(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記部品姿勢判定部は、前記撮像画像を、前記部品領域を構成する所定の画素の輝度値を閾値とした、前記部品領域に対応した第1画素群と前記部品影領域及び前記収納部領域に対応した第2画素群とを含むグレースケール画像に変換する画像変換部を、更に含み、
前記特徴量算出部は、前記グレースケール画像において、前記第1画素群の画素数と前記第2画素群の画素数との比率を、前記特徴量として算出する、請求項2に記載の部品実装装置。
前記保持具による前記部品の保持が可能な保持位置と、前記保持位置に対して上方側の退避位置との間で前記保持具が移動するように、前記保持具の昇降動作を制御する保持動作制御部を、更に備え、
前記部品姿勢判定部は、前記保持具が前記退避位置から前記保持位置へ向かって移動する下降中に、前記部品供給位置に供給された前記部品の前記異常姿勢を判定する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の部品実装装置。
前記部品が前記異常姿勢を取っていることを表す判定結果が前記部品姿勢判定部から出力された場合、前記保持動作制御部は、前記保持位置へ向かって前記基準下降速度で下降中の前記保持具を、前記保持位置よりも上方側の位置であって、前記保持具による前記部品の保持が不可能な保持不可位置で停止させ、その後、前記退避位置へ向かって所定の基準上昇速度で前記保持具を上昇させる、請求項5に記載の部品実装装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態に係る部品実装装置について図面に基づいて説明する。なお、以下では、方向関係についてはXYZ直交座標軸を用いて説明する。X方向は水平面と平行な方向であり、Y方向は水平面上でX方向と直交する方向であり、Z方向はX、Y両方向に直交する上下方向である。また、X方向の一方向側を「+X側」と称し、X方向の一方向側とは反対の他方向側を「−X側」と称する。また、Y方向の一方向側を「+Y側」と称し、Y方向の一方向側とは反対の他方向側を「−Y側」と称する。また、Z方向の一方向側を「+Z側」と称し、Z方向の一方向側とは反対の他方向側を「−Z側」と称する。
【0012】
<部品実装装置の構造>
図1は、本発明の一実施形態に係る部品実装装置1の構成を示す平面図である。部品実装装置1は、基板Pに部品を搭載(実装)して電子回路基板を生産する装置である。部品実装装置1は、装置本体1aと、移動フレーム2と、コンベア3と、部品供給装置5が装着される部品供給ユニット4と、ヘッドユニット6と、第1駆動機構7と、第2駆動機構8とを備える。
【0013】
装置本体1aは、部品実装装置1を構成する各部が配置される構造体であり、Z方向から見た平面視で略矩形状に形成されている。コンベア3は、X方向に延び、装置本体1aに配置される。コンベア3は、基板PをX方向に搬送する。基板Pは、コンベア3上を搬送されて、所定の作業位置(基板P上に部品が搭載される搭載位置)に位置決めされるようになっている。
【0014】
部品供給ユニット4は、装置本体1aにおけるY方向の+Y側及び−Y側の領域部分にそれぞれ、X方向に2箇所ずつ合計4箇所に配置される。部品供給ユニット4は、装置本体1aにおいて、部品供給装置5が複数並設された状態で装着される領域であって、後述のヘッドユニット6に備えられる保持具である吸着ノズル63による吸着対象の部品毎に、各部品供給装置5のセット位置が区画されている。
【0015】
部品供給装置5は、装置本体1aの部品供給ユニット4に着脱自在に装着されている。部品供給装置5は、テープを担体(キャリア)として、IC、トランジスタ、コンデンサ等の小片状の電子部品(以下、単に部品と称す)を供給するテープフィーダーである。この部品供給装置5について、
図2乃至
図4を参照して説明する。
図2は、部品実装装置1に備えられる部品供給装置5を概略的に示す図である。
図3は、部品供給装置5に備えられるテープガイド45の構成を示す図である。
図4は、部品供給装置5に装着される部品収納テープ100の斜視図である。
【0016】
部品供給装置5は、部品供給ユニット4に設けられた取付部31に取り付けられている。取付部31には、X方向に一定間隔で並びかつY方向に互いに平行に延びる複数のスロット32と、これらスロット32よりも前側の位置でX方向に伸びる固定台33とが設けられている。そして、各スロット32に部品供給装置5がセットされ、各部品供給装置5が固定台33に固定されている。これにより、部品供給ユニット4に、複数の部品供給装置5がX方向に横並びに整列して配置されている。
【0017】
部品供給装置5は、前後方向(Y方向)に細長い形状をなす本体部41を備えている。部品供給装置5は、前記スロット32に本体部41が挿入(セット)された状態で、固定台33に固定されている。
【0018】
部品供給装置5は、さらに、本体部41の前端部分に備えられた第1テープ送出部42と、本体部41の後端部分に備えられた第2テープ送出部43と、本体部41に設けられたテープ通路44と、テープガイド45とを備えている。
【0019】
前記テープ通路44は、部品収納テープ100を案内するための通路である。テープ通路44は、本体部41の後端部から前側上部に向かって斜め上方に延びている。部品収納部材としての部品収納テープ100は、本体部41の後端部からその内部に導入され、テープ通路44を通じて本体部41の上面前部に案内されている。
【0020】
部品収納テープ100は、
図4に示すように、テープ本体101とカバーテープ102とで構成された長尺のテープである。テープ本体101には、上部に開口した多数の部品収納部103(凹部)が長手方向(テープ送り方向)に一定間隔で形成されており、各部品収納部103に部品Eが収納されている。テープ本体101の上面には、前記カバーテープ102が接着されており、これにより各部品収納部103がカバーテープ102により閉鎖されている。また、テープ本体101のうち部品収納部103の側方には、長手方向に一定間隔で並びかつテープ本体101をその厚み方向に貫通する複数の嵌合孔104が設けられている。
【0021】
部品供給装置5において、前記テープガイド45は、本体部41の前部上面に設けられている。テープガイド45は、テープ通路44を通過した部品収納テープ100を覆い、当該部品収納テープ100を本体部41の上面に沿って略水平に部品供給位置P1まで案内するものである。部品供給位置P1は、前記ヘッドユニット6に部品の取り出しを行わせる位置であり、本体部41の上面前端に近い位置に設定されている。
【0022】
図3に示すように、テープガイド45のうち、部品供給位置P1に対応する位置には開口部45Aが設けられ、この開口部45Aよりも後方側の位置には、部品露出部451が設けられている。部品露出部451は、テープガイド45によりガイドされる部品収納テープ100の部品収納部103内において、部品Eを露出させる。部品露出部45は、挿入部4511と、刃部4512と、カバーテープ後処理部4513とを含む。
【0023】
部品露出部451において挿入部4511は、先細状に形成された薄板状の部分であり、テープガイド45によりガイドされ、先端が自由端とされた状態の部品収納テープ100に対し、テープ本体101とカバーテープ102との間に挿入される。部品露出部451において刃部4512は、挿入部4511に対してテープ送り方向の下流側に配置され、部品収納テープ100の走行に応じてカバーテープ102を、テープ送り方向に沿った直線状に切断する。部品露出部451においてカバーテープ後処理部4513は、刃部4512に対してテープ送り方向の下流側に配置され、刃部4512により切断されたカバーテープ102を押し広げる処理を行う。これにより、部品収納テープ100の部品収納部103内において、部品Eを露出させることができる。このようにして部品収納部103内において露出された部品Eは、部品供給位置P1において、テープガイド45の開口部45Aを介して、部品実装装置1におけるヘッドユニット6の吸着ノズル63により吸着されて取り出される。
【0024】
部品供給装置5において、前記第1テープ送出部42は、テープガイド45の下方に配置される第1スプロケット51と、第1モーター52と、第1モーター52の駆動力を第1スプロケット51に伝達する、複数枚の伝動ギヤからなる第1ギヤ群53とを備えている。第1スプロケット51は、テープガイド45に沿って案内される部品収納テープ100の嵌合孔104に嵌合する歯を有している。つまり、第1テープ送出部42は、第1スプロケット51を第1モーター52により回転駆動することにより、部品収納テープ100を部品供給位置P1に向かって送出する。
【0025】
部品供給装置5において、第2テープ送出部43は、本体部41の後端部に配置される第2スプロケット54と、第2モーター55と、第2モーター55の駆動力を第2スプロケット54に伝達する、複数枚の伝動ギヤからなる第2ギヤ群56とを備えている。第2スプロケット54は、上方から前記テープ通路44内に臨んでおり、当該テープ通路44に沿って案内される部品収納テープ100の嵌合孔104に嵌合する歯を有している。つまり、第2テープ送出部43は、第2スプロケット54を第2モーター55により回転駆動することにより、部品収納テープ100を前方(部品供給位置P1)に向かって送出する。
【0026】
部品収納テープ100は、各送出部42、43により部品供給位置P1に向かって間欠的に送出され、部品供給位置P1でテープガイド45の開口部45Aを通じて部品Eの取り出しが行われる。
【0027】
次に、
図1を参照して部品実装装置1に備えられる移動フレーム2は、X方向に延び、装置本体1aに、所定の移動方向(Y方向)に移動可能に支持される。この移動フレーム2にヘッドユニット6が搭載されている。ヘッドユニット6は、X方向に移動可能となるように、移動フレーム2に搭載される。すなわち、ヘッドユニット6は、移動フレーム2の移動に伴ってY方向に移動可能であり、且つ、移動フレーム2に沿ってX方向に移動可能である。ヘッドユニット6は、部品供給ユニット4に装着された部品供給装置5の部品供給位置P1と、コンベア3により搬送された基板Pの所定の作業位置とにわたって移動可能とされ、部品供給位置P1において部品供給装置5から部品Eを取り出すとともに、その取り出した部品Eを作業位置において基板P上に搭載(実装)する。ヘッドユニット6の詳細については、後述する。
【0028】
第1駆動機構7は、装置本体1aの+X側及び−X側の端部に配設される。第1駆動機構7は、移動フレーム2をY方向に移動させる機構である。第1駆動機構7は、例えば、駆動モーターと、Y方向に延び、駆動モーターに連結されるボールねじ軸と、移動フレーム2に配設されてボールねじ軸と螺合するボールナットと、を含んで構成される。このような構成の第1駆動機構7は、駆動モーターによるボールねじ軸の回転駆動に伴ってボールナットがボールねじ軸に沿って進退することにより、移動フレーム2をY方向に移動させる。
【0029】
第2駆動機構8は、移動フレーム2に配設される。第2駆動機構8は、ヘッドユニット6を移動フレーム2に沿ったX方向に移動させる機構である。第2駆動機構8は、第1駆動機構7と同様に、例えば、駆動モーターと、X方向に延び、駆動モーターに連結されるボールねじ軸と、ヘッドユニット6に配設されてボールねじ軸と螺合するボールナットと、を含んで構成される。このような構成の第2駆動機構8は、駆動モーターによるボールねじ軸の回転駆動に伴ってボールナットがボールねじ軸に沿って進退することにより、ヘッドユニット6をX方向に移動させる。
【0030】
なお、第1駆動機構7及び第2駆動機構8は、当例では、駆動モーターによりボールねじ軸を介して移動フレーム2及びヘッドユニット6を移動させる構成である。しかし、例えばリニアモーターを駆動源として移動フレーム2やヘッドユニット6をダイレクトに駆動する構成であってもよい。
【0031】
ヘッドユニット6について、
図1に加えて
図5乃至
図8を参照して説明する。
図5はヘッドユニット6の側面図であり、
図6はヘッドユニット6を下方側から見た平面図である。また、
図7は部品実装装置1の制御系を示すブロック図であり、
図8はヘッドユニット6に備えられる吸着ノズル63の昇降動作を説明するための図である。
【0032】
ヘッドユニット6は、ヘッド本体61と、回転体62と、吸着ノズル63とを含む。ヘッド本体61は、ヘッドユニット6の本体部分を構成する。回転体62は、円柱状に形成され、回転体駆動機構66(
図7参照)により鉛直軸(Z方向に延びる軸)を回転中心として回転可能に、ヘッド本体61に設けられる。
【0033】
回転体62の外周縁端部には、複数の吸着ノズル63が、周方向に所定の間隔をおいて配設されている。吸着ノズル63は、部品供給装置5により部品供給位置P1に供給された部品Eを吸着して保持可能な保持具である。吸着ノズル63は、電動切替弁を介して負圧発生装置、正圧発生装置及び大気の何れかに連通可能とされている。つまり、吸着ノズル63に負圧が供給されることで当該吸着ノズル63による部品Eの吸着保持(部品の取り出し)が可能となり、その後、正圧が供給されることで当該部品Eの吸着保持が解除される。なお、本実施形態では、吸着ノズル63以外の保持具として、例えば部品Eを把持して保持するチャックなどであってもよい。
【0034】
吸着ノズル63は、ノズル昇降駆動機構67(
図7参照)により上下方向(Z方向)に昇降可能に、回転体62に設けられる。吸着ノズル63は、部品供給装置5により部品供給位置P1に供給された部品Eの保持が可能な保持位置PP1と、保持位置PP1に対して上方側の退避位置PP2との間で、Z方向(上下方向)に沿って移動可能である(
図8参照)。つまり、部品供給位置P1に供給された部品Eを保持するときには、吸着ノズル63は、ノズル昇降駆動機構67によって退避位置PP2から保持位置PP1へ向かって下降し、当該保持位置PP1において部品Eを吸着保持する。一方、部品Eの吸着保持後の吸着ノズル63は、ノズル昇降駆動機構67によって保持位置PP1から退避位置PP2へ向かって上昇する。
【0035】
また、
図6に示すように、ヘッドユニット6のヘッド本体61の下面には、部品検出センサ64が設けられている。部品検出センサ64は、部品供給装置5の部品供給位置P1において吸着ノズル63に吸着保持された部品Eの保持状態を検出する。より詳しくは、保持位置PP1において部品Eを吸着保持した吸着ノズル63が退避位置PP2まで上昇すると、部品検出センサ64は、吸着ノズル63に部品Eが吸着保持されているか、又は、吸着ノズル63に吸着保持された部品Eの姿勢を検出する。
【0036】
また、
図5に示すように、ヘッドユニット6のヘッド本体61の下面には、回転体62よりも外側(−X側、左側)に取付部材65を介して第1撮像部91が固定されている。第1撮像部91は、吸着ノズル63による部品Eの吸着保持動作の前に、部品供給装置5により部品供給位置P1に供給された部品Eを上方から撮像し、撮像画像を取得する撮像カメラである。本実施形態では、第1撮像部91は、部品供給位置P1に供給された部品Eを、斜め上方から撮像する。
【0037】
第1撮像部91は、反射ミラー911と、テレセントリックレンズ912と、撮像素子913と、照明部914とを含む。
【0038】
第1撮像部91において、照明部914は、例えばLED(Light Emintting Diode)であり、部品供給装置5の部品供給位置P1を照明する。照明部914は、第1撮像部91の右側(+X側)の側面に、回転体62に近接する側に突出して設けられている。なお、照明部914は、第1撮像部91による撮像画像の背景となる回転体62よりも外側(−X側、左側)に位置する。
【0039】
第1撮像部91において、反射ミラー911は、部品供給位置P1に供給された部品E、並びに当該部品Eを収納する部品収納部103からの反射光を、テレセントリックレンズ912に向けて反射する。テレセントリックレンズ912に入射された部品E及び部品収納部103からの反射光は、撮像素子913に導かれる。撮像素子913は、例えばCMOS(Complementary metal−oxide−semiconductor)やCCD(Charged−coupled devices)であり、テレセントリックレンズ912を介して導かれた部品E及び部品収納部103からの反射光に基づく撮像画像を生成する。
【0040】
第1撮像部91は、Z方向から見た平面視において、撮像素子913の撮像面に垂直でテレセントリックレンズ912の中心を通る光軸が、吸着ノズル63の退避位置PP2(部品供給位置P1の真上)及び回転体62の回転中心を通る仮想線と重なるように、配置される。これにより、第1撮像部91は、部品供給位置P1が中心に位置した撮像画像を取得することができる。但し、第1撮像部91は、必ずしも部品供給位置P1が中心に位置した撮像画像を取得する必要がなく、部品供給位置P1に位置した部品収納部103の全体が撮影された撮像画像を取得するようにすればよい。
【0041】
また、部品実装装置1は、
図1に示すように、第2撮像部92を備えている。第2撮像部92は、装置本体1a上の各部品供給ユニット4とコンベア3との間の位置にそれぞれ配設された部品認識カメラである。第2撮像部92は、ヘッドユニット6の吸着ノズル63に吸着保持された部品Eの保持状態を認識するために、当該部品Eを下側から撮像する。部品供給装置5の部品供給位置P1において吸着ノズル63により部品Eが吸着保持された後、コンベア3上で位置決めされた基板Pの作業位置にヘッドユニット6が移動されると、その作業位置において第2撮像部92が部品Eを撮像する。すなわち、第2撮像部92は、吸着ノズル63に吸着保持された部品Eが、作業位置において基板P上に搭載される前に、当該部品Eを撮像する。なお、ヘッドユニット6に取り付けられた第1撮像部91と、装置本体1a上に配設された第2撮像部92とをあわせて、撮像部9と総称する。
【0042】
<部品実装装置の制御系>
次に、部品実装装置1の制御系について、
図7のブロック図を用いて説明する。部品実装装置1は、制御部10を備えている。制御部10は、CPU(Central Processing Unit)、制御プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)、CPUの作業領域として使用されるRAM(Random Access Memory)等から構成されている。制御部10は、CPUがROMに記憶された制御プログラムを実行することにより、部品実装装置1の動作を統括的に制御する。制御部10は、
図7に示すように、部品供給制御部11と、保持動作制御部12と、部品姿勢判定部13とを含む。
【0043】
部品供給制御部11は、部品供給装置5による部品供給位置P1への部品Eの供給動作を制御する。
【0044】
保持動作制御部12は、第1駆動機構7及び第2駆動機構8によるヘッドユニット6のX方向及びY方向に関する水平面上の移動を制御する。また、保持動作制御部12は、保持位置PP1と退避位置PP2との間で吸着ノズル63が移動するように、ノズル昇降駆動機構67による吸着ノズル63の昇降動作を制御する。更に、保持動作制御部12は、回転体駆動機構66による回転体62の回転動作を制御する。
【0045】
部品姿勢判定部13は、第1撮像部91により取得された撮像画像に基づき、部品供給装置5により部品供給位置P1に供給された部品Eの姿勢を判定する。具体的には、部品姿勢判定部13は、部品Eが部品収納部103から上下方向(Z方向)と交差する方向、例えば水平面上の方向へはみ出す異常姿勢を取っているか否かを判定する。部品姿勢判定部13は、部品Eが異常姿勢を取っていない場合に、部品Eが部品収納部103内に正常に収納された正常姿勢を取っていると判定する。部品姿勢判定部13による部品姿勢の判定は、部品供給装置5により部品供給位置P1に供給された部品Eに対する、吸着ノズル63による保持動作の前に行われる。このような部品姿勢判定部13を備えた構成とすることによって、部品供給位置P1に供給された部品Eが、吸着ノズル63による確実な保持が不可能な異常姿勢を取っているかを判定する機能を有した部品実装装置1を実現することができる。
【0046】
ここで、部品姿勢判定部13が部品姿勢の判定の際に用いる撮像画像について、
図9を参照して説明する。
図9は、第1撮像部91により取得される撮像画像の一例を示す図である。
図9(A)の撮像画像G1は、部品Eが正常姿勢を取った状態の撮像画像の一例を示し、
図9(B)の撮像画像G2は、部品Eが異常姿勢を取った状態の撮像画像の一例を示す。
【0047】
第1撮像部91により取得される撮像画像G1,G2は、部品Eの画像を表す部品領域GAと、部品Eの影の画像を表す部品影領域GBと、部品収納部103の画像を表す収納部領域GCとを含む。
【0048】
そして、部品姿勢判定部13は、
図7に示すように、特徴量算出部132と判定部133とを含む。部品姿勢判定部13において、特徴量算出部132は、撮像画像G1,G2における部品領域GA、部品影領域GB及び収納部領域GCに基づき、部品Eの姿勢に関する特徴量を算出する。部品姿勢判定部13において、判定部133は、特徴量算出部132により算出された特徴量に基づき、部品Eが異常姿勢を取っているか否かを判定する。この態様では、撮像画像G1,G2に含まれる部品E及び部品収納部103に対応した部品領域GA及び収納部領域GCのみならず、部品Eの影に対応した部品影領域GBをも参照して、部品Eの姿勢に関する特徴量を特徴量算出部132が算出する。この特徴量に基づき判定部133が部品Eの異常姿勢を判定することにより、部品姿勢の判定精度の向上が図られる。
【0049】
図10は、部品姿勢判定部13による部品Eの姿勢の判定方法の一例を説明するための図である。特徴量算出部132は、撮像画像G1,G2における部品領域GA、部品影領域GB及び収納部領域GCの各領域を含む全体の外周サイズや外接矩形K1のサイズ等のサイズを、部品Eの姿勢に関する特徴量として算出することができる。但し、サイズを特徴量とした場合、その特徴量には、寸法ばらつきが存在する部品Eのサイズ(部品サイズ)の成分が含まれる。このため、サイズに関する特徴量は、部品サイズのばらつきに起因した誤差が生じ易い。この結果、サイズに関する特徴量に基づく部品姿勢の判定精度が低下する虞がある。
【0050】
そこで、特徴量算出部132は、撮像画像G1,G2において、部品領域GAの画素数と部品影領域GB及び収納部領域GCの画素数との比率を、特徴量として算出するよう構成されていることが望ましい。この比率に関する特徴量は、相対的な指標であるので、部品サイズのばらつきに起因した誤差が生じ難い。このため、比率に関する特徴量に基づく部品姿勢の判定精度が向上する。
【0051】
なお、特徴量算出部132により算出された、比率に関する特徴量に基づき、判定部133が部品姿勢を判定するに際しては、正常姿勢と異常姿勢とを区別することが可能な比率を予め実験的に求めておき、その比率を判定値として、判定部133は、部品Eが異常姿勢を取っているか否かを判定する。判定部133が用いる前記判定値は、部品サイズ毎に設定される。
【0052】
また、部品姿勢判定部13は、
図7に示すように、撮像画像G1,G2をグレースケール画像に変換する画像変換部131を、更に含む。
図11乃至
図13は、画像変換部131が生成するグレースケール画像の一例を示す図である。
【0053】
図11(A)のグレースケール画像GG1及び
図11(B)のグレースケール画像GG2は、部品Eが正常姿勢を取った状態の撮像画像に基づき変換されたグレースケール画像を示す。
【0054】
図12(A)のグレースケール画像GG3は、正常姿勢を取った部品の上に、別の部品収納部103に収納されていた部品が重なった状態の撮像画像に基づき変換されたグレースケール画像を示す。このような状態について、判定部133は、部品Eが異常姿勢を取っているものと判定する。
図12(B)のグレースケール画像GG4は、部品Eが異常姿勢を取った状態の撮像画像に基づき変換されたグレースケール画像を示す。
図12(C)のグレースケール画像GG5は、部品Eが異常姿勢を取った状態であって、
図12(B)の場合と比較して部品収納部103に対する部品Eのはみ出し量が大きい状態の撮像画像に基づき変換されたグレースケール画像を示す。
【0055】
図13(A)のグレースケール画像GG6は、部品Eが部品収納部103から飛び出した状態の撮像画像に基づき変換されたグレースケール画像を示す。このような状態について、判定部133は、部品Eが異常姿勢を取っているものと判定する。
図13(B)のグレースケール画像GG7は、第1撮像部91の撮像範囲を超えて部品Eが部品収納部103から飛び出した状態の撮像画像に基づき変換されたグレースケール画像を示す。このような状態について、判定部133は、部品Eが異常姿勢を取っているものと判定する。
【0056】
部品姿勢判定部13において、画像変換部131は、撮像画像を、部品領域GAを構成する所定の画素の輝度値を閾値とした、部品領域GAに対応した第1画素群GGAと、部品影領域GB及び収納部領域GCに対応した第2画素群GGBとを含むグレースケール画像GG1乃至GG7に変換する。なお、
図13(B)に示す状態では、画像変換部131が生成するグレースケール画像GG7には、部品領域GAに対応した第1画素群GGAは含まれない。
【0057】
画像変換部131が生成するグレースケール画像GG1乃至GG7において、第1画素群GGAを構成する各画素は同一の輝度値となり、第2画素群GGBを構成する各画素も同一の輝度値となる。また、グレースケール画像GG1乃至GG7において、第1画素群GGAを構成する各画素の輝度値と、第2画素群GGBを構成する各画素の輝度値とは、異なる値を示す。
【0058】
画像変換部131が生成するグレースケール画像GG1乃至GG7が、256階調のグレースケール画像である場合、撮像画像における回転体62の画像を表す背景部分に対応して、輝度値255の画素からなる白色の領域部分となる。また、256階調のグレースケール画像GG1乃至GG7において、撮像画像の部品領域GAに対応した第1画素群GGAは、輝度値0(ゼロ)の画素からなり、黒色で示される。また、256階調のグレースケール画像GG1乃至GG7において、撮像画像の部品影領域GB及び収納部領域GCに対応した第2画素群GGBは、0(ゼロ)よりも大きく255未満の範囲から選ばれる所定の輝度値の画素からなり、白色と黒色との中間色(グレー色)で示される。
【0059】
そして、特徴量算出部132は、グレースケール画像GG1乃至GG7において、第1画素群GGAの画素数と第2画素群GGBの画素数との比率を、特徴量として算出する。これにより、画素の輝度値が変化する境界となるエッジを抽出するエッジ抽出処理を行わなくても、部品Eの姿勢に関する特徴量を算出することができる。このため、部品姿勢の判定処理の処理速度の高速化が図られる。ここで、前記比率に関する特徴量は、第1画素群GGAの画素数を、第2画素群GGBの画素数で除算した値である。すなわち、前記比率に関する特徴量の値が大きくなるほど、グレースケール画像GG1乃至GG7において第1画素群GGAの占める割合が大きくなる。
【0060】
グレースケール画像GG1乃至GG7に基づく前記比率に関する特徴量と、部品姿勢との関係性について、
図14を参照して説明する。
図14は、部品姿勢判定部13による部品Eの姿勢の判定方法を説明するための図である。
【0061】
グレースケール画像GG1乃至GG7において、部品Eが異常姿勢の状態のグレースケール画像GG3乃至GG7に対し、部品Eが正常姿勢の状態のグレースケール画像GG1,GG2は、特徴量が大きくなる。つまり、
図11から明らかなように、部品Eが正常姿勢の状態のグレースケール画像GG1,GG2において第1画素群GGAの占める割合が大きく、このため、特徴量が大きくなる。
【0062】
更に、部品Eが異常姿勢の状態のグレースケール画像GG3乃至GG7の中でも、グレースケール画像における第1画素群GGAの占める割合に応じて、特徴量の値は異なる。グレースケール画像における第1画素群GGAの占める割合は、
図12及び
図13から明らかなように、部品収納部103に対する部品Eのはみ出し量が大きいほど、小さくなる。つまり、部品収納部103に対する部品Eのはみ出し量が大きくなるほど、グレースケール画像における第1画素群GGAの占める割合が小さくなり、このため、特徴量が小さくなる。
【0063】
グレースケール画像GG1乃至GG7に基づく特徴量と、部品姿勢との関係性についてまとめると、以下の通りである。部品収納部103に対する部品Eのはみ出し量が大きくなるほど特徴量が小さくなり、部品Eが異常姿勢の状態に比べて正常姿勢の状態では特徴量が大きい値を示す。このような、特徴量と部品姿勢との関係性を参照して、正常姿勢と異常姿勢とを区別することが可能な比率を判定値J1として設定する(
図14参照)。そして、判定部133は、この判定値J1に基づき、部品Eが異常姿勢を取っているか否かを判定する。判定部133が用いる判定値J1は、部品サイズ毎に設定される。
【0064】
また、部品姿勢判定部13は、保持動作制御部12に制御されたノズル昇降駆動機構67により吸着ノズル63が退避位置PP2から保持位置PP1へ向かって移動する下降中に、部品供給装置5により部品供給位置P1に供給された部品Eの姿勢を判定する。つまり、部品姿勢判定部13から部品姿勢の判定結果が出力されるまで吸着ノズル63の下降動作を待機するのではなく、部品供給位置P1に供給された部品Eを保持するための吸着ノズル63の下降動作中に、部品姿勢判定部13による部品姿勢の判定が行われる。このため、部品姿勢の判定に起因した、吸着ノズル63の下降動作の待機期間を設定する必要がなくなる。この結果、保持動作制御部12による吸着ノズル63の昇降動作の遅れを回避でき、部品実装装置1での基板生産速度を向上することができる。
【0065】
更に、保持動作制御部12は、部品姿勢判定部13から判定結果が出力されるまでは、吸着ノズル63の下降速度を所定の基準下降速度よりも減速させ、部品姿勢判定部13による判定結果の出力後には、吸着ノズル63の下降速度を前記基準下降速度に設定する。部品姿勢判定部13から判定結果が出力されるまでは吸着ノズル63の下降速度が減速されるので、部品姿勢判定部13は、吸着ノズル63の下降動作中に、部品姿勢の判定処理を確実に完了することができる。また、部品姿勢判定部13による判定結果の出力後には、吸着ノズル63の下降速度の減速が解除されて基準下降速度に戻されるので、吸着ノズル63の下降動作時間が過度に長くなることが可及的に抑止される。
【0066】
更に、部品Eが異常姿勢を取っていることを表す判定結果が部品姿勢判定部13から出力された場合、保持動作制御部12は、以下の通りに吸着ノズル63の昇降動作を制御する。
図15は、部品Eが異常姿勢を取っている場合の吸着ノズル63の昇降動作を説明するための図である。保持動作制御部12は、部品姿勢判定部13から異常姿勢の判定結果が出力された場合、保持位置PP1へ向かって前記基準下降速度で下降中の吸着ノズル63を、保持位置PP1よりも上方側の保持不可位置PP3で停止させ、その後、退避位置PP2へ向かって所定の基準上昇速度で吸着ノズル63を上昇させる。保持不可位置PP3は、保持位置PP1よりも上方側であって、吸着ノズル63による部品Eの保持が不可能な位置である。
【0067】
部品供給装置5により部品供給位置P1に供給された部品Eが異常姿勢を取っている場合、吸着ノズル63による確実な保持が不可能な場合が多い。仮に、異常姿勢を取った部品Eを吸着ノズル63が異常姿勢のまま無理矢理に保持し、その状態で吸着ノズル63が上昇されると、吸着ノズル63の上昇動作中に部品Eが吸着ノズル63から離脱する虞がある。そこで、部品Eが異常姿勢を取っていることを表す判定結果が部品姿勢判定部13から出力された場合、保持動作制御部12は、保持位置PP1へ向かって基準下降速度で下降中の吸着ノズル63を、保持位置PP1よりも上方側の保持不可位置PP3で停止させる。これにより、異常姿勢を取った部品Eに対する、吸着ノズル63の保持動作を回避させることができる。
【0068】
また、保持動作制御部12は、部品姿勢判定部13から出力される部品姿勢の判定結果を、部品姿勢判定部13による判定後の次回のヘッドユニット6の動作制御にフィードバックする。具体的には、部品Eが正常姿勢を取っていることを表す判定結果が部品姿勢判定部13から出力された場合、保持動作制御部12は、次回のヘッドユニット6の動作制御において、X方向及びY方向に関する吸着ノズル63の保持位置PP1が、部品姿勢判定部13による判定時の保持位置PP1と一致するように、第1駆動機構7及び第2駆動機構8によるヘッドユニット6のX方向及びY方向に関する移動を制御する。これにより、ヘッドユニット6のX方向及びY方向に関する動作制御の効率化を図ることができ、ひいては、基板Pに対する部品Eの搭載効率を向上することができる。
【0069】
一方、部品Eが異常姿勢を取っていることを表す判定結果が部品姿勢判定部13から出力された場合、次回の吸着ノズル63の下降中における部品姿勢判定部13による判定結果が正常姿勢を表すものであったとしても、保持動作制御部12は、保持位置PP1での部品保持後の吸着ノズル63の退避位置PP2へ向かう上昇速度が基準上昇速度よりも減速するように、ノズル昇降駆動機構67を制御する。これにより、吸着ノズル63に吸着保持された部品Eが、吸着ノズル63の上昇過程において吸着ノズル63から離脱することを抑止することができる。
【0070】
次に、部品実装装置1における制御部10の制御動作について、
図16のフローチャートを参照して説明する。
【0071】
部品実装装置1は、基板Pに対する部品Eの搭載動作を開始する指令信号がオペレーターの操作により入力されると、その搭載動作を開始する。まず、基板Pがコンベア3上を搬送されて、所定の作業位置に位置決めされる。そして、ステップs1において、部品供給制御部11は、部品供給装置5を制御する。部品供給装置5は、部品収納テープ100を間欠的に送出することにより、部品Eを部品供給位置P1に供給する。
【0072】
次に、ステップs2において、保持動作制御部12は、第1駆動機構7及び第2駆動機構8によるヘッドユニット6のX方向及びY方向に関する水平面上の移動を制御する。第1駆動機構7及び第2駆動機構8は、吸着ノズル63の退避位置PP2が部品供給位置P1の真上に位置するように、ヘッドユニット6を移動させる。
【0073】
次に、ステップs3において、保持動作制御部12は、ノズル昇降駆動機構67による吸着ノズル63の昇降動作を制御する。ノズル昇降駆動機構67は、吸着ノズル63を退避位置PP2から保持位置PP1へ向けて下降させる。吸着ノズル63の下降が開始されると、第1撮像部91は、部品供給位置P1に供給された部品Eを撮像して撮像画像を取得する(ステップs4)。
【0074】
第1撮像部91が撮像画像を取得すると、吸着ノズル63の下降動作中において、部品姿勢判定部13は、部品供給位置P1に供給された部品Eが異常姿勢を取っているか否かを判定する(ステップs5)。部品Eが異常姿勢を取っていると判定された場合、ステップs6に処理を移行し、部品Eが異常姿勢ではなく正常姿勢を取っていると判定された場合、ステップs8に処理を移行する。なお、保持動作制御部12は、部品姿勢判定部13から判定結果が出力されるまでは、吸着ノズル63の下降速度を所定の基準下降速度よりも減速させる。
【0075】
部品Eが異常姿勢を取っていることを表す判定結果が部品姿勢判定部13から出力された場合、保持動作制御部12は、保持位置PP1へ向かって下降中の吸着ノズル63を保持不可位置PP3で停止させ(ステップs6)、その後、退避位置PP2へ向かって吸着ノズル63を上昇させる(ステップs7)。
【0076】
部品Eが正常姿勢を取っていることを表す判定結果が部品姿勢判定部13から出力された場合、保持動作制御部12は、吸着ノズル63を保持位置PP1まで下降させる(ステップs8)。保持位置PP1に配置された吸着ノズル63は、部品供給位置P1に供給された正常姿勢の部品Eを吸着保持する(ステップs9)。吸着ノズル63が部品Eを吸着保持すると、保持動作制御部12は、保持位置PP1に配置された吸着ノズル63を退避位置PP2まで上昇させる(ステップs10)。このとき、制御部10は、部品検出センサ64からの検出情報に基づき、吸着ノズル63に部品Eが吸着保持されているか、又は、吸着ノズル63に吸着保持された部品Eの姿勢を監視する(ステップs11)。
【0077】
吸着ノズル63が退避位置PP2まで上昇されると、保持動作制御部12は、第1駆動機構7及び第2駆動機構8によるヘッドユニット6のX方向及びY方向に関する水平面上の移動を制御する。第1駆動機構7及び第2駆動機構8は、吸着ノズル63の退避位置PP2がコンベア3上の基板Pにおける作業位置の真上に位置するように、ヘッドユニット6を移動させる(ステップs12)。このとき、制御部10は、第2撮像部92による撮像結果に基づき、作業位置における、吸着ノズル63に吸着保持された部品Eの保持状態を監視する(ステップs13)。
【0078】
そして、保持動作制御部12は、部品Eを吸着保持した吸着ノズル63を退避位置PP2から下降させて、基板Pへの部品Eの搭載動作を行う(ステップs14)。このようにして、部品Eを基板Pに搭載することができる。
【0079】
以上、本発明の実施形態に係る部品実装装置について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば次のような変形実施形態を採ることができる。
【0080】
上記の実施形態においては、部品収納部材として部品収納テープ100を用いた部品供給装置5を備えた部品実装装置1について説明したが、本発明はこのような構成に限定されるものではない。部品実装装置1に付設される部品供給装置は、部品を収納する部品収納部が複数配列された部品収納部材を用いて部品を部品供給位置に供給する装置であればよい。例えば、部品供給装置は、複数の部品収納部がマトリクス状に設けられたトレイが載置されたパレットを用いる装置であってもよい。この場合、トレイが部品収納部材となる。このパレットを用いた部品供給装置について、具体的に説明すると次の通りである。
【0081】
パレットを用いた部品供給装置は、部品を収納したトレイをパレットに載置した状態で部品を供給可能に構成されている。即ち、パレットには、少なくとも1つのトレイが載置されている。トレイの上面に複数の部品収納部がマトリクス状に設けられている。各部品収納部には、それぞれ部品が等間隔で収納されている。このように構成されるパレットが、マガジンに複数収容されている。このマガジンは上下方向に移動可能に構成され、マガジンに収容されたパレットは、基板生産時に、部品供給位置に移動される。これによって、パレット上のトレイに収納された状態で部品が部品供給位置に供給される。
【0082】
なお、上述した具体的実施形態には以下の構成を有する発明が主に含まれている。
【0083】
本発明の一の局面に係る部品実装装置は、部品を収納する部品収納部が複数配列された部品収納部材を用いて部品を部品供給位置に供給する部品供給装置と、前記部品供給位置に供給された前記部品を保持する保持具が上下方向に昇降可能に設けられたヘッドユニットと、前記部品供給位置に供給された前記部品を上方から撮像して撮像画像を取得する撮像部と、前記撮像画像に基づき、前記部品が前記部品収納部から上下方向と交差する方向へはみ出す異常姿勢を取っているか否かを判定する部品姿勢判定部と、を備える。
【0084】
また、上記の部品実装装置において、前記撮像部は、前記部品供給位置に供給された前記部品を、斜め上方から撮像するように構成されていてもよい。
【0085】
この部品実装装置によれば、部品供給装置により部品供給位置に供給された部品に対する、保持具による保持動作の前に、部品姿勢判定部により部品の姿勢が判定される。この部品姿勢判定部は、撮像部により取得された撮像画像に基づき、部品供給位置に供給された部品が、上下方向と交差する水平面上の方向へ部品収納部からはみ出す異常姿勢を取っているか否かを判定する。これにより、部品供給位置に供給された部品が、保持具による確実な保持が不可能な異常姿勢を取っているかを判定する機能を有した部品実装装置を実現することができる。
【0086】
上記の部品実装装置において、前記撮像画像は、前記部品の画像を表す部品領域と、前記部品の影の画像を表す部品影領域と、前記部品収納部の画像を表す収納部領域と、を含み、前記部品姿勢判定部は、前記撮像画像における前記部品領域、前記部品影領域及び前記収納部領域に基づき、前記部品の姿勢に関する特徴量を算出する特徴量算出部と、前記特徴量に基づき、前記部品の前記異常姿勢を判定する判定部と、を含む構成としてもよい。
【0087】
この態様では、撮像画像に含まれる部品及び部品収納部に対応した部品領域及び収納部領域のみならず、部品の影に対応した部品影領域をも参照して、部品の姿勢に関する特徴量を特徴量算出部が算出する。この特徴量に基づき判定部が部品の異常姿勢を判定することにより、部品姿勢の判定精度の向上が図られる。
【0088】
上記の部品実装装置において、前記特徴量算出部は、前記撮像画像において、前記部品領域の画素数と前記部品影領域及び前記収納部領域の画素数との比率を、前記特徴量として算出するよう構成されていてもよい。
【0089】
特徴量算出部が撮像画像における部品領域、部品影領域及び収納部領域に基づき特徴量を算出するとき、例えば、各領域を含む全体の外周サイズや外接矩形のサイズ等のサイズを、部品の姿勢に関する特徴量として算出することができる。但し、サイズを特徴量とした場合、その特徴量には、寸法ばらつきが存在する部品サイズの成分が含まれる。このため、サイズに関する特徴量は、部品サイズのばらつきに起因した誤差が生じ易い。この結果、サイズに関する特徴量に基づく部品姿勢の判定精度が低下する虞がある。
【0090】
そこで、特徴量算出部は、撮像画像において、部品領域の画素数と部品影領域及び収納部領域の画素数との比率を、特徴量として算出する。この比率に関する特徴量は、相対的な指標であるので、部品サイズのばらつきに起因した誤差が生じ難い。このため、比率に関する特徴量に基づく部品姿勢の判定精度が向上する。
【0091】
上記の部品実装装置において、前記部品姿勢判定部は、前記撮像画像を、前記部品領域を構成する所定の画素の輝度値を閾値とした、前記部品領域に対応した第1画素群と前記部品影領域及び前記収納部領域に対応した第2画素群とを含むグレースケール画像に変換する画像変換部を、更に含む構成としてもよい。そして、前記特徴量算出部は、前記グレースケール画像において、前記第1画素群の画素数と前記第2画素群の画素数との比率を、前記特徴量として算出する。
【0092】
この態様では、画像変換部が撮像画像をグレースケール画像に変換し、特徴量算出部が、そのグレースケール画像における第1画素群及び第2画素群の各々の画素数の比率を、特徴量として算出する。これにより、画素の輝度値が変化する境界となるエッジを抽出するエッジ抽出処理を行わなくても、部品の姿勢に関する特徴量を算出することができる。このため、部品姿勢の判定処理の処理速度の高速化が図られる。
【0093】
上記の部品実装装置は、前記保持具による前記部品の保持が可能な保持位置と、前記保持位置に対して上方側の退避位置との間で前記保持具が移動するように、前記保持具の昇降動作を制御する保持動作制御部を、更に備える構成としてもよい。そして、前記部品姿勢判定部は、前記保持具が前記退避位置から前記保持位置へ向かって移動する下降中に、前記部品供給位置に供給された前記部品の前記異常姿勢を判定する。
【0094】
この態様では、部品供給装置により部品供給位置に供給された部品を保持するための保持具が、退避位置から保持位置へ向かって移動する下降中に、部品姿勢判定部が部品姿勢を判定する。つまり、部品姿勢判定部から部品姿勢の判定結果が出力されるまで保持具の下降動作を待機するのではなく、保持具の下降動作中に部品姿勢判定部による部品姿勢の判定が行われる。このため、部品姿勢の判定に起因した、保持具の下降動作の待機期間を設定する必要がなくなる。この結果、保持動作制御部による保持具の昇降動作の遅れを回避でき、部品実装装置での基板生産速度を向上することができる。
【0095】
上記の部品実装装置において、前記保持動作制御部は、前記部品姿勢判定部から判定結果が出力されるまでは、前記保持具の下降速度を所定の基準下降速度よりも減速させ、前記部品姿勢判定部による判定結果の出力後には、前記保持具の下降速度を前記基準下降速度に設定する。
【0096】
この態様では、部品姿勢判定部から判定結果が出力されるまでは保持具の下降速度が減速されるので、部品姿勢判定部は、保持具の下降動作中に、部品姿勢の判定処理を確実に完了することができる。更に、部品姿勢判定部による判定結果の出力後には、保持具の下降速度の減速が解除されて基準下降速度に戻されるので、保持具の下降動作時間が過度に長くなることが可及的に抑止される。
【0097】
上記の部品実装装置において、前記部品が前記異常姿勢を取っていることを表す判定結果が前記部品姿勢判定部から出力された場合、前記保持動作制御部は、前記保持位置へ向かって前記基準下降速度で下降中の前記保持具を、前記保持位置よりも上方側の位置であって、前記保持具による前記部品の保持が不可能な保持不可位置で停止させ、その後、前記退避位置へ向かって所定の基準上昇速度で前記保持具を上昇させる。
【0098】
部品供給装置により部品供給位置に供給された部品が異常姿勢を取っている場合、保持具による確実な保持が不可能な場合が多い。仮に、異常姿勢を取った部品を保持具が異常姿勢のまま無理矢理に保持し、その状態で保持具が上昇されると、保持具の上昇動作中に部品が保持具から離脱する虞がある。そこで、部品が異常姿勢を取っていることを表す判定結果が部品姿勢判定部から出力された場合、保持動作制御部は、保持位置へ向かって基準下降速度で下降中の保持具を、保持位置よりも上方側の保持不可位置で停止させる。これにより、異常姿勢を取った部品に対する、保持具の保持動作を回避させることができる。
【0099】
以上説明した通り、本発明によれば、部品供給装置により部品供給位置に供給された部品が、保持具による確実な保持が不可能な異常姿勢を取っているかを判定する機能を有した部品実装装置を提供することができる。