特許第6831481号(P6831481)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6831481車両損傷査定の方法、損傷査定クライアント及びコンピュータ読取可能な記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6831481
(24)【登録日】2021年2月1日
(45)【発行日】2021年2月17日
(54)【発明の名称】車両損傷査定の方法、損傷査定クライアント及びコンピュータ読取可能な記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/08 20120101AFI20210208BHJP
   G06Q 10/00 20120101ALI20210208BHJP
【FI】
   G06Q40/08
   G06Q10/00 300
【請求項の数】15
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2019-562348(P2019-562348)
(86)(22)【出願日】2018年5月7日
(65)【公表番号】特表2020-521215(P2020-521215A)
(43)【公表日】2020年7月16日
(86)【国際出願番号】CN2018085885
(87)【国際公開番号】WO2018205904
(87)【国際公開日】20181115
【審査請求日】2020年1月22日
(31)【優先権主張番号】201710317736.5
(32)【優先日】2017年5月8日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519396153
【氏名又は名称】データ エンライテン (ベイジン) カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チョウ,カイ
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ロンビン
(72)【発明者】
【氏名】ジン,チジア
(72)【発明者】
【氏名】リャオ,ミングルイ
(72)【発明者】
【氏名】ジン,ツェンドン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,シイング
【審査官】 田中 秀樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−139252(JP,A)
【文献】 特開2006−350743(JP,A)
【文献】 特開2002−326569(JP,A)
【文献】 特開平11−134403(JP,A)
【文献】 特開2001−034664(JP,A)
【文献】 特開2002−032624(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両損傷査定の方法であって、
受信ユニットが、車両損傷位置の情報であるユーザからの入力情報を受信するステップと、
第1の処理ユニットが、前記入力情報に基づいて、対応する損傷位置部品の情報及び処理方法を特定するステップと、
第2の処理ユニットが、前記損傷位置部品の情報及び前記処理方法に基づいて修復費用見積情報を生成するステップと、を含み、
前記車両損傷査定の方法は、
前記受信ユニットが、ユーザからの前記入力情報を受信する前に、ユーザが入力した車両識別番号であるVINを受信するステップと、
前記第1の処理ユニットが、前記VINに基づいて損傷車両の車種を特定するステップと、
車両模式図表示ユニットが、前記車種に対応する車両の模式図を表示するステップと、をさらに含み、
前記入力情報がユーザによる前記車両の模式図での手書きマークを含む場合、
前記車両損傷査定の方法は、
前記第1の処理ユニットが、前記手書きマークの範囲がカバーしている既設立体領域を特定するステップと、
前記第1の処理ユニットが、前記既設立体領域における部品の情報を選択待ち損傷位置情報として特定するステップと、
選択待ち情報表示ユニットが、前記ユーザが選択可能な、前記選択待ち損傷位置情報及び各選択待ち損傷位置情報に対応する選択待ち処理方法情報を表示するステップと、
前記第1の処理ユニットが、前記ユーザの選択操作に基づいて、前記入力情報に対応する前記損傷位置部品の情報及び前記処理方法を確定するステップと、をさらに含み、
前記車両の模式図が車両の平面図である場合、前記手書きマークの範囲がカバーしている前記既設立体領域の数が1つより多いとき、
前記車両損傷査定の方法は、
前記第1の処理ユニットが、各前記既設立体領域に占める前記手書きマークの範囲の大きさを確定するステップと、
前記選択待ち情報表示ユニットが、前記手書きマークの領域と各前記既設立体領域との重なり合う領域の、前記既設立体領域の合計面積に占める割合の順に、各前記手書きマークに対応する前記既設立体領域における部品の情報を配列して表示するステップと、
さらに含むことを特徴とする車両損傷査定の方法。
【請求項2】
前記入力情報が文字情報を含む場合、前記第1の処理ユニットが、前記入力情報に基づいて、対応する前記損傷位置部品の情報及び前記処理方法を特定するステップは、
前記第1の処理ユニットが、前記文字情報を部品正式名称に変更するステップと、
前記第1の処理ユニットが、部品正式名称と各ブランドの該当部品との関連関係によって、前記部品正式名称が対応するすべての部品を選出するステップと、
前記第1の処理ユニットが、前記すべての部品から前記VINと対応する部品情報を特定して前記損傷位置部品の情報及び該当する前記処理方法の情報とするステップと
を含むことを特徴とする請求項に記載の車両損傷査定の方法。
【請求項3】
前記入力情報が音声情報を含む場合、前記第1の処理ユニットが、前記入力情報に基づいて、対応する前記損傷位置部品の情報及び前記処理方法を特定するステップは、
前記第1の処理ユニットが、前記音声情報を文字情報に変更するステップと、
前記第1の処理ユニットが、前記文字情報を部品正式名称に変更するステップと、
前記第1の処理ユニットが、部品正式名称と各ブランドの該当部品との関連関係によって、前記部品正式名称が対応するすべての部品を選出するステップと、
前記第1の処理ユニットが、前記すべての部品から前記VINと対応する部品情報を特定して前記損傷位置部品の情報及び該当する前記処理方法の情報とするステップと
を含むことを特徴とする請求項に記載の車両損傷査定の方法。
【請求項4】
前記車両の模式図における前記車両は、複数の、それぞれ少なくとも1つの部品を含む前記既設立体領域に区画されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両損傷査定の方法。
【請求項5】
前記車両の模式図は、前記車両の平面図と前記車両の側面図を含むことを特徴とする請求項に記載の車両損傷査定の方法。
【請求項6】
前記車両の模式図が前記車両の平面図である場合、部品の座標系によって、各前記既設立体領域に部品を表す小さな立方体が複数含まれるとともに、各前記既設立体領域に少なくとも1つの部品が含まれることを特徴とする請求項に記載の車両損傷査定の方法。
【請求項7】
前記車両の模式図が前記車両の側面図である場合、前記車両の側面図における前記既設立体領域の数が既定数となるとともに、該既定数の前記既設立体領域が下から上に向かって順に並んでいることを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の車両損傷査定の方法。
【請求項8】
前記手書きマークの範囲がカバーしている前記既設立体領域の数が1つより多いとき、前記第1の処理ユニットが、前記既設立体領域における部品の情報を前記選択待ち損傷位置情報として特定するステップは、
前記第1の処理ユニットが、前記手書きマークがカバーしている前記既設立体領域を特定するステップと、
前記第1の処理ユニットが、特定された各前記既設立体領域における部品の情報を前記選択待ち損傷位置情報として確定するステップと
を含むことを特徴とする請求項に記載の車両損傷査定の方法。
【請求項9】
前記第2の処理ユニットが、前記損傷位置部品の情報及び前記処理方法に基づいて修復費用見積情報を生成するステップは、
前記第2の処理ユニットが、前記VIN、前記損傷位置部品の情報及び前記処理方法に基づいて修復費用を算出するステップを含むことを特徴とする請求項のいずれか1項に記載の車両損傷査定の方法。
【請求項10】
前記第2の処理ユニットが、前記VIN、前記損傷位置部品の情報及び前記処理方法に基づいて修復費用を算出するステップは、
前記第2の処理ユニットが、前記VIN、前記損傷位置部品の情報及び前記処理方法に基づいて、自動調整アルゴリズムに従って修復費用を算出するステップを含み、
前記自動調整アルゴリズムは、前記VIN、前記ユーザが選択した損傷位置及び前記処理方法に基づいて算出した修復費用を調整し、関連、重複及び相互排除の修復費用を調整するアルゴリズムである
ことを特徴とする請求項に記載の車両損傷査定の方法。
【請求項11】
前記第2の処理ユニットが、前記VIN、前記損傷位置部品の情報及び前記処理方法に基づいて修復費用を算出するステップは、
前記第2の処理ユニットが、前記VIN、前記損傷位置部品の情報及び前記処理方法に基づいて、整備工場計算パラメータ及び特殊調整要素計算パラメータを組み込んで、修復費用を算出するステップを含むことを特徴とする請求項又は10に記載の車両損傷査定の方法。
【請求項12】
前記第2の処理ユニットが、前記損傷位置部品の情報及び前記処理方法に基づいて修復費用見積情報を生成するステップの後に、
前記第2の処理ユニットが、修復費用見積情報に基づいて損傷査定見積書を生成するステップと、
第3の処理ユニットが、前記損傷査定見積書に対応する二次元コードを生成するステップと、
第3の処理ユニットが、前記ユーザが前記二次元コードを読み取って前記損傷査定見積書情報及び状態を取得、編集することができるように、前記二次元コードを前記ユーザにプッシュするステップと
を含むことを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の車両損傷査定の方法。
【請求項13】
車両損傷位置の情報であるユーザからの入力情報を受信する受信ユニットと、
前記入力情報に基づいて、対応する損傷位置部品の情報及び処理方法を特定する第1の処理ユニットと、
前記損傷位置部品の情報及び前記処理方法に基づいて修復費用見積情報を生成する第2の処理ユニットと
車両模式図表示ユニットと、
選択待ち情報表示ユニットと、を有し、
前記受信ユニットは、ユーザが入力した車両識別番号であるVINを受信し、
前記第1の処理ユニットは、前記VINに基づいて損傷車両の車種を特定し、
前記車両模式図表示ユニットは、前記車種に対応する車両の模式図を表示し、
前記入力情報がユーザによる前記車両の模式図での手書きマークを含む場合、
前記第1の処理ユニットは、前記手書きマークの範囲がカバーしている既設立体領域を特定し、
前記第1の処理ユニットは、前記既設立体領域における部品の情報を選択待ち損傷位置情報として特定し、
前記選択待ち情報表示ユニットは、前記ユーザが選択可能な、前記選択待ち損傷位置情報及び各選択待ち損傷位置情報に対応する選択待ち処理方法情報を表示し、
前記第1の処理ユニットは、前記ユーザの選択操作に基づいて、前記入力情報に対応する前記損傷位置部品の情報及び前記処理方法を確定し、
前記車両の模式図が前記車両の平面図である場合、前記手書きマークの範囲がカバーしている前記既設立体領域の数が1つより多いとき、
前記第1の処理ユニットは、各前記既設立体領域に占める前記手書きマークの範囲の大きさを確定し、
前記選択待ち情報表示ユニットは、前記手書きマークの領域と各前記既設立体領域との重なり合う領域の、前記既設立体領域の合計面積に占める割合の順に、各前記手書きマークに対応する前記既設立体領域における部品の情報を配列して表示する
ことを特徴とする車両損傷査定クライアント。
【請求項14】
前記入力情報が文字情報を含む場合、前記第1の処理ユニットは、前記文字情報を部品正式名称に変更し、部品正式名称と各ブランドの該当部品との関連関係によって、前記部品正式名称が対応するすべての部品を選出し、前記すべての部品から前記VINと対応する部品情報を特定して前記損傷位置部品の情報及び該当する前記処理方法の情報とするように構成されていることを特徴とする請求項13に記載の車両損傷査定クライアント。
【請求項15】
プロセッサ実行可能なプログラムコードが記憶される不揮発性のコンピュータ読取可能な記憶媒体であって、前記プログラムコードに基づいて、前記プロセッサで請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法を実行することができることを特徴とするコンピュータ読取可能な記憶媒体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、車両損傷査定の技術分野に属し、殊に、車両損傷査定の方法、損傷査定クライアント及びコンピュータ読取可能な記憶媒体に関する。
【0002】
関連出願の交互引用
本出願は、2017年05月08日に中国専利局に提出された出願番号がCN2017103177365であり、名称が「車両損傷査定の方法及び損傷査定クライアント」である中国特許出願に基づいて優先権を主張し、その全ての内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
近年、中国の自動車保有台数の急速な増加に伴って、自動車保険業も快速に発展している。自動車保険において、車両事故の損傷査定がとても重要な一環となっている。普段、被保険自動車が交通事故に遭った場合、保険会社の現場調査員及び損傷調査員が現場又は4S店(販売(Sale)、部品交換(Spare Part)、アフターサービス(Service)、フィードバック(Survey)との4つのサービスを提供する自動車販売代理店)への立会調査を行い、さらに損害確認・金額確認人員と協力して事故の損傷査定・賠償の仕事を仕上げる。
【0004】
従来、保険会社や自動車整備工場において、車両損傷査定に用いられる事故車両の見積及び損傷査定のシステムの多くがPC端末で操作されるので、車両損傷査定を速やかに行うことができない。
【0005】
また、損傷査定・見積は、保険会社と自動車整備工場が打ち合わせて決定する事項であるが、損傷査定・見積に関して、双方の慣用語、判断基準、作業員能力、使用する補助設備等に相違があるので、共同の認識に達することが困難であり、そして公平で妥当な補助交流手段もない。さらに、中国では多国の自動車が販売されており、メーカーの部品検索方式が異なるので、部品情報の獲得が難しくなり、損傷査定・見積が困難となる。
【0006】
また、現在、保険会社や自動車整備工場は、システム化、標準化作業が欠け、手動入力項目が大量存在しているので、大量の人でリスクチェックを行うことが必要となる。
【0007】
上記の各原因により、損傷査定・見積の基準を統一でき、速やか且つ適用性が優れる損傷査定・見積方法を実現することが、解決しようとする課題となる。
【発明の概要】
【0008】
本出願による車両損傷査定の方法、損傷査定クライアント及びコンピュータ読取可能な記憶媒体は、同一の損傷査定・見積基準を作ることにより、速やか且つ適応性が優れる車両損傷査定・見積を実現する。
【0009】
従来技術における上記問題を解決するため、本出願の実施例による車両損傷査定の方法は、車両損傷位置の情報であるユーザからの入力情報を受信するステップと、前記入力情報に基づいて、対応する損傷位置部品の情報及び処理方法を特定するステップと、前記損傷位置部品の情報及び前記処理方法に基づいて損傷見積情報を生成するステップとを含む。
【0010】
ユーザからの入力情報を受信するステップの前に、ユーザが入力した車両識別番号であるVINを受信するステップを含むことが好ましい。
【0011】
前記入力情報が文字情報である場合、前記入力情報に基づいて、対応する損傷位置部品の情報及び処理方法を特定するステップは、前記文字情報を部品正式名称に変更するステップと、既設部品との関連関係によって、前記部品正式名称が対応するすべての部品を選出するステップと、前記すべての部品から前記VINと対応する部品情報を特定して損傷位置部品の情報及び該当する処理方法の情報とするステップとを含むことが好ましい。
【0012】
前記入力情報が音声情報である場合、前記入力情報に基づいて、対応する損傷位置部品の情報及び処理方法を特定するステップは、前記音声情報を文字情報に変更するステップと、前記文字情報を部品正式名称に変更するステップと、既設部品との関連関係によって、前記部品正式名称が対応するすべての部品を選出するステップと、前記すべての部品から前記VINと対応する部品情報を特定して損傷位置部品の情報及び該当する処理方法の情報とするステップとを含むことが好ましい。
【0013】
前記VINに基づいて損傷車両の車種を特定するステップと、前記車種に対応する車両の模式図を表示するステップとをさらに含むことが好ましい。
【0014】
前記車両の模式図における車両は、複数の、それぞれ少なくとも1つの部品を含む既設立体領域に区画されることが好ましい。
【0015】
前記車両の模式図は、車両の平面図と車両の側面図を含むことが好ましい。
【0016】
前記車両の模式図が前記車両の平面図である場合、部品の座標系によって、各既設立体領域に部品を表す小さな立方体が複数含まれるとともに、各既設立体領域に少なくとも1つの部品が含まれることが好ましい。
【0017】
前記入力情報がユーザによる前記車両の模式図での手書きマークである場合、前記入力情報に基づいて、対応する損傷位置部品の情報及び処理方法を特定するステップは、前記手書きマークの範囲がカバーしている既設立体領域を特定するステップと、前記既設立体領域における部品の情報を選択待ち損傷位置情報として特定するステップと、前記ユーザが選択可能な、前記選択待ち損傷位置情報及び各選択待ち損傷位置情報に対応する選択待ち処理方法情報を表示するステップと、前記ユーザの選択操作に基づいて、前記入力情報に対応する損傷位置部品の情報及び処理方法を確定するステップとを含むことが好ましい。
【0018】
前記車両の模式図が車両の平面図である場合、前記手書きマークの範囲がカバーしている既設立体領域の数が1つより多いとき、前記選択待ち損傷位置情報を表示するステップは、各既設立体領域に占める前記手書きマークの範囲の大きさを確定するステップと、前記手書きマークの領域と各既設立体領域との重なり合う領域の、既設立体領域の合計面積に占める割合の順に、各前記手書きマークに対応する既設立体領域における部品の情報を配列して表示するステップとを含むことが好ましい。
【0019】
前記車両の模式図が車両の側面図である場合、前記車両の側面図における既設立体領域の数が既定数となるとともに、該既定数の既設立体領域が下から上に向かって順に並んでいることが好ましい。
【0020】
前記手書きマークの範囲がカバーしている既設立体領域の数が1つより多いとき、前記既設立体領域における部品の情報を選択待ち損傷位置情報として特定するステップは、前記手書きマークがカバーしている既設立体領域を特定するステップと、特定された各既設立体領域における部品の情報を選択待ち損傷位置情報として確定するステップとを含むことが好ましい。
【0021】
前記損傷位置部品の情報及び前記処理方法に基づいて損傷見積情報を生成するステップは、前記VIN、損傷位置部品の情報及び処理方法に基づいて修復費用を算出するステップを含むことが好ましい。
【0022】
前記VIN、損傷位置部品の情報及び処理方法に基づいて修復費用を算出するステップは、前記VIN、損傷位置部品の情報及び処理方法に基づいて、自動調整アルゴリズムに従って修復費用を算出するステップを含み、前記自動調整アルゴリズムは、前記VIN、ユーザが選択した損傷位置及び処理方法に基づいて算出した修復費用を調整し、関連、重複及び相互排除の修復費用を調整するアルゴリズムであることが好ましい。
【0023】
前記VIN、損傷位置部品の情報及び処理方法に基づいて修復費用を算出するステップは、前記VIN、損傷位置部品の情報及び処理方法に基づいて、整備工場計算パラメータ及び特殊調整要素計算パラメータを組み込んで、修復費用を算出するステップを含むことが好ましい。
【0024】
前記損傷位置部品の情報及び前記処理方法に基づいて損傷見積情報を生成するステップの後に、損傷見積情報に基づいて損傷査定見積書を生成するステップと、前記損傷査定見積書に対応する二次元コードを生成するステップと、前記ユーザが前記二次元コードを読み取って前記損傷査定見積書情報及び状態を取得、編集することができるように、前記二次元コードを前記ユーザにプッシュするステップとを含むことが好ましい。
【0025】
本出願による車両損傷査定クライアントは、車両損傷位置の情報であるユーザからの入力情報を受信する受信ユニットと、前記入力情報に基づいて、対応する損傷位置部品の情報及び処理方法を特定する第1の処理ユニットと、前記損傷位置部品の情報及び前記処理方法に基づいて損傷見積情報を生成する第2の処理ユニットとを有する。
【0026】
前記受信ユニットは、さらにユーザが入力した車両識別番号であるVINを受信するように構成されていることが好ましい。
【0027】
前記入力情報が文字情報である場合、前記第1の処理ユニットは、前記文字情報を部品正式名称に変更し、既設部品との関連関係によって、前記部品正式名称が対応するすべての部品を選出し、前記すべての部品から前記VINと対応する部品情報を特定して損傷位置部品の情報及び該当する処理方法の情報とするように構成されていることが好ましい。
【0028】
前記入力情報が音声情報である場合、前記第1の処理ユニットは、前記音声情報を文字情報に変更するように構成されていることが好ましい。
【0029】
前記第1の処理ユニットは、さらに前記VINに基づいて損傷車両の車種を特定し、さらに前記車種に対応する車両の模式図を表示する車両の模式図表示ユニットを有することが好ましい。
【0030】
前記車両の模式図における車両は、複数の、それぞれ少なくとも1つの部品を含む既設立体領域に区画されることが好ましい。
【0031】
前記車両の模式図は、車両の平面図と車両の側面図を含むことが好ましい。
【0032】
前記入力情報がユーザによる前記車両の模式図での手書きマークである場合、前記第1の処理ユニットが、前記手書きマークの範囲がカバーしている既設立体領域を特定し、前記既設立体領域における部品の情報を選択待ち損傷位置情報として特定するように構成され、選択待ち情報表示ユニットが、前記ユーザが選択可能な、前記選択待ち損傷位置情報及び各選択待ち損傷位置情報に対応する選択待ち処理方法情報を表示するように構成され、前記第2の処理ユニットが、前記ユーザの選択操作に基づいて、前記入力情報に対応する損傷位置部品の情報及び処理方法を確定するように構成されることが好ましい。
【0033】
前記車両の模式図が車両の平面図である場合、前記手書きマークの範囲がカバーしている既設立体領域の数が1つより多いとき、前記第1の処理ユニットが、各既設立体領域に占める前記手書きマークの範囲の大きさを確定するように構成され、前記選択待ち情報表示ユニットが、前記手書きマークの領域と各既設立体領域との重なり合う領域の、既設立体領域の合計面積に占める割合の順に、各前記手書きマークに対応する既設立体領域における部品の情報を配列して表示するように構成されることが好ましい。
【0034】
前記車両の模式図が車両の側面図である場合、前記車両の側面図における既設立体領域の数が既定数となるとともに、該既定数の既設立体領域が下から上に向かって順に並んでいることが好ましい。
【0035】
前記手書きマークの範囲がカバーしている既設立体領域の数が1つより多いとき、前記第1の処理ユニットは、前記手書きマークがカバーしている既設立体領域を特定し、特定された各既設立体領域における部品の情報を選択待ち損傷位置情報として確定するように構成されることが好ましい。
【0036】
前記第2の処理ユニットは、前記VIN、損傷位置部品の情報及び処理方法に基づいて修復費用を算出するように構成されることが好ましい。
【0037】
前記第2の処理ユニットは、前記VIN、損傷位置部品の情報及び処理方法に基づいて、自動調整アルゴリズムに従って修復費用を算出し、前記自動調整アルゴリズムは、前記VIN、ユーザが選択した損傷位置及び処理方法に基づいて算出した修復費用を調整し、関連、重複及び相互排除の修復費用を調整するアルゴリズムであることが好ましい。
【0038】
前記第2の処理ユニットは、前記VIN、損傷位置部品の情報及び処理方法に基づいて、整備工場計算パラメータ及び特殊調整要素計算パラメータを組み込んで、修復費用を算出するように構成されることが好ましい。
【0039】
前記第2の処理ユニットが、損傷見積情報に基づいて損傷査定見積書を生成するように構成され、第3の処理ユニットが、前記損傷査定見積書に対応する二次元コードを生成し、前記二次元コードを前記ユーザにプッシュするように構成されることが好ましい。
【0040】
本出願によるプロセッサ実行可能なプログラムコードが記憶される不揮発性のコンピュータ読取可能な記憶媒体は、前記プログラムコードに基づいて、前記プロセッサで上記の車両損傷査定の方法を実行することができることを特徴とする。
【0041】
従来技術と比べ、本出願は少なくとも以下の利点を有する。
【0042】
本出願は、ユーザが入力した車両損傷位置情報を識別し、相応の損傷位置部品の情報及び処理方法を確定する方法により、ユーザが携帯端末で故障車両の具体的な損傷情報を速やか、正確に確定することができ、そして標準化した情報を同一組織の異なる部門の間、異なる組織の間で回し、意思疎通コストを低減するとともに損傷査定、賠償の効率を向上させることができる。さらに、前記損傷位置部品の情報及び前記処理方法に基づいて損傷見積情報を生成できるので、手動入力、出力を減少させ、人的コストを低減し、効率を向上させ、手動入力時の煩雑な作業を減少させたとともに入力ミスによる問題を避けた。
【図面の簡単な説明】
【0043】
本出願の実施例の技術案をより明瞭に説明するため、実施例の説明に必要な図面を簡単に説明する。下記の図面は、本出願の実施例の一部を示したものに過ぎず、範囲を限定するものではない。当業者は、発明能力を用いなくても、これらの図面に基づいてその他の関連図面を得ることが可能である。
【0044】
図1】本出願による車両損傷査定の方法の模式フロー図である。
図2】本出願による3ボックス4ドア車の平面視の簡単模式図である。
図3】本出願による3ボックス4ドア車の側面視の簡単模式図である。
図4】本出願における具体的な実施例による3ボックス4ドア車の平面視の簡単模式図である。
図5】本出願における具体的な実施例による3ボックス4ドア車の側面視の簡単模式図である。
図6】本出願による車両損傷査定クライアントの構成模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、本出願の実施例を説明し、実施例が図面により例示され、同一又は類似する符号で同一又は類似の素子、又は同一又は類似の機能を備える素子を表す。下記の図面を介して説明する実施例が例示されるものであり、本発明を説明するものに過ぎず、本発明に対する限定ではない。
【0046】
また、特に限定がない限り、本明細書に使用される「一」、「1つ」、「前記」及び「該」が複数のものを指すことも可能である。さらに、本発明の明細書に使用される「含む」という用語は、記載の特徴、整数、ステップ、操作、素子及び/又は部材を有することを表すものであるが、1つ又は複数のその他の特徴、整数、ステップ、操作、素子、部材及び/又はそれらの群を有すること又は加えることを排除するとは意味していない。なお、素子が他の素子に「接続」又は「結合」するとは、1つの素子が他の素子に直接接続又は結合されてもよく、中間素子を介して行われてもよい。なお、ここに使用される「接続」又は「結合」は、無線接続又は無線結合を含んでもよい。ここに使用される「及び/又は」という用語の意味は、1つ又は複数の関連する項目の全部、又は任意1つのユニット、又は全部の組み合わせを含むことである。
【0047】
また、異なる定義が無い限り、本明細書に使用されるすべての用語(技術的用語と科学的用語を含む)は、本出願が属する技術の当業者によって理解されるのと同じ意味を有する。なお、汎用の辞典に定義された用語は、従来技術における意味と整合的な意味を有すると理解すべき、異なる定義が無い限り、理想化され、または過度に形式的な意味において解釈されるべきではない。
【0048】
図1に示すように、本出願による車両損傷査定の方法は、以下のようなステップを含む。
【0049】
ステップ101は、ユーザからの入力情報を受信する。ここで、該入力情報は車両損傷位置の情報である。本実施例において、車両は、任意種類の車両であってもよく、本実施例に具体的に限定されない。
【0050】
入力情報を受信するステップの前に、ユーザが入力した車両識別番号(VIN:Vehicle Identification Number)を受信するステップを含む。車両識別番号であるVINは、17桁の英数字で構成されているものであり、自動車の製造業者、エンジン及びその他の性能等の情報を識別するために使用されている一意のコードである。
【0051】
前記方法は、さらに、前記VINに基づいて損傷車両の車種を特定するステップと、前記車種に対応する車両の模式図を表示するステップとを含む。
【0052】
このステップにおいて、VIN情報に基づいて車両の模式図を呼び出し、また、VIN情報に基づいて該車両を構成する各既設立体領域に対応する部品の情報を予め呼び出すことも可能である。具体的に、VIN情報に基づいて車種(3ボックス4ドア、2ボックス5ドア、SUV、MPV、3ボックス2ドア等の車種)を特定し、対応車種の車両の模式図を呼び出す。図2図3に示すように、車両の模式図は、車両の平面図と車両の側面図とを含む。具体的に、VIN情報に基づいて車種(3ボックス4ドア、2ボックス5ドア、SUV、MPV、3ボックス2ドア等の車種)を特定し、対応車種の車両に基づいて該車両を構成する各既設立体領域に対応する部品の情報を予め呼び出すことも可能である。
【0053】
本実施例において、既設立体領域は、車両の模式図において、該車両を予め空間的に分割したいくつの立体的な領域と理解すればよい。車両の模式図が車両の平面図である場合、一方式で立体的な領域を予め設置し、車両の模式図が車両の側面図である場合、もう一方式で立体的な領域を予め設置することが可能である。
【0054】
図2は車両の平面図を示すものであり、この車両の平面図において、車両を、横方向(左から右まで)と、縦方向(フロントバンパーからリアバンパーまで)と、立体の高さ方向とからなる三次元の立方体とし、さらに、該車両を、それぞれ一部品を表す300余りの小さな立方体からなる箱状のものとする。即ち、各部品を三次元座標で表すことができるとともに、各座標によって対応する部品名称を索出することもできる。当該座標系によって、部品の物理的な位置をデータ化することができる。これによって、コンピュータのアルゴリズムによって損傷部品の識別と部品の提案を快速、量的に行うことができるようになる。
【0055】
なお、本実施例において、必ず300個の小さな立方体が設定されることに限らず、その他の数でもよく、車種によって具体的な数を決めることができる。具体的に、車両の製造業者(A業者又はB業者)、車種(A業者のSUV)、車両の全長等の少なくとも1つをパラメータとして該数を決めることが可能である。
【0056】
例えば、各業者が生産する各車種の車両のそれぞれに応じて数値(即、上記の小さな立方体の数)を設定してもよく、各業者が異なる時期に生産する各車種の車両のそれぞれに応じて数値(即、上記の小さな立方体の数)を設定してもよい。
【0057】
本実施例において、必ず上記のパラメータによって小さな立方体の数を決めることに限らず、その他のパラメータを利用してもよい。各車種の車両を区別できるパラメータであればよい。
【0058】
車両の模式図が平面図である場合、車両の平面図を複数の既設立体領域に区画し、部品の座標系によって、各既設立体領域に部品を表す小さな立方体が複数含まれるとともに、各既設立体領域にそれぞれ少なくとも1つの部品が含まれる。設定された部品情報検索方法により、既設立体領域内の各小さな立方体で表す部品の情報を読み込む。これによって、損傷査定の過程において該当VINに適する部品の情報を確実に呼び出し、損傷査定見積書に組み込む。
【0059】
該部品情報検索方法は、具体的に以下のようになる。まず、部品正式名称データベースと部品通用名称データベースを構築し、部品正式名称データベースに各部品の正式名が記憶され、部品通用名称データベースに各部品の一般の通用名が記憶される。例えば、「フロントバンパーフェイス」が一般的に「バンパー」と称され、この場合、「フロントバンパーフェイス」が部品正式名称データベースに登録される名称となり、「バンパー」が部品通用名称データベースに登録される名称となる。そして、部品正式名称データベースと部品通用名称データベースを構築した後、部品正式名称データベースの部品名称と各ブランドの該当部品とを関連付けて、唯一且つ確実な関連関係を築くようにする。ユーザが部品の名称(例えば、「フロントバンパーフェイス」、通常は「バンパー」と称する)を入力した場合、部品通用名称データベースに基づいてユーザが入力した部品名称を部品正式名称に変更し、そして、関連関係によって、該当の部品群を選出する。ここで、部品群に各製造業者の各个車種のフロントバンパーフェイスが含まれる。最後に、VIN情報が対応する部品の出荷仕様により、部品群から該VINと対応した唯一の部品を特定し、該当する部品ナンバー、参考小売価格及び選択可能な修復方法を出力する。
【0060】
本実施例において、修復の経験によって各部品の修復方法を更新してもよく、市場価格の変動に応じて各部品の参考小売価格を更新してもよい。更新方式は、手動更新と自動更新とを含む。
【0061】
例えば、各部品の市場価格を自動的に獲得し、現登録価格と市場価格との差が閾値を超えた場合、市場価格で該部品の現登録価格に対して更新することが可能である。なお、手動で更新価格を入力してもよい。
【0062】
車両の側面図において、既設立体領域の数を既定の数にし、本出願の実施例では、既設立体領域の数を4つにして具体的に説明する。図3は車両の側面図を示すものであり、図3において、4本の線(g、f、e及びd)で区画され、隣接する2本の線の間の部分が1つの既設立体領域となり、最下部の線(図3におけるd)及び該線以下の部分を1つの既設立体領域としている。当該4本の線は、それぞれ車内のフロア位置の線(d)、車内の座席・座席シート位置の線(f)、車内の計器盤位置の線(e)及び自動車天井位置の線(g)である。そして、区画された4つの既設立体領域が下から上に向かって順に並んでいる。
【0063】
なお、本実施例では、該車両の側面図において、必ず4つの既設立体領域が設定されることに限らず、3つ又は5つ等でもよく、本実施例では限定しない。
【0064】
車両の側面図において、車両の製造業者(A業者又はB業者)、車種(A業者のSUV)、車両の全長等の少なくとも1つをパラメータとして既設立体領域の数を決めることも可能である。
【0065】
ステップ102は、前記入力情報に基づいて、対応する損傷位置部品の情報及び処理方法を特定する。
【0066】
本ステップにおいて、入力情報の内容によって以下のいくつの状況(文字情報、音声情報及び手書きマーク)に分けられ、これに対してそれぞれ説明する。
【0067】
入力情報が文字情報である場合、具体的に以下のようになる。
【0068】
前記入力情報によって、対応する損傷位置部品の情報及び処理方法を特定するステップは、具体的に、前記文字情報を部品正式名称に変更するステップと、既設部品との関連関係によって、前記部品正式名称が対応するすべての部品を選出するステップと、前記すべての部品から前記VINと対応する部品情報を特定して損傷位置部品の情報及び該当する処理方法の情報とするステップとを含む。
【0069】
また、前記入力情報が音声情報である場合、前記文字情報を部品正式名称に変更するステップの前に、前記音声情報を文字情報に変更するステップを含む。さらに、前記文字情報を部品正式名称に変更するステップと、既設部品との関連関係によって、前記部品正式名称が対応するすべての部品を選出するステップと、前記すべての部品から前記VINと対応する部品情報を特定して損傷位置部品の情報及び該当する処理方法の情報とするステップとを含む。
【0070】
本ステップは、例えば以下のようになる。ユーザからの入力情報が「1つのバンパーをください」となるとき、該入力情報に基づいて、そのうちの「バンパー」を部品正式名称である「フロントバンパーフェイス」に変更して、「フロントバンパーフェイス」が対応する各ブランド、各車種のすべての部品を選出する。そして、ユーザが入力したVINに基づいて該VINと対応する「フロントバンパーフェイス」を索出して、該VINと対応する「フロントバンパーフェイス」を損傷位置部品の情報として特定し、さらに「フロントバンパーフェイス」を交換する処理方法を、相応な処理方法として特定する。
【0071】
具体的に、「バンパー」を部品正式名称である「フロントバンパーフェイス」に変更するプロセスは、部品通用名称データベースに基づいてユーザが入力した部品名称を部品正式名称に変更するようになる。
【0072】
入力情報がユーザによる前記車両の模式図での手書きマークである場合、具体的に以下のようになる。
【0073】
前記入力情報に基づいて、対応する損傷位置部品の情報及び処理方法を特定するステップは、具体的に、前記手書きマークの範囲がカバーしている既設立体領域を特定するステップと、前記既設立体領域における部品の情報を選択待ち損傷位置情報として特定するステップと、前記ユーザが選択可能な、前記選択待ち損傷位置情報及び各選択待ち損傷位置情報に対応する選択待ち処理方法情報を表示するステップと、前記ユーザの選択操作に基づいて、前記入力情報に対応する損傷位置部品の情報及び処理方法を確定するステップとを含む。
【0074】
本実施例において、損傷査定の場面に応じて、車両の模式図を、車両の平面図(一般の衝突に適用する)又は車両の側面図(沈没、浸水の車両に適用する)にすることが可能である。
【0075】
前記車両の模式図が車両の平面図であり、前記手書きマークの範囲がカバーしている既設立体領域の数が1つより多い場合、前記選択待ち損傷位置情報を表示するステップは、具体的に、各既設立体領域に占める前記手書きマークの範囲の大きさを確定するステップと、前記手書きマークの領域と各既設立体領域との重なり合う領域の、既設立体領域の合計面積に占める割合の順に、各前記手書きマークに対応する既設立体領域における部品の情報を配列して表示するステップとを含む。
【0076】
本ステップは、例えば以下のようになる。図4に示すように、該車両の平面図に複数の既設立体領域が含まれる。ユーザの入力情報は、車両の平面図において丸を付けたマークの範囲であると仮定する。この場合、該丸を付けたマークに基づいて、該丸を付けたマークの範囲がカバーしている既設立体領域はa、b及びkの3つの既設立体領域であると特定されるとともに、該丸を付けたマークの領域とa、b及びkの3つの既設立体領域との重なり合う領域の、既設立体領域の合計面積に占める割合の順がb>a>kとなると確定される。その大きさ順に、ユーザが選択可能な、各既設立体領域における部品の情報及び該当する処理方法を配列して表示する。即ち、既設立体領域bにおける部品の情報及び該当する処理方法を優先的に表示し、次に既設立体領域aにおける部品の情報及び該当する処理方法を表示し、最後に既設立体領域kにおける部品の情報及び該当する処理方法を表示する。
【0077】
なお、本実施例において、既設立体領域bにおける部品の情報及び該当する処理方法を表示するとともに、既設立体領域aと既設立体領域kにおける部品の情報及び該当する処理方法を非表示状態にすることも可能である。ユーザが非表示状態の既設立体領域aをクリックしたとき、既設立体領域aにおける部品の情報及び該当する処理方法を表示させ、このとき、既設立体領域bと既設立体領域kにおける部品の情報及び該当する処理方法を非表示状態になる。
【0078】
前記車両の模式図が車両の側面図であり、前記手書きマークの範囲がカバーしている既設立体領域の数が1つより多い場合、前記既設立体領域における部品の情報を選択待ち損傷位置情報として特定するステップは、具体的に、前記手書きマークがカバーしている既設立体領域を特定するステップと、特定された各既設立体領域における部品の情報を選択待ち損傷位置情報として確定するステップとを含む。
【0079】
本ステップは、例えば以下のようになる。図5に示すように、該車両の側面図に4つの既設立体領域d、e、f及びgが含まれ、ユーザの入力情報は、車両の側面図において丸をつけたマークの範囲である。丸をつけたマークに基づいて、該丸を付けたマークがカバーしている既設立体領域は既設立体領域dと既設立体領域eとの2つの既設立体領域があると特定されるとともに、ユーザが選択可能な、既設立体領域dと既設立体領域eとの2つの既設立体領域における部品の情報及び該当する処理方法をそれぞれ表示する。即ち、既設立体領域dにおける部品の情報及び該当する処理方法と、既設立体領域eにおける部品の情報及び該当する処理方法とを表示する。そして、該2つの既設立体領域における部品の情報及び該当する処理方法を任意に配列して表示させてもよい。
【0080】
なお、本実施例において、車両の模式図において規則図形の手書きマークを付けることも可能である。例えば、車両の模式図の左上(又は右上)に、例えば矩形、円形、正方形、三角形等の各種の規則図形を含む浮動ツールバーを表示させる。ユーザが矩形をクリックして、車両の模式図におけるある位置をもう一度クリックすると、1つの大きさ調整可能な矩形枠が現れ、該矩形枠を自由に拡大、縮小させるユーザ操作により手書きマークを実現することができる。
【0081】
本実施例において、該浮動ツールバーにさらにペンツールを備える。例えば、図4図5に示すように、ユーザがペンツールを用いて車両の模式図において自由にマークをつけて手書きマークを実現することもできる。
【0082】
上記の2つの具体的な実施例における手書きマーク方式は、本出願の具体的な実施例を説明するために選択された好ましい手書きマーク方式にすぎず、手書きマーク方式がこれに限定されなく、その他のいずれの手書きマーク方式も本出願の保護範囲に属する。
【0083】
ステップ103は、前記損傷位置部品の情報及び前記処理方法に基づいて損傷見積情報を生成する。
【0084】
本ステップにおいて、該当する損傷位置部品の情報及び処理方法が確定されたあと、修復費用を算出する必要もある。
【0085】
前記損傷位置部品の情報及び前記処理方法に基づいて損傷見積情報を生成するステップは、具体的に、前記VIN、損傷位置及び処理方法に基づいて修復費用を算出するステップを含む。
【0086】
該修復費用は、損傷位置の部品の価格及び処理方法による修復費用を含む。ユーザがすべての内容の明細に基づいて選択できるように、修復費用を計算するとき、非ユーザ選択の部分、即ちシステムのインテリジェントな関連付け操作によって選択された部分及びシステムの重複、相互排除のアルゴリズムにより計上されない部分も、説明のため顧客に表示される。
【0087】
また、該修復費用の計算は、標準工数体系と、自動調整アルゴリズムと、調整係数との三つの部分を含む。
【0088】
標準工数項目体系は、以下の内容を含む。
A.工数項目体系
自動車の製造国、車種による通常部品の着脱項目、交換項目、鈑金項目、ペンキ項目、その他の項目の計5つの修復項目に基づいて標準時間を計算する。該工数項目体系における各計算パラメータをVIN、損傷位置及び処理方法に基づいて確定することが可能である。上記の変数に関わる要素に基づいて修復項目の標準修復時間を計算する。例えば、一汽大衆の自動車のボーラであり、フロントバンパーフェイスが損壊し、交換必要があり、ドイツのコンパクトカーに該当する場合、該標準工数項目体系に基づいて、着脱+フロントバンパーフェイス+ドイツ系+コンパクトカー=0.5時間という結果を算出できる。
【0089】
B.自動調整アルゴリズム
前記VIN、損傷位置部品の情報及び処理方法に基づいて修復費用を算出するステップは、具体的に、前記VIN、損傷位置部品の情報及び処理方法に基づいて、自動調整アルゴリズムに従って修復費用を算出するステップを含む。
【0090】
該自動調整アルゴリズムは、前記VIN、ユーザが選択した損傷位置及び処理方法に基づいて算出した修復費用を調整し、関連、重複及び相互排除の修復費用を調整するアルゴリズムであり、工数項目の関連・重複・相互排除計算体系と称してもよい。
【0091】
具体的に、各修復項目間に、関連性、重複性及び相互排除性を有することが可能であるので、各修復項目間のインテリジェント関連演算ロジックを作る。
関連性
例えば、バンパーペンキには必ずバンパーの着脱が伴うので、ユーザがペンキ項目を選択した場合、バンパーの着脱工数が自動に計算され、修復の合計時間に計上されるようになる。
重複性
例えば、フロントバンパーフェイスの着脱とフロントバンパー下部グリルの着脱とは、いずれもバンパーの着脱作業が必要であるので、修復時間を計算するとき、重複になった項目の作業時間が計上されないようになる。
相互排除性
例えば、ユーザが既にフロントフェンダーパネル(左)を交換する項目を選択し、さらにフロントフェンダーパネル(左)を修復する項目を選択したとき、フロントフェンダーパネル(左)の交換と修復との2つの作業をともに行うことが不可能であるので、フロントフェンダーパネル(左)を修復するための工数/費用が計上されないようになる。
【0092】
前記VIN、損傷位置部品の情報及び処理方法に基づいて修復費用を算出するステップは、具体的に、前記VIN、損傷位置部品の情報及び処理方法に基づいて、整備工場計算パラメータ及び特殊調整要素計算パラメータを組み込んで、修復費用を算出するステップを含む。
【0093】
C.時間毎の修復費用計算モデル
車両の時間毎の修復の人件費が地域、修復ルート、ブランド等の要素に大きく影響されるので、4S店と一般の総合整備工場の2種類の自動車整備業者のそれぞれの時間毎の修復費用を基本とし、車両ブランド、車種、地域を調整要素とする修復単価計算モデルを設定する。
【0094】
D.特殊調整要素
各保険会社と自動車整備工場、各自動車整備工場と自動車部品販売代理店との契約がそれぞれ異なるであるので、部品割引、修復割引、その他の調整要素等を含む係数を設定することによって、顧客の具体的な要求に応じて最適化することができる。
【0095】
取得したユーザが選択した損傷位置及び処理方法と、算出した該当の修復費用とに基づいて、該車両の損傷査定見積書を生成する。
【0096】
ステップ104は、前記損傷査定見積書及び前記損傷査定見積書に対応する二次元コードを生成し、前記二次元コードをプッシュする。
【0097】
損傷見積情報に基づいて損傷査定見積書を生成する。該損傷査定見積書に基づいて対応する二次元コードを生成する。生成された損傷査定見積書に対応する二次元コードを前記ユーザにプッシュすることによって、前記ユーザが、前記二次元コードを読み取って前記損傷査定見積書情報及び状態を取得、編集することができる。
【0098】
また、該損傷査定見積書は複数のランダムコードからなる唯一の損傷査定見積書コードを有し、ユーザが、二次元コードを読み取れば、損傷査定見積書を取得して該損傷査定見積書を読んだり、編集したりすることができる。
【0099】
上記の方法と同様な構想を有する本出願による車両損傷査定クライアントは、図6に示すように、車両損傷位置の情報であるユーザからの入力情報を受信する受信ユニット610と、前記入力情報に基づいて、対応する損傷位置部品の情報及び処理方法を特定する第1の処理ユニット620と、前記損傷位置部品の情報及び前記処理方法に基づいて損傷見積情報を生成する第2の処理ユニット630とを有する。
【0100】
前記受信ユニット610は、さらにユーザが入力した車両識別番号であるVINを受信するように構成されている。
【0101】
前記入力情報が文字情報である場合、前記第1の処理ユニット620は、前記文字情報を部品正式名称に変更して、既設部品との関連関係によって、前記部品正式名称が対応するすべての部品を選出し、前記すべての部品から前記VINと対応する部品情報を特定して損傷位置部品の情報及び該当する処理方法の情報とするように構成されている。
【0102】
前記入力情報が音声情報である場合、前記第1の処理ユニット620は、前記音声情報を文字情報に変更し、さらに前記文字情報を部品正式名称に変更して、既設部品との関連関係によって、前記部品正式名称が対応するすべての部品を選出し、前記すべての部品から前記VINと対応する部品情報を特定して損傷位置部品の情報及び該当する処理方法の情報とするように構成されている。
【0103】
車両模式図表示ユニット640は、前記VINに基づいて損傷車両の車種を特定し、前記車種に対応する車両の模式図を表示するように構成されている。
【0104】
ここで、前記車両の模式図における車両が複数の既設立体領域に区画され、各既設立体領域に少なくとも1つの部品を有し、前記車両の模式図は、車両の平面図と車両の側面図とを含む。
【0105】
前記入力情報が前記ユーザによる前記車両の模式図での手書きマークである場合、前記第1の処理ユニット620が、前記手書きマークの範囲がカバーしている既設立体領域を特定し、前記既設立体領域における部品の情報を選択待ち損傷位置情報として特定するように構成され、選択待ち情報表示ユニット650が、前記ユーザが選択可能な、前記選択待ち損傷位置情報及び各選択待ち損傷位置情報に対応する選択待ち処理方法情報を表示するように構成され、前記第2の処理ユニット630が、前記ユーザの選択操作に基づいて、前記入力情報に対応する損傷位置部品の情報及び処理方法を確定するように構成されている。
【0106】
前記車両の模式図が車両の平面図であり、前記手書きマークの範囲がカバーしている既設立体領域の数が1つより多い場合、前記第1の処理ユニット620が、各既設立体領域に占める前記手書きマークの範囲の大きさを確定するように構成され、前記車両模式図表示ユニット640が、前記手書きマークの領域と各既設立体領域との重なり合う領域の、既設立体領域の合計面積に占める割合の順に、各前記手書きマークに対応する既設立体領域における部品の情報を配列して表示するように構成されている。
【0107】
前記車両の模式図が車両の側面図であり、前記車両の側面図における既設立体領域の数が既定数となるとともに、該既定数の既設立体領域が下から上に向かって順に並んでいる。
【0108】
前記手書きマークの範囲がカバーしている既設立体領域の数が1つより多い場合、前記第1の処理ユニット620が、前記手書きマークがカバーしている既設立体領域を特定し、特定された各既設立体領域における部品の情報を選択待ち損傷位置情報として確定するように構成されている。
【0109】
前記第2の処理ユニット630は、前記VIN、損傷位置及び処理方法に基づいて修復費用を算出するように構成されている。
【0110】
さらに、前記第2の処理ユニット630は、前記VIN、損傷位置部品の情報及び処理方法に基づいて、自動調整アルゴリズムに従って修復費用を算出するように構成されている。
【0111】
前記自動調整アルゴリズムは、前記VIN、ユーザが選択した損傷位置及び処理方法に基づいて算出した修復費用を調整し、関連、重複及び相互排除の修復費用を調整するアルゴリズムである。
【0112】
前記第2の処理ユニット630は、前記VIN、損傷位置部品の情報及び処理方法に基づいて、整備工場計算パラメータ及び特殊調整要素計算パラメータを組み込んで、修復費用を算出するように構成されている。
【0113】
さらに、前記第2の処理ユニット630は、損傷見積情報に基づいて損傷査定見積書を生成するように構成されている。
【0114】
第3の処理ユニット660は、前記損傷査定見積書に対応する二次元コードを生成し、そして前記二次元コードを前記ユーザにプッシュするように構成されている。
【0115】
上記の本出願による技術案は、市場における携帯損傷査定製品の空白を埋め、本出願の前、損傷部品に対して精確、快速、量的に検索、損傷査定を行うことができる携帯損傷査定製品がなかった。そして、市場に広く認められるとともに市場の多様化要求を十分に考慮した修復費用計算モデルを使用している。そして、該技術案によって、自動車に対して現地損傷査定が可能になり、公平な基準及び用具により自動車の修復業者と保険業者との意思疎通を図ることができる。さらに、保険会社内部での人による差異を最小限に抑え、プロセスを規準化にすることができる。従って、業界内で協力作業の効率を大幅に向上させるとともに人的コストを大幅に低減することができる。
【0116】
当業者が理解し得るように、コンピュータプログラム命令を用いてこれらの構成図及び/又はブロック図及び/又はフロー図における各枠に記載される案及びこれらの構成図及び/又はブロック図及び/又はフロー図における枠に記載される案の組み合わせを実現することができるは明らかである。当業者が理解し得るように、汎用コンピュータ、専門コンピュータ又はその他のプログラマブルデータ処理方法のプロセッサでコンピュータプログラム命令を実行し、コンピュータ又はその他のプログラマブルデータ処理方法のプロセッサによって本出願に開示された構成図及び/又はブロック図及び/又はフロー図における1つ又は複数の枠に記載される案を実行することが可能である。
【0117】
本出願に係る装置における各モジュールが、一体に集積されてもよく、分離して配置されてもよい。上記のモジュールは、結合して1つのモジュールとして構成されることができるし、複数のサブモジュールに分割されることもできる。
【0118】
当業者が理解し得るように、図面が好ましい実施例の模式図にすぎず、図面におけるモジュール又はフローが、本出願における案を実施するための必須事項とは限らない。
【0119】
当業者が理解し得るように、実施例に係る装置におけるモジュールは、実施例の説明に従って実施例に係る装置に分布されてもよく、適当に変化されて本実施例と異なる1つ又は複数の装置に配置されてもよい。上記の実施例におけるモジュールは、結合して1つのモジュールとして構成されることができるし、複数のサブモジュールに分割されることもできる。
【0120】
本出願における番号は、説明するためのものにすぎず、実施例の優劣を表すものではない。
【0121】
上記の開示は、本出願のいくつの具体的な実施例にすぎず、本出願がこれらに限定されない。当業者は、本出願の原理から逸脱しない前提で、若干の改良と改善を行うことが可能であり、当業者が想到できる如何なる変化も本出願の保護範囲に属する。
【0122】
産業上の利用可能性
本出願の実施例による車両損傷査定の方法、損傷査定クライアント及びコンピュータ読取可能な記憶媒体によって、ユーザが携帯端末で故障車両の具体的な損傷情報を速やか、正確に確定することができ、そして標準化した情報を同一組織の異なる部門の間、異なる組織の間で回し、意思疎通コストを低減するとともに損傷査定、賠償の効率を向上させることができる。さらに、前記損傷位置部品の情報及び前記処理方法に基づいて損傷見積情報を生成できるので、手動入力、出力を減少させ、人的コストを低減し、効率を向上させ、手動入力時の煩雑な作業を減少させたとともに入力ミスによる問題を避けた。
図1
図2
図3
図4
図5
図6