(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6831461
(24)【登録日】2021年2月1日
(45)【発行日】2021年2月17日
(54)【発明の名称】連続した帯状の複合材料を製造する方法及び装置
(51)【国際特許分類】
B22D 11/00 20060101AFI20210208BHJP
B22D 11/12 20060101ALI20210208BHJP
B21B 1/22 20060101ALI20210208BHJP
B21B 1/46 20060101ALI20210208BHJP
B23K 20/04 20060101ALI20210208BHJP
【FI】
B22D11/00 N
B22D11/12 A
B21B1/22 B
B21B1/46 Z
B23K20/04 H
【請求項の数】18
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2019-526615(P2019-526615)
(86)(22)【出願日】2017年11月16日
(65)【公表番号】特表2019-535526(P2019-535526A)
(43)【公表日】2019年12月12日
(86)【国際出願番号】EP2017079415
(87)【国際公開番号】WO2018091572
(87)【国際公開日】20180524
【審査請求日】2019年7月1日
(31)【優先権主張番号】102016222813.7
(32)【優先日】2016年11月18日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102016224412.4
(32)【優先日】2016年12月7日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102016226277.7
(32)【優先日】2016年12月28日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390035426
【氏名又は名称】エス・エム・エス・グループ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(72)【発明者】
【氏名】ルンケル・トーマス
【審査官】
池ノ谷 秀行
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭59−066988(JP,A)
【文献】
特開昭62−214887(JP,A)
【文献】
特開昭54−088861(JP,A)
【文献】
特開平11−226699(JP,A)
【文献】
特開昭61−283476(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22D 11/00−11/22
B21B 1/00−11/00
B23K 20/00−20/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続した帯状の複合材料(11)を製造する方法であって、
(i)少なくとも1つの鋳造機械(12)によって、連続したストランド(13)として生成される基礎材料を提供するとともに、少なくとも1つの金属帯(15)の形態でコイル展開装置(14)によって展開される少なくとも1つのクラッディング材料を提供するステップと、
(ii)前記鋳造機械(12)によって生成されるストランド(13)から固化によって形成されたスラブ(16)と、前記コイル展開装置(14)によって展開された前記金属帯(15)とを互いに向き調整するステップと、
(iii)前記鋳造機械(12)によって生成されたストランド(13)から固化によって形成された前記スラブ(16)と、前記コイル展開装置(14)によって展開された前記少なくとも1つの金属帯(15)とで形成された、互いに向き調整された材料を熱間圧延し、その結果、これにより、ロールクラッディングによって、前記基礎材料及び前記少なくとも1つのクラッディング材料で構成された1つの連続した帯状の複合材料(11)が製造されるステップと
を有する、前記方法において、
前記基礎材料が、前記鋳造機械(12)において垂直に連続鋳造され、前記鋳造機械(12)の鋳型(20)の開口部を通して冷却部を有するストランドガイドシステム(24)へ排出されること、
前記コイル展開装置(14)が加熱可能なチャンバ(48)に収容されており、これにより、その上で展開される金属帯(15)が加熱されること、
前記ステップ(ii)の前に前記鋳造機械(12)により生成された前記ストランド(13)から固化によって形成された前記スラブ(16)及び前記コイル展開装置(14)によって展開された前記金属帯(15)が、第1の誘導加熱部を用いて加熱され、その結果、前記スラブ(16)及び前記金属帯(15)が、前記ステップ(ii)において、熱間状態で、前記基礎材料及び前記クラッディング材料の再結晶温度より高い温度をもって互いに向き調整されること、
前記ステップ(ii)の前に、かつ、第1の誘導加熱部による加熱後に、前記鋳造機械(12)によって生成された前記ストランド(13)から固化によって形成された前記スラブ(16)がスケール除去され、前記コイル展開装置(14)によって展開された前記金属帯(15)が洗浄されるか、又はスケール除去されること、
前記ステップ(iii)の前に、前記鋳造機械(12)により生成された前記ストランド(13)から固化によって形成された前記スラブ(16)及び/又は前記コイル展開装置(14)によって展開された前記金属帯(15)で形成された少なくとも1つの材料パートナーの表面温度が、それぞれ他の材料パートナーと対向する側で、第2の誘導加熱部によって高められることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記ステップ(ii)の前に、前記鋳造機械(12)により生成されるストランド(13)を固化することで形成されスラブ(16)と、前記コイル展開装置(14)によって展開された前記金属帯(15)とで形成された少なくとも1つの材料パートナーの速度が開ループ制御されるか、又は閉ループ制御されること、及び前記スラブ(16)がロールスタンド(28)を通過し、該ロールスタンドによって前記スラブ(16)の速度を開ループ制御可能又は閉ループ制御可能であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ステップ(ii)前に、及び/又は前記ステップ(ii)中に、及び/又は前記ステップ(iii)前に、前記鋳造機械(12)によって生成された前記ストランド(13,19)から固化によって形成された前記スラブ(16)及び/又は前記コイル展開装置(14)によって展開された前記金属帯(15)が、前記スラブ(16)及び前記金属帯(15)を側方で互いに相対的に向き調整するために、側方でガイドされること、並びに該側方のガイドのために、アクチュエータによってあらかじめ規定された力で帯中央の方向へ移動するガイドギブの形態の少なくとも1つの側部影響装置(32)が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記ステップ(ii)前に、及び/又は前記ステップ(ii)の間に、及び/又は前記ステップ(iii)の前に、及び/又は前記ステップ(iii)の間に、前記鋳造機械(12)によって生成された前記ストランド(13)から固化によって形成された前記スラブ(16)及び/又は前記コイル展開装置(14)によって展開された少なくとも1つの金属帯(15)が、不活性ガス雰囲気(36)においてガイドされることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記ステップ(iii)につづいて、生成される1つの連続した帯状の前記複合材料(11)の材料特性が、レントゲン及び/又は超音波によって検出されること、並びに検出された材料特性に基づいて、当該方法について閉ループ制御回路を形成するプロセス信号が制御装置によって生成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
当該方法が、前記鋳造機械(12)の鋳造速度、前記ステップ(ii)前における、前記鋳造機械(12)によって生成された前記ストランド(13)から固化によって形成された前記スラブ(16)及び/又は前記コイル展開装置(14)によって展開された前記金属帯(15)の速度、前記ステップ(ii)前及び/又は前記ステップ(iii)前の前記スラブ(16)及び前記金属帯(15)の温度差並びにロールクラッディング装置(18.1)のワークロール(A1,A2)の各速度のうち少なくとも1つに依存して行われることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記ステップ(iii)において、前記クラッディング材料が、前記鋳造機械(12)によって生成された前記ストランド(13)から固化によって形成された前記スラブ(16)に施され、前記クラッディング材料が、同一の材料で構成されているとともにそれぞれ別々のコイル展開装置によって展開されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記基礎材料及び前記少なくとも1つのクラッディング材料をそれぞれ異なる鋼品質で構成することができること、並びにステップ(i)では、金属帯(15)の形態の別のクラッディング材料が別のコイル展開装置によって展開され、つづくステップ(ii)及び(iii)が、前記鋳造機械(12)によって生成された前記ストランドから固化によって形成された前記スラブ(16)と、前記各コイル展開装置によって展開された両金属帯とで形成された全部で3つの層で行われることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記各コイル展開装置(14)によって展開された前記両金属帯(15)を構成する前記クラッディング材料が、それぞれ異なる材料で形成されており、該金属帯(15)が、前記鋳造機械(12)により生成された前記ストランド(13)により固化によって形成された前記スラブ(16)の対向側に、又は該スラブ(16)の同一の側に施されることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
互いに向き調整されるべき前記材料パートナー(15,16)間に、固体状、液体状又は粉体状の少なくとも1つの中間層が挿設され、該中間層が、前記材料パートナー(15,16)の互いに対向する表面を不活性化又は活性化することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
連続した帯状の複合材料(11)を製造する装置(10)であって、基礎材料として用いられる、連続したストランド(13)を生成する少なくとも1つの鋳造機械(12)と、クラッディング材料として用いられる金属帯(15)を提供する少なくとも1つのコイル展開装置(14)と、前記鋳造機械(12)及び前記コイル展開装置(14)と一列に、かつ、それぞれその下流に配置されているロールクラッディング装置(18.1)の形態の少なくとも1つのロールスタンドと含んでいる、前記装置において、 前記鋳造機械(12)が壁部を有する鋳型を備えており、前記各壁部間で、液体金属としての基礎材料が、上方から注ぎ込まれることが可能であるとともに、冷却部を有するストランドガイドシステム(24)へ開口部(22)を通して下方へ排出されること、
前記少なくとも1つのコイル展開装置(14)が、加熱可能なチャンバ(48)内に位置決めされているとともに、迅速交換装置を備えており、該迅速交換装置を用いて、コイルの交換が可能であり、前記迅速交換装置が、請求項1に記載の方法のステップ(i)において連続した金属帯(15)を互いに溶接するために、溶接装置を含んでいること、
一方では前記鋳造機械(12)及び前記コイル展開装置(14)と、他方では前記ロールクラッディング装置(18.1)との間に向き調整装置(26)が配置されており、該向き調整装置を用いて、前記鋳造機械(12)によって生成された前記ストランド(13)から固化によって形成されたスラブ(16)と、前記コイル展開装置(14)によって展開された前記金属帯(15)とが熱間状態において互いに対して向き調整可能であること、
前記向き調整装置(26)の上流に、及び/又は該向き調整装置の一部として、少なくとも1つの第1の加熱装置(30)が設けられており、前記鋳造機械(12)によって生成された前記ストランド(13)から固化によって形成された前記スラブ(16)及び/又は前記コイル展開装置(14)によって展開された前記金属帯(15)が、前記第1の加熱装置(30)を通ってガイドされていること、
一方では前記鋳造機械(12)及び前記コイル展開装置と、他方では前記向き調整装置(26)との間に、少なくとも1つの洗浄装置(34)又はスケール除去装置が配置されており、該洗浄装置あるいはスケール除去装置を用いて、前記鋳造機械(12)によって生成された前記ストランド(13)から固化によって形成された前記スラブ(16)及び前記コイル展開装置(14)によって展開された前記金属帯(15)が洗浄可能又はスケール除去可能であること、
前記向き調整装置(26)と該向き調整装置の直接下流に配置されたロールクラッディング装置(18.1)の間に、少なくとも1つの第2の加熱装置(38)が設けられており、該第2の加熱装置を用いて、前記鋳造機械(12)により生成された前記ストランド(13)から形成された前記スラブ(16)及び/又は前記コイル展開装置(14)によって展開された前記金属帯(15)で形成された少なくとも1つの材料パートナーの表面温度が、それぞれ他の材料パートナーと対向する側で高められることができ、その結果、前記鋳造機械(12)によって生成された前記ストランド(13)から固化によって形成された前記スラブ(16)と、前記コイル展開装置(14)によって展開された前記金属帯(15)とで形成された材料パートナーのアセンブリが、前記ロールクラッディング装置(18.1)において熱間圧延可能であり、これにより、ロールクラッディングによって、前記基礎材料及び前記少なくとも1つのクラッディング材料から成る1つの連続した帯状の複合材料(11)が生じること
を特徴とする装置。
【請求項12】
少なくとも1つのロールスタンド(28)が設けられており、該ロールスタンドが、前記鋳造機械(12)と前記向き調整装置(26)の間で一列に配置されていることを特徴とする請求項11に記載の装置(10)。
【請求項13】
前記第1の加熱装置(30,31)が誘導加熱部の原理により機能すること、及び前記鋳造機械(12)によって生成された前記ストランド(13)により固化によって形成された前記スラブ(16)と、前記コイル展開装置(14)によって展開された前記金属帯(15)とについて、それぞれ別々の加熱装置(30,31)が設けられていることを特徴とする請求項11又は12に記載の装置(10)。
【請求項14】
少なくとも1つの側部影響装置(32)が設けられており、該側部影響装置が、前記向き調整装置(26)の上流に、及び/又は前記向き調整装置の一部として、及び/又は前記ロールクラッディング装置(18.1)の上流に配置されており、前記鋳造機械(12)によって生成された前記ストランド(13)から固化によって形成された前記スラブ(16)及び/又は前記コイル展開装置(14)によって展開された前記金属帯(15)が、側方で互いに対して向き調整するために、その側方縁部で前記側部影響装置(32)に接触可能であること、並びに前記側部影響装置(32)が、あらかじめ規定された力で帯中央の方向へ移動可能なガイドギブの形態で形成されていることを特徴とする請求項11〜13のいずれか1項に記載の装置(10)。
【請求項15】
前記向き調整装置(26)の一部として、及び/又は下流で前記向き調整装置(26)に直接隣り合って配置されたロールクラッディング装置(18.1)の一部として設けられた不活性ガス装置(36)が設けられており、前記鋳造機械(12)によって生成された前記ストランド(13)から形成された前記スラブ(16)及び/又は前記コイル展開装置(14)によって展開された前記金属帯(15)が前記不活性ガス装置(36)内で不活性ガス雰囲気においてガイドされていることを特徴とする請求項11〜14のいずれか1項に記載の装置(10)。
【請求項16】
ロールクラッディング装置(18.1)の下流に測定装置(40)が設けられており、該測定装置を用いて、生成された1つの連続した帯状の前記複合材料(11)の材料特性が、レントゲン及び/又は超音波によって検出可能であることを特徴とする請求項11〜15のいずれか1項に記載の装置(10)。
【請求項17】
前記少なくとも1つのコイル展開装置(14)が、連続して展開位置へもたらされ得る複数の展開モジュールを備えていること、及びステップ(i)において、連続する金属帯(15)を互いに溶接するために、前記コイル展開装置(14)が溶接装置を含んでいることを特徴とする請求項11〜16のいずれか1項に記載の装置(10)。
【請求項18】
前記コイル展開装置(14)が複数設けられている場合に、該複数のコイル展開装置(14)のうち少なくとも1つによって、別のクラッディング材料として用いられる連続した金属帯(15)が提供されることを特徴とする請求項11〜17のいずれか1項に記載の装置(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分による、連続した帯状の複合材料を製造する方法と、請求項
11の前提部分による対応する装置とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来技術によれば、金属あるいは鋼から成る少なくとも2つの材料パートナーをロール溶接あるいは熱間溶接を用いて1つの複合材料へ接合することが知られている。このことは、例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3及び特許文献4に開示されている。これによれば、プレート状の薄板がまずは互いに重ねられ、続いてプレートパケットへ互いに溶接され、そして、1つのロールクラッディングされた熱間ストリップ(熱間帯)あるいは複合材料へ熱間圧延される。このような技術は、互いに重ねられたプレート状の薄板がまず互いに溶接されるという中間ステップが生産進行について手間となり、最大の生産容量を制限してしまうという欠点を伴うものである。
【0003】
直接鋳造された鋼帯をロールクラッディングによって鋼から複合帯を製造する
、請求項1の前提部分による同種の方法と、このような複合帯の使用とが知られている。この方法では、コア帯がダブルロール方法により直接鋳造され、つづいて、腐食の少ないものから耐腐食性の冷間圧延特性を有する金属製のクラッディング帯によってクラッドされる。このことは、鋳造熱によるコア帯へクラッディング帯が低温帯として一列にクラッドされることによってなされる。生産速度及びこれにより得られるこの方法の経済性は、ダブルロール方法後のコア帯の鋳込みにより制限されてしまう。
【0004】
特許文献
5から、クラッドされた薄板を製造するクラッディング方法及び装置、特に、溶融された金属が無端の固化された帯(ストリップ)へ連続的に鋳造され、高温の1つの表面又は両表面がクラッディング金属によって連続して覆われ、このように形成された、鋳造された帯とクラッディング材料から成るアセンブリ(集合体)が熱間圧延されるクラッドされた薄板を連続的に生成する方法及び装置が知られている。無端の固定された帯を生成するために、水冷された無端の鋳造システムが用いられ、当該鋳造システムは、キャタピラチェーン式の鋳型経路の間に形成される移動式の鋳型を備えている。冷却により固化された鋳造された帯がこの成形空間の他の端部から引き出される。この種の可動の鋳型による鋳造された帯の生成は、制限された速度によって行われることができ、これにより、経済性が不都合に制限されることとなる。
【0005】
特許文献6から、請求項11の前提部分による同種の装置が知られている。
【0006】
鋼の処理時には、材料の熱間圧延が、典型的には鋼の再結晶温度を超える温度で、すなわち例えば720℃を超える温度で行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許第1690606号明細書
【特許文献2】欧州特許第201202号明細書
【特許文献3】欧州特許第053600号明細書
【特許文献4】欧州特許第04063号明細書
【特許文献5】独国特許出願公開第2855804号明細書
【特許文献6】特開昭62−214887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
対応して、本発明の基礎となる課題は、少なくとも1つの鋳造機械が用いられる帯状の複合材料の形態の連続した金属帯の製造を、可能な生産スペクトル(生産範囲)を同時に最適化しつつ経済性について改善することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、請求項1による方法及び請求項
11に記載された特徴を有する装置によって解決される。本発明の有利な発展形成は、従属請求項の対象である。
【0010】
本発明による方法は、帯状の複合材料の形態の連続した金属帯を製造するために用いられ、以下のステップを有している:(i)少なくとも1つの鋳造機械によって、特に鋼から成る連続したストランドとして生成される基礎材料を提供するとともに、少なくとも1つの金属帯の形態でコイル展開装置によって展開される少なくとも1つのクラッディング材料を提供するステップと、(ii)前記鋳造機械によって生成されるストランドから固化によって形成されたスラブと、前記コイル展開装置によって展開された前記金属帯と
を合体させるステップと、(iii)前記鋳造機械によって生成されたストランドから固化によって形成された前記スラブと、前記コイル展開装置によって展開された前記少なくとも1つの金属帯とで形成された、互いに整向された材料を熱間圧延し、その結果、これにより、ロールクラッディングによって、前記基礎材料及び前記少なくとも1つのクラッディング材料で構成された1つの連続した帯状の複合材料が製造されるステップ。基礎材料は
、垂直方向において鋳造機械において連続鋳造され
、鋳造機械の鋳型の開口部を通して冷却部を有するストランドガイドシステムへ排出される。
コイル展開装置は、加熱可能なチャンバに収容されており、これにより、その上に展開された金属帯が加熱される。ステップ(ii)の前に、及び/又はステップ(ii)の間に、鋳造機械によって生成されたストランドから固化によって形成されたスラブと、コイル展開装置によって展開された金属帯とが誘導加熱部を用いて加熱され、その結果、スラブ及び金属帯が、ステップ(ii)において、熱間状態で、基礎材料及びクラッディング材料の再結晶温度より高い温度をもって合体される。ステップ(ii)の前には、鋳造機械によって生成されたストランドから固化によって形成されたスラブがスケール除去され、コイル展開装置によって展開された金属帯が洗浄、好ましくはスケール除去される。ステップ(iii)の前には、鋳造機械によって生成されたストランドから固化によって規制されたスラブ及び/又はコイル展開装置によって展開された金属帯で形成された少なくとも1つの材料パートナーの表面温度が、それぞれ他のパートナーに対向する側で誘導加熱部を用いて高められる。
【0011】
同様に、本発明は、帯状の複合材料の形態の連続した金属帯を製造する装置も企図したものである。この装置は、基礎材料として用いられる、特に鋼から成る連続したストランドを生成する少なくとも1つの鋳造機械と、クラッディング材料として用いられる金属帯を提供する少なくとも1つのコイル展開装置と、鋳造機械及びコイル展開装置と一列に、かつ、それぞれその下流に配置されているロールクラッディング装置の形態の少なくとも1つのロールスタンドと含んでいる
。鋳造機械は壁部を有する鋳型を備えており、壁部の間では、基礎材料が、液体金属として上方から注ぎ込まれることができるとともに、下方から開口部を通してストランドガイドシステムへ冷却しつつ排出される。
少なくとも1つのコイル展開装置は、加熱可能なチャンバ内に位置決めされているとともに、迅速交換装置を備えており、この迅速交換装置を用いて、コイルの交換が可能であり、迅速交換装置は、請求項1による方法のステップ(i)において連続する金属帯(15)を互いに溶接するために、溶接装置を含んでいる。一方では鋳造機械及びコイル展開装置と、他方ではロールクラッディング装置との間には合体装置が配置されており、当該合体装置を用いて、鋳造機械によって生成されたストランドから固化によって形成されたスラブと、コイル展開装置によって展開された金属帯とが、熱間状態において互いに整向されることが可能である。合体装置の上流に、及び/又は合体装置の一部として、少なくとも1つの加熱装置が設けられており、鋳造機械によって生成されたストランドから固化によって形成されたスラブと、コイル展開装置によって展開された金属帯とがこの加熱装置を通過する。一方では鋳造機械及びコイル展開装置と、他方では合体装置との間には少なくとも1つの洗浄装置、好ましくはスケール除去装置が配置されており、当該洗浄装置あるいはスケール除去装置を用いて、鋳造機械によって生成されたストランドから固化によって形成されたスラブと、コイル展開装置によって展開された金属帯とを洗浄可能、好ましくはスケール除去可能である。合体装置とその直接下流に配置されたロールクラッディング装置との間には、少なくとも1つの温度影響装置が設けられており、当該温度影響装置を用いて、鋳造機械によって生成されたストランドから固化によって形成されたスラブ及び/又はコイル展開装置によって展開された金属帯で形成された少なくとも1つの材料パートナーの表面温度を、それぞれ他の材料パートナーが対向する側で高めることが可能であり、その結果、鋳造機械によって生成されたストランドから固化によって形成されたスラブと、コイル展開装置によって展開された金属帯とで形成された材料パートナーのアセンブリが、ロールクラッディング装置において熱間圧延可能であるとともに、これにより、ロールクラッディングによって、基礎材料及び少なくとも1つのクラッディング材料で構成された1つの連続した帯状の複合材料が生じる。
【0012】
本発明の意味合いでは、後続の態様は、以下のとおり理解されるべきである:
−「スラブ」という特徴は、あらかじめほぼ完全に固化された、金属から成る鋳造されたストランドであると理解され、その結果、金属の液体の割合が内部から外部へ押し出されることなく当該スラブの圧延が可能である。このようなスラブは、鋳造機械を用いて例えば連続鋳造によって製造あるいは鋳造される無端成形物として形成されることができる。−例えば本発明による方法のステップ(ii)について規定されているような「スラブと金属帯の合体」という特徴は、材料パートナーが互いに対して整向されるように理解され得る。これは、この金属帯がステップ(ii)の間に、あるいはその終わりにまだ接触していないか、あるいは触れ合っていないことを意味し得る。いずれにしても、上記材料パートナーは、合体装置(集合装置)において行われるステップ(ii)による合体によって、つづく本発明による方法のステップ(iii)あるいは本発明による装置のロールクラッディング装置において、スラブ及び金属帯で形成されたアセンブリが熱間圧延され得るように互いに整向される。
−ステップ(ii)に関連して記載されている「熱間」という修飾語あるいは「熱間状態で」という定義は、材料パートナーの温度に関するものであるとともに、当該温度が再結晶温度(例えば720℃)を超えるものであることと理解され得る。
【0013】
本発明は、連続した帯状の複合材料の製造が経済性及び生産速度の向上について、このために提供される基礎材料が鋳造機械におい
て垂直方向において連続鋳造されることにより改善されるという本質的な認識に基づくものである。このとき、本発明による対応する装置について、壁部を有する鋳型が用いられ、当該壁部の間では、基礎材料が、液体金属として上方から注ぎ込まれることができるとともに、下方から開口部を通してストランドガイドシステムへ冷却しつつ排出される。これにより、コア材料がダブルロール方法又は可動の鋳型を用いて生成される、従来技術による冒頭に挙げた技術に比べて、本質的により大きな処理量を達成することができ、これにより、より良好な経済性がもたらされる。さらに、基礎材料として鋳造機械によって連続鋳造され、またクラッディング材料として展開された金属帯の形態で提供される様々な材料の使用により、生成される連続した帯状の複合材料の特別な材料特性を実現することが可能である。
【0014】
基礎材料あるいはクラッディング材料のための材料として、鋼若しくは鋼合金又はこれに代えて非鉄材料を用いることが可能である。基本的には、本発明について、固化によりスラブを形成する、鋳造機械により生成されたストランドと、少なくとも1つのコイル展開装置によって展開された金属帯とが異なる材料品質で構成されていることが可能である。例えば、このために異なる鋼品質を用いることができ、当該鋼品質は、本発明による方法のステップ(iii)において1つの連続した帯状の複合材料へ結合される。
【0015】
本発明の有利な発展形態では、ステップ(ii)の前に、鋳造機械により生成されたストランドから固化によって形成されたスラブと、コイル展開装置によって展開された金属帯とで形成された少なくとも1つの材料パートナーの速度が目的ともって影響され得る。これら両材料パートナーのうち少なくとも1つの速度の当該影響は、鋳造圧延プロセスの別のプロセス量に依存して開ループ制御又は閉ループ制御して行われ得るが、これについては詳細に後述する。スラブの速度に影響を与えるために、本発明による方法の実行あるいは本発明による装置について、鋳造機械と合体装置の間で一列に配置されることを設定することができ、スラブは、その速度に影響を与えるために、この補整ロールスタンドを通過する。展開された金属帯の形態のクラッディング材料の速度への影響は、対応するコイル展開装置によって直接実行されることが可能である。
【0016】
熱間圧延を用いて1つの連続した帯状の複合材料へのスラブ及び展開された金属帯の熱間圧延は、ステップ(iii)においてスラブの熱間圧延が行われる前に両材料パートナーの温度が互いに適合されることによって改善される。この目的のために、当該両材料パートナ
ーが、スラブあるいは金属落ちの温度に目的をもって影響を与え、それぞれ他の材料パートナーの温度へ適合させるように、ステップ(ii)の前に、及び/又はステップ(iii)の前に加熱される。このとき、金属パートナーの温度を例えば異なる材料、材料品質又は材料厚さにおいて意図的に維持することも有利であり得る。このとき、両材料パートナーについて加熱を同時に行うことも可能である。スラブあるいは金属帯を加熱するために、合体装置の上流に、及び/又はその一部として配置され
ている少なくとも1つの加熱装置が設けられており、材料パートナーは、この加熱装置を通過する。特に大きなエネルギー入力が、大きなエネルギー密度においてわずかな設置空間しか必要としないという利点に結び付く例えば誘導加熱部の形態の加熱装置によって達成されることができる。
【0017】
本発明の有利な発展形態では、鋳造機械によって生成されるストランドを固化することで形成されたスラブと、コイル展開装置によって展開された金属帯とが、当該材料パートナーが互いに相対的に整向されるように、ステップ(ii)の前に側方でガイドされるように構成することが可能である。同様に、このことは、ステップ(ii)の間に、及び/又はステップ(iii)の前に行うことも可能である。このために、合体装置及び/又はその一部として配置され得る少なくとも1つの側部影響装置が設けられている。これに加えて、又はこれに代えて、この側部影響装置も、ロールクラッディング装置の上流に配置されることが可能である。側部影響装置は、例えばガイドローラ又はガイドギブの形態で形成されることができ、上述のように側方で互いに整向されるように、このガイドローラ又はガイドギブとスラブの側方縁部が接触する。
【0018】
本発明の有利な発展形態では、上述の側部影響装置をガイドギブ(案内定規ジブ)の形態で形成することができ、このガイドギブは、アクチュエータによって、特にあらかじめ規定された力で帯中央の方向へ移動する。この態様では、帯中央の方向における両材料パートナーの整向も可能である。
【0019】
本発明の有利な発展形態では、側部影響装置が好ましくはガイドギブ(ガイド定規)の形態でロールクラッディング装置の下流にも設けられるように構成されることが可能である。この場合については、複合材料をセンタリングしてロール通路の中央で圧延ラインを通して、及びこれに属するロールスタンドを通してガイドするために、生成される連続した帯状の複合材料がステップ(iii)の後にも側方でガイドされることが保証されている。このとき、生成された複合材料を側方縁部において接触させ(るとともに帯中央の方向へ戻すように)、ガイドするために、ガイドギブがあらかじめ規定された力で帯中央の方向へ移動するように構成することも可能である。
【0020】
ステップ(iii)における熱間圧延を用いて、あるいはロールクラッディング装置によって個々の材料パートナーを結合することは、鋳造機械によって生成されるストランドの固化によって形成され
たスラブ及
びコイル展開装置によって展開された金属帯がステップ(iii)の前に適切に洗浄され、すなわちそれぞれ他の材料パートナーに対向し、したがってステップ(iii)における熱間圧延時に接触に至る当該材料パートナーの表面において洗浄される場合に最適化される
。このために、本発明による装置のために、一方では鋳造機械及びコイル展開装置と他方では合体装置との間に配置された少なくとも1つの洗浄装置が設けられている。場合によっては、洗浄装置は、合体装置の一部としても形成されることが可能である。材料パートナーのこのような洗浄は、例えば噴射、ブラシ、研磨、研削、切削又はこれに類することによって機械的に行うことが可能である。これに加えて、又はこれに代えて、材料パートナーの洗浄をスケール除去の形態で行うことも可能であり、流体、好ましくは高圧水が材料パートナーの表面へ当てられる。この場合については、洗浄装置はスケール除去装置として形成されており、当該スケール除去装置を用いて流体が好ましくは高圧で少なくとも1つの材料パートナーの表面へ散布可能である。材料パートナーのスケール除去は、特に鋼又は鋼合金の使用時に推奨される。
【0021】
ステップ(iii)における熱間圧延を用いた、あるいはロールクラッディング装置による個々の材料パートナーの結合を、ステップ(iii)の前に、あるいはロールクラッディング装置の上流で、鋳造機械により生成されるストランドから固化により形成された少なくとも1つのスラブと、コイル展開装置によって展開された金属帯とで形成された少なくとも1つの材料パートナーの表面温度が
高められることで最適化することが可能である。このために、本発明による装置のために、合体装置とその下流に直接配置されたロールクラッディング装置の間に位置決めされた温度影響装置が設けられている
。表面温度の
上昇を実現するために、上記温度影響装置は、例えば少なくとも1つの上記材料パートナーの表面へ向けられた輻射ヒータ又はこれに類するもので形成されることができる
。
【0022】
所望の連続した帯状の複合材料を製造する少なくとも2つの材料パートナーの結合の品質は、鋳造機械によって生成されるストランドから固化によって形成されるスラブ及び/又はコイル展開装置によって展開された金属帯が保護ガス雰囲気においてガイドされることで更に改善されることが可能である。このために、合体装置の前に配置され、及び/又は合体装置の一部として及び/又は下流で直接合体装置に隣り合って配置されたロールクラッディング装置の一部として形成された保護ガス装置が設けられている。相応して、上記材料パートナーのうち少なくとも1つが、本発明による方法において、ステップ(ii)の前に、及び/又はステップ(ii)の間に、及び/又はステップ(iii)の前に、保護ガス雰囲気においてガイドされる。材料パートナーが鋼又は鋼合金で構成される場合には、これにより、スケールの形成が少なくとも回避されるか、又は排除される。
【0023】
さらに、ステップ(iii)の前に、あるいはロールクラッディング装置の上流に鋳造機械によって生成される少なくとも1つのストランドあるいはこれから固化によって形成されるスラブ及び/又はコイル展開装置によって展開された金属帯のプロファイリング(形状加工)が行われる場合に、個々の材料パートナーの結合を改善することが可能である。このようなプロファイリングにおいては、上記材料パートナーのうち少なくとも1つをその側方縁部において斜めに面取りすることが可能である。これに加えて、及び/又はこれに代えて、このようなプロファイリングにおいては、上記材料パートナーのうち少なくとも1つを垂直方向の断面で切削するように構成することが可能である。いずれにしても、ステップ(iii)において、あるいはロールクラッディング装置によって熱間圧延される材料パートナーが、これら材料パートナーの結合がつづく熱間圧延において均等な態様で保証されるように、その縁部において互いに重なるか、あるいは互いに対して整向されていることが上述のプロファイリングによって保証される。
【0024】
本発明の有利な発展形態では、ステップ(iii)につづいて生成される1つの連続した帯状の複合材料の材料特性が好ましくはレントゲン及び/又は超音波によって検出されるように設定されることが可能である。この目的のために、本発明による装置のために、ロールクラッディング装置の下流に測定装置が設けられており、当該測定装置を用いて、生成される1つの連続した帯状の複合材料の内部の材料特性、特に結合品質を検出することが可能である。そして、合目的には、検出された材料特性に基づき、制御装置によってプロセス信号が生成され、このプロセス信号により、本発明による方法のための制御回路を形成することが可能である。
【0025】
本発明による方法の有利な発展形態では、当該方法が少なくとも1つのあらかじめ設定されたプロセス量に依存して自動的に実行されるように設定されることが可能である。本発明の上記説明に関して、このプロセス量を例えば鋳造機械により生成されたストランドから固化して形成されたスラブ及び/又はコイル展開装置によって展開された金属帯についてのステップ(ii)の前の速度及び/又は生成された連続した帯状の複合材料の材料特性で構成することが可能である。さらに、このようなプロセス量を、鋳造機械の速度、当該鋳造機械によって生成されたストランドの液体コア還元の変化、ステップ(ii)前及び/又はステップ(iii)前のスラブと金属帯の温度差、ロールクラッディング装置のワークロールの各速度、及び/又は生成された1つの帯状の前記複合材料のステップ(iii)において達成された厚さ低減で形成されたグループから選択することが可能である。本発明による方法は、上記考えられるプロセス量に基づき、制御回路として形成されることができるとともに、対応して自動的に実行されることが可能である。
【0026】
本発明の有利な発展形態では、ロールクラッディング装置の各ワークロールの速度が、当該ロールクラッディング装置からの脱落時にロールクラッディング装置によって、又はロールクラッディング装置において熱間圧延材される帯状の複合材料の可能な「スキー形成(スキービンディング)」を妨害するように制御されるように設定されることが可能である。このことは、特に、合体装置に下流で直接隣り合って配置された第1のロールクラッディング装置について推奨される。対応して、「スキー形成」が生成される帯状の複合材料の前端部に生じ、これにより合体装置の下流においてロールスタンドの損傷のおそれが生じることなく、生成された帯状の複合材料を圧延ラインにおいて更に搬送することが可能である。
【0027】
本発明の有利な発展形態では、生成される連続した帯状の複合材料がステップ(iii)につづいて、あるいは合体装置に直接隣り合うロールクラッディング装置の下流で切断あるいは分離されるように構成することが可能である。これに加えて、及び/又はこれに代えて、生成される1つの連続した帯状の複合材料のスキー形成を回避する抑圧装置を、合体装置に直接配置されたロールクラッディング装置の下流に位置決めするように設定することが可能である。
【0028】
本発明の有利な発展形態では、本発明による方法のステップ(i)において金属帯の態様の別のクラッディング材料を提供する別の、あるいは第2のコイル展開装置が設けられるように設定されることが可能である。当該別のコイル展開装置は、同様に、ロールクラッディング装置を有するラインに、好ましくはその上流に配置されている。対応して、本発明による方法のつづくステップ(ii)及び(iii)は、スラブ及び展開された両金属帯で形成された全部で3つの層で実行される。これに代えて、第2のコイル展開装置によって展開された金属帯が、熱間状態において、前記ステップ(ii)及び(iii)の新たな実行によって、ステップ(iii)において既に形成された1つの連続した帯状の複合材料と結合されるように設定することが可能である。この場合について、第2のコイル展開装置は、合体装置と直接隣り合う第1のロールクラッディング装置の下流に配置されている。いずれにしても、例えば鋳造機械と共に2つのコイル展開装置が使用される場合には、最上及び最下の層が同一の特性プロファイルを有する鋼で構成された、連続した帯状の複合材料を製造することができ、当該複合材料の中間の層は、例えば、特性について縁部箇所に用いられる材料とは異なる鋼で形成されている。
【0029】
本発明による方法の有利な発展形態では、ステップ(iii)において、ラッディング材料が鋳造機械により生成されるストランドから固化によって形成されたスラブの反対側に施され、クラッディング材料が、同一の材料で構成されているとともに、それぞれ別々のコイル展開装置によって展開される。
【0030】
本発明の有利な発展形態では、合体された材料パートナーの間に1つ又は複数の中間層が固体、液体又は粉体の形状で挿設されるように設定されることが可能である。このような中間層は、材料パートナーの互いに対向する表面を不活性化又は活性化することが可能である。その結果、材料パートナーの表面におけるスケール(付着)傾向が低減され、及び/又は材料パートナー間の拡散工程に有利に影響する。
【0031】
本発明による設備を「HRB設備」と呼ぶことが可能であり、「HRB」は「HighPerformance−Roll−Bonding(高性能ロール圧接)」の略記である。
【0032】
本発明の更なる利点は、以下の態様から成る:
−より大きな生産性能、
−より良好な経済性、
−生産される鋼の種類の拡張、
−ロールクラッディングされた厚板の生成、及び
−ロールクラッディングされたコイルの生成
【0033】
以下に、本発明の実施例を概略的に単純化した図面に基づいて詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】少なくとも2つの鋳造機械が用いられる本発明による装置の原理的な側面図である。
【
図2】
図1の装置の一部であり得る、合体装置を変更したものの原理的な側面図である。
【
図3a】
図1の装置の一部であり得る、ロールクラッディング装置のワークロールの側面図である。
【
図3b】
図1の装置の一部であり得る、ロールクラッディング装置のワークロールの側面図である。
【
図4】
図1の装置の一部であり得る、コイル展開装置を変更したものの原理的に簡略化した拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下に、
図1〜
図4を参照しつつ、本発明による装置10及びその構成要素の好ましい実施形態を説明し、この装置10は、連続した帯状の複合材料11の形態の金属帯を製造するために用いられる。図面におけるものと同一の特徴には、ここではそれぞれ同一の符号が付されている。ここで、図面が単に単純化され、特に基準なしに図示されていることを個別に指摘しておく。
【0036】
図1には、原理上単純化された、第1の実施形態による装置10の側面図が示されている。
【0037】
装置10は、基礎材料として用いられる、特に鋼から成る連続的なストランド13を生じさせる鋳造機械12を含んでいる。装置10は、金属帯15を提供する少なくとも1つのコイル展開装置14を更に含んでおり、当該金属帯は、クラッディング材料として用いられるとともに、コイル展開装置14によって適切に展開されることが可能である。ストランド13から固化によってスラブ16が形成され、当該スラブは、つづいて、展開された金属帯15と共に、鋳造機械12及びコイル展開装置14の下流に配置された合体装置26を通ってガイドされるとともに、互いに対して整向される。装置10は、合体装置26に直接接続され、したがってその下流に配置されたロールクラッディング装置18.1の形態の少なくとも1つのロールスタンドを更に含んでいる。このロールクラッディング装置18.1の機能については、個別に後述する。
【0038】
合体装置26は、両スラブ16及び展開された金属帯15を互いに対して整向させる目的で用いられる。
図1に図示された実施形態では、スラブ16及び展開された金属帯15があらかじめ合体装置26内で互いに接触されるように構成されることが可能である。
図2により原理上簡易化して側面図で示され、同様に
図1の装置に用いられることができる合体装置26の代替的な実施形態によれば、スラブ及び展開された金属帯が直接これに隣接した位置決めされたロールクラッディング装置18.1へ導入される場合には、スラブ16及び展開された金属帯15がこの合体装置26内でなく、外部において初めて、その下流で接触するように構成されている。
【0039】
図2では矢印「T」で搬送方向が示唆されており、この搬送方向において、生成される連続的で帯状の複合材料11が搬送あるいは移動される(図において左方から右方)。
図1の図示に関して、ここでは複合材料11が同様の方向へ、すなわち(図面において)左方から右方へ移動することはいうまでもない。
【0040】
装置10は補整ロールスタンド28を備えており、当該補整ロールスタンドは、鋳造機械12と合体装置26の間で一列に配置されている。固化により鋳造機械12によって生成されたストランド13で形成されたスラブ16は、補整ロールスタンド28を通過する。これにより、補整ロールスタンド28を用いて合体装置26の方向においてスラブ16の速度を開ループ制御、好ましくは閉ループ制御することが可能である。同様に、展開された金属帯15を合体装置26の方向において搬送する速度を、対応するコイル展開装置14によって開ループ制御し、好ましくは閉ループ制御することが可能である。これに関連して、補整ロールスタンド28及びコイル展開装置14の作動が好ましくは共通の制御装置によって連続して適合されるときに有利であり、その結果、スラブ16及び展開された金属帯15が同一の速度で合体装置26へ導入される。
【0041】
装置10は、鋳造機械12と合体装置26の間で一列に配置された第1の加熱装置30(
図1参照)と、コイル展開装置14と合体装置26の間で一列に配置された第2の加熱装置31とを含んでいる。スラブ16が第1の加熱装置30を通過することが
図1の側面図から明らかである。同様に、展開された金属帯15は、第2の加熱装置31を通過する。これにより、スラブ16及び金属帯15が通過加熱の原理により加熱され、鋳造機械12により生成されるストランド13から固化により形成されたスラブ16とコイル展開装置14によって展開された金属帯15との間の異なる長さの搬送区間により生じ得る可能な温度差が適合される。このとき、材料パートナーの温度を例えば異なる材料、材料品質又は材料厚さにおいて意図的に維持することも有利であり得る。その結果、スラブ16及び金属帯15は、好ましくはあらかじめ規定された温度で合体装置26へ入る。
【0042】
装置10は側部影響装置を備えており、当該側部影響装置は、それぞれ合体装置26の上流で第1の鋳造機械12あるいはコイル展開装置14と一列に配置されている。これら側部影響装置は、
図2の図示において抽象的に符号「32」で示唆されているとともに、例えばガイドギブによって形成されることが可能である。対応して、スラブ16及び金属帯15は、これらガイドギブによって側方でガイドされ、これにより互いに対して相対的に整向される。ここでは、これら側部影響装置32も合体装置26内に配置されることができ、したがってこの合体装置26の一部として形成され得ることを個別に指摘しておく。
【0043】
既に上述したロールクラッディング装置18.1は、スラブ16及び金属帯15のための熱間圧延を実行し、したがって、これに基づきロールクラッディングを用いて連続した帯状の複合材料11を生成するという目的に用いられる。
図3aの側面図には、スラブ及び金属帯がロールクラッディング装置18.1のワークロールA1,A2と接触し、これらワークロールA1,A2の間を通過するときの、例えばスラブ16及び金属帯15で構成され得る2つの材料パートナーの2層のロール溶接が原理上簡易化して示されている。スラブ及び金属帯15がロールクラッディング装置18.1へ共通に導入されるときに、複合物がスラブ16及び金属帯15によって形成され、当該複合物がロールクラッディング装置のワークロールA1,A2によって熱間圧延あるいはロールクラッディングされることが
図3aの側面図から明らかである。
【0044】
ロールクラッディング装置18.1につづいて、あるいはその下流において、別のロールスタンドあるいはロールクラッディング装置を設けることができ、当該ロールスタンドあるいはロールクラッディング装置により、帯状の複合材料11のための熱間圧延が行われる。
図1では、ロールクラッディング装置18.1の下流に少なくとも1つの別のロールクラッディング装置又は複数のこのようなロールスタンドが圧延ライン19に配置され得ることが符号「18.i」で示唆されている。さらに、ロールクラッディング装置18.iにつづいて、別のロールスタンドを圧延ライン19に設けることが可能である。
【0045】
図2における図示によれば、装置10は、合体装置26の上流に配置されたスケール除去装置34の形態の洗浄装置を含んでいる。当該スケール除去装置34によりスラブ16及び金属帯15は適切にスケール除去され、このことは、両材料パートナーのうち少なくとも1つ、又は両材料パートナーが(それぞれ)鋼又は鋼合金から成る場合に特に有利である。さらに、装置10が合体装置26に統合された保護ガス装置36を含んでいることが
図2の側面図から明らかである。
図2の図示では、保護ガス装置36は、破線によって単に単純化して象徴されている。スラブ及び金属帯がロールクラッディング装置18.1によって、熱間圧延あるいはロールクラッディングを用いて互いに結合される前に、スラブ16及び金属帯15は、保護ガス装置36を通過し、このことは、これら才良パートナーの互いに対向する表面における「新たな」スケールの形成を有効に防止するものである。
【0046】
ステップ(iii)における熱間圧延を用いた、スラブ16及び展開された金属帯15の結合は、これら金属帯のうち少なくとも1つの表面温度をそれぞれ対向する側において影響させ、好ましくは高めることで更に改善され得る。この目的のために、ロールクラッディング装置18.1の直接上流には、
図2では象徴的に簡易化して示されている温度影響装置38が配置されている。
【0047】
装置10は圧延ライン19も含んでおり、この圧延ラインにより、生成された連続した帯状の複合材料11がよりわずかな厚さへ圧延されることが可能である。
【0048】
装置は更に少なくとも1つの測定装置40を含んでおり、当該測定装置により、熱間圧延を用いてロールクラッディング装置18.1により生成された、連続した帯状の複合材料11の材料特性を検出することが可能である。測定装置40は、例えばロールクラッディング装置18.1の後方あるいは下流に配置されているとともに、好ましくはレントゲン及び/又は超音波の原理により機能する。このために、測定装置40の付属するセンサを連続した帯状の複合材料の上方及び/又は下方に設けるように構成することができ、その結果、これにより、この複合材料11の形態の金属帯の上側及び/又は下側がその材料特性あるいは表面品質に関して検査されることが可能である。
【0049】
図1の実施形態では、鋳造機械12は、垂直連続鋳造装置の形態で形成されている。このとき、鋳造機械12は壁部を有する鋳型20を備えている。鋳型20の各壁部の間では、基礎材料が液体金属として上方から注ぎ込まれる。鋳型20は、その下側に開口部を備えている。対応して、液体金属は、当該開口部を通して、冷却部を備えたストランドガイドシステム24へ排出される。
【0050】
装置のプロセスラインに沿った様々な箇所には、例えば熱切断装置、振り子式はさみ、ドラム式はさみ又はこれらに類するものの形態の分離装置42が配置されている。当該分離装置42により、利用できない材料の切断あるいは削除が可能である。これに加えて、及び/又はこれに代えて、この分離装置42を用いて、個々の帯の不連続な圧延動作及び/又は鋳造機械12のみによる非常時の動作も実現することが可能である。分離は、後続のプロセスステップを改善する目的をもって、及び/又はこの設備において生成される最終製品の長さを生成するためにも行われることが可能である。これに関連して、
図1に示された各分離装置42の位置は、単に例示的なものと理解されるべきであることを指摘しておく。
【0051】
生成された連続した帯状の複合材料11をコイルへ巻き取るために、圧延ライン19の終端部には少なくとも1つのウインチ44が設けられている。合目的には、個々のウインチ44を切り換えるための適当な(不図示の)装置を有するこのような複数のウインチ44を設けることも可能である。これに加えて、及び/又はこれに代えて、圧延ライン19の終端部には、そこから薄板あるいは厚板を取り出すために、少なくとも1つの保管部又はこれに類するものを設けることが可能である。
【0052】
図1の実施形態は、同様にクラッディング材料として用いられる別の連続した金属帯を提供する(不図示の)別のあるいは第2のコイル展開装置が設けられるように変更されることが可能である。この別のコイル展開装置は、同様に、ロールクラッディング装置18.1と一列に配置されることが可能である。対応して、本発明による上述のステップ(ii)及び(iii)を、鋳造機械12によって生成されたストランド13から固化により形成されたスラブ16と、各コイル展開装置によって展開された両金属帯とで形成された全部で3つの層で実行することが可能である。ロールクラッディング装置のワークロールA1とA2の間での全部で3つの層のロールクラッディングが、原理的に簡略化して
図3bの側面図において図示されている。このとき、スラブ16が基礎材料として用いられ、両金属帯15,46はクラッディング材料として用いられ、クラッディング材料は、それぞれスラブ16の対向側でクラッドされる。これに関連して、一方では(スラブ16の形態の)基礎材料について、及び他方では(金属帯15,46の形態の)クラッディング材料について、それぞれ異なる材料品質あるいは鋼品質を用いることが可能であることを指摘しておく。金属帯15,46に用いられるクラッディング材料を、同一の材料から構成することが可能である。さらに、
図3bの図示とは異なり、両金属帯15,46をスラブ16の同一の側に設けるか、あるいはクラッドすることが可能であることを指摘しておく。
【0053】
図1による装置10の別の変更は、コイル展開装置14が加熱可能なチャンバ48に収容されるように行なわれることが可能である。このことは、
図4の図示において簡易化して示されている。加熱可能なチャンバ48におけるコイル展開装置14のこのような収容により、これにより展開される金属帯15が、スラブ16の合体及びこれにつづく1つの連続した帯状の複合材料11への熱間圧延に関してあらかじめ設定された温度を有することが保証されている。加熱可能なチャンバ48におけるコイル展開装置14又はこれにより展開された金属帯15の加熱は、保護ガス雰囲気においても実行可能である。
【0054】
本発明の装置10の上述の実施形態により、連続した帯状の複合材料11を製造する本発明による方法を実行することが可能である。当該方法は、上述のプロセス量のうち少なくとも1つに依存して自動的に、好ましくは閉ループ制御されて実行されることが可能である。
【符号の説明】
【0055】
10 装置
11 連続した帯状の複合材料
12 鋳造機械
13 (鋳造機械12により生成される)連続したストランド
14 コイル展開装置
15 (コイル展開装置14によって展開される)金属帯
16 (ストランド13から形成される)スラブ
18.1 ロールクラッディング装置
18.i (別の)ロールクラッディング装置
19 圧延区間
20 鋳型
24 ストランドガイドシステム
26 合体装置
28 補整ロールスタンド
30 第1の加熱装置(例えば誘導加熱部)
31 第2の加熱装置(例えば誘導加熱部)
32 側部影響装置
34 洗浄装置(例えばスケール除去装置)
36 保護ガス装置
38 温度影響装置
40 測定装置
42 分離装置(例えばドラム式はさみ)
44 ウインチ
46 (別の)金属帯
48 (少なくとも1つのコイル展開装置14を収容する)加熱可能なチャンバ
A1,A2 (ロールクラッディング装置18.1の)ワークロール
T (帯状の複合材料についての)搬送方向