特許第6831483号(P6831483)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6831483回転角測定システム用センサユニット及びそのようなセンサユニットを備える回転角測定システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6831483
(24)【登録日】2021年2月1日
(45)【発行日】2021年2月17日
(54)【発明の名称】回転角測定システム用センサユニット及びそのようなセンサユニットを備える回転角測定システム
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/245 20060101AFI20210208BHJP
【FI】
   G01D5/245 110X
   G01D5/245 110L
【請求項の数】10
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2019-566169(P2019-566169)
(86)(22)【出願日】2017年5月31日
(65)【公表番号】特表2020-521980(P2020-521980A)
(43)【公表日】2020年7月27日
(86)【国際出願番号】EP2017063219
(87)【国際公開番号】WO2018219454
(87)【国際公開日】20181206
【審査請求日】2019年11月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】517258925
【氏名又は名称】フラバ ベスローテン ヴェンノーツハップ
【氏名又は名称原語表記】FRABA B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】特許業務法人ナガトアンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】レーケン, ミヒャエル
【審査官】 清水 靖記
(56)【参考文献】
【文献】 独国特許出願公開第102005039081(DE,A1)
【文献】 特開平05−066134(JP,A)
【文献】 実開平05−008425(JP,U)
【文献】 特表2009−522988(JP,A)
【文献】 特表2015−529325(JP,A)
【文献】 実開平03−080323(JP,U)
【文献】 特開2009−244039(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/00−5/252
5/39−5/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動軸(54)の回転運動を検出するための回転角測定システム(4)用のセンサユニットであって、少なくとも1つのポット状のハウジング部(8)を有するハウジング構成(6)を備え、前記ハウジング構成(6)の内部には、支持体(12)の上に配置されたセンサ回路基板(14)が、作動状態において、前記ハウジング構成(6)内で支持手段(28)を介して前記駆動軸(54)に対して静止した状態で支持されるような態様で設けられており、前記センサ回路基板(14)のための前記支持手段(28)は、予備組み立て状態において前記支持体(12)が前記ハウジング構成(6)の内部で移動可能に支持されるよう、形状結合ー摩擦結合構成として形成されており
前記形状結合ー摩擦結合構成(28)は、ハウジング部開口(34、36)と協働する少なくとも1つの係合体(30,32)と、少なくとも1つのバネ体(38)と、を備え、
前記センサ回路基板(14)は、着脱可能に又は着脱不能に前記支持体(12)及び/又は前記センサ回路基板(14)と結合されたカバー体(20)を備え、
前記形状結合ー摩擦結合構成(28)の前記係合体(30,32)は、前記カバー体(20)に形成されていることを特徴とする、センサユニット。
【請求項2】
前記バネ体(38)は、前記カバー体(20)の内部に支持されていると共に、前記ポット状のハウジング部(8)の底部(62)と協働する波形バネとして形成されていることを特徴とする、請求項に記載のセンサユニット。
【請求項3】
前記カバー体(20)は、前記センサ回路基板(14)の上に設けられた接続プラグ(18)のための凹部(24)を備え、前記凹部(24)は前記ポット状のハウジング部(8)の対応する開口(26)と協働することを特徴とする、請求項1又は2に記載のセンサユニット。
【請求項4】
前記開口(26)は、少なくとも部分的に前記凹部(24)を画定する係合体(30)のためのハウジング部開口(34)を形成することを特徴とする、請求項に記載のセンサユニット。
【請求項5】
前記ポット状のハウジング部(8)は、導磁性の材料から製作されていることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載のセンサユニット。
【請求項6】
前記支持体(12)はセンタリング段部を備え、前記センサ回路基板(14)は、前記センタリング段部によって径方向及び/又は軸方向に位置合わせ可能であることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載のセンサユニット。
【請求項7】
自由端に相互回転不能に励磁ユニット(44)を備える駆動軸(54)の回転運動を検出するための回転角測定システムであって、請求項1〜のいずれか1項に記載のセンサユニット(2)を備え、前記励磁ユニット(44)の少なくとも1つの磁石(46,48)は、前記駆動軸(54)と結合されていると共に、作動状態において、前記センサ回路基板(14)と対向する前記支持体(12)の空洞(42)の内部に達することを特徴とする、回転角測定システム。
【請求項8】
前記磁石(46,48)は、プラスチックから成る磁石支持構成(52)の内部に配置されていることを特徴とする、請求項に記載の回転角測定システム。
【請求項9】
前記支持体(12)の上に連結されたエンドプレートが設けられていることを特徴とする、請求項に記載の回転角測定システム。
【請求項10】
前記磁石は円形磁石として形成されていることを特徴とする、請求項7〜9のいずれか1項に記載の回転角測定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動軸の回転運動を検出するための回転角測定システム用のセンサユニットであって、少なくとも1つのポット状のハウジング部を有するハウジング構成を備え、前記ハウジング構成の内部には、支持体の上に配置されたセンサ回路基板が、作動状態において、前記ハウジング構成内で支持手段を介して前記駆動軸に対して静止した状態で支持されるような態様で設けられているものに関する。更に、本発明は、自由端に相互回転不能に励磁ユニットを備える、駆動軸の回転運動を検出するための回転角測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
そのような回転角測定システムは、軸の回転運動を測定するために用いられ、しばしば、角度測定装置、回転角センサ又はロータリエンコーダとも呼ばれる。それらは、特に、機械及び電気モータの制御及び監視のために使用される。その際、非接触の回転角測定システム、例えば光学的な又は磁気的なシステムは、摩耗しないセンサに起因して長い耐用年数を有するため、特別な役割を果たす。磁石ベースの回転角測定システムでは、軸の回転は、測定ユニットによって磁気的に検出され、当該測定ユニットは、特に、永久磁石のような回転励磁ユニットと、例えばホールセンサ及び/又はウィーガンドセンサのような少なくとも1つのセンサを有する静止センサユニットと、を含む。ここで、ホールセンサは1回の回転用に、ウィーガンドセンサは多数回の回転用に、それぞれ用いられる。しかしながら、測定ユニットは、大抵の場合、監視すべき軸の自由端に配置されている。
【0003】
そのようなセンサユニット又はそのような回転角測定システムは、例えば特許文献1から知られている。この場合、センサユニットは、回転角測定システムの最終組み立てまでは完成せず、センサ回路基板を有する支持体は、当面は駆動軸が貫いて延びるハウジング部の上に取り付けられ、続いて、少なくとも支持体及びセンサ回路基板が保護された状態で内部に受け入れられたハウジング構成が、同様に固定手段によって取り付けられる。感度の高いセンサユニットのそのような組み立て工程が、組み立てにおいて最小の過誤があった場合にも、センサユニット又は回転角測定システムの機能に不都合な影響を及ぼし得ることは、明らかであろう。特に、駆動軸が貫いて延びるハウジング部の上へのセンサ回路基板の支持体の固定は、非常に過誤の影響を受けやすいことが判明している。それに加えて、組み立て工程は、特に取り付けネジを挿入する場合に、小さな組み立てスペースに起因して困難となり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許出願公開第102015101248号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の課題は、上述した欠点を回避するセンサユニット又は回転角測定システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、センサ回路基板のための支持手段が、予備組み立て状態において支持体がハウジング構成の内部で移動可能に支持されるよう、形状結合ー摩擦結合構成として形成されていることにより解決される。このように、支持体の、例えば取り付けネジによるセンサ回路基板との別個の取り付けは、必要とされない。センサユニットの最終組み立ては、実質的に、ハウジング構成の取り付けのみによって行われる。センサ回路基板の支持手段が、形状結合ー摩擦結合構成として形成されていることによって、センサ回路基板を有する支持体は、予備組み立て状態において少なくとも軸方向における可動性を有するが、それにもかかわらず、支持体は、形状結合構成によってハウジング構成の内部に確実に保持される。最終組み立て工程によって初めて、ハウジング構成の内部における支持体の摩擦結合が確立され、それによって、センサ回路基板は、作動状態において、駆動軸に対して静止した状態で支持される。本発明によるセンサユニットの別の大きな利点は、センサユニットを完全に予備組み立てすることができ、それによって、簡単な搭載及び安全な輸送が保証されることにある。
【0007】
特に単純で安価に製造することができる形状結合ー摩擦結合構成は、ハウジング部開口と協働する少なくとも1つの係合体と、少なくとも1つのバネ体と、を備える。この場合、センサ回路基板が、着脱可能に又は着脱不能に支持体及び/又はセンサ回路基板と結合されたカバー体を備えると、特に有利である。このカバー体は、次いで、最終組み立て状態において摩擦結合を確立するために、バネ体のための作用面として働く。更に、カバー体は、塵埃等のような汚染に関して、センサ回路基板を保護する。それに加えて、ESD(静電気放電)に関する接触保護をも提供する。ここで、形状結合ー摩擦結合構成の係合体は、有利には、カバー体に形成されている。これにより、センサユニットの特に簡単な予備組み立てが可能となる。
【0008】
バネ体は、有利には波形バネとして形成されており、カバー体の内部に支持されていると共に、ポット状のハウジング部の底部と協働する。波形バネは、小さなバネ変位の下でも高いバネ張力を提供し、それにより、センサユニットを非常にコンパクトに具現することができる。更に、波形バネによって、カバー体内への非常に均一な力の導入が可能となる。
【0009】
特に有利には、カバー体は、センサ回路基板の上に設けられた接続プラグのための凹部を備え、当該凹部は、ポット状のハウジング部の対応する開口と協働する。ここで、開口は、凹部を少なくとも部分的に画定する係合体のためのハウジング部開口を形成することができる。係合体の係合によって、ハウジング部開口が覆われ、それにより、接続プラグへの確実なケーブル誘導が保証され、ポット状のハウジング部の鋭利な縁を有する開口によるケーブルの損傷が回避される。
【0010】
特に有利には、ポット状のハウジング部は、導磁性の材料で製作されており、このようにして、静電放電及び外部の干渉磁界に対するセンサ回路基板の保護を提供する。
【0011】
支持体が、それによってセンサ回路基板が径方向及び/又は軸方向に位置合わせ可能となるセンタリング段部を備えると、特に有利である。
【0012】
課題は、自由端に相互回転不能に励磁ユニットを備える駆動軸の回転運動を検出するための回転角測定システムであって、上述したセンサユニットを備え、前記励磁ユニットの少なくとも1つの磁石が、前記駆動軸と結合されていると共に、作動状態において前記センサ回路基板と対向する前記支持体の空洞の内部に達するものによっても解決される。支持体は、このようにして、励磁ユニットの遮蔽体となる。
【0013】
有利には、磁石は、プラスチックから成る磁石支持ユニットの内部に配置されることができ、それにより、空洞内での簡単な予備位置決めが可能となる。
【0014】
別の有利な実施形態では、支持体に隣接し、完全に予備組み立てされた回転角測定システムにおいて摩擦結合部への力の導入を保証するエンドプレートを設けることができる。
【0015】
以下、本発明が、図面を参照して詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明によるセンサユニットの概略的な分解図である。
図2図1のセンサユニットを有する、本発明による回転角測定システムの概略的な分解図である。
図3図2の回転角測定システムの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明によるセンサユニット2を概略的な斜視図で示しており、当該センサユニットは、以下で図2及び3に関する記載において詳細に説明されるように、本発明による回転角測定システム4において使用される。センサ構成2はハウジング構成6を備え、当該ハウジング構成は、本実施例においては、実質的にポット状のハウジング部8と、搬送の際に使用される保護キャップ10と、から構成される。更に、支持体12が示されており、その上に公知の方法でセンサ回路基板14が接着されている。もちろん、プレス、ネジ等のような他の取付けオプションも可能である。
【0018】
概観のため、センサ回路基板14の上には、ウィーガンドセンサ又はホールセンサとして形成されたセンサ体16及び接続プラグ18のみが示されている。しかしながら、センサ回路基板14の上に複数の他の電子部品を設け得ることは、明らかである。
【0019】
センサ回路基板14は、組み立てられた状態においては、カバー体20によって覆われ、当該カバー体は、公知の方法で、係合手段22により支持体12及び/又はセンサ回路基板14と結合されている。しかしながら、カバー体20が、支持体12の突出した縁部にクリップ留めされるか、あるいは、支持体12又はセンサ回路基板14の上に接着されることも考えられる。
【0020】
カバー体20は凹部24を有し、当該凹部は、センサユニット2の組み立て状態において、接続プラグ18及び開口26と符合するが、当該符合は、回転角測定システム4の最終組み立て状態において、図示されていないプラグ体が外部から接続プラグ18に嵌り込むことができるような態様で行われる。本発明によれば、センサユニット2は、形状結合ー摩擦結合構成28を備え、当該構成28は、予備組み立て状態においては、センサ回路基板14を有する支持体12を、移動可能にポット状のハウジング部8の内部に支持し、回転角測定システム4の最終組み立て状態においては、センサ回路基板14を有する支持体12を、静止した状態でポット状のハウジング部8の内部に支持する。形状結合ー摩擦結合構成28は、対応する開口34、36(図3参照)に嵌り込むことによって形状結合を形成する、本実施例においては2つの係合体30,32と、最終組み立て状態において摩擦結合をもたらす、波形バネとして形成されたバネ体38と、を備える。また、支持体12が、それによってセンサ回路基板14を径方向及び/又は軸方向に位置合わせ可能なセンタリング段部(ここでは図示されていない)を備えると有利であることが実証され得る。
【0021】
同時に回転角測定システム4の予備組み立てであるセンサユニット2の組み立てが、以下で記載される。カバー体20は、係合手段22によって支持体12と結合され、このようにしてセンサ回路基板14を覆う。次に、バネ体38が、カバー体20の縁部40の上にクリップ留めされ得る。続いて、支持体12が、その軸方向の可動性が与えられるように、係合体30,32によってポット状のハウジング部8の開口34、36内に嵌め込まれる。波形バネ38は、この組み立て状況では、依然として摩擦結合を発揮しないか、あるいは、わずかな摩擦結合のみを発揮する。係合体30が、凹部24の構成要素である開口34に嵌り込むことによって、プラグ体のケーブルが、ポット状のハウジング部8の鋭利な縁部に起因する損傷から保護される。搬送の目的のために、保護キャップ10を装着することができる。
【0022】
図2は、本発明による回転角測定システム4を、概略的な分解図で示している。センサユニット2の下側に、支持体12の縁部を認識することができ、当該支持体は、移動可能な支持に起因して、ポット状のハウジング部8から突出し得る。図3に明確に示されているように、支持体12は、センサ回路基板14とは逆を向いた側に、空洞42を有しており、当該空洞の内部には、最終組み立て状態において励磁ユニット44が達する。励磁ユニット44は、2つの永久磁石46、48を有し、これらの永久磁石は、包囲体50によって磁石支持構成52の内部にクリップ留めされ、次いで、最終組み立て状態において、駆動軸54の上に相互回転不能に配置される。もちろん、例えば直径方向に磁化された円形磁石のような他の磁石も使用され得ることは明らかである。駆動軸54は、本例においては、アダプタハウジング56の内部に支持されている。磁石支持構成52に代えて、磁石支持プレートを設けてもよい。回転角測定システム4の最終組み立ては、磁石支持構成52を駆動軸54上に押し付け、センサユニット2をアダプタハウジング56上に載置することによって行われる。しかしながら、最終組み立ては、代替的にネジ止めによっても行うことができる。センサユニット2は、ネジ58、60によって固定され、支持体12の下面は、底部62の方向にアダプタハウジング56と接触することによって押し付けられ、場合によっては整列され、また、波形バネ38が付勢され、それにより、センサ回路基板14を有する支持体12は、ポット状のハウジング部8内に摩擦結合によって強固に、場合によっては固定される。62によって、磁石支持構成52の駆動軸54との回転連結を固定するためのネジが示されている。
【0023】
図3は、最終組み立て状態における回転角測定システム4を断面図で示している。押し付けられた波形バネ38を明瞭に認識することができるが、当該波形バネよって、ポット状のハウジング部8の内部におけるセンサユニット2の摩擦結合による固定が保証される。例えば、汚れ、湿気又は圧力差に対するセンサ回路基板14の保護は、空間64が周縁ウェブ66及びOリングシール68によってシールされることによって保証される。
図1
図2
図3