマーアクチュエータ110の他の実施形態は、Aciplex(商標)(日本国東京の旭化成ケミカルズ株式会社から入手可能)、Flemion(登録商標)(米国ペンシルバニア州エクストンのAGCケミカルズアメリカ社から入手可能)、fumapem(登録商標)Fシリーズ(ドイツ連邦共和国ビーティッヒハイム=ビッシンゲンのフマテック BWT GmbHから入手可能)、またはNafion(登録商標)(米国デラウェア州ウィルミントンのケマーズ社から入手可能)といったペルフルオロイオノマーを含む、ポリマー電解質部材111を含み得る。
【0031】
一実施形態では、電極112は、プラチナ、金、炭素系材料、またはこれらの組み合わせ(例えば複合物)のうちの1つを含み得る。炭素材料は、限定しないが、炭化物由来炭素(CDC)、カーボンナノチューブ(CNT)、グラフェン、炭化物由来炭素とポリマー電解質部材111との複合物、及びカーボンナノチューブとポリマー電解質部材111との複合物のうちの1つを含み得る。例示的な一実施形態では、電極112は2層構造であり、カーボン(CDC及び/またはCNT)とPVDF−HFP/EMITFの複合材を含む層、及び金の層を備えている。電極112は、ポリマー電解質部材111の外表面113上に、任意の適切な技法を用いて結合されている。限定しないが例として、金属電極112は、ポリマー電解質部材の外表面上に、電気化学処理を用いて堆積することができる(例えば、プラチナ電極または金電極)。代替形態では、外表面113上に炭素系材料層を噴霧するステップ、炭素系材料層上に金の層を噴霧被覆するステップ、続いてリフロー処理を用いて炭素系材料層と金の層とを結合するステップによって、二層電極112が作製され、外表面113上に結合されることができる。リフロー処理の詳細は、PCT出願第PCT/US17/16513号で検討されている。同出願は、参照により、その全体が本願に完全に援用される。屈曲可能部11は、以下でさらに詳細に説明するように、複数の電極112のうちの1つ以上に選択的に電圧を印加することによって、選択的かつ制御可能に屈曲モードへと変形することが可能である。
図4Bは、変形モードまたは屈曲モードにある、
図4Aの屈曲可能部11の等角図である。複数の電極112のそれぞれは、導電性ワイヤ12(
図1B)であって、それを通じてワイヤ12が接続されている電極112に対して電気信号が印加され得る導電性ワイヤ12の、遠位端120に接続されている。それによって、ポリマー電解質部材111内の金属カチオンが、電極112のうちの個別のものに対して選択的に印加されたカソード電位またはアノード電位の存在によって決定された方向に動かされる。印加された電位によって生み出されるこのカチオン移動によって、アノード電位が供給された電極の近位に配置されたポリマー電解質部材111の一部分の中でポリマー電解質部材111の膨張が生じ、その結果、ポリマー電解質部材111の残りの非膨張部分の方向への屈曲または歪みが生じる。その結果、イオン電気活性ポリマーアクチュエータ110のポリマー電解質部材111の屈曲による変形の大きさ及び方向は、電極112のうちのどれに電圧を印加するかを戦略的に選択することと、導電性ワイヤ12を通じて電極112に印加する電位の大きさと符号(+または−)を調整することによって、制御することができる。
【0032】
代替形態では、複数の電極112のうちの1つ以上に対する1つ以上の電位の印加が存在しておらずに屈曲可能部11が変形した(屈曲した)モードにあることが観察された場合には、観察されたたわみの大きさは、屈曲の結果として異なるワイヤ上にかけられた異なる電位を感知することによって測定することができ、屈曲可能部11に印加されている外力の大きさ及び方向を測定するために電源から電位をかけることによって、これらの電位を、自由状態から屈曲状態への、屈曲可能部11の屈曲の程度と同じにすることができる。または代替形態では、電極112に既知の電位を印加しても屈曲可能部11の予期した変形を生み出すのに失敗した場合には、既知の変形と(もしあれば)実際の変形との間の差異を、ガイドワイヤ1の屈曲可能部11に印加される外力の大きさの指標として用いることができる。
【0033】
図4Cは、一実施形態を示す
図4A及び
図4Bの屈曲可能部11の断面図であり、第1の選択された組の4つの電位が、ポリマー電解質部材111の外表面113の周囲に配置された周方向に分散して配置された4つの電極112に印加されて、2自由度の屈曲自由度が提供されている(例えば、X軸方向及び/またはY軸方向に沿った屈曲)。
図4Cは、矢印2の方向への屈曲可能部11の屈曲を伝えるために、角度的に分散して配置された複数の電極112に印加される、電位の電荷(符号)を示す。
図4Cの屈曲可能部11の左側と右側の電極112に正の電位を印加し、加えて
図4Cの頂部の電極112に正の電極を印加し、さらに加えて
図4Cの底部の電極に負の電極を印加すると、その結果、
図4Cの頂部の電極112にのみ正の電位を印加し、残りの電極112に負の電位を印加する結果生じるであろうものとは、異なる量の変形が生じるだろうことは、理解されよう。ユーザが所望する変形を生み出す複数の電気信号をユーザが選択し得ることは、理解されよう。
【0034】
図4Dは、
図4A及び
図4Bの屈曲可能部の断面図であり、ポリマー電解質部材111の周囲に配置された、周方向に分散して配置された電極112に、第2の選択された組の4つの電位が印加されている、別の実施形態を公開している。
図4Dは、
図4Dの屈曲可能部11の頂部の電極112、及び
図4Dの屈曲可能部11の右側の電極112に対する、正の電位の印加を示す。
図4Dは、さらに、
図4Dの底部の電極112、及び
図4Dの左側の電極112に対する、負の電位の印加も示す。これらの電位を印加することに由来するポリマー電解質部材111の変形は、矢印3の方向に生じる。
【0035】
個々の電極112のそれぞれに伝えられる電荷の戦略的な制御によって、複数の方向に、及び様々な程度の変形またはたわみを伴って、ガイドワイヤ1の屈曲可能部11を屈曲することが可能であることは、
図4C及び
図4Dから理解されるであろう。
図4Aから
図4Dに示す実施形態は、4つの電極112を含む屈曲可能部11を示しているが、ガイドワイヤ1の作動部100の屈曲可能部11が4つより少ないかまたは4つより多くの電極112を含んでいてよく、そうした他の実施形態ではたわみ及び変形による指向能力が異なり、したがってより多いかより少ない自由度が与えられるであろうことは、理解されよう。
【0036】
図5は、別の実施形態によるガイドワイヤ1の屈曲可能部11の等角図であり、イオン電気活性ポリマーアクチュエータ110aを示している。ここでは、周方向に分散して配置された2つの電極が、それぞれ棒状のポリマー電解質部材111aの外表面113aの周囲に配置されて、2自由度の曲げ動作(例えば上げまたは下げ)が与えられている。棒状のポリマー電解質部材111aの外表面113の頂部付近には、頂部電極112aが配置されており、外表面113aの底部付近には、対称になるように、底部電極112a’が配置されている。上記のように、例えば、(
図5の頂部電極112aに対して正の電位が印加されたと仮定すると、)電圧を印加された頂部電極112aに近接するポリマー電解質部材111の頂部は収縮する一方で、(底部電極112a’に対して負の電位が印加されたと仮定すると、)電圧を印加された底部電極112a’に近接するポリマー電解質部材111aの底部は膨張し、それによってポリマー電解質部材111aは矢印4の方向に屈曲するであろう。
【0037】
図6Aは、医療機器の別の一実施形態を示しており、ガイドワイヤ1の一部分の等角図を含む。
図6Bは、
図6Aのガイドワイヤの等角図であり、上を覆っているポリマースリーブが
図6Bでは破線で示されていて、内部の構成要素の詳細が見えている。細長可撓性部10及びその構成要素に関する詳細は、上記の各段落を参照することによって理解することができる。
図6A及び
図6Bのガイドワイヤ1のイオン電気活性ポリマーアクチュエータ110bは、上記の実施形態と比べて、異なる断面形状で設けられている。限定するものではないが、例えば一実施形態では、
図6Cは、長方形の断面を示す
図6A及び
図6Bのガイドワイヤ1の屈曲可能部11の等角図であり、具体的には、周方向に分散して配置された2つの電極、即ち、断面が長方形であるポリマー電解質部材111bの頂部側外表面及び底部側外表面113bの周囲にそれぞれ配置されて「サンドイッチ」構造を形成している、頂部電極112b及び底部電極112b’を伴う、「サンドイッチ構造」のイオン電気活性ポリマーアクチュエータ110bの等角図である。「サンドイッチ構造」のイオン電気活性ポリマーアクチュエータ110bは、任意の適切な技法によって作製され得る。限定するものではないが、例えば、電極112b及び112b’は、鋳造によって製造することができ、その後、さらなる精密なマイクロマシニングを行うことなく、加熱押圧を用いて長方形のポリマー電解質部材111bに組み付けることができる。それによって、マイクロマシニングといった処理に起因し得る、絶縁チャネルを形成するであろう間隙が近接する電極間に残ることも全くなく、それに付随する開回路の問題も全くない。同様に、頂部電極112b及び底部電極112b’に反対の符号の電位、即ち+と−の電位が印加されているときには、
図5に示すようにイオン電気活性ポリマーアクチュエータ110bを屈曲して、1自由度の曲げ動作(例えばY軸方向への上げまたは下げ)を与えることができる。
【0038】
導電性ワイヤ12は、任意の適切な接続技法を用いて、電極112に相互接続されている。例えば、
図3B及び
図3Cの実施形態では、導電性ワイヤ12は、導電性ペーストまたはレーザ溶接を用いて、イオン電気活性ポリマーアクチュエータ110の近位端114において、電極112のそれぞれの、少なくとも一部分に相互接続されて(例えば結合され埋め込まれて)いる。次いで、ポリマースリーブ102は、コア101、近位端114の一部分、及びそれに接続された導電性ワイヤ12上に被せられており、これらを堅固に固定している。
【0039】
図7Aは、別の実施形態による、ガイドワイヤの細長可撓性部10及び屈曲可能部11の側断面図を示す。ここでは、イオン電気活性ポリマーアクチュエータ110の近位端114の表面上に、導電性ブリッジ13が形成されており、電極112とポリマー電解質部材111とのインターフェースとなっていて、これらの間の電気信号の伝達を促進する。導電性ワイヤ12は、コア101の外表面105の近位端103(例えば
図1A参照)から遠位端100までと、細長可撓性部10のテーパ端108の一部分とに、相互接続されている。コア101のテーパ部から遠位端100へと延びているコア101の縮径部は、及びしたがって導電性ワイヤ12の遠位端120は、ポリマー電解質部材111内に設けられた開口部内に埋め込まれている。縮径部が中に延びている開口内に、導電性ブリッジ13が内に向けて延びている箇所では、導電性ブリッジ13とワイヤ12のより広いエリアでの接触が実現されていることができる。縮径部の遠位端100の先端は、
図7A及び
図7Bに示すように、ポリマー電解質部材の開口の終端から離間して配置されていてよいか、またはこの終端に対して接地されていてよい。導電性ブリッジ13は、金属材料(例えば金、銀、もしくは銅)または導電性ポリマーを含む非金属材料から作られた、任意の導電性フォイルまたはテープを、任意の適切な技法を用いて(限定するものではないが、例えば接着剤、被覆、めっき、エッチング、または堆積を用いて)電極112及びポリマー電解質部材111の表面に付けることによって、作製することができる。次いで、
図7Bに示すとおり、コア101、イオン電気活性ポリマーアクチュエータ110の近位端114の一部分、及びそれに接続された導電性ワイヤ12上に被せられているポリマースリーブ102(破線で示す)は、これらを堅固に固定している。
【0040】
図8Aは、一実施形態による、
図2Dに示すもの、及び
図2Dに関連して本明細書に記載されているものと概して同じ構成を有する、ガイドワイヤ1の細長可撓性部10と屈曲可能部11の側断面図を示す。
図8Bは、
図8Aの屈曲可能部11の側断面図である。コア101の内部に、細長可撓性部10の長さにわたって内部ルーメン106が形成されており、ポリマー電解質部材111の近位端114において、ポリマー電解質部材111の一部分内に、対応するルーメンが延びている。
図8Bでは、個々の導電性ブリッジ13aが、電極112とポリマー電解質部材111を電気的に接続するため、イオン電気活性ポリマーアクチュエータ110の遠位端115に設けられており、導電性ワイヤ12が内部ルーメン106を貫通して、近位端114から遠位端115までポリマー電解質部材111内に埋め込まれていて、それによって、ハンダ付け、圧着、ステープル止め、ピンチ止め、溶接、(例えば導電性エポキシを用いた)導電接着などといった従来型のワイヤ接合技法を用いて、導電性ブリッジ13aに電気的に接続されているとして示されている。
【0041】
図6A及び
図6Bに戻ると、「サンドイッチ構造」になっているイオン電気活性ポリマーアクチュエータ110bは、以下の例示的な方法によって作製され得る。ポリマー電解質部材111bは、まず、フルオロポリマー樹脂(例えばフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(P(VDF−HFP)))を、アセトン、ジメチルアセトアミド(DMAc)などといった適切な溶媒に溶解させることによって製造される。得られたPVDF−HFP調合物は、次に、ドクターブレード法を用いてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)基板上で鋳造され、室温で硬化される。加えて、PVDF−HFP膜は、溶媒残留物を取り除くため、真空下で80°Cで乾燥される。最後に、PVDF−HFP膜は、2つのPTFEプレート間で過熱押圧され、200°C−240°Cで2時間アニールされる。PVDF−HFP膜は、室温まで冷却された後、PTFE基板から剥がされる。完成した膜の厚さは、約50〜60マイクロメートルである。次に、このポリマー膜は、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(EMIMTFSI)、または1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホナート(EMITF)といった適切なイオン液体電解質に、60°C−90°Cで少なくとも12時間、含浸される。
【0042】
次に、頂部電極112b及び底部電極112b’は、以下の例示的な実施形態に従って得られたポリマー電解質部材111bの頂部外表面及び底部外表面113bの周囲に、それぞれ配置される。層構造になっている頂部電極112bと底部電極112b’に用いられている炭素−ポリマー複合材は、所望の導電性炭素材料、PVDF−HFP、及びイオン液体を溶媒(例えばジメチルアセトアミド(DMAc))中に含有する分散系を調製することによって、製造される。本明細書で用いられている導電性炭素材料は、炭化物由来炭素(CDC)、カーボンナノチューブ、炭素エアロゲル、グラフェン、もしくは他の炭素同素体、またはこれらの組み合わせであってよい。炭素−ポリマー混合物は、均一分散を得るため、高温下で4時間撹拌される。次に、この分散系は、超音波浴及び超音波プローブで4時間処理される。得られた炭素分散系は、この後、ドクターブレード法を用いてPTFE基板上で鋳造され、室温で少なくとも14時間乾燥される。その後、膜は、真空化で80°Cで5時間、乾燥される。最後に、炭素−ポリマー複合材膜は、200°C−240°Cで10分−30分間、加熱押圧される。
【0043】
得られた炭素−ポリマー複合材膜の導電性は、使用されている炭素材料のタイプのせいで、しばしば、イオン電気活性ポリマーアクチュエータ110bに適切な電気機械的性能を与えるのには不十分である。したがって、ある実施形態では、導電性集電体の役割を果たして電極の導電性を増大させるため、得られた炭素−ポリマー複合材膜上に、厚さ100nm−150nmの薄い金箔が被覆されてよい。他の実施形態では代わりに、炭素−ポリマー複合材膜は、吹き付け塗装処理を用いて金ナノ粒子分散系被覆で覆われて、頂部電極112b及び底部電極112b’を形成していてもよい。
【0044】
最後に、得られたポリマー電解質部材111b、頂部電極112b、及び底部電極112b’は、用いられている炭素材料と電極構成のタイプに応じて、200°C−240°Cで2分−8分間、加熱押圧を用いて組み付けられ、「サンドイッチ構造」の積層イオン電気活性ポリマーアクチュエータ110bが形成される。ある実施形態では、イオン電気活性ポリマーアクチュエータ110bの厚さ合計は、約90−110マイクロメートルである。一実施形態では、得られたイオン電気活性ポリマーアクチュエータ110bは、ガイドワイヤ1の屈曲可能部11で使用するため、幅300マイクロメートルで長さ12mmの細片へと切り分けられてよい。
【0045】
図6A及び
図6Bに示すガイドワイヤの製造プロセスは、
図9から
図11に示すとおりである。
図9Aから
図9Cは、イオン電気活性ポリマーアクチュエータ110bと、細長可撓性部10のコア101の遠位端100に設けられたテーパ端108の遠位にある、コア101の狭幅部との結合を概略的に示す。
図9Aは、
図6A及び
図6Bに示すガイドワイヤのコア101及びイオン電気活性ポリマーアクチュエータ110を示す分解図である。
図9Bは、コア101、及びコア101上に組み付けられた
図6A及び
図6Bに示すガイドワイヤのイオン電気活性ポリマーアクチュエータ110の等角図である。
図9Cは
図9Bの斜視図であり、内部の構成要素の詳細がよりよく見えるように、イオン電気活性ポリマーアクチュエータ110の一部が破線で表されている。
図9Aに示すように、頂部電極112bと底部電極112b’は、コア101のテーパ部108から遠位に延びている、断面が長方形のコアの減幅部において、長方形のポリマー電解質部材111bの頂部外表面及び底部外表面113bの周囲に、それぞれ配置されている。次に
図9B及び
図9Cでは、コアの減幅部、及びテーパ部108の一部分は、任意の適切な技法(例えば加熱押圧、リフローなど)を用いて、2つの長方形ポリマー電解質部材111bの間に挟まれており、積層された「サンドイッチ」構造が形成されている。
【0046】
図10Aから
図10Dは、導電性ワイヤ12と、イオン電気活性ポリマーアクチュエータ110bの電極112b、112b’及び細長可撓性部10のコア101との接続を概略的に示す。
図10Aは、一実施形態による、ガイドワイヤのコア、イオン電気活性ポリマーアクチュエータ、及び導電性ワイヤの斜視図である。
図10Bは、
図10Aの側面図である。
図10Cは
図10Aの斜視図であり、内部の構成要素の詳細がよりよく見えるように、イオン電気活性ポリマーアクチュエータが破線で表されている。
図10Dは
図10Aの側面図であり、内部の構成要素の詳細がよりよく見えるように、イオン電気活性ポリマーアクチュエータが実線で表されている。ここでは、
図10A−
図10Dに示す導電性ワイヤ12は、近位端103から遠位端100まで、コア101に巻き付けられている。次いで、導電性ワイヤ12のそれぞれの遠位端120は、任意の適切な接続技法(例えば導電接着またはレーザ溶接)を用いて、電極112b、112b’のうちの単一のものの表面に相互接続されている。ある実施形態では、テーパ部108より遠位にあるコア101の縮径部は、
図10C及び
図10Dに示すように、イオン電気活性ポリマーアクチュエータ110bの遠位端115内にさらに埋め込まれており、この遠位端により良く固定されている。
【0047】
図11Aから
図11Eは、ポリマースリーブ102が、コア101と、イオン電気活性ポリマーアクチュエータ110bの近位端114bと、導電性ワイヤ112とを覆っている結合を概略的に示す。
図11Aは、一実施形態による、ガイドワイヤの細長可撓性部10と屈曲可能部11の等角図を示す。細長可撓性部10はコア101(
図11C及び
図11D参照)、並びにコア101を取り囲むポリマースリーブ102を備え、一方で屈曲可能部11bは、上記の(例えば
図9−
図10参照)イオン電気活性ポリマーアクチュエータ110bを含む。
図11Bは、
図11Aの側面図である。
図11Cは
図11Aの等角図であり、内部の構成要素の詳細がよりよく見えるように、ポリマースリーブの一部が破線で表されている。
図11Dは
図11Aの側面図であり、内部の構成要素の詳細がよりよく見えるように、ポリマースリーブの一部が実線で表されている。
図11Eは
図11Aの斜視図であり、内部の構成要素の詳細がよりよく見えるように、ポリマースリーブとイオン電気活性ポリマーアクチュエータの一部が破線で表されている。
図11Aから
図11Eに示すとおり、ガイドワイヤの操縦性を容易にするために、コア101、イオン電気活性ポリマーアクチュエータ110bの一部分(即ち近位端114)、及びその上の導電性ワイヤ12を取り囲んで、ポリマースリーブ102がさらに設けられている。ポリマースリーブ102は、本明細書に記載の任意の適切なポリマーをコア101上に、及びイオン電気活性ポリマーアクチュエータ110bの近位端114b上に押し出して、これらを堅固に固定することによって、形成されていてよい。次いで、最終的な湿気防止と誘電バリア保護を提供するため、結果として生じた結合されたガイドワイヤ1の外表面に、パリレン被覆(図示せず)をさらに付けることができる。パリレン被覆は、ガイドワイヤ1の長さ全体にわたって生態適合性及び優れた潤滑性を与えるのにも、役立っている。
【0048】
上記の本発明の例示的な実施形態に対して、添付の特許請求の範囲で規定される本発明の技術的特徴から逸脱することなしに、様々な修正や変更がなされ得ることは、留意されるべきである。